(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598232
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】可撓性を有するように取り付けられた触覚出力装置を有するウェアラブル装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
G06F3/01 560
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-65465(P2015-65465)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-197921(P2015-197921A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2018年3月6日
(31)【優先権主張番号】14/243,313
(32)【優先日】2014年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100125195
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 雄一
(72)【発明者】
【氏名】グラント,ダニー エー.
(72)【発明者】
【氏名】レベスク,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】レデルシェイマー,エレーナ
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,ダニエル グレゴリー
【審査官】
円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/073437(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0025595(US,A1)
【文献】
特表2000−501033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって着用されるように構成され、
第1の材料から作製された第1の可撓性部分と、前記第1の材料よりも堅い第2の材料から作製された第2の可撓性部分と、を含み、前記第2の可撓性部分は、2つの前記第1の可撓性部分の間に配置されている、可撓性ウェアラブル部材、
可撓性取り付け台、及び
前記可撓性取り付け台により前記可撓性ウェアラブル部材に前記第1の可撓性部分において接続された触覚出力装置、
を有するウェアラブル装置と、
触覚信号を生成して前記触覚出力装置に伝達するように構成された信号生成器と、
を備え、
前記触覚信号は、ユーザに対してわずかな変形感覚を生成するように構成された短時間制御パルスを含む、
システム。
【請求項2】
前記短時間制御パルスの継続時間が100ミリ秒未満である、請求項1に記載のシステ
ム。
【請求項3】
前記短時間制御パルスの継続時間が50ミリ秒未満である、請求項2に記載のシステム
。
【請求項4】
前記短時間制御パルスの継続時間が30ミリ秒未満である、請求項3に記載のシステム
。
【請求項5】
前記ウェアラブル装置が前記信号生成器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記信号生成器を有するユーザインターフェース装置をさらに備えた、請求項1に記載
のシステム。
【請求項7】
前記可撓性取り付け台が可撓性ケーシングを備え、前記触覚出力装置が当該可撓性ケー
シングによって担持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記可撓性取り付け台は前記触覚出力装置に接続されたバネを備える、請求項1に記載
のシステム。
【請求項9】
前記可撓性取り付け台は前記触覚出力装置に接続されたダンパーを備える、請求項1に
記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザに着用された前記触覚出力装置が前記ユーザの肌に接触するように、前記可撓性取り付け台が前記可撓性ウェアラブル部材に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
複数の可撓性取り付け台に接続された複数の触覚出力装置をさらに備え、前記信号生成
器が複数の触覚信号を生成して前記複数の触覚出力装置に伝達するように構成され、前記
複数の触覚信号がユーザに対してわずかな変形感覚を生成するための短時間制御パルスを
含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記信号生成器は、前記複数の触覚信号を生成して前記複数の触覚出力装置に伝達し、
少なくとも1つの指向的触覚効果を生成するように構成された、請求項11に記載のシス
テム。
【請求項13】
前記信号生成器は、前記複数の触覚信号を生成して前記複数の触覚出力装置に伝達し、
少なくとも1つの局所的触覚効果を生成するように構成された、請求項11に記載のシス
テム。
【請求項14】
前記信号生成器は、前記複数の触覚信号を生成して前記複数の触覚出力装置に伝達し、
空間的パターン内に触覚効果を生成するように構成された、請求項11に記載のシステム
。
【請求項15】
ユーザによって着用されるように構成されたウェアラブル装置の可撓性ウェアラブル部材に可撓性取り付け台により触覚出力装置を接続する工程と、
短時間制御パルスを含む触覚信号を生成する工程と、
前記短時間制御パルスで前記触覚出力装置を作動させる工程と、
を含み、
前記可撓性ウェアラブル部材は、第1の材料から作製された第1の可撓性部分と、前記第1の材料よりも堅い第2の材料から作製された第2の可撓性部分と、を含み、前記第2の可撓性部分は、2つの前記第1の可撓性部分の間に配置されており、
前記可撓性取り付け台は、前記触覚出力装置を前記可撓性ウェアラブル部材に前記第1の可撓性部分において接続する、
方法。
【請求項16】
前記短時間制御パルスの継続時間が100ミリ秒未満である、請求項15に記載の方法
。
【請求項17】
前記短時間制御パルスの継続時間が50ミリ秒未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記短時間制御パルスの継続時間が30ミリ秒未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ユーザによって着用されるように構成された前記ウェアラブル装置の一部として、
複数の触覚出力装置を複数の可撓性取り付け台に接続する工程と、
短時間制御パルスを含む複数の触覚信号を生成する工程と、
前記短時間制御パルスで前記複数の触覚出力装置を作動させ、ユーザに対してわずかな
変形感覚を生成する工程と、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の触覚出力装置が作動して少なくとも1つの指向的触覚効果を生成する、請求
項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の触覚出力装置が作動して少なくとも1つの局所的触覚効果を生成する、請求
項19に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の触覚出力装置が作動して空間的パターン内に触覚効果を生成する、請求項1
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性を有するように取り付けられた触覚出力装置を有するウェアラブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェアラブルユーザ装置の市場が出現し、急速に成長すると予測されている。ウェアラブル装置を介したユーザへの情報伝達は、非視覚的である場合や、ユーザが対話する装置の視覚的側面を向上させる場合があるが、こうした情報伝達において、触覚が大きな役割を果たす場合がある。偏心回転質量体(eccentric rotating mass:「ERM」)などの典型的な慣性アクチュエータは、剛性ケーシング内に取り付けられ、一定の範囲の振動の周波数及び振幅を発生させ、これらが携帯電話やスマートフォンなどのユーザインターフェース装置のユーザに伝達される。
【発明の概要】
【0003】
ウェアラブル装置のユーザに一定の範囲の触覚効果を提供することが望ましい。また、材料コスト及び電力消費の観点で、ウェアラブル装置のユーザに触覚効果を提供するための、より低減されたコストの選択肢を提供することが望ましい。
【0004】
本発明の一態様によれば、ユーザによって着用されるように構成されたウェアラブル装置を含むシステムが提供される。このウェアラブル装置は、可撓性取り付け台、及び当該可撓性取り付け台に接続された触覚出力装置を含む。このシステムは、触覚信号を生成し触覚出力装置に伝達するように構成された信号生成器を含む。この触覚信号はユーザに対してわずかな変形感覚を生成するように構成された短時間制御パルスを含む。
【0005】
一実施形態において、短時間制御パルスの継続時間は、100ミリ秒未満、50ミリ秒未満、又は30ミリ秒未満である。
【0006】
一実施形態において、前記ウェアラブル装置は信号生成器を含む。
【0007】
一実施形態において、前記システムは信号生成器を有するユーザインターフェース装置を備える。
【0008】
一実施形態において、前記可撓性取り付け台が可撓性ケーシングを備え、前記触覚出力装置が当該可撓性ケーシングによって担持される。
【0009】
一実施形態において、前記可撓性取り付け台は前記触角出力装置に接続されたバネを有する。
【0010】
一実施形態において、前記可撓性取り付け台は前記触角出力装置に接続されたダンパーを有する。
【0011】
一実施形態において、前記ユーザに着用された前記触覚出力装置が前記ユーザの肌に接触するように、前記触覚出力装置が前記可撓性取り付け台に接続されている。
【0012】
一実施形態において、複数の触覚出力装置が複数の可撓性取り付け台に接続され、前記信号生成器が複数の触覚信号を生成して前記複数の触覚出力装置に伝達するように構成される。前記複数の触覚信号はユーザに対してわずかな変形感覚を生成するための短時間制御パルスを含む。
【0013】
一実施形態において、前記信号生成器は、前記複数の触覚信号を生成して前記複数の触覚出力装置に伝達し、少なくとも1つの指向的触覚効果を生成するように構成される。
【0014】
一実施形態において、前記信号生成器は、前記複数の触覚信号を生成して前記複数の触覚出力装置に伝達し、少なくとも1つの局所的触覚効果を生成するように構成される。
【0015】
一実施形態において、前記信号生成器は、前記複数の触覚信号を生成して前記複数の触覚出力装置に伝達し、空間的パターン内に触覚効果を生成するように構成される。
【0016】
本発明の一態様によれば、ユーザによって着用されるように構成されたウェアラブル装置の一部として、触覚出力装置を可撓性取り付け台に接続する工程と、短時間制御パルスを含む触覚信号を生成する工程と、前記短時間制御パルスで前記触覚出力装置を作動させる工程と、を含む方法が提供される。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記方法は、前記ユーザによって着用されるように構成された前記ウェアラブル装置の一部として、複数の触覚出力装置を複数の可撓性取り付け台に接続する工程と、短時間制御パルスを含む複数の触覚信号を生成する工程と、前記短時間制御パルスで前記複数の触覚出力装置を作動させ、ユーザに対してわずかな変形感覚を生成する工程と、を含む。
【0018】
一実施形態において、前記複数の触覚出力装置が作動して少なくとも1つの指向的触覚効果を生成する。
【0019】
一実施形態において、前記複数の触覚出力装置が作動して少なくとも1つの局所的触覚効果を生成する。
【0020】
一実施形態において、前記複数の触覚出力装置が作動して空間的パターン内に触覚効果を生成する。
【0021】
本発明の上記及び上記以外の目的、特徴、及び性質、並びに、関連する構成要素の動作方法及び機能、そして製造における各部分の組み合わせと経済性については、添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明と添付の特許請求の範囲を検討することによってさらに明らかになる。これらはいずれも本明細書の一部を構成する。添付図面は例示及び説明のためのものであり、本発明の発明特定事項の定義として用いることは意図されていない。本明細書及び特許請求の範囲における用法によれば、単数形の「a」、「an」及び「the」には複数のものへの言及が含まれる。ただし、文脈によって別に解すべきことが明白な場合はこの限りでない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の図面の構成要素は、本開示の一般的な原理を強調するように描写されており、必ずしも寸法通りには記載されていない。一貫性及び明瞭性を確保するために、対応する構成要素を指し示す参照符号は、必要に応じ、複数の図面にわたって繰り返し用いられる。
【0023】
【
図1】本発明の実施形態にかかるシステムの模式図である。
【0024】
【
図2】本発明の実施形態にかかる
図1のシステムのウェアラブル装置の模式図である。
【0025】
【
図3】本発明の実施形態にかかる
図1のシステムのウェアラブル装置の模式図である。
【0026】
【
図4A】本発明の実施形態にかかる
図1のシステムの触覚出力装置の模式図である。
【0027】
【
図4B】本発明の実施形態にかかる可撓性ケーシング内の
図4Aの触覚出力装置の模式図である。
【0028】
【
図4C】本発明の実施形態にかかる可撓性取り付け台に取り付けられた
図4Bに示す複数の可撓性ケーシングの模式図である。
【0029】
【
図5】本発明の実施形態にかかる複数のケーシングを示す模式図である。これらのケーシングの各々は
図4Aに示す触覚出力装置を囲っており、また可撓性取り付け台に接続されている。
【0030】
【
図6】本発明の実施形態にかかる
図4Aに示す触覚出力装置を部分的に囲う取り付け台の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は本発明の実施形態にかかるシステム100を示す。図に示すように、システム100はウェアラブル装置110と、当該ウェアラブル装置110と信号通信を行うユーザインターフェース装置120とを備える。一実施形態において、ユーザ入力装置120は、ウェアラブル装置110の一部分であってもよい。一実施形態において、ウェアラブル装置110及びユーザインターフェース装置120は別個の装置であってもよい。ユーザインターフェース装置120は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、電子ワークブック、電子ハンドヘルド装置(例えば、携帯電話、ゲーム装置、携帯情報端末(personal digital assistant:「PDA」)、携帯用電子メール装置、携帯用インターネット・アクセス装置、電卓など)、キオスク(例えば、現金自動預け払い機、チケット購入機など)、プリンタ、POS(point−of−sale)装置、ゲーム装置、または他の電子装置である。
【0032】
ウェアラブル装置110は、
図2においてより詳細に示されるが、可撓性取り付け台115(
図2に示す)を介してウェアラブル部材114に接続された触覚出力装置112を含む。ウェアラブル部材114は、ユーザによって身につけられるように構成された任意の部材又は物品であり、例えばアクセサリ又は衣服などである。触覚出力装置112によって提供される触覚フィードバックは、例えば、振動、変形、運動感覚、静電摩擦または超音波摩擦等の触覚効果を生成する任意の方法で生成され得る。一実施形態において、触覚出力装置112は慣性アクチュエータなどのアクチュエータを含む。慣性アクチュエータは、偏心質量体がモータにより動かされる偏心回転質量体(「ERM」)などの電磁アクチュエータ、又はばねに取り付けられた質量体が前後に駆動されるリニア共振アクチュエータ(「LRA」)であってもよい。触覚出力装置は、圧電材料、電気活性ポリマー、もしくは形状記憶合金などの「スマートマテリアル」を含むアクチュエータを含んでもよく、また、マクロ複合繊維アクチュエータ、静電気アクチュエータ、電気触感アクチュエータ、及び/又は振動触覚フィードバックなどの物理的フィードバックを提供する他の種類のアクチュエータを含んでもよい。触覚出力装置112は、非機械的装置又は非振動装置、例えば、静電摩擦(「ESF」)や超音波表面摩擦(「USF」)を用いる装置、超音波触覚トランスデューサを用いて音響放射圧力を生じさせる装置、触覚基板及び可撓性もしくは変形可能な表面を用いる装置、又は、熱的効果を提供する装置、又は、エアジェットを用いた空気の吹きかけなどの発射型の触覚出力を提供する装置などを含んでもよい。異なる触覚効果を生成するために、複数の触覚出力装置112を用いてもよい。
【0033】
ウェアラブル装置110はまた、触覚信号を生成し触覚出力装置112に伝達するように構成された信号生成器118(
図2に示す)を含むプロセッサ116を含んでもよい。プロセッサ116は、特定用途向け集積回路(application−specific integrated circuit:「ASIC」)として、触覚出力装置112のドライバへの出力信号を制御するように特別に設計されてもよい。プロセッサ116は、どのような触覚効果が生成され、当該触覚効果がどのような順序で生成され、および/またはどの程度の大きさ、頻度、持続時間、および/またはその他のパラメータを触覚効果が有するかを、所定の係数に基づいて決定する。また、プロセッサ116は、特定の触覚効果を提供するために触覚出力装置112を駆動するのに使用することができるストリーミング・コマンドを提供するように構成されてもよい。
【0034】
図2はウェアラブル装置110をさらに詳細に示す。一実施形態において、触覚出力装置112は可撓性取り付け台115に接続され、ウェアラブル装置110がユーザに装着されたときに、触覚出力装置112がユーザの肌に接触するようになっている。一実施形態において、触覚出力装置112は、ウェアラブル部材114のユーザの肌とは反対の側に配置されるように、可撓性取り付け台115に接続され、これによりウェアラブル装置110がユーザに装着されたときに、ウェアラブル部材114のみがユーザの肌に接触する又はその形状に従う。一実施形態において、触覚出力装置112及び可撓性取り付け台115はウェアラブル部材114に埋め込まれ、ウェアラブル部材114に完全に包まれていてもよい。可撓性取り付け台115を介した触覚出力装置112とウェアラブル部材114との接続は、後に詳述する。
【0035】
プロセッサ116は、一又は複数のコンピュータ・プログラム・モジュールを実行するように構成されてもよい。当該一又は複数のコンピュータ・プログラム・モジュールは、触覚効果決定モジュール202、触覚出力装置制御モジュール204、及び/又はこれら以外のモジュールの一又は複数を備えることができる。プロセッサ116は、モジュール202及び/又は204を実行する際に、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、何らかの方法で組み合わされたソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェア、及び/又はプロセッサ116の処理能力を構成する他の機構を用いるように構成されてもよい。
図2においてモジュール202及び204は単一の処理装置内の同じ位置に配置されるものとして示されるが、プロセッサ116が複数の処理装置を含む実施形態においては、モジュール202及び204のうちの一又は複数が他のモジュールから離れて配置されてもよい。例えば、触覚効果決定モジュール202はユーザインターフェース装置120のプロセッサ122内に配置されてもよい。プロセッサ122は
図1に示されており、詳細は後述する。
【0036】
以下の異なるモジュール202及び204によって提供される機能の記述は説明のためのものであり、限定を意図したものではない。モジュール202及び204はいずれも記述されるよりも多くの、または少ない機能を提供してもよい。例えば、モジュール202及び204のうちの一方を取り除き、その機能の一部またはすべてを、他方のモジュールで提供してもよい。他の例として、以下でモジュール202及び204のうちの1つに帰せられる機能の一部またはすべてを実行する1つまたは複数の追加的なモジュールを実行するように、プロセッサ116が構成されてもよい。
【0037】
触覚効果決定モジュール202は、ユーザインターフェース装置120から受信した情報に基づいて、触覚出力装置112によってユーザに対して生成されるべき触覚効果又は感覚を決定する。触覚効果を決定することは、システム100によってユーザに提供される体験の一つまたは複数の態様を向上するべく、ユーザに提供される触覚感覚の振幅、周波数、期間等を含む1つ又は複数のパラメータを決定することを含んでもよい。
【0038】
触覚出力装置制御モジュール204は、触覚出力装置112に対する制御信号を生成する信号生成器118を制御し、触覚効果決定モジュール202が決定した触覚効果を生成するように構成される。この中で、信号生成器118によって生成される触覚出力信号が触覚出力装置112に伝達される。生成される触覚効果は、プロセッサ116および触覚出力装置112の間の有線の通信リンク、無線の通信リンク、および/またはその他の通信リンクを通して伝達される。一実施形態において、触覚出力装置制御モジュール204に帰せられる機能の少なくとも一部は、触覚出力装置112によって担持されるプロセッサ内に配置されてもよい。一実施形態において、信号生成器118は、触覚出力装置112の一部分であってもよい。一実施形態において、プロセッサ116は、触覚出力装置112の一部分であってもよい。図示された実施形態は、いかなる限定をも意味するものではない。
【0039】
また、プロセッサ116は電子ストレージ206を含んでもよい。電子ストレージ206としては、内部に固定された1つ又は複数の記憶ユニット、リムーバブル記憶ユニット及び/又はリモート・アクセスが可能な記憶ユニットを含む。これら様々な記憶ユニットは、揮発性メモリと不揮発性メモリとのいかなる組合せをも含み得る。記憶ユニットは、情報、データ、命令、ソフトウェア・コードなどのいかなる組合せをも記憶し得るように構成されている。より具体的には、記憶ユニットは、触覚効果のプロフィール、触覚出力装置112がいかにして駆動されるかを指示する命令又は触覚効果を生成するためのその他の情報を含む。
【0040】
再び
図1を参照すると、ユーザインターフェース装置120はプロセッサ122、記憶装置124、及び入力/出力装置126を備えており、これらはバス128を介して相互に接続されている。一実施形態において、入力/出力装置126はタッチ・スクリーン装置130及び/又は他のヒューマン・コンピュータ・インターフェース装置を含む。
【0041】
タッチ・スクリーン装置130は、いかなる適切なヒューマン・コンピュータ・インターフェースまたはタッチ/コンタクト表面組立体として構成されてもよい。タッチ・スクリーン装置130は、任意のタッチ・スクリーン、タッチ・パッド、タッチセンサー構造体(touch sensitive structure)、コンピュータ・モニタ、ラップトップディスプレイ装置、ワークブックディスプレイ装置、キオスク・スクリーン、ポータブル電子装置のスクリーン、又は、その他の好適な接触感知装置であってもよい。タッチ・スクリーン装置130は、スタイラスや指などのユーザによって制御された装置との物理的なインタラクションのために構成され得る。実施形態によっては、タッチ・スクリーン装置130は少なくとも1つの出力装置および少なくとも1つの入力装置を備えている。例えば、タッチ・スクリーン装置130は、視覚ディスプレイおよびそれに重ねられたタッチ感知スクリーンを含み、ユーザの指からの入力を受ける。視覚ディスプレイは高解像度ディスプレイ・スクリーンを含む。
【0042】
タッチ・スクリーン装置130に加えて、入力/出力措置126も特定の入力機構および出力機構を含む。例えば、入力機構は、キーボード、キーパッド、カーソル・コントロール装置(例えば、コンピュータのマウス)、またはその他のデータ入力装置を含む。出力機構は、コンピュータのモニタ、仮想現実ディスプレイ装置、音声出力装置、プリンタ、またはゲームパッドなどのその他の周辺装置を含む。入出力装置126は、ユーザからの入力を受けるだけでなくユーザにフィードバックを提供するように設計された機構を含み、例えば、タッチ・スクリーン装置の多くの例が該当する。
【0043】
プロセッサ122は、汎用又は特殊用途プロセッサ、或いはユーザ入力装置120の動作および機能を管理または制御するマイクロ・コントローラである。例えば、プロセッサ122は、入力/出力装置126への出力信号を制御し、入力/出力装置126から受信した信号を処理するための特定用途向け集積回路(application−specific integrated circuit:「ASIC」)として、特に設計されてもよい。プロセッサ122は、どのような触覚効果が生成され、当該触覚効果がどのような順序で生成され、および/またはどの程度の大きさ、頻度、持続時間、および/またはその他のパラメータを触覚効果が有するかを、所定の係数に基づいて決定する。また、プロセッサ122は、特定の触覚効果を提供するために触覚出力装置112を駆動するのに使用することができるストリーミング・コマンドを提供するように構成されてもよい。一部の実施形態では、プロセッサ122は実際に複数のプロセッサを含み、当該プロセッサの各々がユーザインターフェース装置120の内部で特定の機能を果たすように構成されている。上述のように、プロセッサ116のモジュール202、204のうちの一又は複数は、ユーザインターフェース装置120のプロセッサ122内に配置されてもよい。図示の実施形態は、いかなる限定をも意味するものではない。
【0044】
メモリデバイス124としては、内部に固定された1つ又は複数の記憶ユニット、リムーバブル記憶ユニット及び/又はリモート・アクセスが可能な記憶ユニットを含む。これら様々な記憶ユニットは、揮発性メモリと不揮発性メモリとのいかなる組合せをも含み得る。記憶ユニットは、情報、データ、命令、ソフトウェアコード等の任意の組み合わせを格納するように構成されてもよい。
【0045】
図3は、複数の可撓性取り付け台115を介してウェアラブル部材114に接続された複数の触覚出力装置112を含む、ウェアラブル装置300の一実施形態を示す。例えば、一実施形態において、2、3、4、又はそれ以上の数の触覚出力装置112が、可撓性取り付け台115を介して間隔を空けてウェアラブル部材114に接続されるに際し、以下の手段のうちの任意のものを用いてよい。信号生成器118は、触覚出力装置112の各々に対する信号を生成し、それらにその信号を伝達する。触覚効果決定モジュール202は、触覚出力装置112が、連続して、同期して、又は特定のパターン又は順序で、触覚効果又は感覚を生成し、空間的な感覚を発生させることを決定してもよい。触覚出力装置制御モジュール204は、信号生成器118がどの信号を生成し、触覚出力装置112に伝達するかを決定してもよい。一実施形態において、プロセッサ116は、空間的な触覚効果が発生するような触覚出力装置112の配置に関する情報を用いてプログラムされてもよい。一実施形態において、触覚出力装置112はデイジーチェーン方式で連結され、それらの間の空間的関係は、触覚効果が生成されるように特定される。一実施形態において、触覚出力装置112は、ウェアラブル部材114上の特定の箇所でウェアラブル部材114に埋め込まれたワイヤによって出力ポートと接続され、これによりプロセッサ116は各触覚出力装置112がどこに配置されているかを知ることができる。
【0046】
図4AはERMアクチュエータ412の形態の触覚出力装置の一実施形態を示し、ここからワイヤ413が延在している。ワイヤ413は電源及び/又はプロセッサ116に接続されるが、これについては通常の技能を有する当業者が知る通りである。一実施形態において、ERMアクチュエータ412は、低コストのコイン型ERMアクチュエータ412であってもよい。
【0047】
図4BはERMアクチュエータ412を担持する可撓性ケーシング412の形態の可撓性取り付け台の一実施形態を示し、この場合、可撓性ケーシングはERMアクチュエータ412の本体を取り囲んでいるが、ワイヤ413は可撓性ケーシング415の外にまで延在している。可撓性ケーシング415は、例えば可撓性のゴム材料又は弾性プラスチック材料などの可撓性のプラスチック材料といった任意の好適な可撓性材料から作製してもよい。可撓性ケーシング415は、ウェアラブル部材414に接続され、又はその中に埋め込まれ、
図4Cに示すウェアラブル装置400の一実施形態を形成する。この図においては、可撓性ケーシング415を介してウェアラブル部材414に接続される4つのERMアクチュエータ412が示されている。可撓性ケーシング415は、例えば接着剤等の好適な手段により、ウェアラブル部材414に接続されてもよい。一実施形態において、可撓性ケーシング415はウェアラブル部材414に縫い付けられ、又はフック及びループ型の固定具(例えば、Velcro Industries B.V.によって製造されるVELCRO(登録商標))を介して接続されてもよい。
図4Cに示すERMアクチュエータ412の向きにより、ユーザがウェアラブル装置400を着用しているときに、アクチュエータの力軸がユーザの肌に接するように配向され、これにより触覚駆動信号がERMアクチュエータ412に伝達されるとき、主要な触覚感覚がユーザの肌に接する向きとなる。力軸がユーザの肌に垂直に向けられるようにERMアクチュエータを取り付けることによって、より大きな感覚を得ることが可能になる。これについて以下に述べる。
【0048】
図5は、ウェアラブル部材514及び、ウェアラブル部材514に接続され互いに間隔を空けて配置された4つの触覚出力装置512を含むウェアラブル装置500の一実施形態を示す。ここで、ウェアラブル部材514は、ヘッドバンド、リストバンド、トルソーバンド、又はユーザが身に着ける他の任意の種類のバンドの形態を有してもよい。ウェアラブル部材514は任意の好適な材料から作製してもよく、また剛性または可撓性を有してもよい。
【0049】
図に示すように、ウェアラブル装置500は複数の可撓性取り付け台515を含み、各触覚出力装置512は可撓性取り付け台515を介してウェアラブル部材514に接続されている。可撓性取り付け台515は、上述の可撓性ケーシング415などの可撓性ケーシングを含んでもよい。一実施形態において、可撓性取り付け台515は、
図5に示すように、触覚出力装置512をウェアラブル部材514に接続するように構成されたバネ540又はダンパー550を含んでもよい。また、ウェアラブル装置500は、ウェアラブル部材514に接続された信号生成器518を含んでもよい。
【0050】
一実施形態において、ウェアラブル部材514は、可撓性ゴム、可撓性プラスチック、又は布などの可撓性材料から作製されてもよい。一実施形態において、ウェアラブル部材514は異なる堅さを持つ材料から作製されてもよい。例えば、一実施形態において、ウェアラブル部材514は、可撓性取り付け台515が取り付けられる又は埋め込まれる第1の材料から作製された部分と、第1の材料で作製された部分の間の第2の材料で作製された部分とを含んでもよい。触覚出力装置512が少なくとも多少は動くことができる自由を有しながらも、触覚出力装置512が発生させる振動がウェアラブル部材514に沿って伝播するのを第2の材料によって防ぐことによって触覚感覚をより局所化するために、第2の材料は第1の材料より堅くてもよい。一実施形態において、ウェアラブル部材514が可撓性を有する場合、ウェアラブル部材514自体を可撓性取り付け台、又は可撓性取り付け台の一部と見なしてもよい。
【0051】
図6は、上述の可撓性ケーシング415よりも高い剛性を有する可撓性取り付け台615内に部分的に収容されたERMアクチュエータを含む実施形態を示す。例えば、可撓性取り付け台615は、可撓性ケーシング415に用いられる材料よりも堅いゴム又はプラスチック材料から作製してもよい。可撓性取り付け台615は、ウェアラブル部材が貫通する開口617を有してもよい。このような構成により、ERMアクチュエータ412の力軸のうちの1つをユーザの肌に対して垂直に配向することになる。よって、短時間制御パルスがERMアクチュエータ412に送られたとき、可撓性取り付け台615はユーザが感じる穏やかな瞬間的変形効果を生成する。可撓性取り付け台615は、
図5に示す可撓性取り付け台515の一又は複数として用いてもよい。
【0052】
触覚出力装置112を可撓性を有するように結合し、可撓性取り付け台115によって触覚出力装置112をユーザの肌に密接に結合し、また、触覚出力装置112を駆動するための短時間制御パルスを生成することによって、ユーザをわずかに押す感覚が生成される。これにより、高周波振動のような耳障りな感覚とは対照的な、より自然で人間的な感覚が得られる。一実施形態において、短時間制御パルスの継続時間は100ミリ秒よりも短くてもよい。一実施形態において、短時間制御パルスの継続時間は50ミリ秒よりも短くてもよい。一実施形態において、短時間制御パルスの継続時間は30ミリ秒よりも短くてもよい。
【0053】
触覚出力装置112がERMアクチュエータである場合、短時間制御パルスを適用することによって、当該アクチュエータの回転質量体が1回転未満、又は最大でも2、3回転までしか回転しないため、ERMアクチュエータのケースの動きが小さくなり、非継続的で瞬間的な穏やかな触覚感覚が生成される。穏やかな瞬間的変形感覚によって、(振動とは対照的に)より自然な(かつ人間的な)触覚相互作用を得ることができ、ユーザにとって心地よい感覚をより幅広く生成することができる。触覚出力装置112がユーザの静脈又は動脈の付近に配置される場合、穏やかな瞬間的感覚は心臓の鼓動のようにユーザに感じられる場合もある。これをゲームアプリケーションに用いて鼓動の感覚を生成してもよい。一実施形態において、信号生成器118は、当該技術において振動を発生させることが知られている従来の制御パルスに加えて、短時間制御パルスを生成して、穏やかな瞬間的変形を発生させてもよい。
【0054】
本発明の一実施形態に従い、局所的及び指向的な触覚効果の両方を生成してもよい。ERMアクチュエータを上述したが、このようなアクチュエータは本発明の実施形態に従って用いられる触覚出力装置112の一例に過ぎないことを理解すべきである。例えば、触覚出力装置112は任意の慣性型アクチュエータを備えてもよく、これには線形共鳴アクチュエータが含まれる。また、触覚出力装置112は、短時間制御パルス(すなわち電圧)が印加されたときにわずかな変形感覚を生じさせるように構成された、圧電アクチュエータ又は他の任意の上述のアクチュエータを備えてもよい。
【0055】
一実施形態において、ユーザインターフェース装置120で実行中のアプリケーション(例えば、コンピュータプログラム)は、ウェアラブル装置110のプロセッサ116に信号を送信し、このウェアラブル装置110が上記アプリケーションの機能に従って奏される触覚効果を要求する。例えば、ゲームアプリケーションにおいて、ユーザの手がゲーム内のオブジェクトに触れたときに、触覚効果が要求されてもよい。ウェアラブル装置110のプロセッサ116は、ゲームを制御するユーザインターフェース装置120から触覚効果を要求する信号を受信し、これを上述のモジュール202及び204によって処理し、求める制御信号すなわち電圧信号を信号生成器118を用いて生成し、この制御信号を触覚出力装置112に伝達する。触覚効果は触覚出力装置112によって生成され、ユーザは自らがゲーム内の仮想オブジェクトに触れたことを示す穏やかな瞬間的変形感覚を体験する。
【0056】
一実施形態において、ウェアラブル装置110はユーザの手首用のリストバンドとして構成されてもよく、ユーザインターフェース装置120は、例えば、ゲームコントローラ又はスマートフォンであってもよく、このゲームコントローラ又はスマートフォンによって要求された触覚効果は、上記のリストバンドを介してユーザに提供されてもよい。一実施形態において、ウェアラブル装置110はユーザの頭部に着用されてもよく、ユーザインターフェース装置120は、例えば、頭部装着型のディスプレイなどの頭部装着型のユーザインターフェース又はスマートフォンであってもよく、この頭部装着型のユーザインターフェース又はスマートフォンによって要求された触覚効果は、ウェアラブル装置110によってユーザの頭部に提供されてもよい。一実施形態において、ウェアラブル装置110はユーザの胴体の周囲に着用されてもよく、ユーザインターフェース装置110は、例えば、ゲームコントローラ又はスマートフォンであってもよく、このゲームコントローラ又はスマートフォンによって要求された触覚効果は、ウェアラブル装置110によってユーザの胴体に提供されてもよい。本明細書で記載した本発明の実施形態に従うシステム100は他の形態で実装することも可能であり、上述の実装の形態は、如何なる意味におても限定的なものではない。
【0057】
上述の本発明の実施形態に従うウェアラブル装置は、標準的な振動を含むより幅広い触覚効果の生成、及び穏やかな瞬間的変形感覚を生成する能力を考慮している。ウェアラブル装置におけるより自然な触覚効果(例えば、圧力、変形)の幅を広げることによって、通知、情報伝達などのウェアラブル装置の触覚機能にさらなる価値が加わる。穏やかな瞬間的変形感覚は、標準的な振動よりも心地よくユーザに情報を伝えることができる。さらに、本発明の実施形態は、低コストERMアクチュエータなどの低コスト触覚出力装置の使用、及び短時間制御パルスを用いて触覚感覚を生成することによる(振動を生成するために用いられる標準的な制御信号と比較した)総消費電力の低減によって、触覚出力が可能なウェアラブル装置の比較的低コストのオプションを用意している。
【0058】
本明細書に記載された実施形態は、実施可能な実装例および実施例であるが、本発明を特定の実施形態に制限することを必ずしも意図するものではない。むしろ、これらの実施形態には、当該技術分野における当業者に理解できるような変更を加えることができる。このような変更が加えられた態様も本発明の要旨及び範囲に含まれ、そして以下の請求項によって保護されるべきものである。