(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[積層フィルム]
以下、本発明の積層フィルムの一例を示して説明する。
本実施形態の積層フィルム1は、
図1に示すように、第1の層10と、第1の層10上に積層された第2の層12とを備える。積層フィルム1は、袋体とされる際には第1の層10が第2の層12よりも内側となるように配置される。
【0011】
(第1の層)
第1の層10は、環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂とを含有する。環状オレフィン樹脂とは、環状構造を有するオレフィン樹脂を意味する。鎖状オレフィン樹脂とは、環状構造を有しない鎖状のオレフィン樹脂を意味する。
【0012】
環状オレフィン樹脂の市販品としては、日本ゼオン(株)製の「ゼオノア(登録商標)」、トパスアドバンストポリマーズ社製の「TOPAS(登録商標)」、三井化学(株)製の「アペル(登録商標)」等が挙げられる。
環状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
鎖状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
鎖状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、第1の層の総質量(100質量%)に対して、30質量%超70質量%以下である。第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合が30質量%超であれば、内容物の揮発性成分が吸着されにくくなる。第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合が70質量%以下であれば、優れた接着性が得られやすくなる。
第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、50〜70質量%が好ましい。
【0015】
第1の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、第1の層の総質量(100質量%)に対して、30質量%以上70質量%未満である。第1の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が30質量%以上であれば、優れた接着性が得られやすくなる。第1の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が70質量%未満であれば、内容物の揮発性成分が吸着されにくくなり、また優れた易カット性が確保される。
第1の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、30〜50質量%が好ましい。
【0016】
第1の層の厚みは、5〜30μmが好ましく、7〜15μmがより好ましい。第1の層の厚みが下限値以上であれば、内容物の揮発性成分がより吸着されにくくなる。第1の層の厚みが上限値以下であれば、優れた易カット性が確保されやすい。
【0017】
(第2の層)
第2の層12は、環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂とを含有する。第2の層12に含有される環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、第1の層で挙げた環状オレフィン樹脂及び鎖状オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。
第2の層に含有させる環状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、第2の層に含有させる鎖状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
第2の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、第2の層の総質量(100質量)に対して、30質量%以下である。第2の層中の環状オレフィン樹脂の割合が30質量%以下であれば、優れた接着性が得られ、またコスト面でも有利である。
第2の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、10〜30質量%が好ましい。環状オレフィン樹脂の割合が10質量%以上であれば、充分な易カット性を確保することがより容易になる。
【0019】
第2の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、第2の層の総質量(100質量)に対して、70質量%以上である。第2の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が70質量%以上であれば、優れた接着性が得られ、またコスト面でも有利である。
第2の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、70〜90質量%が好ましい。鎖状オレフィン樹脂の割合が90質量%以下であれば、充分な易カット性を確保することがより容易になる。
【0020】
第2の層の厚みは、5〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。第2の層の厚みが下限値以上であれば、優れた接着性が得られやすくなる。第2の層の厚みが上限値以下であれば、第1の層の厚みを相対的により厚くできるため、内容物の揮発性成分がより吸着しにくくなる。
【0021】
本実施形態の積層フィルムの総厚みは、10〜60μmが好ましく、17〜35μmがより好ましい。積層フィルムの総厚みが下限値以上であれば、内容物の揮発性成分がより吸着されにくくなる。積層フィルムの総厚みが上限値以下であれば、低コストである。
【0022】
本発明の積層フィルムの製造方法は、特に限定されず、例えば、インフレーション法やキャスト法による共押出積層法、押出ラミネーション法、サンドラミネーション法、ドライラミネーション法等が挙げられる。
【0023】
以上説明したように、本発明の積層フィルムでは、第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合が高く、第2の層中の環状オレフィン樹脂の割合が低くなるように、第1の層と第2の層の環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂の割合を特定の範囲に制御する。これにより、耐薬品性、接着性及び易カット性を兼ね備えた低コストな積層フィルムとなる。そのため、本発明の積層フィルムを用いれば、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、接着性に優れ、かつ易カット性も優れた包材が低コストで得られる。
【0024】
なお、本発明の積層フィルムは、前記した積層フィルム1には限定されない。本発明の積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、第1の層及び第2の層以外の層をさらに備えていてもよい。例えば、本発明の積層フィルムは、
図2に例示した積層フィルム1Aであってもよい。
図2における
図1と同じ部分は、同符号を付して説明を省略する。
積層フィルム1Aは、第1の層10と第2の層12との間に第3の層14が積層されている以外は、積層フィルム1と同じである。
【0025】
(第3の層)
第3の層14は、環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂とを含有する。第3の層14に含有される環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、第1の層で挙げた環状オレフィン樹脂及び鎖状オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。
第3の層に含有させる環状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、第3の層に含有させる鎖状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
第3の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、第3の層の総質量(100質量)に対して、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。第3の層中の環状オレフィン樹脂の割合が下限値以上であれば、内容物の揮発性成分がより吸着しにくくなる。第3の層中の環状オレフィン樹脂の割合が上限値以下であれば、第3の層側の他の素材等への接着性がより高くなる。
【0027】
第3の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、第3の層の総質量(100質量)に対して、40〜80質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。第3の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が下限値以上であれば、第3の層側の他の素材等への接着性がより高くなる。第3の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が上限値以下であれば、内容物の揮発性成分がより吸着しにくくなる。
【0028】
第3の層の厚みは、5〜30μmが好ましく、7〜15μmがより好ましい。第3の層の厚みが下限値以上であれば、優れた接着性が得られやすくなる。第3の層の厚みが上限値以下であれば、第1の層の厚みを相対的により厚くできるため、内容物の揮発性成分がより吸着しにくくなる。
【0029】
本実施形態の積層フィルムの総厚みは、15〜90μmが好ましく、24〜50μmがより好ましい。積層フィルムの総厚みが下限値以上であれば、内容物の揮発性成分がより吸着されにくくなる。積層フィルムの総厚みが上限値以下であれば、低コストである。
【0030】
また、本発明の積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記した積層フィルム1,1Aを構成する第1の層、第2の層及び第3の層から選ばれる3層以上を備える別の層構成としてもよい。このとき、第1の層及び第2の層は少なくとも1層含まれる。例えば、本発明の積層フィルムは、
図3に例示した積層フィルム1Bであってもよい。
図2における
図1と同じ部分は、同符号を付して説明を省略する。
積層フィルム1Bは、第1の層10における第2の層12と反対側に、別の第2の層12が積層されている以外は、積層フィルム1と同じである。
当該別の第2の層は樹脂組成や層の厚さは上記した第2の層における数値範囲内であればよい。2つの第2の層12は同じ組成であっても別の組成であってもよく、同じ厚さでも異なる厚さでもよい。
【0031】
本実施形態の積層フィルムの総厚みは、15〜90μmが好ましく、24〜50μmがより好ましい。積層フィルムの総厚みが下限値以上であれば、内容物の揮発性成分がより吸着されにくくなる。積層フィルムの総厚みが上限値以下であれば、低コストである。
【0032】
袋体内に収容された内容物の揮発性成分が吸着されることをより抑制しやすい点では、積層フィルム1を第1の層10が最内層となるように使用する態様が、積層フィルム1Aを第3の層14が最内層となるように使用する態様や積層フィルム1Bを使用する態様よりも好ましい。
【0033】
[包材]
本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備えるものである。本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備える以外は、公知の態様を採用できる。
本発明の包材においては、本発明の積層フィルムが第1の層と第2の層の2層構成の場合、第1の層が最内層となるように本発明の積層フィルムが設けられることが好ましい。また、本発明の積層フィルムが3層以上の層構成の場合には、本発明の包材において該積層フィルムは、第1の層が最内層となるか又は最内層にできるだけ近く配置されるように設けられることが好ましい。
【0034】
以下、本発明の包材の一例を示して説明する。
本実施形態の包材2は、
図4に示すように、積層フィルム1と、積層フィルム1における第2の層12側に設けられたアルミニウム箔層16と、アルミニウム箔層16の第2の層12と反対側に設けられた印刷層18と、印刷層18のアルミニウム箔層16と反対側に設けられた基材層20と、を備えている。すなわち、包材2においては、第1の層10、第2の層12、アルミニウム箔層16、印刷層18及び基材層20がこの順に積層されている。
【0035】
印刷層18は、特に限定されず、包材において形成される公知の印刷層を採用できる。
基材層20を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド樹脂(ナイロン等)、オレフィン樹脂(ポリプロピレン等)等が挙げられる。
【0036】
包材2の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、積層フィルムにおける第2の層の表面に蒸着等によりアルミニウム箔層を形成したものと、基材層の一方の面に印刷を施すなどして印刷層を形成したものとを、ドライラミネーション法、サンドラミネーション法等により積層する方法等が挙げられる。
【0037】
以上説明した本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備えているため、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、易カット性も優れており、また低コストである。
なお、本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備えるものであれば、前記した包材2には限定されない。例えば、本発明の積層フィルムをそのまま包材として使用してもよい。
【0038】
[袋体]
本発明の袋体は、本発明の包材が袋状にされて形成された袋本体を備えるものである。本発明の袋体は、本発明の包材がこのように袋状にされた袋本体を備える以外は、公知の態様を採用できる。本発明の袋体は、袋本体に形成される開口部の近傍の内面に嵌合具が取り付けられた嵌合具付き袋体であってもよい。
以下、本発明の袋体の一例を示して説明する。
【0039】
本実施形態の袋体3は、
図5及び
図6に示すように、内容物を収容する密封された状態の袋本体30と、袋本体30の上部の内面に、横方向に沿って取り付けられた嵌合具40とを具備している。
【0040】
この例の袋本体30は、第1の層10が向かい合うように2枚の包材2が重ね合わされ、それらの周縁部2aが全てヒートシールされることで形成され、密封された状態になっている。袋本体30における嵌合具40よりも上部側には、横方向に沿って切断補助線32が設けられており、その端部にノッチ34が形成されている。
【0041】
袋本体30の形状は、本実施形態では矩形である。なお、袋本体30の形状は矩形には限定されない。また、袋本体30の大きさも特に限定されず、袋本体30に収容する内容物によって適宜選定すればよい。
【0042】
切断補助線32は、袋本体30を切断して開封するのを補助する線である。切断補助線32としては、特に限定されず、例えば、包材2における切断補助線32の部分をそれ以外の部分に比べて薄肉化した弱化線、ミシン目からなる弱化線、列状に形成された細孔からなる弱化線、印刷等で形成した線等が挙げられる。
ノッチ34の形状は、この例では三角形状であるが、特に限定されず、半円形状、直線状等であってもよい。
【0043】
嵌合具40は、帯状の第1基材44の長手方向に凸条の雄側嵌合部46が設けられた第1嵌合部材42と、帯状の第2基材50の長手方向に雄側嵌合部46と着脱自在に嵌合する雌側嵌合部52が設けられた第2嵌合部材48と、を備えている。
雄側嵌合部46は、第1基材44の対向面から立ち上がる幹部46aと、幹部46aの先端側に設けられ、幹部46aよりも大きい頭部46bとを備えている。雌側嵌合部52は、第2基材50における対向面から断面円弧状に立ち上がる一対の第1アーム部52aと第2アーム部52bとを備え、それら第1アーム部52aと第2アーム部52bによって凹部52cが形成されている。雄側嵌合部46と雌側嵌合部52とは、雄側嵌合部46の頭部46bが雌側嵌合部52の凹部52c内に嵌まり込むことで、着脱自在に嵌合するようになっている。
袋体3では、嵌合具40の第1基材44と第2基材50が、袋本体30において対向する2枚の包材2のそれぞれに溶着されている。
【0044】
嵌合具40を形成する材料は、公知の材料を使用できる。
本発明の袋体が嵌合具を備える場合、嵌合具には環状オレフィン樹脂が含有されていることが好ましい。これにより、内容物の揮発性成分が嵌合具に吸着することも抑制されるため、開封後に内容物を使用する際に、内容物の揮発性成分による効果をより安定して得ることができる。嵌合具に用いる環状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、積層フィルムの説明において挙げたものと同じものが挙げられる。
【0045】
嵌合具40には、環状オレフィン樹脂以外の他の樹脂が含有されていてもよい。
他の樹脂としては、特に限定されず、例えば、ナイロン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
他の樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
袋体3においては、ノッチ34から切断補助線32に沿って袋本体30の上部を切断して除去することで、袋本体30の上部に開口部を形成して開封することができる。袋体3に形成した開口部は、嵌合具40の雄側嵌合部46と雌側嵌合部52を着脱することで繰り返し開閉できる。
【0047】
本発明の袋体に収容する内容物としては、特に限定されず、例えば、医薬品(エタノール含浸綿、消毒液、滅菌パッド等)、医療用品(湿布薬、鎮痛消炎テープ、ハップ剤、熱冷ましシート等)、化粧品(美容パックシート・マスク、詰替え用化粧水・乳液等)、農薬、肥料、食品関連等が挙げられる。本発明は、医薬品や化粧品を収容する際に特に有用である。
【0048】
本発明の袋体は、本発明の積層フィルムを備える包材を用いた袋本体を備えているため、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、易カット性も優れており、また低コストである。
なお、本発明の袋体は、前記した袋体3には限定されない。例えば、本発明の袋体は、嵌合具40以外の公知の態様の嵌合具を備える袋体であってもよく、嵌合具を備えない袋体であってもよい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[耐薬品性(薬品非吸着性)]
各例において得られた多層フィルムの第2の層が最外層となるように、インパルス式ヒートシール機を用いて、容積100mLの袋体を作成した。得られた袋体に、以下の成分を配合した薬剤−1を100mL封入し、40℃で1週間保存した。
保存後、薬剤−1を廃棄し、袋体内表面に残った薬剤を拭きとった袋体を、エタノールに5時間浸漬し、サンプル中に含まれるサリチル酸メチルをエタノールに抽出した。その抽出液をガスクロマトグラフィーによって以下の測定条件で測定し、袋体に吸着したサリチル酸メチルの量を袋体の内表面の単位面積あたりの量として計算した。
(薬剤−1の配合)
サリチル酸メチル :10質量%、
エタノール :90質量%。
(ガスクロマトグラフィーの測定条件)
検出器 :FID検出器。
(評価基準)
○:検出量15μg/cm
2未満。
×:検出量15μg/cm
2以上。
【0050】
[易カット性]
ノッチに沿って手切りを行い、以下の評価基準に従って易カット性を評価した。
(評価基準)
○:抵抗なく直線に切れる。
△:やや抵抗あるが直線に切れる。
×:切口が湾曲する。
【0051】
[接着性]
2枚の積層フィルムにおける内層となる側に、それぞれヒートシーラーを用いてPE製ジッパーテープを150℃で接着し、ジッパーを開閉させた時の状態を観察した。
(評価基準)
○:ジッパーが開閉できる。
×:ジッパーと多層フィルムが界面剥離する。
【0052】
[コスト]
コストの評価は、以下の評価基準に従って行った。
○:同じ厚みの鎖状オレフィンフィルムに対してコストが+20%以下である。
△:同じ厚みの鎖状オレフィンフィルムに対してコストが+20%超+50%以下である。
×:同じ厚みの鎖状オレフィンフィルムに対してコストが+50%超+100%以下である。
【0053】
[原料]
本実施例で使用した原料を以下に示す。
環状オレフィン樹脂(A1):製品名「7010F−600」(ポリプラスチックス社製、ガラス転移温度:110℃)。
LLDPE:製品名「ダウレックス2047G」(直鎖状低密度ポリエチレン、ダウケミカル社製)。
PP:製品名「MA3」(ポリプロピレン、日本ポリプロ社製)。
【0054】
[実施例1]
環状オレフィン樹脂(A1)40質量部と、LLDPE60質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第1の層を形成するための材料−Iを得た。また、第2の層を形成するためのLLDPE100質量部からなる材料−IIを用意した。
キャスト法により、材料−Iで形成された第1の層と、該第1の層の一方の側に材料−IIで形成された第2の層とを備える2層構成の積層フィルムを得た。
【0055】
[実施例2]
環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0056】
[実施例3]
環状オレフィン樹脂(A1)30質量部と、LLDPE70質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0057】
[実施例4]
環状オレフィン樹脂(A1)70質量部と、LLDPE30質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0058】
[実施例5]
環状オレフィン樹脂(A1)70質量部と、LLDPE30質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第1の層を形成するための材料−Iを得た。環状オレフィン樹脂(A1)30質量部と、LLDPE70質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第2の層を形成するための材料−IIを得た。環状オレフィン樹脂(A1)50質量部と、LLDPE50質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第3の層を形成するための材料−IIIを得た。
キャスト法により、材料−Iで形成された第1の層と、材料−IIIで形成された第3の層と、材料−IIで形成された第2の層とを、この順番に備える3層構成の積層フィルムを得た。
【0059】
[実施例6]
環状オレフィン樹脂(A1)70質量部と、LLDPE30質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第1の層を形成するための材料−Iを得た。環状オレフィン樹脂(A1)10質量部と、LLDPE90質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第2の層を形成するための材料−IVを得た。
キャスト法により、材料−Iで形成された第1の層と、該第1の層の両方の側に材料−IVで形成された第2の層を備える3層構成の積層フィルムを得た。
【0060】
[比較例1]
環状オレフィン樹脂(A1)10質量部と、LLDPE90質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0061】
[比較例2]
環状オレフィン樹脂(A1)70質量部と、LLDPE30質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)40質量部と、LLDPE60質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0062】
[比較例3]
LLDPE100質量部を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0063】
[比較例4]
PP100質量部を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0064】
各実施例及び比較例における各層を形成する材料の組成、及び評価結果を表1〜4に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
表1〜4に示すように、第1の層及び第2の層における環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂の割合が本発明に規定する範囲内である実施例1〜6では、耐薬品性、易カット性及び接着性を兼ね備えており、またコスト面でも優れていた。
一方、第1の層における環状オレフィン樹脂の割合が30質量%以下で、鎖状オレフィン樹脂の割合が70質量%以上である比較例1では、耐薬品性が劣っており、薬品の吸着が充分に抑制されなかった。
第2の層における環状オレフィン樹脂の割合が30質量%超で、鎖状オレフィン樹脂の割合が70質量%未満である比較例2では、コストがかかりすぎる。
第1の層にLLDPEのみを使用した比較例3では、易カット性が不充分であった。
第1の層にPPのみを使用した比較例4では、易カット性及び接着性が不充分であった。