特許第6598260号(P6598260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6598260冷却器を有するファンケーシング組立体および作動方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598260
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】冷却器を有するファンケーシング組立体および作動方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/057 20060101AFI20191021BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20191021BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20191021BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20191021BHJP
   F28D 1/04 20060101ALI20191021BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   F02C7/057
   F02C7/18 Z
   H01L23/46 C
   H01L23/36 Z
   F28D1/04 Z
   F28F21/08 D
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-250359(P2017-250359)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-119543(P2018-119543A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2018年4月27日
(31)【優先権主張番号】15/405,937
(32)【優先日】2017年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】309012096
【氏名又は名称】ユニゾン・インダストリーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン・タジリ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・トーマス・ケンワージー
(72)【発明者】
【氏名】デニス・アラン・マックイーン
(72)【発明者】
【氏名】ダッツ・ジー・ブイ・ジョナラガダ
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−090226(JP,A)
【文献】 米国特許第08601792(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0030337(US,A1)
【文献】 米国特許第08434293(US,B2)
【文献】 特表2009−512807(JP,A)
【文献】 特開2011−149420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 3/04− 3/06
F02C 7/14− 7/18
F28D 1/00−13/00
F28F 1/00− 1/44
F28F 21/00−27/02
B64D 29/00−29/08
B64D 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁(43)を有するファンケーシング(38)用のファンケーシング冷却器(50)であって、
前記周壁(43)に向い合う第1の表面(52)、前記第1の表面(52)の反対側の第2の表面(54)、および少なくとも1つの感熱部(76)を有する本体(70)であって、前記本体(70)は前方セクション(92)および後方セクション(94)を含んでおり、前記前方セクション(92)または前記後方セクション(94)の一方は前記周壁(43)に動作可能に連結されている、本体(70)と、
前記第2の表面(54)に近接して流体の流れを流すように構成され、前記ファンケーシング(38)を通って流れる空気(72)に前記流体から熱を伝達するように配置された、前記本体(70)内に設けられた少なくとも1つの導管(74)と、
を備え、
前記少なくとも1つの感熱部分(76)が、前記第1の表面(52)を形成する前記本体(70)の一部分を含み、使用時に、かつ熱条件の変化に反応して、前記ファンケーシング冷却器(50)の少なくとも一部分を、前記ファンケーシング(38)の周壁(43)から受動的に離れて配置するように構成されており、
前記前方セクション(92)は、前記後方セクション(94)から傾斜した角度(899)で配置されている、ファンケーシング冷却器(50)。
【請求項2】
前記本体(70)が、熱条件の変化に反応する一組の金属層(78)を含む、請求項1に記載のファンケーシング冷却器(50)。
【請求項3】
前記本体(70)が、アルミニウム合金の層とアルミニウムケイ素炭化物の層とを含む、請求項2に記載のファンケーシング冷却器(50)。
【請求項4】
前記本体(70)がさらに、前記本体(70)の前記第1の表面(52)の反対側の部分に、セグメント化された連続したフィン(84)または離散したフィン(84)のうちの一方を含む、請求項1に記載のファンケーシング冷却器(50)。
【請求項5】
前記本体(70)がさらに、前記連続したフィンセグメント(84)間に配置された少なくとも1つのヒンジ(90)を含む、請求項4に記載のファンケーシング冷却器(50)。
【請求項6】
前記本体(70)が、前記熱条件の変化に反応して前記セグメント化された連続したフィン(84)または離散したフィン(84)の迎え角(α)の向きを増大させるように構成される、請求項4に記載のファンケーシング冷却器(50)。
【請求項7】
前記前方セクション(92)に動作可能に結合された機械的なアクチュエータ(796)をさらに備える請求項1に記載のファンケーシング冷却器(50)であって、前記感熱部(76)が前記後方セクション(94)に動作可能に結合される、ファンケーシング冷却器(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却器を有するファンケーシング組立体および作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機で使用される現在のエンジンは、何らかの方法でエンジンから放出しなければならないかなりの量の熱を発生する。熱交換器は、そのようなエンジンから熱を放出する方法を提供する。例えば、熱交換器は、エンジンの一部分の周囲にリング状に配置することができる。
【0003】
オイルを使用して、エンジン軸受、発電機などのエンジン構成部品から熱を放散することができる。典型的には、熱は、空冷オイル冷却器、より詳細には、表面空冷オイル冷却器システムによってオイルから空気に伝達されてオイル温度をほぼ100°Fから300°Fの望ましい範囲に保つ。多くの場合、周囲環境は−65°Fと低い場合がある。
【0004】
表面空冷オイル冷却器などの熱交換器は、タービンジェットエンジンファンケース内に配置されて、バイパス空気を使用して潤滑油のエネルギーを強制対流によって取り去ることができる。冷却器は、強制対流にする複数のフィンを含むことができる。空気流速度に対するフィンの幾何形状および高さは、エネルギー伝達にとっては重要なパラメータであり、最大エンジン負荷に対応する寸法となっている。非ピーク要求条件中では、冷却器は熱的に過大寸法であり、空力抵抗を最小限にするようには最適化されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、本開示は、周壁を有する環状ファンケーシングを含むファンケーシング組立体に関する。ファンケーシング組立体は、周壁に向い合う第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、第2の表面に近接して加熱流体の流れを流すように構成された少なくとも1つの導管とを有する本体を有するファンケーシング冷却器を含む。本体は、環状ファンケーシングを通って流れる空気に加熱流体から熱を伝達するように配置される。本体は、熱条件の変化に反応して、ファンケーシング冷却器の少なくとも一部分を、環状ファンケーシングを通って流れる空気内に受動的に配置するように構成された少なくとも1つの感熱部を含む。
【0006】
別の態様では、本開示は、バイパスダクトを有する航空機エンジン用のファンケーシング冷却器に関する。ファンケーシング冷却器は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、第2の表面に近接して加熱流体の流れを流すように構成された少なくとも1つの導管とを含む熱交換器本体を含み、本体は、バイパスダクトを通って流れる空気に加熱流体から熱を伝達するように配置され、また、本体は、熱条件の変化に反応して形状を変えるように構成された少なくとも1つの感熱部を含む。
【0007】
さらに別の態様では、本開示は、航空機エンジンのバイパスダクト内の空冷オイル冷却器の作動方法に関する。本方法は、第1の基準温度に達すると、バイパスファンダクト内に空冷オイル冷却器を配置することを含む。この配置は受動的な配置であり、熱条件の変化に反応して空冷オイル冷却器の感熱部が形状を変えることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】環状ファンケーシングに沿って冷却器を備えたタービンエンジン組立体の概略部分切断図である。
図2】一組の金属層と四組のフィンを有する本体を含む図1の冷却器の断面図である。
図3A】冷却器の後方部に沿って配置された金属層の組を有する図1の冷却器であって、第1の初期位置のある冷却器の斜視図である。
図3B】引込位置に変形した図3Aの冷却器の斜視図である。
図3C】展開位置に変形した図3Aの冷却器の斜視図である。
図4】冷却器の前方部に沿って配置された一組の金属層を有し、フィンの組の間に広いヒンジがある、図1の冷却器の斜視図である。
図5A】三組のフィンを有し、一組の金属層が冷却器全体に沿って延在する、図1の冷却器の斜視図である。
図5B】凸状曲線と凹状曲線とを有する図5Aの冷却器の斜視図である。
図6A】第1の初期位置にある、四組のフィンを有する図1の冷却器の斜視図である。
図6B】凸状曲線と凹状曲線とを有する、第2の位置にある図6Aの冷却器の斜視図である。
図6C】冷却器の長さに沿って凸状曲線を有する、第3の位置にある図6Aの冷却器の斜視図である。
図7】ファンケーシング組立体によって画定され、平坦で、はめ込まれたケーシング冷却器を有する環状通路の斜視図である。
図8A】平坦で、はめ込まれたケーシング冷却器の異なる輪郭形状を示す、図7の冷却器の概略側面図である。
図8B】平坦で、はめ込まれたケーシング冷却器の異なる輪郭形状を示す、図7の冷却器の概略側面図である。
図8C】平坦で、はめ込まれたケーシング冷却器の異なる輪郭形状を示す、図7の冷却器の概略側面図である。
図8D】平坦で、はめ込まれたケーシング冷却器の異なる輪郭形状を示す、図7の冷却器の概略側面図である。
図8E】平坦で、はめ込まれたケーシング冷却器の異なる輪郭形状を示す、図7の冷却器の概略側面図である。
図9A】冷却器の下流部に感熱部を有する冷却器の斜視図である。
図9B】上流部は機械的に作動し、下流部は熱的に作動した状態の図9Aの冷却器の斜視図である。
図10A】傾斜した上流部、および冷却器の下流部に感熱部を有する冷却器の斜視図である。
図10B】下流部が熱的に作動した状態の図10Aの冷却器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で開示する実施形態は、表面空冷オイル冷却器などのファンケーシング冷却器に関し、より詳細には、航空機エンジンなどのエンジン内で受動的に配置可能な表面冷却器に関する。例示的な表面冷却器を使用して効率的に冷却することができる。さらに、本明細書で使用される用語「表面冷却器」は、用語「熱交換器」と交換可能に使用することができる。表面冷却器は、本明細書で使用されるとき、限定するものではないが、ターボジェット、ターボファン、ターボ推進エンジン、航空機エンジン、ガスタービン、蒸気タービン、風力タービン、および水力タービンなどの様々な型の用途に適用できる。
【0010】
現在の表面冷却器は、典型的には、空気流路内に延在して、強制対流によって表面冷却器から熱を移動させる静止構造体である。表面冷却器は、空気流に向い合うように空気流路内に延在する一組のフィンを含むことができる。空気流速度に対するフィンの幾何形状は、エネルギーの伝達を決定し最大化するためには重要である。フィンは、ピーク要求条件中、最大エンジン負荷条件に対する寸法となっている。ピーク要求条件中は、エンジン温度は高く、そのため冷却に対して要求が増大し、冷却を改善するために大きなフィンを必要とする。オフピーク条件中は、表面冷却器およびフィンは過大な大きさとなり、それによって不必要な空力抵抗が生じて、エンジンの燃料消費率を増大させる。したがって、ピーク要求条件中に表面冷却器によって十分なエネルギー移動を維持しながら、燃料消費率を改善するために、冷却性能と抗力とを適応的にバランスさせる必要がある。
【0011】
本開示の態様は、燃料消費率を改善することになる抗力の低減と同時に、エンジン冷却を最適化する改善された設計を有する。表面冷却器が、航空機エンジンのオイル冷却システムに使用するように構成されるときの例示的な環境を図1で簡単に説明する。より詳細には、図1は長手方向軸12を有する例示的なタービンエンジン組立体10を示す。流路14は、長手方向軸12に沿って画定することができる。タービンエンジン16、ファン組立体18、およびナセル20は、タービンエンジン組立体10内に含むことができる。タービンエンジン16は、圧縮機24、燃焼セクション26、タービン28、および排気部30を有するエンジンコア22を含むことができる。内側カウル32は、エンジンコア22を半径方向に取り囲むことができる。
【0012】
ナセル20の部分は、説明を明瞭にするために切り取られている。ナセル20は、内側カウル32を含むタービンエンジン16を取り囲む。このように、ナセル20は、内側カウル32を半径方向に取り囲む外側カウル34を形成する。内側カウル32と外側カウル34との間に環状通路36を形成するように、外側カウル34は、内側カウル32から離間している。環状通路36は、流路14に沿って流れる空気流の一部分がエンジンコア22をバイパスすることができるバイパスダクトとすることができる。環状通路36は、ノズルと、概ね前方から後方へのバイパス空気流通路とを特徴付ける、形成する、または画定する。環状ファンケーシング組立体38は環状の前方ケーシング40および後方ケーシング42を有し、環状ファンケーシングは周壁43を有して、ナセル20によって形成された外側カウル34の一部分を形成するか、またはストラット(図示せず)を介してナセル20の部分から吊り下げることができる。
【0013】
作動中、空気は、流路14に沿ってファン組立体18を通って流れ、空気流の第1の部分44と第2の部分46とに分かれる。空気流の第1の部分44は、圧縮機24を通って流れ、ここで、空気流はさらに圧縮され、燃焼器セクション26に供給される。燃焼セクション26からの高温の燃焼生成物(図示せず)は、タービン28を駆動し、したがってエンジン推力を生じさせるために使用される。環状通路36は、ファン組立体18から吐出された空気流の第2の部分46を、エンジンコア22の周りをバイパスさせるのに利用される。
【0014】
タービンエンジン組立体10は、特有の熱管理問題を有する場合があり、ファンケーシング冷却器50(以降、「冷却器」)または冷却器組立体などの表面空冷オイル冷却器を含む熱交換器システムは、タービンエンジン組立体10に取り付けられて熱の放散を助けることができる。このような例には、1つの非限定的な例として、熱交換器が含まれる。図示の例では、冷却器50は、周壁43に向い合う第1の表面52(図2)と、第1の表面52の反対側で、環状通路36の周壁43に向い合う第2の表面54とを含む。冷却器50は、ファンケーシング流路の空気の第2の部分46内に位置するように、周壁43に取り付けることができる。冷却器50はさらに、第2の端部58から離間した第1の端部56と、両側にある前方縁60および後方縁62とを含む。前方縁60または後方縁62は、環状ファンケーシング38の周壁43に動作可能に結合することができる。あるいは、冷却器50は、第1の表面52(図2)の任意の部分に沿って周壁43に結合することができる。
【0015】
冷却器50は、例示的な空冷オイル冷却器を含む任意の適切な冷却器または熱交換器とすることができる。冷却器50は、後方ケーシング42の近くに描かれているが、冷却器50はファンケーシング38に沿ったいかなる場所にも配置することができることを理解すべきである。さらに、冷却器50は、外側カウル34の内側、または内側カウル32の外側に沿ったいかなる場所にも配置されて、環状通路36を通過する空気流48の第2の部分に向い合うことができることが考えられる。したがって、冷却器50は、カウル32、34によって画定された環状通路36に沿った任意の位置でエンジン組立体10に結合することができる。
【0016】
図2は、例えば、タービンエンジン組立体10で使用することができ、図1の冷却器50とすることができる1つの例示的な冷却器50を示す。冷却器50は本体70を含む。本体70は、第1および第2の表面52、54を含む。第1の表面52は、周壁43に向い合うように示されている。
【0017】
少なくとも1つの導管74が本体70内に形成される。導管74は、例えば、冷却器50の領域にわたる単一の導管とすることができる。別の例では、導管74は、本体70を通って延在する複数の導管とすることができる。さらに別の例では、導管74は、本体70を通る蛇行経路に形成された単一の導管とすることができる。1つまたは複数の導管74の任意の構成が考えられ、また、導管74の数が冷却器50を限定しないことを理解すべきである。導管74は、第2の表面54の近くの加熱流体の流れを流すように構成される。加熱流体の流れは、例えば、冷却するために冷却器50に導かれたオイルまたはバイパス空気の加熱流れとすることができる。
【0018】
感熱部76は本体70に含まれる。感熱部76は、本体70の一部分を形成することができ、また、第1の表面52を形成する、または第1の表面52の近くに配置することができる。感熱部76は、熱条件の変化に反応して、環状ファンケーシング38を通って流れる空気内に冷却器50の少なくとも一部分を受動的に配置するように構成される。本体70または感熱部76は、一組の金属層78を含むことができる。この一組の金属層78は、第1の層80と第2の層82とを含むことができる。第1の層80は、第1の表面52を形成することができ、ファンケーシング組立体38または周壁43の近くに配置することができる。感熱部は、温度の変化などの熱条件の変化に反応して、形状を変えるように構成される。
【0019】
一組の金属層78は全体的に、あるいは第1または第2の層80、82はそれぞれ、熱条件の変化に反応することができる。熱条件は、例えば、温度変化とすることができる。第1および第2の層80、82は、例えば、それぞれ、アルミニウム合金製およびアルミニウムケイ素炭化物(AlSiC)製とすることができる。別の例では、金属層78は、ニッケルチタン(Ni−Ti)形状記憶箔、または他の金属マトリックス複合体(MMC:matal matrix composite)の層を追加して、またはそれらに代替して含むことができる。さらに、本体70は、アルミニウム合金およびアルミニウムケイ素炭化物を含む金属層の組78より作ることができる。
【0020】
金属層の組78は、複数の別々の層を有することができ、組み合わさって、複数の層状の材料を有する複合金属板などの板状の感熱部76を形成する任意の数の層を有する。特製の金属材料のテープもまた使用することができる。層80、82を含む感熱部76は、温度の上昇または下降などの熱条件の変化に基づいて少なくとも部分的に変形することができる。一例では、感熱部76は、バイメタルまたは形状記憶合金の板とすることができる。このような例では、感熱部76の熱作動は、適切な熱膨張係数の材料を選択すること、および直接接合されるアルミニウム合金およびアルミニウム金属マトリックス複合体(MMC)、アルミニウムケイ素炭化物(AlSiC)の板の寸法によって調整することができる。
【0021】
さらなる非限定的な例として、第1の層80は、変形および再形成可能な展伸材を含むことができ、第2の層82は、温度の変化に対して変形する第1の層80の長さに沿って延在する感熱材料を含むことができる。層80、82は、連続または不連続で、本体70に沿って全体的に、または部分的に延在することができる。不連続な層は、感熱部76の形状の幾何学的変化を明確に決定するために、本体70に個別に配置することができる。個別の層によって、冷却器50は、温度の変化に基づいて局所的に形状を変化し、一方、個別の層のない、または温度の変化がない領域では、冷却器50の形状は維持される。
【0022】
非限定的な例として、超音波付加製造(UAM:ultrasonic additive manufacturing)または付加金属堆積、または他の代替の金属接合/堆積プロセスを、異なる材料を積層して、層80、82から形成される単一の積層複合金属板を製作するために使用することができる。第1および第2の層80、82は、限定するものではないが、高強度アルミニウム合金およびAlSiCを含むことができる。任意の適切な材料を使用することができ、このような材料を選択すると、温度に依存した内部の歪差を生じさせる。AlSiC内の炭化ケイ素(SiC)の体積分率を変えて、熱膨張係数(CTE:coefficient of thermal expansion)を調整することができる。SiCの割合に応じて、AlSiCのCTEは7から20ppm/Cまで変えることができ、さらに割合を変えると、5から35ppm/Cまで考えられる。このような設計によって、熱条件の変化、より具体的には、温度の上昇または下降に対して感熱部76を作動、または変形させることができる。さらに、二元および三元Ni−Ti形状記憶箔を、熱作動材料として追加して組み込むことができる、またはMMC箔と共に組む込むことができる。これらの合金は、特定の調整可能な温度で作動して形状を変化するように設計される。このような形状は、例えば、層80、82全体でのSiC、または、他の形状記憶合金材料の局所的な割合を調整することに基づいて詳細に生成することができる。
【0023】
使用される合金およびスマート金属は、UAMプロセスまたは付加電鋳を使用するなど付加製造法で作ることができて、質量を小さくすると共に冷却器50の冷却を最大限にするように最適化することができる。さらに、複雑な3Dプリントの運動学的な特徴を追加して、インサイチュ加工、層状超音波溶接、および二次レーザ溶接を組み合わせて使用することができる。
【0024】
本体70はさらにフィン84を含むことができる。フィン84は、第1の表面52の反対側の第2の表面54上に形成される。フィン84は、連続したフィンセグメントと同様に、細長い連続したフィン、セグメント化されたフィン、または複数の離散したフィンを含むことができる。フィン84は、空気流72の一部分86がフィン84を通過することができるように空気流72内に延在する。フィン84の組は互いに離間して、隣接するフィン84の組の間にチャネル88を画定することができる。冷却器50のチャネル88は部分的なヒンジを形成することができる、または、本体70内にヒンジ90を形成することができる。本体70内に形成されたヒンジ90は、チャネル88に隣接することができる。
【0025】
本体70は、環状ファンケーシング38を通って流れる空気または空気流72に加熱流体から熱を伝えるように配置される。加熱流体が導管74を通過して、フィン84および第2の表面54に熱を伝えることができる。例えば、空気流72は、図1の流路14に沿って流れる空気とすることができる、または環状ファンケーシング38を通過する空気流の第2の部分46とすることができる。フィン84および第2の表面54に沿う空気流72の対流によって、加熱流体から熱が移動して流体を冷却する。
【0026】
冷却器50は、取付台91を用いて周壁43でファンケーシング38に取り付けることができる。取付台91は、冷却器50を空気流72通路内に配置すると共に、周壁43に接触しないで感熱部76を屈曲できるようにする。取付台91は、例えば、ブラケットとすることができる。ブラケットは、感熱部76が変形して動きやすくなるように、好ましい位置で節点または固定点となることができる。さらに、取付台91は、冷却器50がファンケーシング38に対してより大きく、またはより確定的に動くことができるように、回転ヒンジまたは屈曲部を含むことができると考えられる。
【0027】
次に、図3A〜3Cを参照すると、初期位置、展開位置、および引込位置にある例示的な冷却器150の側面図が示されている。図3A〜3Cの冷却器150は、図2の冷却器50と実質的に同様なものとすることができる。したがって、100を加えた同様な符号を使用して同様な要素を同定する。
【0028】
図3Aを参照すると、冷却器150は初期位置にあるように示されており、初期位置では、本体170は、例えば、エンジンの水平軸、または冷却器150に沿って通る空気流172と平行、または実質的に平行となる直線状の配置を有する。冷却器150は、単一のヒンジ190のみを含むように示されている。ヒンジ190は、冷却器150に沿って周方向に延在する「t字形」の溝191を含む。ヒンジ190は、本体170内に組み込まれた屈曲回転ヒンジであり、運動力学的に動くとき、本体170が屈曲するのを助け、部分的に画定する。ヒンジ190は、隣接するフィン184の軸方向の組の間に配置されているように示されている。
【0029】
冷却器150の前方セクション192および後方セクション194は、ヒンジ190、チャネル188、または軸方向に配置されたフィン184の組の両側に画定することができる。あるいは、前方および後方セクション192、194は、冷却器150の軸方向の区画として画定することができる。前方または後方セクション192、194は、感熱部において、または本体170に沿って、環状ファンケーシング38(図1)の周壁43(図1)に結合することができる。感熱部176は、後方セクション194の真下に、および前方セクション192の一部の下に配置される。したがって、感熱部176は後方縁162と位置が合うことができる。
【0030】
取付台193を使用して、冷却器150をファンケーシング組立体38に取り付けることができる。取付台193は、冷却器150をファンケーシング組立体38の上方に配置して、冷却器150の下方に隙間195を画定することができる。冷却器150は、取付台193の周りで作動または曲がることができる。
【0031】
図3Bを参照すると、冷却器150は、温度の下降などの熱条件に反応して、後方セクション194を空気流172から離れるように引込位置に動かし、少なくとも部分的に隙間195に入るように動かす。引込位置では、冷却器150のフィン184または他の部分は、周壁43の表面の下方に延在して、空気流172内にある冷却器150の表面積を最小限にすることができる。したがって、後方セクション194またはフィン184でのいかなる空力抵抗も最小限になる。図示の引込位置では、冷却器150は、冷却器150の底部に沿って移し替えたエンジン水平軸12に対して、またはエンジン10(図1)を通る流線流14に平行な軸に対して、迎え角αを画定するような形状となることができる。引込位置において、迎え角αは、1つの非限定的な例では、−5度から−35度などの負となることができる。迎え角αの負の値は、空気流172から離れる配置を表す。この位置では、空力抵抗は最小限になるが、冷却器150の冷却有効度もまた最小限になる。引込位置は、エンジンの最低運転温度などのオフピーク要求条件での熱条件の結果として生じることができることを理解すべきである。
【0032】
図3Cを参照すると、冷却器150は、温度の上昇などの熱条件に反応する。感熱部176は、作動して、または動いて、後方セクション194を空気流172のより多くの量に向い合う展開位置に変形させる。展開位置において、後方セクション194は、1つの非限定的な例では、5度から35度などの正の迎え角αで配置される。迎え角αの正の値は、空気流172に入る配置を表す。
【0033】
展開位置では、冷却器150は、空気流172に向い合う表面積がより大きくなるような形状で、フィン184での空力抵抗および冷却有効度を増大させる。本体170は、熱条件の変化に反応してフィン184の迎え角αを増大させるように構成することができる。
【0034】
第1の位置(図3A)と引込位置または展開位置(図3B〜3C)との差は、迎え角αによって表すことができる。感熱部176は湾曲して、または曲線形状を形成して、冷却器150の一部分を空気流172に入るように、または空気流172から出るように変形させることができる。このような曲率によって、感熱部176を迎え角αで方向づけることができる。迎え角αは、0度と10度との間とすることができ、典型的な冷却器150に対する1つの非限定的な例では、5度とすることができる。迎え角αがつくと、異なる半径長さで配列されたフィン184が空気流172のより大きな領域およびより多くの量に向い合うように傾斜した向きになることができる。したがって、冷却器150の冷却有効度が増大する。
【0035】
冷却器150が引込位置または展開位置のとき、冷却器150によって生じる空力抵抗は、第1の位置(図3A)の冷却器150によって生じる空力抵抗に比べて増大する、または減少することを認識すべきである。したがって、熱条件を使用して、冷却があまり必要でないときに、燃料効率を最大限にするために、空力抵抗を最小限にしながら冷却器150による冷却に対する必要性のバランスをとることができる。さらに、展開位置は、高い運転温度などのピーク要求条件中の熱条件の結果として生じることができることを認識すべきである。
【0036】
感熱部176は、熱条件に基づいて湾曲するため、冷却の必要性と最小限の空力抵抗とのバランスをとるように、冷却器150を熱条件に基づいて受動的に変形させることができる。例えば、オイル冷却に対して最高要求温度などの華氏200度より高い温度などの特定の温度で冷却器150を変形および回転させる一方、非限定的な例では、華氏190度より低い温度などのより低い要求条件中では初期位置に留めるように、感熱部176を調整することができる。
【0037】
感熱部176または冷却器150の熱条件および変形は、簡単な可変または一様断面の片持板の式、および有限要素解析のシミュレーションを使用して決定することができる。最初にバイメタル板に対する閉形式熱歪解を使用して熱作動たわみを見積った。1つの非限定的な例では、曲率半径は、式(1)などの可変断面の片持梁の式によって表すことができる。
【0038】
【数1】
回転角は式(2)によって表すことができる。
【0039】
【数2】
ここで、ρは曲率半径、tは作動構成部品の全厚さ、mは第2の材料に対する第1の材料の厚さ比、nは2つの材料間の弾性係数の比、αは第2の熱膨張係数、αは第1の熱膨張係数、Tは高温の温度、Tは低温の温度、θは回転角、Lは作動構成部品の長さである。したがって、曲率半径ρおよび回転角θが決まると、感熱部に対する回転角θの決定に基づいて式(2)を用いて迎え角αを決めることができる。さらに、回転角θおよび迎え角αは、AlSiC層内のSiCの量に基づいて調整することができる。
【0040】
したがって、図3A〜3Cの感熱部176によって測定される温度に基づいて、高要求条件中での冷却器150の冷却を最大限にする必要性と低要求条件中での冷却器150の空力抵抗を最小限にすることとの間でバランスをとることができる。このようなバランスは、例えば、感熱部176を構成するAlSiC中のSiCの量によって調整することができる。
【0041】
次に、別の例示的な冷却器250を示す図4を参照すると、感熱部276は前方縁260と位置が合うことができる。図4の要素は、図3A〜3Cの要素と実質的に同様なものとすることができる。したがって、100を加えた同様な符号を使用して同様な要素を同定する。感熱部276は、例えば、後方セクションを空気流272内に変形させるために、後方セクション294近くにより多量のSiCを含むことができ、一方、前方セクション292におけるSiCの量は、前方セクション292が後方セクション294への空気流を妨げないように最小限である。ヒンジ290は、本体270のチャネルとして形成することができ、周方向または接線方向に延在する。このチャネルは、図3A〜3Cの「t字形」のヒンジ190とは異なるようにすることができる。チャネル状のヒンジ290によって、本体270はより大きく曲がることができ、感熱部276による冷却器250の変形をしやすくしている。
【0042】
取付台293は前方縁260に隣接して配置されているが、これを冷却器250の軸方向に沿った任意の場所に配置して、感熱部276の作動に基づいて冷却器250を異なる、または固有の形状にすることができることを認識すべきである。
【0043】
次に、図5A〜5Bを参照すると、別の例示的な冷却器350が示されている。図5A〜5Bは実質的に図4と同様であるので、100を加えた同様な符号を使用して同様な要素を同定する。図5Aでは、フィン384は、軸方向に配列された三組のフィン384に配列することができ、ここでは、複数のフィン384が周方向に延在している。フィン384は互いに離間して、空気流372のいくらかの量がフィン384間を通ることができる。ヒンジ390は隣接するフィン384の組の間に配置されて、感熱部376による冷却器350の変形を容易にすることができる。ヒンジ390は、周方向に延在するチャネルとすることができるが、ヒンジ390に対しては、図3A〜3Cの「t字形」のヒンジなど、任意の形状または向きが考えられる。感熱部376は、前方から後方まで冷却器350全体に沿って延在する。したがって、感熱部376の変形する形状を特別に調整するために、個別のSiCの量を使用することができる。図示のように、冷却器350は、図3Aと同様な初期位置にある。取付台393は、冷却器350の軸方向中央位置に配置されているが、いかなる位置も考えられる。
【0044】
次に、図5Bを参照すると、1つの例として、展開位置に変形した冷却器350が示されており、ここでは、取付台393は冷却器350の軸方向中央に配置されている。感熱部376は個別の材料を含んで、冷却器350に対して形状または輪郭を個別に画定することができる。中央セクション396は、前方セクション392と後方セクション394との間に配置される。中央セクション396は、取付台393で環状ファンケーシング38の周壁43に動作可能に結合することができる。凹状曲線398および凸状曲線400を感熱部376に沿って形成することができ、曲線398と曲線400との間に屈曲点402を有する。前方部または前方セクション392は凹状曲線398を有することができ、一方、後方部または後方セクション394は凸状曲線400を含むことができる。凹状曲線398によって冷却器をさらに空気流372内に配置することができ、中央セクション396のフィン384は前方セクション392のフィン384の半径方向内側に配置される。したがって、中央セクション396のフィン384を、第1のセクション392のフィン384に妨げられることなく、より多くの量の空気流372に向い合う表面積を増大するように向けることができる。さらに、凹状曲線400は、前方セクション392のフィン384を、流入する空気流372の方へわずかに向ける。冷却器350の一部分は周壁43内に配置されるが、フィン384は、より多くの量の空気流372に向い合うような角度が付けられる。冷却器350の一部分は隙間395に配置されているが、取付台393は、展開位置において、冷却器350のいかなる部分も隙間395内に延在せず、また、周壁43の半径方向内側に留まらないような寸法とすることができることを理解すべきである。
【0045】
さらに、凸状曲線400によって後方セクション394のフィン384は中央部396のフィン384の半径方向内側に配置されて、後方部394のフィン384が、前方部392および中央部396によって妨げられることなく空気流372に曝される。展開位置は、高運転温度などのピーク要求条件中の熱条件の結果として生じることができることを認識すべきである。
【0046】
次に、図6A〜6Cを参照すると、四組のフィン484を有する別の例示的な冷却器450が示されている。図6A〜6Cに示した例は、図5A〜5Bに示したものと実質的に同様とすることができる。したがって、100を加えた同様な符号を使用して同様な要素を同定する。特に、図6Aを参照すると、冷却器450は四組のフィン484を含み、各組のフィン484の間に配置されたヒンジ490を有する。冷却器450は、非例示的な例では、エンジン中心線、または空気流472の流路に平行となるなど、感熱部476が直線状の位置にある初期位置で配置されている。取付台493は、冷却器450の軸方向中央に配置されているが、いかなる位置も考えられる。
【0047】
図6Bでは、展開位置の冷却器450が示されており、本体470は、前方縁部510、前方中央部512、後方中央部514、および後方縁部516に分けることができる。凹状曲線498は、前方縁部510と前方中央部512との間を延在することができる。凸状曲線500は、後方中央部514と後方縁部516との間を延在することができる。屈曲点502は、冷却器450の軸方向中央に配置される。屈曲点502は、冷却器450の軸方向中央からずらして、凹状曲線498または凸状曲線500のうちの一方を他方より、空気流472に沿う軸方向に長くすることができることを理解すべきである。そのような形状または輪郭は、例えば、感熱部のAlSiC中にSiCを個別に配置することによって形成することができる。図示のように、図6Bの曲率は、温度の上昇などの熱条件の変化と共に生じる展開位置とすることができる。展開位置では、フィン484は、空気流472のより大きな表面積およびより多い量に向い合い、凹状曲線498は冷却器450の前方部を周壁43および隙間495内に向け、一方、冷却器450の後方部を周壁43から離れるように半径方向内側に延在させて、冷却器450の残りの部分によって妨げられることなくより多くの空気流に向い合うようにする。展開位置は、高運転温度などのピーク要求条件中の熱条件の結果として生じることができることをさらに認識すべきである。
【0048】
次に、図6Bの代替の展開位置を示している図6Cを参照すると、凹状曲線498は冷却器450の全体に延在することができ、その結果、前方中央部512などの部分は空気流472内にさらに延在することができるが、一方、後方部514、516は共に、空気流472または軸方向に対して、前方部510、512の後ろに隠れることがさらに考えられる。したがって、冷却器450は、本体470の形状または輪郭を個別に調整して、冷却効率と空力抵抗とのバランスをとることができることを認識すべきである。冷却器450の前方および後方部は、半径方向外向きにファンケーシング38および周壁43内に延在するように作動する。この代替の展開位置では、前方部510、512は、より多くの量の空気流472に向い合うことができ、一方、後方部514、516は、より少ない量の空気流472に向い合うことができる。したがって、感熱部476は、熱条件またはエンジン10(図1)に対する特定の必要性に対して特別に調整して、冷却器450での冷却を最適化することができることを認識すべきである。冷却効率に対する必要性と空力効率との間のバランスは、受動的に保つことができる。この代替の展開位置は、ピーク要求温度より低い高運転温度などのオフピーク要求条件中の熱条件の結果として生じることができることをさらに認識すべきである。
【0049】
感熱部476が、凹状曲線498全体、凸状曲線500全体、または凹状曲線498と凸状曲線500の一部分のみを形成することができることも認識すべきである。冷却器450はまた、複数の屈曲点を有する複数の曲線498、500を含むことができる。したがって、感熱部476は、任意の形状または輪郭となるように本体470を特別に向けるように調整することができることを認識すべきである。このような形状または輪郭は、様々な運転温度などの個別の熱条件に特に関係することができる。
【0050】
次に、図7を参照すると、本開示の態様による冷却器650はブロック体670を含むことができる。本体670はブロックとして示されているが、任意の形状が考えられる。図7の冷却器は、冷却器を空気流路内に受動的に作動させるための感熱材料に関しては、図2〜6Cの冷却器と実質的に同様であることを認識すべきである。しかしながら、図7の冷却器650はプレート型冷却器であり、一方、前記の図2〜6Cの冷却器は、冷却器での対流熱伝達を改善するためのフィンを含む。フィンは熱伝達を改善することができると同時に、空力抵抗もまた増大させることを理解すべきである。
【0051】
複数の導管620が本体670内に配置されて、オイルなどの流体のある量を、本体670を通して供給することができる。入口導管622および出口導管624は本体670に結合されて、その量の流体が導管624に入る、かつ導管624から出ることができる。冷却器650は、ファンケーシング組立体38(図1)内に配置することができる。冷却器650は、第1の表面626および第2の表面628を含むことができる。例えば、第1の表面626は、図1のファンケーシング組立体38の周壁43と面一とすることができる。
【0052】
冷却器650は、ファンケーシング組立体38内で、2枚のアウトボード案内翼630の間に配置することができる。冷却器650は、図1のファン組立体18のブレードなどの複数のファンブレード632の下流または後方に配置することができる。ファンブレード632は、空気流672を、アウトボード案内翼630を通って冷却器650を超えるように後方に駆動することができ、その結果、空気流672の一部分は冷却器650の第1の表面626に沿って通る。
【0053】
次に、図8A〜8Eを参照すると、冷却器650の側面図が示されており、冷却器650に対して異なる例示的な形状および輪郭が示されている。1つの表面に沿う一組の層を含む冷却器650またはその部分は、一例では、層状のアルミニウム合金、例えばAlSiCのような本明細書で説明した材料などの感熱材料676より作ることができ、その結果、冷却器650の少なくとも一部分を、冷却空気流のより多くの、またはより少ない領域または量と向い合うように配置することができる。したがって、冷却有効度を、空力抵抗を最小限にすることとバランスさせることができる。
【0054】
図8Aを参照すると、冷却器650は初期位置にあり、第1の表面626が空気流672内に配置されるように直線状の配置とすることができる。取付台634は、冷却器650の軸方向中央で冷却器650に含まれて、冷却器650をファンケーシング38の周壁43に取り付けることができる。取付台634が、冷却器650の中央に配置されているように示されているが、取付台634は、冷却器650に沿ういかなる場所にも配置することができることを理解すべきである。空気流672の一部分636は、空気流672に面する冷却器650の第1の表面626に沿って通ることができる。この部分636は、一例では、冷却器650を通過するオイルの流れを対流冷却するためなど、対流を用いて冷却器650を冷却することができる。
【0055】
次に、図8Bを参照すると、前方セクション638および後方セクション640をそれぞれ、取付台634の前方および後方に形成することができる。後方セクション640は、温度の下降などの温度条件中、空気流672から離れるように変形することができ、その結果、図8Aと比べて空気流672のより少ない部分636が第1の表面626に沿って通る。変形位置では、後方部は、空気流672から離れるような迎え角αを画定することができる。一例では、冷却器650は、ファンケーシングバイパス空気流から半径方向外向きに、周壁43の隙間695内に変形する後方部640を有する、タービンエンジン用の空冷オイル冷却器とすることができる。図8Bに示した位置は、オフピークの冷却が必要なとき、またはオフピークの熱条件のときに使うことができ、これは、冷却器650の冷却必要性が最小限のときに空力抵抗を最小限にするために、冷却器650と接触する空気流672の量または領域を最小限にする。
【0056】
次に、図8Cを参照すると、後方セクション640は空気流672内に変形して、その結果、空気流672の部分636のより多くの量が第1の表面626と接触する。このときは、後方部640の迎え角αは空気流672に入るような角度である。一例では、冷却器650は、バイパス空気流がファンケーシングを通過するとき、空気流672内に半径方向内向きに変形する後方部640を有する、タービンエンジン10(図1)用の空冷オイル冷却器である。ピーク要求条件など、冷却器650でより多くの冷却量を必要とする熱条件の間、後方部640は、空気流672内に変形して、冷却器650での対流を強化して熱伝達および冷却有効度を増大させることができる。この変形位置では、冷却器650によって生じる空力抵抗は増大する。
【0057】
次に、図8Dを参照すると、前方部638が、空気流672に対して凸状に変形されている。第1の例では、前方部638は、周壁43の隙間695内に変形することができる。空気流672の部分636は、陥没部642に入って前方部638での冷却を強化することができる。このような位置では、陥没部642に入る空気流は渦流れを発生させる場合があり、それは、前方部638における冷却有効度を増大させる。さらに、前方セクション638において空力抵抗が増大する。
【0058】
これに代えて、破線で示す取付台634aを冷却器650の前方端644に配置することができる。この例では、後方部640を空気流672内に配置しながら、前方セクション638は、空気流672のより多くの量に向い合うような凸形に変形される。例えば、第1のセクション638の凸状の曲率によって、後方部640を、空気流672の流路内に半径方向外向きに変形させることができる。したがって、空気流672のより多くの量が前方セクション638と接触し、前方セクション638から後方部640に沿って流れて冷却器650のより大きな表面積と接触する。この位置では、空力抵抗は増大するが、冷却有効度が増大することを認識すべきである。
【0059】
次に、図8Eを参照すると、前方セクション638は、空気流672に対して凸状の形状または輪郭であり、一方、後方部640は凹状の形状または輪郭である。したがって、冷却器650に対して蛇行形状が屈曲点602を有して形成される。この位置では、冷却器650は空気流672の最大限の量に向い合うと同時に、最大限の量の空力抵抗を発生する。したがって、ピーク冷却要求を必要とする熱条件中、冷却器650による最大限の冷却を達成することができる。
【0060】
図8A〜8Eに示した形状および輪郭は例示的なものであり、形状および輪郭の任意の組合せが考えられることを認識すべきである。さらに、冷却器650は、熱条件に基づいて空気流672に向い合う冷却器650の面積を増減するように任意のこのような形状に変形されて、要求条件中の冷却の必要性のバランスをとりながら、空力抵抗を最小限にすることができる。
【0061】
図8B〜8Eで形成したような前方部638および後方部640は、取付台634に基づいて限定されるものではなく、冷却器650に沿ういかなる場所にも配置することができることを認識すべきである。エンジンの特定の冷却に基づいて空気流内に変形させる冷却器650を適切に配置するために、取付台634の位置を、冷却器650の特定の形状と結び付けることができる。
【0062】
次に、図9A〜9Bを参照すると、図9Aでは初期位置にあり、図9Bでは展開位置にある例示的な冷却器750の側面斜視図が示されている。図9A〜9Bの冷却器750は、図2の冷却器50と実質的に同様なものとすることができる。したがって、700を加えた同様な符号を使用して同様な要素を同定する。
【0063】
図9Aを参照すると、冷却器750は、本体770が、例えば、エンジンの水平軸、または冷却器750に沿って通る空気流772と平行、または実質的に平行となる直線状の配置を有する、初期位置で示されている。ヒンジ790は、隣接するフィン784の軸方向の組の間に配置されているように示されている。2組のフィン784だけを示しているが、いかなる数の組のフィン784も考えられる。
【0064】
冷却器750の前方セクション792および後方セクション794は、ヒンジ790の両側に、または、軸方向に配置されたフィン784の組によって画定することができる。あるいは、前方および後方セクション792、794は、冷却器750の軸方向の区画として画定することができる。前方または後方セクション792、794は、感熱部776において、環状ファンケーシング738の周壁743に結合することができる。感熱部776は、後方セクション794の真下にだけ配置される。したがって、感熱部776は後方縁762と位置が合うことができる。取付台793は、冷却器750をファンケーシング組立体738に結合することができる。
【0065】
図9Bを参照すると、冷却器750は、熱条件などの条件に反応することができ、非限定的な例では、その条件は温度の上昇とすることができる。感熱部776は、作動して、または動いて、後方セクション794を空気流772のより多くの量に向い合う図示の展開位置に変形させることができる。感熱部776は、冷却器750の本体を通過する流体の温度に基づいて作動することができる。したがって、感熱部776の作動は、冷却器750の受動的な変形とすることができる。ここで、受動的な変形とは、二次的な介在なしに、感熱部776において冷却器750自体によって条件に反応して、冷却器750が起こす変形である。展開位置では、後方セクション794は、1つの非限定的な例では、1度から25度の間などの第1の迎え角αで配置される。迎え角αの正の値は、空気流772に入る配置を表している。
【0066】
さらに、前方セクション792は、1つまたは複数の機械的なアクチュエータ796に乗っかっている。機械的なアクチュエータ796は、前方セクション792を傾斜した配置に持ち上げるように作動して、空気流772のより多くの量に向い合うことができる。1つの非限定的な例では、機械的なアクチュエータ796はピストンとすることができる。前方セクション792の傾斜した配置は、第2の迎え角βを画定することができる。第2の迎え角βは、例えば、1から25度の間とすることができる。したがって、機械的なアクチュエータ796は、空気流772のより多くの量に向い合うように冷却器750を配置するための能動的な冷却器750の変形とすることができる。能動的な変形とは、機械的なアクチュエータ796によるなど、二次的な介在を通して起こる変形である。このような能動的な変形は、システム、使用者からの指示によって行うことができ、典型的には、組立体には追加の部品が必要となる。
【0067】
機械的なアクチュエータ796が前方セクション792を空気流772内に動かすと、付属した後方セクション794もまた空気流772のより多くの量に向い合う。前方および後方セクション792、794の両方が変形すると、冷却器750は、セクション792、794の一方のだけの変形よりも多くの量の空気流772に向い合う。このような変形は第3の迎え角Δによって表すことができ、第3の迎え角Δは、第1および第2の迎え角α、βを合わせたものとすることができ、例えば、5度から35度の間とすることができる。
【0068】
したがって、理解すべきことは、冷却器750は、空気流772内に冷却器750を変形させる能動的および受動的な方法の両方を組み合わせたものを含むことができ、それぞれ、機械的なアクチュエータ796または感熱部776を作動させる。したがって、冷却器750は、システム内の温度変化を個別に動作可能に制御し、かつ調整することができる。例えば、機械的なアクチュエータが、前方セクション792を空気流772内に能動的に変形させる場合で、追加の冷却が必要でない場合、温度は感熱部776を作動させる必要のないほど十分低いままである。したがって、機械的なアクチュエータ796で能動的に変形させることは、必要に応じた冷却のために用いることができ、一方、感熱部776は、冷却有効度とエンジン効率との望ましいバランスをとるように冷却を強化または調節するために用いることができる。
【0069】
次に、図10A〜10Bを参照すると、図10Aでは初期位置にあり、図10Bでは展開位置にある例示的な冷却器850の側面斜視図が示されている。図10A〜10Bの冷却器850は、図9A〜9Bの冷却器750と実質的に同様なものとすることができる。したがって、100を加えた同様な符号を使用して同様な要素を同定する。
【0070】
図10Aを参照すると、冷却器850は初期位置で示されており、本体870は、前方セクション892および後方セクション894を有している。前方セクション892は、後方セクション894の直線状の配置から角度を付けられ、後方セクション894は、エンジンの水平軸、または冷却器850に沿って通る空気流872に平行、または実質的に平行である。水平軸897は、空気流872に、または、その代わりに、エンジン中心線12(図1)に平行に画定することができ、後方セクション894から延在している。傾斜した軸898は、前方セクション892の長手方向長さに沿って画定することができ、水平軸897から傾斜した角度899を画定することができる。傾斜した角度899は、例えば、1〜25度の間とすることができるが、それより大きな角度も可能である。
【0071】
ヒンジ890は、隣接するフィン884の軸方向の組の間に配置されるように示されている。2組のフィン884だけを示しているが、いかなる数の組のフィンも考えられる。冷却器850の前方セクション892および後方セクション894は、ヒンジ890の両側に、または、軸方向に配置されたフィン884の組によって画定することができる。あるいは、前方および後方セクション892、894は、冷却器850の軸方向の区画として画定することができる。前方または後方セクション892、894は、感熱部876において、環状ファンケーシング838の周壁843に結合することができる。感熱部876は、後方セクション894の真下にだけ配置される。したがって、感熱部876は冷却器850の後方縁862と位置が合うことができる。取付台893を使用して、冷却器850をファンケーシング組立体838に取り付けることができる。
【0072】
図10Bを参照すると、感熱部876は、熱条件などの条件に反応して、作動して、または動いて、後方セクション894を空気流872のより多くの量に向い合う展開位置に変形させることができる。感熱部876は、例えば、冷却器850の温度に基づいて作動することができる。したがって、感熱部876の作動は、冷却器850の受動的な変形とすることができる。展開位置では、後方セクション894は、1つの非限定的な例では、1度から35度などの正の迎え角αで配置される。
【0073】
前方セクション892は、空気流872のより多い領域に向い合うように傾斜した角度899で配置される。後方セクション894が前方セクション892の後ろに配置された状態では、空気流872を後方セクション894を越えるようにそらすことができ、後方セクション894の有効度は最小になる。したがって、感熱部876は、後方セクション876を前方セクション892の上方の空気流872内に変形させるように作動して、冷却器850の冷却有効度をさらに改善することができる。
【0074】
したがって、感熱部876は、後方セクション894を空気流872に入れる、またはそれから出すように受動的に作動して、フィン874に向い合う空気流872の量を増減することができることを認識すべきである。したがって、冷却器850は、冷却有効度とエンジン効率とのバランスをとるように調節することができる。
【0075】
航空機エンジンのバイパスファンダクト内で空冷オイル冷却器を動かす方法は、第1の基準温度に達したときに空冷オイル冷却器をバイパスファンダクト内に配置することを含むことができる。この配置は、受動的な配置とすることができ、熱条件の変化に反応して形状を変化させる空冷オイル冷却器の感熱部を含むことができる。
【0076】
空冷オイル冷却器は、本明細書で説明したような任意の冷却器とすることができる。バイパスファンダクトは、図1の環状通路36、あるいは他の任意の環状空気または流体通路、あるいはエンジンのバイパス通路とすることができる。この配置は受動的な配置であり、機械的な作動によるなど、構成部品を能動的に駆動する必要がない。感熱部は、例えば、温度の変化などの熱条件の変化に反応して形状を変化することができる、本明細書で説明したような任意の感熱部とすることができる。
【0077】
第1の基準温度は、冷却器をバイパスダクト内に配置する、または変形させる閾温度とすることができる。このような閾温度は、加速または最大スラスト中などの最大エンジン運転中に達する温度などの最高要求温度とすることができる。したがって、冷却器をバイパスダクト内に配置すると、冷却器の冷却有効度は増大するが、空力抵抗が増大してエンジン効率に悪い影響を与える場合がある。
【0078】
さらに、本方法は、第2の基準温度に達すると、空冷オイル冷却器をバイパスファンダクトから受動的に引っ込めることを含むことができる。第2の基準温度は第1の基準温度より低い温度とすることができる。第1の基準温度で冷却器をバイパスファンダクト内に配置後、第2の基準温度に達すると、冷却器は、第2の基準温度で感熱部が作動することによって引っ込むことができる。冷却器を引っ込めると冷却効率が下がるが、これは、アイドルまたは巡航などの低エンジン要求中に行うことができる。冷却器を引っ込めると空力抵抗が減少するが、冷却有効度は最小限となる。したがって、第1および第2の基準温度を使用することによって、冷却器は、低要求熱条件中の抗力を最小限にすることによってエンジン効率と冷却に対する必要性とのバランスをとることができることを認識すべきである。
【0079】
さらに、空冷オイル冷却器をバイパスファンダクト内に配置することは、空冷オイル冷却器の迎え角の向きを増大することを含むことができる。例えば、迎え角の向きを増大することは、本明細書で説明したように迎え角αの角度を増大することを含むことができる。迎え角は、例えば、感熱材料のAlSiC層中のSiCの割合に基づいて特別に決定することができる。例えば、SiCの量が多ければ多いほど、または局所的な割合が多ければ多いほど、感熱材料に現れる曲率は大きくなる。
【0080】
上記の開示は、エンジンから来るある量の流体を対流冷却する表面冷却器または熱交換器に対する改善された設計を提供する。冷却器は、冷却器を受動的に配置して、変形させて、または作動させて、冷却器における対流を改善するための感熱材料を含む。冷却器は、ピークエンジン条件中に、強制空冷熱交換器をエンジンの空気流路内に展開および最適に配置するように受動的に作動される。さらに、このような展開、受動的な配置、変形、または作動は、空力抵抗を最小限にしてエンジン効率を改善するために、冷却器を低要求必要度に基づいて空気流路の外に動かすことによって対流冷却を減少させることができる。したがって、冷却器は、要求に基づいて、冷却を増大する、または抗力を最小限にするように冷却器を選択的に配置する要求ベースの受動的システムであることを認識すべきである。したがって、冷却器は、冷却に対する必要性とエンジン効率とのバランスを受動的にとる。
【0081】
本発明は、独特なやり方で、連続したコンフォーマルな形状変化および作動を、熱交換器または冷却器本体の積層複合金属構造体に直接組み入れる。超音波接合中の温度などの安定した基準温度からの、冷却器の正または負の差温を使用して、冷却器本体の形状を連続的に変化させることができる。安定した基準温度より上の温度、または下の温度になると、冷却器の曲率は正方向または負方向に変化することができる。温度依存の形状変化は、アルミニウム合金とアルミニウムMMC、AlSiCとの積層形状および接合によって制御および調整される。アルミニウムおよびAlSiCは、それらの比重に対して高強度であり、高熱伝導率であるために選ばれる。超音波付加製造は、異なる材料を積層して、高強度アルミニウム合金板とMMC AlSiCとの間でバイメタル効果を生じさせるために使用される。AlSiCのSiCの体積分率の構成によって、感熱材料の熱膨張係数を調整することができる。一例では、SiCの割合に応じて、熱膨張係数は20から7ppm/Cまで変わることができる。この作動設計を冷却器または感熱材料に入れると、ほとんどのバイパス空気熱交換器で使用することができる。
【0082】
以上、冷却器を冷却空気流内に、またはその外に受動的に配置する空冷オイル冷却器を含む熱交換器装置について説明した。本開示は、限られた数の実施形態に関して説明したが、本開示から恩恵を受ける当業者は、他の実施形態を、本明細書で説明した本開示の範囲から逸脱することなく考案することができることを認識するであろう。本開示は、例示的な実施形態を参照して説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、等価物をそれらの要素の代わりに用いることができることは当業者には理解されよう。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく本開示の教示に対して特定の状況または材料を適応させるように、多くの修正を行うことができる。例えば、本明細書で説明した冷却器は、本明細書で説明した例示的なエンジンに加えて、限定するものではないが、多軸設計(追加の圧縮機およびタービンセクション)、ギヤードターボファン型構造、アンダクテッドファンを含むエンジン、一軸エンジン設計(単一の圧縮機およびタービンセクション)などの多くの異なる型の航空機エンジン構造に使用するように構成することができる。さらに、本明細書で開示したバイパス弁は、他の型の空冷オイル冷却器と同様にうまく働き、したがって、表面冷却器に限定するようには意図されず、プレートフィン型、チューブフィン型などの他の冷却器型に使用するように構成して、同様な恩恵を受けることができる。さらに、弁の内部通路形状、ならびに入口ポートおよび出口ポートの向きに応じて、弁を通る流れは、面内(すなわち、横方向)または面外(すなわち、軸方向)とすることができることを理解されよう。したがって、本開示は、本開示を実行するために考えられる最良の態様として開示した特定の実施形態に限定されるものではないことを意図する。したがって、添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような修正および変更が本開示の真の精神の範囲内にあるものと意図することを理解されたい。
【0083】
まだ説明していない範囲で、様々な実施形態の異なる特徴および構造を、望むように互いを組み合わせて使用することができる。1つの特徴が実施形態のすべてには示されていないが、その特徴がないと解釈されることを意味しているのではなく、説明を簡潔にするためになされたことである。したがって、新たな実施形態を形成するために、これらの新たな実施形態が明記されていようと、されてなかろうと、異なる実施形態の様々な特徴を望むように組合せ適合させることができる。本明細書で説明した特徴のすべての組合せ、または並び替えは、本開示に包含される。
【0084】
本明細書では、最良の態様を含む例を用いて本発明を開示し、また、任意の装置またはシステムの作製および使用、ならびに任意の組み入れられた方法の実施を含め、当業者が本発明を実施できるようにしている。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と相違ない構成要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に相違ない等価の構成要素を含む場合、特許請求の範囲内であることを意図されている。
【0085】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
周壁(43)を有するファンケーシング(38)用のファンケーシング冷却器(50)であって、
前記周壁(43)に向い合う第1の表面(52)、前記第1の表面(52)の反対側の第2の表面(54)、および少なくとも1つの感熱部(76)を有する本体(70)と、
前記第2の表面(54)に近接して流体の流れを流すように構成され、前記ファンケーシング(38)を通って流れる空気(72)に前記流体から熱を伝達するように配置された、前記本体(70)内に設けられた少なくとも1つの導管(74)とを備え、
前記少なくとも1つの感熱部(76)が、熱条件の変化に反応して、前記ファンケーシング冷却器(50)の少なくとも一部分を、前記ファンケーシング(38)を通る空気流(72)内に受動的に配置するように構成される、ファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様2]
前記感熱部(76)が、前記第1の表面(52)を形成する前記本体(70)の一部分を含む、実施態様1に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様3]
前記本体(70)が、熱条件の変化に反応する一組の金属層(78)を含む、実施態様2に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様4]
前記本体(70)が、アルミニウム合金の層とアルミニウムケイ素炭化物の層とを含む、実施態様3に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様5]
前記本体(70)がさらに、前記本体(70)の前記第1の表面(52)の反対側の部分に、セグメント化された連続したフィン(84)または離散したフィン(84)のうちの一方を含む、実施態様2に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様6]
前記本体(70)がさらに、前記連続したフィンセグメント(84)間に配置された少なくとも1つのヒンジ(90)を含む、実施態様5に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様7]
前記本体(70)が、前記熱条件の変化に反応して前記セグメント化された連続したフィン(84)または離散したフィン(84)の迎え角(α)の向きを増大させるように構成される、実施態様5に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様8]
前記ファンケーシング冷却器(50)の前方セクション(92)または後方セクション(94)が、前記ファンケーシング(38)の前記周壁(43)に動作可能に結合される、実施態様1に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様9]
前記前方セクション(92)が、前記後方セクション(94)から傾斜した角度(899)で配置される、実施態様8に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様10]
前記前方セクション(92)に動作可能に結合された機械的なアクチュエータ(796)をさらに備える実施態様8に記載のファンケーシング冷却器(50)であって、前記感熱部(76)が前記後方セクション(94)に動作可能に結合される、ファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様11]
前記ファンケーシング冷却器(50)の中央セクション(96)が、前記ファンケーシング(38)の前記周壁(43)に動作可能に結合され、前記熱条件の変化に反応して、前記ファンケーシング冷却器(50)の前方部(110)が凹状(98)に曲がり、前記ファンケーシング冷却器(50)の後方部(116)が凸状(100)に曲がる、実施態様1に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様12]
前記ファンケーシング(38)がそれに取り付けられたアウトボード案内翼(630)を有し、前記ファンケーシング冷却器(50)が隣接するアウトボード案内翼(630)間に配置される、実施態様1に記載のファンケーシング冷却器(50)。
[実施態様13]
第1の表面(52)と、
前記第1の表面(52)の反対側の第2の表面(54)と、
熱条件の変化に反応して形状を変えるように構成された少なくとも1つの感熱部(76)と
を含む熱交換器本体であって、
少なくとも1つの導管(74)が、前記第2の表面(54)に近接して流体の流れを流して、前記第2の表面(54)に沿って通る空気流(72)に前記流体から熱を伝達するように構成され、前記感熱部(76)が、前記熱交換器本体の少なくとも一部分を前記空気流(72)内に受動的に配置するように構成される、熱交換器本体。
[実施態様14]
前記感熱部(76)が、前記第1の表面(52)に近接した前記熱交換器本体の一部分を含む、実施態様13に記載の熱交換器本体。
[実施態様15]
前記第1の表面(52)に近接した前記熱交換器本体の前記部分が、熱条件の変化に反応する一組の金属層(78)を含む、実施態様14に記載の熱交換器本体。
[実施態様16]
前記第1の表面(52)に近接した前記熱交換器本体の前記部分が、アルミニウム合金の層とアルミニウムケイ素炭化物の層とを含む、実施態様15に記載の熱交換器本体。
[実施態様17]
前記熱交換器本体がさらに、前記第1の表面(52)の反対側の前記熱交換器本体の一部分に、セグメント化された連続したフィン(84)または離散したフィン(84)のうちの一方を含む、実施態様15に記載の熱交換器本体。
[実施態様18]
前記熱交換器本体がさらに、それに形成された少なくとも1つのヒンジ(90)を含む、実施態様13に記載の熱交換器本体。
[実施態様19]
前記ヒンジ(90)が、前記熱交換器本体内に形成されたチャネル(88)を含む、実施態様18に記載の熱交換器本体。
[実施態様20]
第1の表面(52)、および前記第1の表面(52)の反対側の第2の表面(54)を含む本体(70)と、
前記第2の表面(54)に近接して流体の流れを流すように構成された少なくとも1つの導管(74)とを
含む冷却器組立体であって、
前記本体(70)が、熱条件に反応して、前記冷却器組立体の少なくとも一部分を前記第2の表面(54)に沿って流れる空気流内に受動的に配置するように構成された少なくとも1つの感熱部(76)を含む、冷却器組立体。
[実施態様21]
前記感熱部(76)が、前記第1の表面(52)に近接した前記本体(70)の一部分を含む、実施態様20に記載の冷却器組立体。
[実施態様22]
前記第1の表面(52)に近接した前記本体(70)の前記部分が、熱条件の変化に反応する一組の金属層(78)を含む、実施態様21に記載の冷却器組立体。
【符号の説明】
【0086】
10 タービンエンジン組立体
12 長手方向軸
14 流路
16 タービンエンジン
18 ファン組立体
20 ナセル
22 エンジンコア
24 圧縮機
26 燃焼セクション
28 タービン
30 排気部
32 内側カウル
34 外側カウル
36 環状通路
38 ファンケーシング組立体
40 前方ケーシング
42 後方ケーシング
43 周壁
44 第1の部分
46 第2の部分
48 空気流
50 冷却器
52 第1の表面
54 第2の表面
56 第1の端部
58 第2の端部
60 前方縁
62 後方縁
70 本体
72 空気流
74 導管
76 感熱部
78 金属層の組
80 第1の層
82 第2の層
84 フィン
86 部分
88 チャネル
90 ヒンジ
91 取付台
92 前方セクション
94 後方セクション
96 中央セクション
98 凹状曲線
100 凸状曲線
110 前方縁部
116 後方縁部
150 冷却器
162 後方縁
170 本体
172 空気流
176 感熱部
184 フィン
188 チャネル
190 ヒンジ
191 溝
192 前方セクション
193 取付台
194 後方セクション
195 隙間
250 冷却器
260 前方縁
270 本体
272 空気流
276 感熱部
290 ヒンジ
292 前方セクション
293 取付台
294 後方セクション
350 冷却器
372 空気流
376 感熱部
384 フィン
390 ヒンジ
392 前方セクション
393 取付台
394 後方セクション
395 隙間
396 中央セクション
398 凹状曲線
400 凸状曲線
402 屈曲点
450 冷却器
470 本体
472 空気流
476 感熱部
484 フィン
490 ヒンジ
493 取付台
495 隙間
498 凹状曲線
500 凸状曲線
502 屈曲点
510 前方縁部
512 前方中央部
514 後方中央部
516 後方縁部
α 迎え角
β 第2の迎え角
Δ 第3の迎え角
602 屈曲点
620 導管
622 入口導管
624 出口導管
626 第1の表面
628 第2の表面
630 アウトボード案内翼
632 ブレード
634 取付台
636 部分
638 前方部
640 後方部
642 陥没部
644 前方端
650 冷却器
670 本体
672 空気流
676 感熱材料
695 隙間
738 ファンケーシング
743 周壁
750 冷却器
762 後方縁
770 本体
772 空気流
776 感熱部
784 フィン
790 ヒンジ
792 前方セクション
793 取付台
794 後方セクション
795 隙間
796 機械的なアクチュエータ
838 ファンケーシング
843 周壁
850 冷却器
862 後方縁
870 本体
872 空気流
876 感熱部
884 フィン
890 ヒンジ
892 前方セクション
893 取付台
894 後方セクション
897 水平軸
898 傾斜した軸
899 傾斜した角度
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図10A
図10B