特許第6598265号(P6598265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6598265レーザー式無人搬送車用棚及びそれを用いた無人搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6598265
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】レーザー式無人搬送車用棚及びそれを用いた無人搬送システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20191021BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20191021BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G05D1/02 E
   B65G1/00 501C
   B65G1/10 F
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-136359(P2018-136359)
(22)【出願日】2018年7月20日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】 大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−232078(JP,A)
【文献】 特開2000−56828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー式無人搬送車に対して使用されるレーザー式無人搬送車用棚であって、
前記レーザー式無人搬送車は、倉庫内に設置された反射板を認識するレーザースキャナを備え、
前記レーザースキャナは、レーザーを水平に360度回転しながら前記反射板に送受信し、
前記反射板及び前記レーザースキャナは、所定の設定高さに設置され、
前記レーザー式無人搬送車用棚は、
左右方向及び上下方向に設けられ、荷物を保管する複数の荷物用空間と、
前記左右方向に設けられ、前記荷物を保管せず前記レーザーを遮らない複数のレーザー用空間と、
前記荷物用空間及び前記レーザー用空間を規定するフレームと、を備え、
前記荷物用空間は、所定の第1空間高さを有し、
前記レーザー用空間は、前記設定高さに配置されると共に、前記第1空間高さより小さい第2空間高さを有し、
前記レーザー用空間は、上下方向に前記荷物用空間の間に配置されている
ことを特徴とするレーザー式無人搬送車用棚。
【請求項2】
前記第2空間高さは、前記第1空間高さの2分の1以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー式無人搬送車用棚。
【請求項3】
前記レーザー式無人搬送車用棚は、移動可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザー式無人搬送車用棚。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載のレーザー式無人搬送車用棚と、レーザー式無人搬送車と、を備える
ことを特徴とする無人搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射板をレーザースキャナで認識して走行するレーザー式無人搬送車に対して使用される棚及びそれを用いた無人搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に開示されているように、荷物を搬送するレーザー式無人搬送車がある。レーザー式無人搬送車は、レーザースキャナを備える。レーザースキャナは、レーザーを水平に360度回転しながら反射板に送受信する。レーザー式無人搬送車は、倉庫内の走行経路に沿って配置された複数の反射板をレーザースキャナで認識する。
【0003】
反射板は、倉庫内に固定されており、その位置がマップ上に記憶されている。レーザー式無人搬送車は、少なくとも3つの反射板をレーザースキャナで認識し、三角測量の原理に基づいて、現在位置を算出する。レーザー式無人搬送車は、算出された現在位置に基づいて、予め設定された経路を走行する。
【0004】
また、特許文献3に開示されているように、荷物を保管する棚がある。複数の棚が、倉庫内に設置されており、複数の荷物を保管する。倉庫内に、レーザー式無人搬送車及び複数の棚が設置されて、レーザー式無人搬送車が、棚から荷物を出し入れする。
【0005】
ところで、棚に荷物が保管されると、レーザー式無人搬送車から送受信されるレーザーは、荷物で遮られる。そのため、レーザーが荷物で遮られる場合を補完するために、多数の反射板を倉庫内に設置して、レーザー式無人搬送車から送受信されるレーザーを反射板に到達させる必要がある。特に、棚が移動可能な移動棚の場合、移動棚は様々な位置に配置されるので、移動棚の位置を考慮して、多数の反射板を設置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−56828号公報
【特許文献2】特開2000−65571号公報
【特許文献3】特開2003−20102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、レーザー式無人搬送車から送受信されるレーザーを遮らないように構成されたレーザー式無人搬送車用棚及びそれを用いた無人搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るレーザー式無人搬送車用棚は、
レーザー式無人搬送車に対して使用されるレーザー式無人搬送車用棚であって、
レーザー式無人搬送車は、倉庫内に設置された反射板を認識するレーザースキャナを備え、
レーザースキャナは、レーザーを水平に360度回転しながら反射板に送受信し、
反射板及びレーザースキャナは、所定の設定高さに設置され、
レーザー式無人搬送車用棚は、
左右方向及び上下方向に設けられ、荷物を保管する複数の荷物用空間と、
左右方向に設けられ、荷物を保管せずレーザーを遮らない複数のレーザー用空間と、
荷物用空間及びレーザー用空間を規定するフレームと、を備え、
荷物用空間は、所定の第1空間高さを有し、
レーザー用空間は、設定高さに配置されると共に、第1空間高さより小さい第2空間高さを有し、
レーザー用空間は、上下方向に荷物用空間の間に配置されている。
【0009】
好ましくは、
第2空間高さは、第1空間高さの2分の1以下である。
【0011】
好ましくは、
レーザー式無人搬送車用棚は、移動可能である。
【0012】
また、本発明に係る無人搬送システムは、
上記のレーザー式無人搬送車用棚と、レーザー式無人搬送車と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るレーザー式無人搬送車用棚及びそれを用いた無人搬送システムは、レーザー式無人搬送車から送受信されるレーザーを遮らないように構成されているので、多数の反射板を設置する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】無人搬送システムを説明するための側面図。
図2】無人搬送システムを説明するための平面図。
図3】レーザー式無人搬送車用棚を用いた無人搬送システムを説明するための図であって、(A)は正面図、(B)は側面図。
図4】移動可能であるレーザー式無人搬送車用棚を用いた無人搬送システムを説明するための平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明に係るレーザー式無人搬送車用棚及びそれを用いた無人搬送システムの一実施形態を説明する。
【0016】
図1の通り、レーザー式無人搬送車(以下「搬送車」という)2は、レーザースキャナ20を備える。図2の通り、倉庫3内には、複数の反射板21が設置される。レーザースキャナ20は、レーザーLを水平に360度回転しながら反射板21に送受信する。そのため、レーザースキャナ20及び反射板21は、所定の設定高さH0に設置される。
【0017】
搬送車2は、倉庫3内の走行経路に沿って配置された複数の反射板21をレーザースキャナ20で認識する。反射板21は、倉庫3内の壁に固定されており、その位置情報がマップ上に記憶されている。搬送車2は、少なくとも3つの反射板21をレーザースキャナ20で認識し、三角測量の原理に基づいて、現在位置を算出する。搬送車2は、算出された現在位置に基づいて、予め設定された経路を走行する。
【0018】
レーザースキャナ20は、反射板21から反射されたレーザーLを検知して、レーザースキャナ20から反射板21までの距離と角度(方位)とを算出する。レーザースキャナ20によって3つの反射板21が認識されると、レーザースキャナ20から反射板21までの距離と角度に基づいて、3つの反射板21によって特定される三角形(3つの反射板間の距離及び角度)を算出する。
【0019】
搬送車2が認識した3つの反射板21の位置関係と、予め記憶された反射板21の位置情報とを照合して、搬送車2が認識した反射板21の位置が特定される。特定された反射板21の位置に基づいて、搬送車2から反射板21までの距離と角度とが検出されて、搬送車2の現在位置が算出される。
【0020】
図3の通り、レーザー式無人搬送車用棚(以下「棚」という)1は、荷物Mを保管する荷物用空間10と、荷物Mを保管せずレーザーLを遮らないレーザー用空間11と、を備える。棚1は、さらに、荷物用空間10及びレーザー用空間11を規定するフレーム12を備える。
【0021】
フレーム12は、左右方向X、前後方向Y及び上下方向Zに延設されており、互いに直交する。フレーム12は、左右方向X及び上下方向Zに複数の同一形状の荷物用空間10を規定する。また、フレーム12は、左右方向Xに複数の同一形状のレーザー用空間11を規定する。
【0022】
荷物用空間10は、少なくとも、底面側に底板10aが設けられており、底板10aに荷物Mが載置される。荷物用空間10は、正面側(図3Aの手前側)が開口しており、荷物Mが出し入れされる。また、本実施形態では、荷物用空間10は、側面側及び背面側(図3Aの奥側)に板は設けられていないが、他の実施形態で、設けられてもよい。
【0023】
荷物用空間10は、所定の第1空間高さH1を有する。第1空間高さH1は、大きな荷物Mを収容できるよう、比較的大きい。
【0024】
レーザー用空間11は、設定高さH0に配置される。レーザー用空間11は、さらに、レーザーLが遮られずに貫通できるように、正面側、側面側及び背面側(水平方向)には板が設けられない。また、レーザー用空間11は、第1空間高さH1より小さい第2空間高さH2を有する。
【0025】
レーザー用空間11は、荷物Mを保管せずにレーザーLを貫通するために設けられるので、多くの荷物Mを保管するために多くの荷物用空間10を確保できるように、第2空間高さH2は、できるだけ小さいことが好ましい。好ましくは、第2空間は、第1空間の2分の1以下である。
【0026】
図4の通り、棚1は、移動可能な移動棚であってもよい。倉庫3内には、複数の移動棚1が、搬送車2が走行する通路100の両側に互いに近接して並列されている。そのため、複数の通路100を設ける必要がないため、多くの荷物Mを保管するために多くの移動棚1を設置できる。
【0027】
移動棚1は、様々な位置に配置されるので、従来は、移動棚1の位置を考慮して、多数の反射板21を設置する必要がある。しかし、本発明の移動棚1は、レーザー用空間11を備えているので、移動棚1の位置を考慮する必要がなく、最小限の反射板21を設置すれば足りる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。
【0029】
本発明の効果について説明する。
本発明に係る棚1は、レーザー用空間11を備えている。その結果、棚1は、搬送車2から送受信されるレーザーLを遮らないように構成されているので、倉庫3内に多数の反射板21を設置する必要がない。
【0030】
また、レーザー用空間11は、荷物用空間10の第1空間高さH1より小さい第2空間高さ11を有する。好ましくは、第2空間高さH2は、第1空間高さH1の2分の1以下である。その結果、棚1は、多くの荷物Mを保管するために多くの荷物用空間10を確保できる。
【0031】
棚1は、移動可能な移動棚であってもよい。移動棚1の場合、複数の通路100を設ける必要がないため、多くの荷物Mを保管するために多くの移動棚1を設置できる。移動棚1の場合であっても、レーザー用空間11を備えているので、移動棚1の位置を考慮する必要がなく、最小限の反射板21を設置すれば足りる。
【符号の説明】
【0032】
1 レーザー式無人搬送車用棚
10 荷物用空間
11 レーザー用空間
12 フレーム
2 レーザー式無人搬送車
20 レーザースキャナ
21 反射板
3 倉庫
L レーザー
H0 設定高さ
H1 第1空間
H2 第2空間
X 左右方向
Y 前後方向
Z 上下方向
【要約】
【課題】レーザー式無人搬送車を用いる際に、倉庫内に多数の反射板を設置する必要がないようにする。
【解決手段】左右方向X及び上下方向Zに設けられ、荷物を保管する荷物用空間10と、左右方向Xに設けられ、荷物を保管せずレーザーLを遮らないレーザー用空間11と、を備え、荷物用空間10は、所定の第1空間高さH1を有し、レーザー用空間11は、設定高さH0に配置されると共に、第1空間高さH1より小さい第2空間高さH2を有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4