(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記義歯の取り付け状態で見て、前記凸条突出部の歯肉側の端部とこれに対向する歯肉との間に所定の空間が形成されることを特徴とする請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
前記凸条突出部に代えて前記溝部を摺動可能な突出部が前記金属冠に備わっていることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
前記支台歯として天然歯の代わりにインプラントが用いられ、当該インプラントに前記金属冠を取り付けるようになったことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントについて紹介する。本発明は、上述した通り本発明は歯根膜負担型義歯に関するものである。ここで歯根膜負担型義歯の定義と技術的意義について述べる。
【0048】
歯の組織に関して上顎と下顎のそれぞれの歯肉の内側に埋め込まれたそれぞれの歯の歯根の部分はその表面は堅いセメント質で覆われ、歯根膜という非常に硬い繊維結合組織によって上顎と下顎のそれぞれの歯根の周囲の骨とつながっている。
【0049】
それぞれの歯がこのような組織となっていることで、約3MPa〜約9MPa(1cm
2当たり平均30kg〜90kg(1m
2当たり300トン〜900トン))と極めて大きい咬合力に耐えて食べ物を噛み砕くようになっている。
【0050】
しかしながら、若い頃から強く咬む習慣のある人の場合、長年にわたって上述した大きな咬合力が歯根膜に加わり、歯根膜自体が圧迫されて損傷し顎骨の吸収を招き、歯の動揺が発生して高齢になるに従って歯の欠損が生じてしまう。
【0051】
そのため、歯を強く噛む習慣のある人は、欠損した歯の部分に粘膜負担型義歯を装着して咬合時に義歯の支台歯に極力無理な咬合力が作用しないようにし、支台歯の歯根膜の損傷の進行を極力抑え、特に支台歯の数が減少している場合、義歯を取り付けるために必要不可欠な支台歯の更なる欠損を招かないようにする。
【0052】
つまりこのような義歯の装着者の場合、特に欠損歯が多くなった場合、支台歯に取り付ける義歯には残りの支台歯の歯根膜の損傷が進行しないように粘膜負担型義歯を用いる。
【0053】
一方、食事の際に上述したような強く咬む癖のない人は、高齢になっても一般的に歯根膜が健全な状態を保っており、仮に一部の歯根膜が傷んで歯が欠損していても欠損歯の数は少なく残存歯が多いことが通常である。このような人の場合、欠損歯に義歯を取り付ける場合であっても、支台歯の歯根膜が健全であることや、残存歯が多いため咬合力をそれぞれの残存歯に分散させながら咬合できる観点から、上述したような粘膜負担型義歯を用いることなく歯根膜負担型義歯を用いる。
【0054】
なお、強く咬む癖のある人であっても残存歯が多い場合であれば、上述の同様の理由で咬合力をそれぞれの残存歯に分散させながら咬合できるため、歯根膜負担型義歯を支台歯に取り付けると共に、強くかむ癖をなくしていけばこの一旦取り付けた歯根膜負担型義歯を長期に亘って使い続けることができる。
【0055】
このように状況に応じて歯根膜負担型義歯や粘膜負担型義歯を使い分けることで、近年の高齢化社会におけるクオリティオブライフの向上を図ることが今後重要になってくると言える。そして、本発明では歯根膜負担型義歯を用いる場合を前提として、本発明特有の構成をこの効果と共に以下の実施の形態及びその変形例で説明していく。
【0056】
なお、以下の第1及び第2の実施形態並びにそれらの変形例の説明において、各構成要素を図面においても示しているが、各図面における各構成要素の形状及び寸法についてはそれぞれを厳密に一致させていない。これは、これらの形状及び寸法のそれぞれの違いについては、当然に全て本発明の範囲内に含まれるため、説明の便宜上あえて分かり易く異なるようにしているためである。従って、各図面における各構成要素の形状や寸法関係の違いについては、本発明の範囲内に全く影響を与えるものでないことを付言しておく。
【0057】
また、各図面と関連した説明において、上下方向は、上側を義歯の人工歯(義歯本体)側、下側を義歯床側とした方向を基準として定める。また、平面視とは、義歯の歯の先端側から見た状態とする。また、図面中ハッチングすべきところを説明の理解の容易化のために適宜省略している。
【0058】
最初に本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントについて図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を一部断面で示す側面図である。また、
図2は、
図1に示した義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す平面図である。また、
図3は、
図1に示した義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。
【0059】
本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメント1(以下、適宜単に「義歯とその取付けアタッチメント1」とする)は、一本の支台歯80に取り付ける遊離端義歯10とその取付けアタッチメント20からなる。
【0060】
そして、取付けアタッチメント20は、一本の支台歯80に取り付ける金属冠210と、金属冠210の周囲の所定位置に備わり少なくとも周面の一部が湾曲した磁性体からなる突出部220を有している。
【0061】
突出部220は、本実施形態では略球状体をなしている。より詳細には、突出部220は、
図3に示すように球状体の基端側の下の部分、即ち支台歯80の根元側の部分が凹んでおり、同図に示す状態においては、この下側凹み部222に後述する凹み付き係合部130の下端から延在する下端部135の先端136が入り込んで係合するようになっている。なお、突出部220は磁性材でできており、かつ強度と耐久性や耐食性に優れた例えばステンレス鋼や金の合金、白金の合金等が用いられている。
【0062】
突出部220は、金属冠210の周面の一部に突出部220の基端部221が鋳造時に第三合金による合着、鋳造金属による把持、又は蝋着され、この金属冠210の周面から突出部220が遊離端義歯10の装着方向に突出するようになっている。
【0063】
そして、後述する磁石140が、磁性体からなる突出部220に磁気引っ張り力を作用させて遊離端義歯10が支台歯80から離れないようにしている。また、
図3に示す状態においては、下端部135の先端136が突出部220の下側凹み部222に引っ掛かって遊離端義歯10が支台歯80から離れないようにするのを補助している。
【0064】
遊離端義歯10は、少なくとも一本の義歯本体110(111,112,113,・・・)と、義歯本体110を支える義歯床120と、支台歯80に隣接させる端部に配置された凹み付き係合部130と、磁石ホルダー150に収容された上で義歯本体110や義歯床120に埋め込まれ遊離端義歯10との結合部側に備わる磁石140を有している。
【0065】
本実施形態の場合、凹み付き係合部130は、磁石ホルダー150と一体となって形成されている。凹み付き係合部130及び磁石ホルダー150は、耐久性や強度、耐食性に優れた例えばステンレス鋼でできており、磁石ホルダー150の部分は、義歯用樹脂でできた義歯本体110及び義歯床120の中に埋め込まれている。なお、凹み付き係合部130と磁石ホルダー150は、必ずしも一体に形成されている必要はなく、これらを別体に形成して互いにしっかりと結合しても良い。
【0066】
本実施形態がこのような構成を有することで、磁石140が義歯装着者の口の中に露出することがなく、磁石140の材質によって味覚に違和感を憶えたり、磁石140の破片が口の中に入ったりするのを防いでいる。
【0067】
凹み付き係合部130は、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で見て、支台歯80と対向する面側に突出部220が嵌り込む凹み部131を有している。更には、凹み付き係合部130の義歯床側の下端部135(
図1及び
図3の下側端)に、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で歯肉800の表面と一定の間隔を隔てている(
図1及び
図3に示す空間S1参照)。
【0068】
凹み部131の大きさは、凹み部131に突出部220を係合させるために挿入する際に互いに干渉しない寸法となっている。これにより、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態において、突出部220は、遊離端義歯10に備わった磁石140の吸引力や場合に応じてその下側凹み部222と下端部135の先端136との係合力によって凹み部131に押し付けられている。
【0069】
そして、突出部220が略球状体を有することで、凹み付き係合部130は、凹み部131に嵌合した突出部220を支点として、いわゆるユニバーサルジョイントのように動くようになっている。具体的には、突出部220を嵌合した状態で収容する凹み付き係合部130が、突出部220の中心を回転中心として所定の中心角度範囲内で動くことで、遊離端義歯10の延在方向が、支台歯80の中心軸線に対して所定の延在角度範囲内で変化できるようになっている。
【0070】
また、下端部135は、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態において、遊離端義歯10の義歯床120がその底面全体に唾液を介在させながらくっ付いている歯肉800の上面に対して一定の空間S1を隔てて対向配置するようになっている。
【0071】
また、凹み部131の下端部135と反対側の端部、即ち
図1及び
図3の上側端部は、義歯本体110の一部によって塞がれている。
【0072】
以上のような構成に基づいて、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で見て、咬合前においては、
図1に示すように、突出部220が凹み付き係合部130に係合することで、遊離端義歯10が支台歯80に結合すると共に、遊離端義歯10の義歯床120の底面が口の中の唾液(
図1中ドットDで示す部分参照)を介して歯肉800の上面に全面的に密着することで、遊離端義歯10を支台歯80に所定の遊びを保ちながらしっかりと取り付けるようになっている。
【0073】
また、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態において、凹み付き係合部130には、突出部220が嵌まり込むと共に、突出部220の湾曲部の少なくとも一部(本実施形態ではかなりの部分)が凹み付き係合部130内に磁気引っ張り力によって留まりながら、支台歯80に対する遊離端義歯10の相対位置や相対角度が所定の範囲内で変化可能となっている。
【0074】
なお、遊離端義歯10は、咬合時に咬合力が義歯本体110に作用した際(
図4に示す力F1参照)、義歯床120の支台歯80と反対側の端部(
図4における右側端部)が歯肉800に押し付けられて動かなくなるまで、凹み付き係合部130に嵌合した突出部220を回転中心として動くようになっている。
【0075】
これにより、咬合前に義歯床120の下面全体に介在する唾液(
図1に示すドット状の部分D参照)のうち、咬合の際には支台歯80と反対側の義歯床120と歯肉800との間に介在した唾液が押し出され、この部分の義歯床120と歯肉800とが唾液を介さず密着することになる(
図4に示すドット状の部分Dの介在位置参照)。
【0076】
本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメント1が上述のような構成を有することで、以下の作用効果を発揮することができる。具体的には、咬合時に遊離端義歯10の支台歯80と反対側の端部が歯肉800に押し付けられて押さえられると共に、遊離端義歯10の支台歯側の端部が咬合力の一部を支台歯80のほぼ軸線方向のみに作用させることができる(
図1に示す状態から
図4に示す状態の変化及び
図4における咬合力F1参照)。
【0077】
これにより、遊離端義歯10に加わる咬合力を支台歯80と遊離端義歯10の歯肉81に押し付けられる部分で均等に負担することができ、咬合力が支台歯80のみに加わるのを阻止でき、支台歯80の負担軽減に貢献する。
【0078】
また、遊離端義歯10の延在方向が支台歯80の中心軸線に対して咬合時においても角度変化することなく咬合前と同じような状態を維持する形態を有する遊離端義歯において生じる好ましくないモーメント、即ち支台歯80をその咬合前の中心軸線に対して傾けるモーメントの発生を抑制する。
【0079】
その結果、歯根膜81の遊離端義歯側が押し潰されて過度の圧縮応力が発生したり、歯根膜81の遊離端義歯10と反対側が無理やり引っ張られて過度の引っ張り応力が発生したりするのを防止する。
【0080】
即ち、支台歯80に対して、これに遊離端義歯10を取り付ける前の咬合力が作用する力のかかり具合(掛かる力及びその作用方向)と同等の力のかかり具合(掛かる力及びその作用方向)を維持することができる。これによって、歯根膜81の健全な状態を保ち、支台歯80を傷めることなく長持ちさせると共に、支台歯80に取り付けた遊離端義歯10を長期に亘って使い続けることができる。
【0081】
また、強く咬む癖のある人であっても、残存歯の多い状態でこの歯根膜負担型の遊離端義歯10を支台歯80に取り付けると共に強く咬む習慣を改めていけば、更なる残存歯の欠損を防ぐと共に、この支台歯の歯根膜の状態を悪化させずに支台歯80の欠損を防ぎ、かつ支台歯80に取り付けられた遊離端義歯10を長期に亘って使い続けることができる。
【0082】
また、遊離端義歯10の咬合時の傾きによって生じる突出部220に及ぼす力を、義歯を備えない通常の咬合時と同じように支台歯80の軸線方向に作用させることができる。この作用により、突出部220を遊離端義歯10に向かって引っ張るような方向、即ち支台歯80の軸線方向と交差する横方向に作用するのを抑える。これにより、咬合時においても支台歯80を遊離端義歯10に向かって引っ張りながら倒すような従来例で生じる問題のある現象を生じさせずに済む。
【0083】
その結果、支台歯80の遊離端義歯側の歯根膜(
図4における右側の歯根膜)81の線維組織を無理矢理潰したり、支台歯80の遊離端義歯10と反対側の歯根膜(
図4における左側の歯根膜)81の線維組織を無理矢理引き延ばしたりすることなく、義歯を装着した後に長期間の咬合によって歯根膜81が傷むのを阻止し、義歯を長期に亘って使用し続けることができる。
【0084】
また、凹み付き係合部130と遊離端義歯10の義歯床120が接触する歯肉800の間に空間S1を形成することで、遊離端義歯10を支台歯80に取り付ける際や取り外す際に凹み付き係合部130が歯肉800に押し付けられることなく、遊離端義歯10の支台歯80に対する着脱を簡単かつ快適に行うことができる。
【0085】
また、凹み付き係合部130と遊離端義歯10の義歯床120が接触する歯肉800の間に空間S1が形成されていることで、義歯を外した後に金属冠210の突出部220とこれに対向する歯肉800との間には更に広い隙間が存在することになる。このような隙間を生じさせることで、義歯を外して支台歯80を歯ブラシ等で磨く際にこの隙間に溜まった食べ物の食べカスを容易に取り除くことができる。その結果、この部分にこれら食べカスが詰まったままとならず、その後の虫歯や口臭の発生を防止することができる。
【0086】
また、凹み部131の開口部の大きさが突出部220を係合させるために挿入する際に干渉しない寸法となっており、磁石140の吸引力のみで突出部220を凹み部131に嵌め込むようにすることで、凹み部131の開口部と突出部220の間の寸法公差を厳密に管理する必要がなくなる。これにより、遊離端義歯10のコストダウンを図ることができると共に、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けたり取り外したりする際に簡単に着脱することができる。
【0087】
その結果、義歯装着者に快適な装着感や咬み心地を与えることができ、食べ物を咬む間中気持ちよく咬み続けることができ、ストレスを受けることなく遊離端義歯10を装着し続けかつ食事を楽しむことができるようになる。これによって、食べ物をきちんと消化することができ、特に高齢者にとって重要な健康の維持を図りつつ体調の向上に貢献することができる。
【0088】
また、咬合時に支台歯80と遊離端義歯10の間に余分な隙間ができることはなく、このような隙間に挟まって咬み潰すことができない食べ物がそのまま飲み込まれて胃腸における消化不良を招く虞もない。
【0089】
以上の通り、遊離端義歯10の延在方向を支台歯80の中心軸線に対して所定の角度範囲内で無理なく変化させることができる。これにより、咬合時に支台歯80と遊離端義歯10の接続部分に無理な力を加えずに済む。同様に、義歯装着者に快適な装着感を与えることができると共に、支台歯80に過大な応力がかからずに支台歯80を長持ちさせることができる。
【0090】
その結果、支台歯80に過大な力がかかって歯根膜81を痛めたり歯根膜自体を潰したりしてしまうのを回避し、貴重な支台歯80の欠損を防ぐことができる。また、義歯の結合部の破損によって歯肉800を傷つけることなくかつ破損部分の誤飲という問題も生じさせずに済む。
【0091】
また、咬合時に遊離端義歯10の支台歯80と反対側の端部が歯肉800に押し付けられて押さえられると共に、遊離端義歯10の支台歯側の端部が咬合力の一部を支台歯80のほぼ軸線方向のみに作用させることができる。これにより、遊離端義歯10の延在方向が支台歯80の中心軸線に対して角度変化することなく咬合前と同じような状態を維持した形態を有する遊離端義歯の使用に伴う好ましくないモーメント、即ち支台歯をその中心軸線に対して傾けるモーメントの発生を抑制する。
【0092】
その結果、歯根膜81の遊離端義歯側が押し潰されて過度の圧縮応力が発生したり、歯根膜81の遊離端義歯と反対側が無理やり引っ張られて過度の引っ張り応力が発生したりするのを防止する。
【0093】
これにより、歯根膜81の健全な状態を保ち、支台歯80を傷めることなく長持ちさせると共に、支台歯80に取り付けた遊離端義歯10を長期に亘って使い続けることができる。
【0094】
また、強く咬む癖のある人であっても、残存歯の多い状態でこの歯根膜負担型の遊離端義歯10を支台歯80に取り付けると共に強く咬む習慣を改めていけば、更なる残存歯の欠損を防ぐと共に、支台歯80の歯根膜81の状態を悪化させずに支台歯80の欠損を防ぎ、かつ支台歯80に取り付けられた遊離端義歯10を長期に亘って使い続けることができる。
【0095】
また、遊離端義歯10の咬合時の傾きによって生じる突出部220に及ぼす力が義歯を備えない通常の咬合時と同じように支台歯80の軸線方向に作用し、突出部220を遊離端義歯10に向かって引っ張るような方向、即ち支台歯80の軸線方向と交差する横方向に作用するのを抑える。その結果、咬合時においても支台歯80を遊離端義歯10に向かって引っ張りながら倒す形態を有する従来の遊離端義歯において生じる問題を回避することができる。
【0096】
その結果、支台歯80の遊離端義歯側の歯根膜81の線維組織を無理矢理潰したり、支台歯80の遊離端義歯10と反対側の歯根膜81の線維組織を無理矢理引き延ばしたりすることなく、遊離端義歯10を装着した後に長期間の咬合によって歯根膜81が傷むのを阻止する。
【0097】
なお、遊離端義歯10を支台歯80に取り付ける際には、遊離端義歯10を指先でその延在方向周りに捻りながら支台歯80の突出部220に遊離端義歯10の一方の端部に備わった凹み部131を押し付けて遊離端義歯10を支台歯80に取り付ける。一方、遊離端義歯10を支台歯80から取り外す際には、遊離端義歯10を指先でその延在方向周りに捻りながら支台歯80の突出部220から遊離端義歯10の一方の端部に備わった凹み部131を外すことで遊離端義歯10を支台歯80から取り外す。
【0098】
上述した支台歯80に対する遊離端義歯10の着脱の際に、下端部135と遊離端義歯10の義歯床120が接触する歯肉800の間に空間S1が形成されているので、下端部135が歯肉800に押し付けられることなく、遊離端義歯10の支台歯80の着脱を簡単かつ痛みを伴うことなく快適に行うことができる。
【0099】
特に、突出部220が略球状体をなしていることで、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けたり取り外したりする際に突出部220の湾曲面を利用して抵抗を受けることなく滑らかに着脱を行うことができる。また、義歯の着脱に伴って遊離端義歯10を支台歯80に対して押し付けたり引っ張ったりする際に、この押しつけ方向や引っ張り方向にある程度の自由度を持たせることができ、義歯の着脱が行い易くなる。その結果、特に指先を器用に動かすことのできない義歯装着者が遊離端義歯10の支台歯80の着脱を一人で簡単に行うことができる。
【0100】
以上のことにより、通常の使用状態では遊離端義歯10が支台歯80から外れにくく、指でつまんで取り付ける際や取り外す際の義歯の着脱が大変行い易くなっている。
【0101】
また、下端部135と遊離端義歯10の義歯床120が接触する歯肉800の間に空間S1が形成されていることで、遊離端義歯10を外した後に金属冠210の突出部220とこれに対向する歯肉800との間には更に広い隙間が存在することになる。このような隙間を生じさせることで、遊離端義歯10を外した後に支台歯80を歯ブラシ等で磨く際に、突出部220と歯肉800上面との間に十分な隙間を確保することができる。その結果、この隙間に溜まった食べ物の食べカスを容易に取り除くことができ、これらの食べカスが詰まったままとならず、その後の虫歯や口臭の発生を防止することができる。
【0102】
また、凹み部131の下端部135と反対側の端部(
図1及び
図3中上側端部)が義歯本体110の一部で塞がれていることで、食べ物を咬んでいる最中に凹み部131の中に食べ物が入り込んで詰まるのを確実に防止できる。
【0103】
また、凹み部131の溝幅が突出部220を係合させるために挿入する際に干渉しない寸法となっており、磁石140の吸引力のみで突出部220を凹み部131によって保持するようにすることで、凹み部131と突出部220の間の寸法公差を厳密に管理する必要がなくなる。これにより、義歯10の凹み部加工上のコストダウンを図ることができると共に、義歯10を支台歯80に取り付けたり取り外したりする際に簡単に着脱することができる。
【0104】
なお、磁石140の磁力をそれなりに強力なものとすれば、磁力の吸引力のみであっても遊離端義歯10を支台歯80にしっかりと結合させておくことができる。しかしながら、
図1や
図3に示したように突出部220である球状体の下部に凹み部222を設けてこの部分に下端部135の先端136を係合させて磁石140の吸引力に加えてこの係合力を補助的な力として利用することで、突出部220が凹み部131から離れるのを防止する複雑な構造を取らずに済む。即ち、下端部135の形状をより簡単なものとすることができ、この部分の加工コストの低減を図ることができる。
【0105】
図5は、この下端部135の形状を上述の記載に従って変更したより簡単な構成の下端部137を示している。これに伴って、第1の実施形態の突出部220の下側部分に備わった下端部135の先端136を係合する下側凹み部222が
図5に示す構成においては示されていない。即ち、
図5においては、下側部分に凹みのない球体状の突出部220が備わっている。このような形態であっても本発明の範囲に属するものである。
【0106】
図6は、
図1乃至
図3に示した本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメント1の取付け位置の一例を示す説明図である。この図においては、この第1の実施形態に係る遊離端義歯10を支台歯80に下側の歯の両側の欠損した奥歯の部分に取り付けているが、これと同じように上側の歯の欠損した部分に取り付けても良い。即ち、遊離端義歯10を取り付ける支台歯80が1本でも適当な場所に残っていれば、同図の取り付け状態には限定されずあらゆる部分に第1の実施形態を適用することができる。
【0107】
また、場合に応じて遊離端義歯10の支台歯80との結合側と反対になる自由端部であって口を大きく開いても外から見えにくい位置にクラスプ等の固定具を備え、この自由端部側の残存歯にも係合させて遊離端義歯10をよりしっかりと取り付けるようにしても良い。
【0108】
なお、上述の実施形態とは異なり、突出部は、略半球状をなしていても良い。突出部が略半球状をなしていても、上述の作用を容易に実現することができる。
【0109】
続いて、上述した第1の実施形態の変形例について説明する。
図7は、第1の実施形態の変形例を示す
図1に対応する側面図である。また、
図8は、第1の実施形態の変形例を部分的に示す
図2に対応する平面図である。なお、上述の実施形態と同等の構成に関しては、必要に応じて対応する符号を付してその構造の詳細な説明については省略する。また、
図8においては説明の理解の容易化を図るために断面ハッチングを省略する。
【0110】
この変形例においては、突出部260は、金属冠210との接続部261の太さが突出部260のそれ以外の部分よりも細くなっている。また、凹み付き係合部160の形状についても上述の実施形態と若干異なっている。
【0111】
具体的には、凹み部161の支台歯側開口部の幅161aは、義歯装着者の指による押し込み力や引っ張り力によって支台歯80に対して遊離端義歯10Aを着脱可能とするために、遊離端義歯10Aの装着時において磁石140が突出部260に及ぼす磁気吸引力に加えて凹み部161の開口部が突出部260に及ぼす係合力によって突出部260が凹み部161から外れるのを防止する程度に寸法決めされている。
【0112】
図面に基づいて説明すると、凹み付き係合部160の凹み部161の支台歯側開口部の幅161aは、突出部260の最大幅の部分、即ち
図8における突出部260の直径260aよりも若干狭く、かつその凹み部内の幅161bは、突出部260の最大幅の部分、即ち
図8における突出部260の直径260aよりも若干広くなっている。
【0113】
凹み部161と突出部260の相対関係がこのような互いにいわゆるラッチ係合するような寸法関係を有することで、突出部260が凹み部161に一旦係合すると、磁石140から受ける吸引力と相まって突出部260が凹み部161から抜けにくくなる。
【0114】
これによって、遊離端義歯10Aを支台歯80に一旦取付ければ支台歯80から遊離端義歯10Aが簡単に外れることはなくなり、比較的硬い食べ物でも十分に味わいつつかつ消化し易いようにしっかりと咬み込んで食べることができる。
【0115】
なお、この変形例においても、
図5に示した先端がフック状となっていない下端部137の形態を適用可能であることは言うまでもない。
【0116】
続いて、本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントについて図面に基づいて詳細に説明する。なお、この第2の実施形態に係る発明についても第1の実施形態及びその変形例に係る歯根膜負担型の義歯の発明に関するものである。ここで、歯根膜負担型の義歯の定義及びその技術的意義については、発明を実施するための形態の冒頭に記載した内容を流用する。
【0117】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す側面図である。また、
図10は、
図9に示した義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す平面図である。また、
図11(a)は、第2の実施形態の作用を説明するための
図9に対応する側面図である。なお、上述の第1の実施形態及びその変形例と同等の構成については、対応する符号を図面に適宜付して文章による詳細な説明を省略する。
【0118】
本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメント2(以下、適宜単に「義歯とその取付けアタッチメント2」とする)は、少数残存歯のうちの歯欠損部分を挟む2本の両端支台歯91,92(90)にそれぞれ取付けアタッチメント60,70を介して中間欠損歯用義歯50を取り付ける義歯とその取付けアタッチメントである。
【0119】
取付けアタッチメント60,70は、金属冠610,710を各支台歯91,92(90)にそれぞれ被せた状態で金属冠610,710の周面において支台歯91,92(90)の基端部から先端部に向けて延在する磁性材からなる凸条突出部630,740を有している。
【0120】
中間欠損歯用義歯50は、少なくとも一本の義歯本体510(511,512,513,・・・)と、義歯本体510が取り付けられた義歯床520と、中間欠損歯用義歯50をこの両端に位置する各支台歯91,92(90)に取り付ける係合部であって、各支台歯91,92(90)に被せる金属冠610,710に備わる凸条突出部630,740が摺動可能な状態で嵌り込む凸条摺動係合部530,540と、中間欠損歯用義歯50の両端近傍であって2本の支台歯91,92(90)との結合部側の内部にそれぞれ収容された磁石550,560とを備えている。
【0121】
本実施形態の場合、凸条突出部630,740は、
図10及び
図13(a)に示すように端面視(平面視)略円形を有し、凸条摺動溝部531,541は、凸条突出部630,740をスライド(摺動)可能に保持するために凸条突出部630,740の平面視略円形の外径より若干大きい略円形の断面形状を有している。
【0122】
また、中間欠損歯用義歯50の両端に形成された凸条摺動係合部530,540は、第1の実施形態と同様にそれぞれ突出部側と反対側に延在した磁石ホルダー570,580と一体となって形成されている。凸条摺動係合部530,540及び磁石ホルダー570,580についても、第1の実施形態と同様に耐久性や強度、耐食性に優れた例えばステンレス鋼でできており、磁石ホルダー570,580の部分は、義歯用樹脂でできた義歯本体510の中に埋め込まれている。これによって、第1の実施形態と同様に磁石ホルダー570,580に収容された磁石550,560が中間欠損歯用義歯50の外側に露出しないようになっている。
【0123】
そして、凸条突出部630,740が凸条摺動係合部530,540の凸条摺動溝部531,541に摺動可能に係合することで、中間欠損歯用義歯50が2本の支台歯91,92(90)に結合すると共に、中間欠損歯用義歯50の義歯床520がその底面全体に唾液を介在させながら歯肉800に密着することで、中間欠損歯用義歯50を2本の支台歯91,92(90)に取り付けるようになっている。
【0124】
また、中間欠損歯用義歯50に備わる各磁石550,560が、これらそれぞれの近くに備わる金属冠610,710の凸条突出部630,740に磁気引っ張り力を及ぼすことで、中間欠損歯用義歯50が2本の支台歯91,92(90)から外れないようにしている。
【0125】
また、中間欠損歯用義歯50を支台歯91,92(90)に取り付ける際に、中間欠損歯用義歯50が2本の支台歯91,92(90)の間で磁気引っ張り力によって保持されながら2本の支台歯91,92(90)に対してそれらの上下方向(長手方向)に所定の量だけ平行移動できるようにするために、金属冠610,710の凸条突出部630,740が中間欠損歯用義歯50の凸条摺動係合部530,540内で摺動可能となっている。
【0126】
そして、凸条突出部630,740が凸条摺動係合部530,540の義歯先端側溝端部530b,540bに突き当たることで、中間欠損歯用義歯50がこの両端を挟む2本の支台歯91,92(90)にしっかり取り付けられるようになっている。
【0127】
即ち、凸条摺動係合部530,540の義歯先端側溝端部530b,540bは、凸条突出部630,740のスライド移動の際の義歯取付け用ストッパーとしての役目を果たしている。このように、義歯先端側溝端部530b,540bが義歯取り付け用ストッパーをなすことで、咬合時の咬合力を各支台歯91,92にそれぞれ均等に伝える。
【0128】
また、義歯先端側溝端部530b,540bが義歯取付け用ストッパーとなっていることで、義歯本体510の内側部分によって塞がれており、食べ物を食べる際に歯を咬んだときに凸条摺動係合部内に食べ物の食べカスが入り込まないようになっている。
【0129】
また、中間欠損歯用義歯50の取り付け状態で見て、凸条摺動係合部530,540の歯肉側の義歯床側端部530a,540aとこれに対向する歯肉800との間には所定の空間S3,S4が形成されている。
【0130】
そして、凸条摺動係合部530,540の義歯床側端部530a,540aは開口しており、中間欠損歯用義歯50を支台歯91,92(90)に取り付ける際に支台歯91,92(90)の凸条突出部630,740の上端をこの凸条摺動溝部内に挿入できるようにしている。
【0131】
なお、これらの挿入部にはテーパー加工を施しておくことが良い。これにより中間欠損歯用義歯50をこの両端の支台歯91,92(90)に取り付ける際に、中間欠損歯用義歯50の両端の凸条摺動係合部530,540を各支台歯91,92(90)の凸条突出部630,740に無理なく同時に挿入でき、中間欠損歯用義歯50の支台歯91,92(90)への取り付けを義歯装着者が簡単に行うことが可能となる。
【0132】
なお、中間欠損歯用義歯50をこの両端の支台歯91,92(90)に嵌め込み易いように、凸条突出部630,740の上端の角縁部が面取りされているかテーパー形状になっていると共に、凸条摺動溝部531,541の義歯床側端部530a,540aであって凸条突出部630,740が入り込む位置に形成された溝部531,541の下端開口部が全体的に面取りされているかテーパー形状を有しているのが良い。
【0133】
図12は、
図9及び
図10に示した第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメント2の取付け位置の一例を示す説明図である。この図においては、この第2の実施形態に係る中間欠損歯用義歯50を、これを挟む支台歯91,92(90)に対して上からスライド移動させて取り付けた一例を示しているが、これと同じように上側の2本の歯で挟まれる歯の欠損部分に中間欠損歯用義歯50を下からスライド移動させて取り付けても良い。
【0134】
このような上側の歯の欠損部分に本実施形態に係る中間欠損歯用義歯50を取り付ける場合であっても、磁石550,560がそれぞれ凸条突出部630,740を磁力でしっかりと保持しながら、凸条突出部630,740を凸条摺動溝部531,541の義歯先端側溝端部530b,540bに突き当てることで、中間欠損歯用義歯50を支台歯90にしっかりと取り付けることができる。
【0135】
このように、
図12に示す配置状態以外でも、2本の支台歯91,92(90)の間に少なくとも一箇所だけでも歯の中間欠損部分が存在すれば、上下の歯の如何に関わらず本実施形態を適用可能である。
【0136】
本発明の第2の実施形態に係る中間欠損歯用義歯50をこの両端の支台歯91,92(90)に取り付けた場合、本発明の解決すべき課題の欄で述べた問題点を全て一気に解決することができる。
【0137】
具体的には、支台歯91,92の歯根膜81,82が健全なため、中間欠損歯用義歯50の両端の支台歯91,92にこの義歯をしっかりと取り付けてこれを支持することができる。これにより、支台歯91,92と中間欠損歯用義歯50とで十分な噛み心地を味わうことができる。
【0138】
また、磁石550,560が中間欠損歯用義歯50の内部に完全に収容されているので、磁性体による味覚への悪影響を防止すると共に、従来例に見られる咬合の際に破損した磁石やその破片等の誤飲の問題を生じさせずに済む。
【0139】
また、義歯装着後、咬合時において支台歯91,92に対してこれを倒そうとするモーメントの発生を抑えることができるので、支台歯91,92の破損を防止することができる。
【0140】
また、咬合時に生じる凸条突出部630,740に及ぼす力が義歯を備えない通常の咬合時と同じように支台歯91,92の軸線方向に作用し、凸条突出部630,740を中間欠損歯用義歯50に向かって引っ張るような方向、即ち支台歯91,92の軸線方向と交差する横方向に作用するのを抑える。その結果、咬合時においても支台歯91,92を中間欠損歯用義歯50に向かって引っ張りながら倒す形態を有する従来の中間欠陥歯用義歯を用いることで生じる問題を回避することができる。
【0141】
即ち、支台歯91,92の中間欠損歯用義歯側の歯根膜81,82の線維組織を無理矢理潰したり、支台歯91,92の中間欠損歯用義歯50の反対側の歯根膜81,82の線維組織を無理矢理引き延ばしたりすることなく、義歯を装着した後に長期間の咬合によって歯根膜81,82が傷むのを阻止する。
【0142】
また、中間欠損歯用義歯50の取り付け状態で見て、凸条突出部630,740の歯肉側の端部とこれに対向する歯肉800との間に所定の空間S3,S4が形成されていることで、中間欠損歯用義歯50を外して支台歯91,92(90)を歯ブラシ等で磨く際に、凸条突出部630,740の歯肉側下端とこれに対向する歯肉上面との間に十分な隙間を確保することができ、この隙間に溜まった食べ物の食べカスを容易に取り除くことができる。その結果、この部分にこれら食べカスが詰まったままとならず、その後の虫歯や口臭の発生を防止することができる。
【0143】
また、上述の空間S3,S4が存在することで、中間欠損歯用義歯50を外した後に支台歯91,92(90)を歯ブラシ等で磨く際に、第1の実施形態及びその変形例と同様に凸条突出部630,740の歯肉側下端とこれに対向する歯肉上面との間に十分な隙間を確保することができる。これによって、この隙間に溜まった食べ物の食べカスを容易に取り除くことができる。その結果、この部分にこれら食べカスが詰まったままとならず、その後の虫歯や口臭の発生を防止することができる。
【0144】
また、凸条摺動係合部530,540の義歯先端側溝端部530b,540bが、凸条突出部630,740のストッパーをなすため、咬合時に咬合力(
図11のF2参照)が各義歯先端側溝端部530b,540bから凸条突出部630,740を介して健全な歯根膜81,82を有する支台歯91,92に均等に伝わる。
【0145】
これにより、義歯装着者は咬合することに中間欠損歯用義歯50の快適な装着感及び咬み心地を味わうことができる。その結果、上述したように食べ物を咬む間中気持ち良く咬み続けることができ、ストレスを受けることなく食事を楽しむことが可能となる。これにより、食べ物の良好な消化吸収を図ることにより、高齢者にとって特に重要な健康の維持や体調面での向上を図ることができる。
【0146】
続いて、上述した第2の実施形態の変形例について説明する。
図13(b)は、第2の実施形態の第1変形例を部分的に示す平面図、
図13(c)は、第2変形例を部分的に示す平面図、
図13(d)は、第3変形例を部分的に示す平面図である。
【0147】
なお、
図13及び
図14においては、義歯の左側部分のみを示しているが、右側も同様の構成であるため、右側の図示は省略し、左側の符号に右側の省略した部分の符号を括弧書きで付すようにしている。
【0148】
これらの変形例においては、凸条突出部の端面視を略円形に代えて他の形状にすると共に、これが係合してスライド移動するための凸条摺動溝部の断面形状を凸条突出部の形状に合わせて変更している。
【0149】
具体的には、
図13(b)に示すように、凸条突出部632,742の形状が端面視、即ち義歯の上面側から見て略矩形状となっていても良い。この場合、凸条摺動溝部532,542の断面形状は、この凸条突出部632,742に合わせてこれより若干大きい略矩形状となる。
【0150】
また、
図13(c)に示すように、凸条突出部633,743の形状が端面視、即ち義歯の上面側から見て略三角形状となっていても良い。この場合、凸条摺動溝部533,543の断面形状は、この凸条突出部633,743に合わせてこれより若干大きい略三角形形状となる。
【0151】
また、
図13(d)に示すように、凸条突出部634,744の形状が端面視、即ち義歯の上面側から見て半円状とこの基端部の接続部分を合わせたいわゆるキノコ状(異形の略半円形状)となっていても良い。この場合、凸条摺動溝部534,544の断面形状は、この凸条突出部634,744に合わせてこれより若干大きい異形のキノコ状(異形の略半円形状)となる。
【0152】
なお、上述の3つの変形例においても、中間欠損歯用義歯50をこの両端の支台歯91,92(90)に嵌め込み易いように各凸条突出部の上端の角縁部が面取りされているかテーパー形状になっていると共に、各凸条摺動溝部の下端であって各凸条突出部が入り込む開口部が全体的に面取りされているかテーパー形状を有しているのが良い。
【0153】
以上説明した各変形例のような構造であっても、中間欠損歯用義歯50を取り付けるための本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントの作用を十分に発揮することができる。
【0154】
最後に上述した第2の実施形態及び各変形例とは異なる更なる変形例について説明する。
図14は、第2の実施形態の第4変形例について部分的に示す側面図である。この更なる変形例である第4変形例では、凸条突出部の代わりに凸条摺動溝部535,545の略中央部近傍において摺動に係合するようになった溝部方向に長さの短い平面視略円形状で十分な板厚を有する突起部635,745が金属冠610,710に備わっている。
【0155】
そして、
図14においては、突起部635,745が、それぞれ凸条摺動溝部535,545のストッパーとしての役目を果たす義歯先端側溝端部530b,540bに突き当たることで、中間欠損歯用義歯50がこれを挟む2本の支台歯91,92にしっかりと取り付けられている。このような構造であっても中間欠損歯用義歯50を取り付けるための本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントの作用を十分に発揮することができる。
【0156】
なお、
図14は、平面視、即ち義歯の上面側から見て第2の実施形態と同様な略円形状をなしているが、突起部の形状はこれには限定されず、例えば平面視略楕円形又は略矩形、略三角形、又は上述した異形半円状(キノコ状)にあっても良い。この場合、この突起部が摺動可能に嵌り込む凸条摺動溝部の断面形状は、これらの突起部の平面視の形状に合わせて適宜変更すれば良い。
【0157】
この第4変形例においても、中間欠損歯用義歯50をこの両端の支台歯91,92(90)に嵌め込み易いように、突起部の上端の角縁部が全周に亘って面取りされているかテーパー形状になっていると共に、凸条摺動溝部535,545の下端であって突起部が入り込む開口部が全体的に面取りされているかテーパー形状を有しているのが良い。
【0158】
なお、上述の各実施形態及びこれに関連する各変形例は、本発明のあくまで例示的な態様を示したものに過ぎず、本発明の作用効果を発揮し得る範囲内であれば、これらの形態と等価的な更なる各種変形例についても本発明に含まれることを言うまでもない。
【0159】
従って、例えば第1の実施形態及びその変形例において、溝部の溝幅は突出部が係合できれば溝延在方向に亘って同一である必要はなく、上下に亘って細長い楕円形状を有していても良い。
【0160】
また、例えば上述の各実施形態及びその変形例において、義歯本体は2本以上として説明したが、これが1本だけでも本発明の範囲に含まれる。また、第2の実施形態において、義歯先端側溝端部の開口は、凸条摺動係合部によって閉塞されていたが、この代わりに義歯本体の一部によって直接閉塞されていても良いことは言うまでもない。
【0161】
また、第1の実施形態や第2の実施形態及びこれらの各変形例における略球状体や略円形の定義は、いわゆる卵型や楕円形を含むことは言うまでもない。
【0162】
更には、上述の各実施形態及びその各種変形例において支台歯として天然歯であることを前提に説明したが、支台歯として天然歯の代わりにインプラントが用いられる場合であっても、インプラントに本発明に係る金属冠を取り付けることで十分な効果を奏することができる。
【0163】
具体的には、上述したように義歯装着後、咬合時において支台歯に対してこれを倒そうとするモーメントの発生を抑えることができるので、支台歯としてインプラントを用いた場合でも咬合時にインプラントの埋め込み部の破損を防止することができる。
【0164】
その結果、強く咬合する癖をなかなか直すことができない義歯装着者に対して、一旦破損してしまうと次なる代替え聞かないインプラントを長持ちさせることができ、インプラントの破損に起因して埋め込み部全体が欠損歯の部位として恒久的に残ってしまう最悪の事態を回避しつつ、インプラントを長く使用することができる。
【0165】
従って、義歯が天然歯の代わりにインプラントであっても本発明をその十分な作用効果を伴いながら適用可能であり、本発明の範囲内に属することは明らかである。
【解決手段】取付けアタッチメント20は、一本の支台歯に取り付ける金属冠210と、この周囲に備わった磁性体からなる突出部220を有し、義歯は遊離端義歯10からなり、支台歯80に隣接させる端部側に配置された凹み付き係合部130と、遊離端義歯との結合部側に収容された磁石140を有し、突出部が凹み付き係合部に係合することで遊離端義歯が支台歯に結合し、磁石の突出部に及ぼす磁気引っ張り力で遊離端義歯が支台歯から離れないようにし、凹み付き係合部には、突出部が嵌まり込むと共に、突出部の湾曲部の少なくとも一部が凹み付き係合部内に磁力で留まりながら、支台歯に対する遊離端義歯の相対位置や相対角度が所定範囲内で変化できるようになっている。