(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
まず、
図1を用いて、本発明の実施の形態1にかかる近距離通信システムの構成について説明する。この近距離無線通信システムは、
図1に示されるように、誘導式読み書き装置100a、リーダライタ200を備えている。
【0015】
誘導式読み書き装置100aは、複合アンテナ110a、NFC用IC120を備えている。誘導式読み書き装置100aは、複合アンテナ110aを用いてリーダライタ200と近距離無線通信を行う。具体的には、誘導式読み書き装置100aは、リーダライタ200からの電磁誘導により複合アンテナ110aに発生する誘導起電力を用いて、リーダライタ200との通信を行う。
【0016】
複合アンテナ110aは、NFC用の複合アンテナである。複合アンテナ110aについては、後に詳述する。
【0017】
NFC用IC120は、NFC規格で規定される通信を実行するための制御回路を構成し、複合アンテナ110aを介した無線通信を制御する。
【0018】
リーダライタ200は、例えば、電車等の公共交通機関の改札機、会社や特別な部屋等の会員用空間への出入口、コンビニエンスストア等の商取引場のカウンター等、所定の場所にそれぞれ設置されるものである。リーダライタ200の筺体内には、電磁界の照射面の裏面に、その照射面と平行な状態でアンテナが設けられている。リーダライタ200は、このアンテナから照射面の上方へ数センチメートル程度隔てた位置まで、通信相手が受信可能なレベルの電磁界を、当該アンテナから照射するようになされている。
【0019】
次に、
図2を用いて、本発明の実施の形態1にかかる誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aの構成について説明する。複合アンテナ110aは、線状ループアンテナ111、パターンループアンテナ112を備えている。
【0020】
線状ループアンテナ111は、線状のループアンテナである。線状ループアンテナ111は、例えば、銅線により構成される。また、線状ループアンテナ111は、線状のループアンテナであるため、実装される端末の筐体内で、筐体の形状に沿って配置することができる。
【0021】
パターンループアンテナ112は、磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したループアンテナである。ここで、磁性体シートは、金属遮へいのための電磁シールド材料として用いられるものである。磁性体シートに用いられる磁性体の種類は、例えばフェライトである。
【0022】
複合アンテナ110aでは、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112は、直列に接続される。このため、線状ループアンテナ111のインダクタンス値とパターンループアンテナ112のインダクタンス値との和が、複合アンテナ110aのインダクタンス値となる。
【0023】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる
図2の誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを直列に接続するように構成している。また、線状ループアンテナ111は、実装される端末の筐体内で、筐体の形状に沿って配置することが可能であり、携帯電話機に比べて小型且つ薄型であるウェアラブル端末の実装条件下でも実装可能である。また、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを直列に接続する構成により、パターンループアンテナ112の小型化による通信特性低下を線状ループアンテナ111が補うことにより通信特性を良好に保つことが可能である。したがって、実施の形態1にかかる
図2の誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実現することができる。
【0024】
続いて、
図3及び
図4を用いて、複合アンテナにおける各アンテナの巻き方と誘導電流の流れる向きの関係について説明する。電磁誘導によって流れる誘導電流は、アンテナの巻き方により流れる向きが変わる。このため、
図3のように、アンテナの巻く向きが逆向きである2つのアンテナを直列に接続して作成した複合アンテナでは、各アンテナで流れる誘導電流が対向することで打ち消しあってしまう。このため、複合アンテナ110aでは、
図4に示すように、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成する。
【0025】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実現することができる。
【0026】
実施の形態2
続いて、本発明の実施の形態2にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナについて説明する。本発明の実施の形態2は、誘導式読み書き装置の複合アンテナを、輪環体形状のウェアラブル端末に実装する例である。なお、近距離無線通信システムの全体構成、及び誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aの構成は、
図1、及び
図2に示す構成と同様であり、説明を省略する。
【0027】
まず、
図5を用いて、誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aを実装したウェアラブル端末の構成について説明する。なお、
図5では、ウェアラブル端末として指輪型ウェアラブル端末300aを用いる例について説明する。なお、指輪型ウェアラブル端末300aの材質は、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂である。なお、
図5は、指輪型ウェアラブル端末300aの正面図とする。
【0028】
指輪型ウェアラブル端末300aは、線状ループアンテナ111、パターンループアンテナ112、NFC用IC120を備えている、また、指輪型ウェアラブル端末300aにおける線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112は、直列に接続されている。また、指輪型ウェアラブル端末300aでは、
図4に示すように、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成している。
【0029】
線状ループアンテナ111は、指輪型ウェアラブル端末300aの筐体内で、筐体の輪環体形状に沿って配置されている。
【0030】
パターンループアンテナ112は、XY平面に平行に配置されている。また、パターンループアンテナ112内のFPCによるパターンは、XY平面に平行に形成されている。
【0031】
続いて、
図6を用いて、指輪型ウェアラブル端末300aへの複合アンテナ110aの実装例について説明する。
図6は、指へ装着された指輪型ウェアラブル端末300aを示している。なお、
図6は、
図5の指輪型ウェアラブル端末300aを側面からみた図である。
図6の実装例では、線状ループアンテナ111は、パターンループアンテナ112に対して略90°の角度、すなわちXY平面に略垂直となるように配置されている。
【0032】
ここで、
図7及び
図8を用いて、
図6の指輪型ウェアラブル端末300aのリーダライタ200へのかざし方について説明する。
図7に示すように、
図6の指輪型ウェアラブル端末300aを、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざした場合、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるため、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとの間で磁束が有効に鎖交する。
【0033】
しかし、指輪型ウェアラブル端末300aは、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざされるとは限らない。例えば、
図8に示すように、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行とはならないようにかざされた場合、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとの間で鎖交する磁束が減り、パターンループアンテナ112のみではリーダライタ200に対する通信特性は良好な状態とはならない。このような状態では、線状ループアンテナ111とリーダライタ200のアンテナとの間でも磁束が鎖交するため、指輪型ウェアラブル端末300aは、複合アンテナ110aによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0034】
続いて、
図9を用いて、指輪型ウェアラブル端末300aへの複合アンテナ110aの実装の他の例について説明する。
図9は、指へ装着された指輪型ウェアラブル端末300aを示している。なお、
図9は、
図5の指輪型ウェアラブル端末300aを側面からみた図である。
図9の実装例では、線状ループアンテナ111は、パターンループアンテナ112に対して90°より小さくデザインが許容される範囲の角度となるように配置されている。
【0035】
ここで、
図10を用いて、
図9の指輪型ウェアラブル端末300aのリーダライタ200へのかざし方について説明する。
図10に示すように、
図9の指輪型ウェアラブル端末300aを、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざした場合、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるため、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとの間で磁束が有効に鎖交する。また、
図9の指輪型ウェアラブル端末300aを、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざした場合、線状ループアンテナ111とリーダライタ200のアンテナとの間でも磁束が鎖交するため、指輪型ウェアラブル端末300aは、複合アンテナ110aによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0036】
以上のように、本発明の実施の形態2にかかる誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、線状ループアンテナ111は、指輪型ウェアラブル端末300aの筐体内で、筐体の輪環体形状に沿って配置されている。すなわち、線状ループアンテナ111は、携帯電話機に比べて小型且つ薄型である指輪型ウェアラブル端末の実装条件下でも実装可能である。
【0037】
また、指輪型ウェアラブル端末300aを側面からみた状態で、線状ループアンテナ111を、パターンループアンテナ112に対して略90°の角度となるように配置することで、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行とはならないようにかざされた場合であっても、複合アンテナ110aによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0038】
また、指輪型ウェアラブル端末300aを側面からみた状態で、線状ループアンテナ111を、パターンループアンテナ112に対して90°より小さい角度となるように配置することで、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるようにかざされた場合のリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0039】
実施の形態2の変形例1
続いて、本発明の実施の形態2の変形例1にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナについて説明する。本発明の実施の形態2の変形例1は、実施の形態2の線状ループアンテナ111を、輪環体形状のウェアラブル端末の筐体の表面の金属フレームを用いて形成する例である。なお、近距離無線通信システムの全体構成、及び誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aの構成は、
図1、及び
図2に示す構成と同様であり、説明を省略する。
【0040】
図11に、筐体の表面の金属フレームを用いて線状ループアンテナ111を形成した指輪型ウェアラブル端末300bの構成を示す。指輪型ウェアラブル端末300bは、筐体の表面の少なくとも一部に金属フレームを備えている。指輪型ウェアラブル端末300bでは、この金属フレームを用いて線状ループアンテナ111を形成している。例えば、指輪型ウェアラブル端末300bは、筐体の表面の一部が金属フレームであり、残りの部分がABS樹脂である。
【0041】
以上のように、本発明の実施の形態2の変形例1にかかる誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、実施の形態2の線状ループアンテナ111を、指輪型ウェアラブル端末300bの筐体の表面の金属フレームを用いて形成している。当該構成においても実施の形態2と同様の効果を有することができる。また、実施の形態2の変形例1にかかる指輪型ウェアラブル端末300bでは、指輪型ウェアラブル端末300bの筐体内に線状ループアンテナ111を配置していないため、実施の形態2にかかる指輪型ウェアラブル端末300aに比べて指輪型ウェアラブル端末内の実装状況を緩和することができる。
【0042】
実施の形態2の変形例2
続いて、本発明の実施の形態2の変形例2にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナについて説明する。本発明の実施の形態2の変形例2は、線状ループアンテナをFPCによるパターンで形成する例である。なお、近距離無線通信システムの全体構成は、
図1に示す構成と同様であり、説明を省略する。なお、実施の形態2の変形例2の誘導体読み書き装置100bは、
図1の複合アンテナ110aに代えて複合アンテナ110bを備えている。
【0043】
まず、
図12を用いて、本発明の実施の形態2の変形例2にかかる誘導式読み書き装置100bの複合アンテナ110bの構成について説明する。複合アンテナ110bは、FPCループアンテナ113、パターンループアンテナ112を備えている。また、FPCループアンテナ113とパターンループアンテナ112は、直列に接続されている。なお、パターンループアンテナ112については、上述した構成と同じであるため説明を省略する。
【0044】
FPCループアンテナ113は、線状のループアンテナをFPCによるパターンで形成したアンテナである。また、FPCループアンテナ113は、線状ループアンテナ111と同様に、実装される端末の筐体内で、筐体の形状に沿って配置することができる。
【0045】
続いて、
図13を用いて、誘導式読み書き装置100bの複合アンテナ110bを実装したウェアラブル端末の構成について説明する。なお、
図13では、ウェアラブル端末として指輪型ウェアラブル端末300cを用いる例について説明する。なお、指輪型ウェアラブル端末300cの材質は、例えばABS樹脂である。
【0046】
指輪型ウェアラブル端末300cは、FPCループアンテナ113、パターンループアンテナ112、NFC用IC120を備えている、また、指輪型ウェアラブル端末300cにおけるFPCループアンテナ113とパターンループアンテナ112は、直列に接続されている。また、指輪型ウェアラブル端末300cでは、
図4に示すように、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成している。さらに、FPCループアンテナ113は、指輪型ウェアラブル端末300cの筐体内で、筐体の輪環体形状に沿って配置されている。すなわち、FPCループアンテナ113は、本発明の実施の形態2の線状ループアンテナ111と同様の形状で同様に配置されている。
【0047】
以上のように、本発明の実施の形態2の変形例2にかかる誘導式読み書き装置100bの複合アンテナ110bでは、実施の形態2の線状ループアンテナ111に代えてFPCループアンテナ113を用いた構成としている。当該構成においても実施の形態2と同様の効果を有することができる。
【0048】
なお、上述の実施の形態2及び変形例の説明では、輪環体形状のウェアラブル端末として、指輪型ウェアラブル端末を用いる例について説明したが、輪環体形状のウェアラブル端末は、指輪型ウェアラブル端末に限らない。例えば、輪環体形状のウェアラブル端末として、腕輪型ウェアラブル端末を用いた場合にも同様の効果を有する。
【0049】
実施の形態3
続いて、本発明の実施の形態3にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナについて説明する。本発明の実施の形態3は、実施の形態2の線状ループアンテナに代えて電線アンテナを用いる例である。なお、近距離無線通信システムの全体構成は、
図1に示す構成と同様であり、説明を省略する。なお、実施の形態3の誘導体読み書き装置100cは、
図1の複合アンテナ110aに代えて複合アンテナ110cを備えている。
【0050】
まず、
図14を用いて、本発明の実施の形態3にかかる誘導式読み書き装置100cの複合アンテナ110cの構成について説明する。複合アンテナ110cは、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112を備えている。また、電線アンテナ114とパターンループアンテナ112は、直列に接続されている。なお、パターンループアンテナ112については、上述した構成と同じであるため説明を省略する。
【0051】
電線アンテナ114は、磁性体コアに電線を巻きつけて形成したアンテナである。
図15に電線アンテナ114の構成図を示す。なお、
図15の例では、直方体形状の磁性体コアを示しているが、磁性体コアの形状は直方体でなくてもよく、例えば円柱形状でもよい。なお、磁性体コアに用いられる磁性体の種類は、例えばフェライトである。また、電線アンテナ114は、該アンテナの構造上、平面にループを形成するパターンループアンテナ112に比べて実装面積を小さくすることができる。また、複合アンテナ110cでは、
図4に示すのと同様に、電線アンテナ114とパターンループアンテナ112とを、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成する。
【0052】
以上のように、本発明の実施の形態3にかかる
図14の誘導式読み書き装置100cの複合アンテナ110cでは、電線アンテナ114とパターンループアンテナ112とを直列に接続するように構成している。また、電線アンテナ114は、パターンループアンテナ112に比べて実装面積を小さくすることができ、携帯電話機に比べて小型且つ薄型であるウェアラブル端末の実装条件下への実装に適している。また、電線アンテナ114とパターンループアンテナ112とを直列に接続する構成により、パターンループアンテナ112の小型化による通信特性低下を電線アンテナ114が補うことにより通信特性を良好に保つことが可能である。したがって、実施の形態3にかかる
図14の誘導式読み書き装置100cの複合アンテナ110cでは、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実現することができる。
【0053】
実施の形態3の変形例
続いて、
図16を用いて、本発明の実施の形態3の変形例にかかる誘導式読み書き装置100dの複合アンテナ110dの構成について説明する。本発明の実施の形態3の変形例は、電線アンテナを2つ用いる例である。
【0054】
複合アンテナ110dは、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、電線アンテナ115を備えている。すなわち、電線アンテナを2つ、パターンループアンテナ112を1つ備えている。また、複合アンテナ110dでは、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、電線アンテナ115の順に直列に接続されている。なお、パターンループアンテナ112については、上述した構成と同じであるため説明を省略する。また、電線アンテナ115は、電線アンテナ114と同様に、磁性体コアに電線を巻きつけて形成したアンテナである。また、複合アンテナ110dでは、
図4に示すのと同様に、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、及び電線アンテナ115を、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成する。
【0055】
続いて、
図17を用いて、誘導式読み書き装置100dの複合アンテナ110dを実装したウェアラブル端末の構成について説明する。なお、
図17では、ウェアラブル端末として指輪型ウェアラブル端末300dを用いる例について説明する。なお、指輪型ウェアラブル端末300dの材質は、例えばABS樹脂である。
【0056】
指輪型ウェアラブル端末300dは、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、電線アンテナ115、NFC用IC120を備えている。電線アンテナ114及び115は、パターンループアンテナ112に比べて実装面積は小さい。このため、携帯電話機に比べて小型且つ薄型である指輪型ウェアラブル端末の実装条件下でも2つ実装することが可能である。したがって、電線アンテナを1つ設けるのみでは、線状ループアンテナ111と同程度の通信特性を確保できない状況であっても、電線アンテナを2つ設けることにより通信特性を改善することができる。
【0057】
また、
図17の(a)の指輪型ウェアラブル端末300dでは、電線アンテナ114及び115は、電線アンテナ114及び115の電線がパターンループアンテナ112に対して略平行となるように配置されている。このような配置により、指輪型ウェアラブル端末300dを、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざした場合、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるため、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとの間で磁束が有効に鎖交する。また、電線アンテナ114及び115とリーダライタ200のアンテナとの間でも磁束が鎖交するため、指輪型ウェアラブル端末300dは、複合アンテナ110dによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0058】
また、
図17の(b)の指輪型ウェアラブル端末300dでは、電線アンテナ114及び115は、電線アンテナ114及び115の電線がパターンループアンテナ112に対して略90°の角度となるように配置されている。このような配置により、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行とはならないようにかざされた場合であっても、電線アンテナ114及び115とリーダライタ200のアンテナとの間でも磁束が鎖交するため、指輪型ウェアラブル端末300dは、複合アンテナ110dによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0059】
また、電線アンテナ114及び115のうち、一方を
図17の(a)に示す電線アンテナのように配置し、他方を
図17の(b)の電線アンテナのように配置してもよい。すなわち、一方の電線アンテナを、電線アンテナの電線がパターンループアンテナ112に対して略平行となるように配置し、他方の電線アンテナを、電線アンテナの電線がパターンループアンテナ112に対して略90°の角度となるように配置してもよい。
【0060】
以上のように、本発明の実施の形態3の変形例にかかる誘導式読み書き装置100dの複合アンテナ110dでは、携帯電話機に比べて小型且つ薄型である指輪型ウェアラブル端末の実装条件下にて、2つの電線アンテナ114及び115を実装することが可能である。また、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、電線アンテナ115の順に直列に接続する構成により、パターンループアンテナ112の小型化による通信特性低下を電線アンテナ114及び115が補うことにより通信特性を良好に保つことが可能である。
【0061】
また、電線アンテナの電線がパターンループアンテナ112に対して略平行となるように電線アンテナを配置することで、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるようにかざされた場合のリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0062】
また、電線アンテナの電線がパターンループアンテナ112に対して略90°の角度となるように電線アンテナを配置することで、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行とはならないようにかざされた場合であっても、複合アンテナ110dによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0063】
したがって、実施の形態3の変形例にかかる誘導式読み書き装置100dの複合アンテナ110dでは、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実現することができる。
【0064】
なお、上述の実施の形態3及び実施の形態3の変形例の説明では、ウェアラブル端末として、指輪型ウェアラブル端末を用いる例について説明したが、ウェアラブル端末は、指輪型ウェアラブル端末に限らない。例えば、ウェアラブル端末として、腕輪型ウェアラブル端末を用いた場合にも同様の効果を有する。
【0065】
また、実施の形態3の変形例では、複合アンテナ110dが、電線アンテナ114及び115の2つの電線アンテナを用いることについて説明したが、電線アンテナの数は3つ以上でもよい。例えば、4つの電線アンテナを用いる構成とし、2つの電線アンテナを
図17の(a)に示す電線アンテナのように配置し、残りの2つの電線アンテナを
図17の(b)の電線アンテナのように配置してもよい。
【0066】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ウェアラブル端末は、センサー等の様々な部品を備えるようにしてもよく、また、様々な部品のためにバッテリーを備えるようにしてもよい。指輪型ウェアラブル端末300aへのバッテリー130の実装例を
図18に示す。
【0067】
また、上述の説明では、ウェアラブル端末として、輪環体形状のウェアラブル端末を用いる例について説明したが、輪環体形状ではないウェアラブル端末に適用することも可能である。
【0068】
さらに、上述の説明では、パターンループアンテナに磁性体シートを用いることとして説明したが、磁性体シートがない状態で性能を確保できる場合は、磁性体シートなしでもかまわないものとする。