特許第6598300号(P6598300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6598300誘導式読み書き装置の複合アンテナ、及びウェアラブル端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598300
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】誘導式読み書き装置の複合アンテナ、及びウェアラブル端末
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/06 20060101AFI20191021BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20191021BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H01Q7/06
   H04B5/02
   G06K19/077 228
   G06K19/077 252
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-212877(P2015-212877)
(22)【出願日】2015年10月29日
(65)【公開番号】特開2017-85397(P2017-85397A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 成樹
(72)【発明者】
【氏名】明神 将司
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−130566(JP,A)
【文献】 特開2013−009071(JP,A)
【文献】 特開2001−053521(JP,A)
【文献】 特開2002−074313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
H01Q 7/06
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状のループアンテナである線状ループアンテナと、
磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、を備え、
前記線状ループアンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続され
前記線状ループアンテナは、輪環体形状の筐体内で前記筐体の形状に沿って配置され、
前記線状ループアンテナは、前記パターンループアンテナに対して、所定の角度となるよう配置されている、
誘導式読み書き装置の複合アンテナ。
【請求項2】
前記線状ループアンテナは、FPCによるパターンで形成される、請求項に記載の誘導式読み書き装置の複合アンテナ。
【請求項3】
線状のループアンテナである線状ループアンテナと、
磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、を備え、
前記線状ループアンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続され、
前記線状ループアンテナは、輪環体形状の筐体の表面の金属フレームを用いて形成され
前記線状ループアンテナは、前記パターンループアンテナに対して、所定の角度となるよう配置されてい
導式読み書き装置の複合アンテナ。
【請求項4】
磁性体コアに電線を巻きつけて形成した電線アンテナと、
磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、を備え、
前記電線アンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続され
前記電線アンテナ、及び前記パターンループアンテナは、輪環体形状の筐体内に配置され、
前記電線アンテナの前記電線は、前記パターンループアンテナに対して、略平行となるよう配置されている、
誘導式読み書き装置の複合アンテナ。
【請求項5】
前記電線アンテナとして、第1の電線アンテナ及び第2の電線アンテナを備え、
前記第1の電線アンテナ、前記パターンループアンテナ、前記第2の電線アンテナの順に直列に接続される、請求項に記載の誘導式読み書き装置の複合アンテナ。
【請求項6】
線状のループアンテナである線状ループアンテナと、
磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、
輪環体形状の筐体と、を備え、
前記線状ループアンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続され
前記線状ループアンテナは、前記輪環体形状の前記筐体内で前記筐体の形状に沿って配置され、
前記線状ループアンテナは、前記パターンループアンテナに対して、所定の角度となるよう配置されている、
ウェアラブル端末。
【請求項7】
線状のループアンテナである線状ループアンテナと、
磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、
輪環体形状の筐体と、を備え、
前記線状ループアンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続され、
前記線状ループアンテナは、前記筐体の表面の金属フレームを用いて形成され
前記線状ループアンテナは、前記パターンループアンテナに対して、所定の角度となるよう配置されてい
ェアラブル端末。
【請求項8】
磁性体コアに電線を巻きつけて形成した電線アンテナと、
磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、を備え、
前記電線アンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続され
前記電線アンテナ、及び前記パターンループアンテナは、輪環体形状の筐体内に配置され、
前記電線アンテナの前記電線は、前記パターンループアンテナに対して、略平行となるよう配置されている、
ウェアラブル端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導式読み書き装置の複合アンテナ、及びウェアラブル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IC(Integrated Circuit)チップとNFC(Near Field Communication)用アンテナを備えた誘導式読み書き装置を内蔵した携帯電話機等の無線通信端末が普及している。この無線通信端末は、リーダライタに設けられた電磁界の照射面に対して、NFC用アンテナが設けられている面をかざすように配したとき、当該無線通信端末内のICチップがNFC用アンテナを介してリーダライタと通信する。
【0003】
特許文献1には、複数の面を有する筺体の内部に、筺体の面に対して平行となる状態で、互いに独立に設けられた2以上のアンテナにより、リーダライタと通信を行う携帯電話機が開示されている。特許文献1の携帯電話機では、リーダライタに設けられた電磁界の照射面に対して、アンテナが設けられている複数の面のいずれかをかざすことにより、かざした面に平行となる状態で設けられた1つのアンテナを介してリーダライタと通信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−288341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、誘導式読み書き装置を、指や手首といった人体の一部に装着して使用するウェアラブル端末に内蔵することが望まれている。このようなウェアラブル端末に内蔵する誘導式読み書き装置のアンテナとして、特許文献1の携帯電話機に実装されているアンテナを用いることが考えられる。しかし、特許文献1のアンテナは、直方体形状の携帯電話機の構造上、筺体の面に対して平行に実装することしか想定されていない。このため、特許文献1のアンテナを、例えば輪環体形状等であるウェアラブル端末にそのまま実装することは困難であるという問題があった。
【0006】
また、ウェアラブル端末は、指や手首といった人体の一部に装着しての使用が前提であるため、携帯電話機に比べて小型且つ薄型であることが望まれる。このため、特許文献1のアンテナをウェアラブル端末に実装するためには、アンテナを小型化する必要がある。しかし、アンテナの特性は、アンテナの大きさや巻き数に依存するため、アンテナを小型化すると、リーダライタとの通信を行うことのできない通信不可領域が発生しやすくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナは、線状のループアンテナである線状ループアンテナと、磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、を備え、前記線状ループアンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続されるものである。
【0009】
本発明の第2の態様にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナは、磁性体コアに電線を巻きつけて形成した電線アンテナと、磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、を備え、前記電線アンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続されるものである。
【0010】
本発明の第3の態様にかかるウェアラブル端末は、線状のループアンテナである線状ループアンテナと、磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、を備え、前記線状ループアンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続されるものである。
【0011】
本発明の第4の態様にかかるウェアラブル端末は、磁性体コアに電線を巻きつけて形成した電線アンテナと、磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したパターンループアンテナと、を備え、前記電線アンテナと前記パターンループアンテナは、直列に接続されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1にかかる近距離無線通信システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態1にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナを示すブロック図である。
図3】アンテナの巻き方と誘導電流の流れる向きの関係について説明するための図である。
図4】アンテナの巻き方と誘導電流の流れる向きの関係について説明するための図である。
図5】本発明の実施の形態2にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実装した指輪型ウェアラブル端末の構成を示す図である。
図6】本発明の実施の形態2にかかる指輪型ウェアラブル端末への複合アンテナの実装例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態2にかかる指輪型ウェアラブル端末のリーダライタへのかざし方の例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態2にかかる指輪型ウェアラブル端末のリーダライタへのかざし方の例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態2にかかる指輪型ウェアラブル端末への複合アンテナの実装例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態2にかかる指輪型ウェアラブル端末のリーダライタへのかざし方の例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態2の変形例1にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実装した指輪型ウェアラブル端末の構成を示す図である。
図12】本発明の実施の形態2の変形例2にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナを示すブロック図である。
図13】本発明の実施の形態2の変形例2にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実装した指輪型ウェアラブル端末の構成を示す図である。
図14】本発明の実施の形態3にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナを示すブロック図である。
図15】本発明の実施の形態3にかかる電線アンテナの構成を示す図である。
図16】本発明の実施の形態3の変形例にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナを示すブロック図である。
図17】本発明の実施の形態3の変形例にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実装した指輪型ウェアラブル端末の構成を示す図である。
図18】指輪型ウェアラブル端末へのバッテリーの実装例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態1にかかる近距離通信システムの構成について説明する。この近距離無線通信システムは、図1に示されるように、誘導式読み書き装置100a、リーダライタ200を備えている。
【0015】
誘導式読み書き装置100aは、複合アンテナ110a、NFC用IC120を備えている。誘導式読み書き装置100aは、複合アンテナ110aを用いてリーダライタ200と近距離無線通信を行う。具体的には、誘導式読み書き装置100aは、リーダライタ200からの電磁誘導により複合アンテナ110aに発生する誘導起電力を用いて、リーダライタ200との通信を行う。
【0016】
複合アンテナ110aは、NFC用の複合アンテナである。複合アンテナ110aについては、後に詳述する。
【0017】
NFC用IC120は、NFC規格で規定される通信を実行するための制御回路を構成し、複合アンテナ110aを介した無線通信を制御する。
【0018】
リーダライタ200は、例えば、電車等の公共交通機関の改札機、会社や特別な部屋等の会員用空間への出入口、コンビニエンスストア等の商取引場のカウンター等、所定の場所にそれぞれ設置されるものである。リーダライタ200の筺体内には、電磁界の照射面の裏面に、その照射面と平行な状態でアンテナが設けられている。リーダライタ200は、このアンテナから照射面の上方へ数センチメートル程度隔てた位置まで、通信相手が受信可能なレベルの電磁界を、当該アンテナから照射するようになされている。
【0019】
次に、図2を用いて、本発明の実施の形態1にかかる誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aの構成について説明する。複合アンテナ110aは、線状ループアンテナ111、パターンループアンテナ112を備えている。
【0020】
線状ループアンテナ111は、線状のループアンテナである。線状ループアンテナ111は、例えば、銅線により構成される。また、線状ループアンテナ111は、線状のループアンテナであるため、実装される端末の筐体内で、筐体の形状に沿って配置することができる。
【0021】
パターンループアンテナ112は、磁性体シートにFPC(Flexible printed circuits)によるパターンで形成したループアンテナである。ここで、磁性体シートは、金属遮へいのための電磁シールド材料として用いられるものである。磁性体シートに用いられる磁性体の種類は、例えばフェライトである。
【0022】
複合アンテナ110aでは、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112は、直列に接続される。このため、線状ループアンテナ111のインダクタンス値とパターンループアンテナ112のインダクタンス値との和が、複合アンテナ110aのインダクタンス値となる。
【0023】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる図2の誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを直列に接続するように構成している。また、線状ループアンテナ111は、実装される端末の筐体内で、筐体の形状に沿って配置することが可能であり、携帯電話機に比べて小型且つ薄型であるウェアラブル端末の実装条件下でも実装可能である。また、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを直列に接続する構成により、パターンループアンテナ112の小型化による通信特性低下を線状ループアンテナ111が補うことにより通信特性を良好に保つことが可能である。したがって、実施の形態1にかかる図2の誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実現することができる。
【0024】
続いて、図3及び図4を用いて、複合アンテナにおける各アンテナの巻き方と誘導電流の流れる向きの関係について説明する。電磁誘導によって流れる誘導電流は、アンテナの巻き方により流れる向きが変わる。このため、図3のように、アンテナの巻く向きが逆向きである2つのアンテナを直列に接続して作成した複合アンテナでは、各アンテナで流れる誘導電流が対向することで打ち消しあってしまう。このため、複合アンテナ110aでは、図4に示すように、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成する。
【0025】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実現することができる。
【0026】
実施の形態2
続いて、本発明の実施の形態2にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナについて説明する。本発明の実施の形態2は、誘導式読み書き装置の複合アンテナを、輪環体形状のウェアラブル端末に実装する例である。なお、近距離無線通信システムの全体構成、及び誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aの構成は、図1、及び図2に示す構成と同様であり、説明を省略する。
【0027】
まず、図5を用いて、誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aを実装したウェアラブル端末の構成について説明する。なお、図5では、ウェアラブル端末として指輪型ウェアラブル端末300aを用いる例について説明する。なお、指輪型ウェアラブル端末300aの材質は、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂である。なお、図5は、指輪型ウェアラブル端末300aの正面図とする。
【0028】
指輪型ウェアラブル端末300aは、線状ループアンテナ111、パターンループアンテナ112、NFC用IC120を備えている、また、指輪型ウェアラブル端末300aにおける線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112は、直列に接続されている。また、指輪型ウェアラブル端末300aでは、図4に示すように、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成している。
【0029】
線状ループアンテナ111は、指輪型ウェアラブル端末300aの筐体内で、筐体の輪環体形状に沿って配置されている。
【0030】
パターンループアンテナ112は、XY平面に平行に配置されている。また、パターンループアンテナ112内のFPCによるパターンは、XY平面に平行に形成されている。
【0031】
続いて、図6を用いて、指輪型ウェアラブル端末300aへの複合アンテナ110aの実装例について説明する。図6は、指へ装着された指輪型ウェアラブル端末300aを示している。なお、図6は、図5の指輪型ウェアラブル端末300aを側面からみた図である。図6の実装例では、線状ループアンテナ111は、パターンループアンテナ112に対して略90°の角度、すなわちXY平面に略垂直となるように配置されている。
【0032】
ここで、図7及び図8を用いて、図6の指輪型ウェアラブル端末300aのリーダライタ200へのかざし方について説明する。図7に示すように、図6の指輪型ウェアラブル端末300aを、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざした場合、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるため、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとの間で磁束が有効に鎖交する。
【0033】
しかし、指輪型ウェアラブル端末300aは、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざされるとは限らない。例えば、図8に示すように、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行とはならないようにかざされた場合、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとの間で鎖交する磁束が減り、パターンループアンテナ112のみではリーダライタ200に対する通信特性は良好な状態とはならない。このような状態では、線状ループアンテナ111とリーダライタ200のアンテナとの間でも磁束が鎖交するため、指輪型ウェアラブル端末300aは、複合アンテナ110aによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0034】
続いて、図9を用いて、指輪型ウェアラブル端末300aへの複合アンテナ110aの実装の他の例について説明する。図9は、指へ装着された指輪型ウェアラブル端末300aを示している。なお、図9は、図5の指輪型ウェアラブル端末300aを側面からみた図である。図9の実装例では、線状ループアンテナ111は、パターンループアンテナ112に対して90°より小さくデザインが許容される範囲の角度となるように配置されている。
【0035】
ここで、図10を用いて、図9の指輪型ウェアラブル端末300aのリーダライタ200へのかざし方について説明する。図10に示すように、図9の指輪型ウェアラブル端末300aを、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざした場合、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるため、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとの間で磁束が有効に鎖交する。また、図9の指輪型ウェアラブル端末300aを、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざした場合、線状ループアンテナ111とリーダライタ200のアンテナとの間でも磁束が鎖交するため、指輪型ウェアラブル端末300aは、複合アンテナ110aによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0036】
以上のように、本発明の実施の形態2にかかる誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、線状ループアンテナ111は、指輪型ウェアラブル端末300aの筐体内で、筐体の輪環体形状に沿って配置されている。すなわち、線状ループアンテナ111は、携帯電話機に比べて小型且つ薄型である指輪型ウェアラブル端末の実装条件下でも実装可能である。
【0037】
また、指輪型ウェアラブル端末300aを側面からみた状態で、線状ループアンテナ111を、パターンループアンテナ112に対して略90°の角度となるように配置することで、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行とはならないようにかざされた場合であっても、複合アンテナ110aによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0038】
また、指輪型ウェアラブル端末300aを側面からみた状態で、線状ループアンテナ111を、パターンループアンテナ112に対して90°より小さい角度となるように配置することで、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるようにかざされた場合のリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0039】
実施の形態2の変形例1
続いて、本発明の実施の形態2の変形例1にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナについて説明する。本発明の実施の形態2の変形例1は、実施の形態2の線状ループアンテナ111を、輪環体形状のウェアラブル端末の筐体の表面の金属フレームを用いて形成する例である。なお、近距離無線通信システムの全体構成、及び誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aの構成は、図1、及び図2に示す構成と同様であり、説明を省略する。
【0040】
図11に、筐体の表面の金属フレームを用いて線状ループアンテナ111を形成した指輪型ウェアラブル端末300bの構成を示す。指輪型ウェアラブル端末300bは、筐体の表面の少なくとも一部に金属フレームを備えている。指輪型ウェアラブル端末300bでは、この金属フレームを用いて線状ループアンテナ111を形成している。例えば、指輪型ウェアラブル端末300bは、筐体の表面の一部が金属フレームであり、残りの部分がABS樹脂である。
【0041】
以上のように、本発明の実施の形態2の変形例1にかかる誘導式読み書き装置100aの複合アンテナ110aでは、実施の形態2の線状ループアンテナ111を、指輪型ウェアラブル端末300bの筐体の表面の金属フレームを用いて形成している。当該構成においても実施の形態2と同様の効果を有することができる。また、実施の形態2の変形例1にかかる指輪型ウェアラブル端末300bでは、指輪型ウェアラブル端末300bの筐体内に線状ループアンテナ111を配置していないため、実施の形態2にかかる指輪型ウェアラブル端末300aに比べて指輪型ウェアラブル端末内の実装状況を緩和することができる。
【0042】
実施の形態2の変形例2
続いて、本発明の実施の形態2の変形例2にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナについて説明する。本発明の実施の形態2の変形例2は、線状ループアンテナをFPCによるパターンで形成する例である。なお、近距離無線通信システムの全体構成は、図1に示す構成と同様であり、説明を省略する。なお、実施の形態2の変形例2の誘導体読み書き装置100bは、図1の複合アンテナ110aに代えて複合アンテナ110bを備えている。
【0043】
まず、図12を用いて、本発明の実施の形態2の変形例2にかかる誘導式読み書き装置100bの複合アンテナ110bの構成について説明する。複合アンテナ110bは、FPCループアンテナ113、パターンループアンテナ112を備えている。また、FPCループアンテナ113とパターンループアンテナ112は、直列に接続されている。なお、パターンループアンテナ112については、上述した構成と同じであるため説明を省略する。
【0044】
FPCループアンテナ113は、線状のループアンテナをFPCによるパターンで形成したアンテナである。また、FPCループアンテナ113は、線状ループアンテナ111と同様に、実装される端末の筐体内で、筐体の形状に沿って配置することができる。
【0045】
続いて、図13を用いて、誘導式読み書き装置100bの複合アンテナ110bを実装したウェアラブル端末の構成について説明する。なお、図13では、ウェアラブル端末として指輪型ウェアラブル端末300cを用いる例について説明する。なお、指輪型ウェアラブル端末300cの材質は、例えばABS樹脂である。
【0046】
指輪型ウェアラブル端末300cは、FPCループアンテナ113、パターンループアンテナ112、NFC用IC120を備えている、また、指輪型ウェアラブル端末300cにおけるFPCループアンテナ113とパターンループアンテナ112は、直列に接続されている。また、指輪型ウェアラブル端末300cでは、図4に示すように、線状ループアンテナ111とパターンループアンテナ112とを、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成している。さらに、FPCループアンテナ113は、指輪型ウェアラブル端末300cの筐体内で、筐体の輪環体形状に沿って配置されている。すなわち、FPCループアンテナ113は、本発明の実施の形態2の線状ループアンテナ111と同様の形状で同様に配置されている。
【0047】
以上のように、本発明の実施の形態2の変形例2にかかる誘導式読み書き装置100bの複合アンテナ110bでは、実施の形態2の線状ループアンテナ111に代えてFPCループアンテナ113を用いた構成としている。当該構成においても実施の形態2と同様の効果を有することができる。
【0048】
なお、上述の実施の形態2及び変形例の説明では、輪環体形状のウェアラブル端末として、指輪型ウェアラブル端末を用いる例について説明したが、輪環体形状のウェアラブル端末は、指輪型ウェアラブル端末に限らない。例えば、輪環体形状のウェアラブル端末として、腕輪型ウェアラブル端末を用いた場合にも同様の効果を有する。
【0049】
実施の形態3
続いて、本発明の実施の形態3にかかる誘導式読み書き装置の複合アンテナについて説明する。本発明の実施の形態3は、実施の形態2の線状ループアンテナに代えて電線アンテナを用いる例である。なお、近距離無線通信システムの全体構成は、図1に示す構成と同様であり、説明を省略する。なお、実施の形態3の誘導体読み書き装置100cは、図1の複合アンテナ110aに代えて複合アンテナ110cを備えている。
【0050】
まず、図14を用いて、本発明の実施の形態3にかかる誘導式読み書き装置100cの複合アンテナ110cの構成について説明する。複合アンテナ110cは、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112を備えている。また、電線アンテナ114とパターンループアンテナ112は、直列に接続されている。なお、パターンループアンテナ112については、上述した構成と同じであるため説明を省略する。
【0051】
電線アンテナ114は、磁性体コアに電線を巻きつけて形成したアンテナである。図15に電線アンテナ114の構成図を示す。なお、図15の例では、直方体形状の磁性体コアを示しているが、磁性体コアの形状は直方体でなくてもよく、例えば円柱形状でもよい。なお、磁性体コアに用いられる磁性体の種類は、例えばフェライトである。また、電線アンテナ114は、該アンテナの構造上、平面にループを形成するパターンループアンテナ112に比べて実装面積を小さくすることができる。また、複合アンテナ110cでは、図4に示すのと同様に、電線アンテナ114とパターンループアンテナ112とを、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成する。
【0052】
以上のように、本発明の実施の形態3にかかる図14の誘導式読み書き装置100cの複合アンテナ110cでは、電線アンテナ114とパターンループアンテナ112とを直列に接続するように構成している。また、電線アンテナ114は、パターンループアンテナ112に比べて実装面積を小さくすることができ、携帯電話機に比べて小型且つ薄型であるウェアラブル端末の実装条件下への実装に適している。また、電線アンテナ114とパターンループアンテナ112とを直列に接続する構成により、パターンループアンテナ112の小型化による通信特性低下を電線アンテナ114が補うことにより通信特性を良好に保つことが可能である。したがって、実施の形態3にかかる図14の誘導式読み書き装置100cの複合アンテナ110cでは、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実現することができる。
【0053】
実施の形態3の変形例
続いて、図16を用いて、本発明の実施の形態3の変形例にかかる誘導式読み書き装置100dの複合アンテナ110dの構成について説明する。本発明の実施の形態3の変形例は、電線アンテナを2つ用いる例である。
【0054】
複合アンテナ110dは、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、電線アンテナ115を備えている。すなわち、電線アンテナを2つ、パターンループアンテナ112を1つ備えている。また、複合アンテナ110dでは、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、電線アンテナ115の順に直列に接続されている。なお、パターンループアンテナ112については、上述した構成と同じであるため説明を省略する。また、電線アンテナ115は、電線アンテナ114と同様に、磁性体コアに電線を巻きつけて形成したアンテナである。また、複合アンテナ110dでは、図4に示すのと同様に、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、及び電線アンテナ115を、アンテナの巻く向きが同じ向きになるように構成する。
【0055】
続いて、図17を用いて、誘導式読み書き装置100dの複合アンテナ110dを実装したウェアラブル端末の構成について説明する。なお、図17では、ウェアラブル端末として指輪型ウェアラブル端末300dを用いる例について説明する。なお、指輪型ウェアラブル端末300dの材質は、例えばABS樹脂である。
【0056】
指輪型ウェアラブル端末300dは、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、電線アンテナ115、NFC用IC120を備えている。電線アンテナ114及び115は、パターンループアンテナ112に比べて実装面積は小さい。このため、携帯電話機に比べて小型且つ薄型である指輪型ウェアラブル端末の実装条件下でも2つ実装することが可能である。したがって、電線アンテナを1つ設けるのみでは、線状ループアンテナ111と同程度の通信特性を確保できない状況であっても、電線アンテナを2つ設けることにより通信特性を改善することができる。
【0057】
また、図17の(a)の指輪型ウェアラブル端末300dでは、電線アンテナ114及び115は、電線アンテナ114及び115の電線がパターンループアンテナ112に対して略平行となるように配置されている。このような配置により、指輪型ウェアラブル端末300dを、パターンループアンテナ112が底面となるようにリーダライタ200へかざした場合、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるため、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとの間で磁束が有効に鎖交する。また、電線アンテナ114及び115とリーダライタ200のアンテナとの間でも磁束が鎖交するため、指輪型ウェアラブル端末300dは、複合アンテナ110dによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0058】
また、図17の(b)の指輪型ウェアラブル端末300dでは、電線アンテナ114及び115は、電線アンテナ114及び115の電線がパターンループアンテナ112に対して略90°の角度となるように配置されている。このような配置により、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行とはならないようにかざされた場合であっても、電線アンテナ114及び115とリーダライタ200のアンテナとの間でも磁束が鎖交するため、指輪型ウェアラブル端末300dは、複合アンテナ110dによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0059】
また、電線アンテナ114及び115のうち、一方を図17の(a)に示す電線アンテナのように配置し、他方を図17の(b)の電線アンテナのように配置してもよい。すなわち、一方の電線アンテナを、電線アンテナの電線がパターンループアンテナ112に対して略平行となるように配置し、他方の電線アンテナを、電線アンテナの電線がパターンループアンテナ112に対して略90°の角度となるように配置してもよい。
【0060】
以上のように、本発明の実施の形態3の変形例にかかる誘導式読み書き装置100dの複合アンテナ110dでは、携帯電話機に比べて小型且つ薄型である指輪型ウェアラブル端末の実装条件下にて、2つの電線アンテナ114及び115を実装することが可能である。また、電線アンテナ114、パターンループアンテナ112、電線アンテナ115の順に直列に接続する構成により、パターンループアンテナ112の小型化による通信特性低下を電線アンテナ114及び115が補うことにより通信特性を良好に保つことが可能である。
【0061】
また、電線アンテナの電線がパターンループアンテナ112に対して略平行となるように電線アンテナを配置することで、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行となるようにかざされた場合のリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0062】
また、電線アンテナの電線がパターンループアンテナ112に対して略90°の角度となるように電線アンテナを配置することで、パターンループアンテナ112とリーダライタ200のアンテナとが略平行とはならないようにかざされた場合であっても、複合アンテナ110dによりリーダライタ200に対する通信特性を良好な状態とすることができる。
【0063】
したがって、実施の形態3の変形例にかかる誘導式読み書き装置100dの複合アンテナ110dでは、リーダライタに対する通信特性を良好な状態に保ちながら、ウェアラブル端末に適した形状且つ小型化することができる誘導式読み書き装置の複合アンテナを実現することができる。
【0064】
なお、上述の実施の形態3及び実施の形態3の変形例の説明では、ウェアラブル端末として、指輪型ウェアラブル端末を用いる例について説明したが、ウェアラブル端末は、指輪型ウェアラブル端末に限らない。例えば、ウェアラブル端末として、腕輪型ウェアラブル端末を用いた場合にも同様の効果を有する。
【0065】
また、実施の形態3の変形例では、複合アンテナ110dが、電線アンテナ114及び115の2つの電線アンテナを用いることについて説明したが、電線アンテナの数は3つ以上でもよい。例えば、4つの電線アンテナを用いる構成とし、2つの電線アンテナを図17の(a)に示す電線アンテナのように配置し、残りの2つの電線アンテナを図17の(b)の電線アンテナのように配置してもよい。
【0066】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ウェアラブル端末は、センサー等の様々な部品を備えるようにしてもよく、また、様々な部品のためにバッテリーを備えるようにしてもよい。指輪型ウェアラブル端末300aへのバッテリー130の実装例を図18に示す。
【0067】
また、上述の説明では、ウェアラブル端末として、輪環体形状のウェアラブル端末を用いる例について説明したが、輪環体形状ではないウェアラブル端末に適用することも可能である。
【0068】
さらに、上述の説明では、パターンループアンテナに磁性体シートを用いることとして説明したが、磁性体シートがない状態で性能を確保できる場合は、磁性体シートなしでもかまわないものとする。
【符号の説明】
【0069】
100a、100b、100c、100d 誘導式読み書き装置
110a、110b、110c、110d 複合アンテナ
111 線状ループアンテナ
112 パターンループアンテナ
113 FPCループアンテナ
114、115 電線アンテナ
120 NFC用IC
130 バッテリー
200 リーダライタ
300a、300b、300c、300d 指輪型ウェアラブル端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18