特許第6598312号(P6598312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598312
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】筐体装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/86 20130101AFI20191021BHJP
   H01H 13/18 20060101ALI20191021BHJP
   H01H 13/20 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G06F21/86
   H01H13/18 Z
   H01H13/20 A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-235759(P2017-235759)
(22)【出願日】2017年12月8日
(65)【公開番号】特開2019-102012(P2019-102012A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2017年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】森田 誠
【審査官】 打出 義尚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−174457(JP,A)
【文献】 特開2012−064054(JP,A)
【文献】 特開2013−054689(JP,A)
【文献】 特開2015−191535(JP,A)
【文献】 特開2009−037364(JP,A)
【文献】 特開2009−025852(JP,A)
【文献】 特開2014−154106(JP,A)
【文献】 特開平10−214234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/86
H01H 13/18
H01H 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内側板面を備える第1の基板と、
前記第1の内側板面に平行に対向する第2の内側板面を備える第2の基板と、を有し、
前記第1の内側板面および前記第2の内側板面の少なくとも一方に、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品を搭載し、
前記第1の基板および前記第2の基板を収容する筐体をさらに有し、
前記筐体は、
該筐体に収容された前記第1の基板および前記第2の基板の前記第1の内側板面および前記第2の内側板面に垂直な方向に開口部を備える本体と、
前記開口部を塞ぐように、前記本体に取り付けられる蓋体と、を有し、
前記第1の内側板面および前記第2の内側板面の一方に搭載され、該第1の内側板面および該第2の内側板面に平行な方向に往復動作する押下部を備えるタンパリング検出スイッチと、
前記タンパリング検出スイッチの前記押下部に取り付けられ、前記第1の内側板面および前記第2の内側板面に平行な方向に延在する押下部延長部材をさらに有し、
前記押下部延長部材は、前記第1の内側板面および前記第2の内側板面に対して所定の角度をなす斜面部を有し、
前記蓋体の内側面から、前記筐体に収容された前記第1の基板および前記第2の基板の前記第1の内側板面および前記第2の内側板面に垂直な方向に突出するように設けられた押さえ部材をさらに有し、
前記押下部延長部材の前記斜面部の一部分は、少なくとも前記押さえ部材が接触していないときに、前記第1の内側板面と前記第2の内側板面との間の空間の範囲外に位置し、
前記押さえ部材は、
前記蓋体が該筐体の前記本体に取り付けられているときは、前記押下部延長部材の前記斜面部に接触することによって前記タンパリング検出スイッチを押下し、該タンパリング検出スイッチがタンパリング無しと検出する一方、
前記蓋体が該筐体の前記本体から取り外されたときは、前記押下部延長部材の前記斜面部から離脱することによって前記タンパリング検出スイッチを押下解除し、該タンパリング検出スイッチがタンパリングが有り得ると検出する、筐体装置
【請求項2】
前記蓋体および前記押さえ部材は、単一物として一体に形成されている、請求項1に記載の筐体装置
【請求項3】
前記押さえ部材は、
ネジであり、
前記蓋体に設けられた貫通雌ネジ部に該蓋体の外側面から螺入および挿通され、
さらに、前記押下部延長部材の前記斜面部に接触する、請求項1に記載の筐体装置
【請求項4】
前記押さえ部材は、
ネジであり、
前記蓋体に設けられた貫通孔部に該蓋体の外側面から挿通され、
さらに、前記筐体の前記本体に設けられた貫通雌ネジ部に螺入および挿通され、
さらにまた、前記押下部延長部材の前記斜面部に接触する、請求項1に記載の筐体装置
【請求項5】
前記筐体の前記本体に前記蓋体を固定する固定ネジをさらに有し、
前記固定ネジは、
前記蓋体に設けられた第2の貫通孔部に該蓋体の外側面から挿通され、
さらに、前記本体に設けられた雌ネジ部に螺入され、
前記押さえ部材および前記固定ネジは、互いに同一形状および同一サイズのネジ頭を備える、請求項またはに記載の筐体装置
【請求項6】
前記第1の基板は、前記第1の内側板面の反対側に第1の外側板面を備え、
前記第2の基板は、前記第2の内側板面の反対側に第2の外側板面を備え、
前記第1の外側板面および前記第2の外側板面にはそれぞれ、導体パターンから成り、断線したときにタンパリングが有り得ると検出するタンパリング検出パターンが形成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の筐体装置
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の筐体装置と、タンパリングから保護すべきデータを記憶した前記電子部品と、を有する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐タンパリング構造および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の耐タンパリング構造は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された耐タンパリング構造は、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品を搭載する基板と、本体および蓋体から成り、基板を収容する筐体と、基板に搭載されたプッシュ式のタンパリング検出スイッチと、筐体の蓋体の内側面に設けられ、筐体が閉じられたときにタンパリング検出スイッチを押す押え板とを有している。この構造によれば、筐体が開蓋されて押え板がタンパリング検出スイッチから離れると、タンパリング検出スイッチのオン/オフが切り替わる。タンパリング検出スイッチのオン/オフが切り替わると、電子部品を有する電子機器の動作が停止すると共に、電子部品に記憶されたデータが自動的に消去される。尚、本明細書において、「耐タンパリング構造」もしくは「耐タンパリング構造を有する筐体装置」との表記は、どちらも、耐タンパリング機能を奏する筐体装置を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−173905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたものをも含め、本発明の関連技術による耐タンパリング構造は、筐体の開蓋を検出するタンパリング検出スイッチが、筐体の蓋体を開蓋すると直ちに目視可能な基板上に配置されている。このため、蓋体を開蓋せずに孔をあけた場合であっても、目視によってタンパリング検出スイッチが特定されてしまう可能性がある。タンパリング検出スイッチが特定されると、例えば、タンパリング検出スイッチを接着剤で固化して動作不能とした上で、開蓋し、タンパリングが実行される可能性がある。このように、本発明の関連技術による耐タンパリング構造には、耐タンパリング性能の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、耐タンパリング性能に優れた耐タンパリング構造を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の他の目的は、上記のような耐タンパリング構造を有する筐体装置を提供することである。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、上記のような筐体装置を有する電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1の内側板面を備える第1の基板と、前記第1の内側板面に平行に対向する第2の内側板面を備える第2の基板と、を有し、前記第1の内側板面および前記第2の内側板面の少なくとも一方に、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品を搭載し、前記第1の基板および前記第2の基板を収容する筐体をさらに有し、前記筐体は、該筐体に収容された前記第1の基板および前記第2の基板の前記第1の内側板面および前記第2の内側板面に垂直な方向に開口部を備える本体と、前記開口部を塞ぐように、前記本体に取り付けられる蓋体と、を有し、前記第1の内側板面および前記第2の内側板面の一方に搭載され、該第1の内側板面および該第2の内側板面に平行な方向に往復動作する押下部を備えるタンパリング検出スイッチと、前記タンパリング検出スイッチの前記押下部に取り付けられ、前記第1の内側板面および前記第2の内側板面に平行な方向に延在する押下部延長部材をさらに有し、前記押下部延長部材は、前記第1の内側板面および前記第2の内側板面に対して所定の角度をなす斜面部を有し、前記蓋体の内側面から、前記筐体に収容された前記第1の基板および前記第2の基板の前記第1の内側板面および前記第2の内側板面に垂直な方向に突出するように設けられた押さえ部材をさらに有し、前記押さえ部材は、前記蓋体が該筐体の前記本体に取り付けられているときは、前記押下部延長部材の前記斜面部に接触することによって前記タンパリング検出スイッチを押下し、該タンパリング検出スイッチがタンパリング無しと検出する一方、前記蓋体が該筐体の前記本体から取り外されたときは、前記押下部延長部材の前記斜面部から離脱することによって前記タンパリング検出スイッチを押下解除し、該タンパリング検出スイッチがタンパリングが有り得ると検出する、耐タンパリング構造が得られる。
【0009】
本発明によればまた、前記耐タンパリング構造を有する筐体装置が得られる。
【0010】
本発明によればさらに、前記筐体装置と、タンパリングから保護すべきデータを記憶した前記電子部品とを有する、電子機器が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による耐タンパリング構造は、耐タンパリング性能に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態による耐タンパリング構造の断面図であり、(a)はタンパリング未検出時の状態を示す図であり、(b)はタンパリングが有り得ると検出した時の状態を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態による耐タンパリング構造の断面図であり、(a)はタンパリング未検出時の状態を示す図であり、(b)はタンパリングが有り得ると検出した時の状態を示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態による耐タンパリング構造の断面図であり、(a)はタンパリング未検出時の状態を示す図であり、(b)はタンパリングが有り得ると検出した時の状態を示す図である。
図4】本発明の第4の実施形態による耐タンパリング構造の断面図であり、(a)はタンパリング未検出時の状態を示す図であり、(b)はタンパリングが有り得ると検出した時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明による耐タンパリング構造および電子機器を説明する。図中、符号Wは幅方向を示し、符号Hは高さ方向を示し、符号Dは奥行方向を示している。
【0014】
[第1の実施形態]
図1(a)および(b)を参照すると、本発明の第1の実施形態による耐タンパリング構造は、第1の基板11と、第2の基板12と、第1の基板11および第2の基板12を収容する筐体20と、タンパリング検出スイッチ30と、押下部延長部材40と、押さえ部材22pとを有している。
【0015】
尚、図1(a)はタンパリング未検出時の状態を示す図であり、図1(b)はタンパリングが有り得ると検出した時の状態を示す図である。
【0016】
第1の基板11は、第1の内側板面11iと、第1の外側板面11tとを備えている。第2の基板12は、第1の基板11の第1の内側板面11iに平行に対向する第2の内側板面12iと、第2の外側板面12tとを備えている。第1の内側板面11iには、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品MDが搭載されている。尚、本発明において、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品は、第1の内側板面11iおよび第2の内側板面12iの少なくとも一方に搭載されればよい。
【0017】
筐体20は、本体21と、蓋体22とを有している。本体21は、筐体20に収容された第1の基板11および第2の基板12の第1の内側板面11iおよび第2の内側板面12iに垂直な方向に開口部を備えている。蓋体22は、本体21の開口部を塞ぐように、本体21に取り付けられている。尚、第1の基板11および第2の基板12は、図示はしないが、本体21内にネジ等を用いて固定されている。
【0018】
タンパリング検出スイッチ30は、プッシュスイッチであり、第1の基板11の第1の内側板面11iに搭載されている。尚、本発明において、タンパリング検出スイッチは、第1の内側板面および第2の内側板面の一方に搭載されればよい。タンパリング検出スイッチ30は、第1の内側板面11iに平行な方向に往復動作する押下部32を備えている。タンパリング検出スイッチ30は、押下されているときに、「タンパリング無し」と検出し、押下解除されたときに、「タンパリングが有り得る」と検出する。
【0019】
押下部延長部材40は、タンパリング検出スイッチ30の押下部32に取り付けられ、第1の内側板面11iおよび第2の内側板面12iに平行な方向に延在している。押下部延長部材40は、基部41と、斜面部42とを有している。基部41は、棒状を呈し、一端がタンパリング検出スイッチ30の押下部32に取り付けられている。タンパリング検出スイッチ30側の端部が最も高く、タンパリング検出スイッチ30から遠ざかるにつれて低くなる斜面を有する斜面部42は、基部41の他端に設けられ、第1の内側板面11iおよび第2の内側板面12iに対して所定の角度をなしている。所定の角度とは、例えば、30度〜60度である。斜面部42の角度は、押さえ部材22pが移動する距離を勘案して決定すればよい。即ち、押さえ部材22pが、押下部延長部材40の斜面部42に接触し始めた後、移動して最も低い位置となるまでに、タンパリング検出スイッチ30の接点がオンからオフへ、あるいは、オフからオンへ切り換わるだけのストロークが得られるようにすればよい。
【0020】
尚、タンパリング検出スイッチ30の押下部32が、基部41を加えた長さを有し、押下部32に押下部延長部材40の斜面部42を取り付けたものであってもよい。この場合、押下部延長部材40は、斜面部42のみを有し、基部41を有していない。
【0021】
押さえ部材22pは、蓋体22の内側面から、筐体20に収容された第1の基板11および第2の基板12の第1の内側板面11iおよび第2の内側板面12iに垂直な方向に突出するように設けられている。蓋体22および押さえ部材22pは、単一物として一体に形成されている。
【0022】
押さえ部材22pは、図1(a)に示すように、蓋体22が筐体20の本体21に取り付けられているときは、押下部延長部材40の斜面部42に接触することによってタンパリング検出スイッチ30を押下する。これにより、タンパリング検出スイッチ30が、「タンパリング無し」と検出する。
【0023】
一方、図1(b)に示すように、蓋体22が筐体20の本体21から取り外されたときは、押下部延長部材40の斜面部42から離脱することによってタンパリング検出スイッチ30を押下解除する。これにより、タンパリング検出スイッチ30が、「タンパリングが有り得る」と検出する。
【0024】
尚、押下部延長部材40の斜面部42の一部分は、少なくとも押さえ部材22pが接触していないときに、第1の内側板面11iと第2の内側板面12iとの間の空間の範囲外に位置している。
【0025】
また、第1の基板11の第1の外側板面11tおよび第2の基板12の第2の外側板面12tにそれぞれ、導体パターンから成り、断線することによってタンパリングが有り得ると検出するタンパリング検出パターンを形成してもよい。
【0026】
以上説明した筐体装置は、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品と共に、電子機器を構成する。
【0027】
以上のように、本発明の第1の実施形態による耐タンパリング構造は、タンパリング検出スイッチが、筐体の蓋体を開蓋しても直ちには目視されることがない第1の基板と第2の基板との間に配置されている。このため、仮に、蓋体を開蓋せずに孔をあけたとしても、目視によってタンパリング検出スイッチが特定されてしまうことがない。その結果、タンパリング検出スイッチが特定される可能性が低く、例えば、タンパリング検出スイッチを接着剤で固化して動作不能とした上で、開蓋し、タンパリングが実行される可能性は低い。即ち、本発明の第1の実施形態による耐タンパリング構造は、耐タンパリング性能に優れている。
【0028】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、押さえ部材がネジである点等が、第1の実施形態と異なっている。このため、第1の実施形態と同一部または同様部については、第1の実施形態の説明を援用することとし、詳細な説明を省略する。
【0029】
図2(a)および(b)を参照すると、本発明の第2の実施形態による耐タンパリング構造は、第1の基板11と、第2の基板12と、第1の基板11および第2の基板12を収容する筐体20’と、タンパリング検出スイッチ30と、押下部延長部材40と、押さえ部材50とを有している。
【0030】
尚、図2(a)はタンパリング未検出時の状態を示す図であり、図2(b)はタンパリングが有り得ると検出した時の状態を示す図である。
【0031】
第1の基板11は、第1の内側板面11iと、第1の外側板面11tとを備えている。第2の基板12は、第1の基板11の第1の内側板面11iに平行に対向する第2の内側板面12iと、第2の外側板面12tとを備えている。第1の内側板面11iには、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品MDが搭載されている。
【0032】
筐体20’は、本体23と、蓋体24とを有している。本体23は、筐体20’に収容された第1の基板11および第2の基板12の第1の内側板面11iおよび第2の内側板面12iに垂直な方向に開口部を備えている。蓋体24は、本体23の開口部を塞ぐように、本体23に取り付けられている。尚、第1の基板11および第2の基板12は、図示はしないが、本体23内にネジ等を用いて固定されている。
【0033】
タンパリング検出スイッチ30は、プッシュスイッチであり、第1の基板11の第1の内側板面11iに搭載されている。タンパリング検出スイッチ30は、第1の内側板面11iに平行な方向に往復動作する押下部32を備えている。タンパリング検出スイッチ30は、押下されているときに、「タンパリング無し」と検出し、押下解除されたときに、「タンパリングが有り得る」と検出する。
【0034】
押下部延長部材40は、タンパリング検出スイッチ30の押下部32に取り付けられ、第1の内側板面11iおよび第2の内側板面12iに平行な方向に延在している。押下部延長部材40は、基部41と、斜面部42とを有している。基部41は、棒状を呈し、一端がタンパリング検出スイッチ30の押下部32に取り付けられている。タンパリング検出スイッチ30側の端部が最も高く、タンパリング検出スイッチ30から遠ざかるにつれて低くなる斜面を有する斜面部42は、基部41の他端に設けられ、第1の内側板面11iおよび第2の内側板面12iに対して所定の角度をなしている。所定の角度とは、例えば、30度〜60度である。斜面部42の角度は、押さえ部材50が移動する距離を勘案して決定すればよい。即ち、押さえ部材50が、押下部延長部材40の斜面部42に接触し始めた後、移動して最も低い位置となるまでに、タンパリング検出スイッチ30の接点がオンからオフへ、あるいは、オフからオンへ切り換わるだけのストロークが得られるようにすればよい。
【0035】
尚、タンパリング検出スイッチ30の押下部32が、基部41を加えた長さを有し、押下部32に押下部延長部材40の斜面部42を取り付けたものであってもよい。この場合、押下部延長部材40は、斜面部42のみを有し、基部41を有していない。
【0036】
押さえ部材50は、ネジであり、蓋体24に設けられた貫通孔部24hhに蓋体24の外側から挿通され、さらに、筐体20’の本体23に設けられた貫通雌ネジ部23thに螺入および挿通され、さらにまた、図2(a)に示すように、押下部延長部材40の斜面部42に接触する。
【0037】
押さえ部材50は、図2(a)に示すように、貫通雌ネジ部23thに螺入および挿通されているときは、押下部延長部材40の斜面部42に接触することによってタンパリング検出スイッチ30を押下する。これにより、タンパリング検出スイッチ30が、「タンパリング無し」と検出する。
【0038】
一方、図2(b)に示すように、貫通雌ネジ部23thから螺出および抜去されたときは、押下部延長部材40の斜面部42から離脱することによってタンパリング検出スイッチ30を押下解除する。これにより、タンパリング検出スイッチ30が、「タンパリングが有り得る」と検出する。
【0039】
尚、押下部延長部材40の斜面部42の一部分は、少なくとも押さえ部材50が接触していないときに、第1の内側板面11iと第2の内側板面12iとの間の空間の範囲外に位置している。
【0040】
また、第1の基板11の第1の外側板面11tおよび第2の基板12の第2の外側板面12tにそれぞれ、導体パターンから成り、断線することによってタンパリングが有り得ると検出するタンパリング検出パターンを形成してもよい。
【0041】
さらに、図示はしないが、筐体20’の本体23に蓋体24を固定する固定ネジをさらに有していてもよい。この場合、固定ネジは、蓋体24に設けられた第2の貫通孔部に蓋体24の外側から挿通され、さらに、筐体20’の本体23に設けられた雌ネジ部に螺入されてもよい。この場合、押さえ部材50および固定ネジは、互いに同一形状および同一サイズのネジ頭を備えていてもよい。
【0042】
以上説明した筐体装置は、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品と共に、電子機器を構成する。
【0043】
以上のように、本発明の第2の実施形態による耐タンパリング構造も、タンパリング検出スイッチが、筐体の蓋体を開蓋しても直ちには目視されることがない第1の基板と第2の基板との間に配置されている。このため、仮に、蓋体を開蓋せずに孔をあけたとしても、目視によってタンパリング検出スイッチが特定されてしまうことがない。その結果、タンパリング検出スイッチが特定される可能性が低く、例えば、タンパリング検出スイッチを接着剤で固化して動作不能とした上で、開蓋し、タンパリングが実行される可能性は低い。即ち、本発明の第2の実施形態による耐タンパリング構造も、耐タンパリング性能に優れている。
【0044】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態は、押下部延長部材の配置構造の点等が、第1および第2の実施形態と異なっている。このため、第1および第2の実施形態と同一部または同様部については、第1および第2の実施形態の説明を援用することとし、詳細な説明を省略する。
【0045】
図3(a)および(b)を参照すると、本発明の第3の実施形態による耐タンパリング構造は、第1の基板61と、第2の基板62と、第1の基板61および第2の基板62を収容する筐体70と、タンパリング検出スイッチ30と、押下部延長部材40と、押さえ部材72pとを有している。
【0046】
尚、図3(a)はタンパリング未検出時の状態を示す図であり、図3(b)はタンパリングが有り得ると検出した時の状態を示す図である。
【0047】
第1の基板61は、第1の内側板面61iと、第1の外側板面61tとを備えている。第2の基板62は、第1の基板61の第1の内側板面61iに平行に対向する第2の内側板面62iと、第2の外側板面62tとを備えている。第1の内側板面61iには、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品MDが搭載されている。
【0048】
筐体70は、本体71と、蓋体72とを有している。本体71は、筐体70に収容された第1の基板61および第2の基板62の第1の内側板面61iおよび第2の内側板面62iに垂直な方向に開口部を備えている。蓋体72は、本体71の開口部を塞ぐように、本体71に取り付けられている。尚、第1の基板61および第2の基板62は、図示はしないが、本体71内にネジ等を用いて固定されている。
【0049】
タンパリング検出スイッチ30は、プッシュスイッチであり、第1の基板61の第1の内側板面61iに搭載されている。タンパリング検出スイッチ30は、第1の内側板面61iに平行な方向に往復動作する押下部32を備えている。タンパリング検出スイッチ30は、押下されているときに、「タンパリング無し」と検出し、押下解除されたときに、「タンパリングが有り得る」と検出する。
【0050】
押下部延長部材40は、第1の基板61の第1の内側板面61iと第2の基板62の第2の内側板面62iとの間の空間の範囲内に位置している。第1の基板61および第2の基板62のうち、押さえ部材72pに対向する方である第2の基板62は、貫通孔部62hを有している。
【0051】
押下部延長部材40は、タンパリング検出スイッチ30の押下部32に取り付けられ、第1の内側板面61iおよび第2の内側板面62iに平行な方向に延在している。押下部延長部材40は、基部41と、斜面部42とを有している。基部41は、棒状を呈し、一端がタンパリング検出スイッチ30の押下部32に取り付けられている。タンパリング検出スイッチ30側の端部が最も高く、タンパリング検出スイッチ30から遠ざかるにつれて低くなる斜面を有する斜面部42は、基部41の他端に設けられ、第1の内側板面61iおよび第2の内側板面62iに対して所定の角度をなしている。所定の角度とは、例えば、30度〜60度である。斜面部42の角度は、押さえ部材72pが移動する距離を勘案して決定すればよい。即ち、押さえ部材72pが、押下部延長部材40の斜面部42に接触し始めた後、移動して最も低い位置となるまでに、タンパリング検出スイッチ30の接点がオンからオフへ、あるいは、オフからオンへ切り換わるだけのストロークが得られるようにすればよい。
【0052】
尚、タンパリング検出スイッチ30の押下部32が、基部41を加えた長さを有し、押下部32に押下部延長部材40の斜面部42を取り付けたものであってもよい。この場合、押下部延長部材40は、斜面部42のみを有し、基部41を有していない。
【0053】
押さえ部材72pは、蓋体72の内側面から、筐体70に収容された第1の基板61および第2の基板62の第1の内側板面61iおよび第2の内側板面62iに垂直な方向に突出するように設けられている。蓋体72および押さえ部材72pは、単一物として一体に形成されている。
【0054】
押さえ部材72pは、図3(a)に示すように、蓋体72が筐体70の本体71に取り付けられているときは、第2の基板62の貫通孔部62hを介して、押下部延長部材40の斜面部42に接触することによってタンパリング検出スイッチ30を押下する。これにより、タンパリング検出スイッチ30が、「タンパリング無し」と検出する。
【0055】
一方、図3(b)に示すように、蓋体72が筐体70の本体71から取り外されたときは、押下部延長部材40の斜面部42から離脱することによってタンパリング検出スイッチ30を押下解除する。これにより、タンパリング検出スイッチ30が、「タンパリングが有り得る」と検出する。
【0056】
尚、第1の基板61の第1の外側板面61tおよび第2の基板62の第2の外側板面62tにそれぞれ、導体パターンから成り、断線することによってタンパリングが有り得ると検出するタンパリング検出パターンを形成してもよい。
【0057】
以上説明した筐体装置は、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品と共に、電子機器を構成する。
【0058】
以上のように、本発明の第3の実施形態による耐タンパリング構造も、タンパリング検出スイッチが、筐体の蓋体を開蓋しても直ちには目視されることがない第1の基板と第2の基板との間に配置されている。このため、仮に、蓋体を開蓋せずに孔をあけたとしても、目視によってタンパリング検出スイッチが特定されてしまうことがない。その結果、タンパリング検出スイッチが特定される可能性が低く、例えば、タンパリング検出スイッチを接着剤で固化して動作不能とした上で、開蓋し、タンパリングが実行される可能性は低い。即ち、本発明の第3の実施形態による耐タンパリング構造も、耐タンパリング性能に優れている。
【0059】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態は、押さえ部材がネジである点等が、第1および第3の実施形態と異なっている。また、押下部延長部材の配置構造の点等が、第2の実施形態と異なっている。このため、第1〜第3の実施形態と同一部または同様部については、第1〜第3の実施形態の説明を援用することとし、詳細な説明を省略する。
【0060】
図4(a)および(b)を参照すると、本発明の第4の実施形態による耐タンパリング構造は、第1の基板61と、第2の基板62と、第1の基板61および第2の基板62を収容する筐体70’と、タンパリング検出スイッチ30と、押下部延長部材40と、押さえ部材50とを有している。
【0061】
尚、図4(a)はタンパリング未検出時の状態を示す図であり、図4(b)はタンパリングが有り得ると検出した時の状態を示す図である。
【0062】
第1の基板61は、第1の内側板面61iと、第1の外側板面61tとを備えている。第2の基板62は、第1の基板61の第1の内側板面61iに平行に対向する第2の内側板面62iと、第2の外側板面62tとを備えている。第1の内側板面61iには、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品MDが搭載されている。
【0063】
筐体70’は、本体71と、蓋体74とを有している。本体71は、筐体70’に収容された第1の基板61および第2の基板62の第1の内側板面61iおよび第2の内側板面62iに垂直な方向に開口部を備えている。蓋体74は、本体71の開口部を塞ぐように、本体71に取り付けられている。尚、第1の基板61および第2の基板62は、図示はしないが、本体71内にネジ等を用いて固定されている。
【0064】
タンパリング検出スイッチ30は、プッシュスイッチであり、第1の基板61の第1の内側板面61iに搭載されている。タンパリング検出スイッチ30は、第1の内側板面61iに平行な方向に往復動作する押下部32を備えている。タンパリング検出スイッチ30は、押下されているときに、「タンパリング無し」と検出し、押下解除されたときに、「タンパリングが有り得る」と検出する。
【0065】
押下部延長部材40は、第1の基板61の第1の内側板面61iと第2の基板62の第2の内側板面62iとの間の空間の範囲内に位置している。第1の基板61および第2の基板62のうち、押さえ部材50に対向する方である第2の基板62は、貫通孔部62hを有している。
【0066】
押下部延長部材40は、タンパリング検出スイッチ30の押下部32に取り付けられ、第1の内側板面61iおよび第2の内側板面62iに平行な方向に延在している。押下部延長部材40は、基部41と、斜面部42とを有している。基部41は、棒状を呈し、一端がタンパリング検出スイッチ30の押下部32に取り付けられている。タンパリング検出スイッチ30側の端部が最も高く、タンパリング検出スイッチ30から遠ざかるにつれて低くなる斜面を有する斜面部42は、基部41の他端に設けられ、第1の内側板面61iおよび第2の内側板面62iに対して所定の角度をなしている。所定の角度とは、例えば、30度〜60度である。斜面部42の角度は、押さえ部材50が移動する距離を勘案して決定すればよい。即ち、押さえ部材50が、押下部延長部材40の斜面部42に接触し始めた後、移動して最も低い位置となるまでに、タンパリング検出スイッチ30の接点がオンからオフへ、あるいは、オフからオンへ切り換わるだけのストロークが得られるようにすればよい。
【0067】
尚、タンパリング検出スイッチ30の押下部32が、基部41を加えた長さを有し、押下部32に押下部延長部材40の斜面部42を取り付けたものであってもよい。この場合、押下部延長部材40は、斜面部42のみを有し、基部41を有していない。
【0068】
押さえ部材50は、ネジであり、蓋体74に設けられた貫通雌ネジ部74thに蓋体74の外側から螺入および挿通され、さらに、第2の基板62に形成された貫通孔部62hに挿通され、さらにまた、図4(a)に示すように、押下部延長部材40の斜面部42に接触する。
【0069】
押さえ部材50は、図4(a)に示すように、貫通雌ネジ部74thに螺入および挿通されているときは、第2の基板62の貫通孔部62hを介して、押下部延長部材40の斜面部42に接触することによってタンパリング検出スイッチ30を押下する。これにより、タンパリング検出スイッチ30が、「タンパリング無し」と検出する。
【0070】
一方、図4(b)に示すように、貫通雌ネジ部74thから螺出および抜去されたときは、押下部延長部材40の斜面部42から離脱することによってタンパリング検出スイッチ30を押下解除する。これにより、タンパリング検出スイッチ30が、「タンパリングが有り得る」と検出する。
【0071】
尚、第1の基板61の第1の外側板面61tおよび第2の基板62の第2の外側板面62tにそれぞれ、導体パターンから成り、断線することによってタンパリングが有り得ると検出するタンパリング検出パターンを形成してもよい。
【0072】
さらに、図示はしないが、筐体70’の本体71に蓋体74を固定する固定ネジをさらに有していてもよい。この場合、固定ネジは、蓋体74に設けられた貫通孔部に蓋体74の外側から挿通され、さらに、筐体70’の本体71に設けられた雌ネジ部に螺入されてもよい。この場合、押さえ部材50および固定ネジは、互いに同一形状および同一サイズのネジ頭を備えていてもよい。
【0073】
以上説明した筐体装置は、タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品と共に、電子機器を構成する。
【0074】
以上のように、本発明の第4の実施形態による耐タンパリング構造も、タンパリング検出スイッチが、筐体の蓋体を開蓋しても直ちには目視されることがない第1の基板と第2の基板との間に配置されている。このため、仮に、蓋体を開蓋せずに孔をあけたとしても、目視によってタンパリング検出スイッチが特定されてしまうことがない。その結果、タンパリング検出スイッチが特定される可能性が低く、例えば、タンパリング検出スイッチを接着剤で固化して動作不能とした上で、開蓋し、タンパリングが実行される可能性は低い。即ち、本発明の第4の実施形態による耐タンパリング構造も、耐タンパリング性能に優れている。
【符号の説明】
【0075】
11、61 第1の基板
11i、61i 第1の内側板面
11t、61t 第1の外側板面
12、62 第2の基板
12i、62i 第2の内側板面
12t、62t 第2の外側板面
20、20’、70、70’ 筐体
21、23、71 本体
22、24、72、74 蓋体
22p、72p 押さえ部材
30 タンパリング検出スイッチ
32 押下部
40 押下部延長部材
41 基部
42 斜面部
50 押さえ部材(ネジ)
MD タンパリングから保護すべきデータを記憶した電子部品
図1
図2
図3
図4