(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のグラフトポリマーがポリ(5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレート)を含む、請求項1に記載のコポリマー。
前記第2のグラフトポリマーが、1−エチルシクロペンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート、第三級ブトキシカルボニル保護ヒドロキシスチレン、N−フェニルマレイミドおよびトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートのうちの少なくとも2つの重合に由来するコポリマーである、請求項1に記載のコポリマー。
前記第2のグラフトポリマーが第1のブロックコポリマーおよび第2のブロックコポリマーを含み;前記第1のブロックコポリマーがポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)を含み、前記第2のブロックコポリマーがポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)を含む、請求項1に記載のコポリマー。
前記第1のグラフトポリマーおよび/または前記第2のグラフトポリマーの各々が、現像液溶媒中でのグラフトブロックコポリマーの可溶性の変化を引き起こす酸触媒性脱保護を受ける官能基を含み、前記グラフトブロックコポリマーが光酸発生剤をさらに含む、請求項1に記載のコポリマー。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の表は頭字語および本明細書において使用されるそれらの拡張されたバージョンを詳述する。
【0010】
本明細書において使用される時、「相分離する」とは、不連続のミクロ相分離したドメインを形成するブロックコポリマーのブロックの傾向を指し、「ミクロドメイン」または「ナノドメイン」ともおよび単純に「ドメイン」とも称される。同じモノマーのブロックは凝集して周期的なドメインを形成し、ドメインの間隔および形態は、ブロックコポリマー内の異なるブロックの中での相互作用、サイズおよび体積分率に依存する。ブロックコポリマーのドメインは、適用の間(スピンキャスティング工程の間、加熱工程の間等)に形成することができるか、またはアニーリング工程によって調整することができる。「加熱」(「ベーキング」または「アニーリング」とも本明細書において称される)とは、基板およびその上のコートされた層の温度が周囲温度より上に上昇される一般的なプロセスである。「アニーリング」には、熱アニール、温度勾配アニーリング、溶媒蒸気アニーリングまたは他のアニーリング方法が含まれ得る。熱アニール(時には「熱硬化と称される)は、パターンの固定およびブロックコポリマー組織化の層における欠陥の除去のための特異的なベーキングプロセスでありえ、一般的にはフィルム形成プロセスの終了時にまたは終了の付近で、持続された期間(例えば数分〜数日)の間、上昇させた温度(例えば150℃〜350℃)での加熱を含む。アニーリングは、実行された場合、ミクロ相分離したドメインの層(以後は「フィルム」と称する)における欠陥を減少または除去するために使用される。
【0011】
自己組織化層は、アニーリングに際して基板に対して垂直を配向させる相分離を介してドメインを形成する、少なくとも第1のブロックおよび第2のブロックを有するブロックコポリマーを含む。「ドメイン」は、本明細書において使用される時、ブロックコポリマーの対応するブロックによって形成されたコンパクトな結晶性、半結晶性、または非晶性の領域を意味し、これらの領域は、ラメラ状または円筒状でありえ、基板の表面の平面に対しておよび/または基板上に配置された表面修飾層の平面に対して直角または垂直に形成される。一実施形態において、ドメインは、1〜50ナノメートル(nm)、好ましくは2〜40nmおよびさらにより好ましくは3〜20nmの平均最大寸法を有することができる。
【0012】
本発明のブロックコポリマーに関して、本明細書においておよび添付の請求項において使用される「Mn」という用語は、本明細書の実施例において使用される方法に従って決定されたブロックコポリマーの数平均分子量(g/molにおける)である。本発明のブロックコポリマーに関して、本明細書においておよび添付の請求項において使用される「Mw」という用語は、本明細書の実施例において使用される方法に従って決定されたブロックコポリマーの重量平均分子量(g/molにおける)である。
【0013】
本発明のブロックコポリマーに関して、本明細書においておよび添付の請求項において使用される「PDI」または
【化1】
という用語は、以下の等式に従って決定されたブロックコポリマーの多分散度(多分散度指標または単純に「分散度」とも呼ばれる)である。
【数1】
【0014】
「を含むこと(comprising)」という移行用語は、「からなること(consisting of)」および「から本質的になること(consisting essentially of)」という移行用語を包括する。「および/または」という用語は、本明細書において「および」に加えて「または」の両方を意味するように使用される。例えば、「Aおよび/またはB」はA、BまたはAおよびBを意味すると解釈される。
【0015】
本明細書において開示されるものは、骨格ポリマーの上へグラフトされる第1のポリマーおよび第2のポリマーと共にその骨格としてのポリマー(以後、骨格ポリマー)を含むグラフトブロックコポリマーである。第1のポリマーは、フッ素、シリコンまたはフッ素およびシリコンの組み合わせのいずれかを含む表面エネルギー減少部分を含む。第2のポリマーは、基板上に配置された後にグラフトブロックコポリマーの可溶性を変化させるかまたはグラフトブロックコポリマーを脱保護するのに使用される官能基も含む。各々の骨格およびグラフトポリマーは、脱保護操作においてホモポリマーまたはコポリマーまたはコポリマーセグメントであり得る。グラフトブロックコポリマーは、基板上に配置された場合、複数のボトルブラシ型の形態で自己組織化することができる。次いでグラフトブロックコポリマーは組織化してボトルブラシを含むフィルムを形成する。ポリマー骨格はボトルブラシのハンドルにトポロジー的に類似し、一方ポリマーグラフトがグラフトブロックコポリマー骨格から半径方向に外に向かって放射してボトルブラシの剛毛に類似する構造を形成し、したがって「ボトルブラシ」という用語が使用される。コポリマー骨格から放射するポリマーグラフトは柔軟もしくは剛性、または柔軟もしくは剛性の間の中間でありえ、したがってこれはボトルブラシコポリマーのおよその直径に影響を与えることができる。ポリマー骨格およびグラフトの長さを独立して変動させて、ボトルブラシコポリマー構造の長さおよび直径を制御することができる。
【0016】
(メタ)アクリルという用語は、アクリルに加えて、メタクリルを暗示することを意味する。同様に、(メタ)アクリレートという用語は、アクリレートに加えて、メタクリレートを暗示することを意味する。
【0017】
本明細書において開示されるものは、複数のブロックコポリマー(その各々は骨格ポリマーを含み、そこで第1のポリマーおよび第2のポリマーは骨格の上へグラフトされる)を含むグラフトブロックコポリマーでもある。骨格ポリマーはホモポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。第1のポリマーおよび第2のポリマーはホモポリマーまたはコポリマーであり得る。例示的な実施形態において、第1のポリマーは表面エネルギー減少部分を含むホモポリマーであり、一方で第2のポリマーは官能基(それを介してグラフトブロックコポリマーが脱保護される)を有するコポリマーである。グラフトブロックコポリマーが基板上に配置される場合、それはボトルブラシポリマーを含むフィルムを形成し、それは次いで官能基を反応させることによって脱保護されて可溶性が改変される。
【0018】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマーは第1のブロックポリマーおよび第2のブロックポリマーを含む。第1のブロックポリマーは、したがって骨格ポリマーの上へグラフトされる第1のポリマー(ホモポリマー)と共に骨格ポリマーを含む。第1のポリマーは本明細書において第1のグラフトポリマーとも称される。第2のブロックポリマーは、したがって骨格ポリマーの上へグラフトされる第2のポリマー(コポリマー)と共に骨格ポリマーを含む。第2のポリマーは本明細書において第2のグラフトポリマーとも称される。第1のグラフトポリマーおよび第2のグラフトポリマーは可塑性ポリマーとも称される。したがって第1のブロックポリマーはコポリマーであり、一方で第2のブロックポリマーは、コポリマー、ターポリマーまたはクアドラポリマー(少なくとも4つのブロックを有するポリマー)であり得る。第1のポリマーおよび/または第2のポリマーは、グラフトブロックコポリマーの官能基を脱保護するのに使用される官能基を含む。一実施形態において、グラフトブロックコポリマーは基板上に配置された後に脱保護される。グラフトブロックコポリマーは1つまたは複数の光酸発生剤を含むことができる。一実施形態において、第1のブロックポリマーは光酸発生剤を含み、第2のブロックコポリマーは光酸発生剤を含む。
【0019】
第1のポリマーは、グラフトブロックコポリマーが基板上に配置される場合、より高い程度の自己組織化を駆動する表面エネルギー減少部分を含む。コポリマーが基板上に配置される場合、表面エネルギー減少部分の存在は、1〜50ナノメートル(nm)、好ましくは2〜40nmおよびさらにより好ましくは3〜20nm未満であるドメインサイズおよびドメイン間の周期的な間隔をもたらす。これらの狭いドメインサイズおよび狭いドメイン間の間隔はリソグラフィーのために非常に有用である。それらは半導体および他の電子部品の生産に使用することができる。一実施形態において、グラフトブロックコポリマーは光酸触媒性脱保護反応によって水性アルカリ現像溶液中で可溶性にすることができ、次いでポジティブトーンフォトレジストとして使用することができる。別の実施形態において、グラフトブロックコポリマーは架橋されないが、適切な有機溶媒現像液の選択と組み合わせて、光酸触媒性脱保護反応によって不溶性にされ、ネガティブトーンフォトレジストとして使用される。
【0020】
本明細書において開示されるものはグラフトブロックコポリマーを製造する方法でもある。方法は、1シリーズのマクロモノマー(それは骨格ポリマーを形成する)を生産し、次いで重合を介する連続的なグラフティングを実行してグラフトコポリマーを生成することを含む。あるいは、表面上へのグラフティング(grafting−onto)技法または表面からのグラフティング(grafting−from)技法をグラフトコポリマー合成のために使用することができる。
【0021】
本明細書において開示されるものは、光酸発生剤から生成された触媒量の光酸の作用によって脱保護することができる官能基を有するグラフトブロックコポリマーを含む、フォトレジスト組成物でもある。フォトレジスト組成物は、表面エネルギー減少部分および反応性部分の両方を有するボトルブラシポリマーをオプションの光酸発生剤分子と共に適切な有機コーティング溶媒中で溶解して単一の液体相組成物を形成し、次いで微粒子を除去することができるミクロフィルターを介して液体組成物を濾過し、清浄な密封した容器中で濾過された液体を保存することによって、製造される。本明細書において開示されるものはグラフトブロックコポリマーを含む物品でもある。一実施形態において、物品はフォトレジストを含む。
【0022】
図1は、グラフトポリマー204(以後、「第1のグラフトポリマー」)へ反応させる、長さ「l」のポリマー骨格202(以後、「骨格ポリマー」)を含む、ポリマー性グラフトブロックコポリマー200(ボトルブラシ形態を有する)を図示する。第1のグラフトポリマーは、ポリマー骨格へ共有結合で反応させることができるか、または骨格の長さの一部に沿ってもしくは骨格の全長に沿ってポリマー骨格を形成することができる。第1のポリマーは、骨格の全長へ共有結合することができるか、または骨格の全長に沿って骨格ポリマー骨格202を形成することもでき、任意の方向または骨格からの方向もしくは骨格の円周の部分に沿った方向の組み合わせで半径方向に外に向かって延長することができた。本明細書の呼称において、ポリマーブラシでは、グラフトポリマーが基板の1つの表面のみへ反応するが、ボトルブラシポリマーでは、グラフトポリマーがポリマー骨格のすべての側面上にグラフトされ、したがって外観がボトルブラシ様に見える形態を生産する、という点で、ボトルブラシポリマーはポリマーブラシとは異なる。ポリマーが草であり、基板(それは草が成長する土壌に相似する)上に配置される場合、ポリマーブラシは草原に形態的に相似する。
【0023】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマー200は、生じた組織化が少なくとも1つの方向で、特に少なくとも2つの方向で、およびより特に少なくとも3つの方向で秩序を提示するように自己組織化する(表面の上の配置に際して)。一実施形態において、グラフトブロックコポリマーボトルブラシは、生じた組織化が少なくとも2つの互いに垂直な方向で、およびより特に少なくとも3つの互いに垂直な方向で秩序を提示するように自己組織化する(表面上に配置に際して)。「秩序」という用語は、特定の方向で測定された場合に組織化において繰り返される構造間の周期性を指す。
【0024】
一般的には骨格ポリマー前駆体を使用してグラフトブロックコポリマーのポリマー骨格202を形成する。骨格を形成する骨格ポリマー前駆体が、マクロモノマーの連続的な重合を可能にしてグラフトブロックコポリマーを製造することが所望される。一実施形態において、骨格ポリマー前駆体は、鎖骨格に沿って歪み環を含むものであり得る。別の実施形態において、骨格ポリマー前駆体は、ポリアセタール、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリスルフホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジノフェノチアジン、ポリベンゾチアゾール、ポリピラジノキノキサリン、ポリピロメリットイミド、ポリキノキサリン、ポリベンズイミダゾール、ポリオキシインドール、ポリオキソイソインドリン、ポリジオキソイソインドリン、ポリトリアジン、ポリピリダジン、ポリピペラジン、ポリピリジン、ポリピペリジン、ポリトリアゾール、ポリピラゾール、ポリピロリジン、ポリカルボラン、ポリオキサビシクロノナン、ポリジベンゾフラン、ポリフタリド、ポリ無水物、ポリビニルエーテル、ポリビニルチオエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルケトン、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリスルホネート、ポリノルボルネン、多硫化物、ポリチオエステル、ポリスルホンアミド、ポリ尿素、ポリホスファゼン、ポリシラザン、ポリウレタンもしくは同種のもの、または前述のポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせであり得る。例示的な実施形態において、骨格ポリマーはポリノルボルネンである。ポリノルボルネン反復単位の環は、所望されるならば、アルキル基、アラルキル基またはアリール基により置換することができる。
【0025】
骨格ポリマー(それはコポリマーの骨格を形成する)中の反復単位の数は、約3〜約100、好ましくは約4〜約70、好ましくは約5〜約50である。骨格の数平均分子量はGPCによって測定されるように1モルあたり200〜10,000グラムである。好ましい実施形態において、骨格の数平均分子量はGPCによって測定されるように1モルあたり3050〜10,500グラムである。
【0026】
骨格ポリマー前駆体(それはポリマー骨格を形成する)は、それを介して第1のポリマーがグラフトされ、それによってグラフトコポリマーを形成する。一実施形態において、骨格ポリマーは、それを介して1つまたは複数の異なるタイプのグラフトポリマーがグラフトされる。別の実施形態において、骨格ポリマーは、それを介して2つまたは複数の異なるタイプのグラフトポリマーがグラフトされる。グラフトブロックコポリマーは、したがってブロックコポリマー、交互コポリマーまたは交互ブロックコポリマー、ランダムコポリマーまたはその組み合わせであり得る。
【0027】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマーは、骨格ポリマーを介してグラフトされる第1のポリマーと共に骨格ポリマーを含むことができる。第1のポリマーは好ましくはホモポリマーであり、表面エネルギー減少部分を含む。表面エネルギー減少部分は一般的にはシリコン原子、フッ素原子、またはフッ素原子およびシリコン原子の組み合わせを含む。グラフトブロックコポリマーが基板上に配置される場合、表面エネルギー減少部分は高い程度の自己組織化を促進する。第1のポリマーは共有結合または非共有結合で(例えばイオン水素結合および同種のものを介して)骨格ポリマーの上へ結合することができる。例示的な実施形態において、第1のポリマーは骨格ポリマーの上へ共有結合される。
【0028】
一実施形態において、第1のポリマーはハロカーボンモノマーまたはケイ素含有モノマーの重合に由来する。表面エネルギー減少部分を含有するモノマーは、フッ素原子、シリコン原子、またはフッ素原子およびシリコン原子の組み合わせを含む、脂肪族モノマーまたは脂環式モノマーであり得る。フッ素原子を含有する脂肪族のモノマーの実例は、フッ素化(メタ)アクリル、フッ素化(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリル、シリコーン(メタ)アクリレートもしくは同種のもの、またはフッ素原子、シリコン原子もしくはフッ素およびシリコン原子の組み合わせを含む前述の脂肪族モノマーもしくは脂環式モノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0029】
第1のポリマーが由来し得るフッ素化(メタ)アクリルまたはフッ素化(メタ)アクリレートの実例は、5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレート(1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルメタクリレートとしても公知である)(C
11H
14F
6O
3)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,12,12,12−エイコサフルオロ−11−(トリフルオロメチル)ドデシルメタクリレート(C
17H
9F
23O
2)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロドデシルアクリレート(C
15H
7F
21O
2)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロドデシルメタクリレート(C
16H
9F
21O
2)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(C
14H
9F
17O
2)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート(C
7H
5F
7O
2)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート(C
8H
7F
7O
2)、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート(C
7H
6F
6O
2)、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート(C
8H
8F
6O
2)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート(C
6H
4F
6O
2)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(C
7H
6F
6O
2)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルアクリレート(C
8H
6F
8O
2)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート(C
9H
8F
8O
2)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート(C
6H
5F
5O
2)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート(C
7H
7F
5O
2)、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシルアクリレート(C
13H
7F
17O
2)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート(C
7H
8F
4O
2)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート(C
11H
7F
13O
2)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート(C
12H
9F
13O
2)、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(C
6H
7F
3O
2)、1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルメタクリレート(C
11H
14F
6O
3)、2−[(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−(トリフルオロメチル)−2’−ヒドロキシ)プロピル]−3−ノルボルニルメタクリレート(C
15H
18F
6O
3)、もしくは同種のもの、または前述のモノマーの少なくとも1つを含む組み合わせである。前述のフルオロカーボン分子上の1つまたは複数のフッ素原子は、水素原子、2〜10の炭素原子を有するアルキル基、または他のハロゲン原子(例えば臭素、塩素、ヨウ素またはアスタチン)によって置き換えることができることが指摘される。
【0030】
例示的な実施形態において、第1のポリマーは、5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレートの重合に由来する。
【0031】
一実施形態において、第1のポリマーが70〜100度の水接触角を有することが所望される。例示的な実施形態において、第1のポリマーが85〜95度の好ましい水接触角を有することが所望される。第1のポリマーは、一般的には、5〜30、好ましくは8〜25、より特に9〜20の多数の反復単位を有する。一実施形態において、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定した場合、第1のポリマーは5,100〜5,700ダルトンの数平均分子量を有する。GPCによって決定されるように、第1のポリマーは1.05〜1.20、特に1.08〜1.12の多分散度指標(PDI)を有する。
【0032】
例示的な実施形態において、グラフトブロックコポリマーの第1のブロックポリマーはポリノルボルネン骨格ポリマーを含み、第1のポリマーは、それへグラフトされ、5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレートの重合に由来し、以下の式(1)
【化2】
(1)(式中、Phはアリール基であり、nは5〜25であり、qは3〜75である)中の構造を有する。
【0033】
上で詳述されるように、グラフトブロックコポリマーは、第1のポリマーに加えて骨格ポリマーの上へグラフトされる第2のポリマーも含むことができる。第1のポリマーは上で詳述されたホモポリマーであり、一方第2のポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーまたはクアドラポリマーである。一実施形態において、第2のポリマーは、シリコン、フッ素、またはシリコンもしくはフッ素の組み合わせを含む表面エネルギー減少部分を含有していない。別の実施形態において、第2のポリマーは、シリコン、フッ素またはシリコンまたはフッ素の組み合わせを含むが、第1のポリマーとは異なる化学構造を有する表面エネルギー減少部分を含有する。第2のポリマーは、グラフトブロックコポリマーの脱保護を促進する官能基も含有することができる。
【0034】
一実施形態において、第2のポリマーは、表面上に配置された後にグラフトブロックコポリマーの脱保護を促進することができる部分を含有するモノマー(複数可)の重合に由来するホモポリマーまたはコポリマーである。モノマーは酸触媒性脱保護可能部分を含むことができ、前記部分の実例には、エステル、アセタール、アシル、オルトエステルアルコール、シリルエステル、チオエステル、カルボネート、ペルオキシド、ベンゾイル、シリルエーテル、テトラヒドラピラニル(tetrahydrapyranyl)、テトラヒドロフラニル、トリチル、アルコキシアルキルエーテル、カルバメート、トシルアミン、トシルアミド、スルホンアミド、オキサゾリン、リン酸エステル、プロパルギル、または前述のモノマーもしくは部分の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれ得る。脱保護を促進する部分は、第1のポリマーおよび/または第2のポリマーの骨格の一部であり得る。一実施形態において、脱保護を促進する部分は、第1のポリマーおよび/または第2のポリマーの骨格上の置換基であり得る。
一実施形態において、第2のグラフトポリマーはポリ(1−トリ(アルキル)メチルメタクリレート)を含む。
【0035】
一実施形態において、第2のポリマーは、1−エチルシクロペンチルメタクリレート(ECPMA)、γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート(GBLMA)、ヒドロキシスチレン、N−フェニルマレイミドまたはトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート(TPS−DFSEMA)のいずれかの重合に由来するホモポリマーである。例示的な実施形態において、第2のポリマーは、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)を含むホモポリマーである。ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)のホモポリマーを含む第2のポリマーは以下の式(2)
【化3】
(2)(式中、qは5〜50、特に20〜45であり、n
1は5〜25、特に7〜20である)中で示される構造を有する。
【0036】
別の実施形態において、第2のポリマーは、1−エチルシクロペンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート、ヒドロキシスチレン、N−フェニルマレイミドおよびトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートのうちの任意の2つの共重合に由来するジブロックコポリマーであり得る。例示的な実施形態において、ジブロックコポリマーは、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)を含む。第2のポリマーがポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)のコポリマーである場合、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)対ポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)のモル比は、1:6〜6:1、特に1:3〜3:1、より特に1:2〜2:1である。例示的な実施形態において、第2のポリマー中のポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)対ポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)のモル比は、1.5:1〜1:1.5である。
【0037】
第2のブロックグラフトはポリノルボルネン骨格を含み、第2のポリマーは、それへグラフトされ、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)を含み、以下に式(3)
【化4】
(3)(式中、qは5〜50、好ましくは10〜45であり、n
2は5〜40、好ましくは15〜35であり、n
3は5〜50、好ましくは25〜40である)中で示される構造を有する。
【0038】
さらに別の例示的な実施形態において、ジブロックコポリマーは、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)を含む。第2のポリマーがポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)のコポリマーである場合、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)対ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)のモル比は、1:6〜6:1、特に1:3〜3:1、より特に1:2〜2:1である。例示的な実施形態において、第2のポリマー中のポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)対ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)のモル比は、3.5:1〜1:3.5である。
【0039】
第2のブロックグラフトコポリマーはポリノルボルネン骨格を含み、第2のポリマーは、それへグラフトされ、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)を含み、以下に式(4)
【化5】
(4)(式中、qは3〜50、特に4〜45であり、n
2は3〜10、特に4〜9であり、n
3は5〜30、特に7〜25である)中で示される構造を有する。式(4)中の例示的な実施形態において、qは30であり、一方でn
4は4であり、n
5は14である。
【0040】
さらに別の例示的な実施形態において、第2のポリマーは、BOC保護ポリ(ヒドロキシスチレン)(ここでBOCは第三級ブトキシカルボニルの保護基を指す)およびポリ(N−フェニルマレイミド)のコポリマーであり、BOC保護ポリ(パラ−ヒドロキシスチレン−コ−N−フェニルマレイミド)によって表わされる。第2のポリマーがBOC保護ポリ(パラ−ヒドロキシスチレン−コ−N−フェニルマレイミド)、ポリ(ヒドロキシスチレン)によって表わされる、BOC保護されたポリ(ヒドロキシスチレン)およびポリ(N−フェニルマレイミド)のコポリマーである場合、ポリ(N−フェニルマレイミド)対BOC保護ポリ(パラ−ヒドロキシスチレン−コ−N−フェニルマレイミドのモル比は、1:6〜6:1、特に1:3〜3:1、より特に1:2〜2:1である。例示的な実施形態において、第2のポリマー中のポリ(N−フェニルマレイミド)対BOC保護ポリ(パラ−ヒドロキシスチレン−コ−N−フェニルマレイミドのモル比は、1:1である。第2のブロックグラフトはポリノルボルネン骨格を含み、第2のポリマーは、それへグラフトされ、BOC保護ポリ(パラ−ヒドロキシスチレン−コ−N−フェニルマレイミド)を含み、以下の式(5)
【化6】
(5)(式中、mは10〜40であり、xは0.25〜1であり、yは0.25〜1であり、pは3〜75である)中の構造を有する。
【0041】
さらに別の実施形態において、第2のポリマーは、1−エチルシクロペンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート、BOC保護ヒドロキシスチレン、N−フェニルマレイミドおよびトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートのうちの任意の3つの共重合に由来するターポリマーであり得る。例示的な実施形態において、第2のポリマーは、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)、ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)を含むターポリマーを含むことができる。ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)対ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート対ポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)のモル比は、1:1:10〜10:1:10である。ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)対ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート対ポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)のモル比は、3:3:10〜10:1:10である。
【0042】
第2のブロックグラフトはポリノルボルネン骨格を含み、第2のポリマーは、それへグラフトされ、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)、ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)を含み、以下に式(6)
【化7】
(6)(式中、qは3〜50、特に4〜45であり、n
4は3〜10、特に4〜9であり、n
5は5〜30、特に7〜25であり、n
6は5〜50である)中で示される。式(4)中の例示的な実施形態において、qは20であり、一方でn
4は4であり、n
5は14であり、n
6は15である。
【0043】
さらに別の実施形態において、第2のポリマーは2つのジブロックコポリマー(第1のジブロックコポリマーおよび第2のジブロックコポリマー)を含むことができ、そこで第1のジブロックコポリマーは、1−エチルシクロペンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート、BOC保護ヒドロキシスチレン、N−フェニルマレイミドおよびトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートのうちの任意の2つの共重合に由来する2つのブロックを含み、そこで第2のジブロックコポリマーは第1のジブロックコポリマーとは異なり、1−エチルシクロペンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート、BOC保護ヒドロキシスチレン、N−フェニルマレイミドおよびトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートのうちの任意の2つのの共重合に由来する。例示的な実施形態において、第1のジブロックはトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートおよび1−エチルシクロペンチルメタクリレートの共重合に由来し、一方第2のジブロックが1−エチルシクロペンチルメタクリレートおよびγ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレートの共重合に由来する。
【0044】
第2のブロックグラフトはポリノルボルネン骨格を含み、第2のポリマーは、それへグラフトされ、トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートおよび1−エチルシクロペンチルメタクリレートの共重合に由来する第1のジブロックならびに1−エチルシクロペンチルメタクリレートおよびγ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレートの共重合に由来する第2のジブロックを含み、以下に式(7)
【化8】
(7)(式中、qは10〜40、特に15〜25の値を有し、n
7は2〜10であり、n
8は10〜30であり、n
9は5〜20であり、n
10は5〜20である)中で示される。
【0045】
さらに別の実施形態において、第2のポリマーは、1−エチルシクロペンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート、BOC保護ヒドロキシスチレン、N−フェニルマレイミドおよびトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートのうちの任意の4つの共重合に由来するクアドラポリマーであり得る。
【0046】
一実施形態において、第2のポリマー(例えば保護されたポリヒドロキシスチレンおよびポリ(N−フェニレンマレイミド)のコポリマー、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)のコポリマー、またはポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)のコポリマー)が、15〜80度の水接触角を有することが所望される。例示的な実施形態において、第2のポリマーが45〜65度の好ましい水接触角を有することが所望される。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定した場合、第2のポリマーは、一般的には、6〜95、好ましくは12〜80、より好ましくは14〜60の合計数の反復単位を有する。一実施形態において、GPCを使用して測定した場合、第2のポリマーは1,850〜13,000ダルトンの数平均分子量を有する。GPCによって決定されるように、第2のポリマーは1.05〜1.30、好ましくは1.05〜1.15のPDIを有する。
【0047】
第1のブロックポリマーおよび第2のブロックポリマーの重合を介する連続的なグラフティングは、以下の式(8)〜(10)の構造
【化9】
(8)(式中、pは30〜70であり、qは3〜20であり、nは10〜25であり、mは10〜20である);または
【化10】
(9)(式中、pは30〜70であり、qは3〜20であり、oは10〜25であり、pは10〜20であり、qは25〜35である);または
【化11】
(10)(式中、pは10〜30であり、qは2〜8であり、n
7は2〜6であり、n
8は10〜20であり、n
9は10〜20であり、n
10は7〜15であり、oは12〜25である)を有するグラフトブロックコポリマーを確立する。式(8)〜(10)中で上で参照できるように、第1のブロック(フッ素化(メタ)アクリルまたはフッ素化(メタ)アクリレートを含有するブロックポリマー)のノルボルネン骨格の反復単位の数は、第2のブロックのノルボルネン骨格の反復単位の数よりも少ない。
【0048】
式(8)〜(10)のコポリマーはバッチプロセスまたは連続プロセスにおいて製造することができる。バッチプロセスまたは連続プロセスは、単一の反応器または複数の反応器、単一の溶媒または複数の溶媒、および単一の触媒または複数の触媒(開始剤とも称される)を含むことができる。
【0049】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマーを生産する1つの方法では、第1のブロックポリマーは第2のブロックポリマーとは分離して合成される。第1のブロックポリマーは第2のブロックポリマーへ共有結合されて、グラフトブロックコポリマーを形成する。
【0050】
第1のブロックは、前駆体を連鎖移動剤と共に骨格ポリマーへ反応させて第1の反応器中で骨格ポリマー前駆体−連鎖移動剤部分を形成することによって製造される。次いで骨格ポリマー前駆体−連鎖移動剤部分を前駆体と共に第1のポリマーへ反応させて、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)重合を使用して、第1のポリマーを形成する。第1のポリマーはRAFT重合の間に骨格ポリマーの前駆体へ共有結合され、それは第1の溶媒および第1の開始剤の存在下において第1の反応器中で行われる。次いで骨格ポリマーに対する前駆体を開環メタセシス重合(ROMP)を介して重合して、第1のブロックポリマーを形成する。ROMP反応は第1の反応器または別の反応器中で行うことができる。第1のブロックポリマーはその上にグラフトされた第1のポリマーと共に骨格ポリマーを含む。この第1のブロックポリマーを基板上に配置して、第2のブロックへそれを共重合せずに、自己組織化したフィルムを生産することができる。次いで照射を使用してフィルムを反応させることができる。
【0051】
第2のブロックポリマーは所望されるならば第2の反応器中で重合することができる。前駆体を連鎖移動剤と共に骨格ポリマーへ反応させて、骨格ポリマー前駆体−連鎖移動剤部分を形成する。次いで骨格ポリマー前駆体−連鎖移動剤部分を前駆体(複数可)と共に第2のポリマーへ反応させて、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)重合を使用して、第2のポリマーを形成する。第2のポリマー(それは上述されるようにホモポリマーまたはコポリマーであり得る)はRAFT重合の間に骨格ポリマー前駆体−連鎖移動剤部分へ共有結合され、それは第2の溶媒および第2の開始剤の存在下において行われる。第2のポリマーがコポリマーである場合、前駆体と一緒に骨格ポリマーへ反応させて第2のグラフトポリマーを形成する、2つ以上の前駆体がある。次いで第2のポリマーに対する前駆体を第2の開環メタセシス重合(ROMP)を介して重合して、第2のブロックポリマーを形成する。第2のブロックポリマーはその上にグラフトされた第2のポリマーと共に骨格ポリマーを含む。第1のブロックポリマーおよび第2のブロックポリマーの生産において、第1の反応器は第2の反応器と同じ、第1の溶媒は第2の溶媒と同じ、および第1の開始剤は第2の開始剤と同じであり得る。一実施形態において、第1の反応器は第2の反応器とは異なり、第1の溶媒は第2の溶媒とは異なり、および第1の開始剤は第2の開始剤とは異なり得る。
【0052】
一実施形態において、第1のブロックポリマーを第2の開環メタセシス重合において第2のブロックポリマーと反応させて、グラフトブロックコポリマーを形成する。第2の開環メタセシス重合は第1の反応器、第2の反応器または第3の反応器中のいずれかで行うことができる。次いでグラフトブロックコポリマーは以下にリストされる多様な異なる方法によって精製される。次いでそれを基板上に配置して、第1のブロックポリマーまたは第2のブロックポリマーのいずれかを基板上に配置することによってそれ自体で生産される自己組織化よりも高い程度の自己組織化を生産することができる。
【0053】
第1のポリマーは、ノルボルネンをジチオエステル連鎖移動剤と反応させてノルボルネン−連鎖移動剤部分を生産することによって生産される。次いでノルボルネン−連鎖移動剤部分を5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレートと第1の反応器中で反応させて、第1のポリマーを生産する。反応は以下の反応スキーム(1)において実証される。
【化12】
【0054】
上記の反応(1)は第1の溶媒中で行うことができる。溶媒は以下に言及される溶媒のリストから選択することができる。溶媒対モノマーの重量比は、約1:1〜約10:1、特に約2:1〜約6:1、およびより特に約3:1〜約4:1である。例示的な実施形態において、第2の溶媒は2−ブタノンである。開始剤を使用して第2のRAFT反応を開始することができる。以下に開示される開始剤は、第2のRAFT反応のために使用することができる。
【0055】
開始剤(第1のポリマーの調製のための)はノルボルネン−連鎖移動剤に対して0.02〜0.3のモル比で使用される。例示的な実施形態において、開始剤はノルボルネン−連鎖移動剤に対して0.06〜0.15のモル比で使用される。
【0056】
第1のポリマーを形成する、ノルボルネン−連鎖移動剤とポリ(5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレート)との間の第1のRAFT反応は、撹拌下でおよび50〜80℃、好ましくは60〜70℃、およびより好ましくは62〜67℃の温度で第1の反応器中で行われる。例示的な実施形態において、第1のRAFT反応は65℃の温度で行われる。第1のポリマーは、沈殿、洗浄、蒸留、デカンテーション、遠心分離または同種のものによってその調製後に精製することができる。例示的な実施形態において、第1のポリマーはヘキサン中での沈殿によって精製される。
【0057】
例示的な実施形態において、骨格ポリマーがポリノルボルネンである場合、第1のポリマーが5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレートの重合に由来する場合(上で詳述されるように)、第2のポリマーは、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)のブロックを含む第1のブロックポリマーならびにポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)を含む第2のブロックを含む。
【0058】
第2のポリマーは、ノルボルネンをジチオエステル連鎖移動剤と反応させてノルボルネン−連鎖移動剤部分を生産することによって生産される。次いでトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネートおよび1−エチルシクロペンチルメタクリレートとノルボルネン−連鎖移動剤部分を第1のRAFT反応において反応させて、ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)およびポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)を共重合し、ノルボルネン−ポリ(5トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)−コ−(1−エチルシクロペンチルメタクリレート))コポリマー(すなわち第1のポリマーの第1のブロックポリマー)を形成する。反応は以下の反応スキーム(2)において実証される。
【化13】
【0059】
上記の反応スキーム(1)は第1の溶媒中で行うことができ、一方反応スキーム(2)は第2の溶媒中で行うことができる。一実施形態において、第1の溶媒は第2の溶媒と同じである。反応を行うために好適な溶媒は、極性溶媒、無極性溶媒またはその組み合わせである。溶媒の実例は、非プロトン性極性溶媒、極性プロトン性溶媒または無極性溶媒である。一実施形態において、非プロトン性極性溶媒(プロピレンカルボネート、エチレンカルボネート、ブチロラクトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、2−ブタノン、アセトン、ヘキサノン、アセチルアセトン、ベンゾフェノン、アセトフェノンもしくは同種のもの、または前述の溶媒の少なくとも1つを含む組み合わせ等)を使用することができる。別の実施形態において、極性プロトン性溶媒(水、メタノール、アセトニトリル、ニトロメタン、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールもしくは同種のもの、または前述の極性のプロトン性溶媒の少なくとも1つを含む組み合わせ等)も使用することができる。他の無極性溶媒(ベンゼン、アルキルベンゼン(トルエンまたはキシレン等)、塩化メチレン、四塩化炭素、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンもしくは同種のもの、または前述の溶媒の少なくとも1つを含む組み合わせ等)も使用することができる。少なくとも1つの非プロトン性極性溶媒および少なくとも1つの無極性溶媒を含む共溶媒を利用して、溶媒の膨潤力を修飾し、それによって反応の率を調整することもできる。例示的な実施形態において、第1の溶媒は2−ブタノンである。反応を行うために無水溶媒を使用することが所望される。
【0060】
溶媒対TFS−DFSEMAおよびECPMAの組み合わせた重量の重量比は、約1:1〜約5:1、特に約1.5:1〜約3:1、およびより特に約1.6:1〜約2:1である。
【0061】
第1の開始剤を使用して第1のRAFT反応を開始することができる。好適な開始剤の実例は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(ACVA)(4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とも呼ばれる)、ジ−tert−ブチルペルオキシド(tBuOOtBu)、ベンゾイルペルオキシド(PhCOO)
2)、メチルエチルケトンペルオキシド、tert−アミルペルオキシベンゾアート、ジセチルペルオキシジカルボナートもしくは同種のもの、または前述の開始剤の少なくとも1つを含む組み合わせである。第1の開始剤はラジカル光開始剤でもあり得る。実例は、ベンゾイルペルオキシド、安息香エーテル、安息香ケタール、ヒドロキシアセトフェノン、ベンゾイル蟻酸メチル、アントロキノン(anthroquinone)、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、ホスフィンオキシド化合物(Irgacure 2100および2022(BASFによって販売される)等)もしくは同種のもの、または前述のラジカル開始剤の少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0062】
開始剤はノルボルネン−連鎖移動剤に対して0.02〜0.3のモル比で使用される。例示的な実施形態において、開始剤はノルボルネン−連鎖移動剤に対して0.07〜0.18のモル比で使用される。第1のポリマーを形成する、ノルボルネン−連鎖移動剤と5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレート)との間の第1のRAFT反応は、撹拌下でおよび50〜80℃、好ましくは60〜70℃の温度で第1の反応器中で行われる。例示的な実施形態において、第1のRAFT反応は65℃の温度で行われる。第1のポリマーは、沈殿、洗浄、蒸留、デカンテーション、遠心分離または同種のものによってその調製後に精製することができる。例示的な実施形態において、第1のポリマーはヘキサン中での沈殿によって精製される。
【0063】
ノルボルネン−ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)−コ−(1−エチルシクロペンチルメタクリレート))コポリマーの形成に続いて、別のRAFT反応を使用して、ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレートおよびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)のコポリマーを含む第2のブロックを合成して、上記の反応スキーム(2)中で詳述されるように第2のポリマーを形成する。
【0064】
次いで反応スキーム(1)を介して調製された第1のポリマーおよび反応(2)を介して調製された第2のポリマーを開環メタセシス重合反応(3)へさらして、ノルボルネンをポリノルボルネンへ転換し、グラフトブロックコポリマーを形成する。反応は、第1の反応器、第2の反応器、または最初の2つの反応器から独立した第3の反応器中で中で行うことができる。反応器は反応の前に浄化しなくてはならない。反応は修飾Grubbs触媒の存在下において行われる。Grubbs触媒は、第1世代Grubbs触媒、第2世代Grubbs触媒、Hoveyda−Grubbs触媒もしくは同種のもの、または前述のGrubbs触媒の少なくとも1つを含む組み合わせであり得る。Grubbs触媒は所望されるならば迅速な開始触媒であり得る。
【0065】
例示的な修飾Grubbs触媒は、式(11)
【化14】
(11)(式中、Mesはメシチレンまたは1,3,5−トリメチルベンゼンを表わす)中で示される。
【0066】
Grubbs触媒対第1のポリマーの重量比は1:1〜1:20である。例示的な実施形態において、Grubbs触媒対第1のポリマーの重量比は1:4である。Grubbs触媒対第2のポリマーの重量比は1:1〜1:100である。例示的な実施形態において、Grubbs触媒対第2のポリマーの重量比は1:30である。反応(3)において、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比は1:2〜1:20である。例示的な実施形態において、反応スキーム(3)において、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比は1:7である。
【0067】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマーを調製する1つの方法では、触媒を最初に溶媒と共に反応器へ添加し混合物を撹拌して、均一の溶液を得る。次いで第1のポリマーおよび第2のポリマーを連続して反応器へ添加する。反応器を1〜5時間の期間撹拌する。次いで重合をクエンチャーによりクエンチした。例示的なクエンチャーはエチルビニルエーテルである。次いでグラフトブロックコポリマーを精製する。
【化15】
【0068】
上で指摘されるように、第1のポリマー、第2のポリマーおよびグラフトブロックコポリマーは多様な方法によって精製することができる。それぞれのポリマーの精製は任意である。反応物、それぞれのポリマーおよびグラフトブロックコポリマーは、反応の前および/またはその後に精製することができる。精製には、洗浄、濾過、沈殿、デカンテーション、遠心分離、蒸留もしくは同種のもの、または精製の前述の方法の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれ得る。
【0069】
1つの例示的な実施形態において、溶媒、開始剤、エンドキャッピング剤およびクエンチャーを含むすべての反応物は反応の前に精製される。約90.0wt%以上の純度、特に約95.0wt%以上の純度、およびより特に約99.0wt%以上の純度の量へ精製された反応物、溶媒および開始剤を使用することが一般的には所望される。別の例示的な実施形態において、グラフトブロックコポリマーの重合後に、洗浄、濾過、沈殿、デカンテーション、遠心分離または蒸留を含む方法によって精製を行うことができる。実質的に全ての金属不純物および金属触媒不純物を除去する精製も行うことができる。グラフトブロックコポリマーがアニールされた場合、不純物の減少は秩序化欠陥を減少させ、電子デバイスにおいて使用される集積回路における欠陥を減少させる。
【0070】
一実施形態において、コポリマーは、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、離型剤、熱安定剤、水平化剤、粘度修飾剤、フリーラジカルクエンチング剤、架橋剤、光酸発生剤、色素、漂白可能色素、光増感剤、金属酸化物ナノ粒子、伝導性フィラー、非伝導性フィラー、熱伝導性のフィラー、他のポリマーもしくはコポリマー(衝撃強度改質剤等)、または同種のものを含有することができる。
【0071】
精製後のグラフトブロックコポリマーを使用してフォトレジスト組成物を製造することができる。フォトレジスト組成物は、グラフトブロックコポリマー、溶媒、クエンチャーおよび光酸発生剤を含む。一実施形態において、グラフトブロックコポリマーを光酸発生剤と共に溶媒中で溶解し、次いで基板の表面上に配置して、1つまたは複数の方向で、好ましくは2つ以上の方向で、およびより好ましくは3つ以上方向で秩序を提示するグラフトブロックコポリマーフィルムを形成することができる。一実施形態において、これらの方向は互いに相互に垂直である。
【0072】
基板の表面上に配置されたグラフトブロックコポリマーは、基板の表面上でボトルブラシの形態で自己組織化を行う。一実施形態において、コポリマーが単一のブロックのみ(すなわち、第1のブロックポリマーまたは第2のブロックポリマーのいずれか)を含む場合、ブラシは基板の表面上で2次元のみで自己組織化してもよい(すなわち、骨格ポリマーは、それらの骨格が基板の表面に対して垂直に配置されて配向しなくてもよい)。
【0073】
コポリマーが2つのブロック(すなわち、それはグラフトブロックコポリマーである)を含む場合、および1つのブロックコポリマーが表面エネルギー減少部分を含む場合、骨格ポリマーが基板の表面に対して実質的に垂直に配向され、一方で第1のポリマーおよび第2のポリマーが骨格ポリマーから半径方向に外に向かって延長するように、ブラシはかかる様式で自己組織化する。骨格ポリマーが基板の表面に対して実質的に垂直に配置される場合、第1のポリマーおよび第2のポリマーは基板の表面に対して実質的に平行である。この形態は垂直に配向したボトルブラシ形態と称される。
【0074】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマーの単層が基板上に配置される場合、個々のポリマー鎖は、それらの骨格が基板に対して実質的に垂直に配置されてアライメントし、グラフトポリマーは骨格から半径方向に外に向かって延長する。2つ以上の層が基板上に配置される場合、第2の層のボトルブラシは第1の単層のボトルブラシと互いに入り込むことができる。
【0075】
一実施形態において、コポリマー中でのフッ素原子の存在は、3つの方向でのブラシの自己組織化を促進する。フッ素原子がターポリマーの表面エネルギーを減少させるので、それは基板からのコポリマーの最も遠い端部に位置する第1のブロック(フッ素原子を含有するブロック)によるターポリマーの配向を促進する。
図2Aおよび2Bは、骨格の上へグラフトされた第1のポリマー204と共に、ポリマー骨格202を含有するターポリマーの平面図および側面図をそれぞれ提示する。
図2A(平面図を表わす)は、ブラシが自己組織化して、2つの相互に垂直方向(yおよびz、それは基板の平面中にある)で秩序を提示することを示し、一方で
図2B(側面図を表わす)は、第3の方向(x方向、それは基板の平面に対して垂直である)での秩序を示す。
図2Aおよび2Bにおいて、骨格ポリマー200は、その上に第1のポリマー203(それは表面エネルギー減少部分を含む)および第2のポリマー205(それは表面エネルギー減少部分を含有しない)の両方をグラフトし、表面エネルギー減少部分の存在は3つの相互の方向での秩序を生産する。秩序は
図2Aおよび2B中で示される構造の周期性に反映される。構造の周期性は平面の秩序配列(正方充填アレイまたは六方最密充填(hcp)アレイ等)であるか、または充填アレンジは充填無秩序の様々な程度を有するか、または充填アレンジは無秩序であるか、または充填は様々な程度へ互いに入り込むグラフトポリマーにより起こるかのいずれかであり得る。第1のポリマーおよび第2のポリマーの圧縮および伸長はボトルブラシ構造の平面充填を可能にして、充填されたフィルム状態における局所的なエンタルピーおよびエントロピーのエネルギー要求性に合致し、調節される。ターポリマーが表面エネルギー減少部分(例えばフッ素原子)を含有しない場合、x方向(基板の平面に垂直である)での自己組織化は完全には行われず、したがってフィルム内の多数のターポリマーは多くの場合yおよびz方向で存在する。
【0076】
グラフトブロックコポリマーは、多様な方法(噴霧塗装、スピンキャスティング、浸漬コーティング、ブラシコーティング、ドクターブレードによる適用、または同種のもの等)によって基板上に配置することができる。
【0077】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマーおよび光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物は最初に混合され(ブレンドされ)、基板に適用されてて自己組織化したフィルムを形成する。次いでフィルムを乾燥して溶媒を除去する。生じたフィルム厚は、楕円偏光解析法、AFMおよびSEMを含む多様な技法によって測定することができる。ボトルブラシターポリマーがx方向(基板の平面に対して垂直である)で実質的に自己組織化した場合、そしてキャスト溶液が十分に希釈され、基板がターポリマー鎖の単層によりコーティングされるようにスピン速度が調節されるならば、フィルム厚はおよそターポリマー骨格の長さであるだろう。フィルムを照射へさらして酸を生成し、露光後ベーキング処理をしてターポリマー上で酸切断可能な部分を脱保護する。パターニングされたフィルムはベーキングおよびさらなる現像後にフォトレジストとして使用することができる。フィルムの露光したポーションは脱保護を受け、次いでそれは水性ベースの溶媒を使用して除去することができ、パターニングされたポジティブトーンフィルムを後に残す。フィルムのポーションはマスクにより照射から保護することができ、この部分は有意な脱保護を受けないだろう。次いで大部分の保護部分を保持するフィルムのポーションを有機溶媒を使用して除去することができ、パターニングされたネガティブトーンフィルムを後に残す。
【0078】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマーおよび光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物は最初に基板に適用されてて自己組織化したフィルムを形成する。次いでフィルムを乾燥して溶媒を除去する。フィルムを電子ビーム照射へさらして光酸を形成し、続いてターポリマー上で官能基を脱保護する任意のベーキング工程を行う。フィルムのポーションは、フィルムのこのポーションの上に電子ビームを向けないこと、またはマスクをすることのいずれかによって照射をなくすことができる。任意のベーキング工程が後続する場合、この未照射ポーションは、酸切断可能な部分の有意な脱保護を受けないだろう。次いでフィルムの脱保護されたポーションは水性アルカリ現像液を使用して除去することができ、ポジティブトーンによりパターニングされたフィルムを後に残す。パターニングされたフィルムはベーキングおよびさらなる現像後にフォトレジストとして使用することができる。
【0079】
例示的な光酸発生剤(PAG)はトリフェニルスルホニウムノナフルオロブチルスルホネートである。
【0080】
フォトレジスト組成物中で、コポリマーは50〜80wt%の量で使用され、光酸発生剤は5〜25wt%の量で使用され、フォトレジスト組成物の全重量に基づく。フォトレジスト組成物が共有結合された酸生成する基を含有するならば、添加された追加の遊離光酸発生剤分子の量は0〜15wt%の量で使用される。フォトレジスト組成物は所望されるならば溶媒を含有することができる。
【0081】
一実施形態において、グラフトブロックコポリマーを選択的に使用してグラフトブロックコポリマー上に配置されたブロックコポリマーのドメインと相互作用または固定して、ブロックコポリマー形態の秩序および登録を誘導することができる。グラフトブロックコポリマーは、ブロックコポリマーの1つまたは複数のドメインのアライメントおよび登録を誘導することができるトポロジーを有する。
【0082】
グラフトブロックコポリマーをテンプレートとして使用して、電子機器、半導体および同種のもの等の分野において使用され得る他の表面を装飾または製造することができる。グラフトブロックコポリマーは自己組織化することができ、フォトレジストの形成において使用される他のブロックコポリマーを上回る多数の有意な利点を有する。高度の制御が合成化学に対して発揮されるグラフトブロックコポリマーを使用することによって、グラフトブロックコポリマーの垂直配向の大きな領域は、直鎖状ブロックコポリマーリソグラフィーの他の比較形態に必要とされるように、超分子組織化プロセスの必要性なしに、厚みが50ナノメートル未満(nm)、好ましくは30nm未満であるフィルム中で達成される。グラフトブロックコポリマーの構造的特徴および形態学的特徴は横方向および縦方向で調整することができ、このようにして高感度フォトレジストの調製が可能になる。さらに、グラフトブロックコポリマーの構造的特徴および形態学的特徴は横方向および縦方向で調整することができ、光酸触媒の増強された異方性の垂直な拡散を促進する。これらのフォトレジスト(各々は2、3のグラフトブロックコポリマーのみを含む)は、高エネルギー電磁放射(例えばX放射線、電子ビーム、中性子ビーム、イオン照射、極紫外線(10eV〜124eVのエネルギーの光子を有する)および同種のもの)と併用して、約30nm以下の線幅解像度で、フォトリソグラフィーのために使用することができる。グラフトブロックコポリマー、フォトレジスト組成物およびそれに由来するフォトレジストは、以下の非限定的実施例中で詳述される。
【実施例】
【0083】
この実施例はグラフトブロックコポリマーの調製を実証するために行われる。第1のブロックはポリノルボルネン骨格ポリマーを含み、第1のポリマー(ポリ(5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレート))は、それへグラフトされ(上で詳述されるように)、第2のブロックはポリノルボルネン骨格ポリマーを含み、第2のポリマー(ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)のブロックを含む第1のブロックポリマーならびにポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)およびポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)を含む第2のブロック)は、それへグラフトされる。
【0084】
グラフトブロックコポリマーの生産のために使用された材料は以下の通りである。
以下の参照中で提供される文献報告に従って、修飾Grubbs触媒およびノルボルネン−連鎖移動剤(NB−CTA)を合成した。
1.Li,Z.;Ma,J.;Lee,N.S.;Wooley,K.L.J.Am.Chem.Soc.2011,133,1228.
2.Li,A.;Ma,J.;Sun,G.;Li,Z.;Cho,S.;Clark,C.;Wooley,K.L.J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem.2012,50,1681.
【0085】
フォトリソグラフィーのための光酸発生剤(PAG)(トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)および電子線リソグラフィー(EBL)のためのトリフェニルスルホニウムペルフルオロ−1−ブタンスホネート(butanesufonate)は、それぞれ、DOW Electronic Materialsによって提供された。ECPMAおよびGBLMAはDOW Electronic Materialsによって提供され、カラムクロマトグラフィーによって精製して阻害剤を除去した。ヒドロキシルを末端としたポリスチレン(PS−OHs、GPCによってそれぞれ分子量4,000ダルトンおよび10,000ダルトン)は、DOW Electronic Materialsによって提供された。1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルメタクリレート(BTFHMBMA)はAldrichから購入し、さらなる精製なしに使用した。トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート(TPS−DFSEMA)はDOW Electronic Materialsによって提供され、さらなる精製なしに使用した。他の化学物質はAldrich、AcrosおよびVWRから購入し、特に断りのない限りさらなる精製なしに使用した。使用の前に、テトラヒドロフラン(THF)はナトリウムの上で蒸留し、N
2下で保存した。ジクロロメタン(CH
2Cl
2)は水素化カルシウムの上で蒸留し、窒素下で保存した。
【0086】
前駆体および生産物の解析のために使用する装置は以下の通り詳述される。
1Hおよび
13CのNMRスペクトルは、VNMRソフトウェアを使用して、UNIX(登録商標)コンピューターへ接続したVarian 500MHzスペクトロメーター上に記録した。化学シフトは溶媒プロトン共鳴を参照した。
【0087】
ポリマーの分子量および分子量分布はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。GPCは、Waters 2414示差屈折率検出器、PD2020二重角度(15°および90°)光散乱検出器(Precision Detectors Inc.)、および3カラムシリーズ(PLゲル5マイクロメートル(μm)Mixed C、500オングストローム(Å)および104Å、300×7.5ミリメートル(mm)カラム;Polymer Laboratories Inc.)を装備した、Waters 1515 HPLC(Waters Chromatography Inc.)上で行った。システムはTHF中で40℃で平衡化され、それは1.0ミリリットル毎分(mL/分)のフロー率でポリマー溶媒および溶出液として働いた。ポリマー溶液を公知の濃度(3〜5ミリグラム毎ミリリットル(mg/mL))で調製し、200マイクロリットル(μL)の注入体積を使用した。データ収集および解析は、それぞれPrecision AcquireソフトウェアおよびDiscovery 32ソフトウェア(Precision Detectors Inc.)により実行した。検出器間の遅延体積および光散乱検出器較正定数は、ほぼ単分散のポリスチレンスタンダード(Polymer Laboratories、M
p=90キロダルトン(kDa)、M
w/M
n<1.04)を使用する較正によって決定した。示差屈折率検出器は、公知の特異的な屈折率増分dn/dc(0.184ミリリットル毎グラム(mL/g))のスタンダードポリスチレン参照材料(SRM 706 NIST)により較正した。次いで解析されたポリマーのdn/dc値を示差屈折率検出器の応答から決定した。
【0088】
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)GPCは、アイソクラティックポンプモデル1515、示差屈折率検出器モデル2414、ならびにStyragel HR 4およびHR 4E 5μm DMF 7.8×300mmカラムの2カラムセットを装備したWaters Chromatography Inc.(Milford、MA)のシステム上で行った。システムは0.05MのLiBrを含有する前濾過したDMF中で70℃で平衡化され、それはポリマー溶媒および溶出液(1.00mL/分に設定されたフロー率)として働いた。ポリマー溶液を約3mg/mLの濃度で調製し、200μLの注入体積を使用した。データ収集および解析はEmpower Proソフトウェア(Waters Inc.)により実行した。システムは615〜442,800ダルトンの範囲のポリスチレンスタンダード(Polymer Laboratories)により較正した。
【0089】
光学的張力計(KSV装置、Attension Theta)により接触角を測定した後に、Owens−Wendt−Rabel−Kaelble(OWRK)方法を使用して、フィルムの表面エネルギーを計算した。X線光電子分光法(XPS)実験は、単色アルミニウムX線源(10ミリアンペア(mA)、12キロボルト(kV))を備えたKratos Axis Ultra XPSシステム上で実行した。結合エネルギースケールは主要なC1s(炭素1s)ピークについて285電子ボルト(eV)へ較正した。
【0090】
薄フィルムのフッ素深さプロファイルはCAMECA 4Fの二次イオン質量分析計から得た。測定の前に、ポリマーフィルムを5nmの厚みでPt/Pd合金(80wt%/20wt%)の薄層によりコーティングした。解析された表面は6nAの電流で14.5keVのCs
+ビーム(〜1μmの直径)によってスパッタした。ラスターはスピンキャストされたサンプルについて500×500μm
2であった。ビームの入射角は26°であった。ポリマーフィルム、Pt/Pdフィルムおよびシリコンウエハについてのスパッタリング率はSRIM 2011.08ソフトウェアの使用によって計算した。
【0091】
EBLは、DEBENレーザーステージを装備したJEOL JSM−6460走査電子顕微鏡(SEM)の使用によって実行した。システムは、50〜75マイクロクーロン毎平方センチメートル(μC/cm
2)(1.5〜2.25ミリジュール毎平方センチメートル(mJ/cm
2)に対応する)の範囲の一連の露光量により、30キロボルト(kV)の加速電圧および10ピコアンペア(pA)ビーム電流で操作した。ポリマーレジストのリソグラフィー挙動を、それぞれ、70nm/120nmの線幅/間隔フィーチャを備えた20×20マイクロメートル(μm)でデザインされたパターンならびに混合された100nm/100nm線幅/間隔および100nm/60nm線幅/間隔フィーチャーを備えた20×20μmでデザインされたパターンの使用によって評価した。
【0092】
原子間力顕微鏡(AFM)イメージングは、標準的なシリコンチップ(VISTAprobes、T190−25、共振定数:190キロヘルツ(kHz)、チップ半径:〜10nm、ばね定数:48ニュートン毎メートル(N/m))を使用して、タッピングモードでMFP−3Dシステム(Asylum Research)上で実行した。電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)イメージは、7kVの加速電圧を使用して、JEOL JSM−7500Fにより収集した。
【0093】
実施例1
第1のポリマー(ノルボルネン−ポリ(5,5,5−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレート)(NB−PBTFHMBMA17))の合成:火炎により乾燥した磁性撹拌子を装備したN
2雰囲気下の25mLのSchlenkフラスコへ、NB−CTA(204mg、53.0μmol)、BTFHMBMA(4.93g、16.0mmol)、AIBN(12.9mg、79.6μmol)および8mLの2−ブタノンを添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、凍結−ポンプ−解凍の4つのサイクルを介して脱酸素し、N
2で再度満たした。最後のサイクル後に、反応混合物を室温で10分間撹拌し、65℃で前加熱した油浴の中へ浸漬して重合を開始する。7.5時間後に、液体N
2による反応フラスコの冷却によって重合をクエンチした。ポリマーは、150mLの冷ヘキサン(〜−10℃)の中への沈殿によって2回精製した。沈殿物を遠心分離によって回収し、100mLのヘキサンにより洗浄し、残留溶媒の除去のために真空下で一晩維持した。1.6gの生産物が産出され、BTFHMBMAの〜45%の転換に基づいて65%の収率であった。Mn、GPC=5,100Da(THF GPC、RI検出器)、PDI=1.08。Mn、NMR=5,620Da。1H NMR(500MHz,DMSO−d6,δ)7.42−7.78(m、RAFT官能基およびHOC(CF3)2からのAr Hs)、6.08(s、NBCH=CH)、3.70−4.20(m、NB CH2OC(O)およびBTFHMBMA CH2OC(O))、0.76−2.80(m、NB環およびBTFHMBMA単位からのすべてのCH、CH2およびCH3)。
【0094】
実施例2
この実施例は第2のポリマーの製造を実証するために行われた。上で詳述されるように、第2のポリマーは、ノルボルネン−ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)−b−ポリ(トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロキシ)エタンスルホネート)−コ−ポリ(1−エチルシクロペンチルメタクリレート)−b−ポリ(γ−ブチロラクトン−2−イルメタクリレート)である。
【0095】
M1(Nb−P(ECPMA25−コ−GBLMA32))の合成:火炎により乾燥した磁性撹拌子を装備したN
2雰囲気下の25mLのSchlenkフラスコへ、NB−CTA(196mg、0.508mmol)、ECPMA(2.31g、12.7mmol)、GBLMA(2.16g、12.7mmol)、AIBN(8.23mg、50.8μmol)および6mLの2−ブタノンを添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、凍結−ポンプ−解凍の5つのサイクルを介して脱酸素し、N
2で再度満たした。最後のサイクル後に、反応混合物を室温で10分間撹拌し、65℃で前加熱した油浴の中へ浸漬して重合を開始する。14時間後に、液体N
2による反応フラスコの冷却によって重合をクエンチした。コポリマーは、250mLのジエチルエーテルの中への沈殿によって2回精製した。沈殿物を遠心分離によって回収し、200mLのジエチルエーテルおよび200mLのヘキサンにより洗浄し、残留溶媒の除去のために真空下で一晩維持した。3.47gの生産物が産出され、GBLMAの〜88%の転換、ECPMAの〜80%の転換およびNB−CTAの〜80%の転換に基づいて86%の収率であった。Mn、GPC=11,700Da(THF GPC、レーザー検出器)、PDI=1.10。Mn、NMR=10,400Da。1H NMR(500MHz、CDCl3、δ)7.42−7.84(m、RAFT官能基からのAr Hs)、6.08(s、NBCH=CH)、5.28−5.48(br、GBL OCHC(O))、3.90−4.60(m、NB CH
2OC(O)およびGBL CH2OC(O))、0.76−2.76(m、NB環、ECPMA単位およびGBLMA単位からのすべてのCH2およびCH3)。
【0096】
実施例3
マクロ−CTA(Nb−P(TPS−DFSEMA
4−コ−ECPMA
14))の合成:火炎により乾燥した磁性撹拌子を装備したN
2雰囲気下の25mLのSchlenkフラスコへ、NB−CTA(220mg、0.572mmol)、TPS−DFSEMA (563mg、1.15mmol)、ECPMA(1.88g、10.3mmol)、AIBN(13.9mg、85.8μmol)および6mLの2−ブタノンを添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、凍結−ポンプ−解凍の4つのサイクルを介して脱酸素し、N
2で再度満たした。最後のサイクル後に、反応混合物を室温で10分間撹拌し、65℃で前加熱した油浴の中へ浸漬して重合を開始する。20時間後に、液体N
2による反応フラスコの冷却によって重合をクエンチした。コポリマーは、250mLのMeOH/ジエチルエーテル(v/v=6:94)の中への沈殿によって2回精製した。沈殿物を遠心分離によって回収し、200mLのMeOH/ジエチルエーテル(v/v=5:95)および200mLのジエチルエーテルにより洗浄し、残留溶媒の除去のために真空下で一晩維持した。1.16gの生産物が産出され、GBLMAの〜80%の転換、TPS−DFSEMAの〜70%の転換およびNB−CTAの〜80%の転換に基づいて56%の収率であった。Mn、GPC=8,700Da(DMF GPC、RI検出器)、PDI=1.10。Mn、NMR=4,900Da。1H NMR(500MHz、CD2Cl2、δ)7.68−7.88(m、TPS官能基からのAr Hs)、7.42−7.68(m、RAFT官能基からのAr Hs)、6.08(s、NBCH=CH)、4.26−4.74(br、DFSEMAからのOCH2CF2)、3.90−4.16(m、NB CH2OC(O))、0.76−2.80(m、NB環、ECPMA単位、およびDFSEMA単位からのすべてのCH2およびCH3)。
【0097】
実施例4
M2(NB−P(TPS−DFMAES
4−コ−ECPMA
14)−b−P(ECPMA10−コ−GBLMA11))の合成:火炎により乾燥した磁性撹拌子を装備したN
2雰囲気下の25mLのSchlenkフラスコへ、マクロ−CTA(292mg、59.6μmol)、ECPMA(137mg、0.753mmol)、GBLMA(128mg、0.753mmol)、AIBN(1.46mg、8.94μmol)および2.2mLの2−ブタノンを添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、凍結−ポンプ−解凍の4つのサイクルを介して脱酸素し、N
2で再度満たした。最後のサイクル後に、反応混合物を室温で10分間撹拌し、65℃で前加熱した油浴の中へ浸漬して重合を開始する。15時間後に、液体N
2による反応フラスコの冷却によって重合をクエンチした。コポリマーは、45mLのジエチルエーテルの中への沈殿によって2回精製した。沈殿物を遠心分離によって回収し、40mLのMeOHおよび100mLのヘキサンにより洗浄し、残留溶媒の除去のために真空下で一晩維持した。420mgの生産物が産出され、GBLMAの〜75%の転換およびECPMAの〜60%の転換に基づいて89%の収率であった。Mn、GPC=13,100Da(DMF GPC、RI検出器)、PDI=1.11。Mn、NMR=8,600Da。1H NMR(500MHz、CDCl3、δ)7.68−7.88(m、TPS官能基からのAr Hs)、7.42−7.68(m、RAFT官能基からのAr Hs)、6.08(s、NBCH=CH)、5.28−5.48(br、GBL OCHC(O))、3.90−4.74(m、NB CH2OC(O)、GBL CH2OC(O)およびDFSEMAからのOCH2CF2)、0.76−2.80(m、NB環、ECPMA単位、GBLMA単位およびDFSEMA単位からのすべてのCH2およびCH3)。
【0098】
実施例5
ブロックボトルブラシポリマーI(BBBPI)P(NB−g−P(ECPMA14−コ−GBLMA32)35−b−P(NB−g−PBTFHMBMA17)5)の合成。火炎により乾燥した磁性撹拌子を装備したN
2雰囲気下の10mLのSchlenkフラスコへ、修飾Grubbsの触媒(2.66mg、3.65μmol)および1mLの無水CH
2Cl
2を添加した。混合物を室温で1分間撹拌し、凍結−ポンプ−解凍の3つのサイクルを介して脱酸素し、N
2で再度満たした。最後のサイクル後に、5mLの無水CH
2Cl
2(凍結−ポンプ−解凍の3つのサイクルを介して脱酸素された)中のM1の溶液(1.14g、0.11mmol)を、気密シリンジにより迅速に添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌してから、0.6mLの無水THF(凍結−ポンプ−解凍の3つのサイクルを介して脱酸素された)中のM3(125mg、22.0μmol)の溶液を、気密シリンジにより添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌してから、0.6mLのエチルビニルエーテル(EVE)の添加によって重合をクエンチし、室温で一晩さらに撹拌した。溶液を125mLのジエチルエーテル/MeOH(v/v=4:1)の中へ沈殿させた。沈殿物を遠心分離を介して回収し、15mLのCH
2Cl
2の中へ再溶解した。次いで溶液を200mLのジエチルエーテルの中へ沈殿させた。沈殿物を遠心分離によって回収し、100mLのMeOH/ジエチルエーテル(v/v=1:9)および200mLのヘキサンにより洗浄し、残留溶媒の除去のために真空下で一晩維持した。970mgの生産物が産出され、それぞれM1およびM3の〜95%の転換に基づいて81%の収率であった。Mn、GPC=443kDa(THF GPC、レーザー検出器)、PDI=1.22。1H NMR(500MHz、DMSO−d6)δ7.42−7.92(m、RAFT官能基およびHOC(CF3)2からのAr Hs)、5.22−5.76(br、GBL OCHC(O)およびブラシ骨格CH=CH)、3.80−4.70(m、NB CH2OC(O)およびGBL CH2OC(O))、0.76−2.76(m、NB環、ECPMA単位およびGBLMA単位からのすべてのCH2およびCH3)。
【0099】
実施例6
ブロックボトルブラシポリマーII(BBBPII)(P(NB−g−(P(TPS−DFSEMA4−コ−ECPMA14)−b−P(ECPMA10−コ−GBLMA11))20−b−P(NB−g−PBTFHMBMA17)4)の合成。火炎により乾燥した磁性撹拌子を装備したN
2雰囲気下の10mLのSchlenkフラスコへ、修飾Grubbsの触媒(1.65mg、2.26μmol)および0.5mLの無水CH
2Cl
2を添加した。反応混合物を室温で1分間撹拌して均一な溶液を得て、凍結−ポンプ−解凍の3つのサイクルを介して脱酸素し、N
2で再度満たした。最後のサイクル後に、2.5mLの無水CH
2Cl
2(凍結−ポンプ−解凍の3つのサイクルを介して脱酸素された)中のM2の溶液(390mg、45.3μmol)を、気密シリンジにより迅速に添加した。反応混合物を室温で2.5時間撹拌してから(〜0.2mLのアリコートをGPC解析のために2時間の撹拌後に採取した)、0.35mLの無水THF/CH
2Cl
2(v/v=1:6、凍結−ポンプ−解凍の3つのサイクルを介して脱酸素された)中のM3(48.2mg、8.53μmol)の溶液を、気密シリンジにより添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌してから、0.3mLのEVEの添加によって重合をクエンチし、室温で10時間さらに撹拌した。溶液を3mLのCH
2Cl
2により希釈し、90mLのジエチルエーテルの中へ沈殿させた。沈殿物を遠心分離を介して回収し、10mLのCH
2Cl
2の中へ再溶解した。次いで溶液を90mLのジエチルエーテルの中へ沈殿させた。沈殿物を遠心分離によって回収し、200mLのヘキサンにより洗浄し、残留溶媒の除去のために真空下で一晩維持した。350mgの生産物が産出され、それぞれM2の〜90%の転換およびM3の〜90%の転換に基づいて89%の収率であった。Mn、GPC=124kDa(DMF GPC、RI検出器)、PDI=1.25。1H NMR(500MHz、DMSO−d6)δ7.68−7.88(m、TPS官能基からのAr Hs)、7.42−7.68(m、RAFT官能基からのAr Hs)、6.70−6.80(br、BTFHMBMAからのHOC(CF3)2)、5.22−5.70(br、GBL OCHC(O)およびブラシ骨格CH=CH)、4.25−4.80(m、GBL CH2OC(O)およびDFSEMA OCH2CF2)、3.70−4.18(m、NB CH2OC(O)およびBTFHMBMA (O)COCH2)、0.76−2.86(m、NB環、ECPMA単位、GBLMA単位、BTFHMBMA単位およびDFSEA単位からのすべてのCH、CH2およびCH3)。
【0100】
実施例7
ポリマー薄フィルムの調製のための一般的な手順。PGEMA(1.0wt%)中のBBBP Iまたはシクロヘキサノン(1.0wt%)中のBBBP IIの溶液を調製し、使用前にPTFEシリンジフィルター(220nmの孔サイズ)を介して通過させた。溶液をUV−O
3前処理したシリコンウエハの上へ適用し、500rpmで5秒間スピンコーティングし、続いて3,000rpmで30秒間スピンして(各々の工程について200rpm/秒の加速率)、それぞれ24nmまたは26nmの厚みを備えた薄フィルムを産出した。
【0101】
ポリマーフィルムでコートしたシリコンウエハを、飽和アセトン雰囲気により満たされたデシケーター中で真空下で20時間維持した。アニーリングプロセス後に、真空下でポンプでくみ出すことによって過剰な溶媒を除去し、デシケーターを開けてN
2ガスを徐々に満たした。
【0102】
実施例8
フォトリソグラフィーのためのBPCAR−I薄フィルムの調製のための一般的な手順。PGMEA中のBBBP I:PAG(0.8wt%:0.2wt%)の溶液を調製し、使用前にPTFEシリンジフィルター(220nmの孔サイズ)を介して通過させた。溶液をUV−O
3前処理したシリコンウエハの上へ適用し、500rpmで5秒間スピンコーティングし、続いて3,000rpmで30秒間スピンし(各々の工程について200rpm/秒の加速率)、120℃で2〜3分間PABを行い、21nmの厚みを備えた薄フィルムを産出した。
【0103】
実施例9
PS−OHによりUV−O
3処理されたウエハのプライミングのための一般的な手順。シクロヘキサノン中のPS−OHの溶液を調製し、使用前にPTFEシリンジフィルター(220nmの孔サイズ)を介して通過させた。溶液をUV−O
3前処理したシリコンウエハの上へ適用し、500rpmで5秒間スピンコーティングし、続いて3,000rpmで30秒間スピンした(各々の工程について200rpm/秒の加速率)。次いでPS−OH処理したウエハを120℃で24時間真空(〜180mmHg)下でアニールした。ウエハをトルエン中で5分間超音波で処理してグラフトされていないPS−OHを除去し、新鮮なトルエンにより洗浄し、N
2流によって乾燥させた。
【0104】
実施例10
EBLのためのBPCAR−I薄フィルムの調製のための一般的な手順。シクロヘキサノン中のBBBP I:PAG(0.9wt%:0.1wt%)の溶液を調製し、使用前にPTFEシリンジフィルター(220nmの孔サイズ)を介して通過させた。溶液をPS−OH(GPCによって分子量4,000ダルトン)でプライミングしたシリコンウエハの上へ適用し、500rpmで5秒間スピンコーティングし、続いて3,000rpmで30秒間スピンし(各々の工程について200rpm/秒の加速率)、90℃で2分間PABを行い、25nmの厚みを備えた薄フィルムを産出した。
【0105】
実施例11
フォトリソグラフィーのためのBPCAR−II薄フィルムの調製のための一般的な手順。シクロヘキサノン(1.0wt%)中のBBBP IIの溶液を調製し、使用前にPTFEシリンジフィルター(220nmの孔サイズ)を介して通過させた。溶液をUV−O
3前処理したシリコンウエハの上へ適用し、500rpmで5秒間スピンコーティングし、続いて3,000rpmで30秒間スピンし(各々の工程について200rpm/秒の加速率)、120℃で2分間PABを行い、26nmの厚みを備えた薄フィルムを産出した。
【0106】
実施例12
EBLのためのBPCAR−II薄フィルムの調製のための一般的な手順。シクロヘキサノン(0.75wt%)中のBBBP IIの溶液を調製し、使用前にPTFEシリンジフィルター(220nmの孔サイズ)を介して通過させた。溶液をPS−OH(GPCによって分子量10,000ダルトン)でプライミングしたシリコンウエハの上へ適用し、500rpmで5秒間スピンコーティングし、続いて3,000rpmで30秒間スピンし(各々の工程について200rpm/秒の加速率)、90℃で2〜4分間PABを行い、薄フィルムを産出した。
【0107】
実施例13
フォトリソグラフィーのための一般的な手順。ポリマーレジストフィルムでコートしたウエハを石英フォトマスクを介して約20cm離してUV光源(254nm、6W)へ2分間露光した。露光後に、露光したフィルムを120℃で様々な時間ホットプレート上で後ベーキングし、次いでウエハを0.1Mの水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液に30〜60秒間浸漬し、続いてDI水によりリンスし、N
2流により乾燥することによって、露光しない領域を現像した。
【0108】
実施例14
EBLのための一般的な手順。あらかじめデザインしたパターンで電子ビーム「書き込み」後に、露光したウエハを100℃のホットプレート上で1〜2分間後ベーキングし、0.1MのTMAH(水溶液)溶液の中に20〜30秒間浸漬した。ウエハをDI水によりリンスし、N
2流によって乾燥した。結果を表1中で以下に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
図3は、様々な条件で、PBCAR−Iの254nmのフォトリソグラフィーによって生成されたパターンのタッピングモード原子間力顕微鏡(AFM)高さイメージから得られた顕微鏡写真図を示す。
図3(A)〜(G)は、それぞれ表1のエントリー#10、#11、#6、#7、#8、#14および#16からのパターンのAFM高さイメージを反映する。
図4は、それぞれ50μC/cm
2露光量(左側)および60μC/cm
2露光量(右側)ならびに100℃で2分間のPEBで、PBCAR−Iの30kVのEBLによって、生成されたパターンのタッピングモードAFM高さイメージを示す顕微鏡写真図を提示する。
図4(A)は120nm/70nmの線/間隔でデザインされたフィーチャを備えたパターンである。
図4(B)は100nm/100nmの線/間隔でデザインされたフィーチャを備えたパターンである。
図4(C)は60nm/100nmの線/間隔でデザインされたフィーチャを備えたパターンである。
図5は、75μC/cm
2露光量および100℃で1分間のPEBで、PBCAR−IIの30kVのEBLによって、生成されたパターンのタッピングモードAFM高さイメージを示す顕微鏡写真図を提示する。
図5(A)は120nm/70nmの線/間隔でデザインされたフィーチャを備えたパターンを示す。
図5(B)は100nm/100nmの線/間隔でデザインされたフィーチャを備えたパターンを示す。