特許第6598445号(P6598445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598445
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】置換アリールオニウム材料
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20191021BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20191021BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20191021BHJP
   C07D 333/50 20060101ALN20191021BHJP
   C07C 63/72 20060101ALN20191021BHJP
   C07C 309/12 20060101ALN20191021BHJP
   C07C 381/12 20060101ALN20191021BHJP
【FI】
   G03F7/039 601
   G03F7/004 503A
   C09K3/00 K
   !C07D333/50
   !C07C63/72
   !C07C309/12
   !C07C381/12
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2014-197477(P2014-197477)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-91935(P2015-91935A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2017年9月12日
(31)【優先権主張番号】14/040,587
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・ラボーメ
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−361577(JP,A)
【文献】 特開2005−274647(JP,A)
【文献】 特開2012−025762(JP,A)
【文献】 特開2007−178848(JP,A)
【文献】 特開平11−279213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/
C09K 3/00
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の構造
【化1】
(式中、Zは対アニオンであり;
Xは硫黄またはヨウ素であり;
は水素または非水素置換基であり;
R’およびR”は同一または異なる非水素置換基であり、かつ任意で環を形成してもよく、ただし、Xがヨウ素の場合にR’およびR”のうちの1つが無く;
Wは、−C(=O)O(CX’X”)nC(=O)O−であり(式中、nは正の整数であり、それぞれのX’およびX”は独立に水素または非水素置換基である);
Aは任意で置換された炭素環式アリールまたは任意で置換されたヘテロ芳香族基であり;
Qは任意で置換されたアルキレン、任意で置換されたアルケニレン、または任意で置換されたアルキニレンであり;ならびに
EおよびE’は、それぞれ独立に水素または非水素置換基であって、EおよびE’のうちの少なくとも1つが非水素置換基である)
を含む、酸発生剤
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項2】
Zが、カルボキシレート、スルファメートまたは非フッ素化スルホネートからなる群から選択される、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
フォトレジストレリーフイメージを提供するための方法であって、
a)請求項2に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基板上に塗布する工程と;
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化照射に露光し、露光したフォトレジスト組成物コーティング層を現像する工程と、
を含む方法。
【請求項4】
Zが重合可能な部分を含有する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
フォトレジストレリーフイメージを提供するための方法であって、
a)請求項4に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基板上に塗布する工程と;
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化照射に露光し、露光したフォトレジスト組成物コーティング層を現像する工程と、
を含む方法。
【請求項6】
フォトレジストレリーフイメージを提供するための方法であって、
a)請求項1に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基板上に塗布する工程と;
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化照射に露光し、露光したフォトレジスト組成物コーティング層を現像する工程と、
を含む方法。
【請求項7】
式(II)の構造
【化2】
(式中、Zは対アニオンであり;
Rは−(CX’X”)nC(=O)O−R’であり(式中、nは正の整数であり、それぞれのX’およびX”は独立に水素または非水素置換基であり、R’は非水素置換基である);
それぞれのT、それぞれのT’およびそれぞれのT”は、同一または異なる非水素置換基であって、TとT”またはTとT’のどちらかは結合して環を形成することが可能であり;
n、n’およびn”は、それぞれ独立に0、1、2、3または4であり;
Jは、化学結合、またはBおよびCと共有結合できる基を表し;
Qは、C〜Cの飽和または不飽和のアルキレン基であり;
EおよびE’は、それぞれ独立に水素または非水素置換基であって、EおよびE’のうちの少なくとも1つが非水素置換基であり;ならびに
A、BおよびCは、それぞれ同一または異なる任意で置換された炭素環式アリールまたはヘテロ芳香族基である)
を含む酸発生剤
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項8】
フォトレジストレリーフイメージを提供するための方法であって、
a)請求項7に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基板上に塗布する工程と;
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化照射に露光し、露光したフォトレジスト組成物コーティング層を現像する工程と、
を含む方法。
【請求項9】
Jが化学結合を表す、請求項7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
JがBおよびCと共有結合できる基を表す、請求項7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
Jが、任意で置換されたアルキレン基、C=O、O、SO、SOたはNR(Rは非水素置換基である)である、請求項10に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項12】
Zが、カルボキシレート、スルファメートまたは非フッ素化スルホネートからなる群から選択される、請求項7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
Zが重合可能な部分を含有する、請求項7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項14】
式(IIa)の構造
【化3】
(式中、Zは対アニオンであり;
Rは−(CX’X”)nC(=O)O−R’であり(式中、nは正の整数であり、それぞれのX’およびX”は独立に水素または非水素置換基であり、R’は非水素置換基である);
それぞれのT、それぞれのT’およびそれぞれのT”は、同一または異なる非水素置換基であって、TとT”またはTとT’のどちらかは結合して環を形成することが可能であり;
n、n’およびn”は、0、1、2、3または4であり;
およびRは、それぞれHであるか、またはRおよびRは併せて化学結合、もしくはBおよびCと共有結合できる基を表し;
Qは、C〜Cの飽和または不飽和のアルキレン基であり;
EおよびE’は、それぞれ独立に水素または非水素置換基であって、EおよびE’のうちの少なくとも1つは非水素置換基であり;ならびに
A、BおよびCは、それぞれ同一または異なる任意で置換された炭素環式アリールまたはヘテロ芳香族基である)
を含む酸発生剤
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項15】
フォトレジストレリーフイメージを提供するための方法であって、
a)請求項14に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基板上に塗布する工程と;
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化照射に露光し、露光したフォトレジスト組成物コーティング層を現像する工程と、
を含む方法。
【請求項16】
およびRがそれぞれHである、請求項14に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項17】
およびRが、併せて化学結合、もしくはBおよびCと共有結合できる基を表す、請求項14に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項18】
Zが、カルボキシレート、スルファメートまたは非フッ素化スルホネートからなる群から選択される、請求項14に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項19】
Zが重合可能な部分を含有する、請求項14に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項20】
式(VII)の構造
【化4】
(式中、
Zは対アニオンであり;
Rは水素または非水素置換基であり;
それぞれのT、それぞれのT’およびそれぞれのT”は、同一または異なる非水素置換基であって、TとT”またはTとT’のどちらかは結合して環を形成することが可能であり;
nは0、1、2、3または4であり;
n’およびn”は、それぞれ独立に0、1、2、3、4または5であり;
Eは水素または非水素置換基であり;
A’、B’、C’はそれぞれ独立にC〜C36の芳香族、C〜C36の多環芳香族またはC〜C36の共役芳香族基であり;
J’は、非結合、単化学結合、またはB’およびC’と共有結合できる基を表し;
は水素または非水素置換基であり;ならびに
Q’はCのアルキレン基である)
を含む、酸発生剤。
【請求項21】
請求項20に記載の酸発生剤を含むフォトレジスト組成物。
【請求項22】
フォトレジストレリーフイメージを提供するための方法であって、
a)請求項21に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基板上に塗布する工程と;
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化照射に露光し、露光したフォトレジスト組成物コーティング層を現像する工程と、
を含む方法。
【請求項23】
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
からなる群から選択される構造を含む、酸発生剤。
【請求項24】
請求項23に記載の酸発生剤を含むフォトレジスト組成物。
【請求項25】
フォトレジストレリーフイメージを提供するための方法であって、
a)請求項24に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基板上に塗布する工程と;
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化照射に露光し、露光したフォトレジスト組成物コーティング層を現像する工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様において、本発明は、置換された炭素環式基またはヘテロ芳香族基を含む新規のオニウム酸発生剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、基板への像の転写のための感光性膜である。それらは、ネガ型またはポジ型像を形成する。フォトレジストを基板上にコーティングした後、パターン形成したフォトマスクを通してコーティングを紫外線などの活性エネルギーの供給源に露光させ、フォトレジストコーティング中に潜像を形成させる。フォトマスクは、下層の基板に転写されることが望まれる像を画定する、活性放射線に不透過性および透過性の領域を有する。レジストコーティング中の潜像パターンの現像によってレリーフイメージが提供される。
【0003】
公知のフォトレジストは、多くの既存の商業的用途に十分な解像度および寸法を有する特性を提供し得る。しかし他の多くの用途のために、高度に解像されたサブミクロンの寸法の像を提供し得る新規のフォトレジストの必要性がある。
【0004】
フォトレジスト組成物の構成を変えて機能特性の性能を改善するために種々の試みがなされてきた。特に、フォトレジスト組成物における使用のために種々の光反応性化合物が報告されている。米国特許第20070224540号および欧州特許第1906241号を参照されたい。米国特許第8318403号および米国特許第2012/0015299号も参照されたい。193nmなどの短波長結像も利用されている。極端紫外線(EUV)および電子ビーム結像技術も用いられている。米国特許第7459260号も参照されたい。EUVは、典型的には1nmから40nmの間である短波長放射線を利用し、しばしば13.5nm放射線が用いられる。
【0005】
EUVフォトレジストの開発は、引き続きEUVリソグラフィー(EUVL)技術の実現のための難しい課題である。低い線幅粗さ(linewidth roughness(LWR))、およびウエハーのスループットを提供する十分な感度を含めた、高度に解像された微細な特性を提供し得る材料の開発が求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
現在我々は、新規の酸発生剤および1種または複数のこうした酸発生剤を含むフォトレジスト組成物を発見した。
【0007】
一態様において、酸発生剤は、置換された炭素環式またはヘテロ芳香族基を含むという条件である。
【0008】
詳細には、好ましい酸発生剤は、式:
−Y−C(=O)O(CX’X”)C(=O)OR
の構造で表されるジエステル部分を含んでいてよい
(式中、Yは、Yは少なくとも1つの非水素置換基を有するという条件で、1つまたは複数の炭素原子(例えば置換されたアルキレン基)を含むリンカーであり;
nは、正の整数であり、
それぞれのX’およびX”は、独立に水素または非水素置換基であり;ならびに
Rは、任意で置換されたアルキル、任意で置換されたヘテロアルキル、任意で置換された脂環式、任意で置換されたヘテロ脂環式、任意で置換された炭素環式アリールまたは任意で置換されたヘテロ芳香族などの非水素置換基である)。
【0009】
特定の好ましい態様においては、酸発生剤は式(I):
【化1】
の構造を含む
(式中、Zは、非求核性アニオン(例えば、カルボキシレート、サルフェート、スルホネート、スルファメート、またはスルホンアミドのアニオン)などの対アニオンであり; Xは、硫黄またはヨウ素であり;
は、水素または任意で置換されたアルキル、任意で置換されたヘテロアルキル、任意で置換された脂環式、任意で置換されたヘテロ脂環式、任意で置換された炭素環式アリールもしくは任意で置換されたヘテロ芳香族などの非水素置換基であり;
R’およびR”は、任意で置換されたアルキル、任意で置換されたヘテロアルキル、任意で置換された脂環式、任意で置換されたヘテロ脂環式、任意で置換された炭素環式アリールもしくは任意で置換されたヘテロ芳香族などの同一または異なる非水素置換基であって、かつ任意で環を形成してもよく、ただし、Xがヨウ素である場合にR’およびR”のうちの1つが無
Wは、−O−、−S−、>CO、−O(C=O)−、−(C=O)O−、−N(C=O)−、−C=ON−または−C(=O)O(CX’X”)nC(=O)O−であり(式中、nは正の整数であり、それぞれのX’およびX”は独立に水素または任意で置換されたアルキル、任意で置換されたヘテロアルキル、任意で置換された脂環式、任意で置換されたヘテロ脂環式、任意で置換された炭素環式アリールもしくは任意で置換されたヘテロ芳香族などの非水素置換基である);
Aは、任意で置換された炭素環式アリールまたは任意で置換されたヘテロ芳香族基(例えば、C6〜14の炭素環式アリールまたはヘテロ芳香族環系においてO、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含めた5から14個の原子を有する任意で置換されたヘテロ芳香族基)であり;
Qは任意で置換されたアルキレン、任意で置換されたアルケニレン、または任意で置換されたアルキニレンであり;ならびに
EおよびE’は、それぞれ独立に水素または非水素置換基であり、EおよびE’のうちの少なくとも1つが非水素置換基である)。
【0010】
式(I)の特定の特に好ましい態様においては、Wは−(C=O)O−または−C(=O)O(CX’X”)nC(=O)O−である。
【0011】
式(I)の特定の実施形態において、Xは硫黄である。
【0012】
特定の好ましい態様において、酸発生剤は式(II):
【化2】
の構造を含む
(式中、Zは、非求核性アニオン(例えば、カルボキシレート、サルフェート、スルホネート、スルファメート、またはスルホンアミドのアニオン)などの対アニオンであり; Rは、水素または非水素置換基であり;
それぞれのT、それぞれのT’およびそれぞれのT”は、同一または異なる非水素置換基であって、TとT”またはTとT’のどちらかは結合して環を形成することが可能であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
n’およびn”は、それぞれ独立に0、1、2、3、4または5であり;
Jは、化学結合またはBおよびCと有結合できる基を表し;
Qは、C〜Cの飽和または不飽和の(任意で置換されていてもよい)アルキレン基であり;
EおよびE’は、それぞれ独立に水素または非水素置換基であって、EおよびE’のうちの少なくとも1つが非水素置換基であり;ならびに
A、BおよびCは、それぞれ同一または異なる炭素環式アリールもしくはヘテロ芳香族基(例えば、C6〜14の炭素環式アリールまたはヘテロ芳香族環系においてO、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含めた5から14個の原子を有するヘテロ芳香族基)であって、それらのそれぞれは任意で置換されていてもよい)。
【0013】
特定の好ましい態様において、本酸発生剤は、ヨードニウムまたはスルホニウム材料などのオニウム化合物であり、スルホニウム酸発生剤は一般に好ましい。
【0014】
特定の好ましい態様において、酸発生剤は式(IIa):
【化3】
の構造を含む
(式中、Zは対アニオンであり;
Rは、水素または非水素置換基であり;
それぞれのT、それぞれのT’およびそれぞれのT”は、同一または異なる非水素置換基であって、TとT”またはTとT’のどちらかは結合して環を形成することが可能であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
n’およびn”は、それぞれ独立に0、1、2、3、4または5であり;
およびRは、それぞれHであるか、またはRおよびRは併せて化学結合もしくはBおよびCと有結合できる基を表し;
Qは、C〜Cの飽和または不飽和のアルキレン基であり;
EおよびE’は、それぞれ独立に水素または非水素置換基であって、EおよびE’のうちの少なくとも1つが非水素置換基であり;ならびに
A、BおよびCは、それぞれ同一または異なる炭素環式アリールもしくはヘテロ芳香族基である)。
【0015】
特に好ましい酸発生剤には、次の式III:
【化4】
のものが含まれる
(式中、E、E’、Q、A、X、R’、R”およびZは、式(I)のために定義された通りであり、かつRは水素または非水素置換基である)。
【0016】
さらに好ましい酸発生剤には、次の式IV:
【化5】
のものが含まれる
(式中、E、E’、T、T’、T”、J、n、n’、n”およびZは、式(II)のために定義された通りであり;A、BおよびCはそれぞれ同一または異なる炭素環式アリール基(例えば、C6−14の炭素環式アリール)であり;Rは水素または任意で置換されたアルキル、任意で置換されたヘテロアルキル、任意で置換された脂環式、任意で置換されたヘテロ脂環式、任意で置換された炭素環式アリールまたは任意で置換されたヘテロ芳香族などの非水素置換基である)。
【0017】
さらにその上好ましい酸発生剤には、次の式V:
【化6】
のものが含まれる
(式中、E、E’、T、T’、T”、A、B、C、J、n、n’、n”およびZは式(IV)のために定義された通りであり、DおよびD’はそれぞれ水素または重水素を含めた非水素置換基であり、Rは酸不安定性基である)。
【0018】
本発明の好ましい酸発生剤およびフォトレジストは、詳細には193nmおよびEUV結像などの短波長結像のために有用である。
【0019】
好ましい態様において、本明細書に開示されるような(i)ポリマー、(ii)酸発生剤を含むフォトレジスト組成物が提供される。
【0020】
好ましい態様において、酸発生剤は酸不安定性であり、酸発生剤を含有するフォトレジストコーティング層のリソグラフィー処理(露光、露光後ベーク)中に酸の存在下で反応する。
【0021】
本発明の好ましいフォトレジストは、結像有効量の1種、2種またはそれ以上の本明細書に開示されるような酸発生剤化合物および適したポリマー成分を含んでいてよい。
【0022】
本発明のフォトレジスト組成物のレリーフイメージ(50nm未満または20nm未満の寸法でパターン形成された線を含む)を形成するための方法も提供される。本発明のフォトレジスト組成物をその上にコーティングされたマイクロ電子ウエハーなどの基板も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書でいう酸発生剤は、EUV放射線、電子ビーム放射線または193nm波長放射線などの他の放射線源などの活性放射線に暴露された場合に酸を生成し得る。本明細書でいう酸発生剤は、光酸発生剤化合物とも呼ばれ得る。
【0024】
酸発生剤
上述のように、好ましい態様においては、上記の式I〜Vの化合物を含めた、少なくとも1つのジエステル部分を含むイオン性光酸発生剤が提供される。
【0025】
本明細書で使用する場合、「ジエステル部分」と言う語は、連結基によって連結される2つのエステル部分を有する部分を指す:
−C(=O)O−L−C(=O)OR
(式中、Lは連結基である)。好ましいジエステルは、式:
−Y−C(=O)O(CX’X”)C(=O)OR
の構造で表され得る
(式中、Yは、Yが少なくとも1つの非水素置換基を有するという条件で、1つまたは複数の炭素原子(例えば置換されたアルキレン基)を含むリンカーであり;
nは、正の整数であり、
それぞれのXおよびX’は、独立に水素または非水素置換基であり;ならびに
Rは、任意で置換されたアルキル、任意で置換されたヘテロアルキル、任意で置換された脂環式、任意で置換されたヘテロ脂環式、任意で置換された炭素環式アリールまたは任意で置換されたヘテロ芳香族などの非水素置換基である)。
【0026】
次の式VI:
【化7】
で表される化合物を含めた少なくとも1つのジエステル部分を含むさらなるイオン性光酸発生剤
(式中、E、E’、T、T’、T”、A、B、C、J、n、n’、n”およびZは、式(IV)のために定義された通りであり、
は、完全にまたは部分的に飽和していてもよくかつカルボニル、酸素、窒素、硫黄またはカルボニル、酸素、窒素および硫黄の任意の組み合わせで置換されていてもよいC1〜8のアルキレン基;炭素環式アリールまたはヘテロ芳香族基(例えば、C6〜14の炭素環式アリールもしくはヘテロ芳香族環系においてO、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含めた5から14個の原子を有するヘテロ芳香族基);あるいはシクロアルキル基(例えば、C6〜10のシクロアルキル基)である)。
【0027】
上記の式(IV)〜(VI)において、Jは適切に、単結合、任意で置換されたアルキレン基、C=O、O、SまたはNRであってよい(式中、Rは任意で置換されたアルキルなどの非水素置換基である)。Jリンカー基は、種々のヘテロ基および部分、例えばエーテル、エステル、アミド、炭酸塩、スルホネート、スルホン、またはスルホンアミド、例えばCH(C=O)−O−、CH(C=O)−OCHCH−、CH(C=O)−OCHCHO−、CH(C=O)−OCH−、CH(C=O)−OCHO−、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−OCH−(C=O)O−または−OCHC(=O)−も含んでいてよい。
【0028】
次の式VII:
【化8】
の化合物を含めた、少なくとも1つのジエステル部分を含むさらなるイオン性光酸発生剤が提供される
(式中、E、T、T’、T”、n、n’、n”、RおよびZは、式(IV)のために定義された通りであり;
A’、B’、C’は、それぞれ独立にC〜C36の芳香族、C〜C36の多環芳香族またはC〜C36の共役芳香族基であり;
J’は、非結合、単化学結合またはB’およびC’と有結合できる基を表し;
は、水素または任意で置換されたアルキル、任意で置換されたヘテロアルキル、任意で置換された脂環式、任意で置換されたヘテロ脂環式、任意で置換された炭素環式アリールもしくは任意で置換されたヘテロ芳香族などの非水素置換基であり;ならびに
Q’は、完全にまたは部分的に飽和であってよく、カルボニル、酸素、窒素、硫黄またはカルボニル、酸素、窒素および硫黄の任意の組み合わせで置換されていてもよい、C1〜8のアルキレン基;CからC30の脂肪族炭化水素基、CからC30の環状炭化水素基(例えば、C6〜10のシクロアルキル基)、CからC30の多環式炭化水素基、CからC30の炭素環式アリールあるいはCからC30のヘテロ芳香族基(例えば、C6〜14の炭素環式アリールもしくはヘテロ芳香族環系においてO、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含めた5から14個の原子を有するヘテロ芳香族基)である。
【0029】
さらに少なくとも1つのジエステル部分を含むさらなるイオン性光酸発生剤には、次の式VIII:
【化9】
の化合物が含まれる
(式中、E、T、T’、T”、A、B、C、J、n、n’、n”、RおよびZは、式(IV)について定義された通りであり、
およびRは、それぞれ独立に水素または任意で置換されたアルキル、任意で置換されたヘテロアルキル、任意で置換された脂環式、任意で置換されたヘテロ脂環式、任意で置換された炭素環式アリールもしくは任意で置換されたヘテロ芳香族などの非水素置換基であり;ならびに
およびQは、それぞれ独立に完全にまたは部分的に飽和していてもよくかつカルボニル、酸素、窒素、硫黄またはカルボニル、酸素、窒素および硫黄の任意の組み合わせで置換されていてもよいC1〜8のアルキレン基;炭素環式アリールまたはヘテロ芳香族基(例えば、C6〜14の炭素環式アリールもしくはヘテロ芳香族環系においてO、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含めた5から14個の原子を有するヘテロ芳香族基);あるいはシクロアルキル基(例えば、C6〜10のシクロアルキル基)である)。
【0030】
特定の実施形態において、対アニオンZはカルボキシレートまたはスルファメートのアニオンである。特定の実施形態において、対アニオンZは重合可能な部分を含有する。
【0031】
イオン性酸発生剤の酸発生剤の特に好ましいカチオンには、以下が含まれる。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【0032】
本発明のイオン性酸発生剤の好ましいアニオン成分(上記式中のZ)には、アニオン電荷がスルホン酸基、カルボン酸基、炭素原子、窒素原子またはホウ素原子と共に存在する物が含まれる。例示的なZ基は、任意で置換されたアルキルスルホン酸および任意で置換された炭素環式アリールスルホン酸を含んでいてよい。
【0033】
本発明のイオン性酸発生剤の好ましいアニオン成分(上記式中のZ)には、次の式:
A−(L)−(C(Rm1−(C(Rn2−SO
の物が含まれる
(式中、Aは、任意でO、S、N、Fもしくは少なくとも1つの前述の物を含む組み合わせを含む置換もしくは非置換の単環式、多環式もしくは結合した多環式のC以上の脂肪族または芳香族基あるいは重合可能な二重もしくは三重結合を含有するC以上の脂肪族または脂環式基である)。好ましい基Aには、多環式脂肪族基、例えばヒドロキシ、エステル、ラクトン、アセチル、ケチルまたはそれらの基の組み合わせで置換されたアダマンチル基、ノルボルネニル基およびシクロアルキレニル基が含まれる。
【0034】
は、H、単結合または置換もしくは非置換のC1〜30のアルキル基であって、Rが単結合の場合、RはAの炭素原子と共有結合する。それぞれのRは、独立にH、FまたはC1〜4のフルオロアルキルであって、少なくとも1つのRは水素ではない。Lは、−O−、−S−、−C(=O)−、炭酸塩、カルボキシレート、スルホネート、サルフェートまたはスルホンアミド基を含む連結基である。さらには、m1は0以上の整数、好ましくは0から10およびまた好ましくは1から5であり、n2は0以上の整数、好ましくは1から10およびまた好ましくは1から5である。
【0035】
本発明のイオン性酸発生剤の例示的なアニオン成分(上記式中のZ)には、次が含まれる。
【化11-1】
【化11-2】
上述の通り、本発明の酸発生剤は、より大きいポリマーと共有結合していてよい。特定の実施形態において、樹脂またはマトリクスポリマーは、少なくとも1つのジエステル部分を含むイオン性光酸発生剤を含有し、その中でイオン性光酸発生剤はカチオンまたはアニオンによって樹脂またはマトリクスポリマーに結合する。
【0036】
イオン性酸発生剤に関して、適切にはカチオンまたはアニオン成分のどちらかがより大きいポリマーに共有結合するか、あるいはカチオンおよびアニオン成分の両方がポリマーに共有結合する。
【0037】
例えば、アニオン成分は、事前に形成されたポリマーまたは他のモノマーと反応して、ポリマー結合酸発生剤を提供し得る重合可能な基(例えばアクリル酸塩、メタクリル酸塩、ビニルエーテル)を含んでいてよい。例示的な重合可能アニオン成分には、次の構造が含まれる:
【化12】
【0038】
上述のように、本酸発生剤は、酸不安定性であって酸発生剤を含むフォトレジストのリソグラフィー処理中に結合切断反応を受けてもよい。上述のように、酸発生剤ジエステル部分自体は、光酸不安定性であって酸発生剤を含むフォトレジストのリソグラフィー処理下で反応してもよい。酸発生剤は、光酸不安定性である他の置換基も含んでいてよい。本明細書でいう酸不安定性部分または基(酸不安定性のエステルおよびアセタールを含む)は、任意の放射線暴露後熱暴露を含めた典型的なリソグラフィー処理中に(レジスト中の酸発生剤化合物から)生じた酸の存在下で反応を受ける。本明細書でいう酸不安定性基は、光酸不安定性基とも呼ばれ得る。
【0039】
酸発生剤の適した酸不安定性基は、任意で置換されたエチルシクロペンチルエステル、メチルアダマンチルエステル、エチルアダマンチルエステル、t−ブチルエステル、フェニルエステル、ナフチルエステルおよびその他などの酸不安定性エステルおよびアセタールを含めた種々の部分であってよい。酸発生剤の適した酸不安定性基は、次の式(IX)の基および次の式Xのエステル光酸不安定性基も含んでいてよい:
−O(CXY) (IX)
(式(IX)の式中、XおよびYは独立に水素またはハロゲン(F、Cl、Br、I)、C1〜10のアルキル、C1〜10のアルコキシなどの非水素置換基であり;Rはカルバミン酸塩、酸不安定性エステルまたはアセタール基などの酸不安定性部分を提供する非水素置換基であり;およびnは1から20のいずれかなどの正の整数であって、より典型的にはnは1〜10または1〜4のいずれかである)。例示的な好ましいR基には、t−ブチル、またはより好ましくはRが−(CH)n(C=O)O−ALG(式中、nは1から12の整数、好ましくはnは1、2、3または4であり、ALGは(例えばエステルに連結する四級炭素を提供する)基であって、その結果例えばt−ブチルまたは1−エチルシクロペンチルもしくはメチルアダマンチルなどの連結している四級炭素を有する環系などの酸不安定性部分を生じる、さらなるエステル結合が含まれる:
−(C=O)OR (X)
(式(X)の式中、Rは、カルバミン酸塩、酸不安定性エステルまたはアセタール基などの酸不安定性部分を提供する非水素置換基である)。例示的な好ましいR基には、t−ブチル、またはより好ましくは、例えばRが−(CH)n(C=O)O−ALGである、さらなるエステル結合が含まれる(式中、nは1から12の整数であり、好ましくはnは1、2、3または4であり、およびALGは(例えばエステルに連結する四級炭素を提供する)基であって、その結果例えばt−ブチルまたは1−エチルシクロペンチルもしくはメチルアダマンチルなどの連結している四級炭素を有する環系などの酸不安定性部分を生じる))。
【0040】
特定の態様において、本発明の酸発生剤は、ジエステル部分以外のいかなる酸不安定性基も含まないであろう。
【0041】
上記の式において、適した非水素置換基は、例えば、ハロ(F、Cl、BrまたはI)などの非水素置換基;重水素、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、任意で置換されたC1〜20のアルキル、任意で置換されたC1〜20のアルコキシ、例えば任意で置換されたアルキル(例えば任意で置換されたC1〜10のアルキル)、好ましくは2から約20個の炭素原子を有する任意で置換されたアルケニルまたはアルキニル、例えばアリル;好ましくは1から約20個の炭素原子を有する任意で置換されたケトン;好ましくは1から約20個の炭素原子を有する任意で置換されたアルキルチオ;好ましくは1から約20個の炭素原子の任意で置換されたアルキルスルフィニル;好ましくは1から約20個の炭素原子を有する任意で置換されたアルキルスルホニル;好ましくは1から約20個の炭素原子を有する任意で置換された(実質的に光酸に非反応性のエステルを含めた、R’がHまたはC1〜8のアルキルである−COOR’などの基を含む)カルボキシ;任意で置換されたアルカリル、例えば任意で置換されたベンジル、任意で置換されたC6〜14の炭素環式アリール、例えば任意で置換されたフェニル、ナフチル、アセナフチルまたは環系において、O、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含めた5から14個の原子を有する任意で置換されたヘテロ脂環式もしくはヘテロ芳香族基、例えばピリジル、フラニル、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、フランザン(furanzan)、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジチアゾール、テラゾール(terazole)、ピラン、チオピラン、ジアジン、オキサジン、チアジン、ジオキシン、ジチン(dithine)およびトリアジンならびに1つまたは複数のこうした部分を含有する多環芳香族基であってよい。
【0042】
本発明の好ましい酸発生剤は、適切には、例えばFは好ましい、Cl、BrまたはFなどのハロゲン、フルオロアルキルは好ましい、ペルフルオロアルキル(perfluoralkyl)を含めたC1〜20のハロアルキル;シアノ;ニトロ;C1〜20のアルキルスルホニル、−COOH;および>C=Oであり得る1つまたは複数の電子求引性部分を含んでいてよい。イオン性酸発生剤に関しては、1つまたは複数の電子求引性置換基はカチオンまたはアニオン成分のいずれかの上にあってよい。
【0043】
先に述べたように、酸発生剤の種々の部分および他の材料は、任意で置換されていてもよい。「置換された」置換基は、1つまたは複数の可能な位置、典型的には1、2または3位において、1つまたは複数の適した基、例えばハロゲン(特にはF、ClまたはBr);シアノ;ニトロ;C1〜8のアルキル;C1〜8のアルコキシ;C1〜8のアルキルチオ;C1〜8のアルキルスルホニル;C2〜8のアルケニル;C2〜8のアルキニル;ヒドロキシル;ニトロ;アルカノイル、例えばC1〜6のアルカノイル、例えばアシル、ハロアルキル、特にはC1〜8のハロアルキル、例えばCF;−CONHR、−CONRR’(式中、RおよびR’は任意で置換されたC1〜8のアルキル);−COOH、COC、>C=O;および同類のものによって置換されていてよい。
【0044】
本発明の酸発生剤は、容易に調製され得る。例示的な好ましい合成は、後に続く実施例に記述される。
【0045】
フォトレジスト組成物
上述のように、本明細書に開示されるような酸発生剤は、ポジティブ作用型およびネガティブ作用型両方の化学増幅レジスト組成物を含めたフォトレジスト組成物における放射線感受性成分として有用である。本発明の酸発生剤は、カチオンまたはアニオン結合マトリクス樹脂またはポリマー;あるいはカチオンまたはアニオン結合酸発生剤を含んでいてもよく含んでいなくてもよいマトリクス樹脂またはポリマーの存在下で個別ブレンドされた酸発生剤の一部として用いてもよい。
【0046】
本発明のフォトレジストは、典型的にはポリマーおよび1種または複数の本明細書に開示されるような酸発生剤を含む。好ましくはポリマーは、アルカリ水性の現像性をレジスト組成物に与える官能基を有する。例えば、ヒドロキシル基もしくはカルボン酸基またはリソグラフィー処理でこうした極性部分を遊離させ得る酸不安定性基などの極性官能基を含むポリマーは好ましい。好ましくはポリマーは、アルカリ性水溶液で現像可能なレジストを下塗りするのに十分な量で、レジスト組成物において用いられる。
【0047】
酸発生剤は、適切には繰り返し単位を含む芳香族基、例えばフェノールを含めた任意で置換されたフェニル、任意で置換されたナフチルおよび任意で置換されたアントラセンを含むポリマーと一緒にも用いられる。任意で置換されたフェニル(フェノールを含む)を含有するポリマーは、EUVおよび電子ビーム放射線で結像された物を含めた多くのレジストシステムのために特に適する。ポジティブ作用型レジストに関しては、ポリマーは好ましくは酸不安定性基を含む1つまたは複数の繰り返し単位も含有する。例えば、任意で置換されたフェニルまたは他の芳香族基を含有するポリマー、例えばアクリル酸塩またはメタクリル酸塩化合物のモノマーを酸不安定性エステル(例えばt−アクリル酸ブチルまたはt−メタクリル酸ブチル)で重合することにより形成されるポリマーの場合は、ポリマーは1つまたは複数の酸不安定性部分を含有する繰り返し単位を含んでいてよい。こうしたモノマーは、任意でフェニル、例えばスチレンまたはビニルフェノールモノマーなどの芳香族基(1種または複数)を含む1種または複数の他のモノマーと共重合されていてもよい。
【0048】
こうしたポリマーの形成のために用いられる好ましいモノマーには、次の式(XI)を有する酸脱保護が可能なモノマー、次の式(XII)のラクトン−またはスルトン−含有モノマー、アルカリ性現像剤における溶解速度を調節するための次の式(XIII)の塩基可溶性モノマー、および次の式(XIV)の光酸発生モノマー、あるいは前述のモノマーの少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる:
【化13】
(式中、それぞれのRは独立に、H、F、−CN、C1〜10のアルキルまたはC1〜10のフルオロアルキルである)。式(XI)の酸脱保護が可能なモノマーにおいて、Rは独立にC1〜20のアルキル、C3〜20のシクロアルキル、C6〜20のアリールまたはC7〜20のアラルキルであって、それぞれのRは離れているかまたは少なくとも1つのRが隣接するRに結合して環状構造を形成する。式(XII)のラクトン−またはスルトン−含有モノマーにおいて、Lは単環式、多環式または結合した多環式のC4〜20のラクトン−もしくはスルトン−を含有する基である。式(XIII)の塩基可溶性モノマーにおいて、Wはハロゲン化または非ハロゲン化、芳香族または非芳香族のC2〜50のヒドロキシル−を含有するpKaが12以下の有機基である。式(XIV)の光酸発生モノマーにおいて、Qはエステル含有もしくは非エステル含有およびフッ素化もしくは非フッ素化のC1−20のアルキル、C3−20のシクロアルキル、C6−20のアリールまたはC7−20のアラルキル基であり、Aはエステル含有もしくは非エステル含有およびフッ素化もしくは非フッ素化のC1−20のアルキル、C3−20のシクロアルキル、C6−20のアリールまたはC7−20のアラルキルであり、Zはカルボキシレート、スルホネート、スルホンアミドのアニオンまたはスルホンイミドのアニオンを含むアニオン性部分であり、ならびにGはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0049】
例示的な酸脱保護が可能なモノマーには、これに限定されないが:
【化14】
または前述の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる(式中、RはH、F、−CN、C1〜6のアルキルまたはC1〜6のフルオロアルキルである)。
【0050】
適したラクトンモノマーは、次の式(XV)の物であってよい:
【化15】
(式中、RはH、F、−CN、C1〜6のアルキルまたはC1〜6のフルオロアルキルであり、RはC1〜10のアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであり、wは0から5の整数である)。式(XV)において、Rはラクトン環に直接結合するかまたは一般的にラクトン環および/または1つまたは複数のR基に結合し、エステル部分はラクトン環に直接またはRを介して間接的に結合する。
【0051】
例示的なラクトン含有モノマーには:
【化16】
または前述の少なくとも1つのモノマーを含む組み合わせが含まれる(式中、RはH、F、−CN、C1〜10のアルキルまたはC1〜10のフルオロアルキルである)。
【0052】
適した塩基可溶性モノマーは、次の式(XVI)の物であってよい:
【化17】
(式中、それぞれのRは独立にH、F、−CN、C1〜10のアルキルまたはC1〜10のフルオロアルキルであり、Aはヒドロキシル含有もしくは非ヒドロキシル含有、エステル含有もしくは非エステル含有、フッ素化もしくは非フッ素化のC1〜20のアルキレン、C3〜20のシクロアルキレン、C6〜20のアリーレンまたはC7〜20のアラルキレンであり、xは0から4の整数であって、xが0の場合、Aはヒドロキシルを含有するC6〜20のアリーレンである)。
【0053】
例示的な塩基可溶性モノマーには、次の構造を有する物:
【化18】
または前述の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる(式中、RはH、F、−CN、C1〜6のアルキルまたはC1〜6のフルオロアルキルである)。
【0054】
好ましい光酸発生モノマーには、式(XVII)または(XVIII)の物が含まれる:
【化19】
(式中、それぞれのRは独立にH、F、−CN、C1〜6のアルキルまたはC1〜6のフルオロアルキルであり、Aはフッ素置換されたC1〜30のアルキレン基、フッ素置換されたC3〜30のシクロアルキレン基、フッ素置換されたC6〜30のアリーレン基またはフッ素置換されたC7〜30のアルキレン−アリーレン基であり、Gはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである)。
【0055】
好ましくは、式(XVII)および(XVIII)において、Aは−[(C(RC(=O)O]−C((R(CF−基またはo−、m−もしくはp−置換された−C−基である(式中、それぞれのRおよびRはそれぞれ独立にH、F、−CN、C1〜6のフルオロアルキルまたはC1〜6のアルキルであり、bは0または1であり、xは1から10の整数であり、yおよびzは独立に0から10の整数であり、かつy+zの和は少なくとも1である)。
【0056】
例示的な好ましい光酸発生モノマーには:
【化20】
または前述の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる(式中、それぞれのRaは独立にH、F、−CN、C1〜6のアルキルまたはC1〜6のフルオロアルキルであり、kは適切には0から5の整数であり、かつGはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである)。
【0057】
好ましい光酸発生モノマーには、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンが含まれ得る。好ましくは、上記式において、Gは式(XIX)である:
【化21】
(式中、XはSまたはIであり、それぞれのRはハロゲン化または非ハロゲン化され、独立にC1〜30のアルキル基;多環式または単環式のC3〜30のシクロアルキル基;多環式または単環式のC4〜30のアリール基;あるいは前述の少なくとも1つを含む組み合わせであって、XがSの場合、R基の1つは任意で単結合などの共有結合によって1つの隣接するR基に結合し、aは2または3であって、XがIの場合aは2であり、あるいはXがSの場合aは3である))。
【0058】
例示的な酸発生モノマーには、式:
【化22】
を有する物が含まれる。
【0059】
本発明のポジティブ作用型の化学増幅フォトレジストにおいて使用するための酸不安定性脱ブロック化基(deblocking group)を有する特に適したポリマーは、欧州特許出願第0829766(A2)号(アセタールを有するポリマーおよびケタールポリマー)および欧州特許出願第0783136(A2)号((1)スチレン;2)ヒドロキシスチレン;および3)酸不安定性基、特にアクリル酸アルキル酸不安定性基の単位を含むターポリマーおよび他のコポリマー)に開示されている。
【0060】
本発明のフォトレジストにおいて使用するためのポリマーは、分子量および多分散性(polydisperity)において適切に広く異なり得る。適したポリマーには、Mが約1,000から約50,000、より典型的には約2,000から約30,000であり、分子量分布が約3以下、より典型的には分子量分布が約2以下の物が含まれる。
【0061】
好ましい本発明のネガティブ作用型組成物は、酸への暴露で硬化する、架橋するまたは固まる材料の混合物および2種以上の本明細書に開示されるような光酸発生剤を含む。好ましいネガティブ作用型組成物は、フェノール性または非芳香族のポリマーなどのポリマー結合剤、架橋剤成分および本発明の光反応性成分を含む。こうした組成物およびそれらの使用は、Thackerayらの欧州特許出願第0164248号および米国特許第5,128,232号に開示されている。ポリマー結合剤成分としての使用のために好ましいフェノール性ポリマーには、ノボラックおよび上述の物などのポリ(ビニルフェノール)が含まれる。好ましい架橋剤には、メラミンを含めたアミン系材料、グリコールウリル、ベンゾグアナミン系材料および尿素系材料が含まれる。メラミン−ホルムアルデヒドポリマーは、しばしば特に適する。こうした架橋剤は、市販されており、例えば、メラミンポリマー、グリコールウリルポリマー、尿素系ポリマーおよびベンゾグアナミンポリマー、例えばCymel 301、303、1170、1171、1172、1123および1125ならびにBeetle 60、65および80の商品名でCytecにより販売されている物である。
【0062】
本発明のフォトレジストは、他の材料も含んでいてよい。例えば、他の任意の添加剤には、化学線染料および造影剤(actinic and contrast dyes)、抗ストリエーション剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤(speed enhancers)および増感剤が含まれる。こうした任意の添加剤は、典型的にはフォトレジスト組成物において小さい濃度で存在するであろう。
【0063】
代わりとして、または加えて、他の添加剤には非光破壊可能塩基、例えば、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミンおよびアミド系の物などの失活剤が含まれ得る。好ましくは、こうした失活剤にはC1〜30の有機アミン、イミンまたはアミドが含まれ、あるいは強塩基(例えば、水酸化物またはアルコキシド)または弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1〜30の第4級アンモニウム塩であってよい。例示的な失活剤には、アミン、例えばトリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、オルテトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(oltetrakis(2−hydroxypropyl)ethylenediamine);アリールアミン、例えばジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノールおよび2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トレーガー塩基、ヒンダードアミン、例えばジアザビシクロウンデセン(DBU)またはジアザビシクロノネン(DBN)、あるいは第4級アルキルアンモニウム塩、例えば水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)または乳酸テトラブチルアンモニウムを含めたイオン性失活剤が含まれる。
【0064】
界面活性剤には、フッ素化および非フッ素化界面活性剤が含まれ、好ましくは非イオン性である。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤には、ペルフルオロC界面活性剤、例えば3M Corporationから入手可能なFC−4430およびFC−4432界面活性剤;ならびにフルオロジオール、例えばOmnovaのPOLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656およびPF−6520フッ素系界面活性剤が含まれる。
【0065】
フォトレジストには、フォトレジストにおいて用いられる成分を溶解、調剤およびコーティングするのに一般に適した溶媒がさらに含まれる。例示的な溶媒には、アニソール、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールおよび1−エトキシ−2プロパノールを含めたアルコール、n−ブチル酢酸、1−メトキシ−2−酢酸プロピル、メトキシエトキシプロピオン酸、エトキシエトキシプロピオン酸を含めたエステル、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンを含めたケトン、ならびに前述の溶媒の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0066】
こうしたフォトレジストは、固体の総重量に基づいて50から99重量%、具体的には55から95重量%、より具体的には60から90重量%、およびさらにより具体的には65から90の量のポリマーを含んでいてよい。非光破壊可能な塩基は、固体の総重量に基づいて0.01から5重量%、具体的には0.1から4重量%、およびさらにより具体的には0.2から3重量%の量でフォトレジスト中に存在していてよい。光破壊可能な塩基には、光分解可能なカチオン、および好ましくは、弱酸(pKa>2)のアニオン、例えばC1−20のカルボン酸などと対になったPAGを調製するために有用な物も含まれる。例示的なこうしたカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、サリチル酸および他のこうしたカルボン酸が含まれる。界面活性剤は、固体の総重量に基づいて0.01から5重量%、具体的には0.1から4重量%、およびさらにより具体的には0.2から3重量%の量で含まれていてよい。失活剤は、比較的少量、例えば固体の総重量に基づいて0.03から5重量%が含まれていてよい。他の添加剤は、固体の総重量に基づいて50重量%以下、具体的には35%以下、またはより具体的には25%以下の量で含まれていてよい。フォトレジスト組成物のための総固体含有量は、固体および溶媒の総重量に基づいて0.5から50重量%、具体的には1から45重量%、より具体的には2から40重量%、およびさらにより具体的には5から30重量%であってよい。酸発生剤(1種または複数)は、レジストのコーティング層における潜像を発生させるのに十分な量で存在すべきである。より具体的には、光酸発生剤(1種または複数)は、適切にはレジストの総固体の約1から50重量パーセントの量で存在するであろう。固体には、溶媒を除いて、ポリマー、失活剤、界面活性剤および任意の自由選択の添加剤が含まれることが理解されるであろう。
【0067】
コーティングされた基板は、レジストおよび酸発生剤のコーティング層における潜像を発生させるのに十分な量で存在すべきである酸発生剤を含有するフォトレジスから形成され得る。こうしたコーティングされた基板には、(a)それらの表面上にパターン形成される1つまたは複数の層を有する基板;および(b)パターン形成される1つまたは複数の層上の酸発生剤を含むフォトレジスト組成物の層が含まれる。EUVまたは電子ビーム結像のために、フォトレジストは適切には、例えば1種または複数の酸発生剤が5から10から約65重量パーセントのレジストの総固体を含む、比較的高い酸発生剤化合物の含有量を有し得る。典型的には、より少ない量の光反応性成分は、化学増幅レジストに適するであろう。
【0068】
本発明のフォトレジストは、1種または複数の本発明の酸発生剤化合物がこうしたフォトレジストの配合において用いられる先の光反応性化合物に置き換わることを除いて、一般には次の公知の手順で調製される。本発明のフォトレジストは、公知の手順に従って用いてよい。
【0069】
基板は、任意の寸法および形状であってよく、好ましくはフォトリソグラフィーに有用な物、例えばケイ素、二酸化ケイ素、シリコンオンインシュレーター(SOI)、歪みシリコン、ガリウムヒ素、窒化ケイ素でコーティングされた物を含めたコーティング基板、酸窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、極薄ゲート酸化物、例えば酸化ハフニウム、チタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、それらの合金およびそれらの組み合わせでコーティングされた物を含めた金属または金属コーティング基板である。好ましくは、本明細書の基板の表面には、例えば半導体製造のための基板上の1つまたは複数のゲートレベル層または他の限界寸法の層を含めた、パターン形成される限界寸法の層が含まれる。こうした基板には、例えば20cm、30cmもしくはより大きい直径、またはウエハー製造製品のために有用な他の寸法などの寸法を有する円形ウエハーとして形成される、好ましくはケイ素、SOI、歪みシリコンおよび他のこうした基板材料が含まれていてよい。
【0070】
さらに、電子デバイスを形成する方法には、(a)基板の表面上を含めたフォトレジスト組成物の層を塗布する工程;(b)フォトレジスト組成物層を活性放射線にパターン露光する工程;および(c)露光したフォトレジスト組成物層を現像してレジストのレリーフイメージを提供する工程が含まれる。
【0071】
塗布は、スピンコーティング、吹き付けコーティング、浸漬コーティング、ドクターブレードなどを含めた任意の適した方法により達成してよい。フォトレジストの層の塗布は、好ましくはフォトレジストを回転しているウエハー上に分配するコーティングトラック(coating track)を用いて溶媒中でフォトレジストをスピンコーティングすることにより達成される。分配する間、ウエハーは最大4,000rpm、好ましくは約500から3,000rpmおよびより好ましくは1,000から2,500rpmの速度で回転していてよい。コーティングされたウエハーは、回転されて溶媒を除去され、熱板上でベークされて膜から残留溶媒および自由体積を除去して一様に緻密にされる。
【0072】
次いで、膜がパターンマスクを介して放射線照射され、それによってパターン露光される、ステッパーなどの露光用具を用いてパターン露光が行われる。方法は、好ましくは極端紫外線(EUV)または電子ビーム放射線を含めた高解像度の能力がある波長で活性放射線を発生する高度な露光用具を使用する。活性放射線を用いる露光は、露光された領域のPAGを分解し、酸および分解副生成物を生じ、次に酸がポリマーにおける化学変化(酸感応性基を脱ブロック化して塩基可溶性基を生じるか、あるいは、露光された領域における架橋反応を触媒する)をもたらすことを理解されたい。こうした露光用具の解像度は、30nm未満であってよい。
【0073】
次いで露光されたフォトレジスト層の現像は、膜の露光された部分を選択的に除去することができる(フォトレジストがポジティブトーンである場合)または膜の露光されていない部分を除去する(フォトレジストは露光された領域において架橋可能である、すなわち、ネガティブトーンの場合)適した現像剤で露光された層を処理することにより達成される。好ましくは、フォトレジストは酸感応性(脱保護可能な)基を有するポリマーを基剤とするポジティブトーンであり、現像剤は、好ましくは金属イオンの無い水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液、例えば水性の0.26N水酸化テトラメチルアンモニウムなどである。パターンは現像によって形成する。
【0074】
加えて、ポジティブ型レジストに関して、露光されていない領域はネガティブトーン現像に適した非極性溶媒で処理することにより選択的に除去され得る。ポジティブ型フォトレジストのネガティブトーン現像のための適した手順に関しては米国特許第2011/0294069号を参照されたい。ネガティブトーン現像のための典型的な非極性溶媒は、有機現像剤、例えばケトン、エステル、炭化水素、ならびにそれらの混合物、例えばアセトン、2−ヘキサノン、酢酸メチル、酢酸ブチルおよびテトラヒドロフランから選択される溶媒である。
【0075】
フォトレジストは、1種または複数のこうしたパターン形成プロセスにおいて用いられる場合、電子および光電子デバイス、例えばメモリーデバイス、(CPUの)プロセッサチップ、グラフィックスチップおよび他のこうしたデバイスを製造するために用いてよい。
【実施例】
【0076】
実施例1
【化23】
ビス(4−(2−カルボキシプロパン−2−イル)フェニル)ヨードニウム臭化物
2−メチル−2−フェニルプロパン酸(10g、60.9ミリモル)を硫酸および酢酸の1:1混合物(90mL)に懸濁させ、55℃に加熱し、そこへNaIO(23.4ミリモル、5.00g)を少しづつ分けて90分掛けてゆっくり加え、その後にさらに1時間加熱した。反応混合物を冷却し、氷水(1L)上に注ぎ、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)(350mL×3)で抽出した。水(100mL)中のKBr(0.609モル、72.4g)を水層に加え、ジクロロメタン(DCM)(300mL×3)で抽出した。混合した有機層を濃縮し、粗製残留物をヘプタン、酢酸エチルおよびアセトンから再結晶させて表題の化合物(5.27g、42%)を白色固体として産出した。H NMR(300MHz,(CDSO)δ:12.6(brs,2COOH),8.16(d,J=8.1Hz,4H),7.45(d,J=8.1Hz,4H),1.43(2,12H)。
【0077】
実施例2
【化24】
ビス(4−(2−カルボキシプロパン−2−イル)フェニル)ヨードニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホネート
ビス(4−(2−カルボキシプロパン−2−イル)フェニル)ヨードニウム臭化物(1.53g、2.87ミリモル)および1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸カリウム(3.16ミリモル、1.07g)をDCM(50mL)および水(50mL)に溶解し、一晩撹拌した。層を分離し、水性相をDCM(100mL×2)で抽出し、混合した有機物を水(100mL×2)で洗い、濃縮して表題の化合物(1.25g、58%)を白色固体として産出した。H NMR(300MHz,(CDCO)δ:11.4(brs,2COOH),8.34(d,J=7.8Hz,4H),7.64(d,J=7.8Hz,4H),1.57(s,12H)。
【0078】
実施例3
【化25】
5−(3−(カルボキシメチル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウムヨウ化物
Eaton試薬(五酸化リンのメタンスルホン酸溶液)(400mL)を2−メトキシフェニル酢酸(140g、0.843モル)およびジベンゾチオフェンオキシド(160g、0.800モル)のジクロロメタン(400mL)溶液に加え、25℃で18時間撹拌し、0℃に冷却し、水(1L)で入念に急冷した。水性混合物をMTBE(500mL×3)で洗い、水性相を水性ヨウ化ナトリウム(3L中300g)に注ぎ、その後勢いよく1時間撹拌した。沈殿物をろ過し、水(1L×3)、アセトン(1L)およびMTBE(500mL×2)で洗い、表題の化合物を白色固体として産出した(360g、94%)。H NMR(500MHz,(CDSO)δ:12.30(brs,COOH),8.52(d,J=7.5Hz,2H),8.31(d,J=8.5Hz,2H),7.95(t,J=7Hz,2H),7.75(t,J=8Hz,2h),7.70(dd,J=9,2Hz,1H),7.31(d,J=2Hz,1H),7.23(d,J=8.5Hz,1H),3.82(s,3H),3.46(s,2H)。
【0079】
実施例4
【化26】
5−(4−メトキシ−3−(2−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物
5−(3−(カルボキシメチル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウムヨウ化物(15.0g、31.5ミリモル)をDMF(100mL)に溶解し、窒素で30分間脱ガスし、次いで2−メチルアダマンタン−2−イル2−クロロ酢酸(7.49g、31.0ミリモル)および炭酸セシウム(14.4g、44.1ミリモル)を連続的に加えて、混合物を25℃で6時間撹拌した。溶液を水(200mL)で希釈し、DCM(150mL×2)で抽出し、混合した有機層を水(150mL×5)で洗い、粘性油に濃縮してMTBE(1L)に注ぎ、勢いよく1時間撹拌した。沈殿物をろ過し、MTBE(250mL×2)で洗い、乾燥して表題の化合物を白色固体として産出した(18.2g、99%)。H NMR(300 MHz,(CDSO)δ:8.51(d,J=8.1Hz,2H),8.29(d,J=8.1Hz,2H),7.95(t,J=7.5Hz,2H),7.70−7.81(m,3H),7.32(d,J=2.1Hz,1H),7.25(dd,J=7.5,2.1Hz,1H),4.56(s,2H),3.82(s,3H),3.65(s,2H),2.10−2.19(m,2H),1.61−1.95(m,11H),1.52(s,3H),1.39−1.50(m,2H)。
【0080】
実施例5
【化27】
5−(3−(2−(カルボキシメトキシ)−2−オキソエチル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物
トリフル酸(トリフルオロメタンスルホン酸)(0.5mL)を5−(4−メトキシ−3−(2−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(3.00g、5.07ミリモル)のDCM溶液(50mL)に加え、25℃で48時間撹拌した。沈殿物をろ過し、MTBE:アセトン(50mL)およびMTBE(100mL×2)で洗い、表題の化合物を白色固体として産出した(2.05g、91%)。H NMR(300MHz,(CDSO)δ:12.5(brs,COOH),8.52(d,J=7.8Hz,2H),8.29(d,J=8.1Hz,2H),7.95(t,J=7.5Hz,2H),7.67−7.79(m,3H),7.38(vis s,1H),7.22(d,J=8.1Hz,1H),4.51(s,2H),3.81(s,3H),3.66(s,2H)。
【0081】
実施例6
【化28】
5−(4−メトキシ−3−(2−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム 1,1,2,2−テトラフルオロ−4−((3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボニル)オキシ)ブタン−1−スルホネート
5−(4−メトキシ−3−(2−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(6.75g、11.4ミリモル)および3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウム(11.4ミリモル、4.87g)をDCM(150mL)および水(150mL)に溶解して、25℃で一晩撹拌した。層を分離し、水性相をジクロロメタン(70mL)で抽出し、混合した有機層を水(150mL×10)で洗い、減圧下で濃縮して表題の化合物を白色固体として産出した(8.86g、81%)。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.53(d,J=8Hz,2H),8.36(d,J=8Hz,2H),8.02(t,J=7.5Hz,2H),7.85(dd,J=9,2Hz,1H),7.82(t,J=7.5Hz,2H),7.63(d,J=2Hz,1H),7.31(d,J=9Hz,1H),4.58(s,2H),4.34(t,J=6.5Hz,2H),3.96(s,3H),3.70(s,2H),3.58(s,1OH),2.71(tt,J=18.5,7Hz,2H),2.14−2.28(m,4H),1.87−2.40(m,5H),1.50−1.83(m,23H)。
【0082】
実施例7
【化29】
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物
5−(3−(カルボキシメチル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウムヨウ化物(100g、210ミリモル)をDMF(400mL)に溶解し、窒素で30分間脱ガスして、0℃に冷却し、その後2−メチルアダマンタン−2−イル2−クロロ酢酸(122g、504ミリモル)、ヨウ化ナトリウム(63g、420ミリモル)および炭酸セシウム(171g、525ミリモル)を順次追加した。混合物を室温までゆっくり温め、48時間撹拌し、氷水(1L)に注いだ。溶液をDCM(300mL×3)で抽出し、混合した有機物を濃縮してメタノールから再結晶させ、その後シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(TEAで中和、DCMで溶離)によって精製して、表題の化合物を白色固体として産出した(111g、66%)。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.52−8.56(m,2H),8.46(d,J=8Hz,1H),8.39(d,J=8Hz,1H),8.0−8.07(m,2H),7.85(d,J=2.5Hz,1H),7.77−7.84(m,2H),7.67(dd,J=8.5,2Hz,1H),7.29(d,J=9Hz,1H),5.62(s,2H),4.55−4.65(m,2H),4.40−4.45(m,1H),3.98(s,3H),3.0−3.07(m,2H),2−65−2.71(m,2H),1.44−2.30(m,27H)。
【0083】
実施例8
【化30】
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−4−((3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボニル)オキシ)ブタン−1−スルホネート
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(25.0g、31.4ミリモル)および3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウム(13.5g、31.7ミリモル)をDCM(200mL)および水(200mL)に溶解し、25℃で一晩撹拌した。層を分離し、水性相をジクロロメタン(100mL)で抽出し、混合した有機層を水(200mL×10)で洗い、減圧下で濃縮して表題の化合物を白色固体として産出した(31.6g、86%)。H NMR(300MHz,(CDCO)δ:8.56(dd,J=7.8,2.1Hz,2H),8.37(d,J=8.1Hz,1H),8.30(d,J=7.8Hz,1H),8.00−8.10(m,2H),7.76−7.88(m,3H),7.60(dd,J=10,2.7Hz,1H),7.31(d,J=10Hz,1H),5.62(s,2H),4.53−4.69(m,2H),4.45(dd,J=8.7,6.6Hz,1H),4.31(t,J=6.6Hz,2H),3.96(s,3H),3.63(s,1OH),2.98−3.08(m,1H),2.61−2.79(m,3H),1.40−2.23(m,48H)。
【0084】
実施例9
【化31】
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネート
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(37.8g、47.4ミリモル)およびN,N,N−トリメチル−1−フェニルメタンアミニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネート(18.9g、49.8ミリモル)をDCM(250mL)および水(250mL)に溶解し、25℃で一晩撹拌した。層を分離し、水性相をジクロロメタン(100mL)で抽出し、混合した有機層を水(200mL×8)で洗い、減圧下で濃縮して表題の化合物を灰白色固体として産出した(36.0、77%)。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:(8.52−8.56(m,2H),8.37(d,J=8Hz,1H),8.31(d,J=8.5Hz,1H),7.99−8.06(m,2H),7.78−7.85(m,3H),7.63(dd,J=9,1.5Hz,1H),7.31(d,J=9Hz,1H),6.16−6.19(m,1H),5.64−6.69(m,1H),5.62(s,2h),4.72−4.79(m,2H),4.50−4.65(m,2H),4.42−4.47(m,1H),3.96(s,3H),2.99−3.07(m,1H),2.63−2.70(m,1H),2.10−2.30(m,4H),(1.42−2.09(m,31H)。
【0085】
実施例10
【化32】
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム4−(((4R)−4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタフェナントレン−17−イル)ペンタノイル)オキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネート
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(15.0g、18.8ミリモル)および4−(((4R)−4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイル)オキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウム(12.1g、19.2ミリモル)をDCM(200mL)および水(200mL)に溶解し、25℃で一晩撹拌した。層を分離し、水性相をジクロロメタン(100mL)で抽出し、混合した有機層を水(200mL×10)で洗い、減圧下で濃縮して表題の化合物を白色固体として産出した(23.5g、91%)。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.52−8.56(m,2H),8.35(d,J=8Hz,1H),8.29(d,J=8.5Hz,1H),8.00−8.07(m,2H),7.78−7.86(m,3H),7.60(dd,J=9,2Hz,1H),7.31(d,J=9Hz,1H),5.62(s,2H),4.54−4.67(m,2H),4.5(vis t,J=11Hz,1H),4.32(t,J=7Hz,2H),3.96(s,3H),2.99−3.19(m,3H),2.92(t,J=6.5Hz,2H),2.64−2.84(m,4H),1.27−2.55(m,55H),1.11(s,3H),0.84(d,J=6.5Hz,3H)。
【0086】
実施例11
【化33】
5−(3−(4−((1−エチルシクロペンチル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(6.00g、10.2ミリモル)、1−エチルシクロペンチル2−クロロ酢酸(2.12g、11.2ミリモル)、ヨウ化ナトリウム(1.52g、10.2ミリモル)および炭酸セシウム(4.95g、15.2ミリモル)をDMF(25mL)に溶解し、25℃で48時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で急冷し、DCM(100mL×3)で抽出し、混合した有機物を水(100mL×4)で洗い、粘性油に濃縮してMTBE(250mL)中に沈殿させた。粗製固体をろ過し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(TEAで中和、DCMで溶離)によって精製し、表題の化合物を白色固体として産出した(5.80g、77%)。H NMR(300MHz,(CDCO)δ:8.50−8.58(m,3H),8.42(d,J=7.8Hz,1H),7.98−8.07(m,2H),7.88(d,J=2.4Hz,1H),7.76−7.86(m,2H),7.67(dd,J=10,2.1Hz,1H),7.29(d,J=10Hz,1H),4.54−4.90(m,4H),4.44(dd,J=8.7,6Hz,1H),3.96(s,3H),3.81(q,J=7.2Hz,2H),2.94−3.04(m,1H),2.61(dd,J=16.5,5.8Hz,1H),2.21−2.28(m,2H),1.51−2.10(m,13H),1.46(t,J=6Hz,2H),1.31(s,3H),0.82−0.95(m,4H),0.77(t,J=6Hz,3H)。
【0087】
実施例12
【化34】
5−(3−(4−((1−エチルシクロペンチル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−メトキシフェニル)ジベンゾチオフェン−5−イウム4−(((4R)−4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイル)オキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネート
5−(3−(4−((1−エチルシクロペンチル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(2.50g、3.35ミリモル)および4−(((4R)−4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイル)オキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウム(2.23g、3.52ミリモル)をDCM(50mL)および水(50mL)に溶解し、25℃で一晩撹拌した。層を分離し、水性相をジクロロメタン(50mL)で抽出し、混合した有機層を水(75mL×7)で洗い、減圧下で濃縮して表題の化合物を白色固体として産出した(3.47g、78%)。H NMR(300MHz,(CDCO)δ:8.51−8.57(m,2h0,8.36(d,J=8.1Hz,1H),8.28(d,J=8.1Hz,1H),8.00−8.08(m,2H),7.77−7.90(m,3H),7.55(dd,J=8.7,2.4Hz,1H),7.31(d,J=2.4Hz,1H0,4.52−4.70(m,2H),4.41−4.48(m,3H),4.32(t,J=6.9Hz,2H),3.96(s,3H),3.77(q,J=7.2Hz,2H),2.20−3.20(m,15H),1.23−2.15(m,41H),1.11(s,3H),0.82−0.95(m,3H),0.77(t,J=7.2Hz,3H)。
【0088】
実施例13
【化35】
5−(3−(3−カルボキシ−1−(カルボキシメトキシ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェン−5−イウム塩化物
トリフル酸(0.5mL)を5−(3−(4−((1−エチルシクロペンチル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(7.00g、8.87ミリモル)のDCM溶液(50mL)に加え、25℃で一晩撹拌した。白色沈殿物を濾別し、DCM(20mL×2)およびMTBE(200mL×2)で洗い、表題の化合物を白色固体として産出した(4.05g、92%)。H NMR(500MHz,(CDSO)δ:12.0−13.0(brs,2COOH),8.48−8.52(m,2H),8.31(d,J=8Hz,1H),8.24(d,J=7.5Hz,1H),7.92−7.97(m,2H),7.70−7.77(m,3H),7.12−7.24(m,2H),4.54(vis d,J=4Hz,2H),4.31−4.34(m,1H),3.82(s,3H),2.90(dd,J=17,9Hz,1H),2.52(dd,J=15,3.5Hz,1H)。
【0089】
実施例14
【化36】
5−(4−メトキシ−3−(4−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1−(2−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物
5−(3−(3−カルボキシ−1−(カルボキシメトキシ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(4.00g、8.00ミリモル)、2−メチルアダマンタン−2−イル2−クロロ酢酸(4.07g、16.8ミリモル)、ヨウ化ナトリウム(2.4g、16.0ミリモル)および炭酸セシウム(6.51g、20ミリモル)をDMF(60mL)に溶解し、25℃で48時間勢いよく撹拌した。反応混合物を水(200mL)で急冷し、DCM(100mL×3)で抽出した。混合した有機層を水(200mL×4)で洗い、粘性油に濃縮し、MTBE(300mL)から沈殿させて固体残留物を提供し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(TEAで中和、DCMで溶離)によってさらに精製して表題の化合物を灰白色固体として産出した(2.52g、35%)。1H NMR(500MHz,(CD3)2CO)δ:8.52−8.56(m,2H),8.47(d,J=8.5Hz,1H),8.38(d,J=8Hz,2H),7.99−8.06(m,2H),7.92(d,J=2Hz,1H),7.77−7.85(m,2H),7.62(dd,J=9,2Hz,1H),7.29(d,J=9Hz,1H),4.50−4.71(m,6H),4.45−4.49(m,1H),3.96(s,3H),3.14−3.22(m,1H),2.74−2.81(m,1H),1.50−2.33(m,30H),1.13(s,3H),1.13(s,3H)。
【0090】
実施例15:
【化37】
10−(4−メトキシ−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)フェニル)−9−オキソ−9,10−ジヒドロチオキサンチリウムトリフル酸塩
トリフル酸(7.3mL、43.4ミリモル)を−78℃のチオキサントンオキシド(5.00g、21.7ミリモル)および2−(2−メトキシフェニル)酢酸メチル(4.31g、23.9ミリモル)のDCM溶液(60mL)に滴下して加え、25℃にゆっくり一晩温めた。反応混合物を水(100mL)で急冷し、層を分離し、水性相を水(100mL×4)で洗い、粗製固体に濃縮した。粗製固体を最低限のアセトンに溶解し、MTBE(1L)中に沈殿させ、ろ過して表題の化合物を白色固体として産出した(10.0g、85%)。1H NMR(500MHz,(CD3)2CO)δ:8.66−8.69(m,2H),8.19−8.22(m,3H),8.10−8.13(m,4H),7.91(d,J=2.5Hz,1H),7.37(d,J=9Hz,1H),3.96(s,3H),3.61(s,2H),3.57(s,3H)。
【0091】
実施例16:
【化38】
10−(4−メトキシ−3−(1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イル)フェニル)−9−オキソ−9,10−ジヒドロチオキサンチリウムトリフル酸塩
10−(4−メトキシ−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)フェニル)−9−オキソ−9,10−ジヒドロチオキサンチリウムトリフル酸塩(3.00g、5.55ミリモル)、ヨウ化メチル(3.9g、27.7ミリモル)および炭酸セシウム(3.6g、11.1ミリモル)をDMF(25mL)に溶解し、25℃で4時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、DCM(75mL×2)で抽出するした。混合した有機物を水(100mL×4)で洗い、粘性油に濃縮し、MTBE(400mL)から沈殿させ、ろ過して表題の化合物を明るい橙色の固体として産出した(2.35g、64%)。1H NMR(500MHz,(CD3)2CO)δ:8.62−8.66(m,2H),8.29−8.33(m,2H),8.06−8.12(m,5H),8.03(d,J=2,1H),7.34(d,J=9Hz,1H),3.99(q,J=7.5Hz,1H),3.94(s,3H),3.55(s,3H),1.35(d,J=7.5Hz,3H)。
【0092】
実施例17:
【化39】
(4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ナフタレン−1−イル)ジフェニルスルホニウムヨウ化物
トリフル酸無水物(16.6mL、0.099ミリモル)を−78℃のジフェニルスルホキシド(10.0g、49.4ミリモル)および2−(ナフタレン−1−イル)酢酸メチル(10.9g、54.5ミリモル)のDCM溶液(100mL)に滴下して加え、3時間撹拌した。反応物を水(50mL)をゆっくり追加することにより急冷し、室温にゆっくり温めた。層を分離し、有機層を2M水性ヨウ化ナトリウム(100mL×10)および水(100mL×3)で洗い、次いで粘性油に濃縮し、MTBE(600mL)から沈殿させて表題の化合物を薄茶色の含水固体として産出した(18.7g、74%)。1H NMR(500MHz,(CD3)2CO)δ:8.48−8.51(m,1H),8.30−8.33(m,1H),8.03−8.10(m,3H),7.75−7.99(m,8H),7.72(d,J=8Hz,1H).4.39(s,2H),3.68(s,3H)。
【0093】
実施例18:
【化40】
5−(4−メトキシ−3−(2−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エチル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物
5−(4−メトキシ−3−(4−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−1−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(6.00g、10.2ミリモル)、(R,S)−3−ブロモジヒドロフラン−2(3H)−オン(1.84g、11.2ミリモル)および炭酸セシウム(4.95g、15.2ミリモル)をDMF(25mL)に溶解し、25℃で24時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、DCM(50mL×2)で抽出した。混合した有機層を水(75mL×4)で洗い、粘性油に濃縮し、MTBE(500mL)中に沈殿させてろ過した。粗製固体をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、表題の化合物をジアステレオマー(diasteriomers)の混合物(5.54g、71%)として、茶色固体として産出し、これはアセトンからの再結晶によってさらに精製してもよく、表題の化合物を白色固体として産出した(2.71g、35%)。1H NMR(500MHz,(CD3)2CO)δ:8.43−8.52(m,2H),8.32(d,J=8Hz,1H),8.23(dd,J=19,8Hz,1H),7.92−7.96(m,2H),7.71−7.74(m,2H),7.65(d,J=9.5Hz,1H),7.24−7.39(m,1H),7.18−7.23(m,1H),5.57(s,2H),4.49(d,J=5Hz,1H),4.31(t,J=7.5Hz,1H),4.23(d,J=7Hz,1H),4.07−4.15(m,2H),3.81(d,J=13Hz,3H),3.39−3.44(m,1H),3.12−3.15(m,1),1.32−2.27(m,17H)。
【0094】
実施例19:
【化41】
(4−(1−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)−1−オキソブタン−2−イル)ナフタレン−1−イル)ジフェニルスルホニウムヨウ化物
(4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ナフタレン−1−イル)ジフェニルスルホニウムヨウ化物(5.00g、9.76ミリモル)、1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン(1.96g、10.7ミリモル)、ヨウ化ナトリウム(2.93g、19.5ミリモル)および炭酸セシウム(6.34g、19.5ミリモル)をDMF(40mL)に溶解し、25℃で24時間撹拌する。反応混合物を水で急冷し(100mL)、DCM(75mL×2)で抽出し、混合した有機層を水(100mL×4)で洗い、粘性油に濃縮し、MTBE(750mL)から沈殿させてろ過する。粗製混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(TEAで中和、DCMで溶離)によってさらに精製して表題の化合物を白色固体として産出する。
【0095】
実施例20:
【化42】
5−(3−(4−((1−エチルシクロペンチル)オキシ)−1−(2−(2−((1−エチルシクロペンチル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエトキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−メトキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム塩化物
5−(3−(2−(カルボキシメトキシ)−2−オキソエチル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(5.00g、11.8ミリモル)、1−エチルシクロペンチル2−クロロ酢酸(4.98g、26.0ミリモル)、ヨウ化ナトリウム(3.54g、23.6ミリモル)および炭酸セシウム(11.5g、35.4ミリモル)をDMF(50mL)に溶解し、25℃で48時間撹拌する。反応混合物を水(100mL)で急冷し、DCM(75mL×2)で抽出し、混合した有機層を水(100mL×4)で洗い、粘性油に濃縮し、MTBE(750mL)から沈殿させてろ過する。粗製混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(TEAで中和、DCMで溶離)によってさらに精製して表題の化合物を白色固体として産出する。
【0096】
実施例21:
【化43】
5−(4−メトキシ−3−(2−(2−(2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エチル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム4−(((4R)−4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタフェナントレン−17−イル)ペンタノイル)オキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネート
5−(4−メトキシ−3−(2−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)エチル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(10g、14.8ミリモル)および4−(((4R)−4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタフェナントレン−17−イル)ペンタノイル)オキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウム(9.86g、15.6ミリモル)をDCM(250mL)および水(250mL)に溶解し、25℃で一晩撹拌する。層を分離し、有機層を水(200mL×10)で洗い、減圧下で濃縮して表題の化合物を白色固体として産出する。
【0097】
実施例22:
【化44】
5−(3−(1−ヒドロキシ−3−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−3−オキソ−1−フェニルプロパン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物
DMF(15mL)中のペンタナール(1.53g、17.8ミリモル)を撹拌している0℃の5−(4−メトキシ−3−(2−(2−((2−メチルアダマンタン−2−イル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチル)フェニル)−ジベンゾチオフェニウム塩化物(10g、16.9ミリモル)および炭酸セシウム(11.0g、33.8ミリモル)のDMF溶液(60mL)にゆっくり加える。反応混合物を完全に追加した後、25℃に温め、18時間撹拌する。得られた溶液を水(200mL)で急冷し、DCM(150mL×2)で抽出し、混合した有機層を水(200mL×4)で洗い、粘性油に濃縮し、MTBE(1L)から沈殿させ、ろ過する。粗製混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(TEAで中和、DCMで溶離)によってさらに精製して表題の化合物を白色固体として産出する。
【0098】
実施例23:酸発生剤単位を有するポリマーの調製
メタクリル酸2−フェニルプロパン−2−イル(0.39g)、メタクリル酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル(0.33g)、メタクリル酸3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシル(0.57g)および5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネート(0.31g)を12.81gのアセトニトリル/テトラヒドロフラン(2/1 v/v)に溶解することによりヒール液(Heel solution)を作成した。メタクリル酸2−フェニルプロパン−2−イル(185.54g、0.967モル)、メタクリル酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル(204.27g、1.26モル)、メタクリル酸3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシル(127.98g、0.29モル)および5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸(81.5g、0.132モル)を606gの乳酸エチル:γ−ブトリルラクトン(γ−butryl lactone)(30/70 v/v)に溶解することにより供給液を調製した。65.96gの開始剤(V−65)を66gのアセトニトリル/テトラヒドロフラン(2/1 v/v)に溶解することにより開始剤溶液を調製した。水凝縮器およびフラスコ内の反応を監視するために温度計を装着した2Lの三つ口丸底フラスコ内で重合を行った。内容物を塔頂撹拌機を用いて撹拌した。反応器にヒール液を投入し、内容物を75℃に加熱した。供給液および開始剤溶液を、注射器ポンプを用いて4時間掛けて反応器に供給した。次いで内容物をさらに2時間撹拌し、それによって、ハイドロキノン(2.0g)を用いて反応を急冷した。内容物を室温に冷却し、(重量で)IPE/MeOH 95/5(w/w)×10のうち2回沈殿した。それぞれの沈殿工程後に得られたポリマーを真空内で(in vacuuo)50℃で24時間乾燥して500gのポリマーを生じた。
【0099】
実施例24:酸発生剤単位を有するポリマーの調製
5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸の代わりに5−フェニル−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸を用いたことを除いて、実施例23に用いた物と同じプロセスをポリマーの調製に用いた。
【0100】
実施例25:酸発生剤単位を有するポリマーの調製
5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸の代わりに5−(4−(tert−ブチル)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェン−5−イウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸を用いたことを除いて、実施例23に用いた物と同じプロセスをポリマーの調製に用いた。
【0101】
実施例26:酸発生剤単位を有するポリマーの調製
5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸の代わりに実施例9のモノマーを用いたことを除いて、実施例23に用いた物と同じプロセスをポリマーの調製に用いた。
【0102】
実施例27:酸発生剤単位を有するポリマーの調製(TBP−F2としての低PPMA)
5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸の代わりに5−(4−(tert−ブチル)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェン−5−イウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸を用いたこと、および10モル%少ないメタクリル酸2−フェニルプロパン−2−イルを用い、メタクリル酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルで置き換えたことを除いて、実施例23に用いた物と同じプロセスをポリマーの調製に用いた。
【0103】
実施例28:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジティブトーンのフォトレジスト組成物を、成分1、実施例10からのポリマーの10重量%乳酸エチル溶液7.952g;成分2、酸発生剤(5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸)の2重量%乳酸エチル溶液9.289g;成分3、テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの0.5重量%乳酸エチル溶液0.932g;成分4、(1r,3s,5R,7S)−3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸、5−(4−(2−((1−エチルシクロペンチル)オキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェン−5−イウム塩の2重量%乳酸エチル溶液0.680g;成分5、フッ素化界面活性剤(Omnova PF656)の0.5重量%乳酸エチル溶液0.159g;成分6、乳酸エチル9.287g;および成分7、2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル11.700gを組み合わせることにより調製した。調合したレジストを0.01μmPTFEフィルターに通した。このようにして調製されたレジストをシリコンウエハー上にスピンコーティングし、ソフトベークして担体溶媒を除去し、フォトマスクを介してEUV放射線に露光させる。次いで結像したレジスト層を110℃で60秒間ベークし、次にアルカリ水性組成物で現像する。
【0104】
実施例29〜41:フォトレジスト組成物
フォトレジスト組成物を表1に従う適切な変更と共に実施例28に従って調製および処理した。
【0105】
【表1】
表1において、参照される文字は、以下の表2に従い[]括弧内の値は実施例28に従って加えられる成分のグラム数の量であることを示すか、または合成例への直接参照であり、やはり[]括弧内の値は実施例28に従って加えられる成分のグラム数の量であることを示す。参照文字が無いまたは対応する実施例が無い場合、成分は実施例28の対応する成分と同一である。全ての試料は実施例28に従って処理した。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例42:リソグラフィーの評価
下表について、Eサイズ(Esize)、CDUおよびEL%は全て以下の方法で評価した:比較例は1に正規化され、その結果として「◇」で示され;それぞれの比較と比べて少なくとも20%の改善を示す、非常に優れた測定基準は「Δ」で示され;それぞれの比較と比べて少なくとも10%の改善を示す、優れた測定基準は「□」で示され;それぞれの比較と比べて0%から10%の改善を示す、改善された測定基準は「■」で示され;それぞれの比較と比べて<0%から−5%の改善を示す、同様の測定基準は「●」で示され;期待以下の性能は「○」で印される。
【0108】
焦点深度(DoF)100nmに制限された10%のCD境界を有する放射線量および焦点(FEM)による限界寸法(CD)データからE−サイズおよび露出寛容度%(EL%)を計算した。CDUは、全て最大露光/最大焦点内で取り、各FOVについて36CHを測定する10FOVについて計算された3Sigmaであった。
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
表3〜6において見られるように、本発明の光酸発生剤(PAG)を含むフォトレジストは、改善されたリソグラフィー性能を示す。