(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自網の加入者端末に係る情報を保持する加入者情報管理装置と、加入者情報管理装置が保持する加入者端末に係る情報に基づいて、自網とは異なる他網の装置から送信されるメッセージを当該加入者端末に対して送信するメッセージ中継装置と、を含むメッセージ送信システムであって、
前記加入者情報管理装置は、
加入者端末が接続する通信方式を利用して当該加入者端末に対してメッセージを送信するための転送先となる転送先装置を特定する情報を加入者毎に保持する加入者情報保持手段と、
前記加入者端末に含まれる宛先端末を特定する情報を含む当該宛先端末へのメッセージ送信要求を前記他網の装置から受信するメッセージ送信要求受信手段と、
前記加入者情報保持手段に保持される情報に基づいて、前記メッセージ送信要求に含まれる情報により特定される前記宛先端末が接続する通信方式を利用して前記宛先端末に対してメッセージを送信するための転送先装置を特定する情報を取得する転送先情報取得手段と、
前記転送先情報取得手段により取得された前記転送先装置を特定する情報と前記他網の装置から送信された前記メッセージ送信要求とを対応付けて前記メッセージ中継装置に対して提供する転送先情報提供手段と、
を備え、
前記メッセージ中継装置は、
前記加入者情報管理装置から送信される前記転送先装置を特定する情報を、前記メッセージ送信要求を特定する情報と対応付けて保持する転送先情報保持手段と、
前記加入者情報管理装置において受信した前記メッセージ送信要求に対応した、前記宛先端末へのメッセージ本文を含むメッセージ転送要求を前記他網の装置から受信するメッセージ転送要求受信手段と、
前記転送先情報保持手段に保持された情報に基づいて、前記メッセージ転送要求に対応した前記宛先端末に対するメッセージ本文を前記転送先装置に対して転送するメッセージ転送手段と、
を備え、
前記メッセージ中継装置の前記メッセージ転送手段は、
前記加入者情報管理装置から前記転送先装置を特定する情報を複数受信した場合のメッセージ本文の転送に利用する優先順序を予め決めておき、当該優先順序の高い前記転送先装置に対して前記宛先端末に対するメッセージ本文を転送し、
前記他網の装置から受信する前記メッセージ転送要求に、前記メッセージ本文を前記宛先端末へ転送する際の転送先を指定する情報が含まれている場合に、前記メッセージ転送要求に含まれる情報により指定される転送先装置よりも優先順序の高い転送先装置を特定する情報が前記転送先情報保持手段に保持されている場合には、前記転送先情報保持手段に保持された前記転送先装置を特定する情報を利用して前記宛先端末に対するメッセージ本文を前記転送先装置に対して転送する、メッセージ送信システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るメッセージ送信を含む通信システムのシステム構成を示す図である。
図1に示す通信システム1は、通信端末であるUE(User Equipment)90A又はUE90B(以下、UE90と纏めて示す場合がある)に対してSMS(ショートメッセージサービス)を提供するシステムである。特に、以下の実施形態では、通信システム1では、UE90A及びUE90Bはホーム網N2に対して接続可能な通信端末であって、ホーム網N2とは異なる他網N1に接続する通信端末等から送信されるSMSをUE90A又はUE90に対して提供する場合について説明する。以下の実施形態では、ホーム網N2のことを自網と呼び、他網N1と区別して説明する場合がある。
【0016】
図1に示すホーム網N2及び後述のローミングアウト網N3は、3GPP標準技術であるIMSを用いて実現されたVoLTE(Voice over LTE)による通信を実現している。また、本実施形態では、ホーム網N2及びローミングアウト網N3は、従来の回線交換ドメインを利用した音声及びSMSの提供も同時に行っている場合について説明する。すなわち、ホーム網N2及びローミングアウト網N3では、複数の通信方式(VoLTE,回線交換方式、パケット交換方式)を提供していて、各UE90は、装置仕様や契約状況等に基づいて複数の通信方式の一部又は全てを利用しているとする。
【0017】
図1に示すように、通信システム1は、SMSC(Short Message Service Center)10と、GMSC(Gateway Mobile Switching Center)20と、HSS(Home Subscriber Server)30と、SMS−R(Short Message Service−Router)40と、IP−SM−GW(IP−Short Message−Gateway)50と、MSC(Mobile Switching Center)61と、SGSN(Serving General packet radio service Support Node)62と、P−GW(Packet Data Network−Gateway)71と、S−GW(Serving−Gateway)72と、S−GW81と、MSC82と、SGSN83と、を含んで構成されている。
【0018】
上記の各装置のうち、SMSC10及びGMSC20は、他網N1に含まれる装置である。また、HSS30、SMS−R、IP−SM−GW50、MSC61、SGSN62、P−GW71及びS−GW72は、ホーム網N2に含まれる装置である。ホーム網N2において、IP−SM−GW50とP−GW71との間には、IMSコアネットワーク70を形成する各装置(例えば、P−CSCF;Proxy Call Session Control Function、S−CSCF;Serving-CSCF、AS;Application Server等)が設けられるが、
図1では記載を省略する。さらに、S−GW81、MSC82、及びSGSN83は、ローミングアウト網N3に含まれる装置である。他網N1、ホーム網N2及びローミングアウト網N3は、それぞれ互いに異なる通信事業者により提供される通信網である。
【0019】
UE90A,UE90B(通信端末)は、通常は、通信システム1のうち、ホーム網N2のIMS(IP Multimedia Subsystem)のコアネットワークに接続し、無線通信によって種々のサービスの提供を受けることができる。種々のサービスとしては、ホーム網N2におけるパケット交換方式による音声通信(VoLTE)サービス及びデータ通信サービス(例えばSMS又は電子メール等のデータ通信)等がある。また、UE90A,UE90Bは、通信システム1のホーム網N2が提供する3Gネットワークを介した無線通信によって、回線交換方式による音声通信及びパケット交換方式によるデータ通信サービスの提供を受けることもできるとする。すなわち、UE90A,UE90Bは、ホーム網N2の加入者端末の一つである。また、SMSの送信先がUE90A,UE90Bである場合には、UE90A,UE90BはSMS(メッセージ)の宛先の端末である宛先端末に相当する。UE90A,UE90Bは、例えばスマートフォン、タブレット等の端末装置として実現される。
【0020】
図2は、本実施形態の通信システム1に含まれる各装置のハードウェア構成を示す図である。すなわち、
図1に示されるSMSC10、GMSC20、HSS30、SMS−R40、IP−SM−GW50、MSC61、SGSN62、P−GW71、S−GW72、S−GW81、MSC82、及び、SGSN83は、物理的には、それぞれ
図2に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、データ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等に例示される補助記憶装置105、入力デバイスであるタッチパネル及びキーボード等に例示される入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されている。上記の各装置では、
図2に示すCPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで、各装置における一連の機能が実現される。以下、
図1に戻り、各装置の機能について詳細を説明する。
【0021】
図1に示す通信システム1は、ホーム網N2に接続して通信を行うUE90A、及び、VoLTEローミングを利用してホーム網N2からローミングアウト網N3に対してローミングアウトしているUE90Bに対して、ホーム網N2及びローミングアウト網N3とは異なるネットワークである他網N1からSMSを送信する場合について説明する。
【0022】
他網N1に含まれるSMSC10及びGMSC20は、他網N1からホーム網N2のUE90A(又は90B)に対してSMSを送信するための機能を有する。SMSC10は、他網N1に接続して通信を行う端末装置等からのSMSを蓄積及び送信する機能を有する。端末装置等からのSMSは、SMSC10において蓄積された後、GMSC20に対して送信される。
【0023】
GMSC20は、他網N1の配下の端末装置等からのSMSをホーム網N2に対して送信するための関門(Gateway)として機能する。
【0024】
HSS30は、ホーム網N2において、UE90A、UE90B等の通信端末の契約情報、認証情報、及び在圏情報を管理する加入者情報管理サーバ(加入者情報管理データベース)である。ここで、HSS30で保持される通信端末の在圏情報とは、通信端末が接続しているネットワーク等を示す情報のことである。通信端末の在圏情報には、UE90A,UE90B等の通信端末がどの通信方式に在圏(接続)しているかを示す情報及びローミングアウトをしているか等の情報が含まれる。また、UE90A,UE90B等の通信端末が接続する通信方式毎に、SMSを送信するための転送先となる装置(転送先装置)が決められているため、この転送先に係る情報もHSS30で保持される。HSS30は、通信システムにおけるメッセージ送信システム1Aに含まれる加入者情報管理装置に相当し、詳細は後述する。
【0025】
SMS−R40は、GMSC20から送信されるSMSをUE90A,UE90B等へ送信するために、交換機機能を有する装置へSMSのメッセージ本文を転送する機能を有するメッセージ中継装置として機能する。SMS−R40は、通信システムにおけるメッセージ送信システム1Aに含まれる装置であり、詳細は後述する。
【0026】
IP−SW−GW50は、SMS−R40から転送されたSMSをIMSコアネットワーク70を介してUE90A,UE90B等へ送信するための関門となる装置である。IP−SM−CW50からIMSコアネットワーク70へSMSを送信する際には、SMSはSIP(Session Initiation Protocol)を利用した信号として送信される。すなわち、IP−SW−GW50は、SMSを宛先端末となるUE90A,UE90B等へ送信するための転送先装置の一つである。
【0027】
MSC61は、回線交換方式に基づいたサービスを提供するCSドメインを利用したSMSの送信を行う際の交換機として機能する装置である。すなわち、MSC61は、SMSを宛先端末となるUE90A,UE90B等へ送信するための転送先装置の一つである。VoLTEを使用せずにSMSを送信する場合、従来はCSドメインを使用することが一般的であった。したがって、従来は、MSC61を介してUE90A,UE90Bに対してSMSを送信することが一般的であった。
【0028】
また、SGSN62は、パケット交換方式に基づいたサービスを提供するPSドメインを利用したSMSの送信を行う際の交換機として機能する装置である。すなわち、SGSN62は、SMSを宛先端末となるUE90A,UE90B等へ送信するための転送先装置の一つである。
【0029】
P−GW71,S−GW72は、IMSにおける交換機としての機能を有する装置群である。P−GW71は、外部のインターネットや企業のイントラネットなどに接続するためのゲートウェイ装置である。また、S−GW72は、ユーザデータの伝送を行うゲートウェイ装置である。P−GW71は、外部のネットワークの装置との通信も可能であり、本実施形態では、ローミングアウト網N3におけるS−GW81に対して接続する機能を有する。
【0030】
S−GW81、MSC82及びSGSN83は、ローミングアウト網N3におけるS−GW72、MSC61及びSGSN62に対応する装置である。UE90Bのようにローミングアウト網N3に対してローミングアウトした通信端末に対してSMSを送信する場合、SMSは、S−GW81、MSC82及びSGSN83の何れかを経由してUE90Bに対して送信される。MSC82及びSGSN83は、宛先端末がUE90Bである場合にSMSを送信するための転送先装置の一つである。SMSがS−GW81を経由する場合には、転送先の装置であるIP−SM−GW50を経由してSMSがS−GW81へ送られる。
【0031】
なお、本実施形態に係る通信システム1では、ローミングアウトしたUE90Bに対するルーチング(ルーティング)をホーム網N2で行う(Home Routing=ON)ことを前提としている。ローミングアウトしたUE90Bに対してSMSを送信する場合の送信経路の探索(ルーチング)については、UE90Bが従来接続するホーム網N2側で行う場合と、ホーム網N2側で行わない場合とがある。本実施形態の通信システム1では、ホーム網N2に在圏するUE90Aだけではなく、ローミングアウトしたUE90Bに係るルーチングについてもホーム網N2で行う構成としている。すなわち、ホーム網N2を提供する通信事業者に対して契約する全ての通信端末に係るSMS配信のルーチングをホーム網N2にて行う構成としている。これにより、ホーム網N2を提供する通信事業者に対して契約する全ての通信端末に係るSMS配信の制御を、ホーム網N2を利用して一括して行うことが可能となる。
【0032】
次に、
図3を参照しながら、通信システム1においてメッセージ送信システムとして機能するHSS30及びSMS−R40についてさらに説明する。
【0033】
図3に示すように、HSS30は、加入者情報保持部31(加入者情報保持手段)と、SMS送信要求処理部32(メッセージ送信要求受信手段)と、加入者情報提供部33(転送先情報取得手段、転送先情報提供手段)とを含んで構成される。また、SMS−R40は、転送先情報保持部41(転送先情報保持手段)と、転送先情報処理部42(転送先情報保持手段)と、SMS転送制御部43(メッセージ転送要求受信手段、メッセージ転送手段)とを含んで構成される。
【0034】
まず、HSS30の加入者情報保持部31は、ホーム網N2の加入者(ホーム網N2を提供する通信事業者への契約者)に係る情報を保持している。また、加入者情報保持部31は、ホーム網N2の加入者に係る情報として、加入者の通信端末(UE)が接続している通信方式毎に、SMS(メッセージ)を転送する先となる転送先装置を特定する情報を保持することを特徴とする。本実施形態においてホーム網N2は、VoLTE、CSドメイン及びPSドメインを利用した通信方式を提供している。加入者の通信端末(UE)が通信を行う場合には、上記の3方式のうちのいずれかの通信方式を利用して通信を行う。HSS30の加入者情報保持部31では、加入者の通信端末(UE)毎に、使用する通信方式(在圏可能な通信方式)に係る情報を保持すると共に、通信端末に対してSMSを送信するための転送先装置を特定する情報を保持する。
【0035】
加入者情報保持部31で保持する情報の例を
図4に示す。
図4では、UE90(UE90,UE90B)に対応付けて、VoLTEに在圏しているか否かを示す情報(○又は−)、VoLTEローミングに在圏しているか否かを示す情報(○又は−)、VoLTE又はVoLTEローミングに在圏をしている場合に使用する転送先装置であるIM−SM−GW50のアドレスを示す情報、CSドメインにおける転送先装置であるMSC61のアドレスを示す情報、及びPSドメインにおける転送先装置であるSGSN62のアドレスを示す情報が保持されている。このうち、IM−SM−GW50のアドレスを示す情報は、UE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏をしている場合のみに保持される。すなわち、UE90がVoLTEを使用できない場合には、IM−SM−GW50のアドレスは保持されない。一方、VoLTEを使用可能なUE90は、CSドメイン及びPSドメインにも接続可能であるので、MSC61のアドレスを示す情報及びSGSN62のアドレスを示す情報も併せて保持される。なお、VoLTEローミングをしているUE90には、MSC61のアドレスを示す情報及びSGSN62のアドレスを示す情報に代えて、MSC82のアドレスを示す情報及びSGSN83のアドレスを示す情報が保持される。これらの情報は、SMS−R40からの要求に応じてSMS−R40に対して提供される。
【0036】
次に、SMS送信要求処理部32は、他網N1のGMSC20から送信されるSMS送信要求に係る処理を行う機能を有する。具体的には、他網N1のGMSC20から送信されるSMS送信要求(メッセージ送信要求)をSMS−R40に対して送信することで、SMS−R40におけるSMS送信に係る処理を開始させる。
【0037】
加入者情報提供部33は、SMS送信要求を送信したSMS−R40からの要求に応じて、加入者情報を提供する機能を有する。SMS−R40からのUE90を指定して送信される加入者情報の提供要求に応じて、加入者情報提供部33では、加入者情報保持部31において保持される情報に基づいて、当該UE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏をしている、若しくは、どちらでもない、の何れに属するかを確認する。VoLTE又はVoLTEローミングに在圏をしている場合には、SMSを送信するためのIP−SM−GW50のアドレスが対応付けて保持されている。また、VoLTE又はVoLTEローミングに在圏をしている、の何れでもない場合には、SMSを送信するためのIP−SM−GW50のアドレスが対応付けられていない。SMSを送信するためのIP−SM−GW50のアドレスが対応付けられている場合には当該アドレスと、MSC61(又はMSC82)のアドレスと、SGSN62(又はSGSN83)のアドレスと、をSMS−R40に対して送信する。また、SMSを送信するためのIP−SM−GW50のアドレスが対応付けられていない場合にも、MSC61のアドレスと、SGSN62のアドレスとをSMS−R40に対して送信する。
【0038】
次に、SMS−R40の転送先情報保持部41は、HSS30から送信された情報に基づいて、SMSを転送する先を特定する情報を保持する機能を有する。転送先情報保持部41で保持する情報の例を
図5に示す。
図5に示すように、転送先情報保持部41では、SMSを転送する先となるIM−SM−GW50のアドレスと、MSC61(又はMSC82)のアドレスと、SGSN62(又はSGSN83)のアドレスと、をIDに対応付けて保持する。IDとは、他網N1からのSMS送信要求(メッセージ送信要求)毎に付与されて、他網N1からのSMS送信要求から始まるSMSの送信に係る一連の処理を特定するために用いられる。なお、SMSの送信対象のUE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏している場合には、IM−SM−GW50のアドレスがIDに対応付けて保持されるが、上記の何れでもない場合にはIM−SM−GW50のアドレスがIDに対応付けて保持されない。また、IM−SM−GW50のアドレスがIDに対応付けて保持されている場合には、SMSの転送先としてIM−SM−GW50が優先される。すなわち、SMSの転送先となる装置に関しては、優先順序が決められている。この点については後述する。
【0039】
転送先情報処理部42は、他網N1のGMSC20からのSMS送信要求をHSS30から受信すると共に、当該受信を契機として、HSS30に対してSMSの送信先となるUE90に対応した転送先の情報を取得する機能を有する。転送先情報処理部42により取得された転送先の情報は、上述の転送先情報保持部41において保持される。
【0040】
SMS転送制御部43は、他網N1のGMSC20からのSMS送信要求をHSS30から受信し、SMSの転送先に係る情報をHSS30から取得した後、他網N1のGMSC20からSMSを受信して、UEへの送信に携わる装置へ転送する機能を有する。SMS転送制御部43は、転送先情報保持部41に保持される情報に基づいて、SMSの送信先のUE90が接続する装置(IM−SM−GW50、MSC61又はMSC82、及び、SGSN62又はSGSN83)に対してSMSを転送する。これにより、SMSが転送された装置によって、送信先のUE90に対してSMSが送信される。
【0041】
次に、
図6〜
図9を参照しながら、通信システム1におけるUE90へのSMSの送信方法の詳細について説明する。
図6は、UE90へのSMSの送信方法を説明するシーケンス図である。また、
図7〜
図9は、SMSの送信方法の各ステップにおける処理を説明するフローチャートである。
【0042】
まず、
図6に示すように、他網N1のSMSC10から他網N1のGMSC20に対してSMS転送要求が送信されると(S01)、他網N1のGMSC20からHSS30に対してSMS送信要求に係る信号(SRI for SM)が送信される(S02)。ここで、HSS30のSMS送信要求処理部32では、自網(ホーム網N2)でのホームルーチング(HR)がONであることを確認した後(S03)、HSS30のSMS送信要求処理部32からSMS−R40に対してSMS送信要求(SRI for SM)が転送される(S04)。SMS送信要求(SRI for SM)には、SMSの送信先であるUE90を特定する情報が含まれる。
【0043】
SMS−R40の転送先情報処理部42では、HSS30からSMS送信要求(SRI for SM)を受信すると、HSS30に対してSMS送信要求で特定されるUE90に対する転送先の提供を要求する(SRI for SM)(S05)。これに対して、HSS30の加入者情報提供部33では、SMS−R40からの問い合わせに基づいて、加入者情報保持部31を参照し、SMSの送信先であるUE90の在圏状況、すなわち、UE90が接続する通信方式を確認する(S06)。そして、加入者情報保持部31において保持する情報を提供する。すなわち、SMSの送信先であるUE90にSMSを転送するためのIM−SM−GW50アドレス(VoLTE又はVoLTEローミングに在圏している場合)と、MSC61(又はMSC82)のアドレスと、SGSN62(又はSGSN83)のアドレスと、が加入者情報提供部33からSMS−R40に対して送信(MAP_SRI for SM.ack)される(S07)。
【0044】
HSS30における上記の処理(S05〜S07)について、UE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏をしているか否かに基づいて処理を変更する点について、
図7を参照しながら説明する。HSS30の加入者情報提供部33がSMS−R40から送信される転送先の提供の要求(SRI for SM)を受信すると(S21)、SMS−R40からの問い合わせに基づいて、加入者情報保持部31を参照し、UE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏しているか否かを判断する(S22)。これは、加入者情報保持部31において、UE90を特定する情報に対応付けてIM−SM−GW50アドレスが保持されているかに基づいて判断される。ここで、UE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏している場合(S22−YES)には、SMS−R40に対して送信する信号(MAP_SRI for SM.ack)にIM−SM−GW50のアドレスを付与する(S23)。一方、UE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏していない場合(S22−NO)には、IM−SM−GW50アドレスを付与しない。その後、MSC61のアドレス及びSGSN62のアドレスをさらに含む信号(MAP_SRI for SM.ack)がSMS−R40に対して送信される(S24)。SMS−R40に対して送信する信号(MAP_SRI for SM.ack)にMSC61のアドレス及びSGSN62のアドレスが付与されるのは、既存技術と同じである。すなわち、従来からMSC61のアドレス及びSGSN62のアドレスはSMS−R40に対して送信する信号(MAP_SRI for SM.ack)に付与されているが、UE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏している場合(S22−YES)には、SMS−R40に対して送信する信号(MAP_SRI for SM.ack)にIP−SM−GW50のアドレスを付与する点が従来の信号とは異なる点である。
【0045】
図6に戻り、SMS−R40の転送先情報処理部42では、HSS30から提供されたSMSの転送先に係る情報を受信すると、転送先情報保持部41においてこれを保持する(S08)。SMS−R40では、他網N1のGMSC20に対して、GMSC20からHSS30へのSMS送信要求(S03)に対する返信として、SMSの送信を指示(SRI for SM.ack)する(S09)。GMSC20へ送信する信号には、一連の処理を特定するID(Corelation ID)と、SMS−R40を特定するSMS−R40のアドレス(NNN)とが含まれる。なお、GMSC20へ送信する信号には、MSC61(又はMSC82)のアドレス及びSGSN62(又はSGSN83)のアドレスも含まれる。
【0046】
図8を参照しながら、HSS30からの信号の受信に基づいてSMS−R40で行われる処理を説明する。SMS−R40の転送先情報処理部42では、HSS30からの信号(MAP_SRI for SM.ack)を受信すると(S31)、当該信号にIP−SM−GW50のアドレスが含まれているかを確認する(S32)。ここで、HSS30からの信号(MAP_SRI for SM.ack)にIP−SM−GW50のアドレスが含まれている場合(S32−YES)には、IP−SM−GW50のアドレスを転送先情報保持部41に保持する(S33)。一方、HSS30からの信号(MAP_SRI for SM.ack)にIP−SM−GW50のアドレスが含まれていない場合(S32−NO)には、IP−SM−GW50のアドレスに係る処理を行わない。その後、MSC61(又はMSC82)のアドレス及びSGSN62(又はSGSN83)のアドレスを転送先情報保持部41に保持した上で、GMSC20からHSS30へのSMS送信要求(S03)に対する返信として、SMSの送信を指示する信号(SRI for SM.ack)を送信する(S34)。
【0047】
図6に戻り、GMSC20では、SMS−R40からのSMSの送信の指示を受信すると、宛先であるUE90へのメッセージ本文を含む信号としてメッセージ転送要求(MT forward SM)をSMS−R40宛に送信する(S10)。GMSC20からのメッセージ転送要求には、メッセージ本文のほか、一連の処理を特定するID(Corelation ID)と、SMSの送信経路を特定する情報(SNN)が含まれる。この信号は従来のVoLTEを使用しないSMSの送信の際にも用いられている信号である。従来から用いられている信号にもSMSの送信経路を特定する情報が含まれている。
【0048】
SMS−R40のSMS転送制御部43では、GMSC20からのメッセージ転送要求を受信すると、SMS(メッセージ本文)の転送に係る処理を行う。具体的には、GMSC20からのメッセージ転送要求を受信すると、SMS−R40の転送先情報保持部41に保持されている情報に基づいて、SMSの送信先を決定する(S11)。そして、IP−SM−GW50に対して信号を送信すると決定した場合には、SMS−R40からIP−SM−GW50に対してUE90へのメッセージ本文を含む信号(MT forward SM)を送信する(S12)。IP−SM−GW50では、SMS−R40からの信号に基づいて、IMSコアネットワーク70に含まれる通信制御に係る装置(S−CSCF/P−CSCF)に対して、UE90へのメッセージ本文を含む信号(SIP_MESSAGE)を送信する(S13)。さらに、IMSコアネットワーク70に含まれる通信制御に係る装置(S−CSCF/P−CSCF)からUE90に対してSMSのメッセージ本文が送信される(S14)。UE90Bのように通信端末がローミングアウトしている場合には、ホーム網N2においてIMSコアネットワーク70の配下に接続するP−GW71(
図1参照)から、ローミングアウト網N3のS−GW81に対してSMSが転送された後、UE90Bに対してSMSが送信される。
【0049】
一方、送信先の選択を行う際(S11)に、IP−SM−GW50ではなく、MSC61(又はMSC82)/SGSN62(又はSGSN83)を介してSMSを送信すると決定した場合には、SMS−R40からMSC61(又はMSC82)/SGSN62(又はSGSN83)に対してUE90へのメッセージ本文を含む信号(MT forward SM)を送信する(S15)。MSC61(又はMSC82)及びSGSN62(又はSGSN83)のどちらを利用するかは、GMSC20からの信号(MT forward SM)に含まれるSMSの送信経路を指定する情報(SSN)に基づいて決定される。そして、SMS−R40を受信したMSC61(又はMSC82)/SGSN62(又はSGSN83)からUE90に対してSMSのメッセージ本文が送信される(S16)。
【0050】
図9を参照しながら、SMS−R40におけるSMSの送信先の選択(S11)について、さらに説明する。まず、GMSC20からのメッセージ転送要求(MT forward SM)を受信する(S41)と、SMS−R40のSMS転送制御部43では当該信号に含まれるID(Corelation ID)とに対応付けてIP−SM−GW50のアドレスが転送先情報保持部41に保持されているかを参照する(S42)。ここで、IP−SM−GW50のアドレスが転送先情報保持部41に保持されている場合には(S42−YES)、当該アドレスで指定されたIP−SM−GW50に対してUE90へのメッセージ本文を含みSMSの送信を指示する信号(MT forward SM)を送信することが決定され(S43)、
図6に示した送信に係る処理(S12〜S14)が行われる。一方、IP−SM−GW50のアドレスが転送先情報保持部41に保持されていない場合には(S42−NO)、GMSC20からの信号(MT forward SM)に含まれるSMSの送信経路を指定する情報(SSN)に基づいて、MSC61(又はMSC82)若しくはSGSN62(又はSGSN83)に対してUE90へのメッセージ本文を含みSMSの送信を指示する信号(MT forward SM)を送信することが決定され(S45)、
図6に示した送信に係る処理(S15,S16)が行われる。このように、SMS−R40におけるSMSの送信先の選択には、IP−SM−GW50のアドレスが転送先情報保持部41に保持されている場合には、GMSC20からの信号(MT forward SM)に含まれるSMSの送信経路を指定する情報(SSN)等を考慮せずにIP−SM−GW50に対してSMSを送信する。すなわち、IP−SM−GW50は、他の装置と比較して優先順序が高い転送先装置であることが予め決められている。
【0051】
以上の処理により、通信システム1におけるUE90へのSMSの送信が行われ、UE90のユーザは、他網N1の装置から送信されたSMSを確認することができる。
【0052】
上記の実施形態において、通信システム1では、HSS30において、SMSの送信先となるUE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏しているかの判定を行う(S06)。そして、UE90がVoLTE又はVoLTEローミングに在圏している場合には、HSS30からSMS−R40に対してVoLTE又はVoLTEローミングを利用したSMS送信の際の転送先となる装置(IP−SM−GW50)の情報を含む転送先装置に係る情報をSMS−R40に対して通知し、SMS−R40では当該情報を転送先情報保持部41に保持する。一方、SMS−R40では、SMS−R40の転送先情報保持部41においてVoLTE又はVoLTEローミングを利用したSMS送信の際の転送先となる装置(IP−SM−GW50)の情報を保持している場合には、他網の装置からのSMSの送信方法の指定(SSN)に依らず、VoLTE又はVoLTEローミングを利用したSMS送信の際の転送先となる装置(IP−SM−GW50)に対してSMSを送信する。これにより、UEがVoLTEを使用している場合には、VoLTEを利用したSMSの送信が可能となる。また、通信システム1では、上記の構成を備えることにより、SMSの送信元である他網N1の装置がVoLTEを利用したSMS配信に対応していない場合でも、ホーム網N2の装置群によってVoLTEを利用したSMS配信を制御することが可能となる。すなわち、他網N1におけるVoLTEを利用したSMS配信の対応状況に依存することなく、自網であるホーム網N2においてVoLTEを利用したSMS配信を行うことが可能となり、他網からのメッセージの送信をより好適に行うことが可能となる。
【0053】
上記の効果について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、IMS基盤を利用したSMS送受信を行うためのアーキテクチャについての3GPP(TS 23.204)での開示例である。
図10に記載された装置群は
図1に記載の装置群と共通するため、詳細の説明を省略する。
【0054】
図10に示すように、3GPPに記載されたアーキテクチャでは、まず、他網N1のSMSC10から指示を受けたGMSC20が、HSS30に対してSMSの送信に係る要求信号であるメッセージ送信要求(MAP_SRI for SM)を送信し(S51)、HSS30からの応答信号(MAP_SRI for SM.ack)を取得する(S52)ことが示されている。このとき、GMSC20からHSS30に対するメッセージ送信要求(S51)には、新規パラメータ(IP-SM-GW Guidance)を付与することが3GPPでは規定されている。同様に、HSS30からGMSC20に対する応答信号(S52)には、上記の新規パラメータに対応してIP−SM−GW50のアドレスに対応する情報(IP-SM-GW Guidance indicatot)を提供することが規定されている。上記のプロセスを経ることで、GMSC20は、UE90に対してSMSを送信する際の転送先装置(IP−SM−GW50)を特定する情報を取得することができるので、次のステップで、転送先装置であるIP−SM−GW50に対してSMSのメッセージ本文を含むメッセージ転送要求(MAP_mt forward SM)を送信する(S53)。そして、3GPPでは、IP−SM−GW50がIMSネットワーク(VoLTE,VoLTEローミング等を含む)、CSドメイン、PSドメインの全ての通信方式に係るSMS配信の制御を行うことが規定されている。
【0055】
上記の3GPPの規定によれば、他網N1のGMSC20からホーム網N2のHSS30に対して送信するメッセージ送信要求には新規パラメータを含めることが要求されている。したがって、他網N1のGMSC20では、従来のCSドメインを利用したSMSの送信要求とは異なる信号を新たに生成する必要がある。換言すると、他網N1のGMSC20から送信される信号が従来のCSドメインを利用する際と同様の信号である場合には、HSS30においてVoLTE又はVoLTEローミングを利用したSMSの配信に係る制御を開始する契機が生じないため、VoLTE又はVoLTEローミングを利用したSMSの配信はできない。このように、従来の3GPPで規定された手法に則って他網N1からのSMSをVoLTE又はVoLTEローミングを利用してUE90に対して配信するためには、他網N1における設備の変更等が必要となっていた。したがって、仮にホーム網N2においてVoLTE又はVoLTEローミングを利用したSMS配信を促進しようとしたとしても、他網N1における整備が進まない限り送信方法の変更ができないため、他網からのSMSの送信を好適に行うために改善の余地があった。
【0056】
これに対して、本実施形態に係る通信システム1のメッセージ送信システム1Aでは、加入者情報管理装置であるHSS30において、他網N1のGMSC20等からのメッセージ送信要求を受信すると、メッセージの宛先である宛先端末にメッセージを送信するための転送先となる転送先装置を特定する情報が加入者情報保持部31から取得され、HSS30からメッセージ中継装置であるSMS−R40に提供される。そして、SMS−R40では、他網N1のGMSC20からメッセージ本文を含むメッセージ転送要求を取得すると、HSS30から提供されて、転送先情報保持部41において保持する転送先装置を特定する情報を利用して、宛先の端末の通信方式に対応した転送先装置(例えば、IP−SM−GW50)に対してメッセージが転送される。このように、HSS30からSMS−R40に対して、宛先端末にメッセージ本文を配信するための転送先装置に係る情報の提供が行われる。すなわち、
図10に示す例のように、他網N1の装置であるGMSC20等が宛先端末の通信方式等に係る情報をHSS30から取得しなくても、宛先端末の通信方式に対応したメッセージの送信をホーム網N2で好適に行うことができる。
【0057】
また、UE90のように、SMSの宛先となる端末が複数の通信方式を利用した接続を行っている場合、複数の転送先装置に係る情報が加入者情報管理装置から提供される。本実施形態では、
図5等に示すように、転送先情報保持部41において、IDに対応付けてVoLTEに対応したIP−SM−GW50のアドレスが保持される場合には、MSCアドレス及びSGSNアドレスも併せて保持される。そこで、SMS−R40のSMS転送制御部43では、メッセージ本文の転送に利用する転送先装置の優先順序を予め決めておき、当該優先順序に基づいてメッセージ本文の転送を行う。本実施形態では、IP−SM−GW50のアドレスが転送先情報保持部41に保持されている場合には、IP−SM−GW50を利用したSMSの送信を行うことが決められている。このような構成とすることで、宛先端末が複数の通信方式を利用している場合であっても、より好適な通信方式を利用したメッセージの転送を実現することができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る通信システム1では、他網N1のGMSC20からのメッセージ転送要求において転送先を指定する情報(SSN)が含まれている場合であっても、予め決めた優先順序に基づいて、より好適な転送先装置(本実施形態では、IP−SM−GW50)を選択してメッセージの転送を行う構成とされている。したがって、自網で予め設定した優先順序に基づいた転送先装置を利用したメッセージの転送を行うことができるため、宛先端末に対するメッセージ送信をより好適に行うことが可能となる。このような構成とすることで、本実施形態に係る通信システム1では、VoLTEを利用する通信端末に対するVoLTEを利用したSMSの送信を促進することができ、VoLTEを利用する通信端末に対するSMSの送信をより好適に行うことができる。
【0059】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、HSS30がメッセージ送信システム1Aの加入者管理装置に相当し、SMS−R40がメッセージ中継装置に相当する場合について説明したが、装置構成については上記に限定されるものではない。すなわち、加入者管理装置及びメッセージ中継装置のそれぞれが複数台の装置によって構成されていてもよいし、逆に上記で説明したメッセージ送信システムが1台の装置によって実現されていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、通信端末の通信方式に応じてSMS−R40からIP−SM−GW50、MSC61、SGSN62のいずれかにSMS(メッセージ本文)を転送する構成について説明したが、転送先の装置までの転送経路は特に限定されない。すなわち、SMS−R40から転送先装置までメッセージ本文を転送する間に、他の装置を経由してもよく、例えば、IP−SM−GW50を必ず経由する構成としてもよい。