【文献】
Xiangxin Liu, et al.,Characterizing Thin Film PV Devices with Low-Incidence Surface Milling by Focused Ion Beam,2011 37th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,2011年,001695-001699
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム・システムは、集積回路、磁気記録ヘッド、フォトリソグラフィ・マスクなど、マイクロファブリケーション技法によって製造されるデバイスの製造、修復および検査を含むさまざまな用途で使用されている。本発明の譲受人であるFEI Companyから販売されているDualBeam機器などのデュアル・ビーム・システムは一般に、ターゲットに対する最小限の損傷で高分解能画像を提供することができる走査電子顕微鏡(SEM)と、基板を改変する目的および画像を形成する目的に使用することができる集束または整形ビーム・システム(FIB)などのイオン・ビーム・システムとを含む。このようなデュアル・ビーム・システムは例えば、参照によってその全体が本出願に組み込まれるHill他の米国特許第7,161,159号明細書に記載されている。いくつかのデュアル・ビーム・システムでは、FIBが、垂直から、52度などのある角度だけ傾けられており、電子ビーム・カラムが垂直に向けられている。他のシステムでは、電子ビーム・カラムが傾けられており、FIBが垂直に向けられているかまたはやはり傾けられている。試料がその上に取り付けられたステージは一般に傾けることができ、いくつかのシステムではステージを最大約60度まで傾けることができる。
【0003】
デュアル・ビーム・システムの一般的な用途は、マイクロファブリケーション・プロセスのトラブルシューティング、調整および改良のために、マイクロファブリケーション中の欠陥および他の不良を分析することである。欠陥分析は、設計検証診断、製造診断および微小回路の研究開発の他の局面を含む、半導体製造の全ての局面において有用である。デバイスの形状寸法が縮小し続け、新たな材料が導入されると、現在の半導体の構造的複雑さは指数関数的に増大する。これらの新たな材料によって生み出される構造の多くは内に向かっており、先行する層に入り込んでいる。したがって、欠陥およびデバイス不良の構造的原因はしばしば、表面よりもかなり下に隠れている。
【0004】
「デプロセッシング(deprocessing)」は、構造体を除去してその下の構造体を露出させることを意味する。デプロセッシングは、埋没した構造体の特性を評価するために時々必要となる。現行のデプロセッシング技法はデータを送達することに集中し、構造体に平面的にアクセスする。すなわち、画像化、プロービング(probing)または他の位置特定(localization)技法を可能にするために、デバイス表面と直交する表面を生み出すようにミリングが工夫される。同様に、ウェーハのクリービング(cleaving)または平行ラッピング(parallel−lapping)デプロセッシングも、平面情報/構造体へのアクセスを生み出す。現行の画像化技法および故障分離技法(マイクロプロービング、走査−静電容量顕微鏡法、電圧−コントラスト画像化)は、この平面にアクセスして、故障をさらに分離するための構造データ/度量衡データまたは電気的情報を提供する。
【0005】
したがって、欠陥分析では、断面を形成し、欠陥を3次元的に観察することがしばしば必要となる。3次元欠陥分析を実行することができる優れたシステムは、これまでにも増して重要である。これは、埋もれた欠陥および/またはより小さな欠陥の数が増えるためであり、さらに、多くの場合に化学分析が必要となるためである。さらに、欠陥の特性を評価し、不良を分析する構造診断解決策は、より信頼性の高い結果をより短い時間で提供する必要があり、このことは、設計者および製造業者が、複雑な構造不良を確信をもって分析し、材料の組成および欠陥の原因を理解し、歩留りを高めることを可能にする。
【0006】
加えて、先行技術の集積回路内の大部分の関心の領域は、通常は平らな領域内の集積回路(IC)デバイスの小体積に限られている(すなわち、SRAMまたはNANDフラッシュ・セルは明瞭なXおよびY位置を占有し、Z方向に小体積のアクティブ領域がある)が、進化している新技術は、3次元内の関心の体積VOI(volume−of−interst)のより明瞭な分離を必要としている。アクティブ領域は基板ウェーハ表面だけに限られているため、現行技術の関心領域ROI(region of interst)の識別は一般に、X/Yビット・アドレス、ダイ上のゲートX/Yアドレス、またはいくつかの他の本質的なX/Y位置特定データを含む。新興の3D IC製造技術は、アクティブ領域をZ方向の1つの平面だけに限定しない。アクティブ領域は、能動素子の多くのレベルを有する。X、YおよびZ座標情報が必要である。
【0007】
図1は、デュアル・ビームSEM/FIBシステムを使用して断面を露出させる、先行技術において知られている方法を示す。試料102内の特徴部分を分析するためには一般に、観察しようとする隠れた特徴部分を有する試料材料の上面112に対して直角な断面または面108を、集束イオン・ビーム(FIB)によって露出させる。SEMビーム軸106の角度は一般にFIBビーム軸104に対して鋭角であるため、この面の前にある試料の一部を除去して、SEMビームがこの面に到達してこの面を画像化することができるようにすることが好ましい。この先行技術の方法の1つの問題は、トレンチの特性を適正に評価するのに十分なサイズの一組の試料を形成するためには一般に、トレンチの長さに沿って多数の断面を露出させなければならないことである。
【0008】
FIBがあけている開口に対して相対的に深い特徴部分に対して、この先行技術の方法は、信号対雑音比が低いという欠点を有する。この状況は、深い穴の中へフラッシュライトを当てて穴の側面の画像を形成しようとしている状況に似ている。例えば、典型的な銅相互接続トレンチの幅は5〜8ナノメートル(nm)、深さは120ナノメートルである。SEMからの電子の多くはトレンチ内に留まり、検出器までは後方散乱しない。
【0009】
他の欠点、例えば欠陥分析用途における他の欠点は、欠陥を見つけるためには、特徴部分の長さに沿って多くの断面を作製しなければならないことである。これは時間のかかるプロセスになり得る。欠陥が断面間にある場合には欠陥を見逃すことがあり、またはより多くの断面を作製しなければならず、検証プロセスの時間が増大する。
【0010】
分析のため、イオン・ビームを使用して、3D IC構造体または3次元ナノスケール構造体の一部分を露出させるときには、関心の特徴部分のX−Y座標を精確に決定することだけではなく、Z座標、加工物表面からの特徴部分の深さを決定することも不可欠であることがある。先行技術の技法は、ナノスケールの特徴部分を処理するのに十分に正確であるとは言えない。
【0011】
試料加工物上の関心の特徴部分の位置を特定する目的にしばしば基準マークが使用される。1つの向きのFIBを用いて試料上に形成された基準マークは、別の傾けられた向きで観察するときの画像化基準用および後続のFIBミリング基準用の最適な特徴部分とはならない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/710,931号は、直交する向きのFIBを使用して一連の断面を露出させる代わりに視射角ミリング技法を利用する試料分析方法を開示している。この視射角ミリング技法では、試料表面に対して非常に小さな角度、好ましくは試料表面に対して10°以下の角度にFIBが向けられる。試料表面に対してこのような小さな角度にイオン・ビームが向けられるため、ミリングによって除去される材料の量はイオン源の反対側の方が大きい。すなわち、露出した表面は、イオン源から遠い方の試料の端部が、イオン源に近い方の端部よりも深くミリングされている。これによって、露出した表面は、元の試料表面に対して下向きの傾斜を有する。傾斜した試料表面を露出させた後、その露出した面を上方から下向きに、例えば電子ビームを用いて画像化することができる。提供される構造情報に関して言えば、この露出した傾斜面の画像は本質的に、平面図と複数の断面図とを結合したものになる。
【0021】
図2は、試料222の上面をある視射角でミリングしているイオン・ビームを示す。
図2の実施形態では、デュアル・ビームSEM/FIBなどのイオン・ビーム・システム内の傾いた試料ステージ224上に取り付けられた予め45°に傾けられた標準試料台202上に、試料222が取り付けられている。電子ビームおよびイオン・ビームは、電子ビーム250が、傾けられていない試料ステージに対して垂直となり、イオン・ビーム218の角度が約52°になるような向きに向けられている。他の実施形態では、予め傾けられた試料台202が使用されず、試料の傾きが、試料ステージの傾きおよび/またはカラムの傾きによって調節される。
【0022】
本発明の実施形態によれば、この視射角ミリング技法を使用して、関心の特徴部分の連続平面断面図(successive planar cross section view)を、深さを増大させて形成する。次いで、それらの連続平面断面図を再構成して、深さが増大する方向の関心の特徴部分の3次元モデル(「3D」)を形成する。本発明の実施形態は、スルー・シリコン・バイア(through−silicon via:TSV)などの実質的に同一の隣接する複数の特徴部分の連続平面断面図を形成するのに特によく適している。視射角ミリングは、材料がビーム源から遠いほど、その材料を深くまで除去する。実質的に同一の隣接する複数の特徴部分に関して言えば、ビーム源から最も遠い特徴部分は、ビーム源により近い特徴部分よりも深くまでミリングされる。視射角ミリングの角度は、隣接する複数のそれぞれの特徴部分上に形成された複数の断面を再構成して、1つの関心の特徴部分の3次元モデルを形成することができるように選択することができる。すなわち、この3Dモデルは、複数回のミリング操作を実行して、1つの関心の特徴部分の複数の断面を次第に深さを深くして逐次的に形成し、それらを再構成して3Dモデルとするのではなしに、1回のミリング操作で作成することができ、それによって処理時間を大幅に短縮する。
【0023】
図3は、視射角ミリング操作を実行した後の、実質的に同一の隣接する複数の特徴部分302〜310を有する試料加工物222の側面図を示す。イオン・ビーム源220から集束イオン・ビーム218が、試料加工物222の上面に対してある視射角で導かれている。その結果、特徴部分310は、特徴部分304よりも深くまでミリングされている。隣接する複数の特徴部分302〜310の断面の画像を形成するために、電子ビーム源252から電子ビーム250が、試料加工物222の上面に対してほぼ直角に導かれている。半導体製造プロセスは一般に、同じ形状を有するように設計された近くの構造体が実際に本質的に同一となるように十分に制御されていることを本出願の出願人は認めた。本質的に同一の複数の特徴部分の異なる深さにおける測定値を結合することによって3次元画像を形成することは、単一の特徴部分をミリングして、その単一の特徴部分を異なる深さにおいて複数回測定するよりもはるかに速い。
【0024】
隣接する複数の特徴部分302〜310は実質的に同一であり、隣接する複数の特徴部分302〜310の断面は、それらの特徴部分に沿ったさまざまな深さのところに作られているため、それらの特徴部分のそれらの断面の画像をコンピュータ・ソフトウェアによって組み立てて、それらの特徴部分のうちの1つの特徴部分に近い3Dモデルを形成することができる。すなわち、特徴部分302、304、306、308および310の直径を、傾斜した表面に露出した異なる深さで測定する。
図3Aは、穴304、306、308および310ならびに異なる深さからの測定値を使用して形成された「仮想の」穴312を示す。仮想の穴312は、4つの測定値から形成された例として示されているが、同一の構造体からの測定値の実際の数はそれよりもはるかに多くなり得る。垂直解像度(vertical resolution)は、ビーム218が加工物を切削する角度および同一の特徴部分間の距離に依存する。すなわち、角度が浅いほど、隣接する構造体の測定値間の深さの差は小さくなる。より高い垂直解像度が必要な場合には、同一の特徴部分からの3次元再構成プロセスを、追加のミリング操作と組み合わせることができる。例えば、異なる深さに露出した同一の構造体からの測定値が、深さ50nmごとの測定値を提供する場合には、最初の測定の後に、ビーム218を用いて傾斜した表面を25nmミリングし、一連の別の測定を実行することができる。この第2の一連の測定値は、第1の一連の測定値とは異なる深さの測定値となる。例えば、第1の一連の測定値は、深さ100nm、150nm、200nmなどからの測定値とすることができる。ミリング後の第2の一連の測定値は、125nm、175nm、225nmなどの深さからの測定値とすることができる。これらの2組の測定値を結合することによって垂直高さ25nmごとの測定値が提供され、それらの測定値を結合して1つの仮想特徴部分とすることができる。特徴部分は穴だけに限定されず、反復される任意の特徴部分とすることができる。これらのステップは、本質的に、浅い角度で加工物をミリングし、ミリングされた面に沿った異なる深さのところに露出した実質的に同一の特徴部分の寸法を測定することであり、次いで、異なる特徴部分の測定値を結合して、単一の仮想特徴部分の異なる深さにおける寸法を決定する。任意選択で、追加のミリング・ステップおよび追加の測定ステップを実行して、異なる深さにおける追加の測定値を提供し、それによって仮想特徴部分の測定値の垂直解像度を向上させる。
【0025】
図4は、視射角ミリング操作を実行した後の、実質的に同一の隣接する複数の特徴部分302〜310を有する試料加工物222の上面図を示す。
【0026】
ミリングの角度ならびに隣接する複数の特徴部分の形状寸法および間隔によっては、3Dモデルに対して十分な解像度を提供するのに十分な断面を得るために、数回の視射角ミリングを深さを増大させて実行する必要があることがある。例えば、ミリングの角度があまりに急な場合、もしくは隣接する複数の特徴部分が水平方向にあまりに離れている場合、またはその両方である場合には、隣接する特徴部分の断面が垂直方向に離れすぎていることがある。すなわち、隣接する特徴部分の断面が、深さに関して十分に接近していないことがあり、それらの2つ断面間に垂直方向の隔たりが存在することがある。後続の視射角ミリング操作を実行して、一連の第2の断面画像をより深い位置で得ることができる。
【0027】
いくつかの半導体用途では、隣接する複数の特徴部分が、10ナノメートル(nm)よりも小さな寸法を有することがある。その結果、後続の視射角ミリング操作が、直前の視射角ミリング操作よりも1〜2nmしか深くないことがある。正確な断面および正確な3Dモデルを得るためには、このミリング操作の正確な配置が決定的に重要である。しかしながら、FIBは視射角で導かれるため、関心の特徴部分の画像を使用してビームを正確に配置することは難しい。試料加工物上の特徴部分の位置を特定する目的には一般に基準マークが使用される。しかしながら、試料加工物上の特徴部分の位置を特定する目的に使用される典型的な基準マークは、ビームによって上方から下向きに画像化するため、試料加工物の上面に置かれる。試料加工物の上面に置かれた基準マークは、視射角ミリング操作に関していくつかの欠点を有する。基準マークは一般に試料加工物の上面に置かれる。FIBの視射角は、ビームを配置するためにFIBを用いて試料加工物の上面の基準マークを観察することを難しくする。さらに、後続の視射角ミリング操作は、直前の視射角ミリング操作よりも1〜2nmしか深くないことがあるため、試料加工物の上面の基準マークは、ミリングされた表面の底からあまりに遠く、ビームを正確に配置するための基準を提供することができない可能性がある。
【0028】
本発明の実施形態によれば、FIBに対する最終的なミリング位置に対してより垂直な向きに基準マークが生成される。これを実行するためには、最終的なミリングの向きに対して
垂直/直角に近いミリングされた面を形成し、次いで試料をミリング位置に向け、ミリングされた面に基準マークを形成
する必要がある。
図5は、最終的なミリングの向きに対して垂直/直角に近い面502をミリングするための向きに向けられた試料加工物222の側面図を示す。試料加工物222は、試料ステージを180度回転させ、視射角ミリング操作を実行するときのイオン・ビーム入射角に対してイオン・ビーム218が実質的に直角または垂直になるようにステージを傾けることによって、この向きに置くことができる。面502も、視射角ミリング操作を実行するときのイオン・ビーム入射角に対して実質的に直角または垂直であり、このことが、ビーム画像化およびパターン形成時の基準用のより高品質の基準マークを可能にする。次いで、面502に基準マークをミリングする。
【0029】
あるいは、面502上に3次元基準マークを形成することもできる。参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/112,981号は、試料の表面よりも上方の3次元内に検出可能な程度に延びる3次元基準マークを開示している。この3次元(「3D」)基準マークは、異なる角度から同時に認識することができる単一の基準点である。この3D基準マークは、関心のエリアの近くの試料上に材料の塊を付着させ、次いで頂部および側部に固有のパターンをミリングすることによって構築される。それらのパターンは、背景の塊材料とは異なる輝度値およびコントラスト値を有し、画像認識を可能にする。この基準マークは、1つまたは複数のビームから、ならびにステージのさまざまな傾き位置および回転位置から認識することができる。この3D基準マークは、ほぼ垂直な平面上での画像認識を使用してFIB切削の位置決めを可能にする。例えば、一段高い白金パッドの頂部および側部に基準マークを切削し、この視射角からのイオン・ビーム画像認識を可能にすることができる。
【0030】
図6は、面502上に3次元基準マーク602が形成された試料加工物222の側面図を示す。3D基準マーク602は、電子ビーム250またはイオン・ビーム218および公知の付着法を使用して面502上に材料を付着させることによって形成される。3D基準マーク602は、基準マークにエッチングされた、基準マーク602のコントラストおよび可読性(readability)を向上させる1つまたは複数のパターン604を含むことができる。基準マーク602はイオン・ビーム218に対して実質的に垂直であるため、基準マーク602を用いてイオン・ビーム218をより精確に導くことができる。さらに、基準マーク602およびパターン604は、視射角ミリング操作を用いてミリングされている表面により近く、上面基準マークよりも改良された基準点を提供する。
【0031】
図7は、視射角ミリングに適した基準マークを形成する、本発明の実施形態に基づく諸ステップを示す流れ
図700である。この方法は開始ブロック702から始まる。ステップ704で、試料にFIBを導くことによって、視射角ミリング操作中のFIBに対して実質的に垂直な面が試料上に生成されるように、試料を回転させ、傾ける。ステップ706で、試料にFIBを導いて、視射角ミリング操作中のFIBに対して実質的に垂直な面を試料上に生成する。ステップ708で、視射角ミリング操作中のFIBに対して実質的に垂直な試料上の面に基準マークを付着させまたはエッチングする。コントラスト/認識を向上させるため、付着させた基準マークを、パターンを有するようにエッチングすることもできる。ステップ710で、試料加工物にFIBを導くことによって視射角ミリング操作が実行されるように、試料を回転させ、傾ける。
【0032】
図8は、本発明の1つまたは複数の実施形態を実現する目的に使用される典型的なデュアル・ビームFIB/SEMシステム800を示す。集束イオン・ビーム・システム800は、上部ネック部812を有する排気された囲い811を含み、上部ネック部812内にはイオン源814および集束カラム816が位置し、集束カラム816は、引出し電極および静電光学系を含む。イオン源814を出たイオン・ビーム818は、カラム816を通過し、820に概略的に示されている静電偏向手段間を通り抜けて、下室826内の可動試料ステージ824上に配置された、例えば半導体デバイスを含む試料822に向かって進む。イオン・ポンプ828を使用してネック部812を排気することができる。室826は、真空コントローラ832の制御の下、ターボ分子および機械ポンピング・システム830によって排気される。この真空システムは、室826に、約1×
10-7トルから5×
10-4トルの間の真空を提供する。エッチング支援ガス、エッチング遅延ガスまたは付着前駆体ガスを使用する場合、室のバックグラウンド圧力は典型的には約1×
10-5トルまで上昇することがある。
【0033】
イオン源814と、イオン・ビーム818を形成し下方へ導く集束カラム816内の適当な電極とに高圧電源834が接続される。パターン発生器838によって提供される所定のパターンに従って動作する偏向コントローラおよび増幅器836が偏向板820に結合され、それによって、対応するパターンを試料822の上面に描くようにビーム818を制御することができる。いくつかのシステムでは、当技術分野ではよく知られているように、偏向板が、最後のレンズの前に配置される。
【0034】
イオン源814は一般に、ガリウムの金属イオン・ビームを提供するが、マルチカスプ(multicusp)イオン源、他のプラズマ・イオン源など、他のイオン源を使用することもできる。イオン・ミリング、強化されたエッチングもしくは材料付着によって試料822を改変するため、または試料822を画像化するために、イオン源814を一般に、試料822の位置における幅が1/10ミクロン未満のビームに集束させることができる。画像化のために2次イオンまたは2次電子の放出を検出する目的に使用される荷電粒子増倍器840が増幅器842に接続されている。増幅された信号は、信号処理ユニット843によってディジタル信号に変換され、信号処理にかけられる。その結果生成されるディジタル信号は、加工物822の画像をモニタ844上に表示するため
に使用される。
【0035】
FIBシステム800はさらに、走査電子顕微鏡841と電源および制御ユニット845を備える。陰極852と陽極854の間に電圧を印加することによって、陰極852から電子ビーム850が放出される。電子ビーム850は、集光レンズ856および対物レンズ858によって微細なスポットに集束する。電子ビーム850は、偏向コイル860によって試験体上を2次元的に走査される。集光レンズ856、対物レンズ858および偏向コイル860の動作は電源および制御ユニット845によって制御される。
【0036】
電子ビーム850を、下室826内の試料ステージ824上にある加工物822の表面に集束させることができる。電子ビーム中の電子が加工物822の表面に衝突すると、2次電子が放出される。この2次電子は、増幅器842に接続された2次電子検出器840または後方散乱電子検出器862によって検出される。増幅された信号は、信号処理ユニット843によってディジタル信号に変換され、信号処理にかけられる。その結果生成されるディジタル信号は、加工物822の画像をモニタ844上に表示するために使用される。
【0037】
ガス蒸気を導入し試料822に向かって導くためにガス送達システム846が下室826内へ延びている。本発明の譲受人に譲渡されたCasella他の「Gas Delivery Systems for Particle Beam Processing」という名称の米国特許第5,851,413号明細書は、適当なガス送達システム246を記載している。別のガス送達システムが、やはり本発明の譲受人に譲渡されたRasmussenの「Gas Injection System」という名称の米国特許第5,435,850号明細書に記載されている。
【0038】
試料ステージ824上に試料822を挿入するため、および内部ガス供給リザーバが使用される場合には内部ガス供給リザーバの整備作業のために、扉870が開かれる。試料ステージ824は加熱または冷却されていることがある。システムが真空状態にある場合に開かないように、この扉はインタロックされる。イオン・ビーム818にエネルギーを与え集束させるため、高電圧電源は、イオン・ビーム・カラム816内の電極に適当な加速電圧を印加する。デュアル・ビームFIB/SEMシステムは例えば、本出願の譲受人である米オレゴン州HillsboroのFEI Companyから販売されている。
【0039】
図9は、試料分析を実行する、本発明の1つまたは複数の実施形態に基づく諸ステップを示す流れ
図900である。この方法は端部902から始まる。ステップ904で、試料222の少なくとも一部分をミリングするために試料222の第1の表面にイオン・ビーム218を導く。イオン・ビームを配置するための基準として基準マーク602を使用する。好ましい一実施形態では、この第1の表面が試料222の上面であり、イオン・ビーム218が、この上面に対してほぼ直角に導かれるのではなしに、ある視射角で上面の縁の近くに導かれる。ステップ906で、イオン・ビーム218が第1の表面をミリングして試料222の第2の表面を露出させる。この第2の表面では、イオン源214から遠い方の第2の表面の端部が、イオン源814に近い方の第1の表面の端部よりも、基準の深さに対してより深い深さまでミリングされる。すなわち、露出した第2の表面の長さに沿って、ビーム源から遠い方の第2の表面の端部が、ビーム源に近い方の第2の表面の端部よりも深くミリングされる。この深さの差は、第1の表面に対するビームの角度に起因する。この角度は視射角であるため、第2の表面全体に沿ったこの深さの差は、分析対象の特徴部分の深さと同じだけあればよい。ステップ908で、第2の表面の画像を形成するために第2の表面にSEM841から電子ビーム250を導く。ステップ910で、電子ビームと第2の表面との間の相互作用を検出することによって、隣接する複数の関心の特徴部分の断面の画像を形成する。例えば、2次電子検出器240または後方散乱電子検出器862を使用して、試料222の第2の表面に電子ビーム250が導かれたときに放出された2次電子から、それらの画像を形成することができる。ステップ912で、ステップ910で形成した画像を組み立てて、関心の特徴部分の3次元モデルを形成する。
【0040】
斜めのFIBを使用して材料を除去するときには、所与の位置における深さを目標にすることが有用である。表面の1つの位置からの距離を使用して、ミリングの角度に基づく目標の深さまで材料を除去することができる。すなわち、集束イオン・ビームでのミリング角度の結果の既知の角度を用いて、露出した面の深さの位置を、表面マーカ/基準マークからのその距離によって、位置の関数として計算することができる。この計算を使用して、斜めにミリングするときに目標の深さの所与の点をFIBが横切るように、FIBを配置することができる。
【0041】
図10は、加工物の上面1012に傾斜した表面1004が切削された3D集積回路の一部分1002を示す。集束イオン・ビームによって表面1004が切削された角度θは精確に分かっている。次いで、特徴部分1020の深さを、傾斜の始まりからの水平距離
X1を使用して正確に決定することができる。三角法(trigonometry)から、深さZは、θの正接に
X1を掛けたものに等しい。表面1004と表面1012の間の角度が小さいために、傾斜の始まりを示す
線1008の位置を精確に特定することが難しいことがあるため、
X1を決定することが難しいことがある。線1008を基準の特徴部分として使用する代わりに、基準マーク1010などの基準の特徴部分を上面にミリングし、それを使用して
X2を決定することができ、次いで、
X2を使用して、基準マークと線1008の間の既知の距離から
X1を決定することができる。関心の特徴部分の近くの既存の特徴部分を見つけ、それを基準として使用することもできる。基準の特徴部分は、ステージを動かすことなしに電子ビームまたはイオン・ビームが関心の特徴部分と基準の特徴部分の両方を画像化することができる関心の特徴部分に十分に近いものであることが好ましい。「水平距離」は、上面1012の平面内の、線1008に対して垂直な方向の距離であって、上面の平面に対して垂直な上面の平面上への特徴部分の射影に対応する点までの距離を意味する。
【0042】
図11は、構造体を露出させ、露出させた構造体の、表面からの深さを決定する方法を説明する。ステップ1102で、加工物上の関心領域の位置を特定する。例えば、関心領域の位置は例えば、ウェーハ座標系内の関心領域の座標を提供するコンピュータ支援設計(CAD)データを使用して特定することができる。任意選択のステップ1104で、関心領域に隣接した位置に基準マークをミリングする。ステップ1106で、浅いトレンチを、好ましくは集束イオン・ビームを用いてミリングして、埋没した特徴部分を露出させる。このトレンチは、基準マークまたは他の基準の特徴部分から特定の距離のところにミリングすることが好ましい。いくつかの実施形態では、トレンチ位置を、局所基準マークを使用せずにウェーハ座標を使用して単独で決定するが、局所基準マークの使用は正確さを増大させる。
【0043】
ステップ1106でトレンチをミリングした後、ステップ1108で、トレンチの始まりと基準マークの間の距離
X3を測定することによって、基準マークに対するトレンチの位置
X3を確認する。これは例えば、基準マークおよびトレンチの始まりをSEMを使用して上方から下向きに観察することによって実行することができ、または試料を傾けて、トレンチの別の斜めの図を提供することができる。傾斜した表面上で特徴部分1020が観察された場合、ステップ1110で、基準マークから特徴部分までの距離を、X−Y平面内で、Y軸に対して平行に測定することによって、その特徴部分の深さを正確に決定することができる。前述のとおり、次いで、特徴部分の深さを、θの正接に
X1を掛けたものとして計算することができる。
X1は、基準マークから特徴部分までの距離
X2から、基準マークと縁1008の間の距離を引いたものに等しい。ステップ1112で、ステップ1110での深さ決定を使用した既知の深さで、追加の処理を実行することができる。
【0044】
所望の深さで追加のミリングまたは他の処理を実行するために、本発明の実施形態を使用して深さを示すことができる。すなわち、基準マークからの水平距離を使用して、露出した特徴部分の深さを決定することができ、または追加の処理を実行する深さを決定することができる。
【0045】
本発明の実施形態は、荷電粒子ビームを用いて試料を分析する方法を対象とする。この方法は、試料の第1の表面に向かって荷電粒子ビームを導くこと、試料の第2の表面を露出させるために第1の表面をミリングすることであり、イオン源から遠い方の第2の表面の端部が、イオン源に近い方の第1の表面の端部よりも、基準の深さに対してより深い深さまでミリングされること、第2の表面の1つまたは複数の画像を形成するために、第2の表面に向かって荷電粒子ビームを導くこと、電子ビームと第2の表面との間の相互作用を検出することによって、隣接する複数の関心の特徴部分の断面の画像を形成すること、および、断面の画像を組み立てて、関心の特徴部分のうちの1つまたは複数の関心の特徴部分の3次元モデルにすることを含む。このミリングは、イオン・ビームによって実行することができる。これらの画像は、電子ビームを用いて形成することができる。
【0046】
この方法は、試料内において第2の表面よりも深い第3の表面を露出させるために第2の表面をミリングすること、第3の表面の1つまたは複数の画像を形成するために、第3の表面に向かって荷電粒子ビームを導くこと、電子ビームと第3の表面との間の相互作用を検出することによって、隣接する複数の関心の特徴部分の断面の画像を形成することを含む。第2の表面から形成された画像および第3の表面から形成された画像が、関心の特徴部分のうちの1つまたは複数の関心の特徴部分の3次元モデルを形成すると仮定することができる。
【0047】
本発明の実施形態はさらに、試料上に基準マークを形成する方法であって、第1のミリング操作のために、第2の角度と実質的に直交する第1の角度で荷電粒子ビームが試料に導かれるように試料を配置すること、荷電粒子ビームに対して実質的に平行な試料上の面をミリングするために、試料に荷電粒子ビームを導くこと、荷電粒子ビームに対して実質的に平行な試料上の面をミリングすること、試料のミリングされた面に基準マークを形成すること、および第2のミリング操作のために、第2の角度で荷電粒子ビームが試料に導かれるように試料を配置することを含み、第2の角度が、試料の表面に対して10度以下である方法を対象とする。いくつかの実施形態では、第2の角度が、試料の表面に対して5度以下である。他の実施形態では、第2の角度が、試料の表面に対して1度以下である。
【0048】
本発明の実施形態はさらに、微小な(microscopic)3次元構造体を分析する方法であって、加工物上の関心領域の位置を特定すること、加工物に特定の角度でトレンチを切削し、トレンチが関心の特徴部分を露出させること、トレンチの縁と関心の特徴部分の間の水平距離を決定すること、およびこの特定の角度および水平距離から、加工物の表面の平面からの関心の特徴部分の深さを決定することをさらに含む方法を対象とする。トレンチの縁と関心の特徴部分の間の水平距離を決定することは、基準マークと関心の特徴部分の間の水平距離を決定すること、および基準マークとトレンチの縁の間の水平距離を決定することを含むことを、この方法は含むことができる。この方法は、集束イオン・ビームを使用して、関心領域に隣接した位置に基準マークをミリングすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、基準マークが、加工物上の既存の特徴部分である。この方法は、水平距離から決定された特定の深さにおいて加工物を処理することを含むことができる。
【0049】
本発明の実施形態はさらに、本明細書に記載されたいずれかの方法を実行するシステムであって、集束イオン・ビーム・システムと、電子顕微鏡と、試料を支持する試料ステージとを備えるシステムを対象とする。
【0050】
本発明の好ましい実施形態はさらに、粒子ビームを使用して試料を画像化するために、FIB、SEMなどの粒子ビーム装置を利用する。試料を画像化するために使用されるこのような粒子は試料と本来的に相互作用し、その結果、試料はある程度、物理的に変形する。さらに、本明細書の全体を通じて、「分析する」、「計算する」、「決定する」、「測定する」、「生成する」、「検出する」、「形成する」などの用語を利用した議論は、コンピュータ・システムまたは同様の電子装置の動作および処理に関し、そのコンピュータ・システムまたは同様の電子装置は、コンピュータ・システム内の物理量として表されたデータを操作し、そのデータを、その同じコンピュータ・システム内または他の情報記憶装置、伝送装置もしくは表示装置内の、物理量として同様に表された他のデータに変換する。
【0051】
本発明は幅広い適用可能性を有し、上記の例において説明し、示した多くの利点を提供することができる。本発明の実施形態は、具体的な用途によって大きく異なる。全ての実施形態が、これらの全ての利点を提供するわけではなく、全ての実施形態が、本発明によって達成可能な全ての目的を達成するわけでもない。本発明を実施するのに適した粒子ビーム・システムは例えば、本出願の譲受人であるFEI Companyから市販されている。
【0052】
以上の説明の多くは半導体ウェーハを対象としているが、本発明は、適当な任意の基板または表面に対して使用することができる。さらに、本明細書において、用語「自動」、「自動化された」または類似の用語が使用されるとき、これらの用語は、自動プロセスもしくは自動ステップまたは自動化されたプロセスもしくは自動化されたステップの手動による開始を含むものと理解される。以下の議論および特許請求の範囲では、用語「含む(including)」および「備える(comprising)」が、オープン・エンド(open−ended)型の用語として使用されており、したがって、これらの用語は、「...を含むが、それらだけに限定されない(including,but not limited to)」ことを意味すると解釈すべきである。用語「集積回路」は、マイクロチップの表面にパターン形成された一組の電子構成部品およびそれらの相互接続(ひとまとめにして内部電気回路要素)を指す。用語「半導体チップ」は、総称的に集積回路(IC)を指し、この集積回路(IC)は、半導体ウェーハと一体でも、またはウェーハから切り離されていても、または回路板上で使用するためにパッケージングされていてもよい。本明細書では用語「FIB」または「集束イオン・ビーム」が、イオン光学部品によって集束させたビームおよび整形されたイオン・ビームを含む、平行イオン・ビームを指すために使用される。
【0053】
本明細書で特に定義されていない場合、その用語は、その通常の一般的な意味で使用されることが意図されている。添付図面は、本発明の理解を助けることが意図されており、特に明記しない限り、一律の尺度では描かれていない。
【0054】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の
範囲から逸脱することなく、本明細書に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。