特許第6598685号(P6598685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598685
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/22 20060101AFI20191021BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20191021BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G01B21/22
   E02F9/26 B
   E02F9/20 N
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-630(P2016-630)
(22)【出願日】2016年1月5日
(65)【公開番号】特開2017-122602(P2017-122602A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】泉川 岳哉
(72)【発明者】
【氏名】守本 崇昭
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−61024(JP,A)
【文献】 特開平9−21605(JP,A)
【文献】 特開平2−130410(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2511677(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00−21/32
E02F 3/42−3/43
E02F 3/84−3/85
E02F 9/00−9/28
G01C 19/00−21/36
G01C 23/00−25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられる角速度センサと、
旋回操作情報と前記角速度センサの出力とに基づいて前記上部旋回体の旋回角度を算出する演算処理装置と、
前記上部旋回体に取り付けられる地磁気センサと、を備え
前記演算処理装置は、前記地磁気センサの出力を用いて旋回角度を算出す
ショベル。
【請求項2】
前記演算処理装置は、前記旋回操作情報に基づいて前記上部旋回体が旋回していないと判定した場合、前記角速度センサの出力に基づく旋回角度の算出を中止する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記旋回操作情報は、旋回操作レバーのパイロット圧を含む、
請求項1又は2に記載のショベル。
【請求項4】
前記演算処理装置は、前記地磁気センサの出力が所定の条件を満たしている場合に、前記地磁気センサの出力を用いて旋回角度を算出する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のショベル。
【請求項5】
前記演算処理装置は、前記上部旋回体が旋回していない場合に、前記地磁気センサの出力を用いて旋回角度を算出する、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項6】
前記演算処理装置は、前記下部走行体に対する前記上部旋回体の旋回角度を算出する、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回角度を導出する機能を備えたショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
旋回体に取り付けられたジャイロセンサの出力に基づいて走行体に対する旋回体の旋回角度を導出するショベルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、旋回体及び走行体のそれぞれに取り付けられた一対の地磁気センサの出力差から走行体に対する旋回体の旋回角度を導出するショベルが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−61024号公報
【特許文献2】特開平9−21605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成は、ジャイロセンサの出力である角速度を積算して旋回角度を算出するため、算出した旋回角度にはジャイロセンサ出力におけるノイズが積算されて大きな誤差が生じるおそれがある。また、特許文献2の地磁気センサは、周囲の磁場の影響を受け易いため、旋回角度を安定的に出力できないおそれがある。
【0006】
上述に鑑み、より小さい誤差で安定的に旋回角度を導出できるショベルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられる角速度センサと、旋回操作情報と前記角速度センサの出力とに基づいて前記上部旋回体の旋回角度を算出する演算処理装置と、前記上部旋回体に取り付けられる地磁気センサと、を備え、前記演算処理装置は、前記地磁気センサの出力を用いて旋回角度を算出する。

【発明の効果】
【0008】
上述の手段により、より小さい誤差で安定的に旋回角度を導出できるショベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係るショベルの側面図である。
図2図1のショベルの駆動系の構成を示す図である。
図3】マシンガイダンス装置の構成例を示すブロック図である。
図4】旋回角度導出処理のフローチャートである。
図5】旋回操作が断続的に行われたときの各種物理量の時間的推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の実施例に係るショベル(掘削機)の側面図である。ショベルの下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載される。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられる。エンドアタッチメントとして、法面用バケット、浚渫用バケット等が用いられてもよい。
【0011】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例として掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられる。掘削アタッチメントには、バケットチルト機構が設けられてもよい。
【0012】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出する。本実施例では、ブーム角度センサS1は水平面に対する傾斜を検出して上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出する加速度センサである。
【0013】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出する。本実施例では、アーム角度センサS2は水平面に対する傾斜を検出してブーム4に対するアーム5の回動角度を検出する加速度センサである。
【0014】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出する。本実施例では、バケット角度センサS3は水平面に対する傾斜を検出してアーム5に対するバケット6の回動角度を検出する加速度センサである。掘削アタッチメントがバケットチルト機構を備える場合、バケット角度センサS3はチルト軸回りのバケット6の回動角度を追加的に検出する。
【0015】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ等であってもよい。
【0016】
上部旋回体3にはキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載される。また、上部旋回体3には機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、カメラS6、通信装置S7、測位装置S8、地磁気センサS9が取り付けられる。
【0017】
機体傾斜センサS4は水平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出する。本実施例では、機体傾斜センサS4は上部旋回体3の前後軸及び左右軸回りの傾斜角を検出する2軸加速度センサである。なお、上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベルの旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。機体傾斜センサS4は、3軸加速度センサであってもよい。
【0018】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を導出する。本実施例では、旋回角速度センサS5はジャイロセンサである。
【0019】
カメラS6はショベルの周辺の画像を取得する撮像装置である。本実施例では、カメラS6は上部旋回体3に取り付けられる1又は複数台のカメラである。
【0020】
通信装置S7は、ショベルと外部との間の通信を制御する装置である。通信装置S7は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の測量システムとショベルとの間の無線通信を制御する。ショベルは、通信装置S7を用いることで無線通信を介して目標施工面に関する情報等を含む設計データを取得できる。但し、ショベルは、半導体メモリ等を用いて設計データを取得してもよい。
【0021】
測位装置S8は、ショベルの位置及び向きを測定する装置である。本実施例では、測位装置S8は、電子コンパスを組み込んだGNSS受信機であり、ショベルの存在位置の緯度、経度、高度を測定し、且つ、ショベルの向きを測定する。
【0022】
地磁気センサS9は地磁気を検出するセンサである。本実施例では、地磁気センサS9は3軸地磁気センサである。地磁気センサS9は、上部旋回体3に取り付けられた上部地磁気センサと下部走行体1に取り付けられた下部地磁気センサとの組み合わせで構成されてもよい。
【0023】
キャビン10内には、入力装置D1、音声出力装置D2、表示装置D3、記憶装置D4、ゲートロックレバーD5、コントローラ30、及びマシンガイダンス装置50が設置される。
【0024】
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施例では、コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0025】
マシンガイダンス装置50は、ショベルの操作をガイドする。本実施例では、マシンガイダンス装置50は、例えば、操作者が設定した目標施工面とバケット6の先端(爪先)位置との鉛直方向における距離を視覚的に且つ聴覚的に操作者に報知する。これにより、マシンガイダンス装置50は操作者によるショベルの操作をガイドする。なお、マシンガイダンス装置50は、その距離を視覚的に操作者に知らせるのみであってもよく、聴覚的に操作者に知らせるのみであってもよい。具体的には、マシンガイダンス装置50は、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。マシンガイダンス装置50の各種機能はCPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。マシンガイダンス装置50は、コントローラ30とは別個に設けられてもよく、或いは、コントローラ30に組み込まれていてもよい。
【0026】
入力装置D1は、ショベルの操作者がマシンガイダンス装置50に各種情報を入力するための装置である。本実施例では、入力装置D1は、表示装置D3の周囲に取り付けられるメンブレンスイッチである。入力装置D1としてタッチパネル等が用いられてもよい。
【0027】
音声出力装置D2は、マシンガイダンス装置50からの音声出力指令に応じて各種音声情報を出力する。本実施例では、音声出力装置D2として、マシンガイダンス装置50に直接接続される車載スピーカが利用される。なお、音声出力装置D2として、ブザー等の警報器が利用されてもよい。
【0028】
表示装置D3は、マシンガイダンス装置50からの指令に応じて各種画像情報を出力する。本実施例では、表示装置D3として、マシンガイダンス装置50に直接接続される車載液晶ディスプレイが利用される。
【0029】
記憶装置D4は、各種情報を記憶するための装置である。本実施例では、記憶装置D4として、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体が用いられる。記憶装置D4は、マシンガイダンス装置50等が出力する各種情報を記憶する。
【0030】
ゲートロックレバーD5は、ショベルが誤って操作されるのを防止する機構である。本実施例では、ゲートロックレバーD5は、キャビン10のドアと運転席との間に配置される。キャビン10から操作者が退出できないようにゲートロックレバーD5が引き上げられた場合に、各種操作装置は操作可能となる。一方、キャビン10から操作者が退出できるようにゲートロックレバーD5が押し下げられた場合には、各種操作装置は操作不能となる。
【0031】
図2は、図1のショベルの駆動系の構成例を示す図である。図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細実線でそれぞれ示される。
【0032】
エンジン11はショベルの動力源である。本実施例では、エンジン11は、エンジン負荷の増減にかかわらずエンジン回転数を一定に維持するアイソクロナス制御を採用したディーゼルエンジンである。エンジン11における燃料噴射量、燃料噴射タイミング、ブースト圧等は、エンジンコントローラユニット(ECU)D7により制御される。
【0033】
エンジン11には油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。メインポンプ14には高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17が接続される。
【0034】
コントロールバルブ17は、ショベルの油圧系の制御を行う油圧制御装置である。右側走行用油圧モータ、左側走行用油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ等の油圧アクチュエータは、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。なお、旋回用油圧モータは旋回用電動発電機であってもよい。
【0035】
パイロットポンプ15にはパイロットラインを介して操作装置26が接続される。操作装置26はレバー及びペダルを含む。また、操作装置26は、油圧ライン及びゲートロック弁D6を介してコントロールバルブ17に接続される。
【0036】
ゲートロック弁D6は、コントロールバルブ17と操作装置26とを接続する油圧ラインの連通・遮断を切り換える。本実施例では、ゲートロック弁D6は、コントローラ30からの指令に応じて油圧ラインの連通・遮断を切り換える電磁弁である。コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が出力する状態信号に基づいてゲートロックレバーD5の状態を判定する。そして、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が引き上げられた状態にあると判定した場合に、ゲートロック弁D6に対して連通指令を出力する。連通指令を受けると、ゲートロック弁D6は開いて油圧ラインを連通させる。その結果、操作装置26に対する操作者の操作が有効となる。一方、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が引き下げられた状態にあると判定した場合に、ゲートロック弁D6に対して遮断指令を出力する。遮断指令を受けると、ゲートロック弁D6は閉じて油圧ラインを遮断する。その結果、操作装置26に対する操作者の操作が無効となる。
【0037】
圧力センサ29は、操作装置26の操作内容を圧力の形で検出する。圧力センサ29は、検出値をコントローラ30に対して出力する。
【0038】
また、図2はコントローラ30と表示装置D3との接続関係を示す。本実施例では、表示装置D3はマシンガイダンス装置50を介してコントローラ30に接続される。なお、表示装置D3、マシンガイダンス装置50、及びコントローラ30は、CAN等の通信ネットワークを介して接続されてもよく、専用線を介して接続されてもよい。
【0039】
表示装置D3は画像を生成する変換処理部D3aを含む。本実施例では、変換処理部D3aは、カメラS6の出力に基づいて表示用のカメラ画像を生成する。そのため、表示装置D3は、マシンガイダンス装置50を介し、マシンガイダンス装置50に接続されたカメラS6の出力を取得する。但し、カメラS6は、表示装置D3に接続されてもよく、コントローラ30に接続されてもよい。
【0040】
また、変換処理部D3aは、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50の出力に基づいて表示用の画像を生成する。本実施例では、変換処理部D3aは、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50が出力する各種情報を画像信号に変換する。なお、コントローラ30が出力する情報は、例えば、エンジン冷却水の温度を示すデータ、作動油の温度を示すデータ、燃料の残量を示すデータ等を含む。また、マシンガイダンス装置50が出力する情報は、バケット6の先端(爪先)位置を示すデータ、作業対象の法面の向きを示すデータ、ショベルの向きを示すデータ、ショベルを法面に正対させるための操作方向を示すデータ等を含む。
【0041】
なお、変換処理部D3aは、表示装置D3が有する機能としてではなく、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50が有する機能として実現されてもよい。
【0042】
また、表示装置D3は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。なお、蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置D3以外のショベルの電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0043】
エンジン11は、エンジンコントローラユニットD7により制御される。エンジンコントローラユニットD7からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信される。したがって、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置D3に送信することができる。
【0044】
また、コントローラ30には以下のように各種のデータが供給され、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
【0045】
まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板傾転角を示すデータがコントローラ30に供給される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送られる。これらのデータ(物理量を表すデータ)は一時記憶部30aに格納される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路には油温センサ14cが設けられており、その管路を流れる作動油の温度を表すデータが油温センサ14cからコントローラ30に供給される。
【0046】
また、燃料収容部55における燃料収容量検出部55aから燃料収容量を示すデータがコントローラ30に供給される。本実施例では、燃料収容部55としての燃料タンクにおける燃料収容量検出部55aとしての燃料残量センサから燃料の残量状態を示すデータがコントローラ30に供給される。
【0047】
具体的には、燃料残量センサは、液面に追従するフロートと、フロートの上下変動量を抵抗値に変換する可変抵抗器(ポテンショメータ)とで構成される。この構成により、燃料残量センサは、表示装置D3で燃料の残量状態を無段階表示させることができる。なお、燃料収容量検出部の検出方式は、使用環境等に応じて適宜選択され得るものであり、燃料の残量状態を段階表示させることができる検出方式が採用されてもよい。
【0048】
また、操作装置26を操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、圧力センサ29で検出され、検出したパイロット圧を示すデータがコントローラ30に供給される。
【0049】
また、本実施例では、図2に示すように、ショベルは、キャビン10内にエンジン回転数調整ダイヤル75を備える。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数を調整するためのダイヤルであり、本実施例ではエンジン回転数を4段階で切り換えできるようにする。また、エンジン回転数調整ダイヤル75からは、エンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に常時送信される。また、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数を切り換えできるようにする。なお、図2は、エンジン回転数調整ダイヤル75でHモードが選択された状態を示す。
【0050】
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、エンジン11をアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
【0051】
次に、図3を参照しながら、マシンガイダンス装置50の各種機能要素について説明する。図3は、マシンガイダンス装置50の構成例を示す機能ブロック図である。
【0052】
本実施例では、コントローラ30は、ショベル全体の動作の制御に加えて、マシンガイダンス装置50によるガイダンスを行うか否かを制御する。具体的には、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5の状態、圧力センサ29からの検出信号等に基づいてマシンガイダンス装置50によるガイダンスを行うか否かを制御する。
【0053】
次に、マシンガイダンス装置50について説明する。本実施例では、マシンガイダンス装置50は、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、入力装置D1、及びコントローラ30から出力される各種信号及びやデータを受信する。そして、マシンガイダンス装置50は、受信した信号及びデータに基づいてアタッチメント(例えば、バケット6)の実際の動作位置を算出する。そして、マシンガイダンス装置50は、アタッチメントの実際の動作位置が目標動作位置とは異なる場合に、音声出力装置D2及び表示装置D3に警報指令を送信し、警報を発令させる。
【0054】
マシンガイダンス装置50は、様々な機能を担う機能部を含む。本実施例では、マシンガイダンス装置50は、アタッチメントの動作をガイダンスするための機能部として、傾斜角算出部501、高さ算出部503、比較部504、警報制御部505、及びガイダンスデータ出力部506を含む。また、マシンガイダンス装置50は、上部旋回体3の旋回角度を導出するための機能部として旋回角度導出部507を含む。
【0055】
傾斜角算出部501は、機体傾斜センサS4からの検出信号に基づいて、水平面に対する上部旋回体3の傾斜角(ショベルの傾斜角)を算出する。すなわち、傾斜角算出部501は、機体傾斜センサS4からの検出信号を用いて、ショベルの傾斜角を算出する。
【0056】
高さ算出部503は、傾斜角算出部501が算出した傾斜角と、センサS1〜S3の検出信号から算出されたブーム4、アーム5、バケット6の角度とから、エンドアタッチメントの作業部位としてのバケット6の先端(爪先)の高さを算出する。本実施例では、バケット6の先端で掘削を行うため、バケット6の先端(爪先)はエンドアタッチメントの作業部位に相当する。一方、バケット6の背面で土砂をならすような作業をするときには、バケット6の背面がエンドアタッチメントの作業部位に相当する。また、バケット6以外のエンドアタッチメントとしてブレーカを用いた場合には、ブレーカの先端がエンドアタッチメントの作業部位に相当する。
【0057】
比較部504は、高さ算出部503が算出したバケット6の先端(爪先)の高さと、ガイダンスデータ出力部506から出力されるガイダンスデータで示されるバケット6の先端(爪先)の目標高さとを比較する。ここで、目標高さは、予め入力された設計図面とショベルの現在位置と作業姿勢とから算出されるようにしてもよい。また、設定された過去のショベルの爪先位置と、入力された目標深さと、角度と現在の作業姿勢(現在の爪先位置)から算出されるようにしてもよい。
【0058】
警報制御部505は、比較部504での比較結果に基づいて、警報が必要と判断した場合には警報指令を音声出力装置D2及び表示装置D3の両方又は一方に送信する。音声出力装置D2及び表示装置D3は、警報指令を受けると所定の警報を発してショベルの操作者に通報する。
【0059】
ガイダンスデータ出力部506は、上述のように、マシンガイダンス装置50の記憶装置に予め格納されていたガイダンスデータからバケット6の目標高さのデータを抽出して比較部504に対して出力する。この際、ガイダンスデータ出力部506は、ショベルの傾斜角に対応するバケット6の目標高さのデータを出力する。
【0060】
旋回角度導出部507は、上部旋回体3の旋回角度を導出する。本実施例では、基準方位に対する上部旋回体3の旋回角度を導出する。基準方位は基準となる任意の方位であり、例えば、東、西、南、北等の方位、地面上の基準点に対する方位、下部走行体1が向く方位等である。本実施例では、旋回角度導出部507は、旋回情報と旋回角速度センサS5の出力とに基づいて上部旋回体3の旋回角度を導出する。
【0061】
旋回情報は、例えば、操作装置26としての旋回操作レバーが生成するパイロット圧(以下、「旋回パイロット圧」とする。)、旋回操作レバーの操作量等の旋回操作情報を含む。また、旋回用油圧モータ又は旋回用電動発電機の回転数若しくは回転角、旋回用油圧モータに流入する作動油の圧力(以下、「旋回モータ圧」とする。)、旋回用電動発電機に供給される電流等の旋回動作情報を含む。なお、旋回用電動発電機の回転数若しくは回転角はレゾルバ等を用いて検出される。
【0062】
具体的には、旋回角度導出部507は、旋回情報に基づいて上部旋回体3が旋回中であるか否かを判定する。例えば、旋回角度導出部507は、旋回パイロット圧が所定圧力以上の場合に旋回中であると判定し、所定圧力未満の場合に旋回中でないと判定する。或いは、旋回角度導出部507は、旋回モータ圧が所定圧力以上の場合に旋回中であると判定し、所定圧力未満の場合に旋回中でないと判定してもよい。
【0063】
そして、旋回中であると判定した場合、旋回角度導出部507は、旋回角速度センサS5が所定時間間隔で出力する角速度を積算して旋回角度を導き出す。旋回中でないと判定した場合には、旋回角度導出部507は、旋回角速度センサS5が所定時間間隔で出力する角速度の積算を中止する。旋回角速度センサS5のドリフトに起因する誤差が増大するのを防止するためである。
【0064】
また、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力を用いて旋回角度を補正する。具体的には、旋回角度導出部507は、上部旋回体3が旋回中でないと判定した場合、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしているか否かを判定する。例えば、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力が所定の閾値以上の場合に出力が所定の条件を満たしていると判定し、地磁気センサS9の出力が所定の閾値未満の場合に出力が所定の条件を満たしていないと判定する。この場合、旋回角度導出部507は、建物等の影響で地磁気センサS9の出力が弱まっているか否かを検出できる。或いは、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力の直近の所定時間における変動幅が何れも所定値未満の場合に出力が所定の条件を満たしていると判定し、変動幅の何れかが所定値以上の場合に出力が所定の条件を満たしていないと判定してもよい。或いは、旋回角度導出部507は、直近の所定時間における出力の分散が何れも所定値未満の場合に出力が所定の条件を満たしていると判定し、分散の何れかが所定値以上の場合に出力が所定の条件を満たしていないと判定してもよい。この場合、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力に対するノイズの影響が大きいか否かを検出できる。このようにして、コントローラ30は、地磁気センサS9の出力が安定しているか否かを判定する。
【0065】
そして、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしていると判定した場合、旋回角度導出部507は、旋回角速度センサS5の出力ではなく地磁気センサS9の出力から旋回角度を導き出す。具体的には、上部旋回体3の向きを示す地磁気センサS9の出力に基づいて基準方位に対する上部旋回体3の旋回角度を導き出す。この場合、旋回角度導出部507は、例えば、旋回角度がゼロ度のとき、すなわち、基準方位と上部旋回体3の向きとが一致するときの地磁気センサS9の出力を基準値として記憶しておく。そして、旋回中でないと判定し且つ地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしていると判定した時点の地磁気センサS9の出力と基準値とに基づいて旋回角度を導き出す。
【0066】
或いは、下部走行体1の向きを示す下部地磁気センサの出力と上部旋回体3の向きを示す上部地磁気センサの出力とに基づいて下部走行体1に対する上部旋回体3の旋回角度を導き出してもよい。
【0067】
次に、図4を参照し、旋回角度導出部507が旋回角度を導出する処理(以下、「旋回角度導出処理」とする。)について説明する。図4は、旋回角度導出処理のフローチャートであり、旋回角度導出部507は所定周期で繰り返しこの旋回角度導出処理を実行する。
【0068】
最初に、旋回角度導出部507は、上部旋回体3が旋回中であるか否かを判定する(ステップS1)。例えば、旋回角度導出部507は、旋回パイロット圧が所定圧力以上の場合に旋回中であると判定する。
【0069】
そして、旋回中であると判定した場合(ステップS1のYES)、旋回角度導出部507は、旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度を導き出す(ステップS2)。例えば、旋回角度導出部507は、旋回パイロット圧が所定圧力以上であると判定した場合に、旋回角速度センサS5が所定時間間隔で出力する角速度を積算して旋回角度を導き出す。
【0070】
旋回中でないと判定した場合(ステップS1のNO)、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしているか否かを判定する(ステップS3)。例えば、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力の直近の所定時間における変動幅に基づいてそれらの出力が所定の条件を満たしているか否かを判定する。
【0071】
そして、出力が所定の条件を満たしていると判定した場合(ステップS3のYES)、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力を用いて旋回角度を導き出す(ステップS4)。例えば、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力に基づいて基準方位に対する上部旋回体3の旋回角度を導き出す。或いは、下部地磁気センサの出力と上部地磁気センサの出力とに基づいて下部走行体1に対する上部旋回体3の旋回角度を導き出してもよい。
【0072】
出力が所定の条件を満たしていないと判定した場合(ステップS3のNO)、旋回角度導出部507は、前回の旋回角度導出処理で導き出した旋回角度を用いて今回の旋回角度を導き出す(ステップS5)。例えば、旋回角度導出部507は、前回の旋回角度導出処理で導き出した旋回角度をそのまま今回の旋回角度として採用する。
【0073】
次に、旋回操作が断続的に行われたときの各種物理量の時間的推移について説明する。図5は各種物理量の時間的推移を示す図であり、図5(A)が旋回パイロット圧の時間的推移を示し、図5(B)が旋回角速度(旋回角速度センサS5の出力)の時間的推移を示す。また、図5(C)が角速度センサ基準の旋回角度の時間的推移を示し、図5(D)が地磁気センサ基準の旋回角度の時間的推移を示し、図5(E)が導出旋回角度の時間的推移を示す。なお、横軸(時間軸)のスケールは各図で共通である。
【0074】
角速度センサ基準の旋回角度は、旋回角速度センサS5の出力から導き出される旋回角度を意味する。また、地磁気センサ基準の旋回角度は、地磁気センサS9の出力から導き出される旋回角度を意味する。また、導出旋回角度は、旋回角度導出部507が最終的に導き出す旋回角度を意味する。
【0075】
時刻t0から時刻t1の期間、すなわち、旋回操作レバーが操作されておらず上部旋回体3が旋回していない間、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしているか否かを判定する。そして、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしていると判定した場合に地磁気センサS9の出力を用いて旋回角度を導き出す。旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度を導き出した場合、出力のドリフトに起因する誤差を累積してしまうおそれがあるためである。本実施例では、旋回角速度センサS5の出力は、図5(B)に示すように僅かに右旋回側にドリフトしている。そのため、旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度を導き出した場合、その旋回角度は、図5(C)に示すように、旋回していないにもかかわらず右旋回側に徐々に増大する。
【0076】
本実施例では、図5(D)に示すように地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしているため、旋回角度導出部507は、地磁気センサ基準の旋回角度を導出旋回角度として出力する。図5(D)のドットハッチング領域は地磁気センサ基準の旋回角度が導出旋回角度として採用されていることを示す。その結果、導出旋回角度は、図5(E)の実線で示すように、時刻t0から時刻t1まで変動することなく推移する。なお、図5(E)の実線は導出旋回角度の推移を示し、破線は角速度センサ基準の旋回角度の推移を示し、一点鎖線は地磁気センサ基準の旋回角度の推移を示す。
【0077】
その後、時刻t1において旋回操作レバーが左旋回方向に傾けられると、旋回パイロット圧は、図5(A)に示すように中立レベルから左旋回側に増大する。さらに、時刻t2において旋回操作レバーが右旋回方向に傾けられると、旋回パイロット圧は、図5(A)に示すように右旋回側に増大する。
【0078】
このように、時刻t1から時刻t3の間、すなわち、旋回操作レバーが操作されて上部旋回体3が旋回している間、旋回角度導出部507は、旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度を導き出す。旋回中においては、地磁気センサS9の出力よりも旋回角速度センサS5の出力の方が比較的安定しているためである。
【0079】
本実施例では、旋回角度導出部507は、角速度センサ基準の旋回角度を導出旋回角度として採用する。図5(C)のドットハッチング領域は角速度センサ基準の旋回角度が導出旋回角度として採用されていることを示す。その結果、導出旋回角度は、図5(E)の実線で示すように、一旦左旋回方向に増大した後で右旋回方向に増大する。
【0080】
その後、時刻t3において旋回操作レバーが中立位置に戻されると、旋回パイロット圧は、図5(A)に示すように中立レベルに戻る。
【0081】
その後、時刻t3から時刻t4の期間、すなわち、旋回操作レバーが操作されておらず上部旋回体3が旋回していない間、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしているか否かを再び判定する。そして、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしていないと判定した場合、前回の旋回角度導出処理で導出した旋回角度をそのまま導出旋回角度として採用する。旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度を導き出した場合、出力のドリフトに起因する誤差を累積してしまうおそれがあるためである。また、不安定な地磁気センサS9の出力を用いて旋回角度を導き出した場合、導出旋回角度が不安定となってしまうためである。本実施例では、地磁気センサS9の出力は、図5(D)に示すように比較的大きな変動幅で上下に変動している。そのため、地磁気センサS9の出力を用いて旋回角度を導き出した場合、その旋回角度は、図5(E)の一点鎖線で示すように、旋回していないにもかかわらず揺れ動く。
【0082】
本実施例では、図5(D)に示すように地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしていないため、旋回角度導出部507は、前回の旋回角度導出処理で導出した旋回角度をそのまま導出旋回角度として採用する。具体的には、旋回角度導出部507は、図5(E)の点A1で示す前回の旋回角度導出処理で導出した旋回角度を、時刻t3から時刻t4にわたって、導出旋回角度として採用し続ける。その結果、導出旋回角度は、時刻t3から時刻t4までの間、点A1で示す旋回角度を維持したまま推移する。
【0083】
その後、時刻t4において旋回操作レバーが再び左旋回方向に傾けられると、旋回パイロット圧は、図5(A)に示すように中立レベルから左旋回側に増大する。そして、時刻t4から時刻t5の間、すなわち、旋回操作レバーが操作されて上部旋回体3が旋回している間、旋回角度導出部507は、旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度を導き出す。その結果、導出旋回角度は、図5(E)の実線で示すように、右旋回の角度範囲において左旋回方向に減少する。
【0084】
その後、時刻t5において旋回操作レバーが中立位置に戻されると、旋回パイロット圧は、図5(A)に示すように中立レベルに戻る。そして、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしているか否かを再び判定する。そして、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしていると判定した場合、旋回角度導出部507は、地磁気センサS9の出力を用いて導出旋回角度を補正する。具体的には、旋回角度導出部507は、図5(E)の点A2で示す角速度センサ基準の旋回角度を、点A3で示す地磁気センサ基準の旋回角度に補正する。角速度センサ基準の旋回角度には誤差が累積されているおそれがあるので、地磁気センサ基準の旋回角度が角速度センサ基準の旋回角度よりも正確と推定できるためである。
【0085】
このように、旋回角度導出部507は、旋回中であるか否か、及び、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしているか否かに応じて旋回角速度センサの出力と地磁気センサS9の出力とを使い分けることで、より小さい誤差で安定的に旋回角度を導出できる。そして、導出された旋回角度は、例えば、マシンガイダンス装置50が旋回方向をガイドする際に利用される。
【0086】
また、旋回角度導出部507は、旋回角速度センサS5及び地磁気センサS9のそれぞれの特性に応じて旋回角速度センサの出力と地磁気センサS9の出力とを使い分けることで、より小さい誤差で安定的に旋回角度を導出できる。
【0087】
例えば、旋回角度導出部507は、旋回中であると判定した場合、旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度を導き出す。そのため、旋回中に不安定となる地磁気センサS9の出力を用いて旋回角度が導き出されてしまうのを防止できる。
【0088】
また、旋回角度導出部507は、旋回中でないと判定し、且つ、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしていると判定した場合、地磁気センサS9の出力を用いて旋回角度を導き出す。そのため、出力がドリフトしているおそれがある旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度が導き出された結果、旋回中でないにもかかわらず、旋回角度を変動させてしまうのを防止できる。
【0089】
また、旋回角度導出部507は、旋回中でないと判定し、且つ、地磁気センサS9の出力が所定の条件を満たしていないと判定した場合、前回の旋回角度導出処理で導き出した旋回角度を利用する。そのため、不安定な地磁気センサS9の出力、及び、出力がドリフトしているおそれがある旋回角速度センサS5の出力を用いて旋回角度が導き出されてしまうのを防止できる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0091】
1・・・下部走行体 2・・・旋回機構 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャビン 11・・・エンジン 11a・・・オルタネータ 11b・・・スタータ 11c・・・水温センサ 14・・・メインポンプ 14a・・・レギュレータ 14b・・・吐出圧力センサ 14c・・・油温センサ 15・・・パイロットポンプ 17・・・コントロールバルブ 26・・・操作装置 29・・・圧力センサ 30・・・コントローラ 30a・・・一時記憶部 50・・・マシンガイダンス装置 55・・・燃料収容部 55a・・・燃料収容量検出部 70・・・蓄電池 72・・・電装品 75・・・エンジン回転数調整ダイヤル 501・・・傾斜角算出部 503・・・高さ算出部 504・・・比較部 505・・・警報制御部 506・・・ガイダンスデータ出力部 507・・・旋回角度導出部 S1・・・ブーム角度センサ S2・・・アーム角度センサ S3・・・バケット角度センサ S4・・・機体傾斜センサ S5・・・旋回角速度センサ S6・・・カメラ S7・・・通信装置 S8・・・測位装置 S9・・・地磁気センサ D1・・・入力装置 D2・・・音声出力装置 D3・・・表示装置 D3a・・・変換処理部 D4・・・記憶装置 D5・・・ゲートロックレバー D6・・・ゲートロック弁 D7・・・エンジンコントローラユニット
図1
図2
図3
図4
図5