特許第6598752号(P6598752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598752
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】排水構造を有する箱型荷台
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/04 20060101AFI20191021BHJP
   B62D 25/07 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   B62D33/04 E
   B62D25/07
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-193356(P2016-193356)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-52410(P2018-52410A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2018年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】林 幸一
(72)【発明者】
【氏名】金子 敦
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−105647(JP,A)
【文献】 実開昭56−71489(JP,U)
【文献】 特許第4698164(JP,B2)
【文献】 特開2004−66895(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0016084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/04
B62D 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面パネルと複数の側面パネルとを有する直方体形状の車両用の箱型荷台であって、
前記天面パネルの辺部と前記側面パネルの上縁部とはレール部材を介して固定され、90度の角度間隔を有して隣接する2つの前記側面パネルの各々は上下方向に延びる隅柱を介して相互に固定され、
前記隅柱の内側には、上下方向に延び上端及び下端が開放された筒状の排水路が設けられた箱型荷台において、
前記レール部材の内側及び前記隅柱の上端部には、前記レール部材の内側及び前記隅柱の上方空間に進入した雨水を前記排水路に案内する案内手段が設けられており、
前記案内手段は前記隅柱の上端部に配設されるコーナー部材と、前記レール部材の内側において前記コーナー部材へ前記雨水を誘導する誘導路とを有し、
前記コーナー部材はコーナー底壁と、コーナー内側壁と、コーナー外側壁とを有し、前記コーナー底壁には、前記排水路に通ずる排水口が形成され、前記コーナー部材の上面には、前記コーナー底壁と、前記コーナー内側壁と、前記コーナー外側壁とによって、前記雨水を前記排水口に案内する案内路が規定されている、ことを特徴とする箱型荷台。
【請求項2】
前記案内路の全部又は一部は前記排水口に向かって下方に傾斜している、請求項に記載の箱型荷台。
【請求項3】
前記コーナー部材の下面には前記排水口を囲んで下方に延びる筒状の案内ノズルが設けられ、前記案内ノズルが前記排水路の内側に挿入される、請求項1又は2に記載の箱型荷台。
【請求項4】
前記コーナー部材は車両進行方向前方に位置する前記隅柱の上端部に配設されている、請求項乃至のいずれかに記載の箱型荷台。
【請求項5】
天面パネルと複数の側面パネルとを有する直方体形状の車両用の箱型荷台であって、
前記天面パネルの辺部と前記側面パネルの上縁部とはレール部材を介して固定され、90度の角度間隔を有して隣接する2つの前記側面パネルの各々は上下方向に延びる隅柱を介して相互に固定され、
前記隅柱の内側には、上下方向に延び上端及び下端が開放された筒状の排水路が設けられた箱型荷台において、
前記レール部材の内側及び前記隅柱の上端部には、前記レール部材の内側及び前記隅柱の上方空間に進入した雨水を前記排水路に案内する案内手段が設けられており、
前記案内手段は前記レール部材の内側において前記隅柱の上端部へ前記雨水を誘導する誘導路を備え、
前記レール部材は前記天面パネルの各辺部に沿って配設されるルーフレールを含み、前記ルーフレールは前記側面パネルの上端面と対向するルーフフランジと、前記ルーフフランジの外側縁から上方に延びるルーフ外側壁と、前記ルーフフランジの内側縁部において少なくとも上方に延びるルーフ内側壁とを有し、前記誘導路は前記ルーフフランジと、前記ルーフ外側壁と、前記ルーフ内側壁とによって規定される、ことを特徴とする箱型荷台。
【請求項6】
前記案内手段は前記隅柱の上端部に配設されるコーナー部材有する、請求項に記載の箱型荷台。
【請求項7】
前記ルーフフランジの延出端部の下面が前記コーナー部材の端部の上面と密着する、請求項に記載の箱型荷台。
【請求項8】
前記ルーフレールは前記ルーフフランジの外側縁から下方に垂下するルーフ垂下壁を有する、請求項5乃至7のいずれかに記載の箱型荷台。
【請求項9】
前記レール部材は夫々の前記側面パネルの上縁部に沿って配設されるサイドレールを含み、
前記サイドレールは前記側面パネルの上端面と面接触するサイドフランジと、前記サイドフランジの内側縁部から上方に起立するサイド起立壁とを有する、請求項乃至のいずれかに記載の箱型荷台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水構造を有する箱型荷台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物輸送用の車両であるトラックの荷台として、天面パネルと複数の側面パネルとを有する直方体形状の車両用の箱型荷台が広く普及している。箱型荷台には、風雨等による貨物の損傷を防止でき、梱包を簡易化できるとともに荷崩れの防止も容易である、という利点がある。かような箱型荷台には、雨水が荷室内に進入して収納された貨物を濡らさないようにするための排水構造が設けられていることが多い。
【0003】
排水構造を備えた箱型荷台の一例として、本願の出願人による先の特許出願にかかる下記特許文献1に記載の箱型荷台がある。特許文献1に記載された箱型荷台においては、天面パネルの辺部と側面パネルの上縁部とはレール部材を介して固定され、90度の角度間隔を有して隣接する2つの側面パネルの各々は上下方向に延びる隅柱を介して相互に固定されている。隅柱の内側には上下方向に延びる筒状の排水路が設けられている。箱型荷台の上方隅部にはコーナーカバーが設けられており、このコーナーカバーの上面には、天面パネルの上面に溜まった雨水を隅柱の内側に設けられた排水路に案内する案内路及び排水口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4698164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上記特許文献1に開示されている形態の箱型荷台には、天面パネルの上面に溜まった雨水を路面に適宜排水するための排水構造が設けられているが、箱型荷台の荷室内、詳しくはレール部材の内側及び隅柱の上方空間(即ち隅柱の上方であって且つ上下方向に見て天面パネルよりも下方に規定される空間)、に進入した雨水を荷室外に排水するための排水構造は設けられていない。そのため、特許文献1に開示されている形態の箱型荷台には以下のような問題点がある。
【0006】
例えば、コーナーカバーは一般にシリコンの如き適宜のシール材によりコーナーカバーの裏面に雨水が進入しないようシールされた状態で天面パネルの上面等に固定されているため、通常、案内路から逸脱した雨水がコーナーカバーの裏面(例えばコーナーカバーと天面パネルとの間)に進入することはない。しかしながら、シール材の経年劣化が進行するなどして上記シールが毀損された場合には、案内路から逸脱した雨水がシールの毀損した部位からコーナーカバーの裏面に進入した後に隅柱の上方空間に進入して貯留し、これが荷室内に飛散乃至溢れ出すなどして荷室内の貨物を濡らしてしまう虞がある。これにより、荷室内に収納された貨物が段ボールで梱包されている場合には、荷室内に飛散乃至溢れ出した雨水により段ボールが損壊し、内容物が露呈或いは損傷してしまう可能性がある。
また、箱型荷台の外面を高圧洗浄する際には、通常、作業者は下方から上方に向けて高圧の洗浄水を吹きかけることに起因して、洗浄水がレール部材の内側に進入してしまう可能性がある。この場合にも、レール部材の内側に進入した雨水(かかる場合には洗浄水)が荷室内に飛散乃至溢れ出すなどして、同様の問題を生じる虞がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、レール部材の内側及び隅柱の上方空間に進入した雨水を荷室外に排水する排水構造を有した新規且つ改良された箱型荷台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意検討の結果、レール部材の内側及び隅柱の上端部に、レール部材の内側及び隅柱の上方空間に進入した雨水を隅柱の内側に設けられた排水路に向かって案内する案内手段を設けることによって、上記主たる技術的課題を解決することができることを見出した。
【0009】
即ち、本発明の第一の局面によれば、天面パネルと複数の側面パネルとを有する直方体形状の車両用の箱型荷台であって、
前記天面パネルの辺部と前記側面パネルの上縁部とはレール部材を介して固定され、90度の角度間隔を有して隣接する2つの前記側面パネルの各々は上下方向に延びる隅柱を介して相互に固定され、
前記隅柱の内側には、上下方向に延び上端及び下端が開放された筒状の排水路が設けられた箱型荷台において、
前記レール部材の内側及び前記隅柱の上端部には、前記レール部材の内側及び前記隅柱の上方空間に進入した雨水を前記排水路に案内する案内手段が設けられており、
前記案内手段は前記隅柱の上端部に配設されるコーナー部材と、前記レール部材の内側において前記コーナー部材へ前記雨水を誘導する誘導路とを有し、
前記コーナー部材はコーナー底壁と、コーナー内側壁と、コーナー外側壁とを有し、前記コーナー底壁には、前記排水路に通ずる排水口が形成され、前記コーナー部材の上面には、前記コーナー底壁と、前記コーナー内側壁と、前記コーナー外側壁とによって、前記雨水を前記排水口に案内する案内路が規定されている、ことを特徴とする箱型荷台が提供される。
この場合には、前記案内路の全部又は一部は前記排水口に向かって下方に傾斜しているのがよい。好ましくは、前記コーナー部材の下面には前記排水口を囲んで下方に延びる筒状の案内ノズルが設けられ、前記案内ノズルが前記排水路の内側に挿入される。前記コーナー部材は車両進行方向前方に位置する前記隅柱の上端部に配設されているのが好適である。
【0010】
また、本発明の第二の局面によれば、天面パネルと複数の側面パネルとを有する直方体形状の車両用の箱型荷台であって、
前記天面パネルの辺部と前記側面パネルの上縁部とはレール部材を介して固定され、90度の角度間隔を有して隣接する2つの前記側面パネルの各々は上下方向に延びる隅柱を介して相互に固定され、
前記隅柱の内側には、上下方向に延び上端及び下端が開放された筒状の排水路が設けられた箱型荷台において、
前記レール部材の内側及び前記隅柱の上端部には、前記レール部材の内側及び前記隅柱の上方空間に進入した雨水を前記排水路に案内する案内手段が設けられており、
前記案内手段は前記レール部材の内側において前記隅柱の上端部へ前記雨水を誘導する誘導路を備え、
前記レール部材は前記天面パネルの各辺部に沿って配設されるルーフレールを含み、前記ルーフレールは前記側面パネルの上端面と対向するルーフフランジと、前記ルーフフランジの外側縁から上方に延びるルーフ外側壁と、前記ルーフフランジの内側縁部において少なくとも上方に延びるルーフ内側壁とを有し、前記誘導路は前記ルーフフランジと、前記ルーフ外側壁と、前記ルーフ内側壁とによって規定される、ことを特徴とする箱型荷台が提供される。
この場合には、前記案内手段は前記隅柱の上端部に配設されるコーナー部材を有するのが好ましい。更に、前記ルーフフランジの延出端部の下面が前記コーナー部材の端部の上面と密着するのが良い。好適には、前記ルーフレールは前記ルーフフランジの外側縁から下方に垂下するルーフ垂下壁を有する。好ましくは、前記レール部材は夫々の前記側面パネルの上縁部に沿って配設されるサイドレールを含み、前記サイドレールは前記側面パネルの上端面と面接触するサイドフランジと、前記サイドフランジの内側縁部から上方に起立するサイド起立壁とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に従って構成された箱型荷台においては、レール部材の内側及び隅柱の上方空間に進入した雨水が案内手段により隅柱の内側に設けられた排水路に案内されて荷室外に排水されるため、レール部材の内側及び隅柱の上方空間に進入した雨水によって荷室内に収納した貨物が濡れることが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の箱型荷台を備えた車両の概要を示す斜視図。
図2図1にA−A線で示す部分の拡大断面図。
図3図1にB−B線で示す部分の拡大断面図。
図4図1に示す箱型荷台のコーナーカバーを除去してコーナー部材を露呈させた状態の部分拡大斜視図。
図5図1に示す箱型荷台に配設されたコーナー部材の単体図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された箱型荷台の好適実施形態について、更に詳述する。以下の説明において、前後、左右、上下、及び内外方向は、特に指定しない限り何れも車両進行方向を基準とする。
【0014】
本発明の箱型荷台を備えた車両を図示している図1を参照して説明すると、全体を番号2で示す箱型荷台はトラック等の貨物搬送用車両の後部に載架される。箱型荷台2は天面パネル4と、前側面パネル6aと、左側面パネル6bと、図示しない右側面パネルと(前側面パネル6a及び右側面パネル並びに左側面パネル6bをまとめて側面パネル6という)、床部材8と、図示しない後部ドアとを有する直方体形状である。床部材8の後端部には後部フレーム10が固定されており、後部ドアは後部フレーム10に嵌まり込んでいる。天面パネル4は薄板状部材であり、側面パネル6及び後部ドアは所定程度の厚みを有する中空板状部材である(図3を参照されたい)。
【0015】
側面パネル6の夫々は床部材8の夫々の辺部において床部材8に対して垂直に起立した状態で適宜の方法で固定されている。90度の角度間隔を有して隣接する2つの側面パネル6の各々は、床部材8の上面隅部において上下方向に直線状に延びる合成樹脂製の隅柱12を介して相互に固定されている。図示の実施形態においては、隅柱12は前方、即ち、前側面パネル6aの左側縁部と左側面パネル6bの前側縁部とが相互に近接する位置、及び、前側面パネル6aの右側縁部と右側面パネルの前側縁部とが相互に近接する位置に設けられている。所望ならば、隅柱12は後方にも設けてもよいが、その場合には後部フレーム10の左右の柱部を幾分内側に変位させ、隅柱12が後部フレーム10の柱部に固定されるようにする。
【0016】
前方左側に設けられた隅柱12について、図1と共に図2を参照して更に説明を続けると、隅柱12の横断面形状は、円弧壁12aと、図2において円弧壁12aの時計方向上流端から前側面パネル6aに向かって直線状に延びる前側延長壁12bと、図2において円弧壁12aの時計方向下流端から左側面パネル6bに向かって直線状に延びる左側延長壁12cとを有する。隅柱12の横断面形状は更に、前側延長壁12bの左側(図2においては右側)端部から後方に向かって左側面パネル6bと平行に直線状に延びる前側外方壁12dと、前側延長壁12bの右側(図2においては左側)端部から後方に向かって左側面パネル6bと平行に直線状に延びる前側内方壁12eと、左側延長壁12cの前方端部から右方(図2においては左方)に向かって前側面パネル6aと平行に直線状に延びる左側前方壁12fと、左側延長壁12cの後方端部から右方(図2においては左方)に向かって前側面パネル6aと平行に直線状に延びる左側後方壁12gとをも有する。前側外方壁12dと左側前方壁12fとは90度の角度間隔を有して相互に接続されている。隅柱12の上端及び下端は開放されている。そして、前側内方壁12eと前側面パネル6a、及び、左側後方壁12gと左側面パネル6b、は夫々側面パネル6の上端から下端まで上下方向に連続して延びる周知の防水テープ14を介して密着した状態で、ボルトの如き図示しない適宜の固定手段により相互に固定されている。
【0017】
隅柱12の内側には、円弧壁12aと、前側外方壁12dと、左側前方壁12fとによって区画され断面が略扇形状である排水路16が区画されている。排水路16は隅柱12に沿って上下方向に延びており、排水路16の上端及び下端は開放されている。更に、排水路16の下端と対向する床部材8の前方角部にも図示しない貫通開口が形成されており、従って排水路16の下端は路面と対向して荷室の外部に連通している。
【0018】
前方左側に設けられた隅柱12について詳細に説明したが、上記隅柱12の構成は前方右側に設けられる隅柱12と左右対称であるため、かかる隅柱12についての詳細な説明は省略する。
【0019】
図4を参照して説明を続けると、隅柱12の上端部には、隅柱12の上方空間(即ち隅柱12の上方であって且つ上下方向に見て天面パネル4よりも下方に規定される空間)に進入した雨水を排水路16に案内する案内手段が配設されている。図示の実施形態においては、案内手段は、その一部が合成樹脂製のコーナー部材18から構成され、このコーナー部材18が隅柱12の上端部に配設されている。コーナー部材18について図5と共に図2及び図4を参照して説明する。図5(a)はコーナー部材18の正面図、図5(b)はコーナー部材18の平面図、図5(c)はコーナー部材18のc−c端面図、図5(d)はコーナー部材18のd−d端面図、図5(e)はコーナー部材18のe−e展開断面図である。
【0020】
図5(b)を参照して説明すると、コーナー部材18は板状のコーナー底壁20を有し、このコーナー底壁20は平面視において横向きの略L字状であるが、その外側角部は円弧状に丸められている。このことからコーナー底壁20は、平面視において、90度の角度範囲に渡って外縁が円弧形状である中間角部20aと、この中間角部20aの時計方向下流端に位置する片端部20bと、中間角部20aの時計方向上流端に位置する他端部20cとに区画されている。コーナー底壁20の上面には、その内側縁部においてコーナー底壁20の外側縁と平行に上方に起立するコーナー内側壁22と、その外側縁部の角部においてこれに沿って上方に起立するコーナー外側壁24とが各々形成されている。コーナー外側壁24は平面視において90度よりも幾分小さい角度間隔に渡って延在している。換言すると、中間角部20aの周方向両端部にはコーナー外側壁24は形成されていない。図5(a)を参照することによって理解されるとおり、コーナー内側壁22とコーナー外側壁24の上端位置は共に同一である。
【0021】
平面視においてコーナー底壁20におけるコーナー内側壁22よりも径方向内側部分には、図5(c)及び(d)を参照することによって理解されるとおり、比較的薄肉である平坦な内側縁部25が設けられている。図5(c)乃至(e)を比較参照することによって理解されるとおり、内側縁部25及びコーナー内側壁22並びにコーナー外側壁24を除いて、中間角部20a(但し図5(b)における周方向両端部を除く)及び片端部20b並びに他端部20cにおけるコーナー底壁20の上面は夫々平坦である。また、片端部20b及び他端部20cにおけるコーナー底壁20の肉厚は共に等しく、片端部20b及び他端部20cにおけるコーナー底壁20の肉厚は中間角部20(但し図5(b)における周方向両端部を除く)におけるコーナー底壁20の肉厚よりも厚い。これにより、中間角部20aの図5(b)における周方向両端部のコーナー底壁20の上面には周方向中央部に向かって下方に傾斜する傾斜部26が設けられ
【0022】
図5と共に図2を参照して説明を続けると、コーナー底壁20の下面には、コーナー部材18を隅柱12の上端に配設するための嵌合手段28が設けられている。嵌合手段28は、中間角部20aの下面において下方に垂下する断面略扇形状の第一の嵌合筒壁28aと、片端部20bの下面において下方に垂下する断面略正方形の第二の嵌合筒壁28bと、他端部20cの下面において下方に垂下する断面略正方形の第三の嵌合筒壁28cと、コーナー部材18の外側縁から下方に垂下する嵌合垂下壁28dとから構成されている。第一の嵌合筒壁28aは後述する案内ノズルを囲む。
【0023】
図5と共に図2及び図4を参照して説明を続けると、コーナー部材18は排水路16に通ずる排水口30と、後述するレール部材の内側及び隅柱12の上方空間に進入した雨水を排水口30に向かって案内する案内路32とを有する。排水口30は、図5(b)において、コーナー底壁20の中間角部20aの周方向中間位置よりも幾分時計方向下流側に設けられている。そして、コーナー底壁20の中間角部20aの下面には排水口30を囲んで下方に延びる逆円錐台形状の筒状の案内ノズル34が形成されている。案内路32は、コーナー部材18の上面において、コーナー底壁20とコーナー内側壁22とコーナー外側壁24とによって規定される。上記したとおり、コーナー部材18の中間角部20aには傾斜部26が設けられていることに起因して、案内路32の図5(b)における周方向両端部は排水口30に向かって下方に傾斜している。所望ならば、案内路26は、その全体が排水口30に向かって下方に傾斜するようにしてもよい。
【0024】
上述したコーナー部材18は嵌合手段28を隅柱12の上端部に嵌合させることによってこれに配設される。即ち、コーナー部材18は、図2を参照することによって理解されるとおり、第一の嵌合筒壁28aが排水路16(即ち円弧壁12aと前側外方壁12dと左側前方壁12fとで囲まれる空間)の上端部の内側に、第二の嵌合筒壁28bが前側延長壁12bと前側外方壁12dと前側内方壁12eとにより3方が規定される空間の上端部の内側に(従って片端部20bは前方に位置)、第三の嵌合筒壁28cが左側延長壁12cと左側前方壁12fと左側後方壁12gとにより3方が規定される空間の上端部の内側に(従って他端部20cは左方に位置)夫々嵌入されると共に、嵌合垂下壁28dが円弧壁12a及び前側延長壁12b並びに左側延長壁12cの外側に位置してこれらを第一の嵌合筒壁28a及び第二の嵌合筒壁28b並びに第三の嵌合筒壁28cで挟み込むことによって隅柱12の上端部に固定される。このとき、第一の嵌合筒壁28aが案内ノズル34を囲むことから、案内ノズル34は排水路16の内側に挿入されることとなる。
【0025】
図3及び図4を参照して説明を続けると、天面パネル4の辺部と側面パネル6の上縁部とはレール部材36を介して固定される。図示の実施形態においては、レール部材36は、夫々の側面パネル6の上縁部に沿って配設されるサイドレール38と、天面パネル4の各辺部に沿って配設されるルーフレール40とからなる。
【0026】
サイドレール38は側面パネル6の上端面と面接触するサイドフランジ42と、このサイドフランジ42の内側縁部から上方に向かって幾分内側に傾斜して起立するサイド起立壁44と、サイドフランジ42の外側縁部及び内側縁部から下方に垂下する側面パネル支持部46とを有する。サイド起立壁44の上端部には図示しないボルト穴がサイドレール38の長手方向において間隔をおいて複数個形成されている。
【0027】
ルーフレール40は側面パネル6の上端面と対向するルーフフランジ48と、このルーフフランジ48の外側縁部から上方に延びるルーフ外側壁50と、ルーフ外側壁50の上端から内側へ延出するルーフ支持壁52と、ルーフフランジ48の外側縁部から下方に垂下するルーフ垂下壁54と、ルーフフランジ48の内側縁部において少なくとも上方に延びるルーフ内側壁56とを有する。図4を参照することによって明確に理解されるとおり、ルーフ外側壁50の長手方向延出端部には、後述するコーナーカバー70に形成される係合部と係合するコの字状の切欠き57が形成されている。ルーフ支持壁52は外側上部52a、内側下部52b、及び外側上部52aと内側下部52bとを接続し外側から内側に向かって下方に傾斜する中間傾斜部52cを有する。外側上部52aはルーフ外側壁50の上端位置よりも幾分下方に位置し、ルーフ外側壁50と外側上部52aとの間には段差58が設けられている。ルーフ垂下壁54は、図4を参照することによって明確に理解されるとおり、ルーフレール40の長手方向延出端部、更に詳しくはルーフレール40を後述するとおりにして設置した際にコーナー部材18と干渉する部位、においては形成されていない。ルーフ内側壁56の断面形状は、外側が開放された横向きのU字形状である。そして、レール部材36の内側には、レール部材36の内側に進入した雨水を排水路16に案内する案内手段が配設されている。図示の実施形態においては、案内手段は、その一部がルーフフランジ48とルーフ外側壁50とルーフ内側壁56とによって規定される誘導路60から構成されている。図4を参照することによって明確に理解されるとおり、誘導路60の長手方向両延出端は開放されている。
【0028】
図3及び図4を参照して説明を続けると、天面パネル4は以下のようにしてレール部材36を介して側面パネル6に支持固定される。即ち、最初に、側面パネル6の上縁部にサイドレール38を配設すると共に、天面パネルの各辺部にルーフレール40を配設する。側面パネル6の上縁部にサイドレール38を配設する際には、側面パネル6の上端面とサイドフランジ42の下面とを密着させると共に側面パネル6の上端部をサイドレール38の側面パネル支持部46で挟み込んだ状態で、側面パネル支持部46と側面パネル6とをボルトの如き適宜の固定手段で固定する。一方、天面パネル4の各辺部にルーフレール40を配設する際には、最初に、天面パネル4の各辺部がルーフレール40のルーフ支持壁52の外側上部52aに支持されるようにして、ルーフレール40に天面パネル4を載置する。次いで、天面パネル4の外縁部とルーフレール40の外側上部52aとを跨いだ状態で、ルーフレール40に沿って防水テープ68を直線状に連続して配設する。かくして、天面パネル4とルーフレール40とは、天面パネル4の各辺部における長手方向両端部を除く主部とルーフレール40のルーフ支持壁52とが防水テープ68により接続されることで、固定される。防水テープ68は片面に粘着性を有する周知のものである。
【0029】
次いで、側面パネル6の上方に天面パネル4を位置付け、上方から天面パネル4を降下させて側面パネル6の上部に載置する。この際には、ルーフフランジ48の下面がサイドフランジ42の上面と面接触すると共にルーフ内側壁56の外側部(荷室に対しては内側部であって図3において右側部)がサイド起立壁44の外側面(図3において左側面)と当接する。更に、図4を参照することによって理解されるとおり、コーナー部材18の上面の一部、更に詳しくはコーナー底壁20の片端部20b及び他端部20cの上面、は90度の角度間隔を有して相互に隣接するルーフフランジ48の夫々の長手方向延出端部の下面と密着する。
【0030】
ルーフレール40をサイドレール38の上面に載置した後に、クリップ部材62を用いてルーフレール40とサイドレール38とを固定する(図3を参照されたい)。クリップ部材62は平板部64と係合部66とを有する。平板部64は略正方形状であって、その中央領域には図示しないボルト穴が形成されている。係合部66は平板部64の下端に接続されており、その断面形状は平板部64に対して横向きのU字形状である。かようなクリップ部材62の夫々は、クリップ部材62のボルト穴がサイドレール38のサイド起立壁44に設けられたボルト穴と整合する位置において、係合部66をルーフ内側壁56に係合させた状態で相互のボルト穴を介してボルト及びナットの如き適宜の締結部材でサイド起立壁44に固定されることで、ルーフレール40とサイドレール38とを固定する。しかる後に、図1のX部拡大図に示すとおり、箱型荷台2の前方上方に位置するコーナー部の各々に合成樹脂製のコーナーカバー70を付設する。コーナーカバー70には、これが箱型荷台2に付設された際にコーナーカバー70の裏面に雨水が進入することが防止される図示しない適宜のシール材が配設されている。これにより、コーナーカバー70は、その裏面への雨水の進入が防止された状態でリベット72によりルーフレール40に固定される。この際には、コーナーカバー70の裏面に形成された図示しない係合部をルーフレール40の切欠き57に係合させて仮固定した後に、リベット締結が行われる。
【0031】
天面パネル4がレール部材36を介して側面パネル6に支持固定された状態にあっては、図2において鎖線で示すとおり、天面パネル4の外縁が側面パネル6の幅方向内側に整合すると共に天面パネル4の隅がコーナー部材18の上方に整合することとなる。
【0032】
続いて、レール部材36の内側への雨水の進入について、主に図3及び図4を参照して説明する。
上述したとおり、天面パネル4の各辺部における長手方向両端部を除く主部とルーフレール40のルーフ支持壁52とは防水テープ68により接続されていること、及び、コーナーカバー70の裏面への雨水の進入はシール材により防止されていることに起因して、通常、雨水が荷室内に進入することはない。特に、本実施形態における箱型荷台2においては、天面パネル4とルーフレール40とは実質上リベットではなく防水テープ68により固定されているため、天面パネル4の上面に溜まった雨水がリベット穴(リベット締結を行う際に生じる貫通孔)を通して荷室内に進入することが殆ど無い。しかしながら、例えば、コーナーカバー70の裏面に配設されたシール材の経年劣化が進行するなどした場合には、天面パネル4の上面に溜まった雨水がコーナーカバー70の裏面に進入してしまうことがある。この場合には、図4を参照することによって明確に理解されるとおり、上記雨水が、天面パネル4の隅部から隅柱12の上方空間に進入、又は、天面パネル4の隅部から防水テープ68の上面及びルーフレール40の切欠き57を経由してレール部材36の内側に進入することがある。
【0033】
上記のとおりに雨水が隅柱12の上方空間又はレール部材36の内側に進入した場合であっても、隅柱12の上方空間に進入した雨水は直接コーナー部材18に、レール部材36の内側に進入した雨水は誘導路60により誘導されてコーナー部材18に、夫々集積される。そして、コーナー部材18に集積された雨水は案内路32及び排水口30を経て隅柱12の排水路16に案内されて排水される。図示の実施形態においては、天面パネル4の外縁が側面パネル6の幅方向内側に整合していると共に天面パネル4の隅がコーナー部材18の上方に整合していることに起因して、隅柱12の上方空間に進入した雨水は確実にコーナー部材18の案内路32に滴下することとなる。また、誘導路60はルーフフランジ48とルーフ外側壁50とルーフ内側壁56とによって規定されていること、及びルーフフランジ48の延出端部の下面はコーナー部材18の上面の一部と密着していることに起因して、レール部材36の内側に進入した上記雨水の全てが誘導路60からコーナー部材18の案内路32へ確実に誘導される。そして、案内路32はコーナー部材18の上面においてコーナー底壁20とコーナー内側壁22とコーナー外側壁24とによって規定されていることに起因して、雨水は案内路32から逸脱することなく排水口30に案内される。この際には、案内路32の一部は排水口30に向かって下方に傾斜しているため、雨水は良好な効率で排水口30に案内される。更に、コーナー部材18の下面には排水口30を囲んで下方に延びる案内ノズル34が設けられており、この案内ノズル34が排水路16の内側に挿入されていることに起因して、雨水は確実に排水路16に案内される。また、図示の実施形態においては、隅柱12は前方にのみ設けられており、従ってコーナー部材18も前方にのみ配設されている。そのため、左右方向に位置するレール部材36の内側に進入した雨水は、箱型荷台2を搭載した車両が減速する際に慣性力によって前方に集中し排水口30から排水路16を通って排水される。このことから後方にコーナー部材18(及び隅柱12)を配設する必要はなく、その分コスト低減に寄与することとなる。
【0034】
一方、ルーフレール40にはルーフフランジ48の外側縁から下方に垂下するルーフ垂下壁54が形成されていることに起因して、例えば箱型荷台2の外側面を洗浄すべく側面パネル6の外側面に高圧の洗浄水を吹きかけた場合であっても、洗浄水がルーフ垂下壁54によってルーフレール40とサイドレール38との間(より詳細には、ルーフフランジ48とサイドフランジ42との間)からレール部材36の内側に進入することが阻害される。同様に、サイドレール38にはサイドフランジ42の内側縁部から上方に起立するサイド起立壁44が形成されていることに起因して、上記した洗浄水が荷室内に進入することがより一層確実に防止されることとなる。また、仮に洗浄水がレール部材36の内側に進入してしまった場合であっても、洗浄水は誘導路60によってコーナー部材18へ誘導され、上述した雨水の場合と同様に案内路32及び排水口30を通って隅柱12の排水路16より荷室外へ排水される。
【0035】
従って、本発明に従って構成された箱型荷台2においては、雨水がレール部材36の内側及び隅柱12の上方空間に進入した場合であっても、かかる雨水は案内手段(図示の実施形態においてはコーナー部材18及び誘導路60)により隅柱12の内側に設けられた排水路16に案内されて荷室外に排水されるため、レール部材36の内側及び隅柱12の上方空間に進入した雨水によって荷室内に収納した貨物が濡れることが回避される。
【0036】
以上本発明に従って構成された排水構造を有する箱型荷台について添付した図面を参照して詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。例えば、上記実施形態においては、コーナー部材は1部材から構成されているが、これに代えて、コーナー部材を2部材から構成されるようにし、各々のコーナー部材を隅柱の上端部における周方向両端部に配設することで、コーナー部材に排水口を設けることなく案内路から隅柱の排水路へ直接排水することもできる。また、上記実施形態においては、案内手段はコーナー部材と誘導路から構成されたが、これに代えて、コーナー部材を設けることなく誘導路の長手方向延出端を排水路の上方に位置させるなどしてレール部材の内側及び隅柱の上方空間に進入した雨水を誘導路から排水路へ直接案内するようにすることもできる。
【符号の説明】
【0037】
2:箱型荷台
4:天面パネル
6:側面パネル
12:隅柱
16:排水路
18:コーナー部材
20:コーナー底壁
22:コーナー内側壁
24:コーナー外側壁
30:排水口
32:案内路
34:案内ノズル
36:レール部材
38:サイドレール
40:ルーフレール
60:誘導路
図1
図2
図3
図4
図5