特許第6598779号(P6598779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6598779燃料電池スタック組立体のためのコネクタシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598779
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】燃料電池スタック組立体のためのコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20191021BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20191021BHJP
   H01R 12/58 20110101ALN20191021BHJP
【FI】
   H01M8/2465
   H01M8/02
   !H01R12/58
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-540995(P2016-540995)
(86)(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公表番号】特表2017-502463(P2017-502463A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】GB2014053716
(87)【国際公開番号】WO2015092381
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】1322428.2
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アドコック,ポール・レナード
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−087858(JP,A)
【文献】 特開2002−319424(JP,A)
【文献】 特開2010−277812(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148433(WO,A1)
【文献】 特開2003−115305(JP,A)
【文献】 特開2002−313399(JP,A)
【文献】 特開2004−146497(JP,A)
【文献】 特開2009−266410(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0186456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/02
H01R 12/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタック組立体であって、
積み重ね型構成で配置される燃料電池であって、各電池が、x−y平面に対して実質的に平行であり、かつx方向に、前記電池内の平板の縁から側方に延びて、前記x−y平面と直交するz方向に、前記燃料電池スタックの側面に沿って延びるタブの配列を形成するタブを含む、燃料電池と、
前記燃料電池スタックのタブと係合するためのコネクタであって、前記コネクタが、
支持領域、
係合領域であって、各々が、前記支持領域により画成され、前記x方向での係合により前記タブの配列のうちの1つを受容するように構成される、係合領域、及び
可撓性導体であって、それらの各々が、前記支持領域から前記係合領域のうちの1つの少なくとも一部分に亘って側方に延び、受容されたタブにより前記支持領域から離れて偏向されるように構成される、可撓性導体を備えるコネクタとを備え、
前記可撓性導体が、前記受容されたタブにより前記支持領域から離れて前記x方向に偏向されるように構成される、燃料電池スタック組立体。
【請求項2】
各係合領域が、前記支持領域中の別個の開口部により提供され、各係合領域が、前記x方向に前記開口部を通して前記タブの配列のうちの1つを受容するように構成される、請求項1に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項3】
各可撓性導体が、前記タブにより偏向されたときに、前記受容されたタブと電気的に接触するように構成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項4】
前記支持領域が、y−z平面に延びる、請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項5】
前記支持領域が、前記可撓性導体と電気的に接触する導電層を備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項6】
前記支持領域の前記導電層及び前記可撓性導体が、一体的に形成される、請求項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項7】
前記コネクタ上に、前記可撓性導体に電気的に結合される電気ソケットまたはプラグをさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項8】
前記電気ソケットまたはプラグと前記可撓性導体のうちの少なくとも1つとの間で各々電気的に結合される抵抗器をさらに備える、請求項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項9】
前記係合領域の各々、異なる抵抗器と相互作用する、請求項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項10】
前記支持領域が、前記可撓性導体より堅固である、請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項11】
前記支持領域が、前記係合領域の各々を包囲する、請求項1に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項12】
前記支持領域上に、前記係合領域のうちの1つの内に各々ある剛性導体をさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項13】
前記コネクタからの前記タブの解放を防止するために、前記タブが各々、それぞれの剛性導体と係合するように構成されるラッチを備える、請求項12に記載の燃料電池スタック組立体。
【請求項14】
燃料電池スタックのタブの配列と係合するためのコネクタであって、
前記コネクタが、
前記タブの配列のうちの1つを受容するように各々構成される複数の開口部を中に画定する平板型基板と、
前記基板の平面中の前記開口部のうちの1つの中に各々延び、前記開口部中に受容されたタブにより前記基板の前記平面から外れて偏向されるように、かつこのタブと係合するように構成される可撓性導体とを備える、コネクタ。
【請求項15】
前記平板型基板が、印刷回路基板を備え、前記可撓性導体が各々、前記印刷回路基板に結合される導電層を備え、前記可撓性導体が各々、前記印刷回路基板より可撓性がある、請求項14に記載のコネクタ。
【請求項16】
可撓性‐剛性PCB材料を使用して形成される、請求項15に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタック内で複数の個別の電池へ電気的に接続するための、燃料電池スタックで使用される電気コネクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気化学燃料電池は、燃料及び酸化体を電気エネルギー及び反応生成物に転換する。典型的な燃料電池は、アノード流場板とカソード流場板との間に挟み込まれる膜−電極組立体(MEA)を備える。流場板は典型的に、流体燃料または酸化体をMEAの活性表面へ送達するための、MEAに近接する平板の表面に亘って延びる1つ以上のチャネルを含む。流場板は、MEAへの電気的接触をその表面全体に提供する機能も果たす。
【0003】
従来の燃料電池スタックにおいて、複数の電池が、纏めて積み重ねられ、よって例えば1つの電池のアノード流場板がスタック内の次の電池のカソード流場板に近接している。いくつかの配置において、双極流板が、使用され、よって単一の流場板が平板の両側で流体流チャネルを有する。双極板の1つの側は、第1の電池に対してアノード流板としての役割を果たし、流板の他の側は、近接する電池に対してカソード流板としての役割を果たす。電力は、スタック内の第1及び最後の流板に電気的に接続することによりスタックから抽出され得る。典型的なスタックは、数十個、さらには数百個の電池を備え得る。
【0004】
多くの燃料電池スタックにおいて、スタック内の個別の電池の電圧を監視できることが重要である。したがって、スタック内の流板の多くに電気コネクタタブを提供することが必要である。これらの電池電圧監視タブは、平板の平面において、スタックから側外方に延び、それによりスタックの縁面に沿ってタブの配列を形成し、よって個別の電気コネクタが各タブに結合され得る。
【0005】
燃料電池スタックのサイズ及び重量を低減し、それ故に燃料電池スタックの電力密度を増加させるために、常により薄い流板への傾向があり、これは、波状にされて、流板の各面に必須のチャネルを形成する導電性金属または箔の薄いシートから形成され得る。これは、燃料電池スタックのサイズ及び重量を実質的に低減し得るが、流板の縁から側方に延びる電池電圧監視タブの形成を困難にする可能性を生み出す。今までのところ、流板の典型的な厚さは、およそ0.6mmまで低減されてきており、これは、ほとんど問題を生じさせることがなく、個別の電池電圧監視コネクタが使用されている。しかし、流板の厚さのさらなる低減、例えば0.1mmまでの計画は、従来の電気コネクタに関して著しい困難を生じさせ得る。同様に、単一の燃料電池スタック上の非常に多くの(例えば、数百個を超える)電池電圧監視タブは、それらへの接続を労働集約にし及び困難な操作を生み出す。
【0006】
流板の低減される厚さは、そこから延びる個別のタブが燃料電池スタックに対して遠位であるタブの端から各タブに適用される従来の押し込み嵌合バネ仕掛けまたは摩擦嵌合雌型コネクタにより確立される必要な圧縮力に抵抗するために必須である堅固さまたは構造的に完全な状態をもはや有し得ないことを意味する。したがって、コネクタに配列のタブに対する低挿入力を提供することが有益であり得る。
【0007】
別の問題は、タブが概して完璧な配列を形成せず、全てのタブが近接するタブと十分に整列されており、それらから均等に間隔が空いているということである。これは、燃料電池スタック組立時の標準的な製作公差及び組立公差に起因し、このことは、マルチタブコネクタを使用することが所望される場合、タブの整列においてさらに困難を提供し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によると、本発明は、
積み重ね型構成で配置される燃料電池であって、各電池が、x−y平面に対して実質的に平行であり、かつx方向に、電池内の平板の縁から側方に延びて、x−y平面と直交するz方向に、燃料電池スタックの側面に沿って延びるタブの配列を形成するタブを含む、燃料電池と、
燃料電池スタックのタブと係合するためのコネクタであって、コネクタが、
支持領域、
係合領域であって、各々が、支持領域により画成され、x方向での係合によりタブの配列のうちの1つを受容するように構成される、係合領域、及び
可撓性導体であって、それらの各々が、支持領域から係合領域のうちの1つの少なくとも一部分に亘って側方に延び、受容されたタブにより支持領域から離れて偏向されるように構成される、可撓性導体を備えるコネクタと、を備える、燃料電池スタック組立体を提供する。
【0009】
可撓性導体は、受容されたタブにより支持領域から離れてx方向に偏向されるように構成され得る。各係合領域は、支持領域中の別個の開口部により提供され得る。各係合領域は、x方向に、開口部を通してタブの配列のうちの1つを受容するように構成され得る。各可撓性導体は、タブにより偏向されたときに、受容されたタブと電気的に接触するように構成され得る。支持領域は、y−z平面に延び得る。支持領域は、可撓性導体と電気的に接触する導電層を備え得る。支持領域の導電層及び可撓性導体は、単一の層を備え得る。燃料電池スタック組立体は、コネクタ上に、可撓性導体に電気的に結合される電気ソケットまたはプラグを備え得る。燃料電池スタック組立体が、ソケットまたはプラグと可撓性導体のうちの少なくとも1つとの間で各々電気的に結合される抵抗器をさらに備え得る。係合領域の各々に、異なる抵抗器が関連し得る関連。支持領域は、可撓性導体より堅固であり得る。支持領域は、係合領域の各々を包囲し得る。燃料電池スタック組立体は、係合領域のうちの1つに各々関連する支持領域上の剛性導体をさらに備え得る。コネクタからのタブの解放を防止するために、タブが各々、それぞれの剛性導体と係合するように構成されるラッチを備え得る。
【0010】
さらなる態様によると、本発明は、燃料電池スタックのタブの配列と係合するためのコネクタを提供し、このコネクタは、
タブの配列のうちの1つを受容するように各々構成される複数の開口部を中に画定する平板型基板と、
基板の平面中の開口部のうちの1つの中に各々延び、開口部中に受容されたタブにより基板の平面から外れて偏向されるように、かつこのタブと係合するように構成される可撓性導体と、を備える。
【0011】
コネクタは、電気的接続をタブに提供するために、燃料電池システムまたは任意の他のシステムで使用され得る。平板型基板は、印刷回路基板を備え得、可撓性導体は各々、印刷回路基板に結合される導電層を備え得、この可撓性導体は各々、印刷回路基板より可撓性がある。
【0012】
本発明の実施形態は、例を通して及び添付の図面に関連してここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】各電池の側面から延びる電池電圧監視電気的接続タブの配列を備える燃料電池スタックの側面の一部分の透視図である。
図2a】燃料電池スタックのタブと係合するためのコネクタの一部分の概略正面図である。
図2b図1の燃料電池スタックのタブと部分的に係合する、示される図2aのコネクタのA−A線上の断面図である。
図3】複数の係合領域を示す図2aのコネクタの概略正面図である。
図4】複数の係合領域を備える別のコネクタの概略正面図であり、各係合領域は、複数の可撓性導体を備える。
図5】複数の係合領域を備える別のコネクタの概略正面図を例示し、各係合領域は、複数の可撓性導体を備え、共通の接続点を有する。
図6a図5のコネクタの断面図を例示する。
図6b図6aのコネクタの直交断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書を通して、「上」、「底」、「左」、「右」、「上方」、「下方」、「前」、「後ろ」、ならびにそれらの任意の形容詞及び副詞の派生語などの相対配向及び相対位置に関する記述語は、図面で表示されるように燃料電池スタックの配向の意味で使用される。しかし、かかる記述語は、記載されるかまたは特許請求される発明の目的の使用に多少なりとも限定することを意図されない。
【0015】
図1に関連して、燃料電池スタックは、多数の電池1を積み重ね型構成で含む。スタック内の電池の関係する縁のみ示される。各電池1は多数の構成要素を含む、例えば、膜及び電極組立体、電極拡散材料、及び封止ガスケットなど及び当技術分野では周知であり、ここではさらに説明されることはない流体流板間に挟み込まれる要素。各電池1は概して、x−y平面を占める平板型構造である。図1に示されるように、x軸は、紙面の平面中に及び平面から延びるが、y軸は、垂直方向に延びる。z軸は、左から右へ延びる。しかし、直交するx−y−z軸の配向のいずれの特定の選択によっても、スタック上の限定は示されない。
【0016】
スタック内の各双極流板は、燃料電池スタックの側面3からx方向に延びる電池電圧監視電気的接続タブ2を含む。表現「タブ」は、燃料電池スタックの側面3から外方に延び、燃料電池スタック内の電池1の電極に導電を提供する任意の好適な電気導体を包含することが意図される。各タブ2は、例えば一対のガスケット封止体(図示せず)を通して、それぞれの電池1の縁4から出てくる。複数のタブ2は配列を形成し、示される実施形態において、配列は、二次元の配列であり、タブ2の第1の列5は、タブ2の第2の列6からy方向に分離される。タブ2の第2の列6も、タブ2の第1の列5からz方向に相殺される。これは、z方向にタブの密度が実質的に低減、この場合半分になり得るように、スタック内の双極板が交互に、配列の各列5、6中の電池電圧監視タブ2を介して接続されることを可能にする。
【0017】
タブ2の配列中の列5、6の数が、1つ、2つ、またはそれ以上であり得ることが理解されよう。タブ2は、スタック内の全ての電池か、またはスタック内の全てよりも少ない電池に提供され得る。タブ2は、本例に記載されるような各双極板に対応し得るか、または別個のカソード流板及びアノード流板がスタック内で使用される場合、タブ2は、カソード及びアノード流板の各々の1つまたはその両方に提供され得る。
【0018】
各タブ2は好ましくは、例えば平板と同時にシートをプレスするか、又はシートから型に合わせて切るかなど、平板の不可欠な部分として形成される。タブ2は、圧着され得、例えば、x軸の周囲でカーブを付けられて、z方向への曲げに対する追加の堅固さを提供する。タブ2は、平板の1つ以上の縁上の複数の場所で形成され得る。
【0019】
図1に示されるように、各タブ2は、タブ2の先端7に鉤8、9を付けて形成され得る(先端は、平板の主要部から離れた端である)。鉤8、9は各々、y方向、即ちスタックの側面3と平行に延びる。鉤が全て外方に向くように、第1の列5中の鉤8は、正向きのy方向に延び得、第2の列6中の鉤9は、反対に、即ち負向きのy方向に延び得る。製作公差により、スタック内の各平板、したがって配列中の各タブ2は、図面で誇張して示されるように正確に規則的な配列位置から僅かに移動され得る。構成要素の典型的な散乱は、±0.2mmの位置公差から発生し得る。タブ2の薄さは、0.1mm以下の薄さであり得る。
【0020】
図2a及び2bは、燃料電池スタックのタブと係合するためのコネクタシステムの一部分(単純にコネクタ20と称され得る)を例示する。コネクタ20は、図1の燃料電池スタックに関して定義されるようなx方向に垂直であるy−z平面に延びる。
【0021】
図2aは、コネクタ20の一部分のy−z平面の前面図を例示する。コネクタ20は、支持領域21(基板とも称され得る)、係合領域22(基板内に開口部を形成することを伴い得る)、開口部中に延びる可撓性導体24、及び可撓性導体と基板との間の間隙23を備える。単一の係合領域22及び可撓性導体24のみが、図2aで例示されるコネクタ20の部分中に示されるが、図3〜5と関連して考察されるような他のものも存在し得る。
【0022】
支持領域21は、y−z平面に延びる。支持領域21は、印刷回路基板(PCB)により提供され得る。支持領域21は、好ましくは剛性である。
【0023】
係合領域22は、燃料電池のタブ2を受容するように構成される。係合領域22は、支持領域21中の開口部により提供され、支持領域21により画成もされる。図2aに示される例において、支持領域21は、係合領域22の開口部を全体的に包囲するが、別の例において、係合領域22は、支持領域21により、より少ない面(例えば、3つの面)で画成される可能性もある。
【0024】
図2bは、燃料電池スタックのタブ25と係合する間際であるコネクタ20の一部分のx−z平面の概略断面図を例示する。係合領域22の開口部は、y−z平面に対して垂直であるx方向での係合により燃料電池のタブ25を受容するように構成される。つまり、タブ25は、単純な押し込み嵌合配置で係合領域22の開口部中にまたは開口部を通って挿入され得る。これを行うために、コネクタ20は、x方向に、燃料電池スタックの面3に向かってプレスされる。コネクタ20は、任意の適切な保持機構を使用して、燃料電池スタックの面3に対する位置に保持され得る。
【0025】
開口部は、水切断、レーザー切断、または型抜きなどの任意の好適なプロセスにより形成され得る。係合領域22の開口部の幅wは、対応するタブ25の厚さtよりも(yまたはz方向に)実質的により広くてもよい。タブ25よりも2倍または3倍広い係合領域22を提供することは、コネクタ20に対するy−z平面における嵌合要件の公差を低減し得る。これは、燃料電池スタック上のタブの配列における許容誤差に起因する、支持領域21との接触によるタブ25への損傷の可能性を回避し得る。かかる例において、燃料電池のタブは、特別な強度のための圧着が不要であり得るため、製作の複雑さを低減する。
【0026】
可撓性導体24は、支持領域21からy−z平面に側方に延びる。コネクタ20が燃料電池スタックのタブ25と係合しないときに、可撓性導体24は、係合領域22の少なくとも一部分に亘って延びる。可撓性導体24のみが係合領域22の一部分に亘って延びる場合、間隙23が、可撓性導体24と係合領域22の1つ以上の縁との間に存在する。
【0027】
可撓性導体24は、受容されたタブ25により支持領域から偏向されるように構成される。例えば、可撓性導体24は、基板または支持領域21の平面から偏向される。タブ25による可撓性導体24上に及ぼされる力は、可撓性導体24の変形を生じ得る。示される例において、この変形は、可撓性導体24が支持領域21に境する場所に近接する、可撓性導体24の曲げとして明らかになる。可撓性導体24は、弾性的に可撓性があり、よってタブ25が可撓性導体24から解放されたときに、それが弾性的に支持領域21の平面に戻る材料を備え得る。あるいは、タブ25の係合により生じる可撓性導体24の変形には、柔軟性があり得る。
【0028】
タブ25と係合するための可撓性導体24の提供は、コネクタ20との係合によるタブ25の任意の機械的変形が最低限に抑えられるか、または少なくとも低減され、それによりタブの損傷を回避することを確実にする。これは、タブ25及び係合領域22の繰り返される取り付け及び取り外しを可能にする。しかし、タブ25は、良好な電気的接続を確実にするために、可撓性導体と接触するときに、曲解または屈曲するように構成され得る。曲解は好ましくは、弾性変形であり、よってコネクタの動作が反転可能になり、再係合することができる。
【0029】
支持領域21は、支持層27に貼着される導電層26を備える。図2bで示されるように、複数の支持層27が存在し得る。導電層26は、可撓性導体24と電気的に接触し、可撓性導体24と外部構成要素との接続を可能にする。支持層27は、支持領域26に剛性を提供する。
【0030】
導電層26及び可撓性導体24は、一元的であり得、例えば、タブ25が係合しないときにy−z平面に位置する材料の1つ以上の層を備える同一層または層状構造により提供され得る。したがって、支持領域21の導電層26及び可撓性導体24は、一体的に形成され得、よって可撓性導体24は、同一材料層の延長部または係合領域22中に入り込む導電層26の層である。
【0031】
導電層26は、例えば印刷回路基板(PCB)または可撓性PCB上のトラックなどの導電性トラックを形成し得る。可撓性導体24は、可撓性PCB上の導電領域として提供され得る。導電層26及び/または可撓性導体24のための他の好適な材料には、その上に好適な導電膜、例えば銅、ニッケル、または金などを含む金属膜及び炭素シートまたはポリアミドが含まれる。あるいは、可撓性導体24は、金属膜よりもむしろ、金属シートなどのより剛性な材料または構造により提供され得る。この場合、可撓性導体24の可撓性は、それと導電層26との機械的係合の方法により提供され得る。例えば、ヒンジ、または相対的弱さもしくはより高い可撓性の領域は、可撓性導体24と導電層26との間で提供され得る。
【0032】
支持層27は、可撓性導体24または導電層26より堅固な材料により提供され得る。支持層27は、PCBの誘電体層により提供され得る。支持層27は、PCB製作で一般的に使用されるテフロン(登録商標)、FR−4、FR−1、CEM−1、またはCEM−3などの材料により提供され得る。支持層27は、図2bで例示される挟み込み配置にある導電層26のいずれかの側または両側に提供され得る。概して、コネクタ20の支持領域21及び係合領域22の組み合わされた構造は、最近開発された剛性‐屈曲性/可撓性‐剛性PCB技法を使用して形成され得、この場合、可撓性基板及び剛性基板が共に積層されて、可撓性の領域及び剛性領域のより堅固な領域を有する印刷回路基板を形成する。
【0033】
図2〜6に例示される類似の特徴は、対応する参照数字で表示され、後の図に関して詳細に記載される必要はないであろう。
【0034】
図3は、コネクタ30のy−z平面の前面図を例示し、図2aで例示される係合領域と各々類似する複数の係合領域32a、32b、32cを示す。本例において、各係合領域32a、32b、32cは、単一の可撓性導体34a、34b、34cを提供する。
【0035】
支持領域31は、係合領域32a、32b、32cの各々を画成する連続的支持領域である。各係合領域は、それぞれのタブ2、25への接続を提供する。
【0036】
係合領域32a、32b、32cは、z方向に延びる配列として提供され、燃料電池スタックのタブ2と各々整列する。3つの係合領域のみが示されるが、配列は、多数のタブ2に対応する多くの係合領域を含有し得る。コネクタ30は、z方向に各々延び、y方向に互いに間隔を空けている2つの列を提供することにより図1の燃料電池スタックのタブと係合するように構成され得る。各配列は、図1の燃料電池のタブの各々を係合するために18箇所の係合領域を備える必要があるであろう。
【0037】
多くのタブに同時に結合するコネクタ30を使用することにより、組立費用が著しく低減され得、組立エラーも低減され得る。絶縁体が各タブ間に支持領域31により提供され得るため、近接するタブの間を詰めるリスクも、かかるコネクタ30の提供により低減され得る。
【0038】
タブのコネクタ30との係合に必要とされる低挿入力は、コネクタ30を、タブへの損傷を与えない容易な取り外し及び再接続にとって好適とする。コネクタ30は本質的に、容易にモジュラー作製可能である。PCB平板支持領域31の使用は、コネクタ30が安価で作製されることを可能にしながら、燃料電池システムの他の構成要素との容易な一体化を可能にする。コネクタ組立体30は、エッチング及びプレスされた燃料電池場板及び分離板の両方に使用され得る。
【0039】
図4は、複数の係合領域42a、42b、42cを備える別のコネクタ40のy−z平面の前面図を例示する。各係合領域42a、42b、42cは、タブ2、25により別々に偏向可能な複数の可撓性導体44a、44b、44c、44dを備える。第1の係合領域42aに関連する複数の可撓性導体44a、44b、44c、44dの各々は、間隙43(係合領域42aの開口部の覆われていない部分)により第1の係合領域42aの他の可撓性導体44a、44b、44c、44dから分離される。
【0040】
本例において、係合領域42a、42b、42cは、長方形である。第1の係合領域42aの可撓性導体44a、44b、44c、44dの各々は、第1の係合領域42aの異なる側部から延びる。このように、x方向に、係合領域42a中に挿入されたタブは、少なくともいくつかの、好ましくは全ての可撓性導体44a、44b、44c、44dを支持領域のy−z平面から離して偏向させる。
【0041】
図5は、複数の係合領域52a、52bを備える別のコネクタ50のy−z平面の前面図を例示する。係合領域52a、52bの下のタブ55の輪郭は、図5に例示される。各係合領域52a、52bは、共通の接続点を有する複数の可撓性導体54a〜54dを備える。これらの特徴は、例として係合領域52aの一つ目に関連して下記でさらに詳細が考察されるであろう。
【0042】
第1の係合領域52aは、概括的に長方形であり、第1の側部59a、反対の第2の側部59b、第1及び第2の側部59aと59bとの間に延びる第3の側部59c、ならびに第3の側部59cの反対にある第4の側部59dを有する。第1の係合領域52aは、第1の可撓性導体54a、第2の可撓性導体54b、第3の可撓性導体54c、及び第4の可撓性導体54dを備える。可撓性導体54a、54b、54c、54dは、係合領域52a中に各々延びる複数のはねぶたを画定するとみなされ得る。
【0043】
可撓性導体54a、54b、54c、54dは、第1の係合領域52aの周辺に延びる周囲の可撓性材料により互いに接続される。可撓性導体も、概括的に長方形であり、各々が、第1の係合領域52aの側部59a、59b、59c、59dのうちの1つから延びる側部を有する。間隙53は、近接する可撓性導体54a、54b、54c、54dの各々の間に延びる。
【0044】
第1及び第3の可撓性導体54a、54cは共に、第1の係合領域52aの第1の側部59aから反対の第2の側部59bに向かって延び、周囲の可撓性材料の一部分により接続される。
【0045】
第2の可撓性導体54bは、第1及び第3の可撓性導体54aと54cとの間に挟まれ、第1の係合領域52aの第2の側部59bから第1の側部59aに向かって延びる。第2の可撓性導体54bは、周囲の可撓性材料の一部分により第1の可撓性導体54aに接続される。
【0046】
第4の可撓性導体54dは、第1の係合領域52aの第3の側部59cから第4の側部59dに向かって延びる。第4の可撓性導体54dは、周囲の可撓性材料のそれぞれの部分により第2及び第3の可撓性導体54b、54cに接続される。
【0047】
電気ソケット、ピン、ブレード、コンセント、またはプラグ56が、支持領域51に搭載されて、外部接続点を形成し得る。ソケット、ピン、ブレード、またはプラグは、可撓性導体54a、54b、54c、54dの各々に電気的に結合され得る。コネクタ50は、ソケットまたはプラグと係合領域52a、52bの可撓性導体との間で各々電気的に結合される電流制限抵抗器58を含み得る。係合領域52a、52bの各々に、別個の抵抗器58が関連し得る。各抵抗器58は、保護要件に従って、同一の抵抗値または異なる抵抗値であり得る。抵抗器58は、接続時の燃料電池コネクタとコネクタ50との間の過負荷電流を防止し、かつ/または静電放電のリスクを低減するように構成され得るが、電池の電圧の監視をなおも可能にする。電池電圧監視回路は、コネクタ50の支持領域51上の本来の場所にも提供され得、例えば、抵抗器と外部接続点56との間の回路基板上で電気的に位置され得る。
【0048】
図6は、図5のコネクタの一部分及びタブ65の2つの直交断面図を例示する。タブ65は、図1の燃料電池のタブ2などの双極板の縁コネクタである。図6aは、タブ65及びコネクタ60のx−z平面を通る側面図を例示する。図6bは、タブ65及びコネクタ60のx−y平面を通る側面図を例示する。
【0049】
コネクタ60は、支持領域61及び係合領域62を備える。係合領域62は、支持領域61中の開口部により画定される。コネクタ60の第1、第2、及び第4の可撓性導体64a、64b、64dも図6a及び6bで可視可能である。第3の可撓性導体64c及び第1の可撓性導体64aは、図6aで共通の外形を有する。可撓性導体64a、64b、64dの全ては、支持領域61から係合領域62の少なくとも一部分に亘って延びる。
【0050】
図6aにおいて、第1及び第2の可撓性導体64a、64bは、偏向された状態で見られ得る。第1及び第2の可撓性導体64a、64bは、支持領域61の反対の縁からz方向に延びる。
【0051】
図6bにおいて、第4の可撓性導体64dは、偏向された状態で見られ得る。第4の可撓性導体64dは、支持領域61の縁から係合領域62の一部分に亘ってy方向に延びる。支持領域61の反対の縁に近接する支持領域61の(y−z平面における)上表面は、タブ65に当接し得るラッチ領域70を提供する。ラッチ領域70は、タブ65と電気的ならびに機械的に接触するように構成される剛性導体であり得る。
【0052】
タブ65は、ラッチ縁72bの反対側にある平坦縁72aを有する。ラッチ縁72bは、支持領域61のラッチ領域70に当接し得るラッチ面76を提供する。タブ65は、燃料電池スタックに対して近位部分74a及び遠位部分74bを有する。タブ65の遠位部分74bは、近位部分74aの幅w1よりもy方向により大きな幅w2を有し、それにより、タブ65の幅において段階的変化を提供して、ラッチ縁72bを画定する。
【0053】
タブ65及びコネクタ60の係合中、下記のステップが実行される。
タブ65を、係合領域62を画定する支持領域61中の開口部を通してx方向に挿入する。タブ65を、平坦縁72aが第3の可撓性導体64dに近接して位置し、ラッチ縁72bが係合領域62の剛性導体70側に近接して位置するように挿入する。挿入されたタブ65が、可撓性導体64a、64b、64c、64dをx方向に支持領域61から離して移動させ、偏向させる。
【0054】
次に、コネクタ60をタブ65に対してy方向に押し、よってタブ65のラッチ面76が、ラッチ領域70に面する。第4の可撓性導体64dは、タブ65をy方向に、ラッチ領域70に向かって偏らせるように構成され得る。一度ラッチ面76がラッチ領域70と整列すると、ラッチ領域70は、負向きのx方向にタブ65が外れるのを防止する。
【0055】
反する意図が明白でない限り、一例に関して記載される特徴が、任意の他の例で例示される特徴に加えて提供され得ることが理解されるであろう。
【0056】
印刷回路基板と共に記載されるか、その上に記載されるか、またはその中に組み込まれるようなコネクタ20、30、40、50、60を形成することは、他の構成要素のコネクタ中への容易な一体化または他の構成要素との接続、ならびに既存の便宜的なPCB製作技法の使用を可能にする。PCBの平面におけるPCB内の開口部の配列中に延びる偏向可能な可撓性導体の使用は、全てのタブの迅速な接続のための、燃料電池スタックの全てのタブの開口部の配列への容易な、低い力の挿入を可能にする。燃料電池スタック上の非常に多くの(例えば、300個を超える)タブコネクタが、迅速に容易に接続される必要がある場合、これは特に有利であり得る。
【0057】
他の実施形態は意図的に、添付の請求項の範囲内である。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6a
図6b