(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598781
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ハイブリッドマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
B01J 13/16 20060101AFI20191021BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20191021BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20191021BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20191021BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20191021BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20191021BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20191021BHJP
A61K 8/84 20060101ALI20191021BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
B01J13/16
C11B9/00 Z
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q19/00
A61Q15/00
A61Q5/12
A61K8/84
A61K8/25
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-541430(P2016-541430)
(86)(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公表番号】特表2017-503643(P2017-503643A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2014078324
(87)【国際公開番号】WO2015091705
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年10月31日
(31)【優先権主張番号】13198298.5
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨンタオ ウー
(72)【発明者】
【氏名】ラウシーヌ ワリ
【審査官】
柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−170214(JP,A)
【文献】
特開平03−048861(JP,A)
【文献】
特開平06−295092(JP,A)
【文献】
特表2012−500766(JP,A)
【文献】
特表2011−514842(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/063257(WO,A2)
【文献】
国際公開第2013/182855(WO,A2)
【文献】
特開2013−059550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/00
A61K 8/00
C11B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機−無機マイクロカプセルの製造方法であって、
1)水に、少なくとも1つのアミン官能基を有する第1のタイプの無機粒子及び少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有する第2のタイプの無機粒子を懸濁させることで水相を形成する工程、ここで、第1のタイプの無機粒子と第2のタイプの無機粒子との間の比が0.95〜0.05の間に含まれており;
2)少なくとも1つのポリイソシアネートを香料油又はフレーバー油に懸濁させることで油相を形成する工程;
3)油相を水相に添加し、それらを混合して、少なくとも1つのポリイソシアネートと無機粒子上の官能基との間の界面反応を可能にする条件下で、水中油型ピッカリングエマルションを形成することで、無機−有機マイクロカプセルを形成する工程
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
水相のpHを2〜8の間に含まれる値に調整し、形成されたピッカリングエマルションのpHを8.5〜11の間に含まれる値に調整することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
油相が5%〜60%の間のピッカリングエマルションであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
油相が20%〜40%の間のピッカリングエマルションであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
アミン、第四級アミン、ドーパミン、グリシジルエーテル、ポリオール、フェノール類、アミノ酸、糖類及び親水性イソシアネートからなる群から選択されるモノマー又はポリマーの溶液中にマイクロカプセルを分散させる工程を更に含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
無機粒子が、シリカ、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、雲母、粘土、カオリン、モンモリロナイト、ラポナイト、ベントナイト、パーライト、ドロマイト、ダイアトマイト、バーミキュライト、ヘクトライト、ギブサイト、イライト、カオリナイト、アルミノケイ酸塩、石膏、ボーキサイト、マグネサイト、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、及び珪藻土からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1のタイプの無機粒子と第2のタイプの無機粒子が同じ無機材料からなることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
無機粒子がシリカからなることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
水相中に存在する無機粒子の全量が水相の0.1質量%〜20質量%の間に含まれることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
水相中に存在する無機粒子の全量が水相の0.5質量%〜5.0質量%の間に含まれることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ポリイソシアネートが、油相の0.1質量%〜20質量%の間に含まれる量で存在することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
有機−無機マイクロカプセルであって、
a)疎水性の香料又はフレーバーのコア;
b)少なくとも1つのアミン官能基を有する第1のタイプの無機粒子及び少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有する第2のタイプの無機粒子を含むシェル
を含み、前記粒子がポリイソシアネートで選択的に架橋されており、かつ、第1のタイプの無機粒子と第2のタイプの無機粒子との間の比が0.95〜0.05の間に含まれている、前記有機−無機マイクロカプセル。
【請求項13】
付香組成物であって、
(i)請求項12に記載の少なくとも1つのマイクロカプセル;
(ii)香料担体、香料補助成分及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分;
(iii)任意に溶媒又は補助剤
を含む、前記付香組成物。
【請求項14】
付香成分として、請求項12に記載の少なくとも1つのマイクロカプセルを含む、付香された消費者製品。
【請求項15】
皮膚洗浄製品、シャンプー、リンスオフコンディショナー、消臭剤、制汗剤、ボディローション、リーブオンコンディショナー、ファブリックコンディショナー、液体洗剤、粉末洗剤及び万能クリーナーからなる群から選択されるホームケア又はパーソナルケア製品の形の、請求項14に記載の付香された消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーバー又は香気コアと、少なくとも2つのタイプの無機粒子から構成され、架橋されたハイブリッドシェルとを有する「ハイブリッド」マイクロカプセルとも呼ばれる、有機−無機マイクロカプセルの製造方法に関する。前記方法により得られたマイクロカプセルも本発明の対象である。前記カプセルを含む付香組成物及び消費者製品、特にホームケア又はパーソナルケア製品の形の付香された消費者製品も本発明の一部である。
【0002】
発明の背景
香料産業が直面する問題の一つは、その揮発性、特にその「トップノート」の揮発性のために、発香性化合物によりもたらされる嗅覚的利益の比較的急速な損失にある。揮発性物質の放出速度を調整するために、香料を含有するマイクロカプセルなどの送達系は、コアのペイロードを保護し、後でトリガーされた時に放出する必要がある。これらの系に関する産業からの重要な要件は、物理的に解離又は分解することなく、興味深いベース中で懸濁状態を存続することである。例えば、高濃度の攻撃的な界面活性剤の洗浄剤を含有する香り付きの個人及び家庭用クレンザーは、マイクロカプセルの安定性にとって非常に興味深い。
【0003】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂で形成されたアミノプラストマイクロカプセルは、主に、疎水性活性物質をカプセル化するために使用されており、従って、前記活性物質を保護し、それらの制御放出をもたらす。しかしながら、カプセル、例えば、アミノプラストカプセルは、界面活性剤を含む消費者製品、例えば、香料消費者製品において使用される時、特に高温で長期間保存した後、安定性の問題に悩まされている。このような製品では、カプセル壁が無傷のままであっても、カプセル化された活性物質は、カプセル化された活性物質を製品ベース中に可溶化できる界面活性剤の存在のために、壁を通る拡散によってカプセルから漏出し易い。漏れ現象は、活性物質を保護し且つその制御放出を提供するカプセルの効率を低下させる。
【0004】
様々な戦略が、オイルコアベースのマイクロカプセルの安定性を改善するために記載されている。ポリ(アミン)及びポリ(イソシアネート)などの化学基での、カプセル壁の架橋は、マイクロカプセルの安定性を改善する方法として記載されている。WO2011/154893号は、例えば、特定の相対濃度で芳香族及び脂肪族ポリイソシアネートの組み合わせを使用して、ポリ尿素マイクロカプセルの製造方法を開示している。
【0005】
無機粒子による油/水界面の安定化は、いわゆるピッカリングエマルションに記載されている。この文脈では、無機粒子の、それらの架橋を可能にするための官能化は、知られている。例えば、静電相互作用をもたらす高分子電解質で外側水相から架橋したピッカリングエマルションは、先の開示の対象となっている(Li Jianら、Langmuir(2010)、26(19)、15554〜15560)。しかしながら、このような系は、静電相互作用が安定性を促進するには不十分であるため、界面活性剤ベース中で又はエタノール中で経時的に非常に解離し易い。共有結合架橋も、コロイドソームの調製におけるピッカリングエマルションに関連して記載されている。具体的には、架橋剤としてのジイソシアネートの使用が、学術刊行物に開示されている。WO2009/063257号も、内容物に対して紫外線からの増大した保護水準を有するマイクロカプセルを製造するために、表面修飾無機粒子のための可能な架橋剤としてのポリイソシアネートの使用を記載している。これらの製品は、一般に、農薬用途を目的としている。このタイプの系は、香料のカプセル化には適していない。実際に、マイクロカプセルの良好な形態及び透過性を維持するために、過剰の表面修飾された無機粒子が必要とされている。別の問題は、これらのマイクロカプセルがサイズ調整のためにほとんど余裕を示さないことである。また、油−水界面で吸着された粒子の量は制限されて、これがカプセル膜の特性に影響する。
【0006】
従って、系の透過性及び/又はその機械的特性などの特性を改良するために、粒径調整に関して柔軟であり且つ吸着粒子の量の良好な制御を可能にする、改良された系が必要とされている。
【0007】
発明の概要
第1の態様において、本発明は、以下の工程:
1)水に、少なくとも1つのアミン官能基を有する第1のタイプの無機粒子及び少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有する第2のタイプの無機粒子を懸濁させることで水相を形成する工程;
2)少なくとも1つのポリイソシアネートを香料油又はフレーバー油に懸濁させることで油相を形成する工程;
3)油相を水相に添加し、それらを混合して、少なくとも1つのポリイソシアネートと無機粒子上の官能基との間の界面反応を可能にする条件下で、水中油型ピッカリングエマルションを形成することで、無機−有機マイクロカプセルを形成する工程
を含む有機−無機マイクロカプセルの製造方法に関する。
【0008】
第2の態様において、本発明は、かかる方法によって得られるマイクロカプセル並びにそれらを含有する付香組成物及び付香物品に関する。
【0009】
最後の態様において、本発明は、界面重合反応に更に供されるピッカリングエマルションの安定化のための、機能性の観点から2つのタイプの無機粒子の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ヒドロキシル−SiO
2粒子(OH−SiO
2と呼ばれる)及びアミノ−SiO
2粒子(NH
2−SiO
2と呼ばれる)の混合物が油相を安定化するために使用される際のピッカリングエマルションの形成の概略図である。
【
図2】100%のNH
2−SiO
2もしくは50%のNH
2−SiO
2+50%のOH−SiO
2を使用する際の油/水界面でのSiO
2の吸着を図示する走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【
図3】粒子混合物中のOH−SiO
2の百分率の関数としてのマイクロカプセルのサイズを表す。
【
図4】粒子混合物中のOH−SiO
2の百分率の関数としてのカプセルの膜中のSiO
2の百分率を表す。
【
図5】2つのタイプの粒子の混合物を有する系に対して、1つのタイプの粒子を有する系を比較した際のシャワージェル適用における安定性の結果を表す。
【
図6】50%のNH
2−SiO
2+50%のOH−SiO
2を用いて製造されたハイブリッドマイクロカプセルに対して100%のNH
2−SiO
2を用いて製造されたハイブリッドマイクロカプセルを比較するパネル試験において測定された香料の知覚強度を表す。
【0011】
発明の詳細な説明
特に明記しない限り、百分率(%)は、組成物の質量パーセントを指すことを意味する。
【0012】
「少なくとも1つのアミン官能基を有する無機粒子」とは、各粒子がNH
2などの少なくとも1つのアミン部分を含むように、官能化されていることを意味する。
【0013】
「少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有する無機粒子」とは、各粒子がOHなどの少なくとも1つのヒドロキシル部分を含むように、官能化されていることを意味する。
【0014】
「香料油又はフレーバー油」とは、単一の付香又はフレーバリング化合物又は複数の付香又はフレーバリング化合物の混合物を意味する。
【0015】
「粒径」とは、粒子を水相に分散させた際に、マルバーンインスツルメンツ社(英国)製のゼータサイザーナノZS装置を使用する動的光散乱(DLS)によって測定される粒度分布に基づいた粒子の平均直径を意味する。
【0016】
「マイクロカプセルサイズ」とは、マルバーンマスターサイザー3000において希釈された試料のレーザー光散乱により得られるような、関連するカプセル、カプセル懸濁液の体積平均粒径(D[4,3])を意味する。
【0017】
本発明は、活性物質、例えば、香料油を、丈夫なポリマーシェルを用いてカプセル化するための揮発系の製造方法に関する。前記系は、カプセルの特性、特に、それらのサイズ、形態、透過性、密度及び表面特性の調整ができるように柔軟である。具体的には、本発明の第1の対象は、以下の工程:
1)水に、少なくとも1つのアミン官能基を有する第1のタイプの無機粒子及び少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有する第2のタイプの無機粒子を懸濁させることで水相を形成する工程;
2)少なくとも1つのポリイソシアネートを香料油又はフレーバー油に懸濁させることで油相を形成する工程;
3)油相を水相に添加し、それらを混合して、少なくとも1つのポリイソシアネートと無機粒子上の官能基との間の界面反応を可能にする条件下で、水中油型ピッカリングエマルションを形成することで、無機−有機マイクロカプセルをスラリー中に形成する工程、
4)任意に、得られたマイクロカプセルのスラリーを乾燥させる工程
を含む有機−無機マイクロカプセルの製造方法からなる。
【0018】
本発明の方法は、ピッカリングエマルションを形成することにあり、ピッカリングエマルションは、更に、油相中のポリイソシアネートと、油/水界面上に吸着する無機粒子の表面上の官能基との間で起こる界面反応に供されるので、無機粒子を油/水界面で固定してハイブリッドシェルを形成する。理論により拘束されることを望まないが、ピッカリングエマルションが、膜の形態及び表面特性(サイズ、密度、ゼータ電位、剛性)を決定する一方で、界面反応は、ハイブリッドカプセルの透過性を決定すると考えられる。
図1は、第1のタイプの粒子及び第2のタイプの粒子の混合物が使用される時のピッカリングエマルションの形成を図示する。特定の実施態様によれば、本発明によるハイブリッドマイクロカプセルは、あらゆる分子状界面活性剤の不在下で調製される。
【0019】
本方法の第1工程では、混合された無機粒子(第1のタイプ及び第2のタイプ)は、好ましくは2〜8の間に含まれるpHの水相に分散される。典型的には、これは超音波撹拌を使用して行われる。第2工程では、少なくとも1つのポリイソシアネートを、香料油又はフレーバー油に溶解して油相を形成し、これをその後、水相に添加してピッカリングエマルションを形成する。水中油型ピッカリングエマルションは、例えば、室温で高速機械的分散機又は超音波分散機を使用することによって作られる。ピッカリングエマルションが形成されると、pH値は、8.5を超える値、好ましくは11より高くない値に好ましくは調整される。界面反応は、典型的には、反応を完了させ且つ無機−有機マイクロカプセルをスラリーの形で形成するために、2〜40時間の撹拌下で50℃〜80℃の間の温度で実施することができる。
【0020】
特定の実施態様によれば、油相の濃度は、ピッカリングエマルションの5%〜60%の間、好ましくは20%〜40%の間に含まれる。
【0021】
特定の実施態様によれば、本発明の方法は、反応プロセスの間にポリアミン又はポリオールを水相に添加することを含む。この付加的な工程は、より緻密な有機−無機シェルの形成を可能にする。適切なポリアミンの例は、グアニジン、グアニジン塩、グアナゾール、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリエーテルアミン及びポリビニルアミンを包含する。適切なポリオールの例は、エチレングリコール、グリセロール、スクロース、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコールを包含する。
【0022】
特定の実施態様によれば、本発明の方法によって得られるハイブリッドマイクロカプセルの表面は、付加的な工程で修飾することができる。表面修飾に適したモノマー又はポリマーは、モノマー又はポリマーとマイクロカプセルとの間の化学結合を形成することができ且つマイクロカプセルと目的基材との間の適合性を向上させることができる化合物から選択される。これらの化合物の典型的な例は、アミン、第四級アミン、ドーパミン、グリシジルエーテル、ポリオール、フェノール類、アミノ酸、糖類及び親水性イソシアネートを包含する。この実施態様によれば、上記の方法により得られたマイクロカプセルは、上記のモノマー又はポリマーの溶液中に更に分散される。この表面修飾は、任意に触媒の存在下で、温和な条件で実施することができる。
【0023】
特定の実施態様によれば、上記の方法のいずれかにより得られたカプセルスラリーを更に乾燥させることができる。当業者に知られている任意の乾燥方法が使用され得る;具体的には、スラリーは、粉末形のマイクロカプセルを提供するために、好ましくは、ポリマー担体材料、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然又は変性澱粉、植物ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラゲナン又はセルロース誘導体の存在下で、噴霧乾燥されてよい。
【0024】
上記の方法によって得られるカプセルも本発明の対象である。
【0025】
本発明のマイクロカプセルの形態は、コア−シェル型からマトリックス型まで変化し得る。一実施態様によれば、これはコア−シェル型のものである。この場合、マイクロカプセルは、疎水性の香料油又はフレーバー油のコアと、少なくとも1つのアミン官能基を有する第1のタイプの無機粒子及び少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有する第2のタイプの無機粒子を含むシェルとを含み、前記粒子はポリイソシアネートで選択的に架橋されている。マイクロカプセルは、シェルの性質に関して「有機−無機」又は「ハイブリッド」として定義されており、前記シェルは、ピッカリングエマルションを安定化するために使用され、少なくとも1つのポリイソシアネートとの界面重合に更に供される少なくとも2つのタイプの無機粒子から構成される。これらの粒子の第1のタイプは、少なくとも1つのアミン官能基を有する無機粒子で構成され、本明細書では「タイプ1」と呼ばれ、第2のタイプは、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有する無機粒子で構成され、本明細書では「タイプ2」と呼ばれる。驚くべきことに、これらの2つのタイプの無機粒子の混合物を使用することで、1つのタイプのみの粒子、例えば、アミン官能基を有する粒子のみを使用したマイクロカプセルと比較して、それらの特性の可能な調整を通して得られるマイクロカプセルを大幅に改善していることが判明した。実際に、後者はサイズ調整のためにほとんど余裕を示さないだけでなく、油−水界面で限定された吸着官能化粒子を示し、これはカプセル膜の特性に本質的に影響を与える一方で、本発明による方法によって得られるマイクロカプセルは、油−水界面でより良好な粒子の吸着を可能にする。
図2は、これに関して、1つのタイプのみの粒子を有する系と2つのタイプの粒子の混合物を有する系との間の比較を示す。この写真は、混合物を使用することで、より緻密な膜を提供できることを示す。カプセル中と膜上への粒子の改善された充填量(loading)は、従来技術と比較して、カプセルの密度を増加させ、これはまた、液体配合物中のカプセルスラリーの懸濁の点でも利点を有する。また、本発明によるカプセルのサイズだけでなく、送達系の膜内の粒子含有量も調整可能である。更に、本発明のハイブリッドマイクロカプセルが、それらの表面特性を2つのタイプの無機粒子の間の比の関数として調整できることが判明し、これは、付香された消費者製品などの用途において、異なるポリマーを使用することによる表面修飾のためにこれらのハイブリッド系の性能を更に改善する更なる機会を与える。また、表面上への付着の観点から、本発明のカプセルは、カチオン性ポリマーで官能化されたポリ尿素ベースのカプセルなどの従来技術のカプセルよりも非常によく且つ良好に機能することも観察された。
【0026】
本発明の方法に適した無機粒子は、シリカ、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、雲母、粘土、カオリン、モンモリロナイト、ラポナイト、ベントナイト、パーライト、ドロマイト、ダイアトマイト、バーミキュライト、ヘクトライト、ギブサイト、イライト、カオリナイト、アルミノケイ酸塩、石膏、ボーキサイト、マグネサイト、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、及び珪藻土を包含する。好ましくは、二酸化ケイ素、二酸化チタン及び酸化亜鉛のような化粧品グレードの酸化物からなる群から選択される無機粒子が使用される。更に好ましくは、シリカが使用される。
【0027】
一実施態様によれば、第1のタイプの無機粒子及び第2のタイプの無機粒子は、同じ材料からなる。例えば、シリカの場合、混合物は、OH−SiO
2とNH
2−SiO
2とを組み合わせることにある。別の実施態様によれば、第1のタイプの無機粒子と第2のタイプの無機粒子は、異なる無機材料からなる。好ましくは、この混合物は、二酸化ケイ素と、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二酸化チタン及び粘土からなる群から選択される第2のタイプの粒子とからなる。
【0028】
粒子のサイズは、典型的には、10〜6000nmの間、好ましくは100〜1000nmの間、更に好ましくは100〜500nmの間に含まれる。
【0029】
好ましい実施態様によれば、タイプ1とタイプ2の無機粒子は、異なる粒径を有する。異なる粒径とは、粒径が20%を超えて異なることを意味する。別の実施態様によれば、タイプ1とタイプ2の無機粒子は、同様のサイズ、即ち、同じ桁のサイズを有する。本発明の枠組みの中で同じ桁と見なされるものは20%未満異なるものである。
【0030】
本発明のマイクロカプセルの調製に使用される無機粒子のタイプ1とタイプ2との間の比は、得られる生成物の特性に影響を与える。更に具体的には、前記比を変更することによって、油/水界面での無機粒子の吸着を制御することができる。本発明によれば、無機粒子のタイプ1とタイプ2との間の比は、好ましくは0.95〜0.05の間、更に好ましくは0.7〜0.3の間に含まれる。
図3及び4は、異なる割合の第2のタイプの粒子の存在が、カプセルのサイズ(
図3)及びカプセルの膜中の無機粒子の百分率(
図4)に及ぼす影響を図示する。これは必要に応じて調整され且つ最適化される系の能力を実証する。
【0031】
好ましくは、水相中に存在する無機粒子の合計量は、0.1〜20質量%の間、更に好ましくは0.5〜5.0質量%の間に含まれる。
【0032】
本発明に従って使用される適切なポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及びそれらの混合物を包含する。
【0033】
一実施態様によれば、前記ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。「芳香族ポリイソシアネート」との用語は、ここで、芳香族部分を含むあらゆるポリイソシアネートを包含するものを意味する。好ましくは、これはフェニル、トルイル、キシリル、ナフチル又はジフェニル部分、更に好ましくは、トルイル又はキシリル部分を含む。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ビウレット及びポリイソシアヌレート、更に好ましくは上記で引用された特定の芳香族部分のうちの1つを含むものである。更に好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(商品名Desmodur(登録商標)RCでバイエルから市販)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名Desmodur(登録商標)L75でバイエルから市販)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名Takenate(登録商標)D−110Nで三井化学から市販)である。最も好ましい実施態様では、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0034】
別の実施態様によれば、前記ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」との用語は、あらゆる芳香族部分を含まないポリイソシアネートとして定義されている。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学から市販)又はヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(商品名Desmodur(登録商標)N100でバイエルから市販)であり、その中でもヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットが更に一層好ましい。
【0035】
別の実施態様によれば、前記少なくとも1つのポリイソシアネートは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物であって、両方とも少なくとも2つ又は3つのイソシアネート官能基を有するもの、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物の形である。最も好ましくは、これはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。
【0036】
好ましくは、少なくとも1つのポリイソシアネートは疎水性である。
【0037】
好ましくは、少なくとも1つのポリイソシアネートは、油相の0.1質量%〜20質量%の間に含まれる量で存在する。
【0038】
本発明のハイブリッドマイクロカプセルは、香料油又はフレーバー油をカプセル化し得る。好ましくは、香料油又はフレーバー油は、マイクロカプセル懸濁液の5質量%〜60質量%の範囲の量で存在する。本発明の文脈において、マイクロカプセル懸濁液又はマイクロカプセルスラリーに関しては同等であり、水中マイクロカプセル懸濁液を意味する。有利には、本発明のプロセスを通してうまくカプセル化できる油は、広範囲の疎水性と揮発性を有する。なお、「香料油」とは、ここでは、快楽効果を付与するために付香調製物又は組成物において使用される化合物又は化合物の混合物を意味することにも言及する価値がある。換言すれば、付香化合物として見なされるべき、このような化合物は、当業者によって、肯定的又は快適な方法で組成物の匂いを付与又は変更することができ、かつ単に匂いを有するだけではないものとして認識されなければならない。香料油は、付香成分単独又は付香組成物の形の成分の混合物であってよい。任意の付香成分又は付香組成物を使用することができる。通常、1を上回るlogPを有する少なくとも1つの成分を含む香料油を、本発明において使用することができる。その一方で、フレーバリング油、即ち、組成物又は製品の風味を付与又は変更することができる1つ又は複数の成分も、本発明の方法を通してカプセル化されるのに適した油である。このような付香又はフレーバリング成分の具体例は、参照の文献、例えば、S. ArctanderによるPerfume and Flavour Chemicals, 1969年(及びそれ以降の版)、ニュージャージー州モントクレア(USA)、並びに香料及びフレーバー産業に関連する多数の特許及び他の文献に見出され得る。それらは付香又はフレーバリング消費者製品、即ち、心地よい匂い又は風味を消費者製品に付与する当業者によく知られている。
【0039】
付香成分の場合、それらは、香料産業において現在使用されている溶媒に溶解されてよい。このような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネン又は他のテルペン、又はイソパラフィンである。
【0040】
本発明の別の対象は、
(i)上記で定義された香料マイクロカプセル;
(ii)香料担体、香料補助成分及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分;
(iii)任意に少なくとも1つの香料補助剤
を含む、付香組成物である。
【0041】
液体香料担体としては、非限定的例として、乳化系、即ち、溶媒及び界面活性剤系、又は香料において通常使用される溶媒が挙げられる。香料において通常使用される溶媒の性質及び種類の詳細な説明は、網羅できない。しかしながら、非限定的例として、最も一般的に使用されている、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール又はクエン酸エチルなどの溶媒を挙げることができる。香料担体及び香料補助成分の両方を含む組成物の場合、先に規定したもの以外の適切な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば、商標Isopar(登録商標)(製造元:エクソンケミカル)で知られているもの又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば、商標Dowanol(登録商標)(製造元:ダウケミカルカンパニー)で知られているものであってもよい。
【0042】
「香料補助成分」とは、本明細書では、快楽効果を付与するための付香調製物又は組成物において使用され、かつ上記で定義したマイクロカプセルではない化合物を意味する。換言すれば、付香補助成分として見なされるべき、このような補助成分は、当業者によって、肯定的又は快適な方法で組成物の匂いを付与又は変更することができ、かつ単に匂いを有するだけではないものとして認識されなければならない。
【0043】
付香組成物中に存在する付香補助成分の性質及び種類は、ここではより詳細な説明を保証せず、いずれにしても網羅されることはないであろうが、当業者は、その一般的知識に基づいて及び意図された使用又は適用及び所望の官能的効果に従ってそれらを選択することができる。一般的な観点では、これらの付香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素又は含硫黄複素環式化合物及び精油など様々な化学的種類に属し、前記付香補助成分は天然又は合成由来であってよい。これらの補助成分の多くは、いずれの場合も、参考文献、例えば、S. Arctanderによる著書、Perfume and Flavor Chemicals、1969年、ニュージャージー州モントクレア、USA、又はそのより新しい版、又は類似の種類の他の論文、並びに香料分野における豊富な特許文献に列記されている。また、前記補助成分は、制御された様式で様々な種類の付香化合物を放出することが知られている化合物であってもよいことが理解される。
【0044】
「香料補助剤」とは、本明細書では、付加的に追加される利益、例えば、色、特定の耐光性、化学的安定性等を付与することが可能な成分を意味する。付香ベースにおいて一般的に使用されている補助剤の性質と種類の詳細な説明は網羅できないが、前記成分が当業者によく知られていることは言及されなければならない。
【0045】
好ましくは、本発明による付香組成物は、0.1質量%〜30質量%の間の上記で定義されたマイクロカプセルを含む。
【0046】
本発明のマイクロカプセルは、有利には、現代香料の全ての分野、即ち、ファインフレグランス又は機能的香料において使用することができる。その結果、本発明の別の対象は、付香成分として、上記で定義されたマイクロカプセル又は上記で定義された付香組成物を含む付香消費者製品によって表される。
【0047】
本発明のマイクロカプセルは、従って、それ自体として又は本発明の付香組成物の一部として、付香消費者製品に添加することができる。
【0048】
分かりやすくするために、「付香消費者製品」とは、適用される表面(例えば、肌、髪、テキスタイル、又は家庭用品の表面)に少なくとも心地良い付香効果を送達することが期待される消費者製品を意味することが記載されなければならない。換言すれば、本発明による付香消費者製品は、機能的配合物、並びに任意に付加的に利益をもたらす薬剤を含む付香された消費者製品であり、所望の消費者製品、例えば、洗剤又はエアフレッシュナー、及び嗅覚的に有効量の少なくとも1つの本発明の化合物に相当する。
【0049】
香料消費者製品の成分の性質及びタイプは、本明細書においてより詳細な説明を保証せず、そのような説明はいずれにせよ網羅されることはないであろうが、当業者は自身の一般的知識に基づいて及び前記製品の性質及び所望の効果に従ってそれらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品の配合物は、そのような製品に関連する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、本明細書で詳細な説明を保証せず、いずれにしても網羅されることはないであろう。このような消費者製品を配合する当業者は、その一般的知識及び利用可能な文献に基づいて、適切な成分を完璧に選択することができる。
【0050】
具体的には、かかる配合物の例は、かかる製品に関連した特許及び特許出願、例えば、WO2008/016684号、US2007/0202063号、WO2007/062833号、WO2007/062733号、WO2005/054422号、EP1741775号、GB2432843号、GB2432850号、GB2432851号、GB2432852号、WO9850011号、WO2013174615号、又はWO2012084904号に見出すことができる。
【0051】
適切な香料消費者製品の非限定的例は、香料、例えば、香水、コロン又はアフターシェーブローション;布地用ケア製品、例えば、液体又は固体洗剤、柔軟仕上げ剤、織物リフレッシャー、アイロン水、紙、又は漂白剤;ボディケア製品、例えば、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、着色調製物又はヘアスプレー)、化粧品(例えば、バニシングクリーム、ボディローション又は消臭剤又は制汗剤)、又はスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワー又はバスムース、ボディウォッシュ、オイル又はジェル、バスソルト、又は衛生製品);エアケア製品、例えば、エアフレッシュナー又は「直ぐに使用できる」粉末エアフレッシュナー;又はホームケア製品、例えば、液体洗剤、万能クリーナー、布地用柔軟剤及びリフレッシャー、アイロン水及び洗剤及び柔軟剤であってよい。洗剤は、ここでは、例えば、テキスタイル又は硬質表面(床、タイル、石床等)の処理を意図した、様々な表面の洗浄又は清浄用の、洗剤組成物又は洗浄製品などの製品を包含する。
【0052】
好ましくは、消費者製品は、0.1〜15質量%、更に好ましくは0.5質量%〜5質量%の間の本発明のマイクロカプセルを含み、これらの百分率は消費者製品の全質量に対して質量によって定義されている。当然ながら、上記の濃度は、各製品において望ましい嗅覚効果に応じて適合され得る。
【0053】
本発明のカプセルは、かなりの量の界面活性剤を含有する消費者製品において特にかつ有利に安定であることが判明し、より具体的には、それらは、1つのタイプのみの粒子が使用されるカプセルと比較して改善された安定性を実証した。
【0054】
本発明はここで例として更に説明されている。特許請求されている発明が、これらの実施例により、決して限定されるものではないことが理解される。
【実施例】
【0055】
例1
SiO
2粒子の混合物によるハイブリッドマイクロカプセルの調製
第1工程では、アミノ−SiO
2粒子とヒドロキシル−SiO
2粒子を、超音波プローブを用いてpH7の緩衝液中に分散させる。次に、架橋剤を有する油相を水相と混合する。ピッカリングエマルションを、ホモジナイザーであるウルトラタラックス、IKA T25を、24000rpmで5分間使用することによって作る。安定なピッカリングエマルションが形成されると、pHを5%NaOH水溶液により9.5に調整する。配合を以下の表1に記載する。
【表1】
1)アミノ基で修飾された酸化ケイ素粒子、製造元:SkySpring Nanomaterials, Inc.
2)熱分解法シリカHDK(登録商標)N20、製造元:ワッカーケミー社
3)リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素カリウム緩衝液(pH7.0)
4)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、製造元:バイエル
5)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、製造元:三井化学
6)等質量のSalicynile[(2Z)−2−フェニル−2−ヘキセンニトリル]、Cyclosal[(+−)−3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール]、Romascone[(+−)−メチル2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート]、Verdox(商標)(IFFからの商品名)[(+−)−シス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートと(+−)−トランス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]及びDorisyl[トランス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとシス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]の混合物
【0056】
第2工程では、界面反応を、撹拌しながら70℃で実施する。10分後に、3mlの5.2%グアニジン炭酸塩(アクロスオーガニクス製)溶液を10分以内に反応系に滴加する。次に、撹拌しながら、更に3時間70℃で反応を実施する。pH値を、反応の間、8.5より高く維持する。
【0057】
得られたマイクロカプセルは、スラリーの形(水中懸濁液)である。
【0058】
例2
本発明によるカプセルと1つのタイプの粒子(アミノ−SiO
2粒子)を用いて製造されたカプセルとの間の比較例
カプセル上又は膜内の粒子充填量の測定方法(全ての実施例についても同様):
実験を1μgの精度を有する微量天秤を備えた熱重量分析計(TGA/DSC1、Mettler−Toledo)で行う。
【0059】
マイクロカプセルスラリーを、3回遠心分離して水相中の遊離分散したSiO
2粒子を除去し、次いで、マイクロカプセルの試料を酸化アルミニウムるつぼに導入し、質量変化を、温度制御下にて20ml/分の一定の窒素流で監視する。測定を25℃で開始し、温度を10℃/分の速度で80℃まで上昇させ(120分間80℃に保持)、次いで、温度を10℃/分の速度で700℃まで上昇させる(120分間700℃に保持)。カプセル上又は膜内の粒子充填量を、TGA曲線に従って算出する。
【0060】
アミノ−SiO
2粒子を有するベンチマークハイブリッドカプセルの製造
第1工程では、アミノ−SiO
2粒子を、超音波プローブを用いてpH7の緩衝液中に分散させる。次に、架橋剤を有する油相を水相と混合する。ピッカリングエマルションを、ホモジナイザーであるウルトラタラックス、IKA T25を、24000rpmで5分間使用することによって作る。安定なピッカリングエマルションが形成されると、pHを5%NaOH水溶液によって9.5に調整する。配合を以下の表に記載する。
【表2】
1)アミノ基で修飾された酸化ケイ素粒子、製造元:SkySpring Nanomaterials, Inc.
2)リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素カリウム緩衝液(pH7.0)
3)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、製造元:バイエル
4)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、製造元:三井化学
5)等質量のSalicynile[(2Z)−2−フェニル−2−ヘキセンニトリル]、Cyclosal[(+−)−3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール]、Romascone[(+−)−メチル2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート]、Verdox(商標)[(+−)−シス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートと(+−)−トランス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]及びDorisyl[トランス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとシス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]の混合物
【0061】
第2工程では、界面反応を、撹拌しながら70℃で実施する。10分後に、3mlの5.2%グアニジン炭酸塩(アクロスオーガニクス製)溶液を10分以内に反応系に滴加する。次に、反応を、撹拌しながら、更に3時間70℃で実施する。pH値を、反応の間、8.5より高く維持する。得られたマイクロカプセルは、スラリーの形である。
【0062】
ベンチマークカプセルは次のように特徴付けられる:
平均サイズ:D[4,3]=19.4μm(マルバーンインスツルメンツ社(英国)製のマスターサイザー3000により測定)
ゼータ電位=34.7±1.4mv(マルバーン社(英国)製のナノZSにより測定)
粒子充填量、カプセル上:0.9%/膜内:32.25%
【0063】
例1に従って製造したカプセルは以下のように特徴付けられる:
平均サイズ:D[4,3]=14.9μm(マルバーンインスツルメンツ社(英国)製のマスターサイザー3000により測定)
ゼータ電位=−4.3±0.4mv(マルバーン社(英国)製のナノZSにより測定)
粒子充填量、カプセル上:2.3%/膜内:47.73%
【0064】
アミノ−SiO
2粒子とヒドロキシル−SiO
2粒子との混合物を用いて製造されたハイブリッドカプセルは、ベンチマークのカプセル(アミノ−SiO
2粒子を用いて製造されたハイブリッドカプセル)と比較して高い粒子充填量(カプセル上及び膜内)を示す。より高い粒子充填量は、ハイブリッドカプセルにより優れた機械的特性を与える。
【0065】
例3
アミノ−SiO
2粒子とハイドロキシアパタイト粒子との混合物を用いるハイブリッドカプセルの製造(ベンチマークカプセルは例2に記載されるとおり)
第1工程では、アミノ−SiO
2粒子とハイドロキシアパタイト粒子を、超音波プローブを用いてpH7の緩衝液中に分散させる。次に、架橋剤を有する油相を水相と混合する。ピッカリングエマルションを、ホモジナイザーであるウルトラタラックス、IKA T25を、24000rpmで5分間使用することによって作る。配合を以下の表に記載する。
【表3】
1)アミノ基で修飾された酸化ケイ素粒子、製造元:SkySpring Nanomaterials, Inc.
2)ハイドロキシアパタイト粒子、製造元:Aladdin Chemistry Co. Ltd
3)リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素カリウム緩衝液(pH7.00)
4)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、製造元:バイエル
5)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、製造元:三井化学
6)等質量のSalicynile[(2Z)−2−フェニル−2−ヘキセンニトリル]、Cyclosal[(+−)−3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール]、Romascone[(+−)−メチル2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート]、Verdox(商標)[(+−)−シス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートと(+−)−トランス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]及びDorisyl[トランス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとシス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]の混合物
【0066】
第2工程では、界面反応を、撹拌しながら70℃で実施する。10分後に、3mlの5.2%グアニジン炭酸塩(アクロスオーガニクス製)溶液を10分以内に反応系に滴加する。次に、反応を、撹拌しながら、更に3時間70℃で実施する。得られたマイクロカプセルは、スラリーの形(水中懸濁液)である。
平均サイズ:D[4,3]=19.4μm(マルバーンインスツルメンツ社(英国)製のマスターサイザー3000により測定)
ゼータ電位=−2.7±2.3mv(マルバーン社(英国)製のナノZSにより測定)
粒子充填量、カプセル上:3.2%/膜内:44.23%
【0067】
アミノ−SiO
2粒子とハイドロキシアパタイト粒子との混合物を用いて製造されたハイブリッドカプセルは、ベンチマークのカプセル(アミノ−SiO
2粒子を用いて製造されたハイブリッドカプセル)と比較して高い粒子充填量(カプセル上0.9%に対して3.2%及び膜内)を示す。
【0068】
例4
アミノ−SiO
2粒子とTiO
2粒子との混合物を用いるハイブリッドカプセルの製造(ベンチマークカプセルは例2から)
第1工程では、アミノ−SiO
2粒子とTiO
2粒子を、超音波プローブを用いてpH7の緩衝液中に分散させる。次に、架橋剤を有する油相を水相と混合する。ピッカリングエマルションを、ホモジナイザーであるウルトラタラックス、IKA T25を、24000rpmで5分間使用することによって作る。配合を以下の表に記載する。
【表4】
1)アミノ基で修飾された酸化ケイ素粒子、製造元:SkySpring Nanomaterials, Inc.
2)二酸化チタン粒子(ルチル、親水性)、製造元:Aladdin Chemistry Co. Ltd
3)リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素カリウム緩衝液(pH7.00)
4)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、製造元:バイエル
5)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、製造元:三井化学
6)等質量のSalicynile[(2Z)−2−フェニル−2−ヘキセンニトリル]、Cyclosal[(+−)−3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール]、Romascone[(+−)−メチル2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート]、Verdox(商標)[(+−)−シス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートと(+−)−トランス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]及びDorisyl[トランス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとシス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]の混合物
【0069】
第2工程では、界面反応を、撹拌しながら70℃で実施する。10分後に、3mlの5.2%グアニジン炭酸塩(アクロスオーガニクス製)溶液を10分以内に反応系に滴加する。次に、反応を、撹拌しながら、更に3時間70℃で実施する。得られたマイクロカプセルは、スラリーの形(水中懸濁液)である。
平均サイズ:D[4,3]=21.4μm(マルバーンインスツルメンツ社(英国)製のマスターサイザー3000により測定)
ゼータ電位=15.6±4.8mv(マルバーン社(英国)製のナノZSにより測定)
粒子充填量、カプセル上:3.4%/膜内:46.90%
【0070】
アミノ−SiO
2粒子とTiO
2粒子との混合物を用いて製造されたハイブリッドカプセルは、ベンチマークのカプセル(アミノ−SiO
2粒子を用いて製造されたハイブリッドカプセル)と比較して高い粒子充填量(カプセル上0.9%に対して3.4%及び膜内)を示す。
【0071】
例5
アミノ−SiO
2粒子とCaCO
3粒子との混合物を用いるハイブリッドカプセルの製造(ベンチマークカプセル―例2)
第1工程では、アミノ−SiO
2粒子とCaCO
3粒子を、超音波プローブを用いてpH7の緩衝液中に分散させる。次に、架橋剤を有する油相を水相と混合する。ピッカリングエマルションを、ホモジナイザーであるウルトラタラックス、IKA T25を、24000rpmで5分間使用することによって作る。配合を以下の表に記載する。
【表5】
1)アミノ基で修飾された酸化ケイ素粒子、製造元:SkySpring Nanomaterials, Inc.
2)炭酸カルシウム、製造元:BoYu GaoKe Co. Ltd
3)リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素カリウム緩衝液(pH7.00)
4)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、製造元:バイエル
5)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、製造元:三井化学
6)等質量のSalicynile[(2Z)−2−フェニル−2−ヘキセンニトリル]、Cyclosal[(+−)−3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール]、Romascone[(+−)−メチル2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート]、Verdox(商標)[(+−)−シス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートと(+−)−トランス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]及びDorisyl[トランス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとシス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]の混合物
【0072】
第2工程では、界面反応を、撹拌しながら70℃で実施する。10分後に、3mlの5.2%グアニジン炭酸塩(アクロスオーガニクス製)溶液を10分以内に反応系に滴加する。次に、反応を、撹拌しながら、更に3時間70℃で実施する。得られたマイクロカプセルは、スラリーの形(水中懸濁液)である。
平均サイズ:D[4,3]=22μm(マルバーンインスツルメンツ社(英国)製のマスターサイザー3000により測定)
ゼータ電位=4.6±0.8mv(マルバーン社(英国)製のナノZSにより測定)
SiO
2充填量、カプセル上:3.4%/膜内:50%
【0073】
アミノ−SiO
2粒子とCaCO
3粒子との混合物を用いて製造されたハイブリッドカプセルは、ベンチマークのカプセル(アミノ−SiO
2粒子を用いて製造されたハイブリッドカプセル)と比較して高い粒子充填量(カプセル上0.9%に対して3.4%及び膜内)を示す。
【0074】
例6
アミノ−SiO
2粒子と粘土粒子との混合物を用いるハイブリッドカプセルの製造(ベンチマークカプセルは例2から)
第1工程では、アミノ−SiO
2粒子と粘土粒子を、超音波プローブを用いてpH7の緩衝液中に分散させる。次に、架橋剤を有する油相を水相と混合する。ピッカリングエマルションを、ホモジナイザーであるウルトラタラックス、IKA T25を、24000rpmで5分間使用することによって作る。配合を以下の表に記載する。
【表6】
1)アミノ基で修飾された酸化ケイ素粒子、製造元:SkySpring Nanomaterials, Inc.
2)ラポナイトXLG粒子、製造元:Rockwood
3)リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素カリウム緩衝液(pH7.00)
4)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、製造元:バイエル
5)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、製造元:三井化学
6)等質量のSalicynile[(2Z)−2−フェニル−2−ヘキセンニトリル]、Cyclosal[(+−)−3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール]、Romascone[(+−)−メチル2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート]、Verdox(商標)[(+−)−シス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートと(+−)−トランス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]及びDorisyl[トランス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとシス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]の混合物
【0075】
第2工程では、界面反応を、撹拌しながら70℃で実施する。10分後に、3mlの5.2%グアニジン炭酸塩(アクロスオーガニクス製)溶液を10分以内に反応系に滴加する。次に、反応を、撹拌しながら、更に3時間70℃で実施する。得られたマイクロカプセルは、スラリーの形(水中懸濁液)である。
平均サイズ:D[4,3]=19.8μm(マルバーンインスツルメンツ社(英国)製のマスターサイザー3000により測定)
ゼータ電位=−1.26±1.6mv(他の例のように測定)
粒子充填量、カプセル上:3.5%/膜内:44.4%
【0076】
アミノ−SiO
2粒子と粘土粒子との混合物を用いて製造されたハイブリッドカプセルは、ベンチマークのカプセル(アミノ−SiO
2粒子を用いて製造されたハイブリッドカプセル)と比較して高い粒子充填量(カプセル上0.9%に対して3.5%及び膜内)を示す。
【0077】
例7
アミノ−SiO
2粒子とカオリン粒子との混合物を用いるハイブリッドカプセルの製造(ベンチマークカプセル―例2)
第1工程では、アミノ−SiO
2粒子とカオリン粒子(超微細)を、超音波プローブを用いてpH7の緩衝液中に分散させる。次に、架橋剤を有する油相を水相と混合する。ピッカリングエマルションを、ホモジナイザーであるウルトラタラックス、IKA T25を、24000rpmで5分間使用することによって作る。配合を以下の表に記載する。
【表7】
1)アミノ基で修飾された酸化ケイ素ナノ粒子、製造元:SkySpring Nanomaterials, Inc.
2)カオリン粒子(超微細)、製造元:Aladdin Chemistry Co. Ltd
3)リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素カリウム緩衝液(pH7.00)
4)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、製造元:バイエル
5)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、製造元:三井化学
6)等質量のSalicynile[(2Z)−2−フェニル−2−ヘキセンニトリル]、Cyclosal[(+−)−3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール]、Romascone[(+−)−メチル2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート]、Verdox(商標)[(+−)−シス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートと(+−)−トランス−2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]及びDorisyl[トランス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとシス−4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタートとの混合物]の混合物
【0078】
第2工程では、界面反応を、撹拌しながら70℃で実施する。10分後に、3mlの5.2%グアニジン炭酸塩(アクロスオーガニクス製)溶液を10分以内に反応系に滴加する。次に、反応を、撹拌しながら、更に3時間70℃で実施する。得られたマイクロカプセルは、スラリーの形(水中懸濁液)である。
平均サイズ:D[4,3]=24.3μm(マルバーンインスツルメンツ社(英国)製のマスターサイザー3000により測定)
ゼータ電位=2.3±0.2mv(他の例のように測定)
SiO
2充填量、カプセル上:3.3%/膜内:43.24%
【0079】
アミノ−SiO
2粒子とカオリン粒子との混合物を用いて製造されたハイブリッドカプセルは、ベンチマークのカプセル(アミノ−SiO
2粒子を用いて製造されたハイブリッドカプセル)と比較して高い粒子充填量(カプセル上0.9%に対して3.3%及び膜内)を示す。
【0080】
例8
ハイブリッドマイクロカプセルの表面修飾
例1に記載されたハイブリッドマイクロカプセルスラリー中に遊離分散したSiO
2粒子を、遠心分離を用いて除去する。ハイブリッドマイクロカプセルを、2mg/mlのドーパミン溶液(ドーパミンを10mMのTris−HCl pH8.5緩衝液に溶解させる)に再分散させる。懸濁液を、室温で8時間振盪する。次に、得られたマイクロカプセルを、脱イオン水で洗浄する。
【0081】
例9
シャワージェルにおける安定性の比較例
例1に記載された所定量のハイブリッドマイクロカプセルスラリーを、急速撹拌下(1200rpmで10分間)でシャワージェルベースに添加した。シャワージェルベースは、8.0%のCarbopol(登録商標)アクアCCポリマー(ポリアクリレート−1クロスポリマー、製造元:Noveon)、0.5%のクエン酸(40%水溶液)、25.0%のZetesol AO328U(C
12〜C
15パレス硫酸ナトリウム、製造元:Zschimmer & Schwarz)、4.0%のテゴベタインF50(コカミドプロピルベタイン、製造元:ゴールドシュミット社)、0.1%のGlydant Plus Liquid(DMDMヒダントイン及びヨードプロピニルブチルカルバメート、製造元:ロンザ)、4.0%の塩化ナトリウム(20%の水溶液)及び58.4%の水を含有した。このベース中の最終的なカプセル化された香料油の含有率は0.2%に等しかった。マイクロカプセルを含むシャワージェルベースを、閉じた小さな瓶に移して、43℃に保った。
【0082】
43℃で2ヶ月貯蔵した後、2.0gのシャワージェルベースを、4.0mlの脱イオン水と混合し、TURBULA(登録商標)システムSchatzミキサーを用いて、10.0mlの内部標準液(イソオクタン中75mg/lのエチルラウレート)により抽出した。その後、カプセル化香料の漏れを測定するために、有機相をGC(6890N、アジレント・テクノロジー社)−MS(5975、アジレント・テクノロジー社)により分析した。
【0083】
安定性を、例1に記載されるように製造されたマイクロカプセルを用いて試験し、タイプ1及びタイプ2の粒子の間の様々な比並びに100%タイプ1の粒子に基づく系(従来技術)を比較する。結果を
図5に示す。Verdox(商標)のピーク1はシス−Verdox由来であるが、ピーク2はトランス−Verdox由来であり、Dorisylのピーク2はシス−Dorisyl由来であり、ピーク2はトランス−Dorisyl由来である。
【0084】
SiO
2混合物を用いる場合、OH−SiO
2の増加に伴い、ハイブリッドマイクロカプセルは、より良好な貯蔵安定性を示す。この結果は、
図2のSEM写真と完全に一致し、その際、より緻密な膜は、より良好な貯蔵安定性に対応する。
【0085】
例10
パネル試験
例1からの所定量のハイブリッドマイクロカプセルスラリーを、例9に記載されたシャワージェルベースに分散させた。このベース中の最終的なカプセル化された香料油の含有率は0.25%に等しかった。試験の間、100%のNH
2−SiO
2を有するハイブリッドマイクロカプセルを、参照/ベンチマークとして使用した。
【0086】
7〜9名の専門のパネリストをそれぞれの評価のために選んだ。同じ量のシャワージェルの試料を、両方の前腕に塗布し、付着、洗浄、濯ぎ、乾燥の正確なプロトコルが続いた。2つの試料のうちの1つが、本発明によるハイブリッドマイクロカプセルを含有していたが、もう1つは参照のマイクロカプセルを含有していた。
【0087】
両方の前腕の評価を同時に行い且つ「ブラインド」において行った。パネリストは、乾燥の5分後に、擦る前(BR)と擦った後(AR)に、彼らの腕を評価した。そして、所定の時間で、すなわち、乾燥の4時間、6時間、8時間後に、パネリストは同じ評価をした。香り強度の評価は、0から7までの段階で、0は匂いなしを意味するが、7は非常に強いことを意味する。
【0088】
結果を
図6に示す。有意な差は擦る前に認められなかったが、擦った後に本発明による系を用いて有意な改善があったと結論付けることができる。