特許第6598802号(P6598802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6598802日焼け止め組成物におけるオイルフリーエモリエント剤
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  • 特許6598802-日焼け止め組成物におけるオイルフリーエモリエント剤 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598802
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】日焼け止め組成物におけるオイルフリーエモリエント剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20191021BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20191021BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20191021BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20191021BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   A61K8/86
   A61Q17/04
   A61K8/34
   A61K8/35
   A61K8/37
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-571404(P2016-571404)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-519749(P2017-519749A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】US2015035917
(87)【国際公開番号】WO2015200030
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年5月21日
(31)【優先権主張番号】62/015875
(32)【優先日】2014年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオドン・ルー
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・シュワルツ
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−041322(JP,A)
【文献】 特開2013−189409(JP,A)
【文献】 特開2014−108934(JP,A)
【文献】 特開2014−019645(JP,A)
【文献】 特表2002−537315(JP,A)
【文献】 中西美樹,日焼け止め化粧料の特性と有用性評価,表面科学,2014年 1月10日,Vol.35, No.1,pp40-44
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式Iを有する油溶性ポリアルキレングリコールと、
RO−(PO)n−(BO)−H (I)
(式中、POがプロピレンオキシであり、BOがブチレンオキシであり、Rが直鎖または分岐C−C20アルキルであり、nが5〜20の平均値を有し、mが4〜16の平均値を有する)
(b)皮膚科学的に許容される担体と、
(c)日焼け止め有効成分と、を含む、日焼け止め組成物。
【請求項2】
Rが直鎖または分岐C−C12アルキルである、請求項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項3】
Rが直鎖または分岐C12アルキルである、請求項2に記載の日焼け止め組成物。
【請求項4】
前記ポリアルキレングリコールが、500〜5,000の数平均分子量を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項5】
ブチレンオキシ単位のプロピレンオキシ単位に対する重量比が、4:1〜1:4の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項6】
前記ポリアルキレングリコールが、0.01重量%〜50.00重量%の量で存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項7】
スキンケア有効成分を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項8】
(a)式Iを有する油溶性ポリアルキレングリコールと、
RO−(PO)n−(BO)−H (I)
(式中、POがプロピレンオキシであり、BOがブチレンオキシであり、Rが直鎖または分岐C−C20アルキルであり、nが5〜20の平均値を有し、mが4〜16の平均値を有する)
(b)皮膚科学的に許容される担体と、(c)日焼け止め有効成分とを含む組成物を、肌に対して局所的に投与することを含む、UVA及びUVB損傷から肌を保護する方法。
【請求項9】
式Iを有する油溶性ポリアルキレングリコールを含むことを含む、日焼け止め組成物のSPFまたはUV吸収の効能を促進する方法
RO−(PO)n−(BO)−H (I)
(式中、POがプロピレンオキシであり、BOがブチレンオキシであり、Rが直鎖または分岐C−C20アルキルであり、nが5〜20の平均値を有し、mが4〜16の平均値を有する)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、日焼け止め配合物において有用であるオイルフリーエモリエント剤に関する。本エモリエント剤は、油溶性ポリアルキレングリコールである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア組成物は、大部分の消費者にとって重要な製品である。パーソナルケア組成物、及び特に日焼け止め組成物は、種々の利点を組成物にもたらす、様々な添加剤を含有する。パーソナルケア組成物において一般に使用される添加剤の中でも、エモリエント剤は、肌の保湿を補助するため、特に、乾燥肌を予防及び手入れし、敏感肌を保護し、肌の色合い及び肌理を改善し、欠点をごまかすために使用される。エモリエント剤は、肌への水分補給を増加させたり、経表皮水分喪失(「TEWL」)を予防するためのバリアとして作用したりし得る。また、エモリエント剤は、てかりまたはべたつきといったネガティブな見栄えに煩わされることなく、肌を滑らかかつ張りのある状態に保つ、望ましい感覚を提供することも重要である。しかしながら、日焼け止め組成物において、そのような有益な保湿及び感触の特性を達成し、一方でSPF及びUV吸収の効能を促進することは困難であり得る。
【0003】
オイルフリースキンケア製品は、元来、鉱物油、ワセリン、エステル、及びトリグリセリドといった、毛穴を詰まらせる可能性が高い物質の使用を回避するために開発された。スキンケア市場の多くのオイルフリー製品は疎水性成分を含有せず、これにより短期的な肌への水分補給は提供されるが、TEWLへのバリアとしての利点を欠く。乳剤タイプのオイルフリー組成物は、例えば米国特許第5,380,528号に開示されているようにシリコーン流体を活用しているが、このような組成物は概して、TEWLへのバリアとしての性能に乏しい感覚改質剤とみなされる。シリコーン流体の使用を取り巻く別の考慮すべき事柄は、環境関連及び健康関連の問題に起因する、このような成分を取り替えるという広く認められた必要性である。
【0004】
オイルフリーポリアルキレングリコールもまた、パーソナルケア組成物において開示されている。例えば、米国特許第4,511,554号は、着色する可能性が低い制汗スティック組成物を開示しており、これは、ポリオキシエチレン(25)プロピレングリコールステアレートと、長鎖脂肪アルコールのポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンエーテルとの混合物を含有する。しかしながら、従来技術は、オイルフリースキンケアエモリエント剤として優良な結果を生み出す、本発明によるポリアルキレングリコールは開示していない。
【0005】
したがって、高いSPF(日焼け防止指数)及び高いUVA吸収の達成に役立ち、同時に望ましい美的特性及び感覚的特性と共に、肌の保湿及び水分補給を向上させる日焼け止め効能促進剤を含む、日焼け止め組成物において使用するための新規オイルフリーエモリエント剤組成物を開発する必要性が存在する。
【0006】
発明の陳述
本発明の一態様は、(a)プロピレンオキシド由来単位とブチレンオキシド由来単位とを含む油溶性ポリアルキレングリコールと、(b)皮膚科学的に許容される担体と、(c)日焼け止め有効成分とを含む、日焼け止め組成物を提供する。
【0007】
別の態様においては、本発明は、皮膚科学的に許容される担体と、日焼け止め有効成分と、式Iの油溶性ポリアルキレングリコールとを含む日焼け止め組成物を提供し、
RO−(PO)n−(BO)−H (I)
式中、POはプロピレンオキシであり、BOはブチレンオキシであり、Rは直鎖または分岐C−C20アルキルであり、nは5〜20の平均値を有し、mは4〜16の平均値を有する。
【0008】
本発明の別の態様は、(a)プロピレンオキシド由来単位とブチレンオキシド由来単位とを含む油溶性ポリアルキレングリコールと、(b)皮膚科学的に許容される担体と、(c)日焼け止め有効成分とを含む組成物を、肌に対して局所的に投与することを含む、UVA及びUVB損傷から肌を保護するための方法を提供する。
【0009】
更に別の態様においては、本発明は、プロピレンオキシド由来単位とブチレンオキシド由来単位とを含む油溶性ポリアルキレングリコールを含むことを含む、日焼け止め組成物のSPFまたはUV吸収の効能を促進する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って調製された例示的日焼け止め配合物のSPF値、ならびに比較的日焼け止め配合物のSPF値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、驚くべきことに、プロピレンオキシド由来単位とブチレンオキシド由来単位とを含む油溶性ポリアルキレングリコールが、他の従来型のエモリエント剤では典型的である、毛穴を詰まらせる可能性の高さを呈示することなく、日焼け止め配合物において油様のエモリエント性、感触、保湿、及びSPFまたはUV吸収における効能促進をもたらすことをここに発見した。したがって、本発明は、一態様においては、油溶性ポリアルキレングリコールと、皮膚科学的に許容される担体と、日焼け止め有効成分とを含む、日焼け止め組成物を提供する。
【0012】
本発明においては、「日焼け止め組成物」は、ローション、クリーム、ゲル、ゲルクリーム、美容液、収斂化粧水、ワイプ、液体ファンデーション、メイクアップ用化粧品、色付き保湿剤、オイル、顔/身体用スプレー、局所用医薬品、ならびに日焼け止めといった、肌をUV損傷から保護し、肌に一定期間付けたままにする、美容及びスキンケア組成物を指すことが意図される。本日焼け止め組成物は、美容上許容されることが好ましい。「美容上許容される」成分とは、日焼け止め組成物において典型的に使用される成分のことであり、パーソナルケア組成物において典型的に見られる量で存在する場合に毒性を持つ材料は、本発明の一部として企図されないことを強調することが意図される。本発明の組成物は、当該技術分野において周知のプロセス、例えば従来型の混合、溶解、顆粒化、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスを用いて製造することができる。
【0013】
本発明において有用なポリアルキレングリコールは、それらの一般的な調製経路、及びそれらの構造におけるある特定の共通の態様の両方によって特徴付けることができる。それらの調製経路は、概して、アルコールと、ブチレンオキシド及びプロピレンオキシドを両方含む供給流との反応を伴う。供給流のオキシドの割合は幅広い比率が採用され得、それにより、ブチレンオキシド対プロピレンオキシドの重量比は、4:1〜1:4、好ましくは3:1〜1:3、より好ましくは3:1〜1:1の範囲であり得る。一部の非限定的実施形態においては、オキシド単位のランダム分布が好ましいが、他の実施形態においては、オキシドが別個に供給され、かつ/または交互に供給されるように供給流を制御することによって、ブロック構造が作成され得る。
【0014】
ある特定の好ましい実施形態においては、本発明において有用なポリアルキレングリコールは、少なくともブチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び選択されたアルコールの反応によって調製でき、式Iのポリアルキレングリコール化合物が結果としてもたらされ、
RO−(PO)n−(BO)−H (I)
式中、POはプロピレンオキシであり、BOはブチレンオキシであり、Rは直鎖または分岐C−C20アルキルであり、nは5〜20の平均値を有し、mは4〜16の平均値を有する。ある特定の好ましい実施形態においては、ブチレンオキシド構造単位は1,2−ブチレンオキシドであり、ポリアルキレングリコールは式IIのものであり、
【0015】
【化1】
【0016】
式中、R、n、及びmは式Iの定義と同様の定義を有する。ある特定の好ましい実施形態においては、Rは直鎖または分岐C−C12アルキルであり、より好ましくはC12アルキルである。一部の実施形態においては、指定されたアルコール開始剤の混合物が選択され得る。アルコール開始剤は、石油化学資源または再生可能資源のいずれから獲得されてもよく、一般に、本質的に直鎖状であっても分岐していてもよいC−C20アルコールであり、好ましくはC−C12アルコールであり、より好ましくはドデカノールである。本明細書で使用する場合、限定されるものではないがC、C10、C12、及びC20等の「C」で始まる名称は、それらの原子の構成に関わらず、所与の分子中の炭素原子の総数を指す。C−C12等の、そのような炭素数の名称を含むハイフン付き表現は、可能な分子の選択肢の群を指し、各選択肢は、所与の数値域内に入る炭素数を有する。
【0017】
反応は、酸性触媒または塩基性触媒のいずれで触媒されてもよい。ある特定の非限定的実施形態においては、触媒は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または炭酸ナトリウム等のアルカリ塩基であり、プロセスはアニオン重合である。その結果は、重合がカチオン性で進行する場合に得られるものよりも、比較的狭い分子量分布、すなわち比較的低い多分散度指数を有するポリエーテル構造である。しかしながら、代替的かつ非限定的実施形態においては、カチオン重合が行われてもよい。ポリマー鎖長はまた、反応物質の比に依存することになるが、ある特定の非限定的実施形態においては、数平均分子量(Mn)は500〜5,000で変動し得、ある特定の他の非限定的実施形態においては、500〜2,500で変動し得る。
【0018】
代替的特性においては、本発明において有用なポリアルキレングリコールは、一級ヒドロキシル基含有開始剤に基づき、少なくとも3:1、ある特定の実施形態においては3:1〜6:1の炭素対酸素比を有する、ブチレンオキシド/プロピレンオキシド延長コポリマーとして特徴付けることができる。
【0019】
当業者であれば、適用可能な分野の一般知識を組み合わせることで、ならびに必要とされる場合は通例の実験を介して、本明細書に記載される所望の利点(例えば、SPF及び/もしくはUV吸収の効能促進、乾燥肌の手入れ、ならびに/または経表皮水分喪失の防止)を提供するために特定の組成物において使用されるべき、本発明のポリアルキレングリコールの有効量を容易に決定することができる。非限定的例として、本発明の組成物におけるポリアルキレングリコールの量は、本組成物の総重量に基づいて、0.01〜50重量パーセント、好ましくは1〜30重量パーセント、より好ましくは2〜10重量パーセントの範囲であり得る。
【0020】
本発明の組成物はまた、皮膚科学的に許容される担体も含む。そのような材料は、典型的には、肌に有意な炎症を引き起こすことがなく、本組成物中の有効薬剤(複数可)の活性及び特性を打ち消すことがない、担体または希釈剤として特徴付けられる。本発明において有用な皮膚科学的に許容される担体の例としては、限定されるものではないが、脱イオン水もしくは蒸留水等の水、水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤等の乳剤、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール、クリーム、水溶液、油、軟膏、ペースト剤、ゲル、ローション、ミルク、フォーム、懸濁剤、散剤、またはそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態においては、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、約99.99〜約50重量パーセントの皮膚科学的に許容される担体を含有する。
【0021】
本発明の日焼け止め組成物はまた、日焼け止め有効成分も含む。日焼け止めの例としては、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサラート、アントラニル酸メンチル、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パディメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、サリチル酸トロラミン、二酸化チタン、酸化亜鉛、ベンゾフェノン、ベンジリデン、サリチレート、またはジエタノールアミンメトキシシンナメート、ジガロイ(digalloy)トリオレエート、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルアミノベンゾエート、ならびにジヒドロキシアセトン及び赤色ワセリン(red petrolatum)を伴うローソンを含む、他の既知のUVフィルタが挙げられる。
【0022】
当業者であれば、適用可能な分野の一般知識を組み合わせることで、ならびに必要とされる場合は通例の実験を介して、本明細書に記載される所望の利点(例えば、肌の保護及びUV吸収)を提供するために特定の組成物において使用されるべき、日焼け止め有効成分の有効量を容易に決定することができる。非限定的例として、日焼け止め有効成分がオクチルメトキシシンナメートを含む、ある特定の好ましい実施形態においては、本発明の組成物における日焼け止め有効成分の量は、本組成物の総重量に基づいて、0.01〜20重量パーセント、好ましくは0.1〜10重量パーセント、より好ましくは0.5〜7.5重量パーセントの範囲であり得る。
【0023】
本発明のパーソナルケア組成物はまた、日焼け止め配合物の分野において既知の他の成分を含んでもよく、例えば、増粘剤、追加的なエモリエント剤、乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、懸濁剤、被膜形成剤、低級モノアルコール性ポリオール、高沸点溶媒、噴射剤、鉱物油、シリコン感覚改質剤(silicon feel modifier)、またはそれらの混合物が挙げられる。そのような成分によって提供される所望の特性を達成するために有効な任意選択の成分の量は、当業者であれば容易に決定できる。
【0024】
ある特定の実施形態においては、本発明のパーソナルケア組成物は更に、スキンケア有効成分、ネイルケア有効成分、またはヘアケア有効成分から選択されるパーソナルケア有効成分を含む。有効成分としては、皮膚着色剤、薬物(抗炎症剤、抗生物質、表面麻酔剤、抗真菌薬、角質溶解薬等)、皮膚保護剤、コンディショナー、湿潤剤、及び紫外線吸収剤が挙げられる。
【0025】
他の添加剤が本発明の組成物に含まれてもよく、限定されるものではないが、表皮剥脱剤、吸収剤、香料等の美的成分、色素、カラーリング剤/着色剤、精油、皮膚感覚惹起剤(skin sensate)、収斂剤(例えば、チョウジ油、メントール、樟脳、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、ウイッチヘーゼル留出物)、防腐剤、固化防止剤、発泡剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバメート)、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤、着色剤、美容収斂剤、美容殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外用鎮痛薬、本組成物の被膜形成特性及び持続性を補助するための被膜形成剤または材料、例えばポリマー(例えば、エイコセン及びビニルピロリドンのコポリマー)、乳白剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、捕捉剤、皮膚ブリーチ剤及び美白剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、皮膚コンディショニング剤(skin−conditioning agent)(例えば、湿潤剤、種々かつ閉塞性のものを含む)、皮膚鎮静剤及び/または治癒剤(例えば、パンテノール及び誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、ならびにグリチルリチン酸ジカリウム)、皮膚処理剤、ならびにビタミン(例えば、ビタミンC)及びそれらの誘導体が挙げられる。そのような成分によって提供される所望の特性を達成するために有効な選択肢の成分の量は、当業者であれば容易に決定できる。
【0026】
上述されるように、本発明のパーソナルケア組成物は、SPF及びUV吸収効能促進剤として非常に有効である。本パーソナルケア組成物はまた、毛穴を詰まらせる可能性の高さ、または環境及び健康に関連する問題という欠点を伴わずに、日焼け止め配合物のための以前から知られているエモリエント剤と同等の、そうでなければそれよりも良好なエモリエント属性を呈示する。したがって、本発明の日焼け止め組成物は、例えば、UV損傷からの保護、肌の保湿、乾燥肌の予防及び手入れ、敏感肌の保護、肌の色合い及び肌理の改善、欠点のごまかし、ならびに経表皮水分喪失の防止を含む、肌の手入れ及び保護にとって有用である。したがって、一態様においては、本発明は、パーソナルケア組成物を、(a)プロピレンオキシド由来単位とブチレンオキシド由来単位とを含む油溶性ポリアルキレングリコールと、(b)皮膚科学的に許容される担体と、(c)日焼け止め有効成分とを含む組成物を、肌に対して局所的に投与することを含む、UVA及びUVB損傷から肌を保護するための方法において使用できることを提供する。本組成物はまた、プロピレンオキシド由来単位とブチレンオキシド由来単位とを含む油溶性ポリアルキレングリコールを含むことを含む、日焼け止め組成物のSPFまたはUV吸収の効能を促進する方法においても使用できる。
【0027】
本発明の方法を実践する際、本日焼け止め組成物は概して、肌の上に本組成物を適用または塗り広げることによって局所的に投与される。当業者であれば、本組成物が適用されるべき頻度を容易に決定することができる。この頻度は、例えば、個人が所与の日に遭遇する可能性が高いUV光への曝露のレベル、及び/またはUV光に対する個人の感受性に依存し得る。非限定的例として、少なくとも1日につき1回の頻度での投与が望ましくあり得る。
【0028】
ここで、本発明の一部の実施形態を、以下の実施例において詳細に説明する。
【実施例】
【0029】
例示的日焼け止め配合物の調製
本発明による例示的日焼け止め組成物は、表1に列挙される成分を含有する。
【0030】
【表1】
【0031】
第I相については、カルボマーを水中に分散させて、全ての水和物が目に見える塊及び粒子を伴わなくなるまで300〜500rpmの可変速度で混合し、この時点でヘキシレングリコールを添加し、連続的に撹拌しながら70〜75℃に加熱した。第II相は別個に混合し、均一になるまで70〜75℃に加熱した。次いで、第II相を、200〜400rpmの可変速度で3〜5分間混合しながら第I相に添加した。その後、結果として得られた混合物を冷却し、200〜500rpmの可変速度で混合しながら、このバッチに第IV相を添加した。温度が45℃未満に到達したら、第III相をこのバッチに添加して、同時に100〜300rpmの可変速度で室温まで冷めるまで混合した。
【0032】
実施例2
比較的日焼け止め配合物の調製
比較的日焼け止め配合物は、表2に列挙される成分を含有する。
【0033】
【表2】
【0034】
第I相については、カルボマーを水中に分散させて、全ての水和物が目に見える塊及び粒子を伴わなくなるまで300〜500rpmの可変速度で混合し、この時点でヘキシレングリコールを添加し、連続的に撹拌しながら70〜75℃に加熱した。第II相は別個に混合し、均一になるまで70〜75℃に加熱した。次いで、第II相を、200〜400rpmの可変速度で3〜5分間混合しながら第I相に添加した。その後、結果として得られた混合物を冷却し、200〜500rpmの可変速度で混合しながら、このバッチに第IV相を添加した。温度が45℃未満に到達したら、第III相をこのバッチに添加して、同時に100〜300rpmの可変速度で室温まで冷めるまで混合した。
【0035】
実施例3
SPF効能促進の研究
実施例1及び2において調製した配合物のSPF値を、COLIPA 2007の方法に則り、以下のプロトコルに実質的に従って、インビトロ技法を用いて測定した。
【0036】
最初に、粗面化したPMMA基板(SCHONBERG GmbH & Co.KG,Hamburg/Germanyから購入)の重量を測定する。次いで、試験するバッチを基板上に付着させ、7ミクロンのドローダウンバーを用いて素早く平らにして、薄く均一な層を作成する。この層を約20分間乾燥させ、基板と乾燥した均一層の重量を判定する。乾燥した均一層のUV吸収は、層上の複数の点において、LABSPHERE UV−2000S分光計を用いて測定する。
【0037】
層の固形物パーセントは、OHAUS MB45固形物アナライザーを用いて測定する。乾燥膜の重量、及び層の固形物量を用いて、元の湿潤層の付着直後の重量及び結果的には密度が計算できる。この情報を用いて、以下の等式でSPFを計算することができる。
【0038】
【数1】
【0039】
式中、E(λ)=標準太陽スペクトルのスペクトル放射照度;S(λ)=波長λにおける紅斑作用スペクトル;及びA(λ)=波長λにおける補正スペクトル吸光度(補正係数は、データを外挿して、2.0mg/cmの湿潤層密度において吸光度が何であるかを確立するように計算される(付着直後の元の湿潤層を用いて)。
【0040】
SPF測定の結果が図1に示され、これにより、本発明に従って調製された例示的日焼け止め配合物は、パルミチン酸エチルヘキシル、安息香酸C12−15アルキル、またはUCON Fluid APで調製された比較配合物よりも著しく高いSPF効能促進値を提供することが実証されている。

図1