(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598841
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ツーピース硬カプセル用の耐酸性バンド溶液
(51)【国際特許分類】
A61K 47/44 20170101AFI20191021BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20191021BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20191021BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20191021BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20191021BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20191021BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20191021BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20191021BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20191021BHJP
【FI】
A61K47/44
A61K9/48
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A23L5/00 C
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-250755(P2017-250755)
(22)【出願日】2017年12月27日
(62)【分割の表示】特願2015-513290(P2015-513290)の分割
【原出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2018-83825(P2018-83825A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2018年1月19日
(31)【優先権主張番号】61/649,549
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/707,135
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512054458
【氏名又は名称】キャプシュゲル・ベルジウム・エヌ・ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】田久保 貴久
【審査官】
今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6306573(JP,B2)
【文献】
特開平09−216818(JP,A)
【文献】
特開2004−018443(JP,A)
【文献】
特表2015−502923(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/036601(WO,A1)
【文献】
特表2009−504630(JP,A)
【文献】
特開昭61−280422(JP,A)
【文献】
特開昭59−125566(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0212411(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0159093(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第00152517(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0025966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
A61J 3/07
A23L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量に対して、25.0wt%より多く約60wt%までの範囲の量のシェラックと、少なくとも1種のアルコールとを含む、ツーピース硬カプセル用の耐酸性バンド組成物。
【請求項2】
蝋をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに組成物の総重量に対して、約0.1wt%から約5wt%の範囲の量で存在する少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびこれらの混合物から選択される、請求項3に記載の組成物 。
【請求項5】
少なくとも1種のアルコールは、組成物の総重量に対して、約15wt%から約70wt%の範囲の量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
アルコールは、C2〜C6直鎖状または分枝鎖状アルコールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルコールは、95%エタノールとn−ブチルアルコールとの混合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
シェラックは、組成物の総重量に対して、25.0wt%より多く約45wt%までの範囲の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の総重量に対して、約0wt%より多く約8wt%までの量のアンモニア水をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の可塑剤をさらに含む、請求項1〜7および9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ(酢酸ビニル)、様々なデンプン、アメイゾ、アミロース、およびゼインのようなトウモロコシ製品、ペクチン、アルコキシル化セルロース、ポリエステル、ポリエーテル、タンパク質、核酸、アルブミン、ゼラチン、プルラン、キチン、キトサン、寒天、デンプン、コラーゲン、デキストランおよび改変デキストラン、多糖類、ポリラクチド/ポリグリコリド、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリソルベート、ポリエチレンエーテル、ポリエチレンエステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、セルロースアセトフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエステル、セルロースジエステル、セルローストリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテル、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸ブチル酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される材料から形成される、ツーピース硬カプセルシェルを含む、シールされたツーピース硬カプセルであって、ツーピース硬カプセルが、請求項1〜7、9及び10のいずれか1項に記載の耐酸性バンド組成物でシールされ、カプセルは、耐酸性カプセルである、前記ツーピース硬カプセル。
【請求項12】
医薬品、動物用医薬品、食品、および栄養補助食品のヒトまたは動物への送達のための投与形態の製造のための、請求項11に記載の、耐酸性バンドを有する耐酸性硬カプセルの使用。
【請求項13】
組成物の総重量に対して、25.0wt%より多く約60wt%までの範囲の量のシェラックと、少なくとも1種のアルコールを含む耐酸性バンド組成物を、ツーピース硬カプセルに塗布することと、バンドされたツーピース硬カプセルを乾燥することとを含む、ツーピース硬カプセルをバンドする方法。
【請求項14】
ツーピース硬カプセルを乾燥する前に、バンド組成物に滑沢剤層を塗布することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法は、バンド処理機を使用して実行される、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年5月21日に出願した米国仮出願第61/649,549号、および2012年9月28日に出願した米国仮出願第61/707,135号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、ツーピース硬カプセルをバンドするための耐酸性バンド溶液、および、限定されないが、特に、医薬品、動物用医薬品、食品、栄養補助食品をヒトまたは動物に経口投与するための、そのようなカプセルの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ツーピース硬カプセルは、患者に好まれている経口剤形であり、1世紀以上にわたって伝統的にゼラチンで作られている。ここ20年にわたって、代替の原材料、主に、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびプルランを用いた新しいタイプの硬カプセルが開発されてきた。すべてのこれらのカプセルは、即時放出型のものであるか、投与後すぐにそれらの内容物を胃において放出するように設計されたものである。
【0004】
硬カプセルに特定の機能を与える努力がなされている。最も成功した例は、内容物を酸性条件(例えば、胃内の)から保護することができ、遅延放出性または腸内放出性を有する胃抵抗性硬カプセルである。一般に、そのようなカプセルは、医薬的に活性な材料、例えば、薬剤、ビタミン調製物、および他の食物を固体状および液状にしておくために、およびそれらを胃内の酸性条件から保護するために、医薬および食品産業で利用されている。
【0005】
胃の酸性条件に耐性を有する遅延放出性、持続放出性、または徐放性カプセルは、初期には、ホルムアルデヒドでの処理によるゼラチンの不溶化を使用して開発された。例えば、非特許文献1を参照されたい。
【0006】
カプセルコーティング技術の開発によって、腸溶性硬カプセル(「腸溶性コーティングカプセル」)が、医薬品市場でより普及した。非特許文献2を参照されたい。
【0007】
上述のケースの両方において、カプセル自体は、即時放出性のものであり、その耐酸性は、一般的には製薬会社で充填された後に、カプセルの製造後処理によって実現される。
【0008】
最近になって、Capsugelが、本質的に耐酸性の硬カプセル(DRCAPS(商標)耐酸性カプセル)を開発した。このカプセルは、耐酸性配合物で作られ、それ故に、カプセルシェルは、充填後にいかなるコーティング処理もすることなく、耐酸性である。
【0009】
DRCAPS(商標)遅延放出性カプセルのさらなる評価は、ある種の条件下で、カプセルの2つの部分、すなわち、ボディおよびキャップが、インビトロ溶出試験の、特に、ある種のインビトロ酸性条件崩壊試験の間の機械的ストレス下で分離する危険性が依然として存在することを明らかにした。同様に、密閉カプセルに溶出溶媒が拡散する危険性、またはボディとキャップとの間の隙間を通ってカプセルから内容物が拡散する危険性が常に存在する。インビトロでは、このカプセル分離の危険性は、最終剤形であるカプセルの溶出または崩壊、および薬物の早すぎる放出をもたらし得る。
【0010】
したがって、インビトロ試験の間での、ボディとキャップの分離およびその隙間からの拡散を効果的に防ぎ、インビトロでの最終剤形の耐酸性能を改善するための方法を開発す
る必要性が存在する。
【0011】
ボディとキャップの隙間からの漏出を減らすいくつかの溶液が開発されている。例えば、ゼラチン溶液による硬ゼラチンカプセルバンドが、保存の間の内容物漏出を防ぐために一般的に使用されている。
【0012】
漏出を減らす別の方法は、「シール流体」によって、カプセルのキャップおよびボディを互いに直接シールすることである。例えば、特許文献1;特許文献2;特許文献3、特許文献4;特許文献5を参照されたい。
【0013】
しかし、すべての上述したバンド溶液は、適切な耐酸性を示しておらず、インビトロ試験の間の酸性媒体において、および胃において溶解するであろう。したがって、ボディとキャップの分離およびその隙間からの拡散を防ぐ、耐酸性カプセルのための安全で有効な方法を開発する必要性が存在する。
【0014】
さらに、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセルの開発により、バンド溶液の組成をポリマー特性に適合させる必要性が生じた(PLANTCAPS(商標)として、Capsugelから入手可能である)。例えば、特許文献6;特許文献7を参照されたい。
【0015】
DRCAPS(商標)遅延放出性カプセルと関連して先に検討した、カプセルのボディとキャップの分離の危険性は、他のタイプのツーピース硬カプセル、例えば、即時放出性カプセルにも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】U.S.3,071,513
【特許文献2】U.S.2,924,920
【特許文献3】FR2,118,883
【特許文献4】EP0152517
【特許文献5】U.S.4,756,902
【特許文献6】WO2007/020529
【特許文献7】WO2011/036601
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Ridgwayら、「Hard Capsule Development&Technology」、The Pharmaceutical Press、1978、11頁
【非特許文献2】Ridgwayら、「Hard Capsule Development&Technology」、The Pharmaceutical Press、1978、229〜232頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本開示の一態様は、耐酸性ツーピース硬カプセルをバンドするための耐酸性バンド溶液であって、前記カプセルが、入れ子式に嵌合させたカプセルの部分を含み、改善された耐酸特性を有する、耐酸性バンド溶液を提供する。
【0019】
好ましい態様においては、本開示は、耐酸性および即時放出性ツーピース硬カプセルと共に使用するための、インクビヒクル溶液を含む耐酸性バンド組成物を提供する。
【0020】
さらに別の態様においては、本開示は、即時放出性ツーピース硬カプセルをバンドするための耐酸性バンド溶液を提供する。
【0021】
別の態様においては、本開示は、カプセルの部分間に耐酸性シールを与え、インビトロでの増大した耐酸性を実現する、そのようなカプセルをバンドするための方法を提供する。
【0022】
さらに好ましい態様においては、本開示は、耐酸性および即時放出性カプセル用のバンド溶液、ならびに、従来のバンド技術および設備を活用したその方法に関する。例えば、Podczeckら、「Pharmaceutical Capsules」、Pharmaceutical Press、第2版、182〜183頁を参照されたい。
【0023】
本開示で使用する場合、以下の単語、語句、および記号は、それらが使用される文脈で特に示されない限り、下記の意味を有するものであることを一般に意図する。
【0024】
本明細書で使用する、「場合による」または「場合により」は、続いて記述される事象または状況が、生じることも生じないこともあり得ること、ならびに、記述が、事象または状況が生じる場合、およびそれが生じない場合を含むことを意味する。
【0025】
用語「約」は、およそ、ほぼ、大体、またはおおよそを意味するものであることを意図する。用語「約」を、数値範囲と共に使用した場合、用語「約」は、示した数値の上下に境界を広げることにより、その範囲を修飾する。別段の指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示した数値パラメーターは、近似値であることが理解されるべきである。少なくとも、および、特許請求の範囲への均等論の適用を限定するための試みとしてではなく、数値パラメーターは、報告される有効数字の数を考慮に入れ、かつ、通常の丸め法を適用して解釈されるべきである。
【0026】
別段の指示がない限り、用語「耐酸性ツーピース硬カプセル」は、耐酸性と記述される、または耐酸性配合物から製造される、またはカプセル製造後の適切な処理によって得られるツーピース硬カプセルを指す。耐酸性カプセルは、典型的には、含有された活性成分を、ある期間(例えば、数時間)にわたって持続および制御放出速度で放出する、持続放出性、遅延放出性、または徐放性カプセルである。
【0027】
別段の指示がない限り、用語「即時放出性ツーピース硬カプセル」は、カプセル内の活性成分が、典型的には胃の中で、典型的には摂取後30分未満内に、短期間内に放出される、ツーピース硬カプセルを指す。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「ビヒクル」は、活性成分または顔料のための溶媒、担体もしくは結合剤として通常働く様々な媒体のいずれかを意味するものであることを意図する。より詳細には、用語「インクビヒクル」は、色素または着色剤を含まないインクを意味するものであることを意図する。
【0029】
発明を実施するための形態を読むと、本開示のさらなる態様、特徴、および利点の理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】APAPを充填され、赤インクおよびインクビヒクルでバンドされ、USP溶出試験法により、240分までの時間にわたって溶出するAPAPの割合を決定するために評価されたカプセルの投与法による結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
一実施形態においては、本開示は、シェラックと、少なくとも1種のアルコールと、少なくとも1種の界面活性剤とを含んだインクビヒクルを含む、硬カプセル用のバンド組成物を提供する。
【0032】
一実施形態においては、硬カプセルは、耐酸性カプセルである。
【0033】
別の実施形態においては、硬カプセルは、即時放出性カプセルである。
【0034】
別の実施形態においては、本開示によるバンド組成物は、医薬もしくは食品として許容される、アンモニア水のようなアルカリ、および/またはアルカリ性塩基をさらに含むことができる。
【0035】
別の実施形態においては、本開示によるバンド組成物は、酢酸エチルなどのエステル、ならびに、グリセリン、エチレングリコール、およびプロピレングリコールなどのポリオールを含めた、医薬または食品として許容される少なくとも1種の可塑剤をさらに含むことができる。
【0036】
別の実施形態においては、本開示によるバンド組成物は、医薬または食品として許容される少なくとも1種の着色剤をさらに含むことができる。
【0037】
さらなる実施形態においては、本開示は、シェラック溶液またはインクビヒクル溶液を含む、硬カプセル用のバンド組成物を提供する。
【0038】
前述の実施形態によれば、インクビヒクル溶液配合物は、溶液の総重量に対して、約10wt.%から約60wt.%の範囲、より好ましくは約20wt.%から約45wt.%の範囲のシェラック;約15wt.%から約70wt.%の範囲の少なくとも1種のアルコール;約0.1wt.%から約5wt.%の範囲、より好ましくは約0.5.wt%から約3wt.%の範囲の少なくとも1種の界面活性剤;約0wt.%から約8wt.%の範囲、より好ましくは約0wt.%から約5wt.%の範囲のアンモニア水;約0wt.%から約20wt.%の範囲、より好ましくは約5wt.%から約15wt.%の範囲のロジン;および約0wt.%から約50wt.%の範囲、より好ましくは約0wt.%から約10wt.%の範囲の色素または着色剤(それは、顔料および/または染料を包含する)を含む。
【0039】
本発明者らは、前述の溶液が乾燥し、アルコールが蒸発した後、該バンド溶液が、溶液の総重量に対して、約0%のアルコール、約0〜10wt.%の範囲のアンモニア水、約20〜95wt.%の範囲のシェラック、約0〜35wt.%の範囲のロジン、約0.1〜10wt.%の範囲の界面活性剤、および約0〜70wt.%の範囲の色素または着色剤を含むことを発見した。一実施形態においては、本開示によるカプセルは、組成物の総重量に対して、約20wt%から約95wt%の範囲の量のシェラックと、35wt%未満の量のロジンと、約0.1wt%から約10wt%の範囲の量の少なくとも1種の界面活性剤とを含んだ乾燥シール組成物を含む。
【0040】
本開示はまた、サイズ1のカプセルの乾燥バンドの重量について、例えば、10mg未満、または5mg未満の、バンド厚が薄い、硬カプセルの有効な耐酸性バンドも提供する。
【0041】
本開示によれば、バンド溶液に利用するインクは、当業者に既知である、任意の食品お
よび/または医薬グレードのインクを含むことができる。有利には、該溶液配合物においてビヒクルとして使用されるインクは、顔料を含有しない。しかし、本開示は、顔料を含有しないインクビヒクルに限定されない。本開示に従って調査した様々なインクビヒクル溶液のリストを
図1に示す。
【0042】
場合により、ある種の実施形態は、限定されないが、タルク、およびステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸化合物を含めた、1種またはそれ以上の滑沢剤による、バンドされたカプセルのバンド後の処理を含む。
【0043】
本開示による顔料の非限定的な例は、有機顔料および無機顔料、ならびにレーキおよび染料を含む。
【0044】
有機顔料としては、例えば、FD&CブルーNo.1および2、D&CブルーNo.4および9、FD&CグリーンNo.3、D&CグリーンNo.5、6および8、D&CオレンジNo.4、5、10および11、FD&CレッドNo.3、4および40、D&CレッドNo.6、7、17、21、22、27、28、30、31、33、34、36および39、D&CバイオレットNo.2、FD&CイエローNo.5、6および7、D&CイエローNo.8、10および11が挙げられる。また、β−カロテン、カンタキサンチン、カラメル、コチニール色素からのカルミン、銅クロロフィリン塩、および植物炭末色素も挙げられる(USP Dyes、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第5版、2007参照)。
【0045】
無機顔料の例としては、それらに限定されないが、金属酸化物および金属水酸化物、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄(α−Fe
2O
3、γ−Fe
2O
3、Fe
3O
4、FeO)、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、水酸化鉄、二酸化チタン、低級酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、水酸化クロム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケル、および酸化亜鉛、ならびに、複合酸化物および複合水酸化物、例えば、チタン酸鉄、チタン酸コバルト、アルミン酸コバルト;ならびにこれらの混合物が挙げられる。他の適切な着色剤としては、ウルトラマリンブルー(すなわち、硫黄含有ケイ酸アルミニウムナトリウム)、プルシアンブルー、マンガンバイオレット、オキシ塩化ビスマス、タルク、雲母、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカ、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン(iron oxide titanated mica)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
ある種の実施形態による好ましい顔料としては、二酸化チタン(TiO
2)、酸化鉄、染料、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
本明細書で使用するシェラックは、ラックカイガラムシ((ケリア・ラッカ(Kerrialacca)またはラッキフェル・ラッカ(Lacciferlacca)の分泌物から得ることができ、平均分子量約1000g/molを有する硬い樹脂として生じる。シェラックは、互いにエステルとして、またはラクトンとして存在する、一部不飽和ヒドロキシカルボン酸から主に構成される。主成分は、約32wt%までのシェロール酸と共に、アロイリット酸(アレウリ酸(aleuric acid)、9,10,16−トリヒドロキシパルミチン酸)である。
【0048】
ある種の実施形態による溶液配合物に使用されるアルコールの例としては、それらに限定されないが、炭素2〜6個の分枝鎖状または直鎖状アルコール、およびアルコールの組合せが挙げられる。本開示によるある種の実施形態においては、アルコールとしては、エ
タノール、95%エタノール、n−ブチルアルコール、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
ある種の実施形態による溶液において、シェラックを安定化するためのアルカリ化合物としては、それらに限定されないが、アンモニア水、水酸化物、炭酸塩化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
ロジンは、周知の、市販されている材料である。その化学構造に関して、ロジンは、主に、アビエチン酸に代表されるC
20三環式縮合環モノカルボン酸の混合物である。個々に、これらのモノカルボン酸は、樹脂酸と呼ばれる。組み合わさって、それらは、一般にロジンと呼ばれる。ロジンは、多くの供給源から得ることができ、幅広い純度を有し得る。例えば、ウッドロジンは、マツの切り株から得られるものであり、マツの切り株を取って、切り株を小片に切り、小片をヘキサンまたは高沸点パラフィンで抽出し、ヘキサンまたはパラフィンおよび脂肪酸を蒸留すると、ウッドレジンが得られる。ガムロジンは、マツの木に傷をつけて、滲出樹液を採集し、揮発性成分およびほとんどの脂肪酸を留去した後に得られるロジンに付いた名称である。ロジンは、一般的に、その酸価を特徴とし、約150から約200の範囲の酸価を有するロジンが、本明細書に開示する開示による実施形態である。先に挙げた通り、ロジンは、典型的には、カプセルをシールするためのバンド溶液配合物の約0wt.%から約20wt.%を占める。
【0051】
インク成分は、該溶液配合物に応じて、好ましくは、界面活性剤を含有する。本開示による溶液配合物に利用できる界面活性剤の非限定的なものとしては、天然または合成界面活性剤、特に、非イオン性界面活性剤が挙げられる。ある種の実施形態による界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
本開示を明確にするために、非限定的な例を以下に示すが、それらは、本特許請求の範囲を限定することを意味するものであることを意図しない。バンド例に使用する耐酸性カプセルは、サイズ0の、天然の透明な(N.T)タイプのDRCAPS(商標)であり、いかなるサイズのDRCAPS(商標)カプセルにも応用することができる。本開示のバンド溶液は、耐酸性能を有するいかなるツーピース硬カプセルにも塗布することができる。DRCAPS(商標)は、非動物性セルロースポリマー、特に、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)から製造される。
【0053】
本開示の耐酸性バンド溶液を、ヒプロメロースから作られた耐酸性硬カプセルに関して説明したが、本開示は、ヒプロメロースカプセルに限定されず、本開示は、限定されないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ(酢酸ビニル)、様々なデンプン、トウモロコシ製品、例えば、アメイゾ(amaizo)、アミロース、およびゼイン、ペクチン、アルコキシル化セルロース、ポリエステル、ポリエーテル、タンパク質、核酸、アルブミン、ゼラチン、プルラン、キチン、キトサン、寒天、デンプン、コラーゲン、デキストランおよび改変デキストラン、多糖類、ポリラクチド/ポリグリコリド、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリソルベート、ポリエチレンエーテル、ポリエチレンエステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、セルロース、アセトフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエステル、セルロースジエステル、セルローストリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテル、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸ブチル酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにカルボキシメチルセル
ロースを含めた、当業者に周知の任意のポリマーまたはフィルム形成助剤から作られたカプセルを企図する。
【0054】
本開示はまた、上記の硬カプセルの製造における、他の成分、例えば、限定されないが、フィルム形成助剤(例えば、可塑剤)、分散剤、乳化剤、結合剤、増粘剤、増量剤、可溶化剤、ゲル化剤(例えば、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガムなど)、滑沢剤、流動促進剤、賦形剤、および当業者に周知の他のよく組み込まれる添加剤の添加または含有も企図する。
【0055】
適切な可塑剤としては、それらに限定されないが、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400または900)、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル、フタル酸エステル、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0056】
適切なゲル化剤としては、それらに限定されないが、カラギーナン;ガム、例えば、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、またはグアーガム;ペクチン;キトサン;アルギン酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
適切なフィルム形成助剤としては、それらに限定されないが、カプセルの製造に使用される主要ポリマーとの適合性を示す追加のセルロース誘導体、例えば、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、EC(エチルセルロース)、MC(メチルセルロース)、HPMCAS(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート)、HPMCP(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート);合体剤(coalescents)または界面活性剤、例えば、ソルビタンエステル;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよびこれらの混合物;グリセリン;ポリ酢酸ビニル誘導体;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0058】
適切な滑沢剤または流動促進剤または抗粘着剤(anti tacking agents)としては、例えば、フュームドシリカまたはコロイド状二酸化ケイ素、例えば、Aerosil200(Evonik Industries、USA)またはCab−O−Sil(Cabot Corp.,USA)、タルク、ベントナイト、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
硬カプセルの実施形態に充填できる成分の非限定的な例としては、一般に知られている粉剤、顆粒剤、および錠剤、ならびに、多価アルコールを含めたアルコール、例えば、ステアリルアルコール、セタノール、およびポリエチレングリコール(PEG)400、600、800、1000、1500、2000、3000、4000、6000、8000、および20000;油脂、例えば、ゴマ油、大豆油、落花生油、トウモロコシ油、硬化油、パラフィン油、およびサラシミツロウ;ならびに、脂肪酸および脂肪酸誘導体、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミスチリン酸、クエン酸トリエチル、トリアセチン、および中鎖脂肪酸トリグリセリド、ならびにこれらの混合物が挙げられる。薬および食品用に、本明細書の実施形態に従って製造されるカプセルの充填に使用できる生理活性物質は、毒性のない限り、いかなる特定の制限も受けない。
【0060】
カプセルには、非常に広い範囲の活性成分、すなわち、医薬成分、薬物、もしくは栄養補助物質、またはこれらの混合物を充填することができ、それらとしては、ビタミン、栄養補助食品、解熱剤、鎮痛剤、抗炎症剤、抗潰瘍剤、強心剤、抗凝固剤、止血剤、骨吸収抑制剤、血管新生阻害剤、抗鬱剤、抗腫瘍剤、鎮咳去痰剤、筋弛緩剤、抗痙攣剤、抗アレ
ルギー剤、抗不整脈薬、血管拡張剤、降圧利尿薬、糖尿病薬、抗結核剤、ホルモン、麻薬拮抗薬、およびこれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0061】
カプセルに充填できる適切なビタミンの非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ニコチンアミド、パントテン酸カルシウム、ビタミンC、ビタミンD2、ビタミンE、ビタミンK、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
ある種の実施形態による栄養補給食品または栄養補助食品は、典型的には、疾患の予防および治療を含めた健康的および医学的利益をもたらすと考えられている、食物または食品である。カプセルに充填できる栄養補給食品の非限定的な例としては、アーティチョーク、ビルベリー、ビオフラボノイド、ボスウェリア、サイコ、カモミール、葉緑素、クランベリー、ダミアナ、エキナセア、エイジアック、ガルシニア・カンボジア、ニンニク、ゲルマニウム、ショウガ、イチョウ、チョウセンニンジン、ヒドラスチス、ブドウ種子、緑茶、ホーソンベリー、ヘスペリジン、ホップ、セイヨウトチノキ、アジサイ、オトギリソウ、インドール−3−カルビノール、甘草、リコピン、イラクサの根、ペパーミント、ツルニチニチソウ、ポリコサノール、オオバコ、ピジウム、ラズベリー、レスベラトロール、ルチン、サッサフラス、ノコギリヤシ、シリマリン、ハマビシ、ウコン、バレリアン、自然薯、および栄養補給的に許容されるそれらの塩、エーテル、エステル、酸、または他の誘導体;ならびにそれらの混合物および組合せが挙げられる。
【0063】
充填物質は、それらに限定されないが、1種またはそれ以上の希釈剤、結合剤、崩壊剤、および/またはこれらの混合物を含めた、当分野で既知の任意の許容される賦形剤と組み合わせることができる、活性成分、すなわち、医薬成分、薬物、栄養補給食品、栄養補助食品、および/またはこれらの混合物を含む。
【0064】
適切な希釈剤としては、それらに限定されないが、医薬として許容される不活性な増量剤、例えば、結晶セルロース、ラクトース、リン酸水素カルシウム、サッカリド、および/または前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。希釈剤の例としては、結晶セルロース、例えば、Avicel PH12、Avicel PH101およびAvicel
PH102(FMC Biopolymer、U.S.A.);ラクトース、例えば、ラクトース一水和物、無水ラクトース、およびPharmatose DCL21;リン酸水素カルシウム、例えば、Emcompress;マンニトール(J.Rettenmaier&Sohne GmbH+Co.KG、Germany);デンプン;ソルビトール;フルクトース;スクロース;グルコース;ならびにこれらの混合物が挙げられる。適切な結合剤としては、それらに限定されないが、ポリエチレングリコール、例えば、PEG6000;セトステアリルアルコール;セチルアルコール;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンステアレート;ポロキサマー;蝋、アルギン酸およびその塩;HPC(ヒドロキシプロピルセルロース);HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース);メチルセルロース;マルトデキストリンおよびデキストリン;ポビドン;ガム;デンプンおよび化工デンプンが挙げられる。
【0065】
適切な崩壊剤としては、それらに限定されないが、デンプングリコール酸ナトリウム、例えば、EXPLOTAB(登録商標)(J.Rettenmaier&Sohne GmbH+Co.KG、Germany);クロスポビドン、例えば、Kollidon CL(BASF、Germany)、Polyplasdone XL(ISP、USA)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、例えば、AcDiSol(FMC Biopolymer、USA)、およびデンプンが挙げられる。適切な増粘剤としては、それらに限定されないが、セルロース誘導体、例えば、カル
ボキシメチルセルロース、例えば、ブラノース(blanose)、多糖類、またはガム(適切な割合で使用される)、およびこれらの混合物が挙げられる。硬質シェルカプセルをバンドする手順は、当分野で既知である。本開示は、本開示による記述した耐酸性バンド組成物を使用して、ツーピース硬カプセルをバンドする方法を企図する。当分野で周知の方法を使用するある種の実施形態においては、カプセルは、カプセルのボディとキャップとの間の隙間をバンドする、またはその隙間にシール液を塗布および/もしくは熱を加えるような、一般的に知られているシール方法によって、カプセルのボディとキャップが重なり合う領域を、充填後にシールされる。ツーピース硬カプセルをシールまたはバンドする方法、ならびにシールおよびバンドするための装置は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第8,181,425号;第7,229,639号;第7,094,425号;第5,054,208号;第4,940,499号;第4,922,682号;第4,761,932号、および第4,734,149に開示されている。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は、本開示を例示し、本発明の化合物および方法を当業者に説明するために、特定の態様を説明する。それらの実施例は、本開示およびその種々の態様の理解および実践に有用な、特定の方法論を示しているに過ぎないので、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0067】
〔実施例1〕
インクビヒクル溶液によるDRCAP(商標)のバンド
DRCAPS(商標)耐酸性カプセルに、APAP(N−アセチル−p−アミノフェノール、すなわち、アセトアミノフェンという活性化合物)を充填し、表1に示す赤インクおよびインクビヒクル溶液によりシールした。バンドされたAPAP充填カプセルを、p.H1.2の媒体において、USP溶出法を使用して試験し、pH1.2での2時間の溶出試験後に、溶出したAPAPの割合を測定する計量法により評価した。
図1は、APAPを充填され、USP溶出試験法により、240分までの時間にわたって溶出するAPAPの割合を決定するために評価された、バンドされたカプセルの計量方法による結果を示す。
【0068】
コーンスターチを充填され、表1に示す100%シェラック−アルコール溶液(基準として)、赤インク、およびインクビヒクル溶液によりシールされたDRCAPS(商標)耐酸性カプセルを使用して、バンドされたコーンスターチ充填カプセルを、pH1.2の媒体においてJP崩壊法(すなわち、120分)を使用して試験し、pH1.2での2時間の崩壊試験後にカプセルの崩壊を測定する計量法により評価した。表2は、コーンスターチを充填され、JP崩壊試験法による、120分までの時間にわたるカプセルの崩壊の目視によって決定するために評価された、バンドされたカプセルの計量方法による結果を示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
〔実施例2〕
インクビヒクル溶液によるゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびHPMCカプセルのバンド
表3に示すシェラック/インクビヒクル溶液を使用して、液体充填カプセルについてのバンドを調査した。これにより、各カプセル材料のバンド品質を容易に観察した。
【0072】
【表3】
【0073】
カプセル(n=100)に「ラー油」(低粘度の赤い食用油)を充填し、次いで、バンド処理機を使用して、カプセルを、シェラックインクビヒクル溶液によってバンドした。乾燥した後、バンドされたカプセルを、圧力250mbar(約1/4atm、1atm=1013mbar)の真空チャンバーに20分間入れて、次いで、漏出カプセルの数を目視で数えた。
【0074】
表4に示す通り、インクビヒクルのバンドは、ゼラチンカプセル、プルランカプセル(Capsugel製のPLANTCAPS(商標)プルランカプセル)、HPMCカプセル(Capsugel製のVCAPS(登録商標)Plusヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)、およびゲル化剤を有するHPMCカプセル(Capsugel製のVCAPS(登録商標)ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル)とうまく機能した。
【0075】
【表4】
【0076】
インクビヒクルの粘度は、溶媒の量を変えることによって調整することができる。これにより、バンド処理機を使用して、バンド品質がもたらされる。表5は、異なる粘度を有するインクビヒクル(インクビヒクルAおよびインクビヒクルB)の比較を示す。表中の数字は、乾燥前および乾燥後の組成の割合(%)を示す。
【0077】
【表5】
【0078】
〔実施例3〕
ロジンを含まない配合物
硬カプセルのバンドを、エタノール59.9wt%、シェラック37wt%、および、水1.6%(エタノール中のものとして)、ソルビタン脂肪酸エステル1%、およびグリセリン脂肪酸エステル0.5%を含むバンド溶液によっても実施した。カプセルは、溶出試験および崩壊試験の両方に関して、ロジン含有またはロジン非含有で同様に機能した。シェラックバンドについてロジンを含まない組成物は、充填される粉末が「生きたプロバイオティクス」であるいくつかの実施形態において、特に有意義である。
【0079】
〔実施例4〕
バンド後処理
バンドされたカプセルを乾燥する時間の長さは、剤形を取り扱う実際の必要性、およびバンド溶液の特徴に応じて調整することができる。本発明者らは、乾燥プロセスを速くし、バンドが完全に乾燥しないうちに粘着性を低下させるように、滑沢剤であるタルクまたはステアリン酸カルシウムを塗布した。
【0080】
本明細書で引用したすべての特許、特許出願、公表された論文、抄録、本、参考マニュアル、および要約は、本開示に関連する技術の現状をより十分に説明するために、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0081】
前述の説明は、本開示の例示に過ぎないものであることを理解すべきである。当業者は、本開示から逸脱することなく、種々の代替および変更を案出することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるすべての代替、変更、変形を含むものであることを意図する。