特許第6598847号(P6598847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598847
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ジェットマニホルドおよび方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/492 20120101AFI20191021BHJP
   D04H 1/736 20120101ALI20191021BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   D04H1/492
   D04H1/736
   B05B1/14 Z
【請求項の数】28
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-504254(P2017-504254)
(86)(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公表番号】特表2017-515994(P2017-515994A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015057254
(87)【国際公開番号】WO2015155104
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2018年3月30日
(31)【優先権主張番号】202014101647.3
(32)【優先日】2014年4月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516301996
【氏名又は名称】アウテファ ソリューションズ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Autefa Solutions Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン リヒター
(72)【発明者】
【氏名】アントン モースハマー
【審査官】 堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02319266(GB,A)
【文献】 特開2009−144316(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0178442(US,A1)
【文献】 米国特許第05042722(US,A)
【文献】 特開昭58−087352(JP,A)
【文献】 特表2003−517112(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0179744(US,A1)
【文献】 特開平10−025649(JP,A)
【文献】 米国特許第05761778(US,A)
【文献】 特表2011−521119(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1688758(CN,A)
【文献】 機能性不織布の開発と応用,日本,株式会社シーエムシー,1989年 6月30日,第74〜76頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00−18/04
B05B1/00− 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体噴流処理装置(1)、特に水噴流硬化装置用のジェットマニホルドであって、当該ジェットマニホルド(10)は、中空のハウジング(11)を有していて、該ハウジング(11)は、ハウジング周壁(12)と周壁開口(13)と該ハウジング(11)内に配置されたノズルストリップ(16)とを備えている、ジェットマニホルドにおいて、
前記ノズルストリップ(16)は、ノズル本体(19)を備えたトラフ形状の横断面を有していて、前記ノズル本体(19)は、前記周壁開口(13)内に沈められて配置されていることを特徴とする、ジェットマニホルド。
【請求項2】
前記ノズルストリップ(16)は、異形材(17)として、特に金属異形材として形成されている、請求項1記載のジェットマニホルド。
【請求項3】
前記ノズル本体(19)は、側部の本体壁(20)と本体底(21)とを備えたほぼU字形またはV字形の横断面を有しており、前記本体底(21)に、流体噴流(5)、特に水噴流をそこで流出させるためのノズル開口(24)が配置されている、請求項1または2記載のジェットマニホルド。
【請求項4】
前記本体底(21)は、前記周壁開口(13)の外縁部の領域に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項5】
前記ハウジング周壁(12)は、ハウジング外側において円錐形に形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項6】
前記ノズルストリップ(16)は、前記ノズル本体(19)の縁部側に配置された保持エレメント(18)、特に保持フランジを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項7】
前記保持エレメント(18)は、前記周壁開口(13)のそばにおいて前記ハウジング周壁(12)に支持されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項8】
前記ノズル本体(19)の入口開口に、穿孔されたカバー(32)が配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項9】
前記ノズル本体(19)に、横方向補強体が配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項10】
前記ハウジング(11)は、ハウジング長手方向軸線に沿って延びるスリット状の周壁開口(13)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項11】
前記周壁開口(13)と前記ノズル本体(19)とは、互いに相応する、好ましくは円錐形の横断面輪郭を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項12】
前記ノズル本体(19)はその側部の本体壁(20)で、前記周壁開口(13)の側縁部に接触していて、そこで支持されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項13】
前記ノズル本体(19)は、その本体壁(20)の好ましくは斜めの端面(22)で、縦長の前記周壁開口(13)の端面側の縁部に接触していて、そこで支持されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項14】
前記ノズル開口(24)は、1つまたは複数の、好ましくは平行な孔列(23)内に配置されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項15】
前記ノズル開口(24)は、縦断面において、少なくとも部分的に円錐形の形状を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項16】
前記周壁開口(13)および前記ノズルストリップ(16)は、ハウジング長さにわたって、連続的にまたは中断されて配置されている、請求項1から15までのいずれか1項記載のジェットマニホルド。
【請求項17】
流体噴流処理装置、特に水噴流硬化装置であって、ジェットマニホルド(10)を有していて、該ジェットマニホルド(10)は、中空のハウジング(11)を有していて、該ハウジング(11)は、ハウジング周壁(12)と周壁開口(13)とそこに配置されたノズルストリップ(16)とを備えている、流体噴流処理装置において、
前記ノズルストリップ(16)は、トラフ形状の横断面を有していて、かつ前記周壁開口(13)内に配置されていることを特徴とする、流体噴流処理装置。
【請求項18】
前記ジェットマニホルド(10)は、請求項2から16までの少なくともいずれか1項記載のように構成されている、請求項17記載の流体噴流処理装置。
【請求項19】
当該流体噴流処理装置は、前記ジェットマニホルド(10)と圧縮水供給装置(9)とを備えた噴射装置(8)を有している、請求項17または18記載の流体噴流処理装置。
【請求項20】
当該流体噴流処理装置は、硬化すべき材料ウェブ(2)、特に繊維フリースウェブのための保持体(3)および搬送装置(27)を有している、請求項17から19までのいずれか1項記載の流体噴流処理装置。
【請求項21】
前記保持体(3)は、流体透過性に、特にスクリーンローラ(29)として形成されている、請求項17から20までのいずれか1項記載の流体噴流処理装置。
【請求項22】
当該流体噴流処理装置は、前記ジェットマニホルド(10)の領域に、前記保持体(3)の反対側に配置された吸込み装置(4)を有している、請求項17から21までのいずれか1項記載の流体噴流処理装置。
【請求項23】
複数のジェットマニホルド(10)が、円筒形の保持体(3)の周囲に分配されて配置されている、請求項17から22までのいずれか1項記載の流体噴流処理装置。
【請求項24】
1つまたは複数のジェットマニホルド(10)が、前記保持体(3)の下側に配置されている、請求項17から23までのいずれか1項記載の流体噴流処理装置。
【請求項25】
前記ジェットマニホルド(10)と前記保持体(3)との間に、間隔および放出される流体噴流(5)の自由な噴流長さを変化させるための調節装置(34)が配置されている、請求項17から24までのいずれか1項記載の流体噴流処理装置。
【請求項26】
流体噴流処理のため、特に水噴流硬化のための方法であって、このときジェットマニホルド(10)を用いて、流体噴流(5)を材料ウェブ(2)に向かって方向付け、前記ジェットマニホルド(10)は、中空のハウジング(11)を有していて、該ハウジング(11)がハウジング周壁(12)と周壁開口(13)と該ハウジング(11)内に配置されたノズルストリップ(16)とを備えている、流体噴流処理のための方法において、
前記流体噴流(5)を、ノズルストリップ(16)から放出し、該ノズルストリップ(16)は、ノズル本体(19)を備えたトラフ形状の横断面を有していて、前記ノズル本体(19)は、前記周壁開口(13)内に沈められて配置されていることを特徴とする、流体噴流処理のための方法。
【請求項27】
前記材料ウェブ(2)を、穿孔された保持体(3)上に支持する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
1つまたは複数のジェットマニホルド(10)が、流体噴流(5)を、重力に抗して、鉛直方向でまたは斜め上に向かって前記材料ウェブ(2)に放出する、請求項26または27記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法の独立請求項および装置の独立請求項の前段部に記載の、流体噴流処理装置、特に水噴流硬化装置用のジェットマニホルドならびに方法に関する。
【0002】
実地において公知の、水噴流硬化装置用のジェットマニホルドは、管状のハウジングを有しており、このハウジングは、ハウジング周壁と、そこに設けられたスリット状の軸方向の周壁開口とを備えている。ハウジングの内側においてかつ周壁開口の上方には、フラットなノズルストリップが配置されている。ここで流出する水噴流は、周壁開口を通り、かつ開口の流出口において流出した後で、さらに、硬化すべき材料ウェブに向かって方向付けられる。実地においてこのようなジェットマニホルドによって得ることができる成果物は、なお最適ではない。
【0003】
ゆえに本発明の課題は、より良好なノズル技術を提供することである。
【0004】
この課題は、本発明によれば、方法の独立請求項および装置の独立請求の特徴部に記載の構成によって解決される。
【0005】
本発明に係るノズル技術、つまりジェットマニホルドおよび噴流方法ならびにノズルストリップは、様々な利点を有している。一方では、著しく良好な噴流案内および噴射作用を得ることができる。流出する流体噴流、特に水噴流は、緊密にかつシャープに束ねられることができる。さらに、処理すべき、特に硬化すべき材料ウェブにおける衝突までの自由な噴流長さは、短縮される。これによって、発散現象は減じられ、かつ材料ウェブにおいてもたらされる噴流エネルギは最適化される。そしてディフューザ効果およびこれに関連したエネルギ損失を著しく回避することができる。
【0006】
さらに、ジェットマニホルドにおける噴流流出領域への凝縮水の側部からの引付けを、回避することができる。また反射される飛沫水の作用も減じられる。さらに、ジェットマニホルドにおいて流出する流体噴流もしくは水噴流および周囲空気に対して作用する吸込み装置を、材料ウェブの反対側に有している、水噴流処理装置の場合における空気案内のための改善可能性が得られる。
【0007】
ジェットマニホルドおよびノズルストリップの本発明に係る構成によって、ジェットマニホルドにおける流体噴流もしくは水噴流の流出箇所を、さらに外方に向かって移動させることができ、これによって、上に述べたように、自由な噴流長さは短縮される。
【0008】
改善された噴流案内によって、ジェットマニホルドおよび流出する流体噴流もしくは水噴流の、従来は不可能であった配置形態および方向付けも可能になる。特に、流出する流体噴流もしくは水噴流を下から上に向かって方向付けることが可能であり、これによって、材料ウェブにおけるより密なジェットマニホルド配置形式および水噴流硬化装置のよりコンパクトな構造形態が可能になる。
【0009】
ノズルストリップには、本発明に係るトラフ形状の構成によって、細いノズル開口の複数の孔列を並んで配置することができる。これによって一方では、噴流密度を高めることができる。他方では、短縮された自由な噴流長さおよび噴流の収束によって、流出する水噴流またはノズル噴流が相互に邪魔し合わない。本発明に係るノズル構成は、高圧下で流出する流体噴流の不変性を改善することができる。ノズル本体における穿孔されたカバーは、同様に品質を向上させるように作用することができる。これによって本発明に係るノズル技術によって得ることができる硬化効果は、従来技術に比べて著しく改善され、かつ最適化されることができる。
【0010】
さらなる利点は、ジェットマニホルドと材料ウェブとの間における噴流流出領域における空気渦流の減少にある。いまやジェットマニホルドの外側において始まる自由な噴流長さは、他方において、ジェットマニホルドが材料ウェブからより大きな距離をおくことを可能にし、このことは、上に述べた渦流減少のために利点がある。
【0011】
当業者は、ジェットマニホルドの設計および配置形態において、従来技術におけるよりも大きな変化幅および構成幅を有する。当業者は例えば、上に述べた形式において、自由な噴流長さを最小にすること、または自由な噴流長さを、従来技術における噴流長さと同じ大きさのままにして、その代わりにジェットマニホルドと材料ウェブとの間の間隔を大きくすることができる。本発明に係るノズル技術では、ハウジング周壁の厚さは、もはやまったくまたはもはやほとんど自由な噴流長さに影響を及ぼさない。さらにノズルストリップのトラフ状の横断面形状によって、ハウジングの内部における圧縮効果および圧力効果が改善される。ハウジングの内室において、案内手段は、供給された流体をより良好に分配することができ、かつノズル長さにわたるおよび噴流流出開口における一定の圧力のために役立つ。
【0012】
より良好なエネルギ利用による、流体噴流もしくは水噴流の、材料ウェブのための保持体における改善された反射特性もまた、好適である。このような反射特性は、硬化効果を改善する。さらに材料ウェブ、特に不織繊維フリースウェブを予め湿潤させることが可能である。このように予め湿潤させると、材料ウェブにおける繊維の接着および固着が改善される。
【0013】
さらに、材料ウェブにおける連行水(Sleppwasser)の減少も利点として生じる。これによって、連行水に由来する噴射妨害も減じることができる。改善されたノズル技術によって最適化された空気案内は、さらに水のより良好な排出を可能にする。特に下から上に向かっての垂直または斜めの噴射方向では、材料ウェブおよび保持体から反射された飛沫水または飛散水を、より良好に排出することができる。そのためには重力の作用を良好に利用することができる。
【0014】
本発明に係るノズル技術によって、さらに、水噴流硬化装置における液体もしくは水の消費が著しく減じられる。全体として、水噴流硬化装置を所要スペースおよび効率に関して最適化することができ、これによってまた経費が減じられ、かつ他方において公知の構造に対する経済性は大幅に高まる。さらにまた、本発明に係るノズル技術によって改善されたシール技術も好適である。
【0015】
従属請求項には、本発明の別の好適な構成が開示されている。
【0016】
次に図面を参照しながら本発明の実施形態を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】複数のジェットマニホルドを備えた水噴流硬化装置を示す概略図である。
図2】材料ウェブおよび保持体と共にジェットマニホルドを概略的に示す横断面図である。
図3】ノズルストリップを示す平面図である。
図4】ノズルストリップをジェットマニホルドの一部と共に、図3のIV−IV線に沿って断面して示す図である。
図5】ノズルストリップおよびジェットマニホルドの端面側の縁部領域を、図4のV−V線に沿って断面して示す縦断面図である。
図6】ノズルストリップにおけるノズル開口を示す縦断面図である。
図7】ノズルストリップに一列配置されたノズル開口を部分的に示す断面図である。
図8】ノズルストリップの変化形態を示す図である。
図9】ノズルストリップの別の変化形態を示す図である。
【0018】
本発明は、流体噴流処理装置1用のジェットマニホルド10および噴流方法(Beduesungsverfahren)に関する。本発明はさらに、このようなジェットマニホルド10を1つまたは複数備えた流体噴流処理装置1および材料ウェブ2を流体噴流処理する方法に関する。
【0019】
流体は、好ましくは水である。流体は、択一的に他の液体であってもよい。以下においては水および水噴流処理について述べるが、技術的な教えは、相応の適合によって他の流体に対しても通用する。
【0020】
水噴流処理および水噴流処理装置1は、材料ウェブ2を硬化させることができる。水噴流処理および水噴流処理装置1は、択一的に、表面処理、特に仕上げ、または材料ウェブ2のその他の処理であってよい。以下においては、水噴流硬化の方法および水噴流硬化装置1について記載する。技術的な教えは、相応の適合によって他の水噴流処理および使用目的のためにも通用する。水噴流硬化装置1および方法は、スパンレースまたは水交絡(hydroentanglment)とも呼ばれる。
【0021】
材料ウェブ2は、水噴流5によって処理可能な、特に硬化可能な任意の材料から成っていてよい。図示の好適な実施形態において、材料ウェブ2は、紡織繊維、特に、切断された短い形状(いわゆるステープルファイバ)または長い形状(いわゆるトウ)の自然繊維および/または合成繊維から成っている。材料ウェブ2は、好ましくは、不織繊維フリースウェブとして形成されている。このような繊維フリースは、しばしばパイル(Faserflor)とも呼ばれる。図2には、水噴流硬化によって得られる、材料ウェブ2の圧縮効果が略示されている。択一的に、他の紡織の材料ウェブ2、例えば織られた材料ウェブ2も可能である。
【0022】
材料ウェブ2と水噴流硬化装置1との間においては、搬送方向28において搬送装置27を用いて相対運動が行われる。図示の実施形態では、材料ウェブ2が、好ましくは定置の水噴流硬化装置1に対して移動する。搬送装置27は、材料ウェブ2を案内するためおよび場合によっては駆動するためのローラを有している。図1には、このようなローラが略示され、かつ部分的に示されている。
【0023】
水噴流硬化時および搬送時に材料ウェブ2を支持するために、保持体3が設けられている。この保持体3は平らな形状または湾曲した形状を有することができる。保持体3はさらに複数の貫通開口を有することができる。保持体3は、例えばスクリーンベルト、スクリーン周壁または格子体として形成されていてよい。
【0024】
図1において保持体3は、例えば隣接したローラ29およびそのスクリーン周壁によって形成される。図2には、少なくとも部分的に平らなスクリーンベルト3の可能性が略示されており、このスクリーンベルト3は、形状安定的にまたは撓み弾性的に形成されていてよい。図1では、例えばローラ、特にスクリーンローラ29は回転し、相応の駆動装置を備えている。
【0025】
水噴流硬化装置1は、噴射装置8を有しており、この噴射装置8は、1つまたは複数の、好ましくは多数の水噴流5を、材料ウェブ2およびその下に位置する保持体3に向かって放出する。さらに吸込み装置4が設けられていて、保持体3の、材料ウェブ2とは反対の他方の側に配置されていてよい。上に述べた媒体、水というのは、HOの他に、材料ウェブ2の噴流硬化のために適した他の流体、特に液体をも含む。
【0026】
噴射装置8は、ジェットマニホルド10と、図1に略示された圧縮水供給装置9とを有している。ジェットマニホルド10は、複数設けられていてよい。このとき複数のジェットマニホルド10は、1つの共通の圧縮水供給装置9に接続されていても、または択一的にそれぞれ1つの固有の圧縮水供給装置を有していてもよい。圧縮水供給装置9において、噴流硬化のために使用される水が処理され、内部が中空のジェットマニホルド10内に圧力を伴って供給される。材料噴射後に流出する水は、捕集され、かつ場合によっては循環回路における処理後に圧縮水供給装置9に再び供給されることができる。択一的に、新鮮水による作業も可能である。
【0027】
ジェットマニホルド10は、縦長のビーム形状を有していて、材料ウェブ2を横切って延びている。図示の実施形態では、ジェットマニホルド10は、運動する材料ウェブ2に対して相対的に位置固定に配置されている。ジェットマニホルド10は、内室31と該内室31を取り囲むハウジング周壁12とを備えた中空のハウジング11を有している。ハウジング周壁12は、一体であってもまたは複数部分から成っていてもよい。ハウジング周壁12は、例えば、互いに結合された複数の側壁から形成されていてよい。端面側においてジェットマニホルド10は、適宜な形式でカバーまたはこれに類したものによって閉鎖されている。中空の内室31において、高い水圧が形成される。
【0028】
ハウジング11は、任意の適宜な実施形態における形状付与および水供給部を有することができる。ハウジング11は、例えば管状に形成されていて、水供給のために1つまたは2つの端面側のハウジング開口を有することができる。択一的にまたは追加的に、水供給のための1つまたは複数の周壁開口が可能である。ハウジング11の中空の内室31には、水流のための案内手段および水流の分配装置が設けられていてよい。均等な流れ、特に層流を形成および案内する適宜な処置によって、ノズルストリップ16においては長さにわたってあらゆる所で等しい水圧を形成することができ、かつノズル開口24において等しい流出条件を得ることができる。
【0029】
ジェットマニホルド10は、任意の横断面幾何学形状を有することができる。図示の実施形態では、横断面は方形、特に正方形である。択一的にジェットマニホルド10の横断面は、丸く面取りされていてよく、特に真円形または楕円形に形成されていてよい。さらに、任意の他のプリズム状の横断面形状またはこれに類した形状が可能である。
【0030】
ハウジング周壁12には、材料ウェブ2に向いた側に周壁開口13が配置されている。この周壁開口13は、ジェットマニホルド10の長手方向に延びていてよい。周壁開口13はまた、例えば平行配置で、複数設けられていてもよい。周壁開口13は、マニホルド長さにわたって連続して延びていても、または中断されていてもよい。周壁開口13は、好ましくは、マニホルド軸線に沿って方向付けられて真っ直ぐに延在している。
【0031】
ハウジング11の内部においてかつ周壁開口13には、かつ好ましくは周壁開口13内には、ノズルストリップ16が配置されている。このノズルストリップ16は、トラフ形状の横断面を有している。ノズルストリップ16は、ノズル条片とも呼ばれる。ノズルストリップ16は、好ましくは薄壁の材料から成っている。
【0032】
図2図5から、ノズルストリップ16の湾曲した、オメガ形状の横断面幾何学形状が明らかである。ノズルストリップ16は、中央の湾曲したノズル本体19と、場合によってはこのノズル本体19の縁部において片側または両側に配置されかつ側方に突出する保持エレメント18とを有している。これらの保持エレメント18は、例えば折り曲げられた保持フランジとして形成されていてもよい。
【0033】
周壁開口13は、図示の実施形態では、スリット形状に形成されていて、ハウジング周壁12における貫通部である。ノズルストリップ16は、好ましくは、その全長にわたって等しいままの横断面形状を有していて、薄壁の異形材17として形成されている。ノズルストリップ16は、好ましくは、金属、特に鋼または非鉄金属から成っている。
【0034】
図示の実施形態では、金属異形材17は、薄壁の金属薄板条片から一体に曲げられている。択一的に、金属異形材17は、絞り加工またはプレス加工された金属異形材であってよい。ノズルストリップ16もしくは異形材は、中実材料から切削加工または他の形式で製造することも可能である。択一的に、他の材料、例えば高強度プラスチックまたはこれに類したものも可能である。ノズルストリップ16もしくは異形材17は、複数部分から形成されていてもよい。
【0035】
図3図5から明らかなように、ノズル本体19は、ほぼU字形またはV字形の横断面を有している。V字形または円錐形の横断面は、噴流放出方向5に先細である。ノズル本体19は中空であり、ジェットマニホルド10の内室に向かって開放している。ノズル本体19は、側部の本体壁20と、水噴流5をそこで流出させるための複数のノズル開口24を備えた本体底21とを有している。本体底21は、好ましくは平らに形成されている。本体底21は、材料ウェブ2もしくは保持体3に対して平行に方向付けられていてよい。
【0036】
図2図4および図5から明らかなように、ノズル本体19は周壁開口13内に沈められて配置されている。保持エレメント18は、周壁開口13の両側において、隣接するハウジング周壁12に載置されていて、ここで支持されている。保持エレメント18および/または本体壁20の下には、シール部材30が配置されていてよい。
【0037】
図2には、従来技術も破線で示されており、この従来技術では、孔列を備えた平らなノズルストリップが、ハウジング周壁12の内側において、周壁開口13の上に位置している。公知のノズルストリップにおいて流出する水噴流5は、ジェットマニホルド10から流出するまでに、まず、孔列に比べて拡大された周壁開口を通過しなくてはならない。ハウジング周壁12もしくは側部のハウジング壁は、高い水圧および必要な強度のために、一定の壁厚を有しており、このような壁厚は、明らかに開口深さおよび自由な噴流長さに影響する。
【0038】
図示の実施形態では、ノズルストリップ16は、本体底21が周壁開口13の外縁部を越えて延びていて、ある程度、マニホルド外面を越えて突出している。択一的に、ノズルストリップ16は、周壁開口13の外縁部と同一平面を成しているか、または場合によっては当該外縁部の前で終わっていてもよい。
【0039】
図4にはさらに、ハウジング周壁12の、周壁開口13に隣接する領域の構成における2つの変化形態が示されている。図4の左側半部において、ハウジング周壁12は等しいままの厚さを有しており、このとき周壁外側は、本体底21に対して平行に方向付けられている。右側半部には、斜めに面取りされた周壁外側を備えた変化形態が示されている。この変化形態では、等しい周壁傾斜が水噴流5の軸線に対して左右対称に配置されており、これによってハウジング周壁12は外側において円錐形に、周壁開口13に向かって肉厚になるように形成されている。
【0040】
図4および図5から明らかなように、周壁開口13は端面側においてそれぞれ、ジェットマニホルド端部もしくはそこにおけるカバーの前に間隔をおいて終わっている。このとき周壁開口13は、横断面および縦断面において円錐形でかつマニホルド外側に向かって先細の形状を有することができる。周壁開口13は、斜めの側壁14および斜めの端壁15を有している。
【0041】
ノズル本体19は、マニホルド外側に向かってもしくは噴流放出方向において先細になる相応の円錐形状を有することができ、かつ斜めの側部における本体壁20および斜めの端面22を有することができる。端面22は、それぞれ所属のかつ好ましくは平らな端壁15に平面で、または場合によってはそこに挿入されたシール部材30に平面で接触している。
【0042】
側部の本体壁20と周壁開口13の側壁14とは、好ましくは同様に平らに形成されていて、互いに平面で接触している。これによって側壁14は、本体壁20を作用する水圧に抗して支持する。他方において円錐形状は、水噴流圧のために好適である。さらに、本体底21の幅は減じられており、この構成は、本体底21の強度および形状安定性のために好適である。
【0043】
本体底21には、多数のノズル開口24がジェットマニホルド10の長手方向に相前後して並んでいる。このとき1つまたは複数の孔列23が形成されてよい。そして孔列の長さは、少なくとも材料ウェブ2の幅にわたって延びている。図7には、ただ1つの孔列23を備えた変化形態が示されている。複数配置形態では、2つまたはそれ以上の孔列23が互いに平行に配置されていてよく、このときこれらの孔列23は、長手方向において互いに並行に位置するように、または互いに穿孔ピッチだけずらされて方向付けられていてよい。
【0044】
図6には、本体底21におけるノズル開口24を通る縦断面図が例示されている。このノズル開口24は、例えばジェットマニホルド10の中空の内室に向く上側の開口領域25を有しており、この開口領域25は、円筒形の形状を有することができる。この上側の開口領域25には、水噴流5の流出方向に、下側の、かつ好ましくは比較的長い開口領域26が接続しており、この下側の開口領域26は、本実施形態では噴射方向において円錐形に広がっている。上側の開口領域25は、極めて小さな直径を有することができる。この直径は、例えば0.01mm〜0.30mm、好ましくは0.07mm〜0.17mmの大きさであってよい。
【0045】
図1および図2から明らかなように、ノズル開口24から流出する水噴流5は、適宜な角度で、好ましくは材料ウェブ2に対して垂直に方向付けられ、このとき材料ウェブ2は、穿孔された保持体3に支持されている。孔列形成に相応して、1つまたは複数の水噴流列が、材料ウェブ2にわたって横方向に生ぜしめられる。ノズル開口24は、材料ウェブ2の上に間隔をおいて配置されており、このとき各ノズル開口24の出口と材料ウェブ2における衝突箇所との間には、自由な噴流長さが生じる。
【0046】
ジェットマニホルド10と材料ウェブ2、特に保持体3との間には、図1において矢印で略示された、間隔を変化させるための調節装置34が、配置されていてよい。例えばジェットマニホルド10は、高さ調節可能に支持されている。調節装置34を介して、放出される流体噴流5もしくは水噴流の所望の自由な噴流長さを調節することができる。
【0047】
衝突する水噴流5は、材料ウェブ2における繊維を移動させかつ変形させ、このとき水噴流5は、繊維複合体を圧縮し、かつ硬化させる。水噴流5の一部は、材料ウェブ2および保持体3から飛沫水または飛散水7として反射する。飛散水7は、ハウジング周壁12の外側において場合によっては、凝縮水として付着することがあり、このとき放出された水噴流領域の外側に留まる。周壁開口13から突出するまたは周壁外側と同一平面を成すノズルストリップ16を備えた好適な実施形態が、ここでは有利である。
【0048】
保持体3の下に配置された吸込み装置4によって、穿孔された保持体3の背側におけるその他の水を吸い込むこと、および材料ウェブ2から搬出することができる。このとき周囲空気も、ジェットマニホルド10と材料ウェブ2との間における間隙を通して吸い込むことができる。図2には、空気流6が略示されている。図1のスクリーンローラ29では、吸込み装置4は、回転するスクリーンローラ29の内部に定置に位置している。
【0049】
水噴流硬化装置1の、図1に示した実施形態では、材料ウェブ2は、互いに逆向きに回転する互いに隣接している2つのスクリーンローラ29を介して案内され、このとき複数の段階において複数のジェットマニホルド10を用いて硬化される。ジェットマニホルド10は、各スクリーンローラ29に向かって半径方向に方向付けられていて、かつスクリーンローラ29の周囲に分配配置されている。このとき1つまたは複数のジェットマニホルド10が、水噴流を重力に抗して鉛直方向または斜め上方に向かって放出することができる。これらのジェットマニホルド10は、例えば下側のスクリーンローラ29の下に配置されている。
【0050】
図8には、ハウジング11およびノズル条片16もしくはノズルストリップの変化形態が示されている。ハウジング11は、下側に解離可能に固定された、特にねじ固定された底部分33を備えたハウジング周壁12を有しており、底部分33は、周壁開口13およびノズル条片16を収容している。
【0051】
図8の変化形態では、ノズルストリップ16はノズル本体19だけを有しており、このとき側部の保持エレメント18は省かれている。噴射方向において円錐形に先細に延びるノズル本体19のためのシール部材30は、周壁開口13の対応する側壁14に配置されている。ノズル開口24を備えた、特に1つまたは複数の孔列23を備えた、平らな本体底21は、本実施形態においても、周壁開口13の下縁部もしくは開口部を越えて、ある程度突出している。
【0052】
図8にはさらに、1つまたは両方の端面側におけるノズル条片16のためのガイド35の配置形式が示されている。このガイド35は例えば、周壁開口13の1つまたは両方の端壁15における、軸方向の、条片状の突出部と、この突出部と共働する、ノズル条片16の部分とによって形成される。ノズル条片16は、形状結合式(formschluessig)の結合のために、突出部に対応する切欠きを備えた端壁を有することができる。他方において、突出部は、ある程度上方に向かって間隔をおいて配置されていてよく、このように構成されていると、本体底21は図8に示すように、突出部の下に軸方向で押し込むことができる。
【0053】
図9には、第2のノズル変化形態が示されており、この第2のノズル変化形態は、上に述べた第1の変化形態に対して、ノズル本体19の入口開口における穿孔されたカバー32によって異なっている。このカバー32は、例えば孔付プレートとして形成されており、この孔付プレートは、ノズル条片16の、上方に向かって折り曲げられた縁部側の保持エレメント18に保持され、かつ固定されてよい。穿孔されたカバー32は、ハウジング11の内室31と中空のノズル本体19の内室との間に位置している。
【0054】
さらに本実施形態および他の実施形態において、例えば、取り付けられたもしくは溶接された横リブとして形成された横方向補強体が、ノズル本体19の内室内に配置されていてよい。
【0055】
図示および記載された実施形態の変化形態は、様々な形式で可能である。上に述べた実施形態および上に述べた変化形態の個々の特徴は、任意に互いに組み合わせること、特に交換することも可能である。
【0056】
別の変化形態は、周壁開口13およびノズルストリップ16の横断面幾何学形状、特にノズル条片16のノズル本体19の横断面幾何学形状に関する。円錐形の形状の代わりに、U字形が設けられていてよい。またV字形も可能である。
【0057】
ノズル開口24では、図7の変化形態において、材料ウェブ2に向いた下側の開口領域26は、円筒形に形成されていても、または円錐形に先細に形成されていてもよい。さらに幾何学形状の逆転が可能であり、このとき特に円筒形の細い開口領域は、ノズル開口24の、材料ウェブ2に向いた外側に配置されている。開口領域は短い長さを有することができる。このとき上側の、かつ場合によっては比較的長い開口領域は、適宜な形式で、例えば円錐形に形成されており、このとき開口領域は、ジェットマニホルド10の中空の内室に向かって広がっている。
【0058】
図1の実施形態の変化形態では、水噴流硬化装置1は、材料ウェブ2のための平らな搬送路と、この搬送路に沿って互いに並んで配置された1つまたは複数のジェットマニホルド10を有することができる。これらのジェットマニホルド10は、1つの側から、特に上側から、または両側から材料ウェブ2に向けられていてよく、かつ放出された水噴流5によって作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1 水噴流硬化装置、スパンレース
2 材料ウェブ、繊維フリースウェブ
3 保持体、スクリーンベルト、スクリーン材料
4 吸込み装置
5 噴流、水噴流、噴流放出方向
6 空気流
7 飛沫水
8 噴射装置
9 圧縮水供給装置
10 ジェットマニホルド
11 ハウジング
12 ハウジング周壁
13 周壁開口、スリット
14 側壁
15 端壁
16 ノズル条片、ノズルストリップ
17 条片異形材、金属異形材
18 保持エレメント、保持フランジ
19 ノズル本体
20 本体壁
21 本体底
22 本体壁の端面
23 孔列
24 ノズル開口
25 開口領域 上側
26 開口領域 下側
27 搬送装置
28 搬送方向
29 ローラ、スクリーンローラ
30 シール部材
31 内室
32 カバー、孔付プレート
33 底部分
34 調節装置
35 ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9