特許第6598872号(P6598872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6598872プロセスモデルを調整するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598872
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】プロセスモデルを調整するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20191021BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G06Q10/06
   G05B23/02 Z
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-551046(P2017-551046)
(86)(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公表番号】特表2018-511883(P2018-511883A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】US2016024887
(87)【国際公開番号】WO2016160913
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年11月8日
(31)【優先権主張番号】62/140,029
(32)【優先日】2015年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/084,237
(32)【優先日】2016年3月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】ホーン,イアン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ロマティエ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】コヴァルチック,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アルゼイン,ザク
【審査官】 田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−109711(JP,A)
【文献】 特開2002−244719(JP,A)
【文献】 特開2001−067117(JP,A)
【文献】 特開2001−106703(JP,A)
【文献】 特表2004−523841(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0123864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント[12a〜12n]のオペレーションを改善するための調整システム[10]であって、前記調整システム[10]は、
前記プラント[12a〜12n]と通信ネットワーク[16]を介して通信するために前記調整システム[10]に連結されたサーバ[14]と、
前記プラント[12a〜12n]の前記オペレーションに関連したプラントデータを前記通信ネットワーク[16]を介して受信および送信するためのウェブベースのプラットフォームを有するコンピュータシステム[18]と、
前記プラントデータを対話形式で表示するよう構成されたディスプレイデバイス[20]と、
照合ユニット[22]であって、
前記プラント[12a〜12n]からの実際に測定されたデータを、所定の基準のセットまたはセットポイントに基づいて、シミュレーションエンジンからのパフォーマンスプロセスモデルの結果と比較して照合し、
記実際に測定されたデータおよび前記パフォーマンスプロセスモデルの結果に対して、所定の閾値のセットを使用して発見的解析を実施するよう構成された照合ユニット[22]と、
を備える調整システム。
【請求項2】
前記照合ユニット[22]は、前記プラントデータを前記プラント[12a〜12n]から前記コンピュータシステム[18]を介して受信するよう構成され、受信された前記プラントデータは、所定の期間中の、前記プラント[12a〜12n]内の機器からの前記実際に測定されたデータを表す、請求項1に記載の調整システム。
【請求項3】
前記調整システム[10]と、前記プラントデータを格納するデータベース[26]と、前記通信ネットワーク[16]との間のインターフェースを提供するよう構成されたインターフェースモジュール[24]をさらに含む、請求項1に記載の調整システム。
【請求項4】
前記実際に測定されたデータの前記比較に基づいて前記シミュレーションエンジンの現行のプロセスモデルの信憑性を予測するよう構成された予測ユニット[28]をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の調整システム。
【請求項5】
前記予測ユニット[28]は、
分析法を使用して、前記実際に測定されたデータの前記比較に基づいて、前記パフォーマンスプロセスモデルの信憑性スコアを計算し、
なくとも1つのプラントオペレーション上のパラメータに基づいて前記パフォーマンスプロセスモデルの信憑性の程度を決定するためのスコア付けモデルを作り出すよう構成されている、請求項4に記載の調整システム。
【請求項6】
前記予測ユニットは、
前記信憑性スコア、前記プラントデータと、前記所定の閾値との間の相違の量に基づいて重み付け
前記スコア付けモデル、重み付けされた信憑性スコアで更新
前記現行のプロセスモデル、前記スコア付けモデルに基づいて調節よう構成されている、請求項5に記載の調整システム。
【請求項7】
前記予測ユニット[28]は、前記プラント[12a〜12n]の前記オペレーションに関連したシミュレーションの適合性を決定するために、選択されたプラントパラメータと、前記パフォーマンスプロセスモデルの結果との間の相違を、所定の期間中、累積的に計算するよう構成されている、請求項4に記載の調整システム。
【請求項8】
プラントプロセスモデルの信憑性スコアに基づいて、前記プラント[12a〜12n]の少なくとも一部を最適化し、
なくとも1つの制約を条件として、消費された材料、生み出された生成物、および利用されたユーティリティを含む、特定のプロセス中の、前記オペレーションの総費用のユーザ定義の計算として、目的関数を定義する
よう構成された最適化ユニット[30]をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の調整システム。
【請求項9】
動的モデル、パラメトリックモデル、分析ツール、または関連知識および最良の実施基準のうちの少なくとも1つに基づいて、前記プラント[12a〜12n]の運用状態を決定するよう構成された分析ユニット[32]をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の調整システム。
【請求項10】
前記分析ユニット[32]は、実際の現行のオペレーション上のパラメータまたは履歴上のオペレーション上のパラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記プラント[12a〜12n]の最終的な生成物の目標とするオペレーション上のパラメータを決定するよう構成されている、請求項9に記載の調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、全体として参照により本明細書に援用される2015年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/140,029号の、米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張する。
【0002】
[0002]本発明は、化学プラントまたは精製所などのプラントのプロセスモデルを調整するための方法およびシステムに関し、より詳細には、閾値解析を使用して、このようなプラントの運用パフォーマンスを改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]精製所および石油化学プラントを運用する会社は、通例、今日の環境における厄介な課題に直面する。これらの課題は、利ざやを損なうこと、次第に複雑化する技術、作業員の経験レベルの低減、および絶えず変化する環境規制を含み得る。
【0004】
[0004]その上、供給価格および生成物価格がより不安定になるにつれて、オペレータは、彼らの利ざやを最適化し得る業務上の意思決定を行うことがより困難であるとしばしば感じる。この不安定さは、予見できる将来に緩和する可能性は低いが、市場機会が生じたときにそれを素早く識別し、反応できる会社に対しては、経済的潜在性を意味することができる。
【0005】
[0005]資本市場からの圧力は、一般に、事業会社に既存の資産に対する利益を間断なく増大させることを強いる。それに応じて、触媒、吸着剤、機器、および制御システムのサプライヤは、資産のパフォーマンスを増大させることができる、より複雑なシステムを開発する。これら高度なシステムのメンテナンスおよびオペレーションは、一般に、今日の技術者の時間的圧力および制限されたリソースを考慮に入れると、開発、維持、および移転が困難になり得るスキルレベルの増大を要する。これは、これらの次第に複雑化するシステムが、その最高の潜在力に対して常に運用されるわけではないことを意味する。加えて、既存の資産が、その設計限界の近くおよび設計限界を越えて運用されるときには、信頼性の懸念およびオペレーション上のリスクが増大する可能性がある。
【0006】
[0006]プラントオペレータは、典型的には、上記の課題に、例えば可用性リスク低減などの、いくつかの戦略のうちの1つまたは複数で応答し、価格連鎖および継続的な経済的最適化に取り組む。可用性リスクの低減は、一般に、経済的パフォーマンスを最大化することとは対照的に、妥当なプラントオペレーションを達成することに重点を置く。価格連鎖に取り組むことは、典型的には、供給および生成物のミックスと、資産能力および市場の需要との一致を改善することに重点を置く。継続的な経済的最適化は、プラントのパフォーマンスの経済上およびオペレーション上のギャップを継続的に監視し、埋めるために、ツール、システム、およびモデルをしばしば用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]精製所のオペレータが典型的に経験する複数のレベルのギャップ(または、パフォーマンス不足)が存在する。
1)イベントまたは「損失機会」のギャップ
たいていの精製所のオペレータは、精製所における計画外のイベント、すなわち、計画外の停止、機器の可用性の問題等に関する費用/価値を十分に追跡することができる。これらのギャップと関連付けられた価値は一般に大きいが、継続期間は通常短い。よく運用された精製所は、効果的なプロセスおよび機械的信頼性プログラムを通じて、これらのイベントを最小限に抑えることができる。
【0008】
2)バックキャスティングギャップ
精製所によっては、オペレータが、毎月の精製所の生産計画を実際に達成されたオペレーションと比較するバックキャスティング(履歴上の)ギャップに注目し、ギャップがあればその原因を理解し、解決するために分析を行う。これは、典型的には毎月行われる。精製所のオペレータは、精製所の生産プロセス計画からのずれに関する根本原因を解決する場合は、かなりの経済上の改善をしばしば明らかにすることができる。
【0009】
[0008]しかし、根本原因が不十分なプロセスパフォーマンスに埋もれているとき、これらは識別するのがしばしば困難である。この履歴上のバックキャスティング分析は、月末まで問題が識別されず、未解決の状態にするという点で費用がかかることもある。単なる一例として、30,000BPDの改質ユニットからのオクタンバレル生産における1%の負債は、($0.60/oct−bblの評価額に基づくと)1カ月で$530,000の価値になり得る。このギャップの早期識別および問題の解決は、かなりの利益損失を回避し得る。一貫性があり実行可能な結果を保証するために、様々なプラントプロセスモデルに基づいて特定のプロセスを最適化するときには、所望のパフォーマンスの継続的かつ一貫したレベルを維持することが重要である。
【0010】
[0009]したがって、プラントパフォーマンスの経済上およびオペレーション上のギャップを監視し、埋めるためにツール、システム、およびモデルを用いる経済的最適化の戦略を利用することによって、オペレータがこれらの課題に応答するための改善された調整システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0010]本発明の全体的な目的は、化学プラントおよび精製所のオペレーションの効率性を改善することである。本発明のより具体的な目的は、上述の問題のうちの1つまたは複数を克服することである。本発明の全体的な目的は、プラントのオペレーションを改善するための方法を通じて、少なくとも部分的に成就され得る。方法は、プラントオペレーション情報をプラントから取得することを含む。
【0012】
[0011]本発明は、プラントオペレーション情報をプラントから取得すること、およびプラントプロセスモデルを、プラントオペレーション情報を使用して生成することを含む、プラントのオペレーションを改善するための方法をさらに包含する。本発明は、プラントのオペレーションを改善するための方法をさらに包含する。方法は、プラントオペレーション情報をインターネットで受信すること、およびプラントオペレーション情報を使用してプラントプロセスモデルを自動的に生成することを含む。
【0013】
[0012]本発明は、シミュレーションエンジンが、プラント最適化の健全な基礎を提供するために体系的に調整されることを保証する。キーマッチングパラメータは、関連付けられた基準点に基づいて定義および照合され、全てのパラメータの相違が、実際のプラントオペレーションと比較されたシミュレーションの適合性を決定するために累積的に評価される。以下により詳細に説明されるように、閾値は、シミュレーションの適合性に基づいて、シミュレーションエンジンの追加調整の必要性を評価するために定義および決定される。
【0014】
[0013]本発明は、構成されたプロセスモデルを使用して、個別のプロセスユニット、オペレーティングブロック、および/または完全な処理システムのパフォーマンスを、監視、予測、および最適化する。実際のパフォーマンスに対する予測されたパフォーマンスの定期的で頻繁な分析は、財政上のインパクトを最適化するように対処され得る、オペレーション上の矛盾の早期識別を可能にする。
【0015】
[0014]本発明は、以下の装置、すなわち、圧力センサ、差圧センサ、オリフィス板、ベンチュリ、他の流量センサ、温度センサ、静電容量センサ、重量センサ、ガスクロマトグラフ、湿度センサ、ならびに、当技術分野で周知のように、精製業および石油化学産業でよく見られる他のセンサのうちのいずれかからのプロセス測定値を利用する。さらに、本発明は、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、蒸留測定、オクタン測定、ならびに、精製業および石油化学産業でよく見られる他の検査室測定からのプロセス検査室測定値を利用する。
【0016】
[0015]プロセス測定値は、以下のプロセス用機器、すなわち、ポンプ、コンプレッサ、熱交換器、加熱炉、コントロールバルブ、分留塔、反応炉、ならびに、精製業および石油化学産業でよく見られる他のプロセス用機器のうちのいずれかのパフォーマンスを監視するために使用される。
【0017】
[0016]本発明の方法は、好ましくはウェブベースのコンピュータシステムを使用して実装される。このプラットフォーム内で作業プロセスを実行する恩恵は、経済的機会を識別し、捕える、オペレーションによる増大された能力による改善されたプラントの経済的パフォーマンス、パフォーマンスのギャップを埋める維持された能力、従業員の専門知識を活用する増大された能力、および改善されたエンタープライズチューニングを含む。本発明は、高度なコンピューティング技術を他のパラメータと組み合わせて使用して、精製所および石油化学設備などのプラントが運用される手段を変化させることに関する、新しくかつ革新的な手段である。
【0018】
[0017]本発明は、プラントでデータ収集システムを使用してデータを捕え、そのデータが遠隔地に自動的に送信され、そこで、データは、例えば、エラーおよびバイアスを除去するために点検され、パフォーマンスの結果を計算し、報告するために使用される。プラントおよび/またはプラントの個別のプロセスユニットのパフォーマンスは、1つまたは複数のプロセスモデルによって予測されたパフォーマンスと比較されて、あらゆる運用中の相違、すなわちギャップを識別する。
【0019】
[0018]予測されたパフォーマンスと比較された、実際のパフォーマンスを示す日報などの報告が生成され、プラントオペレータおよび/またはプラントもしくはサードバーティのプロセスエンジニアに、例えば、インターネットを介するなどして届けられ得る。識別されたパフォーマンスギャップは、オペレータおよび/またはエンジニアがギャップの原因を識別し、解決することを可能にする。本発明の方法は、プロセスモデルおよびプラントオペレーション情報をさらに使用して、例えば、供給、生成物および価格といった所与の値に対して、最適なプラントオペレーションに収束する最適化ルーチンを動作させる。
【0020】
[0019]本発明の方法は、プラントが最適な条件で、または最適な条件の近くで継続的に動作することを可能にする設定点または基準点を調節する推奨を可能にする規則的なアドバイスを、プラントオペレータおよび/またはエンジニアに提供する。本発明の方法は、オペレータに、プラントの将来のオペレーションを改善または修正するための代案を提供する。本発明の方法は、プロセスモデルを規則的に維持し、調整して、プラントの真の潜在的なパフォーマンスを正確に表す。本発明の1つの実施形態の方法は、最適条件のオペレーティングポイントを識別し、代替オペレーションを評価し、供給評価を行うために使用される、オペレータの具体的な経済的な尺度に従って構成された経済的最適化ルーチンを含む。
【0021】
[0020]本発明は、精製所が実際の経済的パフォーマンスと達成可能な経済的パフォーマンスとの間のギャップを埋めるのに役立つ、繰り返し可能な方法を提供する。本発明の方法は、プロセス開発履歴、モデリングおよびストリームの特徴付け、ならびにプラント自動化の経験を利用して、データセキュリティ、ならびに大量のデータの効率的な集約、調整、および移動を保証することに関する重大な問題に対処する。ウェブベースの最適化は、技術的な専門知識とプラントのプロセスオペレーション要員を仮想方式で接続することによって、最大のプロセスパフォーマンスを達成し、維持するための好ましい実現手段である。
【0022】
[0021]強化されたワークフローは、構成されたプロセスモデルを利用して、個別のプロセスユニット、オペレーティングブロック、または完全な処理システムのパフォーマンスを監視し、予測し、最適化する。実際のパフォーマンスに対する予測されたパフォーマンスの定期的で頻繁な分析は、財政上のインパクトを最適化するように作用され得る、オペレーション上の矛盾の早期識別を可能にする。
【0023】
[0022]本明細書で使用される場合、「ルーチン」への言及は、特定のタスクを実施するための一連のコンピュータプログラムまたは命令を言うことを理解されたい。「プラント」への本明細書での言及は、様々なタイプの化学および石油化学の製造または精製設備のいずれかを言うことを理解されたい。プラントの「オペレータ」への本明細書での言及は、プラントにおける日々のオペレーションを監督すること、および/または動作させることに関心があるプラントの立案者、マネージャ、エンジニア、技術者などのことを、限定することなく、言うこと、および/または含むことを理解されたい。
【0024】
[0023]1つの実施形態において、調整システムは、プラントのオペレーションを改善するために提供される。サーバは、プラントと通信ネットワークを介して通信するために調整システムに連結される。コンピュータシステムは、プラントのオペレーションに関連したプラントデータをネットワークで受信および送信するためのウェブベースのプラットフォームを有する。ディスプレイデバイスは、プラントデータを対話形式で表示する。照合ユニットは、プラントからの実際に測定されたデータを、所定の基準のセットまたはセットポイントに基づいて、シミュレーションエンジンからのパフォーマンスプロセスモデルの結果と比較して照合するために構成される。照合ユニットは、実際に測定されたデータおよびパフォーマンスプロセスモデルの結果に対して、所定の閾値のセットを使用して発見的解析を実施する。
【0025】
[0024]別の実施形態では、プラントのオペレーションを改善するための調整方法が提供され、プラントと通信ネットワークを介して通信するために調整システムに連結されたサーバを提供することと、プラントのオペレーションに関連したプラントデータをネットワークで受信および送信するためのウェブベースのプラットフォームを有するコンピュータシステムを提供することと、プラントデータを対話形式で表示するためのディスプレイデバイスであって、プラントデータを図像または文字として受信するために構成されるディスプレイデバイスを提供することと、プラントデータをプラントからネットワークで取得することと、プラントデータに基づいて、予想されたプラントパフォーマンスを推定するために、プラントデータに基づいてプラントプロセスモデルを生成することと、プラントプロセスモデルに基づいてプラントの健康状態を監視することと、プラントからの実際に測定されたデータを、所定の基準のセットまたはセットポイントに基づいて、シミュレーションエンジンからのパフォーマンスプロセスモデルの結果と比較して照合することと、プラントデータに基づいてプラントプロセスモデルの信憑性の程度を決定するためのスコア付けモデルを作り出すことと、プラントの潜在的なパフォーマンスを表すために、スコア付けモデルに基づいてプラントプロセスモデルを調整することを含む。
【0026】
[0025]本発明の前述ならびに他の態様および特性は、添付の図面と共に考慮されるように、当業者には以下の詳細な説明から明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】[0026]クラウドコンピューティングインフラストラクチャにおける本調整システムの例示的な使用を示す図である。
図2】[0027]本開示の実施形態による機能ユニットを備える本調整システムの機能ブロック図である。
図3】[0028]本調整システムの実施形態による例示的な調整方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0029]ここで図1を参照すると、全体が10で指定され、本開示の実施形態を使用する、例示的な調整システムは、化学プラントもしくは精製所、またはその一部などの、1つまたは複数のプラント(例えば、プラントA〜プラントN)12a〜12nのオペレーションを改善するために提供される。本調整システム10は、少なくとも1つのプラント12a〜12nから取得されたプラントオペレーション情報を使用する。
【0029】
[0030]本明細書で使用される場合、用語「システム」、「ユニット」、または「モジュール」は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、電子回路、1つまたは複数のソフトウェアもしくはファームウェアプログラムを実行するコンピュータプロセッサ(共有型、専用型、もしくはグループ型)および/またはメモリ(共有型、専用型、もしくはグループ型)、組合せ論理回路、ならびに/あるいは、説明された機能性を提供する他の適切な構成要素のことを言うか、これらの一部であるか、またはこれらを含んでよい。このように、本開示はユニットの特定の例および配置を含むが、他の変更形態が当業者には明白になるので、本システムの範囲はそのように限定されるべきではない。
【0030】
[0031]調整システム10は、(例えば、データベースおよびビデオサーバを含む)サーバまたはコンピューティングデバイス14の中にあるか、またはこれらに連結されてよく、好ましくは安全なクラウドコンピューティングインフラストラクチャを使用して、通信ネットワーク16を介してタスクを実施し、種々の機能ユニットについての関係のあるデータを表示するようにプログラムされている。ダイヤルイン接続、ケーブルモデム、高速ISDN線、および当技術分野で知られた他のタイプの通信方法を使用する、インターネット、ワイヤレスネットワーク(例えば、Wi−Fi)、企業イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、または広域ネットワーク(WAN)、および同様のものなどの他の適切なネットワークが使用され得ることが考えられる。全ての関係のある情報は、調整システム10、または(例えば、コンピュータプログラムを搬送するデータストレージデバイスおよび/もしくは機械可読データストレージ媒体のような)コンピューティングデバイス14による検索のためにデータベースに格納され得る。
【0031】
[0032]さらに、本調整システム10は、部分的に、または完全に自動化され得る。本発明の1つの好ましい実施形態において、調整システム10は、サードバーティのコンピュータシステムなどの、プラント12a〜12nおよび/またはプラント計画立案の中心から離れたコンピュータシステムによって実施される。本調整システム10は、好ましくは、情報をインターネットで取得または受信および送信するウェブベースのプラットフォーム18を含む。具体的には、調整システム10は、信号およびパラメータを、プラント12a〜12nのうちの少なくとも1つから通信ネットワーク16を介して受信し、好ましくはリアルタイムで、関連パフォーマンス情報を、オペレータまたはユーザがアクセス可能な対話型ディスプレイデバイス20に表示する。
【0032】
[0033]本発明の方法を実装するためにウェブベースのシステムを使用することは、経済的機会を識別し、捕える、プラントオペレータによる能力の増大によるプラントの経済的パフォーマンスの改善、プラントのパフォーマンスギャップを埋める能力の維持、および従業員の専門知識を活用し、訓練および開発を改善する能力の増大などの多くの恩恵を提供する。本発明の方法は、プロセスパフォーマンスの日々の評価の自動化を考慮に入れ、それによってプラントオペレーション要員から要求される時間および労力がより少なくなることでパフォーマンス点検の頻度を増大させる。
【0033】
[0034]ウェブベースのプラットフォーム18は、全てのユーザが同じ情報で作業することを可能にし、それによって、最善の手法を共有するための、またはトラブルシューティングを行うための協働環境を作り出す。本発明の方法は、例えば、触媒収率表現、制約、自由度、および同様のものを含み得る完全に構成されたモデルによる、より精密な予測および最適化の結果を提供する。プラントの計画立案およびオペレーションモデルの評価を自動化したルーチンは、適時のプラントモデル調整が、プラントモデルと実際のプラントパフォーマンスとの間のギャップを低減または除去することを可能にする。ウェブベースのプラットフォーム18を使用して本発明の方法を実装することは、複数のサイトを監視すること、およびアップデートすることも考慮に入れ、それによって、設備の立案者が現実的で最適な目標をよりよく提案できる。
【0034】
[0035]ここで図2を参照すると、本調整システム10は、個々のプラント12a〜12nからの実際に測定されたデータを、基準のセットまたはセットポイントに基づいてシミュレーションエンジンからのパフォーマンスプロセスモデルの結果と比較して照合するために構成された照合ユニット(reconciliation unit)22を含むことが好ましい。好ましい実施形態において、発見的解析(heuristic analysis)は、実際に測定されたデータおよびパフォーマンスプロセスモデルの結果に対して、所定の閾値のセットを使用して実施される。異なるアプリケーションに合わせて統計的解析および他の適切な分析法が使用され得ることも考えられる。
【0035】
[0036]単なる一例として、運用プラントパラメータ、または温度、圧力レベル、供給組成、分留塔の生成物組成、および同様のものなどのプラントデータが、個々のプラント12a〜12nから受信される。これらのプラントパラメータは、所定の期間中の、プラント12a〜12n内の選択された機器からの実際に測定されたデータを表す。これらのプラントオペレーション上のパラメータの比較は、所定の閾値に基づいた、シミュレーションエンジンからのパフォーマンスプロセスモデルの結果を用いて実施される。
【0036】
[0037]調整システム10には、インターフェースモジュール24も含まれ、これは、調整システム10と、1つまたは複数の内部または外部データベース26と、ネットワーク16との間のインターフェースを提供する。インターフェースモジュール24は、例えば、ネットワーク16を介したプラントのセンサ、ならびに他の関連システムデバイス、サービス、およびアプリケーションからのデータを受信する。他のデバイス、サービス、およびアプリケーションは、限定されないが、個々のプラント12a〜12nに関連した、1つまたは複数のソフトウェアまたはハードウェア構成要素などを含んでよい。インターフェースモジュール24は、また、調整システム10などの個々のユニットおよびモジュール、ならびにその関連付けられたコンピューティングモジュールまたはユニットに通信される信号および/またはパラメータを受信する。
【0037】
[0038]予測ユニット28は、プラントオペレーション上のパラメータの比較に基づいて、シミュレーションエンジンの現行のプロセスモデルの信憑性を予測するために提供されることが好ましい。予測ユニット28は、当技術分野で知られるような、部分最小二乗(PLS)分析、直交PLS(OPLS)分析、および他の適切な分析法を使用して、比較に基づいて、プロセスモデルの信憑性スコアを生成または計算することが考えられる。
【0038】
[0039]例えば、プラントオペレーション上のパラメータに基づいて現行のプロセスモデルの信憑性の程度を決定するためにスコア付けモデルが作り出される。さらに、信憑性スコアは、プラントオペレーション上のパラメータと、対応する所定の閾値との間の相違の量に基づいて重み付けされることが好ましい。スコア付けモデルは、重み付けされた信憑性スコアで更新され、現行のプロセスモデルは、スコア付けモデルに基づいて調節または調整される。
【0039】
[0040]より具体的には、少なくとも1つのプラントパラメータ、またはプラントパラメータのサブセットが、キーマッチングパラメータとして選択され、選択されたプラントパラメータと、対応するパフォーマンスモデルの結果との間の相違は、関連した実際のプラントオペレーションに対するシミュレーションの適合性を決定するために、所定の期間中、累積的に評価される。相違が所定の閾値より大きいとき、プロセスモデルの追加の調整が実施される。例えば、相違の許容誤差が所定のパーセンテージ(%)の値より大きいとき、現行のプロセスモデルは、それに応じてさらに評価および調整される。
【0040】
[0041]最適化ユニット30は、パフォーマンスまたはプラントプロセスモデルの信憑性スコアに基づいて、1つのプラント12a〜12nの精製プロセスまたは石油化学プロセスの少なくとも一部を最適化するために提供される。プロセスシミュレーションおよび最適化の統合的な基礎を提供しないことがある様々なパラメータおよび測定値が存在するので、精製および石油化学の分野のオペレータが、プラント12a〜12nの全複合施設のレベルで経済状態を最適化するのは困難である。
【0041】
[0042]動作時、最適化ユニット30は、顧客のサイトまたはプラント12a〜12nからの実際に測定されたデータを、例えば、100ミリ秒毎、1秒毎、10秒毎、1分毎、2分毎などで反復的に受信する。データクレンジングのために、データは、最適化ユニット30によって完全性について分析され、全体のエラーに関して補正される。次に、データは、測定値の問題(例えば、シミュレーションの定常状態を確立するための精度の問題)、および全体的な質量バランス閉鎖に関して補正されて、照合されたプラントデータの重複セットを生成する。
【0042】
[0043]補正されたデータがシミュレーションプロセスへの入力として使用され、この中でプロセスモデルは、シミュレーションプロセスが、照合されたプラントデータと一致することを保証するように調整される。照合されたプラントデータの出力が、調整されたフローシートに入力され、次に予測されたデータとして生成される。それぞれのフローシートは、プロセス設計のユニットのような、仮想のプロセスモデルオブジェクトの集まりであってよい。照合されたデータと予測されたデータとの間の相違であるデルタ値は、実行可能な最適化ケースがシミュレーションプロセス動作のために確立されることを保証するために検証される。
【0043】
[0044]結果として、調整されたシミュレーションエンジンが、入力として照合されたデータのセットと共に実行される最適化ケースの基礎として使用される。このステップからの出力は、データの新しいセット、言い換えれば、最適化されたデータである。照合されたデータと最適化されたデータとの間の相違は、より大きな経済上の最適条件に到達するためにオペレーションがどのように変更されるべきかについての指標を提供する。この構成では、最適化ユニット30は、目的機能を最小化するために、ユーザが構成可能な方法を提供し、それによってプラント12a〜12nの生産を最大化する。
【0044】
[0045]好ましい実施形態において、最適化ユニット30は、様々な制約を条件として、消費された材料、生み出された生成物、および利用されたユーティリティを含む、特定のプロセス中の、オペレーションの総費用のユーザ定義の計算として、目的関数を定義する。例えば、最大の分留塔の容量は、内部構成要素の浸水限界によって決定されてよく、炉の最大容量は、炉内の管の表面温度に基づいて決定されてよい。他の適切な目的関数が、異なる応用例に合わせるために考えられる。
【0045】
[0046]本調整システム10には、プラント12a〜12nの強固で収益性の高いオペレーションを保証するために、精製所または石油化学プラントの運用状態を決定するために構成された分析ユニット32も含まれる。分析ユニット32は、動的モデル、パラメトリックモデル、分析ツール、ならびに関連知識および最良の実施基準のうちの少なくとも1つに基づいて運用状態を決定する。
【0046】
[0047]好ましい実施形態において、分析ユニット32は、履歴上のまたは現行のパフォーマンスデータをプラント12a〜12nのうちの少なくとも1つから受信して、実施されるべき将来のアクションを先取りして予測する。特定のプロセスの様々な限界を先取りして予測し、限界の許容範囲内に留まるために、分析ユニット32は、例えば、蒸気の流量、ヒーター、温度のセットポイント、圧力信号、および同様のものからの、実際の現行のパラメータおよび/または履歴上のオペレーション上のパラメータに基づいて、最終的な生成物の目標とするオペレーション上のパラメータを決定する。
【0047】
[0048]例えば、動的モデルまたは他の詳細な計算を使用する際に、分析ユニット32は、既存の制限および/または運用条件に基づいて、運用パラメータの境界または閾値を確立する。例示的な既存の制限は、機械的圧力、温度限界、液圧限界、および様々な構成要素の運用寿命を含んでよい。異なるアプリケーションに合わせるために他の適切な制限および条件が考えられる。
【0048】
[0049]例えば、具体的なノウハウに基づいて知識および最良の実施基準を使用する際、分析ユニット32は、具体的なプロセスに関連したオペレーション上のパラメータ間の関係を確立する。例えば、ナフサ改質反応炉の入口温度の境界は、再生器の容量およびリサイクルコンプレッサの容量にそれ自体が依存する水素と炭化水素の比率に依存することがある。
【0049】
[0050]ここで図3を参照すると、簡素化された流れ図が、本発明の1つの実施形態による、図1および図2のプラント12a〜12nなどの、プラントのオペレーションを改善することに関する例示的な方法に関して図示される。以下のステップは、図1および図2の実施形態に対して主に説明されるが、方法内のステップは、本発明の諸原理を改めることなく、異なる順番または順序に修正され、実行されてよいことを理解されたい。
【0050】
[0051]方法は、ステップ100で始まる。ステップ102において、調整システム10は、プラント12a〜12nの内部またはそこから離れたコンピュータシステムによって開始される。方法は、望ましくは、コンピュータシステムによって自動的に実施されるが、本発明はそのように限定されることを意図されていない。1つまたは複数のステップは、マニュアルオペレーション、またはセンサおよび他の関連システムからのデータ入力を、要望に応じて含むことができる。
【0051】
[0052]ステップ104において、調整システム10は、プラントオペレーション情報またはプラントデータを、プラント12a〜12nから、ネットワーク16を通じて取得する。プラントオペレーション情報は、プラントオペレーション上のパラメータ、プラントプロセス条件データ、プラント検査値、および/またはプラントの制約についての情報を含むことが好ましい。プラントデータは、プラントオペレーション上のパラメータ、プラント検査値、プラントの制約、およびプラントプロセス条件データのうちの少なくとも1つを含むことが考えられる。本明細書で使用される場合、「プラント検査値」は、運用中のプロセスプラントから取られた、流体の周期的な実験室解析の結果のことを言う。本明細書で使用される場合、「プラントプロセスデータ」は、プロセスプラント内のセンサによって測定されたデータのことを言う。
【0052】
[0053]ステップ106において、プラントプロセスモデルは、プラントオペレーション情報を使用して生成される。プラントプロセスモデルは、プラントオペレーション情報に基づいて予想されるプラントパフォーマンス、すなわち、どのようにプラント12a〜12nが運用されるかを推定または予測する。プラントプロセスモデルの結果は、プラント12a〜12nの健康状態を監視するために、および、何らかの予期せぬ、または不良な測定値が発生したかどうかを決定するために、使用されることができる。プラントプロセスモデルは、望ましくは、所望のプラントプロセスモデルを決定するために様々なプラント制約でモデル化される反復プロセスによって生成される。
【0053】
[0054]ステップ108において、プロセスシミュレーションユニットが利用されて、プラント12a〜12nのオペレーションをモデル化する。全体のユニットに対するシミュレーションは、適度な量の時間内に解明するにはかなり大きく複雑なので、それぞれのプラント12a〜12nは、関連ユニットオペレーションからなる、より小さな仮想のサブセクションに分割されてよい。UniSim(登録商標)Design Suiteなどの例示的なプロセスシミュレーションユニット10は、米国特許公報第2010/0262900号、現在は米国特許第9,053,260号で開示され、全体として参照により援用される。プロセスシミュレーションユニット10は、最適化ユニット30にインストールされ得ることが考えられる。他の例示的な関連システムは、同一出願人による米国特許出願第xx/xxx,xxxおよびxx/xxx,xxx(代理人整理番号第H0049323−01−8500、およびH0049324−01−8500は、2016年に3月29日に両方出願された)において開示され、全体として参照により援用される。
【0054】
[0055]例えば、1つの実施形態において、分留塔、ならびに凝縮器、受け器、リボイラ、供給交換器、およびポンプなどの分留塔の関連機器が、サブセクションを作り上げる。温度、圧力、および流量、ならびに実験室データを含むユニットからの全ての利用可能なプラントデータは、測定された変数として、シミュレーションの中に含まれる。プラントデータの複数のセットが、プロセスモデルおよびモデルフィッティングパラメータに対して比較され、最も小さなエラーを生成する測定値のオフセットが計算される。
【0055】
[0056]ステップ110において、所定の閾値より大きく変化するフィットパラメータまたはオフセット、およびエラーの所定の範囲より大きい測定値が、さらなるアクションを誘発することがある。例えば、オフセットまたはフィットパラメータの大きな変化は、モデル調整が妥当でない可能性があることを示唆することがある。データのセットに関する全体的なデータの質は、疑わしいものとしてその後フラグを立てられることがある。
【0056】
[0057]ステップ112において、エラーの変化、相違、または範囲が、所定の値より大きいとき、制御は、ステップ104に戻る。そうでなければ、制御は、ステップ114に進む。大きなエラーを伴う個別の測定値は、適合アルゴリズム、および測定値を検査させ矯正させるために発せられるアラートメッセージまたは警告信号から除去されてよい。
【0057】
[0058]ステップ114において、調整システム10は監視し、プラントプロセスモデルを実際のプラントパフォーマンスと比較して、プラントプロセスモデルの精度を保証する。典型的には、プロセスモデルが効果的であるように、これらは、商業プロセスの実際の運用能力を精密に反映しなければならない。これは、照合されたデータに対してモデルを較正することによって達成される。カットポイントおよびトレイの効率性などの主要な運用変数は、測定されたパフォーマンスと予測されたパフォーマンスとの間の相違を最小化するように調節される。本発明の1つの実施形態において、プラントプロセスモデルと実際のプラントパフォーマンスとの間の所定の相違が生じると、プラントプロセスモデルは更新され、更新されたプラントプロセスモデルが、方法の次のサイクルの間に使用される。更新されたプラントプロセスモデルは、また、プラントプロセスを最適化するためにも使用されることが望ましい。
【0058】
[0059]ステップ116において、プラントプロセスモデルは、変化する供給原料および運用戦略の効果を精密に予測するために使用される。結果的に、照合されたデータを使用する、本発明の方法によるプラントプロセスモデルの規則的な更新または調整は、精製所がプロセス能力の変更を評価することを可能にする。このタイプの較正された厳密なモデルは、精製所のオペレーションエンジニアおよび計画立案要員がプロセスパフォーマンスの問題を識別することを可能にすることができ、その結果、それらの問題が運用の経済状態に深刻なインパクトを及ぼす前に問題に対処することができる。
【0059】
[0060]例えば、生産高、生成物のプロパティ、およびコークスの生産速度などの計算は、時間に対する傾向として考察されるときにプロセス問題の主要な指標になり得る。このような傾向の規則的な観察は、パフォーマンスの異常な低下または誤操作を示し得る。ナフサ改質ユニット内のC+炭化水素の生産高の急速な低下が観察された場合、これは、コークス生産の増加速度を示すことがあり、それが反応炉の回路における不正確な水−塩化物バランス、または不正確なプラットフォーミング供給事前処理(platforming feed pre−treatment)に起因していることが考えられる。プラントプロセスモデルは、短期間のオペレーション上の変更および長期間の改造改修の両方を考慮してユニットに対する改善された経済状態を生成する改善研究をサポートし得ることも考えられる。
【0060】
[0061]ステップ118において、プラントオペレーション上のパラメータに基づいて現行のプロセスモデルの信憑性の程度を決定するためにスコア付けモデルが作り出される。具体的には、プロセスモデルの信憑性スコアは、部分最小二乗(PLS)分析、直交PLS(OPLS)分析、および当技術分野で知られるような他の適切な分析法を使用して、プラントオペレーション上のパラメータの間の比較に基づいて生成される。上記で論じられたように、プラントオペレーション上のパラメータの比較は、所定の閾値に基づいて、シミュレーションエンジンからのパフォーマンスプロセスモデルの結果によって実施される。
【0061】
[0062]オペレーション中、出力インターフェースは、プラント調整の関心事であるオペレーション上の経済活動(例えば、生成物1トン当たりの生産の費用)を、プラントの1次運用変数(例えば、熱交換器または塔の組成コントローラ上のセットポイントに対する蒸気の流量)に直接関連させるように設計される。これは、経済活動を、より詳細なスクリーンのカスケードを通じてプラントオペレーションに関係させることによって達成され、スクリーンのそれぞれは、ユーザが、どの変数が目標経済活動からの逸脱を引き起こしているのかを素早く見ることができるように設計される。
【0062】
[0063]本発明の方法の恩恵は、その長期間の維持能力である。しばしば、プラントの収益性を改善するための計画は、少なめの継続期間にわたり適度な恩恵を達成するが、これらの改善は時間と共に衰退する。この衰退は、通常、利用可能な社内技術者の時間および専門知識が十分でない結果である。本発明の方法を使用したウェブベースの最適化は、オペレータが、既存のパフォーマンスギャップを埋め、その従業員の専門知識を長期間維持され得る形でよりよく活用することに役立つ。
【0063】
[0064]精製所の最適化のニーズに対処するために、ローカルにインストールされたプロセスモデルを使用することを試みたプラントオペレータもある。いくつかのこのようなプロセスモデルの商品が市場に存在するが、これらのツールは、これらを調整された状態にしておくための妥当でない方法(例えば、モデル触媒の不活性化、一時的な機器の制限、および同様のもの)が存在し、プラントフロー方式および機器の改修を考慮に入れるように構成されているので、時間と共に価値を失う。この構成においては、時間と共に、このようなモデルを入手する際に為された投資は、意図された価値をもたらさない。さらに、モデルメンテナンス機能の実施に関連する費用は比較的大きくなり得、専門知識は維持または置換するのが困難である。ウェブ対応のプラットフォームは、モデルをリモートにホスティングし維持することによって、これらの欠点に具体的に対処する。
【0064】
[0065]技術的な恩恵以上に、本調整システム10のウェブベースの方法の実装形態は、顧客の経営上の課題に対処するという具体的な恩恵をもたらす。このようなサービスは、技術者の訓練および開発、ビジネスプロセスの自動化、ならびにオペレーション上の長所の開発を改善する助けとなる。新しいエンジニアおよびオペレータの訓練は、個別のプロセスユニットについての知識に関するセントラルリポジトリが存在するので簡素化される。その上、エンジニアは、彼らにより広範な経験を授けるために、いくつかのプロセスユニットの間でより容易に交替され得る。この交替は、高度に繰り返し可能なリモートパフォーマンス監視プロセスによって、および熟練した技術サービス要員と協力しあう専門職によって知識の一貫性が伝達されることを確実にして行われ得る。
【0065】
[0066]ステップ120において、現行のプロセスモデルは、スコア付けモデルに基づいて、プラントの真の潜在的なパフォーマンスを正確に表すように調整される。プロセスモデルは、シミュレーションプロセスが、照合されたプラントデータにマッチすることを保証するようにさらに調整される。調整されたシミュレーションエンジンは、最適化ケースの基礎として使用され、これは、入力として、照合されたデータのセットと共に実行される。このステップからの出力は、最適化されたデータである。結果として、プラント12a〜12nの将来のオペレーションが最適化され、生産が最大化される。
【0066】
[0067]ビジネスの最適化作業プロセスは、結果を検討するための共通のプラットフォームを、立案者、管理者、エンジニア、および技術者などの様々なステークホルダーに提供することによってより予測可能になる。例えば、調整システム10は、様々な場所でプロセスユニットを簡素化して強固に見るために使用され、それによって、最高の供給処理機会またはメンテナンスおよびアップグレードに対する最大の必要性を有するプロセスユニットへの、リソースの迅速な割付けを可能にする。
【0067】
[0068]さらなる利点は、プラントプロセスと経済活動との間のリンクを明確に確立する共通のインフラストラクチャを利用することによって達成される。全てのプロセスデータ、分析データ、および経済上のデータは、プロセスモデルを通じてリンクされる報告を提供するために使用されるので、全てのオペレータは、効果的に通信し、かつ、共通の情報セットから決定を行うことができ、それによって、組織全体を継続的な経済活動の最大化に注目するように促す。方法は、ステップ122で終了する。
【0068】
[0069]本調整システムに関する特定の実施形態が本明細書で説明されたが、変更および修正は、より広範な態様における、および以下の特許請求の範囲に規定される本発明から逸脱することなく、なされてよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0069】
[0070]以下は、具体的な実施形態と共に説明されるが、この説明は、例示すること、ならびに、先述の説明および添付の特許請求の範囲の範囲を限定しないことを意図していることが理解されよう。
【0070】
[0071]本発明の第1の実施形態は、プラントのオペレーションを改善するためのシステムであって、調整システムは、プラントと通信ネットワークを介して通信するために調整システムに連結されたサーバと、プラントのオペレーションに関連したプラントデータをネットワークで受信および送信するためのウェブベースのプラットフォームを有するコンピュータシステムと、プラントデータを対話形式で表示するためのディスプレイデバイスと、プラントからの実際に測定されたデータを、所定の基準のセットまたはセットポイントに基づいて、シミュレーションエンジンからのパフォーマンスプロセスモデルの結果と比較して照合するために構成された照合ユニットとを含み、照合ユニットは、実際に測定されたデータおよびパフォーマンスプロセスモデルの結果に対して、所定の閾値のセットを使用して発見的解析を実施する。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、照合ユニットは、プラントデータをプラントからコンピュータシステムを介して受信し、受信されたプラントデータは、所定の期間中の、プラント内の機器からの実際に測定されたデータを表す。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、調整システムと、プラントデータを格納するデータベースと、ネットワークとの間のインターフェースを提供するために構成されたインターフェースモジュールをさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、プラントデータの比較に基づいてシミュレーションエンジンの現行のプロセスモデルの信憑性を予測するために構成された予測ユニットをさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、予測ユニットは、分析法を使用して、プラントデータの比較に基づいて、対応するプロセスモデルの信憑性スコアを計算する。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、予測ユニットは、少なくとも1つのプラントオペレーション上のパラメータに基づいて対応するプロセスモデルの信憑性の程度を決定するためのスコア付けモデルを作り出す。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、信憑性スコアは、プラントデータと、対応する所定の閾値との間の相違の量に基づいて重み付けされる。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、スコア付けモデルは、重み付けされた信憑性スコアで更新され、現行のプロセスモデルは、スコア付けモデルに基づいて調節または調整される。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、予測ユニットは、プラントのオペレーションに関連したシミュレーションの適合性を決定するために、選択されたプラントパラメータと、対応するパフォーマンスモデルの結果との間の相違を、所定の期間中、累積的に計算する。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、プラントプロセスモデルの信憑性スコアに基づいて、プラントの少なくとも一部を最適化するために構成された最適化ユニットをさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、最適化ユニットは、少なくとも1つの制約を条件として、消費された材料、生み出された生成物、および利用されたユーティリティを含む、特定のプロセス中の、オペレーションの総費用のユーザ定義の計算として、目的関数を定義する。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、動的モデル、パラメトリックモデル、分析ツール、ならびに関連知識および最良の実施基準のうちの少なくとも1つに基づいて、プラントの運用状態を決定するために構成された分析ユニットをさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、分析ユニットは、実際の現行のオペレーション上のパラメータおよび履歴上のオペレーション上のパラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、プラントの最終的な生成物の目標とするオペレーション上のパラメータを決定する。
【0071】
[0072]本発明の第2の実施形態は、プラントのオペレーションを改善するための方法であり、調整方法は、プラントと通信ネットワークを介して通信するために調整システムに連結されたサーバを提供することと、プラントのオペレーションに関連したプラントデータをネットワークで受信および送信するためのウェブベースのプラットフォームを有するコンピュータシステムを提供することと、プラントデータを対話形式で表示するためのディスプレイデバイスであって、プラントデータを図像または文字として受信するために構成されたディスプレイデバイスを提供することと、プラントデータをプラントからネットワークで取得することと、プラントデータに基づいて、予想されたプラントパフォーマンスを推定するために、プラントデータに基づいて、プラントプロセスモデルを生成することと、プラントプロセスモデルに基づいてプラントの健康状態を監視することと、プラントからの実際に測定されたデータを、所定の基準のセットまたはセットポイントに基づいて、シミュレーションエンジンからのパフォーマンスプロセスモデルの結果と比較して照合することと、プラントデータに基づいてプラントプロセスモデルの信憑性の程度を決定するためのスコア付けモデルを作り出すことと、プラントの潜在的なパフォーマンスを表すために、スコア付けモデルに基づいてプラントプロセスモデルを調整することとを含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、実際に測定されたデータおよびパフォーマンスプロセスモデルの結果に対して、所定の閾値のセットを使用して発見的解析を実施することをさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、所定の閾値または範囲に基づいてプラントプロセスモデルの調整におけるエラーを検出することをさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、プラントプロセスモデルの精度を保証するために、監視すること、およびプラントプロセスモデルを実際のプラントパフォーマンスと比較することをさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、プラントプロセスモデルの調整に基づいて、プラントの運用戦略の効果を予測することをさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、分析法を使用して、プラントデータの比較に基づいて、プラントプロセスモデルの信憑性スコアを計算することさらに含む。本発明の実施形態は、本段落における先行実施形態から本段落における第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、または全てであり、調整されたプラントプロセスモデルに基づいて、シミュレーションエンジンの照合されたプラントデータのセットを生成することさらに含む。
【0072】
[0073]さらに詳述することなく、当業者が本発明を最大限に利用し、本発明の本質的な特徴を容易に確認できる先述の説明を使用して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を行い、それを様々な用法および条件に適応することができるものと信じられる。したがって、先述の好ましい具体的な実施形態は、例示的なものに過ぎず、本開示の残りの部分をいかなる方法でも限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる、様々な変更形態および均等物の配置を含むことを意図するものとして解釈されることになる。
【0073】
[0074]前述において、全ての温度は摂氏温度で示されており、ならびに全ての部分およびパーセンテージは、別段の指示がない限り、重量による。
図1
図2
図3