(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598907
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】GPSデータに基づく運転手を認証するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B60W 40/09 20120101AFI20191021BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
B60W40/09
G08G1/00 D
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-41264(P2018-41264)
(22)【出願日】2018年3月7日
(65)【公開番号】特開2019-6368(P2019-6368A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】201721022438
(32)【優先日】2017年6月27日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】アリジット チョードリ
(72)【発明者】
【氏名】アヴィク ゴース
(72)【発明者】
【氏名】タパス チャクラヴァルティー
【審査官】
三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−095291(JP,A)
【文献】
特開2015−128988(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0041521(US,A1)
【文献】
特開2001−063400(JP,A)
【文献】
特開2013−112324(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0086397(US,A1)
【文献】
特表2015−528604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 − 50/16
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサー実施方法であって、
グローバル・ポジショニング・システム(GPS)から、運転手によって運転されている車両に関する走行情報を含むGPSデータを取得する工程(202)と、
前記走行情報から、複数の特徴を抽出する工程(204)と、
前記複数の特徴と、複数の他の運転手に関する複数の走行情報に関連する複数の特徴およびデータベース内に保存されている前記車両の前記運転手の1つ以上の運転パターンに関する履歴データとの第1の比較を実行することにより、前記走行情報から取得された前記複数の特徴をランク付けする工程(206)と、
前記複数のランク付けされた特徴から、対応する重要性値に基づいて、1つ以上のランク付けされた特徴を特定する工程と、
(i)前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記重要性値と、(ii)前記データベース内に保存されている前記1つ以上の運転パターンに関する対応する特徴の値との第2の比較を実行する工程(208)と、
前記第2の比較に基づいて、前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの異常スコアを生成する工程(210)と、
前記異常スコアに基づいて、前記運転手を認証する工程(212)と、を含むことを特徴とするプロセッサー実施方法。
【請求項2】
前記異常スコアに基づいて前記運転手を認証する前記工程は、
前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記異常スコアと、第1の所定のしきい値との第3の比較を実行する工程と、
前記第3の比較に基づいて、前記運転手の認証を実行する工程と、を含む請求項1に記載のプロセッサー実施方法。
【請求項3】
前記異常スコアが、前記第1の所定のしきい値とマッチングしないときには、前記プロセッサー実施方法は、
前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記異常スコアに基づいて、平均異常スコアを生成する工程と、
前記平均異常スコアに基づいて、前記運転手を認証する工程と、を含む請求項2に記載のプロセッサー実施方法。
【請求項4】
前記平均異常スコアに基づいて、前記運転手を認証する前記工程は、
前記平均異常スコアと、第2の所定のしきい値との第4の比較を実行する工程と、
前記第4の比較に基づいて、前記運転手を認証する工程と、を含む請求項3に記載のプロセッサー実施方法。
【請求項5】
前記走行情報から前記複数の特徴を抽出する前記工程は、
前記走行データから1次データを取得し、さらに、前記1次データから2次データを導出する工程と、
前記1次データおよび前記2次データから、前記複数の特徴を抽出する工程と、を含む請求項1に記載のプロセッサー実施方法。
【請求項6】
前記異常スコアまたは前記平均異常スコアに基づいて前記運転手が認証された際に、前記データベース内の前記運転手の運転手プロファイルをアップデートする工程をさらに含む請求項3に記載のプロセッサー実施方法。
【請求項7】
システム(100)であって、
複数の命令と、1つ以上の運転パターンおよび1つ以上の運転手プロファイルを含むデータベースとを保存しているメモリー(102)と、
1つ以上の通信インターフェース(106)と、
前記1つ以上の通信インターフェース(106)を介して前記メモリー(102)に接続されている1つ以上のハードウェアプロセッサー(104)と、を含み、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサー(104)は、前記複数の命令によって、
グローバル・ポジショニング・システム(GPS)から、運転手によって運転されている車両に関する走行情報を含むGPSデータを取得し、
前記走行情報から、複数の特徴を抽出し、
前記複数の特徴と、複数の他の運転手に関する複数の走行情報に関連する複数の特徴およびデータベース内に保存されている前記車両の前記運転手の1つ以上の運転パターンに関する履歴データとの第1の比較を実行することにより、前記走行情報から取得された前記複数の特徴をランク付けし、
前記複数のランク付けされた特徴から、対応する重要性値に基づいて、1つ以上のランク付けされた特徴を特定し、
前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記重要性値と、前記データベース内に保存されている前記1つ以上の運転パターンに関する対応する特徴の値との第2の比較を実行し、
前記第2の比較に基づいて、前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの異常スコアを生成し、
前記異常スコアに基づいて、前記運転手を認証するよう、構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記運転手は、
前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記異常スコアと、第1の所定のしきい値との第3の比較を実行し、
前記第3の比較に基づいて、前記運転手の認証を実行することにより、前記異常スコアに基づいて認証される請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記異常スコアが、前記第1の所定のしきい値とマッチングしないときには、前記1つ以上のハードウェアプロセッサー(104)は、前記複数の命令によって、
前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記異常スコアに基づいて、平均異常スコアを生成し、
前記平均異常スコアに基づいて、前記運転手を認証するよう、さらに構成されている請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記運転手は、
前記平均異常スコアと、第2の所定のしきい値との第4の比較を実行し、
前記第4の比較に基づいて、前記運転手を認証することにより、前記平均異常スコアに基づいて、認証される請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の特徴は、
前記走行情報から1次データを取得し、さらに、前記1次データから2次データを導出し、
前記1次データおよび前記2次データから、前記複数の特徴を抽出することにより、前記走行情報から抽出される請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記異常スコアまたは前記平均異常スコアに基づいて、前記運転手が認証された際に、前記1つ以上のハードウェアプロセッサー(104)は、前記複数の命令によって、前記データベース内の前記運転手の運転手プロファイルをアップデートするよう構成されている請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
1つ以上の命令を含む1つ以上の非一時的マシーン可読情報保存媒体であって、前記1つ以上の命令は、1つ以上のハードウェアプロセッサーによって実行されたときに、
グローバル・ポジショニング・システム(GPS)から、運転手によって運転されている車両に関する走行情報を含むGPSデータを取得する工程と、
前記走行情報から、複数の特徴を抽出する工程と、
前記複数の特徴と、複数の他の運転手に関する複数の走行情報に関連する複数の特徴およびデータベース内に保存されている前記車両の前記運転手の1つ以上の運転パターンに関する履歴データとの第1の比較を実行することにより、前記走行情報から取得された前記複数の特徴をランク付けする工程と、
前記複数のランク付けされた特徴から、対応する重要性値に基づいて、1つ以上のランク付けされた特徴を特定する工程と、
(i)前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記重要性値と、(ii)前記データベース内に保存されている前記1つ以上の運転パターンに関する対応する特徴の値との第2の比較を実行する工程と、
前記第2の比較に基づいて、前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの異常スコアを生成する工程と、
前記異常スコアに基づいて、前記運転手を認証する工程と、を実行することを特徴とする1つ以上の非一時的マシーン可読情報保存媒体。
【請求項14】
前記異常スコアに基づいて前記運転手を認証する前記工程は、
前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記異常スコアと、第1の所定のしきい値との第3の比較を実行する工程と、
前記第3の比較に基づいて、前記運転手の認証を実行する工程と、を含む請求項13に記載の1つ以上の非一時的マシーン可読情報保存媒体。
【請求項15】
前記異常スコアが、前記第1の所定のしきい値とマッチングしないときには、前記1つ以上の命令は、前記1つ以上のハードウェアプロセッサーによって実行されたときに、
前記1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの前記異常スコアに基づいて、平均異常スコアを生成する工程と、
前記平均異常スコアに基づいて、前記運転手を認証する工程と、をさらに実行する請求項14に記載の1つ以上の非一時的マシーン可読情報保存媒体。
【請求項16】
前記平均異常スコアに基づいて、前記運転手を認証する前記工程は、
前記平均異常スコアと、第2の所定のしきい値との第4の比較を実行する工程と、
前記第4の比較に基づいて、前記運転手を認証する工程と、を含む請求項15に記載の1つ以上の非一時的マシーン可読情報保存媒体。
【請求項17】
前記走行情報から前記複数の特徴を抽出する前記工程は、
前記走行データから1次データを取得し、さらに、前記1次データから2次データを導出する工程と、
前記1次データおよび前記2次データから、前記複数の特徴を抽出する工程と、を含む請求項13に記載の1つ以上の非一時的マシーン可読情報保存媒体。
【請求項18】
前記1つ以上の命令は、前記1つ以上のハードウェアプロセッサーによって実行されたときに、前記異常スコアまたは前記平均異常スコアに基づいて前記運転手が認証された際に、前記データベース内の前記運転手の運転手プロファイルをアップデートする工程をさらに実行する請求項15に記載の1つ以上の非一時的マシーン可読情報保存媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照および優先権
本特許出願は、2017年6月27日付けで出願されたインド国特許出願第201721022438号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本明細書に開示の発明は、一般的に、認証システムに関し、より具体的には、グローバル・ポジショニング・システム(GPS: Global Positioning System)データに基づいて、運転手を認証するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、自動車は、性能最適化のために、内部に組みこれまた複数のセンサーと、演算力を利用している。より良い性能を発揮するためには、運転手および運転手の自然な傾向、すなわち、ユニークな運転スタイルに対する認識を保持することが重要である。運転手を特定するアドバンスド運転手支援システム(advanced driver assistance system)は、極めて重要である。運転手特定は、いくつかの専用センサーを用いることにより、幅広い範囲で実現可能であることが知られている。このようなアプローチは、複数のセンサーから収集したデータに対する機械学習を用いる。これらは外部センサーであるため、コスト増加をもたらし、さらに、数多くのセンサーの配備は、稼働および維持のための諸経費を増加させてしまう。そのため、このような仕組みは、それに伴う膨大な設備費を必要とするものであり、そのため、迅速かつ大規模な配備が制限されている。また、センサーの導入とセンサーとの通信を実行するためには、さらなる設備費が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、従来のシステムにおいて、本発明者らによって認識されている1つまたは複数の上述の技術的問題に対する解決法として、技術的改良を提供するものである。例えば、1つの態様において、運転手を認証するためのプロセッサー実施方法(processor implemented method)が提供される。本方法は、グローバル・ポジショニング・システム(GPS:Global Positioning System)から、運転手によって運転されている車両に関する走行情報(trip information)を含むGPSデータを取得する工程と、走行情報から1次データを取得する工程と、1次データから2次データを導出する工程と、1次データおよび2次データから1つ以上の特徴を抽出する工程を含む走行情報から1つ以上の特徴を抽出する工程と、1つ以上の特徴と、他の運転手に関する複数の走行情報に関連する複数の特徴との第1の比較を実行することにより、ランク付け技術を用いて、走行情報から取得された1つ以上の特徴をランク付けし、1つ以上のランク付けされた特徴を、選択的に特定および取得する工程であって、1つ以上のランク付けされた特徴は、データベース内に保存されている運転手の1つ以上の運転パターンに関する履歴データ(historical data)および走行情報に基づいて選択的に特定される、1つ以上のランク付けされた特徴を選択的に特定および取得する工程と、(i)1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの値と、(ii)データベース内に保存されている1つ以上の運転パターンに関する対応する特徴の値との第2の比較を実行する工程と、第2の比較に基づいて関連性のある特徴(relevant feature)のそれぞれの異常スコアを生成する工程と、異常スコアに基づいて、運転手を認証する工程と、を含む。
【0005】
1つの実施形態において、異常スコアに基づいて運転手を認証する工程は、異常スコアと、第1の所定のしきい値(first pre-defined threshold)との第3の比較を実行する工程と、第3の比較に基づいて、運転手を認証する工程と、を含む。1つの実施形態において、異常スコアが、第1の所定のしきい値とマッチングしないときには、該方法は、関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアに基づいて、平均異常スコア(average abnormality score)を生成する工程と、平均異常スコアに基づいて、運転手を認証する工程と、を含む。
【0006】
1つの実施形態において、平均異常スコアに基づいて、運転手を認証する工程は、平均異常スコアと、第2の所定のしきい値との第4の比較を実行する工程と、第4の比較に基づいて、運転手を認証する工程と、を含む。
【0007】
1つの実施形態において、本方法は、異常スコアまたは平均異常スコアに基づいて運転手が認証された際に、データベース内の運転手の運転手プロファイルをアップデートする工程を、さらに含む。
【0008】
別の態様において、運転手を認証するためのシステムが提供される。該システムは、複数の命令を保存しているメモリーと、1つ以上の運転パターンおよび1つ以上の運転手プロファイルを含むデータベースと、1つ以上の通信インターフェースと、1つ以上の通信インターフェースを介してメモリーに接続された1つ以上のハードウェアプロセッサーと、を含む。1つ以上のハードウェアプロセッサーは、複数の命令によって、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)から、運転手によって運転されている車両に関する走行情報を含むGPSデータを取得し、走行情報から、1つ以上の特徴を抽出するよう構成されている。ここで、1つ以上の特徴は、走行情報から1次データを取得し、1次データから2次データを導出し、1次データおよび2次データから、1つ以上の特徴を抽出することにより、走行情報から抽出される。
【0009】
さらに、1つ以上のハードウェアプロセッサーは、複数の命令によって、1つ以上の特徴と、他の運転手に関する複数の走行情報に関連する複数の特徴との第1の比較を実行することにより、ランク付け技術を用いて、走行情報から取得された1つ以上の特徴をランク付けし、1つ以上のランク付けされた特徴を、選択的に特定および取得するよう構成されている。ここで、1つ以上のランク付けされた特徴は、データベース内に保存されている運転手の1つ以上の運転パターンに関する履歴データおよび走行情報に基づいて選択的に特定される。さらに、1つ以上のハードウェアプロセッサーは、複数の命令によって、(i)1つ以上のランク付けされた特徴(選択的に特定されたもの)のそれぞれの値と、(ii)データベース内に保存されている1つ以上の運転パターンに関する対応する特徴の値との第2の比較を実行し、第2の比較に基づいて、関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアを生成し、異常スコアに基づいて、運転手を認証するよう構成されている。
【0010】
1つの実施形態において、運転手は、異常スコアと、第1の所定のしきい値との第3の比較を実行し、第3の比較に基づいて、運転手の認証を実行することにより、異常スコアに基づいて認証される。
【0011】
1つの実施形態において、異常スコアが、第1の所定のしきい値とマッチングしないときには、1つ以上のハードウェアプロセッサーは、複数の命令によって、関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアに基づいて、平均異常スコアを生成し、平均異常スコアに基づいて、運転手を認証するよう、さらに構成されている。1つの実施形態において、運転手は、平均異常スコアと、第2の所定のしきい値との第4の比較を実行し、第4の比較に基づいて、運転手を認証することにより、平均異常スコアに基づいて、認証される。
【0012】
1つの実施形態において、異常スコアまたは平均異常スコアに基づいて運転手が認証された際に、1つ以上のハードウェアプロセッサーは、複数の命令によって、データベース内の運転手の運転手プロファイルをアップデートするよう構成されている。
【0013】
さらに別の態様において、1つ以上の命令を含む1つ以上の非一時的マシーン可読情報保存媒体(non-transitory machine readable information storage mediums)が提供される。1つ以上の命令は、1つ以上のハードウェアプロセッサーによって実行されたときに、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)から、運転手によって運転されている車両に関する走行情報を含むGPSデータを取得する工程と、走行情報から1次データを取得する工程と、1次データから2次データを導出する工程と、1次データおよび2次データから1つ以上の特徴を抽出する工程とを含む走行情報から1つ以上の特徴を抽出する工程と、を実行するよう構成されている。さらに、1つ以上の命令は、1つ以上のハードウェアプロセッサーによって実行されたときに、1つ以上の特徴と、他の運転手に関する複数の走行情報に関連する複数の特徴との第1の比較を実行することにより、ランク付け技術を用いて、走行情報から取得された1つ以上の特徴をランク付けし、1つ以上のランク付けされた特徴を、選択的に特定および取得する工程であって、1つ以上のランク付けされた特徴は、データベース内に保存されている運転手の1つ以上の運転パターンに関する履歴データおよび走行情報に基づいて選択的に特定される、1つ以上のランク付けされた特徴を選択的に特定および取得する工程と、(i)1つ以上のランク付けされた特徴のそれぞれの値と、(ii)データベース内に保存されている1つ以上の運転パターンに関する対応する特徴の値との第2の比較を実行する工程と、第2の比較に基づいて関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアを生成する工程と、異常スコアに基づいて、運転手を認証する工程と、を実行するよう構成されている。
【0014】
1つの実施形態において、異常スコアに基づいて運転手を認証する工程は、異常スコアと、第1の所定のしきい値との第3の比較を実行する工程と、第3の比較に基づいて、運転手を認証する工程と、を含む。1つの実施形態において、異常スコアが、第1の所定のしきい値とマッチングしないときには、1つ以上の命令は、1つ以上のハードウェアプロセッサーによって実行されたときに、関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアに基づいて、平均異常スコアを生成する工程と、平均異常スコアに基づいて、運転手を認証する工程と、を実行するよう構成されている。
【0015】
1つの実施形態において、平均異常スコアに基づいて、運転手を認証する工程は、平均異常スコアと、第2の所定のしきい値との第4の比較を実行する工程と、第4の比較に基づいて、運転手を認証する工程と、を含む。1つの実施形態において、1つ以上の命令は、1つ以上のハードウェアプロセッサーによって実行されたときに、異常スコアまたは平均異常スコアに基づいて運転手が認証された際に、データベース内の運転手の運転手プロファイルをアップデートする工程をさらに実行するよう構成されている。
【0016】
上記概要の記載および以下の詳細な説明の双方は例示および説明のためのものであって、特許請求の範囲のように、本発明の限定となるものではないことは理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に組み入れられ、本開示の一部を構成する添付の図面は、以下の詳細な説明とともに例示的な実施形態を説明し、開示の原理を説明するためのものである。
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る、GPSデータに基づいて、運転手を認証するためのシステムの例示的なブロック図を示している。
【0019】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る、
図1のシステムを用いて、GPSデータに基づいて運転手を認証する方法の例示的なフロー図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照して例示的な実施形態が記述される。各図面中において、参照番号の左端の桁の数字は、その参照番号が最初に現れる図面の番号を特定している。利便性のため、各図を通じて、同じまたは同様の要素には、同じ参照番号が用いられている。開示の原理の例および特徴がここに記述されるが、開示の実施形態の原理および範囲から逸脱することなく、変形、変更、および他の実施が可能である。以下の詳細な説明は、例示のためにのみ提供されるものであり、本発明の正確な範囲および原理は、特許請求の範囲によって示されている。
【0021】
図面、より具体的には、
図1および2を参照すると、好ましい実施形態を示す各図を通して同じ参照番号が対応する特徴に一貫して付されており、これら実施形態は、以下の例示的なシステムおよび/または方法の文脈において記述される。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る、GPSデータに基づいて、運転手を認証するためのシステム100の例示的なブロック図を示している。1つの実施形態において、システム100は、1つ以上のプロセッサー104と、通信インターフェースデバイスまたは入力/出力(I/O)インターフェース106と、1つ以上のプロセッサー104によって動作可能に接続された1つ以上のデータ保存デバイスまたはメモリー102と、を含んでいる。1つ以上のプロセッサー104は、1つ以上のソフトウェア処理モジュールおよび/またはハードウェアプロセッサーである。1つの実施形態において、ハードウェアプロセッサーは、1つ以上のマイクロプロセッサー、マイクロコンピューター、マイクロコントローラー、デジタル信号プロセッサー、中央処理ユニット(CPU)、状態機械、論理回路、および/または動作命令に基づいて信号を操作する任意のデバイスとして実施することができる。様々な機能の中でも特に、プロセッサーは、メモリー内に保存されている複数のコンピューター可読命令をフェッチおよび実行するよう構成されている。1つの実施形態において、システム100は、ラップトップコンピューター、ノートパソコン、携帯デバイス、ワークステーション、メインフレームコンピューター、ネットワーククラウドのような様々な演算システムにおいて実施することができる。
【0023】
I/Oインターフェースデバイス106は、例えば、ウェブインターフェース、グラフィカルユーザーインターフェース等の様々なソフトウェアおよびハードウェアインターフェースを含むことができ、さらに、有線ネットワーク(例えば、LAN、ケーブル等)および無線ネットワーク(例えば、WLAN、セルラー、または衛星)を含む様々なネットワークN/Wおよびプロトコルタイプにおける相互通信を容易にすることができる。1つの実施において、I/Oインターフェースデバイスは、多くのデバイスを他のデバイスまたは他のサーバーに接続するための1つ以上のポートを含むことができる。
【0024】
メモリー102は、例えば、揮発性メモリー(静的ランダムアクセスメモリー(SRAM)および動的ランダムアクセスメモリー(DRAM)等)および/または非揮発性メモリー(リードオンリーメモリー(ROM)、消去可能プログラム可能ROM、フラッシュメモリー、ハードディスク、光学ディスク、磁気テープ等)のような本分野において既知の任意のコンピューター可読媒体を含む。1つの実施において、システム100の1つ以上のモジュール110がメモリー102内に保存されている。
【0025】
図1に関連する
図2は、本発明の実施に係る、
図1のシステム100を用いて、GPSデータに基づいて、運転手を認証するための方法の例示的なフロー図を示している。1つの実施において、システム100は、1つ以上のハードウェアプロセッサー104によって動作可能に接続された1つ以上のデータ保存デバイスまたはメモリー102を含み、1つ以上のプロセッサー104によって本方法の複数の工程の実行のための複数の命令を保存するよう構成されている。本発明の方法の複数の工程が、
図1に示すようなシステム100のコンポーネントおよびフロー図を参照して説明される。本発明の1つの実施形態において、工程202において、1つ以上のハードウェアプロセッサー104は、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)から、運転手によって運転されている車両に関する走行情報を含むGPSデータを取得する。
【0026】
1つの実施形態において、GPSロガー(内蔵GPS受信機および演算力を有するもの)は、1次センサーとして機能する。別の実施形態において、内蔵GPSを有するスマートフォンが用いられる。このデバイスは、GPSデータを取得し、さらなる処理のために、GPSデータを中央サーバー(またはシステム100)に送信するためだけのものである。インターネットを介してデータが中央サーバーに送信される。車両識別子(vehicle identifier)V
IDおよび運転手識別子D
IDが、車両および特定の運転手に対するタグデータとして利用される。例えば、GPSは、1つ以上の車両スタートイベントと、1つ以上のエンドイベントとを検知し、走行(スタートイベントからエンドイベントまでの走行情報)に関するデータが、(メモリー102内に保存されている)データベース108に送信される。本発明の1つの実施において、工程204において、1つ以上のハードウェアプロセッサー104が、走行情報から、1つ以上の特徴を抽出する。1つの実施形態において、走行情報から1次データが抽出され、1次データから2次データが抽出される。その後、1つ以上の特徴が、1次データおよび2次データから抽出される。本発明の1つの実施形態において、メモリー102内に存在する1つ以上のモジュール110内に保存されている特徴抽出モジュールを用いて、GPSデータおよび/または1次データ、2次データから特徴が抽出される。
【0027】
例えば、1次データは、これに限定されるものではないが、GPSから取得される速度、加速度、コース等を含み、一方、2次データは、1次データから導出される。例えば、導出された2次データは、これに限定されるものではないが、ジャーク(jerk:時間に対する加速度の変化率)、横加速度、角速度、ジャークエネルギーを含む。各1次データおよび2次データのために、それらの1つ以上の差分が算出される(例えば、第1の差分、第2の差分、n番目の差分等)。これにより、運行の全ての関連性のあるパラメーターが提供される。本発明の1つの実施形態において、(走行の)コース自身は、パラメーターではないが、コースの第1の差分と、第2の差分は、パラメーターになり得る。同様に、速度の第1の差分が加速度であり、よって、速度、加速度、加速度の第1および第2の差分が運行のパラメーターである。ここで、運行全体のために、各パラメーターの値のセット(例えば、スピードのセット、横加速度の第2の差分のセット)が取得される。その後、これらのそれぞれの1つ以上の統計値が算出される。
【0028】
さらに、各パラメーターの平均、中央値、歪度(skewness)、尖度(kurtosis)、標準偏差、最大値、最小値、97.5パーセンタイル(97.5th percentile)、Q3、Q1、2.5パーセンタイルが算出され、1つ以上の抽出された特徴となる。抽出された特徴としては、これに限定されるものではないが、速度の中央値、横加速度の第1の差分のQ1、ジャークエネルギーの第2の差分の尖度、ジャークエネルギーの第2の差分の2.5パーセンタイルを挙げることができる。ここで、xの第1の差分は、del_x(n)=x(n+1)−x(n)であり、xの第2の差分は、del_xの第1の差分である。
【0029】
本発明の1つの実施形態において、工程206において、1つ以上のハードウェアプロセッサー104は、1つ以上の特徴と、複数の他の運転手に関する複数の走行情報に関連する複数の特徴との第1の比較を実行することにより、ランク付け技術を用いて、走行情報から取得された1つ以上の抽出された特徴をランク付けし、1つ以上のランク付けされた特徴を選択的に特定および取得する。ここで、1つ以上のランク付けされた特徴は、メモリー102内に存在するデータベース108内に保存されている運転手の1つ以上の運転パターンに関する履歴データおよび走行情報に基づいて、選択的に特定される。関連性のある特徴のセット(これらは、ランク付けされ、残る他のパラメーターから分離(フィルター)されている)を選択的に特定するために、データベース108内に保存されている1つ以上の運転パターンがフェッチされる。また、1つ以上のランク付けされた特徴の選択的な特定は、走行情報の抽出された特徴と、複数の他の運転手に関する走行情報の特徴(または、対応する特徴)および/または履歴データ(認証すべき運転手の運転パターンを含む)との比較に基づいてもよい。また、関連性のある特徴のセットの選択的な特定(または、ランク付けされた特徴の選択)は、走行情報から取得されたユニークな運転手識別子に基づいていてもよい。本発明の1つの実施において、ランク付け技術は、異常スコアを生成し、運転手の認証を実行するために必要な関連性のある特徴をランク付けするために、メモリー102内に存在する1つ以上のモジュール110内に保存されているランク付けモジュールによって実施または実行されてもよい。第1の比較を実行することによりランク付けされた1つ以上の特徴は、システム100が、1つ以上の特徴から、関連性のある特徴を特定することを可能とする。ここで、関連性のある特徴(ランク付けされ、他の特徴から分離されたもの)の選択は、異常スコアを生成し、運転手の認証を実行するために、さらに利用される。換言すれば、1つ以上のランク付けされた特徴を選択的に特定した際、選択されたランク付けされた特徴が、異常スコアを生成し、運転手を認証するために用いることが可能な「関連性のある特徴のセット」として参照される。
【0030】
特定の運転手(Aという)のための特徴のランク付けを実行するために、Aの全ての特徴が、Aの最新の運行までの分と、複数の他の運転手による全ての運航と対比のために取得される。他の運行によるバイアス(不公平な判断)を避けるため、Aによる運行の合計回数が、全体として、他の運転手による運行の合計回数と等しく(または、略等しく)なるように、複数の他の運転手のいくつかの運行が取得される。
【0031】
合計30名の運転手がいると仮定する。そして、Aによる40回の運行と、他の運転手による40回の運行があったとする(すなわち、A以外の運転手のそれぞれが約2回の運行を行い、29×2=58回の他の運転手による運行があったとする)。そして、これらの運行が比較され、全ての特徴の関連性が取得される。この結果は、以下に例示するような「特徴関係性テーブル」(またはテーブル1)内に保存される。
テーブル1
【0032】
上記テーブル1から分かるように、各行は、特徴の値を示している。第1の列は、特徴の名前を保存している。残りの行は、各運転手の特徴の関連性を保存している。この工程において、各運転手の最も関連性のある特徴が取得される。ここで、排除された全ての特徴(すなわち、特定の運転手のために重要ではない特徴)は、それぞれの箇所において値がゼロとなる(もしくは、なり得る)。上記テーブル中の「第3の_四分位値_速度(Third_Quartile_Speed)」のようなものは、運転手D001のためには重要ではない。
【0033】
運転手のために、最小で30回の運行が比較され、この演算が実行される。各運転手用の上記テーブル1がアップデートされる。その後、システム100は、特定の運転手のためにアクティブモードとなる。次の走行から、運転手が本物であるか否か(authenticity)がチェックされ、複数の運転手のそれぞれのための処理が並列で実行される。
【0034】
以下のテーブル2は、各特徴のランクおよび各特徴の重要性値に従って、運転手の同一性(identity)を判断または運転手を認証するための、特定の運転手用の1つ以上の関連性のある/重要な特徴を示している。
テーブル2
【0035】
本発明の1つの実施形態において、工程208において、1つ以上のハードウェアプロセッサー104は、(i)1つ以上の特徴(上記テーブル2)のランク付けされた特徴の値と、(ii)データベース108内に保存されている1つ以上の運転パターンに関する対応する特徴の値との第2の比較を実行する。1つの実施形態において、「第2の比較」との表現は、「第1回目の比較(first time comparison)」を意味し、「第2の比較」との表現の文字どおりの意味は、第2回目に実行される比較を意味しない。換言すれば、工程208において、1つ以上のハードウェアプロセッサー104は、1つ以上の特徴(上記テーブル2)のランク付けされた特徴の値と、データベース108内に保存されている1つ以上の運転パターンに関する対応する特徴の値との比較を実行する。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、工程210において、1つ以上のハードウェアプロセッサー104は、第2の比較に基づいて、関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアを生成する。データベース108は、(関連性だけでなく)運転手Aの全ての特徴を含む。特徴カウンター(FC:Feature Counter)は、特徴関連性テーブルのために、関連性のある特徴のリストを取得する。この運転手の関連性のある特徴の数は「N」であったとする。これらの特徴のみが、対象となっている運転手のために重要である。
【0037】
その後、FCは、各特徴を取得し、運転手IDを用いて各特徴のための問い合わせを行い、この特徴の30個の過去の値が、データベース108から取得される。システム100は、現在の値が含まれるクラスターを見出すクラスタリングを実行する。その後、特定されたクラスター内の特徴の過去の全ての値および現在の値が一緒に取得される。その後、確率スコア(probability score)が、「現在の特徴値」のために、(経験的累積分布関数(empirical cumulative distribution function)に基づいて)取得/算出される。このスコアは、X
fで表される。明らかに、X
fは、1より小さく、負ではない値である。
【0038】
システム100は、例えば、以下の式で表される異常スコアを規定する。
【0039】
AB(X
f)=2*absolute(X
f−0.5) (1)
【0040】
本工程が完了すると、システム100は、関連性のある特徴のそれぞれのために算出された異常スコアを有することになる。関連性スコアが既に算出されており、「特徴関連性テーブル」(テーブル2)が利用可能となっている。以下のテーブル3は、例として示された、関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアを示している。
テーブル3
【0041】
本発明の1つの実施形態において、工程212において、1つ以上のハードウェアプロセッサー104は、異常スコアに基づいて、運転手を認証する。1つの実施形態において、異常スコアと、第1の所定のしきい値(first pre-defined threshold)との第3の比較を実行することにより、異常スコアに基づいて、運転手が認証される。1つの実施形態において、「第3の比較」との表現は、「第1回目の比較」を意味し、「第3の比較」という表現の文字どおりの意味は、第3回目の比較が実行されることを意味しない。換言すれば、異常スコアと、第1の所定のしきい値との比較を実行することにより、異常スコアに基づいて、運転手が認証される。例えば、運転手は、(関連性があり、かつ、ランク付けされた特徴のそれぞれの)異常スコアが該特定の特徴の対応する第1の所定のしきい値とマッチングしたときに、運転手が認証されてもよい(または、認証される)。別の例において、異常スコアが該特定の特徴の対応する所定のしきい値に略等しい(close proximity)場合に、運転手が認証されてもよい(または、認証される)。例示的な実施形態において、しきい値に略等しい値は、ユーザー設定可能/ユーザー定義の値である。
【0042】
以下は、異常スコアが算出される特徴の例である。
【0043】
特徴「最大_速度(Max_speed)」(すなわち、運行における最大速度)が17.75[現在値(current value)]であるとする。
【0044】
以前の運行から、最大_速度の30個の値が取得される。標準クラスタリング(standard clustering)を用いた分析によって、17.75が、クラスター平均18.19のクラスターに属することになる。過去データ値の全てから算出された経験的CDF(empirical CDF)が用いられ、17.75のeCDF値が取得され、H(17.75)=0.41である。これにより、異常スコア=2×absolute(0.41−0.5)=0.18が得られる。
【0045】
本発明の1つの実施形態において、(関連性のある特徴のそれぞれ、または、関連性のある特徴の少なくともサブセットの)異常スコアが第1の所定のしきい値とマッチングしない場合、1つ以上のハードウェアプロセッサー104は、関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアに基づいて、平均異常スコアを生成し、その後、システム100は、平均異常スコアに基づいて、運転手を認証する。本発明の1つの実施形態において、システム100が、全ての特徴の異常スコア、または、特徴のサブセットが第1の所定のしきい値とマッチングしないと判別した場合に、各特徴の平均異常スコアの演算をインテリジェント(intelligently)に選択する。この各特徴の平均異常スコアのインテリジェントな算出は、認証処理中におけるシステム100の学習パターンと、運転手の運転パターンとに基づく。1つの実施形態において、平均異常スコアに基づいて、運転手を認証する工程は、平均異常スコアと、第2の所定のしきい値との第4の比較を実行する工程と、第4の比較に基づいて、運転手を認証する工程とを含む。1つの実施形態において、「第4の比較」との表現は、「第1回目の比較」を意味し、「第4の比較」との表現の文字どおりの意味は、第4回目の比較が実行されることを意味するものではない。1つの実施形態において、平均異常スコアに基づいて、運転手を認証する工程は、平均異常スコアと、第2の所定のしきい値との比較を実行する工程を含む。1つの実施形態において、第1の所定のしきい値および第2の所定のしきい値のそれぞれに関する値は、同一である。別の実施形態において、第1の所定のしきい値および第2の所定のしきい値のそれぞれに関する値は、互いに異なる。本発明の1つの実施形態において、異常スコアおよび/または平均異常スコアは、メモリー102内に存在する1つ以上のモジュール110内に保存されているスコア生成モジュールを用いて算出される。さらに、第1の比較、第2の比較、第3の比較、および第4の比較は、メモリー102内に存在する1つ以上のモジュール110内に保存されている比較モジュールによって実行される。
【0046】
以下に示されているのは、運転手の認証のための平均異常スコアの算出の例である。
【0047】
異常スコアが≧0.9である特徴の合計数がPであるとする。それ以前に、特定の運転手の関連性のある特徴の上記数がNとして算出されている。
IF(P/N>=T1) (ここで、T1は、設定可能(および変数)であり、現在のT1=0.5である)
その後:出力=FALSE
それ以外であれば、
その後:平均異常スコアを算出
終了
【0049】
平均異常スコアは、重みとしての関連性レベルを用いた、異常スコアの重みづけ平均として算出される。特徴I(または1)の関連性がw
iであり、異常スコアがab
iであるとする。そうすると、平均異常スコア(AAS:Average Abnormality Score)は、以下の式で表される。
【0050】
上述のテーブルにおいて、平均異常スコアは、0.551872である。
【0051】
本工程の後に、AASの算出値が取得される。
【0052】
ここで、
IF AAS>T2 (ここで、T2は、設定可能(および変数)であり、現在のT2=0.75である)
その後:出力=FALSE //(すなわち、その後、運転手特定がFALSE)
それ以外であれば、
その後:出力=TRUE //運転手特定がTRUE
【0053】
TRUE/FALSEフラグは、上記式(または数式)から取得され、運転手の同一性(アイデンティティ)の状態を示す。認証が実行された後、データベース108における現在の特徴値がアップデートされる。次回では、この値が、システム100を時間に対してアジャイル(agile)、ロバスト(robust)、かつ適応可能(adaptive)にする過去のデータ項目(entry)として扱われる。異常スコアまたは平均異常スコアに基づいて運転手が認証されると、認証された運転手の運転手プロファイルがデータベース108内においてアップデートされる。1つの実施形態において、認証された運転手の運転手プロファイルは、メモリー102内に存在する1つ以上のモジュール110内に保存されているプロファイルアップデートモジュールを用いて、アップデートされる。
【0054】
以下に示されているのは、システム100による認証正確性を示すテーブルの例である。
テーブル3
【0055】
特徴抽出モジュール、ランク付け技術、ランク付けモジュール、比較モジュール、スコア生成モジュール、およびプロファイルアップデートモジュールは、実行されたときに上述の方法を実行するソフトウェアプログラムの論理的に自己完結型の(self-contained)部分、自己完結型のハードウェアコンポーネント、および/または、各ハードウェアコンポーネントに内蔵されたソフトウェアプログラムの論理的に自己完結型の部分を有する自己完結型のハードウェアコンポーネントの少なくとも1つとして実施される。1つの実施形態において、データベース108は、運転手に関する情報と、運転手プロファイル(または、アップデート済み運転手プロファイル)と、走行情報から抽出された特徴と、各運転手に関する各走行情報の1次データおよび導出された2次データと、比較データ(例えば、第1の比較データ、第2の比較データ、第3の比較データ、第4の比較データ)と、第1の所定のしきい値と、第2の所定のしきい値と、ランク付けされた/関連性のある特徴のそれぞれの異常スコアと、平均異常スコアと、認証の詳細と、認証否認(authentication denials)と、運転手の運転パターンと、システム100の動作の学習に関するデータ等を含んでいる。これにより、システム100は、過去または履歴データから学習を行い、即興かつ正確に、運転手の同一性(アイデンティティ)を判別することができ、正確にこれら(運転手識別子、例えば、運転手/運転手の名前、車両/車両識別子)を認証することができる。したがって、システム100をより効率的にすることができる。
【0056】
ここまでに記載された記述は、本発明を記述し、本分野における当業者が、実施形態を構築および使用することを可能とする。本発明の実施形態の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、本分野における当業者がなし得る他の変形例も、本発明の範囲に含まれる。そのような他の変形例は、それらが特許請求の範囲の文言とは異なっていない同様の要素を有している、または、特許請求の範囲の文言とは非実質的に異なる同等の要素を含んでいたとしても、本発明の範囲に含まれるものである。
【0057】
保護の範囲は、内部にメッセージを保持するコンピューター可読手段に加えて、プログラムにまで及ぶことは理解されるべきである。そのようなコンピューター可読保存手段は、プログラムが、サーバー、携帯デバイス、または任意の好適なプログラム可能デバイス上で実行されたときに、本方法の1つまたは複数の工程を実行するためのプログラムコード手段を含む。ハードウェアデバイスは、サーバー、パーソナルコンピューターのような任意の種類のコンピューターおよびこれらの任意の組み合わせを含む任意の好適なプログラム可能デバイスである。また、デバイスは、ハードウェア手段(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、ハードウェア手段とソフトウェア手段の組み合わせ(例えば、ASICとFPGS)、少なくとも1つのマイクロプロセッサー、内部にソフトウェアモジュールを有する少なくとも1つのメモリーを含む手段であってもよい。よって、手段は、ハードウェア手段とソフトウェア手段の双方を含む。本明細書において記述された方法の実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアにおいて実施することができる。また、デバイスは、ソフトウェア手段を含む。代替的に、実施形態は、例えば、複数のCPUを用いた複数の異なるハードウェアデバイス上において実施されていてもよい。
【0058】
ここで記述された実施形態は、ハードウェア要素とソフトウェア要素を含み得る。ソフトウェアにおいて実施される実施形態は、これに限定されるものではないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む。本明細書で記述された様々なモジュールによって実行される機能は、他のモジュールまたは他のモジュールの組み合わせにおいて実施されてもよい。記述の目的のため、コンピューター使用可能またはコンピューター可読媒体は、使用のために、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用され、または、接続され、プログラムを、含有、保存、通信、伝搬、または送信することができる任意の装置であってもよい。
【0059】
図示の工程は、示された例示的な実施形態を説明するために提示されたものであり、現在進行中の技術の発展が、特定の機能が実行される本方法を変更し得ることは予想されるべきものである。本明細書で提供された、これらの例示は、説明のためのものであり、限定ではない。さらに、機能的に構築された複数のブロックの境界は、記述の利便性のために、ここでは任意に規定されている。特定の機能および機能同士の関係性が適切に実行されている限り、代替的な境界を規定することが可能である。本分野および関連分野における当業者であれば、本明細書に含まれる技術に基づいて、代替物(本明細書で記述されたものの同等物、拡張物、変形物、変更物等)は、明らかであろう。そのような代替物もまた、開示の実施形態の範囲および原理内に含まれる。また、用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「備える(including)」、およびその他同様の形式は、意味的に同等であり、その用語の後に列挙された1つまたは複数の項目を含むオープンエンドな範囲を示すものであって、1つまたは複数の項目の排他的なリストを意味するものではなく、リストされた1つまたは複数の項目にのみ限られることを意味するものではない。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられている単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明確にそれ以外を示す場合を除き、複数形への参照をも含むことに留意するべきである。
【0060】
さらに、1つ以上のコンピューター可読保存媒体を、本発明と一致する実施形態を実施するために利用することができる。コンピューター可読保存媒体は、プロセッサーによって読み込み可能な情報またはデータを保存可能な任意の種類の物理メモリーを意味する。よって、コンピューター可読保存媒体は、プロセッサーに、本明細書に記述された実施形態と一致する工程または段階を実行させるための命令を含む、1つ以上のプロセッサーによって実行される命令を保存することができる。用語「コンピューター可読媒体」は、有体の製品を含み、かつ、伝送波および過渡信号を除外する、非一時的なものであることは理解されるべきである。例えば、ランダムアクセスメモリー(RAM)、リードオンリーメモリー(ROM)、揮発性メモリー、不揮発性メモリー、ハードドライブ、CD−ROM、DVD、ブルーレイ、フラッシュドライブ、ディスク、および任意のその他既知の物理保存媒体を例として挙げることができる。
【0061】
本開示および例示は、例示のみのために用いられており、開示された実施形態の真の範囲および原理は、特許請求の範囲によって示されている。