特許第6598994号(P6598994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6598994フェイスマスクの製造工程においてノーズワイヤをスプライシングする方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598994
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】フェイスマスクの製造工程においてノーズワイヤをスプライシングする方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20191021BHJP
   B65H 69/00 20060101ALI20191021BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   B65H69/00
   A62B18/02 C
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-518955(P2018-518955)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公表番号】特表2018-536100(P2018-536100A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】US2015055858
(87)【国際公開番号】WO2017065783
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2018年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】518174101
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インターナショナル アンリミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンペリン、マーク・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ネイサン・クレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー、ジョセフ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】フード、アージャイ・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、デイビッド・ラマール
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104939377(CN,A)
【文献】 特開昭61−027860(JP,A)
【文献】 特開昭59−031244(JP,A)
【文献】 特開2002−326746(JP,A)
【文献】 特表2007−513265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 7/00 − 33/00
B65H 19/00 − 19/30
B65H 65/00
69/00 − 73/00
77/00 − 79/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスマスクの製造ラインにおいて予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤにスプライシングする方法であって、
前記走行ノーズワイヤを使い尽くす前に、前記予備ノーズワイヤの搬送速度を前記走行ノーズワイヤの搬送方向の搬送速度に近づけるステップと、
前記走行ノーズワイヤと前記予備ノーズワイヤとの間の相対速度がほぼゼロになった状態で、前記予備ノーズワイヤの先端を前記走行ノーズワイヤに導入し、前記予備ノーズワイヤと前記走行ノーズワイヤとの間にスプライシングを形成するステップと、
前記製造ラインにおいて、前記予備ノーズワイヤが新たな走行ノーズワイヤとなるように、前記スプライシングの位置の上流の前記走行ノーズワイヤを切断するステップと、を含み、
前記予備ノーズワイヤは、ノーズワイヤの予備ロールから供給され、
前記予備ノーズワイヤの前記先端を前記走行ノーズワイヤ上に導入する前に前記予備ロールを駆動することにより、前記予備ロールが動作回転速度に近づくと引き出されることとなる前記予備ノーズワイヤの最初の蓄積を生成することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スプライシングは、前記予備ノーズワイヤを前記走行ノーズワイヤにクリンピングすることによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予備ノーズワイヤの前記先端は、相対速度がほぼゼロになった状態で、前記走行ノーズワイヤ上へ次回以降のフィーディングを行うための場所にステージングされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予備ノーズワイヤの前記先端は、1以上のフィードローラによって前記予備ロールから前記走行ノーズワイヤに引き込まれることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記予備ロールは、前記スプライシングの後にインライン動作位置に移動され、次回以降のスプライシング動作のために、新たな予備ロールがステージングされることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記スプライシングは、前記製造ラインに沿って配置された可動式のスプライシングキャビネットによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記スプライシングは、前記製造ラインに恒久的に配置されたスプライシング装置によって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記走行ノーズワイヤの搬送速度を検出するステップと、
検出された前記搬送速度、及びクリンピング位置から前記予備ノーズワイヤの先端までの距離に基づき、前記予備ノーズワイヤ及び前記走行ノーズワイヤ間の相対速度がほぼゼロになるように、前記予備ノーズワイヤと前記走行ノーズワイヤの前記搬送速度を互いに近づけるステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記走行ノーズワイヤの消費状態を検出するステップと、検出された前記消費状態の関数として前記スプライシングのタイミングを調整するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法にしたがって、フェイスマスクの製造ラインにおいて予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤにスプライシングするためのシステムであって、
予備ノーズワイヤのロールと、
切断ステーションと、
前記切断ステーションから、前記製造ラインで作られた前記フェイスマスクの本体部分を画定するキャリアウェブ上に個々のノーズワイヤを搬送するために、前記切断ステーションの下流に設けられた搬送ローラと、を含み、
前記予備ノーズワイヤは先端を有し、前記走行ノーズワイヤの予め定められた消費状態において、前記予備ノーズワイヤの前記先端の搬送速度は前記走行ノーズワイヤの搬送方向の搬送速度に近づけられ、前記製造ラインの全体の走行速度を停止または実質的に減速させることなく、前記走行ノーズワイヤとスプライシングし、
前記予備ノーズワイヤの前記先端を前記走行ノーズワイヤに導入する前に前記予備ノーズワイヤのロールを駆動することにより、前記予備ロールが動作回転速度に近づくと引き出される前記予備ノーズワイヤの最初の蓄積を生成することを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記予備ノーズワイヤの前記先端を、前記予備ロールから前記走行ノーズワイヤに引き込む1以上のフィードローラをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記予備ノーズワイヤの前記蓄積に対して係合する機械的ガイドをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記機械的ガイドは、前記予備ノーズワイヤの前記蓄積が増加する方向に対して横断するようにして取り付けられることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、概して、保護用フェイスマスクの分野に関し、特に、そのようなフェイスマスクの製造ラインにおいてノーズワイヤ供給品をスプライシングするための方法及びシステムに関する。
【0002】
(関連出願のファミリー)
本出願は、本出願と同日に出願された以下の国際特許出願(それらは全て、米国を指定している)と、発明の主題が関連している。
(a)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤをスプライシングする方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055861
(b)「フェイスマスク製造ラインにおいて予備ノーズワイヤを導入する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055863
(c)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを切断し配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055865
(d)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055867
(e)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055871
(f)「フェイスマスク製造工程において予め切断されたノーズワイヤを配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055872
(g)「フェイスマスク製造ラインにおけるパッケージングのためのフェイスマスクを包装及び作製する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055876
(h)「フェイスマスク製造ラインにおいて包装されたフェイスマスクをカートン内に自動的に積層させて充填する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055878
(i)「フェイスマスク製造ラインにおいて包装されたフェイスマスクをカートン内に自動的に積層させて充填する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055882
【0003】
上記の出願は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に援用される。上記の出願に記載された発明主題の特徴及び態様のあらゆる組み合わせを、本出願の実施形態と組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を創出することもできる。
【背景技術】
【0004】
様々な形態の使い捨て式フィルタリングフェイスマスク、すなわちレスピレータが知られており、これらは、「フェイスマスク」、「保護マスク(レスピレータ)」、「フィルタリングフェイスレスピレータ」等の様々な名称で呼ばれている。本開示の目的のために、これらは、「フェイスマスク」と総称する。
【0005】
自然災害時または他の大惨事の発生時には、救援活動従事者、救急隊員、及び一般大衆に対して保護用フェイスマスクを供給できることが重要である。例えば、パンデミックが発生した場合には、フィルタを介した呼吸を可能にするフェイスマスクの使用が、そのような事態への対応や復旧において重要となる。このため、政府や自治体は、通常、緊急時にすぐに使用できるように、フェイスマスクの備蓄を維持している。しかしながら、フェイスマスクの貯蔵寿命は限られているため、有効期限の確認及び補充のために、フェイスマスクの備蓄を継続的にモニタする必要があった。そして、これは、非常にコストのかかる作業であった。
【0006】
最近、備蓄に頼るのではなく、パンデミックまたは他の災害の発生時に「必要に応じて」フェイスマスクを大量製造することが実現可能か否かについての調査が開始された。例えば、2013年に、米国保健福祉省(HHS)の事前準備対応次官補局(ASPA)の一部門である生物医学先端研究開発局(BARDA)は、米国でのパンデミックの発生時には最大1億個のフェイスマスクが必要となると推定し、備蓄を避けるために、1日当たり150万〜200万個のフェイスマスクを大量製造することによって、この需要を満たすことができるか否かについての研究を提案した。これは、1分当たり約1500個のマスクを製造することを意味する。現行のフェイスマスク製造ラインは、技術と装置の限界のために1分当たり約100個のマスクしか製造することができず、上記の推定目標値に遠く及ばない。したがって、パンデミック発生時の「オンデマンドの」フェイスマスクの上記の目標値を実現するためには、製造・製造工程の進歩が必要である。
【0007】
様々な形態のフィルタフェイスマスクは、よく知られているように、フェイスマスクの形状をユーザの鼻の形状に合わせ、使用時にフェイスマスクを所定の位置に保持できるように、フィルタパネルの上側の縁部に沿って、「ノーズワイヤ」として知られている可撓性及び応従性を有する金属片を備えている。ノーズワイヤは、異なるサイズ及びマスク形状の間で様々な長さ及び幅を有し得るが、一般的には、スプールから切り出され、インライン製造工程中に、不織布材料層に封入または密封される。上記のスループット(製造速度)で大量製造するためには、スプールを使い尽くしたときに、走行ラインの高製造速度を維持しながら、走行ライン内に予備のスプールをスプライシングすることが必要である。
【0008】
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、フェイスマスクの走行インライン製造において、ノーズワイヤをスプライシングする作業を高速で行うための方法及びシステムを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的及び利点は、その一部が以下の説明に記載されており、あるいは以下の説明から明らかであり、あるいは本発明の実施により学ぶことができるであろう。
【0010】
本発明の態様では、フェイスマスク製造ラインにおいて、走行ノーズワイヤに予備ノーズワイヤをスプライシングする方法が提供され、スプライシング動作は、製造ラインにおいて重大な停止または減速を必要としない。本発明の方法は、ノーズワイヤを組み込んだフェイスマスクの特定の様式すなわち構成、または下流のフェイスマスク製造工程に限定されないことを理解されたい。
【0011】
この方法は、走行ノーズワイヤを使い尽くす前に、予備ノーズワイヤの搬送速度を、走行ノーズワイヤの搬送方向の搬送速度に近づけるステップを含む。搬送速度は、走行ノーズワイヤと予備ノーズワイヤとの間にほぼゼロの相対速度を確立するような速度である。「ほぼゼロの」とは、このような偏差が、予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤの後ろにスプライシングすることを妨げない限り、ある程度の速度偏差を包含することが意図されることを理解されたい。ワイヤ間の相対速度は0であることが好ましいが、本発明は、「0に近い」、及び、次回以降のスプライシング工程において許容され得る速度差の程度によって本質的に規定される速度偏差を包含する。所望の相対速度がほぼゼロの場合、予備ノーズワイヤの先端が、走行ノーズワイヤ上に導入される。2つのノーズワイヤは、その後互いにスプライシングされる。走行ノーズワイヤは、その後、下流の切断位置で切断され、これにより、予備ノーズワイヤが製造ライン内の新たな走行ノーズワイヤとなる。
【0012】
接着剤の適用、スポットタッキングなどを含む、予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤにスプライシングするための様々な手段を採用することができる。特定の実施形態では、クリンパ及びクリップを用いて、予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤにクリンピングすることにより、スプライシング工程を行う。
【0013】
予備ノーズワイヤは、予備ノーズワイヤのループまたは折り重ねなどの、任意の適切な供給構成から供給される。特定の実施形態では、予備ノーズワイヤは、予備のロール、すなわちスプール(一般的に、「ロール」と呼ばれる)から供給され、予備ノーズワイヤの先端は、ロールから引き出されて、相対速度がほぼゼロになった状態で走行ノーズワイヤ上への次回以降の供給のための位置にステージングされる。この実施形態では、1以上の正駆動し、かつ別個に制御されたフィードローラが使用されることにより、予備ノーズワイヤの先端を予備ロールから走行ノーズワイヤに引き込むことができる。
【0014】
フィードローラを係合させる前に、予備ロールを駆動することによって、ロールから予備ノーズワイヤの初期蓄積を生成することが望ましい場合がある。このようにして、フィードローラを予備ノーズワイヤに係合させ、予備のロール全体を加速させることなく、比較的迅速に、予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤの搬送速度に近づけることができる。予備ロールは、ワイヤの蓄積長を使い尽くすときに、動作回転速度に近づく可能性がある。
【0015】
蓄積の形成中に、ノーズワイヤがよじれたりねじれたりしないようにすることが重要である。この点に関して、よじれまたはねじれなどを防止するために、蓄積の形成中にガイドを使用することができる。このガイドは、予備ロールに対して移動可能であることにより、折り重ねることなく蓄積を増大または拡大することができ、よじれまたはねじれの可能性、またはワイヤを最小化する。
【0016】
スプライシング工程の後、予備ロールをスプライシング後のインライン動作位置に移動させることができ、次のスプライシング動作のために新しい予備ロールをステージングすることができる。あるいは、予備ロールは、再配置されることなく動作可能なロールになってもよく、新しい予備ロールを、前の走行ロールの位置にステージングすることができる。
【0017】
一実施形態では、スプライシングは、製造ラインに沿って、予備ロールと走行ノーズワイヤとの間で機能的に配置された可動式のスプライシングキャビネットを用いて行われる。スプライシングが完了した後、スプライシングキャビネットを製造ラインから機能的に外し、別の場所または異なる製造ラインに移動させることができる。代替実施形態では、スプライシングは、製造ラインによって恒久的に配置されたスプライシング装置によって行われる。
【0018】
スプライシング工程を達成するために、様々な制御を利用することができる。例えば、1つの特定の方法では、走行ノーズワイヤの搬送速度が検出され、検出された搬送速度、及び、スプライシング位置から予備ノーズワイヤの先端の距離に基づいて、スプライシングのために必要な、予備ノーズワイヤと走行ノーズワイヤとの間の相対速度がほぼゼロになるように、予備ノーズワイヤを搬送速度に近づけることができる。
【0019】
スプライシングのタイミングを適切に合わせるために、特定の実施形態には、走行ノーズワイヤの消費状態を検出し、検出された消費状態の関数としてスプライシングのタイミングを調整するステップが含まれる。例えば、走行ノーズワイヤのロールの所定の検出直径で、スプライシングシークエンスを開始することができる。
【0020】
本明細書はまた、本明細書に記載され、かつ指示されているように、本方法に従って、フェイスマスク製造ラインにおいて、予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤにスプライシングするための様々なシステムの実施形態を包含する。
【0021】
本発明の他の特徴及び態様は、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
当業者を対象にした本開示の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0023】
図1】フェイスマスクの形をユーザの顔の形に一致させるノーズワイヤが組み込まれた従来の呼吸用フェイスマスクをユーザに装着した状態を示す斜視図
図2図1の従来のフェイスマスクの折り畳んだ状態を示す上面図
図3図2のフェイスマスクを図2に示した線に沿って切った断面図
図4】交互に配置された複数のフェイスマスクパネルが画定されたウェブと、各パネルの縁部に組み込まれたノーズワイヤを示す上面図
図5】フェイスマスクパネルとの次回以降の結合のための、ノーズワイヤの供給及び切断に関連する、本発明の態様によるフェイスマスク製造ラインの部品の概略図
図6】本発明の態様に従って、予備ノーズワイヤを走行中の製造ラインにスプライシングする態様の概略図
図7】本発明の態様に従って、予備ノーズワイヤを走行中の製造ラインにスプライシングする更なる態様の概略図
図8】本発明の態様に従って、予備ノーズワイヤを走行中の製造ラインにスプライシングするさらに他の態様の概略図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の様々な実施形態及びその1以上の実施例を詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態において用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。
【0025】
上述したように、本発明は、フェイスマスク製造ラインにおいて、予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤへスプライシングする方法に関する。の下流フェイスマスク製造工程は、本発明の態様を限定するものではないので、本明細書中では詳細に説明しない。
【0026】
また、本開示は、製造ラインを通じてのフェイスマスクの特定の構成要素の搬送または輸送について言及または暗示している。物品搬送器(例えば、ロータリコンベヤまたはリニアコンベヤ)、物品配置器(例えば、真空ピックプレイサ)、及び輸送装置の任意の態様または組み合わせは、物品搬送産業においてよく知られており、本明細書に記載の目的に使用できることは容易に理解できるであろう。本発明の方法の理解及び把握のために、これらの既知の装置やシステムを詳細に説明する必要はない。
【0027】
平らなプリーツ付きフェイスマスクを含む、ノーズワイヤが組み込まれたフェイスマスクの様々なスタイルや形態がよく知られており、本発明の方法は、これらの従来のマスクのための製造ラインにおいて有用であり得る。単なる例示を目的として、本明細書では、本発明の方法の態様を、図1に示すような当分野で「カモノハシ型」マスクと称される特定のタイプの呼吸用フェイスマスクを参照して説明する。
【0028】
図1図3を参照すると、代表的なフェイスマスク11(例えば、カモノハシ型フェイスマスク)を着用者12の顔に装着した状態が示されている。このマスク11は、弾性及び伸縮性を有するストラップ、すなわち固定部材16及び固定部材18によって着用者12に固定されるフィルタ本体14を含む。フィルタ本体14は、上側部分20及び下側部分22を有する。上側部分20及び下側部分22は、互いに相補的な台形形状を有し、好ましくは熱及び/または超音波シーリング等によって、その3つの辺縁に沿って互いに接合される。このようにして接合することにより、マスク11に、重要な構造的完全性が付加される。
【0029】
マスク11の第4の辺縁は、開放されており、上側縁部24及び下側縁部38を有する。上側縁部24及び下側縁部38は、互いに協働して、マスク11における、着用者の顔に接触する周縁部分を画定する。上側縁部24は、平坦な金属製のリボンまたはワイヤ状の細長い応従性部材(本明細書では「ノーズワイヤ」と称する)を受容するように構成される(図2及び図3参照)。ノーズワイヤ26は、マスク11の上側縁部24の形状を着用者12の鼻や頬の外形に密着させることができるように設けられる。ノーズワイヤ26は、一般的に、矩形の断面形状を有するアルミニウムストリップから構成される。マスク11の上側部分20が上側縁部24に沿って配置されたノーズワイヤ26を有することを除けば、マスク11の上側部分20と下側部分22は互いに同じであり得る。
【0030】
図1に示すように、カモノハシ型マスク11は、着用者12の顔に装着したときには、カップ状または円錐状の全体形状を有する。これにより、使用時には円錐状のマスクが「顔から離れる」という利点と、使用前には折り畳んだマスク11をポケットに入れて容易に持ち運びすることができるという利点が提供される。「顔から離れる」形式のマスクは、着用者の顔のかなりの部分に接触する柔らかいプリーツ付きマスクと比べて、より大きな呼吸チャンバを提供する。そのため、「顔から離れる」マスクは、より落ち着いたより楽な呼吸を可能にする。
【0031】
着用者12の通常の呼吸に関連する呼吸漏れは、ノーズワイヤ26の寸法やノーズワイヤ26の上側縁部24に対する位置を適切に選択することによって、実質的に排除される。ノーズワイヤ26は、上側縁部24の中央に配置され、上側縁部24の全長の50−70%の範囲の長さを有することが好ましい。
【0032】
図3の断面図に示すように、上側部分20及び下側部分22の各々は、外側マスク層30及び内側マスク層32を含む複数の層を有する。外側マスク層30と内側マスク層32との間には、マスク11用のフィルタ媒体を含む1以上の中間層34が介在されている。この中間層34は、一般的に、メルトブローンポリプロピレン、押出成形ポリカーボネート、メルトブローンポリエステル、またはメルトブローンウレタンから作製される。
【0033】
マスク11の上側縁部24は、マスク11の開放端の全体にわたって延在し、かつノーズワイヤ26を覆う上側縁部バインダ36によって取り囲まれている。同様に、下側縁部38は、下側縁部バインダ40によって取り囲まれている。上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40は、ノーズワイヤ26を上側縁部24に沿って配置した後に、それぞれ上側縁部24または下側縁部38上に折り重ねて接合される。上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40は、スパンレースされたポリエステル材料から作製され得る。
【0034】
図4は、マスク11の上側部分20を形成する層を切断するための略台形形状のレイアウトを示す。同様のレイアウトが下側部分22用に作製され、この下側部分22は、フェイスマスク製造ラインにおいて、上側部分20整列され、接合される。より正確には、図4のレイアウトは、平坦な各材料シートから上側部分20のための層30及び32を最終的に切断する切断装置の概要を表す。このレイアウトは、上側縁部24と下側縁部38とにより形成されるマスク11の開放端側となる縁部50、52の間の平坦な材料シート上に、交互パターンで配置される。このレイアウト配置により、マスク11の作製に利用される切断装置(図示せず)に材料を供給したときに、連続的な切り抜き片(piece of scrap)を形成することができる。図4は、上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40を上側縁部24または下側縁部38に沿って折り重ねて接合する前に、連続したウェブにおける上側縁部24に対応する部分の上に切断されたノーズワイヤ26を配置した状態を示す。
【0035】
図5は、ノーズワイヤ26が組み込まれたフェイスマスクを製造するための製造ライン106の一部を示す。走行ノーズワイヤ104が、例えば被動ロール、すなわち走行ロール130などの供給源から切断ステーション108に、連続的なストリップ形態で供給される。好適な切断ステーション108は、公知であり、従来の製造ラインで使用されている。切断ステーション108は、一般的に、被駆動ニップを画定する1セットのフィードローラ110を有する。フィードローラの一方は被動ローラであるが、他方はアイドラローラであってもよい。フィードローラ110はまた、走行ノーズワイヤに、ダイヤモンドパターンなどのクリンプパターンを付与するように働くことができる。走行ワイヤ101は、アンビル114に対向して配置された切断ローラ112に供給される。切断ローラ112は、走行ノーズワイヤ104を、個々のノーズワイヤ26に切断するべく、所定の速度で駆動される。切断ローラ112の下流側では、1セットの搬送ローラ116によって、個々のノーズワイヤ26が切断ステーション108からキャリアウェブ118上に搬送される。図4を参照すると、キャリアウェブ118は、上側部分20を画定する連続的な多層ウェブであり得、個々のノーズワイヤ26は、上側縁部24に対応するキャリアウェブ118の縁部に沿って配置される。ノーズワイヤを切断し、図4に示されたウェブの反対側の入れ子状本体の上側部分20上に配置するために、追加の切断ステーションが、切断ステーション108の反対側(及び、上流または下流)に動作可能に配置されてもよいことを理解されたい。理解を容易化するために、このような切断ステーションの1つのみが本明細書に示され、説明される。
【0036】
図5はまた、先端132を有する予備ノーズワイヤ102の予備ロール128のステージング状態を示す。図6図8を参照して以下により詳細に説明するように、走行ノーズワイヤ104が所定の消費状態になると、予備ノーズワイヤ102の先端132は、製造ライン106の全体的な走行速度を停止させることなく、または実質的に減速させることなく、走行ノーズワイヤ104とスプライシングされる。
【0037】
個々のノーズワイヤ26をキャリアウェブ118上の所定の位置に配置した後、バインダウェブ120を、キャリアウェブ118の両縁部に沿って製造ラインに導入する(図5では、1つのバインダウェブ120のみを図示している)。キャリアウェブ118、ノーズワイヤ26、及びバインダウェブ120の組み合わせは、折り重ねステーション122(フォルダ)を通過し、バインダウェブ120は、キャリアウェブ118の移動する各縁部50、52の上に折り重ねられる(図4)。そして、スプライシングステーション124(ボンダー)を通過した後は、バインダウェブ120はキャリアウェブ118に熱接合され、これにより、各バインダ36、40と共に、図3に示した上側縁部24及び下側縁部38が構成される。ノーズワイヤ26は、バインダ36によって、上側縁部24に対する所定の位置に保持される。
【0038】
バインダ36の下のキャリアウェブ118とノーズワイヤ26との連続的な組み合わせが、スプライシングステーション124から、さらに下流の処理ステーション126へ搬送され、そこで個々のフェイスマスクが切断され、接合され、ヘッドストラップの取り付け等が行われる。
【0039】
図6図8をさらに参照すると、予備ノーズワイヤ102の先端132(図5)を走行中の製造ライン106にスプライシングするための方法100の態様が示されている。図6は、待機状態の予備ロール128を示す。予備ノーズワイヤ102の先端132は、スプライシングステーション142内にねじこまれ、スプライシングステーション142は、独立型のキャビネット134内に含まれていてもよい。例えば、先端132は、ステージング状態、すなわち待機状態の1セットのフィードローラ136の間にねじ込まれていてもよい。予備ロール128は、駆動ローラまたは被駆動ローラであってもよい独立した駆動部を有して構成される。
【0040】
方法100は、走行ノーズワイヤ104を使い尽くす前に、予備ノーズワイヤ102の搬送速度を、走行ノーズワイヤ104の搬送方向の搬送速度に近づけるステップを含み、これにより、走行ノーズワイヤ104と予備ノーズワイヤ102との間に、ほぼゼロの相対速度が確立される。上述のように、「ほぼゼロの」とは、偏差などによって、その後、予備ノーズワイヤ102を走行ノーズワイヤ104にスプライシングすることが妨げられない限り、ある程度の速度の逸脱を包含することを意図すると理解されたい。
【0041】
予備ノーズワイヤ102を、スプライシングのために所望の搬送に近づける工程を、様々な方法で行うことができる。例えば、図6を参照すると、第2のセットのプライマリフィードローラ138は、プライマリフィードローラ138の間に先端132を導入する前に、加速され得る。プライマリフィードローラ138が、予備ロール128を静止状態から動作速度まで「引き上げる」必要が無いように、予備ロール128は、プライマリフィードローラ138の速度が加速するにつれて回転駆動されてもよく、予備ノーズワイヤの先端132は、第1のセットのフィードローラ136の間にクランプされる。コントローラ146によって決定されると、第1のセットのフィードローラ136が駆動されて先端132をプライマリフィードローラ138に導入し、プライマリフィードローラ138は、先端132及び連続した予備ノーズワイヤ102を、上述した予備ノーズワイヤ102と走行ノーズワイヤ104との間の所望の最小相対速度で、ダイバータローラ140(被駆動、またはアイドルローラ)を介して走行ノーズワイヤ104上に導入するような速度で駆動される。
【0042】
コントローラ146は、上述のシーケンスにおいて、予備ロール128、第1のセットのフィードローラ136、及びプライマリフィードローラ138の個々の駆動を制御するための制御ハードウェア及びソフトウェアの任意の構成であってもよい。
【0043】
図7は方法100の一態様を示し、予備ロール128が駆動されると同時に、予備ノーズワイヤ102の先端132は、一度引き出すことのできる予備ノーズワイヤ102の蓄積152を生成するように、第1のセットのフィードローラ136の間でクランプされ、予備ロール128が動作速度に近づくにつれて、フィードローラ136、プライマリフィードローラ138が係合されることにより予備ノーズワイヤ102を走行ノーズワイヤ104に搬送速度で搬送する。これらの機能はまた、コントローラ146によって開始及び制御されてもよい。蓄積152は、重ならない、または折り重ならない単一のループとして図7に示されるが、予備ロール128から離れる方向に本質的に増大する。ワイヤ内に蓄積152を形成することは、独特の考察を提供する。紙、または不織布ウェブなどの可撓性ウェブとは異なり、蓄積152が重なり合った折り目として形成された場合、蓄積152は、皺、よじれ、またはねじれの影響を受けやすい。蓄積152をねじることなく増大させるために、蓄積152が増大するにつれてワイヤと係合する機械的ガイドアーム、レール、チャネル、または類似の構造体155を利用することが望ましい場合がある。ガイドとしてのこの構造体155は、図7の矢印によって示されるように、増大する蓄積152の方向に、横切るように取り付けられてもよい。構造体155は、開いた状態(例えば、Cチャネル)または閉じた状態(例えば、チューブ)であってもよく、ワイヤがよじれたりねじれたりすることを防止する。
【0044】
図8を参照すると、先端132が、ほぼゼロの所望の相対速度で走行ノーズワイヤ104に導入された後、2つの予備ノーズワイヤ102、及び走行ノーズワイヤ104はスプライシングステーション142で共にスプライシングされる。接着剤の適用、スポット溶接/タッキングなどを含む様々なスプライシングの手段を採用することができる。特定の実施形態では、スプライシング工程は、スプライシングステーション142において、クリンパローラ144を用いて予備ノーズワイヤ102を走行ノーズワイヤ104上にクリンプすることによって行われる。これらのクリンパローラ144はまた、例えば、クランプまたは他の既知のスプライシング装置を用いて先端132を走行ノーズワイヤ104にクリンプするために、コントローラ146によって制御される。
【0045】
スプライシング後、走行ノーズワイヤ104は切断される。図8の実施形態では、クリンパローラ144の下流の切断ローラ145によってこの切断が行われてもよく、切断ローラ145の1つは、上側の、走行中の予備ノーズワイヤ102を切断することなく、下側の走行ノーズワイヤ104を切断する切断ブレードを含む。
【0046】
スプライシングステーション142でのスプライシング工程の後、予備ロール128をインライン動作位置(図5における走行ロール130の位置)に移動させることができ、新たな予備ロールを、次回以降のスプライシング動作のためにステージングすることができる。あるいは、予備ロール128は、再配置されることなく動作ロールになってもよく、新たな予備ロールが、前の走行ロール130の位置にステージングされてもよい。
【0047】
言及したように、スプライシングは、予備ロール128と、走行ノーズワイヤ104との間の製造ライン106に沿って機能的に配置された可動式のスプライシングキャビネット134によって行われる。スプライシングの完了後、スプライシングキャビネット134を製造ライン106から機能的に切り離し、別の場所、すなわち他の製造ラインに移動させることができる。代替実施形態では、スプライシングは、製造ラインによって恒久的に配置されたスプライシング装置によって実施される。
【0048】
スプライシング工程を達成するために、様々な制御及び関連するセンサを利用することができる。例えば、図6図8では、走行ノーズワイヤの搬送速度がコントローラ146と通信するセンサ148によって検出され、検出された搬送速度、及びスプライシング位置から予備ノーズワイヤの先端の距離に基づいて、コントローラ146は予備ロール128、フィードローラ136、及びプライマリフィードローラ138のセットの駆動を制御することができ、これにより、スプライシングのために必要な予備ノーズワイヤ102と走行ノーズワイヤ104との間の相対速度が、ほぼゼロになるように、予備ノーズワイヤ102を搬送速度に近づけることができる。
【0049】
スプライシングを適切に時間合わせするために、特定の実施形態は、走行ノーズワイヤ104の消費状態を検出するステップと、検出された消費状態の関数として、スプライシングのタイミングを調整するステップとを含む。例えば、走行ロール130が、コントローラ146と通信するセンサ150によって決定された所与の検出直径になると、走行ノーズワイヤ104の所定の消費状態でスプライシングシークエンスを開始することができる。
【0050】
上述したように、本発明はまた、本発明の方法に従って、フェイスマスク製造ラインにおいて、予備ノーズワイヤを走行ノーズワイヤにスプライシングするための様々なシステムの実施形態を包含する。このようなシステムの態様は、添付図面に示され、本明細書中にも記載されている。
【0051】
図示及び上述した特定の内容は、本発明の主題の様々な例示的な実施形態を説明及び教示するためのものであり、本発明の限定を意図するものではない。添付した特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲は、当業者が想到可能な改変形態及び変更形態と共に、本明細書に記載した様々な特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションの両方を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8