特許第6599085号(P6599085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599085
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】吸水処理材
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   A01K1/015 B
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-170381(P2014-170381)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-42839(P2016-42839A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148977
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−076408(JP,A)
【文献】 特開2005−087125(JP,A)
【文献】 特開2001−346466(JP,A)
【文献】 特開2013−220381(JP,A)
【文献】 特開平08−182437(JP,A)
【文献】 特開2006−333773(JP,A)
【文献】 特開平10−313894(JP,A)
【文献】 特開平10−262482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸水処理材であって、
紙類を主材料とするとともに、色素材料と吸水時に粘性を有する接着性材料とを含有する複数の粒状体を備え、
前記各粒状体は、前記紙類を主材料とする粒状芯部と、前記粒状芯部を覆う被覆層部とを有し、
前記接着性材料は、前記粒状芯部及び前記被覆層部のうち前記被覆層部にのみ含有されており、
当該吸水処理材が前記液体を吸収すると、前記粒状芯部及び前記被覆層部の双方が崩壊することにより前記複数の粒状体が崩壊し、崩壊した当該複数の粒状体が互いに混合して固まりを形成することを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記紙類は、1mm以下の粒度に粉砕されたものである吸水処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸水処理材において、
前記紙類は、0.5mm以下の粒度に粉砕されたものである吸水処理材。
【請求項4】
請求項3に記載の吸水処理材において、
前記紙類は、0.3mm以下の粒度に粉砕されたものである吸水処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記色素材料は、前記粒状芯部及び前記被覆層部の双方に含有されている吸水処理材。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記色素材料は、前記粒状芯部及び前記被覆層部のうち前記粒状芯部のみに含有されている吸水処理材。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記色素材料は、前記粒状芯部及び前記被覆層部のうち前記被覆層部のみに含有されている吸水処理材。
【請求項8】
請求項1乃至の何れかに記載の吸水処理材において、
当該吸水処理材が前記液体を吸収する前の状態において、前記粒状芯部は、前記被覆層部を通じて視認可能である吸水処理材。
【請求項9】
請求項1乃至の何れかに記載の吸水処理材において、
前記被覆層部を有する前記各粒状体に占める当該被覆層部の重量割合は、1%以上10%未満である吸水処理材。
【請求項10】
請求項1乃至の何れかに記載の吸水処理材において、
前記色素材料は、シリカゲル及び当該シリカゲルに吸着された染料からなる吸水処理材。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の吸水処理材において、
当該吸水処理材が前記液体を吸収する前の状態において、前記色素材料の少なくとも一部が視認可能である吸水処理材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人又は動物の排泄物その他の液体を吸収する吸水処理材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸水処理材の一種である排泄物処理材が記載されている。この排泄物処理材は、核部分と、当該核部分を覆う表層とを備えている。核部分の表面には、溶解した染料からなる着色層が形成されている。表層には、吸水性ポリマーが混入されている。排尿吸収時には、表層中の吸水性ポリマーが膨潤し、その膨潤した吸水性ポリマーを通して着色層の色が視認可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−217663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された排泄物処理材においては、排尿吸収時に着色層の色が視認可能となることにより、当該排泄物処理材の色が変化する。このように使用後の排泄物処理材が発色することは、使用前後の排泄物処理材を視覚的に区別するのに役立つ。
【0005】
しかしながら、この排泄物処理材において、着色層の色は、膨潤した吸水性ポリマーを通じて間接的にしか視認することができない。このことは、使用後の排泄物処理材における発色の鮮明さを低下させる要因となっていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用後に鮮明な発色が得られる吸水処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による吸水処理材は、液体を吸収する吸水処理材であって、紙類を主材料とし、色素材料を含有する複数の粒状体を備え、当該吸水処理材が上記液体を吸収すると、上記複数の粒状体が崩壊し、互いに混合することを特徴とする。
【0008】
この吸水処理材は、色素材料を含有する複数の粒状体を備えている。液体が吸収されると、各粒状体が崩壊し、崩壊した複数の粒状体が互いに混合した状態となる。すなわち、各粒状体が一旦崩壊した上で、複数の粒状体からなる混合物が形成される。この過程で、色素材料は、混合物中の広範囲に拡散することになる。これにより、使用後の吸水処理材においては、色素材料が上記混合物の表面に現れるため、その色素材料の色を直接的に視認することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用後に鮮明な発色が得られる吸水処理材を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
図2図1の吸水処理材が液体を吸収したときの変化を説明するための図である。
図3】一変形例に係る粒状体を示す模式図である。
図4】他の変形例に係る粒状体を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、液体を吸収する吸水処理材であり、複数の粒状体10を備えている。吸水処理材1は、例えば、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材である。
【0013】
各粒状体10は、色素材料20を含有している。色素材料20は、水分と反応して発色又は変色する。色素材料20としては、例えば、染料、顔料、pH指示薬等が挙げられる。染料は、シリカゲルに吸着されたものであってもよい。すなわち、色素材料20は、シリカゲル及び当該シリカゲルに吸着された染料からなっていてもよい。
【0014】
各粒状体10は、紙類を主材料としている。ここで、紙類が粒状体10の主材料であるとは、粒状体10を構成する材料全体の中で紙類の占める重量割合が最も大きいということである。紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。
【0015】
かかる紙類は、1mm以下の粒度(繊維長)に粉砕されている。すなわち、紙類は、スクリーンの目開きが1mm以下である粉砕機を用いて粉砕されたものである。紙類の粒度は、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下である。
【0016】
各粒状体10は、粒状芯部12及び被覆層部14を有している。粒状芯部12は、尿等の液体を吸水及び保水する機能を有する。粒状芯部12は、粒状に成形されている。粒状芯部12の形状としては、例えば、球、楕円体、円柱が挙げられる。粒状芯部12は、紙類を主材料としている。上述の色素材料20は、粒状芯部12及び被覆層部14のうち粒状芯部12のみに含有されている。
【0017】
粒状芯部12は、吸水時に粘性を有する接着性材料を含有する。かかる接着性材料としては、例えば、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、デキストリン、又は吸水性ポリマーを用いることができる。吸水性ポリマーは、平均粒径が20μm以下であることが好ましい。ここで、平均粒径とは、多数の粒子の集合体である吸水性ポリマーを篩にかけたときに、50重量%以上の粒子が通過できる最小の目開きをいう。したがって、平均粒径が20μm以下であるとは、吸水性ポリマーを目開き20μmの篩にかけたときに、50重量%以上の粒子が通過できるということである。粒状芯部12における接着性材料の重量割合は、10%以上であることが好ましい。本実施形態において粒状芯部12は、接着性材料として、平均粒径が20μm以下の吸水性ポリマーを含有する。
【0018】
被覆層部14は、粒状芯部12を覆っている。被覆層部14は、粒状芯部12の表面の全体を覆っていてもよいし、粒状芯部12の表面の一部のみを覆っていてもよい。被覆層部14も、紙類を主材料としている。
【0019】
被覆層部14も、接着性材料を含有する。被覆層部14に含有される接着性材料の重量を1としたとき、粒状芯部12に含有される接着性材料の重量は、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。本実施形態において被覆層部14は、接着性材料として、平均粒径が20μm以下の吸水性ポリマーを含有する。
【0020】
粒状体10に占める被覆層部14の重量割合は、1%以上10%未満であることが好ましく、1%以上5%未満であることがより好ましい。本実施形態においては、吸水処理材1の使用前の状態、すなわち吸水処理材1が液体を吸収する前の状態において、粒状芯部12が被覆層部14を通じて視認可能である。すなわち、粒状芯部12は、被覆層部14によって隠されることなく、被覆層部14を通じて透けて見えている。また、吸水処理材1の使用前の状態において、未反応の色素材料20の少なくとも一部も視認可能となっている。
【0021】
吸水処理材1が液体を吸収すると、複数の粒状体10は、崩壊し、互いに混合する。詳細には、各粒状体10の略全体が崩壊する。つまり、被覆層部14のみならず、粒状芯部12も崩壊する。また、粒状芯部12の一部ではなく、その略全体が崩壊する。崩壊した複数の粒状体10は、互いに混合し、泥状の固まりである混合物を形成する。この混合物においては、もはや個々の粒状体10を区別することができない。
【0022】
吸水処理材1の効果を説明する。吸水処理材1は、色素材料20を含有する複数の粒状体10を備えている。液体が吸収されると、図2に示すように、各粒状体10が崩壊し、崩壊した複数の粒状体10が互いに混合した状態となる。すなわち、各粒状体10が一旦崩壊した上で、複数の粒状体10からなる混合物30が形成される。この過程で、色素材料20は、上記液体と反応しつつ、混合物30中の広範囲に拡散することになる。これにより、使用後の吸水処理材1においては、液体と反応した色素材料20が混合物30の表面に現れるため、その色素材料20の色を直接的に視認することができる。したがって、使用後に鮮明な発色が得られる吸水処理材1が実現されている。
【0023】
これに対し、色素材料を含有する従来の吸水処理材においては、液体が吸収されても、粒状体は崩壊せず、粒状の形状が維持される。このことは、色素材料が粒状体中の広範囲に拡散することの妨げとなる。そのため、使用後の吸水処理材において、表面に現れる色素材料は皆無あるいは極僅かであり、その色を直接的に視認することは困難である。このことが、従来の吸水処理材において使用後の発色の鮮明さを低下させる要因となっていた。この点、本実施形態によれば、液体吸収時の粒状体10の崩壊に伴って色素材料20が拡散することにより、当該色素材料20の一部が吸水処理材1(混合物30)の表面に現れて直接的に視認可能となるため、かかる問題を解消することができる。
【0024】
色素材料20がシリカゲル及び当該シリカゲルに吸着された染料からなる場合、吸水処理材1の使用前(特に製造工程)において、色素材料20が水分と反応してしまうのを抑制することができる。シリカゲルに吸着されていることにより、染料が粒状芯部12中の水分と接触しにくくなるからである。
【0025】
吸水処理材1の使用前の状態において、未反応の色素材料20の少なくとも一部は、視認可能である。すなわち、使用前の吸水処理材1においては、未反応の色素材料20が点在して見える。このことは、吸水処理材1の美観の向上に資する。
【0026】
ところで、使用後の吸水処理材を処分する場合、水洗トイレに流して処分することができれば、ユーザにとって便利である。使用後の吸水処理材を水洗トイレに流して処分するには、当該吸水処理材が充分な水解性(水と接触することにより、結合した繊維や粒子が速やかに分離し、水中に分散する性質)を有することが必要である。ところが、紙類を主材料とする従来の吸水処理材においては、紙類を構成する比較的長い繊維(パルプ)どうしが絡み合って解けにくくなっており、それが水解性の向上を妨げる要因となっていた。
【0027】
この点、本実施形態においては、上述のとおり、各粒状体10が一旦崩壊した上で、複数の粒状体10からなる混合物30が形成される。これにより、混合物30においては、紙類を構成する繊維どうしの絡み合いが少なく、解けやすくなっている。このため、水解性に優れた吸水処理材1が実現されている。
【0028】
粒状体10の主材料である紙類は、1mm以下の粒度に粉砕されている。このように紙類を細かく粉砕することにより、紙類を構成する繊維どうしが解けやすくなり、吸水処理材1の水解性を向上させることができる。かかる観点から、紙類は、0.5mm以下の粒度に粉砕されていることが好ましく、0.3mm以下の粒度に粉砕されていることがより好ましい。
【0029】
吸水処理材1においては、粒状芯部12及び被覆層部14の双方が崩壊する。このため、複数の粒状体10の塊状化(固まりの形成)には、これらの崩壊した粒状芯部12及び被覆層部14双方の粘性が寄与する。それゆえ、吸水処理材1は、専ら被覆層部の粘性が塊状化に寄与する従来の吸水処理材に比して、固まり強度の面でも優れている。
【0030】
このように吸水処理材1においては、粒状芯部12及び被覆層部14が相俟って塊状化に寄与するため、被覆層部14を薄く形成しても充分な固まり強度が得られる。被覆層部14を薄くすることは、材料の調達コストひいては吸水処理材1の製造コストの削減に資する。かかる観点から、粒状体10に占める被覆層部14の重量割合は、好ましくは1%以上10%未満、より好ましくは1%以上5%未満とされる。
【0031】
粒状芯部12は、接着性材料を含有している。これにより、吸水処理材1が液体を吸収したときに、複数の粒状体10が塊状化するのを促進することができる。同様に、被覆層部14も、接着性材料を含有している。これにより、複数の粒状体10が塊状化するのを一層促進することができる。
【0032】
このように塊状化を促進するという観点から、粒状芯部12における接着性材料の重量割合は、10%以上であることが好ましい。同様の観点から、被覆層部14に含有される接着性材料の重量を1としたとき、粒状芯部12に含有される接着性材料の重量は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上とされる。
【0033】
粒状芯部12及び被覆層部14は、接着性材料として吸水性ポリマーを含有している。吸水性ポリマーは液体吸水時に膨潤する性質を有するところ、吸水性ポリマーが膨潤すると、色素材料が粒状体10の広範囲に拡散しにくくなる。このため、吸水性ポリマーの膨潤は、使用後の吸水処理材1における発色の鮮明さを低下させる要因となる。この点、吸水性ポリマーは、微細に粉砕されることにより、液体吸収時の膨潤が抑制される。したがって、吸水性ポリマーの膨潤を抑えるため、粒状芯部12及び被覆層部14に含有される吸水性ポリマーの平均粒径は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
【0034】
また、吸水性ポリマーが膨潤すると、液体が粒状体10の全体に行き渡りにくくなる。このため、吸水性ポリマーの膨潤は、粒状体10の崩壊性、ひいては吸水処理材1の水解性を低下させる要因となる。したがって、平均粒径の小さい吸水性ポリマーを用いることは、粒状体10の崩壊性及び吸水処理材1の水解性の向上にも資する。
【0035】
続いて、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、造粒工程、被覆工程、分粒工程、及び乾燥工程を含んでいる。
【0036】
造粒工程においては、粒状芯部12を構成する材料(芯部材料)を粉砕機で所定の大きさに粉砕し、当該粉砕された芯部材料を色素材料20と共に所定の割合でミキサーに投入して混ぜ合わせる。そして、加水した後、当該芯部材料を造粒機によって押出造粒する。このとき、液体吸収時に崩壊しやすい粒状芯部12を得るために、造粒時の芯部材料に加わる圧縮力が小さくなるようにすることが好ましい。例えば、造粒機のダイスの厚みを小さくすることにより、芯部材料に加わる圧縮力を小さくすることができる。これにより、粒状芯部12が得られる。
【0037】
被覆工程においては、コーティング装置等を用いて、粒状芯部12の周囲に、被覆層部14を構成する材料(被覆材料)を付着させる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。これにより、被覆層部14が得られる。
【0038】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させる。これにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみが抽出される。
【0039】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。乾燥により、粒状芯部12の含水率を適宜調整する。これにより、粒状芯部12の水分が被覆層部14に遷移して吸水能力が低下してしまうのを防ぐとともに、吸水処理材1の保存時にカビ等が発生するのを防ぐことができる。
【0040】
本発明による吸水処理材は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、粒状芯部12及び被覆層部14のうち粒状芯部12のみに色素材料20が含有された例を示した。しかし、色素材料20は、図3に示すように、粒状芯部12及び被覆層部14のうち被覆層部14のみに含有されていてもよい。
【0041】
また、色素材料20は、図4に示すように、粒状芯部12及び被覆層部14の双方に含有されていてもよい。その場合、粒状芯部12に含有される色素材料20と被覆層部14に含有される色素材料20とは、相異なる色に発色又は変色してもよい。それにより、吸水処理材1が液体を吸収したときに、それらの色の混色を呈するようにすることができる。例えば、粒状芯部12及び被覆層部14に含有される色素材料として、それぞれ青色及び黄色に発色等するものを用いることにより、液体を吸収した吸水処理材1が緑色を呈するようにすることができる。
【0042】
上記実施形態においては、全ての粒状体10に色素材料20が含有された例を示した。しかし、複数の粒状体10において、色素材料20を含有する粒状体10と、含有しない粒状体10とが混在していてもよい。つまり、複数の粒状体10のうち一部のみが、色素材料20を含有する構成であってもよい。
【0043】
上記実施形態においては、粒状芯部12及び被覆層部14の双方に接着性材料が含有された例を示した。しかし、粒状芯部12及び被覆層部14の双方が接着性材料を含有することは、必須でない。粒状芯部12及び被覆層部14のうち被覆層部14のみが接着性材料を含有していてもよい。
【0044】
上記実施形態においては、粒状芯部12及び被覆層部14からなる複層構造の粒状体10を示した。しかし、被覆層部14を設けることは、必須でない。すなわち、粒状体10は、粒状芯部12のみからなる単層構造であってもよい。
【0045】
また、複数の粒状体10において、粒状芯部12及び被覆層部14からなる複層構造の粒状体10と、粒状芯部12のみからなる単層構造の粒状体10とが混在していてもよい。つまり、複数の粒状体10のうち一部のみが、粒状芯部12及び被覆層部14を有する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 吸水処理材
10 粒状体
12 粒状芯部
14 被覆層部
20 色素材料
30 混合物
図1
図2
図3
図4