特許第6599096号(P6599096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599096
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ろ過池の洗浄方法および水処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/46 20060101AFI20191021BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20191021BHJP
   B01D 24/02 20060101ALI20191021BHJP
   B01D 29/62 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   B01D23/24 A
   B01D23/16
   B01D23/24 Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-237439(P2014-237439)
(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-97370(P2016-97370A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山川 岳志
(72)【発明者】
【氏名】鹿島田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】坂下 大地
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−023664(JP,A)
【文献】 特開平01−262907(JP,A)
【文献】 特開昭57−048312(JP,A)
【文献】 特開2003−200007(JP,A)
【文献】 特開昭53−007874(JP,A)
【文献】 特開平08−196813(JP,A)
【文献】 特開2015−188880(JP,A)
【文献】 特開2003−275782(JP,A)
【文献】 特開平04−200604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00−48
B01D 29/62
C02F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過池のろ層を構成する複数のろ材に少なくとも砂が含まれている浄水用ろ過池の洗浄方法であって、
空気洗浄と水を用いた逆流洗浄を併用して前記ろ層の内部まで侵入した懸濁物を除去するための併用洗浄を実施した後に、ろ過処理を行い、該ろ過処理後に、次の該併用洗浄を実施することを含み、
前記併用洗浄を実施した後、次の該併用洗浄が実施されるまでのろ過継続時間の間に、空気洗浄を行わずに水を用いた逆流洗浄のみの洗浄を行うことを特徴とするろ過池の洗浄方法。
【請求項2】
前記併用洗浄を実施した後、次の該併用洗浄を実施するまでの間隔が800時間以内であることを特徴とする、請求項1に記載のろ過池の洗浄方法。
【請求項3】
予定したろ過継続時間よりも短い時間で、ろ過池内の水位がろ過の可能な限界水位に到達したときに、空気洗浄を行わずに水を用いた逆流洗浄のみの洗浄を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載のろ過池の洗浄方法。
【請求項4】
前記併用洗浄が、以下の(1)〜(3)のいずれかの処理を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のろ過池の洗浄方法。
(1)前記空気洗浄を行った後に前記水を用いた逆流洗浄を行う処理、
(2)前記空気洗浄と前記水を用いた逆流洗浄とを同時に行う空気・水同時洗浄の後に、水を用いた逆流洗浄を行う処理、
(3)前記空気洗浄を行った後に、前記空気・水同時洗浄を行い、その後に水を用いた逆流洗浄を行う処理。
【請求項5】
浄水用ろ過池のろ層として複数のろ材を備え、前記ろ材に少なくとも砂が含まれているろ層に、空気を吹き込んで空気洗浄を行う空気洗浄手段と、
前記ろ層に対し、水を用いた逆流洗浄を行う水洗浄手段と、
前記空気洗浄と水を用いた逆流洗浄を併用して前記ろ層の内部まで侵入した懸濁物を除去するための併用洗浄を行うか、あるいは、該併用洗浄後、次の該併用洗浄を実施するまでのろ過継続時間のに水を用いた逆流洗浄のみの洗浄を行うかを選択可能な制御を行う制御部を有することを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
ろ過水渠と、排水流出部と、ろ過池内の水を該排水流出部に導く排水サイフォン管と、を備えたろ過池の水処理装置において、
前記ろ過池内に設けられ、ろ層を構成する複数のろ材に少なくとも砂が含まれているろ層と、
前記ろ過池に設けられ、外部の空気を空気供給管を介して前記ろ層に空気を吹き込んで前記ろ層の空気洗浄を行う空気洗浄手段と、
前記排水サイフォン管を介して前記ろ過池内の水を前記排水流出部に流すことにより前記ろ過池でろ過された前記ろ過水渠内のろ過水を逆流させ、前記ろ層に対し、水を用いた逆流洗浄を行う水洗浄手段と、
前記空気洗浄手段の空気供給管の通気及び前記排水サイフォン管の通水を制御して、前記空気洗浄と前記水を用いた逆流洗浄を併用して前記ろ層の内部まで侵入した懸濁物を除去するための併用洗浄を行うか、あるいは、該併用洗浄後、次の該併用洗浄を実施するまでのろ過継続時間の間に水を用いた逆流洗浄のみの洗浄を行うかを選択可能な制御を行う制御部と、
を有することを特徴とするろ過池の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はろ過池の洗浄方法および水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場におけるろ過池において、洗浄はろ過水質を確保する上で非常に重要な項目である。
一般的に逆洗が行われるタイミングは、浄水場がこれまでの運用経験に基づいて、あるいは浄水場の水道水生産計画に基づいて定めた「ろ過継続時間」終了後、あるいは、ろ過池内水位が規定値に到達した時点である(この洗浄を「ろ抗洗浄」という)。
これまでの浄水場では、前記2種類の洗浄タイミングのどちらか、あるいは両方を併用することで運用されてきた。しかし、近年目立ってきた自然及び社会環境の変化によって、従来の運用方法のままでは問題が生じる可能性が出てきた。
下記に浄水場を取巻く自然及び社会環境の変化を述べる。
【0003】
・自然環境の変化
近年は、ゲリラ豪雨などの突発的に起きる集中豪雨が問題となっている。ゲリラ豪雨は、河川水の急激な水質悪化(濁度上昇)を引き起こすため、特に表流水を水源とする浄水場では原水水質が急激に悪化することとなる。ゲリラ豪雨の場合は水質変化が急激であるため、混和池における凝集条件の変更(薬品注入率など)が間に合わずに、濁質が沈殿池をキャリーオーバーして、ろ過池に負担を掛けることが想定される。その結果、通常時の運用であれば、まだろ過を継続することが可能だったろ過池が、流入した濁質で閉塞してろ過池内の水位が上昇し、ろ過を継続できなくなることとなる。浄水場において、予定外の急激なろ過池の閉塞は、計画的な水道水生産の上では好ましくない。逆洗に入ると、当該ろ過池は水道水を生産できなくなり、さらに生産した水道水の一部が逆洗に使用されるため、水道水の生産計画に大きな支障を来たすこととなるためである。
【0004】
・社会環境の変化
上水道事業において近年顕著に現れてきた(あるいは声高に予想される)傾向として、節水意識の高まり、節水器具の普及及び人口減少などの原因による長期的な水道料金収入の低迷がある。この事業環境の中で、将来に渡って安定した上水道事業を継続して行くには、浄水場の効率的な運用で水道水製造単価を下げることが肝要であり、その必要性は今後さらに高まってくる。例えば、ろ過池における効率的な運用方法の一つに、逆洗方法及び頻度の最適化が挙げられる。ろ過池の逆洗は、安全なろ過水質の確保のために、ろ過水質が悪化する前に行われることが一般的であり、その頻度及び方法は「最適」よりも「確実に安全なろ過水質を得るために最適よりはやや過剰」になる傾向がある。
前記の事業環境の中で上水道事業を安定的に継続して行くためには、逆洗頻度及び方法の最適化は今後必要となってくる。
下廃水分野におけるろ過池の洗浄方法としては、例えば特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2014−070870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の自然及び社会環境の変化に伴って、これからの浄水場には(1)急激な原水水質の悪化によって予定外のろ過池の閉塞が生じても水道水生産計画への影響を最小限に抑えることができ、また、(2)浄水場の効率的な運用に資することができる逆洗方法が必要となるが、現状それらを満たすろ過池の逆洗方法は存在しない。本発明では、それを満たす簡便な逆洗方法およびそれを実施することができる水処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を鑑みて成されたものである。
本発明は、ろ層を構成するろ材に少なくとも砂が含まれている浄水用ろ過池の洗浄方法であって、空気洗浄と水洗浄を併用する洗浄を実施した後、次の該併用洗浄を実施するまでの間に、空気洗浄を行わずに水洗浄のみの洗浄を行うことを特徴とするろ過池の洗浄方法である。
このような洗浄方法を、以下では「本発明の方法」ともいう。
【0008】
本発明の方法は、空気洗浄と水洗浄を併用する洗浄を実施した後、次の該併用洗浄を実施するまでの間隔が800時間以内であることが好ましい。
【0009】
本発明の方法は、予定したろ過継続時間よりも短い時間で、ろ過池内の水位がろ過の可能な限界水位に到達したときに、空気洗浄を行わずに水洗浄のみの洗浄を行うことが好ましい。
【0010】
本発明の方法は、前記ろ過池のろ層が複数のろ材で構成されていることが好ましい。
ここで、複数のろ材とは、材質が複数であっても良いし、粒径が複数であっても、その混合であっても良い。
【0011】
また、本発明は、ろ層を構成するろ材に少なくとも砂が含まれているろ層に、空気を吹き込んで空気洗浄を行う空気洗浄手段と水洗を行う水洗浄手段を有する水処理装置であって、空気洗浄と水洗浄を併用する洗浄か、あるいは、水洗浄のみの洗浄かを選択可能な制御を行う制御部を有することを特徴とする水処理装置である。
このような水処理装置を、以下では「本発明の装置」ともいう。
【0012】
本発明の装置は、前記制御部はろ過池内の水位が、予定したろ過継続時間よりも短い時間で、ろ過が可能な限界水位に到達したときに、空気洗浄を行わずに水洗浄のみを行う制御を選択することを可能とした制御部であることを特徴とすることが好ましい。
【0013】
以下において、単に「本発明」と記す場合、本発明の方法と本発明の装置との両方を意味するものとする。
【0014】
本発明者らは鋭意研究を進めた結果、通常の洗浄方法として空気洗浄と水洗浄を併用するろ過池において、空気洗浄と水洗浄を併用する洗浄と、空気洗浄と水洗浄を併用する洗浄との間に、空気洗浄を行わずに、水洗浄のみで洗浄を実施しても、ろ過水質及びろ抗の推移に直ちには影響を与えないことを見出した。これは、通常用いる洗浄方法よりも簡略化した洗浄でも、ある一定期間は、ろ過池の機能を維持できることを示している。そのため、上記の課題の解決手段として用いることが可能となった。
ここで、本発明における「空気洗浄と水洗浄の併用」とは、空気と水を同時に使用した洗浄のことのみならず、1回の洗浄の中で、空気洗浄と水洗浄を行うことも「空気洗浄と水洗浄の併用」である。すなわち、1回の洗浄の中で、空気洗浄を行って、その後に水洗浄を行う場合も空気洗浄と水洗浄の併用であるし、空気と水を同時に使用する空気・水同時洗浄の後に、水洗浄を行うことも空気洗浄と水洗浄の併用である。また、空気洗浄を行った後に、空気・水同時洗浄を行い、その後に水洗浄を行うことも空気洗浄と水洗浄の併用である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のろ過池の洗浄方法を用いると、下記の効果を得ることができる。
ろ過池の洗浄方法には、一般的に逆流洗浄(本発明では、逆流洗浄と水洗浄は同義で用いている)と表面洗浄を組み合わせる方法、逆流洗浄と空気洗浄を組み合わせる方法がある。例えばろ材の粒径が比較的大きいアンスラサイトを用いた複層ろ過方式では、ろ層の内部まで侵入した懸濁物を除去するために、逆流洗浄と空気洗浄を併用する例が多い。
【0016】
通常、空気洗浄工程を有する洗浄の場合、空気洗浄によるろ材の流出を防ぐために、空気洗浄の前に排水トラフまで池内水位を下げる排水工程が必要となる(この間は、洗浄を行う前の待機時間であり、ろ過池の洗浄は行われていない。この間は、洗浄もろ過も行われていないため、ろ過池にとっては完全な時間のロスとなる)。特に、ろ層の閉塞によって、ろ過が可能な限界の水位まで到達したろ過池内の水を排水するためには多くの時間を必要とする。これは原水の急激な悪化による予定外のろ過池洗浄を行う場合には、重大な時間のロスとなる。予定外のろ過池の洗浄の場合には、早期に洗浄を終了して、速やかに水道水の生産に移行し、水道水生産計画への影響を最小限に抑えることが求められるためである。
【0017】
一方で、本発明を用いて予定外の洗浄を行うと、通常洗浄であれば空気洗浄と水洗浄を行うところを、多くの排水時間を要する空気洗浄工程を省略して水洗浄のみを行うために、早期のろ過工程への復帰が可能となり、水道水生産計画への影響を最小限に抑えることが可能となる。具体的には、例えば、自然平衡型ろ過池の場合、排水サイフォンで排水するにしたがって自然に逆洗が開始されるので、排水トラフ下まで完全に排水をしないと洗浄を開始できない空気洗浄に比べて、早期に洗浄を開始できる。
空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を行うろ過池において、毎回の洗浄で空気洗浄を行わなくてもろ層の再生が可能であること、またろ過水濁度においても空気洗浄と水洗浄を併用した場合と変わらない水質を得られることを発明者らは確認している(後述する実施例1)。そのため、浄水場の効率化を達成するための洗浄及び予定外の洗浄に本発明の適用が可能となる。ただし、空気洗浄を行わない洗浄は、その後のろ過水質及びろ抗推移に直ちに影響を与えないが、空気洗浄を行わない洗浄の回数を重ねて行くにつれて、徐々に空気洗浄でしか除去できない濁質がろ層に蓄積されるため、適宜空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を行うことが必要である。
【0018】
また、本発明の方法を用いると、ろ過池の稼働率(全時間に占めるろ過している時間の割合)、水回収率(ろ過池に流入した水量のうち、ろ過水として回収できた水量の割合。このとき、水洗浄用に使用したろ過水は回収できた水量から除く)が向上することでランニングコストの削減ができるため、浄水場の効率的な運用に貢献することができる。具体的に削減できるランニングコストは、空気洗浄で使用するブロワの電力費や空気洗浄前に水位を降下させる際に発生する捨水を着水井に返送する排水返送ポンプの電力量の他、ろ過池の稼働率が向上することで一日で生産できるろ過水量が増加して浄水場の効率が上がり、結果として水道水製造単価を低減することができる。
【0019】
さらには、原水の一時的な悪化ではない原因で、予定外の洗浄が必要となり、かつ水道水の生産量を減らせないときに、本発明のろ過池の洗浄方法を用いると、空気洗浄と水洗浄を併用する場合と比べて短時間でろ層の再生が可能となり、早期に水道水の生産を復旧させることができる。
【0020】
さらに、空気洗浄方式の課題として、ろ材の流出が多いこと、すなわち、空気洗浄時にろ層に吹き込まれ、そのまま、ろ層内に滞留した空気が水洗浄時に流出し、ろ材を巻き上げて越流することが挙げられる。しかし、本発明を用いると、ろ材が流出するリスクを大幅に軽減して、ろ材(アンスラサイト等)の補充頻度及び補充量を低減するとともに、排水池底部に滞留した、流出ろ材の浚渫作業の頻度を低減でき、その結果、労務費や産業廃棄物処理費の削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の装置の好適態様を説明するための概念図である。
図2】本発明の装置の好適態様における制御フローを説明するための図である。
図3】本発明の装置の好適態様における別の制御フローを説明するための図である。
図4】本発明の装置の好適態様を説明するための別の概念図である。
図5】実験装置を説明するための概念図である。
図6】実験結果を示すグラフである。
図7】実験結果を示す別のグラフである。
図8】実験結果を示すさらに別のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の装置について、好適例を挙げて説明する。
図1は、本発明の装置の好適態様を示す概略断面図である。
図1において本発明の装置80は自然平衡型ろ過装置であり、沈殿池(図示せず)から延びる流入渠1と、この流入渠1の下方に配置されて水をろ過処理するろ過池2と、ろ過池2を通過したろ過水が流れ込むろ過水渠3と、ろ過池2に隣接して設置された排水流出部4とを有している。
【0023】
流入渠1の内部には、垂直堰5と溢流堰6が設けられていると共に、この垂直堰5を跨いで逆U宇状の流入サイフォン管7が配置される。この流入サイフォン管7の両端部は、水没させた状態におかれている。そして、この流入サイフォン管7の頂部には、流入サイフォン形成弁11と流入サイフォン破壊弁12とを有する流入サイフォン形成管10が連結される。流入サイフォン形成弁11は、図示しない真空ポンプなどの真空源に接続されている。
【0024】
流入サイフォン形成弁11を開き、流入サイフォン破壊弁12を閉じると、流入サイフォン管7内が真空状態となって、この内部を水が流れ、溢流堰6を溢流した水が流入管8を通じてろ過池2内に流れ込む。流入サイフォン形成弁11を閉じた状態で、流入サイフォン破壊弁12を開くと、流入サイフォン管7内が大気圧状態になって、この内部の水流が失われ、流入渠1内の水は、垂直堰5と溢流堰6に堰き止められるようになっている。
なお、流入サイフォン形成弁11および流入サイフォン破壊弁12の開閉は、制御部15によって制御される。
【0025】
ろ過池2は、仕切壁20によって排水室21とろ過室22とに仕切られる。ろ過室22の内部には、排水室21に連通する逆洗排水トラフ30と、ろ材(例えば、アンスラサイトや珪砂)からなるろ材層40が設けられ、このろ材層40の下部に集水装置41が配置される。集水装置41は、ろ材層40を通過したろ過水を通水するための装置であり、集水装置41として、有孔ブロック型、ストレーナ型、多孔管型、多孔板型などの各種集水装置を用いることができる。
【0026】
また、ろ過池2は空気洗浄手段71を有している。空気洗浄手段71は空洗ブロワ、空気供給管、バルブ、散気部材等を含み、バルブを開けてブロワを駆動することで、外部の空気を、空気供給管を通じて散気部材からろ過池2内へ供給して、ろ材層40を洗浄できるように構成されている。散気部材として最も採用される場合が多いのは空気洗浄用の有孔ブロックで、多孔管型の場合もある。なお、空洗ブロワの駆動およびバルブの開閉は制御部15によって制御される。
【0027】
このろ過池2は、そのろ材層40の下方において、ろ過水渠3に連通する。また、集水装置41とろ過水渠3と繋ぐ流路に連通弁72が配置されている。この連通弁72によって集水装置41とろ過水渠3と繋ぐ流路の開閉を行うことが可能であり、また、開度を変更して流量を調整することもできるように構成されている。また、連通弁72は開閉台の上に設置されたモータ74の作用によって動作可能に構成されている。モータ74の動作は制御部15によって制御されており、ろ過処理を行っている時は、連通弁72は全開とされる。
そして、ろ過水渠3は、ろ過水溢流堰45を介してろ過水流出路46に連通する。
【0028】
上記したように流入サイフォン管7を動作させることにより、流入管8からろ過池2内に水が流れ込み、当該流入水でろ過池2内の水位は上昇していく。そして、ろ過池2内の水位がろ過水溢流堰45よりも高い位置に達した時にろ過が開始される。水はろ材層40および集水装置41を通過し、ろ過水渠3に流入する。ろ材層40でろ過されたろ過水は、ろ過水溢流堰45を溢流して、ろ過水流出路46から外部に流出する。
【0029】
このような本発明の装置80におけるろ材層40の水洗浄による洗浄について説明する。ろ過池2の排水室21と排水流出部4は、排水手段である逆U字状の排水サイフォン管50で繋がれており、この排水サイフォン管50の両端部は水没するようになっている。そして、排水サイフォン管50の頂部に、排水サイフォン形成弁61と排水サイフォン破壊弁62とを有する排水サイフォン形成管60が連結される。排水サイフォン形成弁61は、図示しない真空ポンプなどの真空源に接続されている。また、排水サイフォン形成弁61および排水サイフォン破壊弁62の開閉は、制御部15によって制御される。
【0030】
排水サイフォン形成弁61を開き、排水サイフォン破壊弁62を閉じると、排水サイフォン管50内が真空状態となって、この内部をろ過池2内の水が流れ、排水流出部4に導かれる。ろ過池2内の水を排水流出部4に導くことにより、一且ろ過したろ過水渠3内のろ過水が逆流する。ここで連通弁72の開度を調整して、逆流洗浄水の流量を調整することができる。
【0031】
これにより逆流するろ過水がろ材層40の内部を通過し、当該逆流水は、逆洗排水トラフ30、排水室21、および排水サイフォン管50を通って排水流出部4内に導入される。このようにして、ろ材層40の逆流洗浄が行われる。排水サイフォン形成弁61を閉じた状態で、排水サイフォン破壊弁62を開くと、排水サイフォン管50内が大気圧状態になって、このろ過水の流れが失われる。排水流出部4に導入された排水は、排水流出渠9から外部に排水される。
【0032】
このような本発明の装置80において制御部15は、空気洗浄を行わずに水洗浄のみを行う制御を行うことができる。
制御部15における制御フローについて、図2に好適例を挙げて説明する。
制御部15では、ろ過を開始する際にろ過タイマーをリセットし、タイマーの積算を始め、また、水洗浄のみの洗浄カウンターの積算を始める(S1)。ここでろ過タイマーおよび水洗浄のみの洗浄カウンターの設定値は任意に定めることができ、処理対象水(原水)の種類等によって適した値を設定する。ここで、水洗浄のみの洗浄カウンターは、回数をカウントする。
そして、ろ過が進行し(S2)、ろ過タイマーの積算時間が設定時間に達した場合(S3、Yes)、水洗浄のみの洗浄カウンターが設定値に達したか否かを判断する(S4)。そして、水洗浄のみの洗浄カウンターが設定値に達した場合(S4、Yes)、空気洗浄と水洗浄の併用洗浄を行い(S5)、その後、初め(S1)に戻る。一方、水洗浄のみの洗浄カウンターが設定値に達していない場合(S4、No)、水洗浄のみの洗浄を行い(S6)、その後、水洗浄のみの洗浄のカウンターを+1とし、ろ過タイマーをリセットして(S7)、ろ過工程(S2)へ戻る。
制御部15は、例えばこのような制御フローを備えるので、空気洗浄を行わない制御を行うことができる。
【0033】
また制御部15は、予定したろ過継続時間よりも短い時間で、ろ過池内の水位がろ過継続が可能な限界の水位に到達した場合に、空気洗浄を行わずに水洗浄のみを行う制御をすることが好ましい。
このような制御を行うことができる制御部15の制御フローについて、図3に好適例を挙げて説明する。
制御部15では、ろ過を開始する際にろ過タイマーをリセットし、タイマーの積算を始める(S11)。ここでろ過タイマーの設定時間は任意に定めることができ、処理対象水(原水)の種類等によって適した時間を設定する。
そして、ろ過が進行し(S12)、ろ過タイマーのカウントが設定時間に達した場合(S13、Yes)、空気洗浄と水洗浄の併用洗浄を行い(S14)、初め(S11)に戻る。また、ろ過タイマーのカウントが設定時間に達していない場合(S13、No)は、池内水位がろ過可能限界水位に達したか否かをチェックし(S15)、達していない場合(No)はろ過工程を継続し、達した場合(Yes)は水洗のみの水洗浄を行い(S16)、初め(S11)へ戻る。
制御部15がこのような制御フローを備えると、予定したろ過継続時間よりも短い時間で、池内水位がろ過可能限界水位に到達した場合に、空気洗浄を行わずに水洗浄のみを行う制御を行うことができて好ましい。
【0034】
本発明の装置について、別の好適例を挙げて説明する。
図4は、本発明の装置の別の好適態様を示す概略断面図である。
図4において本発明の装置81は、ろ層82に処理対象水(原水83)を通過させてろ過するバルブ式ろ過装置であって、汚濁物質を除去するろ材84と、ろ材84を支える支持層85と、その下方に配置される集水装置86と、ろ層の洗浄を行うための水洗浄手段87および空気洗浄手段88と、制御部89とを備える。
【0035】
ここで、ろ層82はろ材84(例えば、アンスラサイトや珪砂)が処理槽90内に充填されてなるものであり、支持層85は細かい砂利等が処理槽90内に充填されてなるものである。また、支持層85の下部に配置される集水装置86は、ろ層82を通過したろ過水を通水するための装置である。集水装置として有孔ブロック型、ストレーナ型、多孔管型、多孔板型などの各種集水装置を用いることができる。また、集水装置86には後述する水洗浄手段87および空気洗浄手段88が接続されている。
【0036】
そして、処理槽90内へ、その上部から原水供給管91を通じて原水83を供給し、下降流にて、その内部に充填されたろ材84からなるろ層82を通過させることによってろ過し、下部から処理水92として流出するように構成されている。また、排水は排水弁および配管を含む排水手段93から排出されるように構成されている。なお、排水弁の開閉は制御部89によって制御される。
【0037】
水洗浄手段87は、逆洗部材、逆洗用弁、洗浄水供給管および逆洗ポンプを備える。逆洗部材は多くの場合、集水装置86であって、洗浄水供給管を介して逆洗ポンプと繋がっていて、逆洗用弁を開け、逆洗ポンプを駆動させることで、外部から洗浄水を洗浄水供給管を通じて、逆洗部材から処理槽90内へ供給して、ろ材84を洗浄できるように構成されている。
【0038】
空気洗浄手段88は、散気部材、空洗用空気弁、空気供給管および空洗ブロワを備える。散気部材は多くの場合、集水装置86であって、空気供給管を介して空洗ブロワと繋がっていて、空洗用空気弁を開け、空洗ブロワを駆動することで、外部の空気を空気供給管を通じて、散気部材から処理槽90内へ供給して、ろ材84を洗浄できるように構成されている。
【0039】
制御部89は、空気洗浄手段88における空洗ブロワおよび水洗浄手段87における逆洗ポンプの駆動または停止、ならびに各弁の開閉を制御することができるように構成されている。
【0040】
このような本発明の装置81において制御部89は、空気洗浄を省略する制御を行うことができる。
制御部89における制御フローは、前述の図2を用いて説明した好適例と同様であってよい。
【0041】
また制御部89は、ろ過池内の水位がろ過の可能な限界の水位に到達した場合に、空気洗浄を省略した水洗浄のみを行う制御をすることが好ましい。
このような制御を行うことができる制御部15は前述の図3を用いて説明した好適例と同様であってよい。
【0042】
本発明は、主に凝集沈殿池の後に設置される、通常の急速ろ過池において使用されるが、オゾンや活性炭吸着池を通した後に設置される後ろ過池で使用することも可能である。後ろ過池の場合は、前段の処理で大部分の濁質が除去されているため、濁質負荷が低い。このように濁質負荷が低いろ過池において、本発明は更に効果を発揮する。濁質負荷が低いため、毎回の洗浄で空気洗浄と水洗浄を併用する洗浄を行わなくても、十分にろ層の再生が可能なためである。
本発明は、重力式のろ過装置に限らず、圧力式のろ過装置に用いても良い。
【0043】
次に本発明の方法について説明する。
図1図4に好適態様を挙げて説明した本発明の装置を用いると、水道水を生産するためのろ過池の洗浄方法であって、空気洗浄と水洗浄を併用する洗浄を実施した後、次の該併用洗浄を実施するまでの間に、空気洗浄を行わずに水洗浄のみの洗浄を行うことができる。すなわち、本発明の方法を行うことができる。
【0044】
また、本発明の方法では、通常の洗浄として、空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を実施した後、次の空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を実施するまでの間隔を800時間以内とすることが好ましい。この間隔は24〜240時間とすることがより好ましい。
【0045】
さらに、本発明の方法では、予定したろ過継続時間よりも短い時間で、ろ過池内の水位がろ過の可能な限界の水位に到達した場合に、水洗浄のみの洗浄を行うことが好ましい。このような好ましい本発明の方法は、図3に示したフローの制御を行うことができる制御部を備える本発明の装置を用いて実施することができる。
【0046】
本発明において、水洗時間は、ろ層内から効率よく濁質を排出できる時間を任意に設定すれば良く、制限はないが、洗浄効率と洗浄排水量の兼ね合いから、通水する洗浄水高さが、好ましくはろ層高さの最大20倍、より好ましくは5.1〜15.3倍、さらに好ましくは、6.9〜13.2倍である。そして、洗浄排水の排出部の位置関係も考慮して洗浄時間を決定すると良い。ここで、洗浄水高さは洗浄LVに洗浄時間を乗じることで求められる。
【0047】
また、水洗浄を行うときの通常洗浄の線速度は最大2.0m/minであることが好ましく、0.3〜0.9m/minであることがより好ましく、0.6〜0.8m/minであることがさらに好ましい。さらに通常洗浄水の後には、剥離した濁度をすすぎだすためのスローダウン洗浄を行うことが望ましい。スローダウン洗浄は、通常洗浄より遅い速度で洗浄する。線速度は、最大0.3m/minであることが望ましく、0.1〜0.2m/minであることがさらに好ましい。
【0048】
また、水洗浄を行うときの洗浄時間は0〜20分であることが好ましく、5〜10分であることがより好ましく、5〜8分であることがさらに好ましい。
【0049】
水洗浄は定期的に行っても良いが、通水抵抗を根拠にして実施しても良い。通水抵抗の値に制限は無いが、通水抵抗で設定する場合は、水位をもとにするのが良く、通水開始時の水位に対して、好ましくは0〜5000mm、より好ましくは1000〜2000mm、さらに好ましくは1500〜2000mm上昇した時点で実施するのが効果的である。
【0050】
なお、通常の洗浄としての空気洗浄における洗浄時間、線速度、洗浄時間等の洗浄条件は従来公知の範囲であってよい。
【0051】
本発明において用いられるろ材は例えば従来公知のものを用いることができる。具体的には、砂、木炭、活性炭やアンスラサイト、珪砂、ガーネット、樹脂成型物、スポンジなどを用いることができる。
ろ材の仕様にも限定はないが、例えば、ろ材の有効径や均等係数で示すと、本発明の効果が顕著に現れるのは、有効径:0.3〜2mm、均等係数:1.0〜2.0のろ材である。
ここで有効径とは、ふるいわけ試験において、粒径累積曲線での10%通過径をmm単位で表したものであり、JIS K 1474(2007年)に規定される方法で測定される値を意味するものとする。
また、均等係数とは、ふるいわけ試験において、粒径累積曲線での60%通過径(d60)と10%通過径(d10)との比(d60/d10)であり、JIS K 1474(2007年)に規定される方法で測定される値を意味するものとする。
なお、均等係数の下限は1.0である。
【0052】
本発明では、ろ層が複層であることが好ましい。具体的には砂とアンスラサイトとを含むろ層であることが好ましい。この場合に、本発明の効果をより発揮する。
【0053】
本発明は、浄水場のろ過池に適用する。ただし、上水分野で用いられる生物活性炭ろ過池に適用することは好ましくない。
【実施例】
【0054】
本発明について実施例を用いて説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
【0055】
初めに通常の洗浄としての空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を行い、その後、定期的に、空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を行った場合と水洗浄のみの洗浄を行った場合とについて、ろ坑およびろ過水濁度を比較する実験を行った。
【0056】
実験に用いた装置について図5を用いて説明する。図5は、実験装置の概略図である。
図5に示す実験装置100は2つのろ過塔(ろ過塔1、ろ過塔2)を有しており、同一の原水を同時に供給することができるように構成されている。
【0057】
実験装置100は原水槽110、ろ過塔1(101)、ろ過塔2(102)、ろ過水槽120および洗浄排水槽130を有している。そして、実験装置100は原水槽110に貯留されている原水112が、原水ポンプ114の作用によって配管116を通って、ろ過塔1(101)およびろ過塔2(102)に供給され、ろ過塔1(101)およびろ過塔2(102)の内部のろ層103、104を上から下へ向かって通過することでろ過され、下部から流出し、ろ過水ライン118を通ってろ過水槽120へ到達するように構成されている。
【0058】
ここでろ過塔1(101)およびろ過塔2(102)は、それらの下部から空気を供給してろ層を空気洗浄するための構成(空洗用ブロワ105および配管等)を有している。また、それらの下部からろ過水槽120に貯留されているろ過水122を供給して、ろ層を水洗浄するための構成(逆洗ポンプ119および逆洗ライン107等)を有している。
さらに、ろ過塔1(101)およびろ過塔2(102)は、それらの上部に、内部を水洗浄することで発生した洗浄排水を洗浄排水槽130へ向けて排出するための洗浄排水ライン125を有している。また、上部に表洗するための構成(表洗管108等)を有している。
【0059】
このような実験装置100を用いて原水112をろ過処理した。そして、ろ過塔1(101)およびろ過塔2(102)について、同時に通常の洗浄としての空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を行った。その後、ろ過塔1(101)については、通常の空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を行い、一方、ろ過塔2(102)については、水洗浄のみの洗浄を行って、各々のろ過塔のろ坑およびろ過水濁度を常時測定して比較した。ここでろ坑は、ろ層103、104の表面付近に設置したろ坑計106(マノメーター)によって測定した。また、ろ過水濁度は各々のろ過塔のろ過水流出管に濁度計を設置して測定した。
【0060】
実験条件の詳細を以下に記す。
・原水:ダム水を凝集沈殿処理した水
・原水濁度:0.05〜0.32度
・ろ層構成:アンスラサイト200mm+珪砂400mm
・ろ過速度:360m/d
・洗浄間隔:48時間毎
・ろ過塔1における洗浄条件:空水洗(空気洗浄0.8m/min+水洗浄0.2m/min)3分→水洗(水洗浄0.6m/min)8分
・ろ過塔2における洗浄条件:水洗(水洗浄0.2m/min)3分→水洗(水洗浄0.6m/min)8分
・総ろ過時間:800時間
【0061】
ろ坑およびろ過水濁度の測定結果を図6および図7に示す。
総ろ過時間800時間においては、空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を行う洗浄(図6図7および後述する図8において「空気洗浄あり」と記す)(ろ過塔1)でも、水洗浄のみの洗浄(図6図7および後述する図8において「空気洗浄なし」と記す)(ろ過塔2)でも、ろ抗の推移は同等であり、ろ過水質においても顕著な差は確認できなかった。
このことから、空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄から次の空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄までの間隔が、少なくとも800時間においては、その間、水洗浄のみの洗浄だけを実施しても、ろ抗の推移およびろ過水質の観点からは十分にろ層の洗浄が成されていることが分かる。
したがって、本発明の場合(ろ過塔2において行った操作が相当)、通常の洗浄としての空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄の他に、空気洗浄を省いた、水洗浄のみの洗浄を行うことができるので、洗浄時間の短縮と洗浄に用いるエネルギーの縮減を図る事ができ、(1)急激な原水水質悪化によって予定外のろ過池の閉塞が生じても水道水生産計画への影響を最小限に抑えることができ、また、(2)浄水場の効率的な運用に資することができる。
【0062】
次に、ろ過塔1およびろ過塔2の各々について、総ろ過時間800時間後に、下記の第1表に示す条件で3回の洗浄を連続して実施した場合の、洗浄による濁質排出量を測定した。結果を第2表および図8に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
第2表および図8に示す通り、空気洗浄を省いた、水洗浄のみの洗浄で800時間ろ過を継続した場合は、ろ抗の推移やろ過水質への影響は無いものの、水洗浄のみでは除去することのできなかった濁質がろ層に蓄積されていたことが分かる。これは、十分にろ層を洗浄することを目的として行った3回目の洗浄での濁質排出量が、水洗浄のみの洗浄を繰り返したろ過塔2で多かったことから判断できる。したがって、適切な間隔で空気洗浄と水洗浄を併用した洗浄を実施することは必要なものの、総ろ過時間800時間程度では、ろ抗の推移やろ過水質への影響は現れないことが分かった。
【符号の説明】
【0066】
1:流入渠、2:ろ過池、3:ろ過水渠、4:排水流出部、5:垂直堰、6:溢流堰、7:流入サイフォン管、8:流入管、9:排水流出渠、10:流入サイフォン形成管、11:流入サイフォン形成弁、12:流入サイフォン破壊弁、15:制御部、20:仕切壁、21:排水室、22:ろ過室、30:逆洗排水トラフ、40:ろ材層、41:集水装置、45:ろ過水溢流堰、46:ろ過水流出路、50:排水サイフォン管、60:排水サイフォン形成管、61:排水サイフォン形成弁、62:排水サイフォン破壊弁、71:空気洗浄手段、72:連通弁、74:モータ、80:本発明の装置、81:本発明の装置、82:ろ層、83:原水、84:ろ材、85:支持層、86:集水装置、87:水洗浄手段、88:空気洗浄手段、89:制御部、90:処理槽、91:原水供給管、92:処理水、93:排水手段、100:実験装置、110:原水槽、101:ろ過塔1、102:ろ過塔2、103:ろ層、104:ろ層、105:空洗用ブロワ、106:ろ坑計、107:逆洗ライン、108:表洗管、110:原水槽、112:原水、114:原水ポンプ、116:配管、118:ろ過水ライン、119:逆洗ポンプ、120:ろ過水槽、122:ろ過水、125:洗浄排水ライン、130:洗浄排水槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8