特許第6599097号(P6599097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599097位置方位検出装置及び位置方位検出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599097
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】位置方位検出装置及び位置方位検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20191021BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20191021BHJP
   G01C 21/26 20060101ALN20191021BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
   G01B11/26 H
   !G01C21/26 P
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-249139(P2014-249139)
(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-109619(P2016-109619A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山下 昌哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 士朗
(72)【発明者】
【氏名】重田 啓介
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−529061(JP,A)
【文献】 特開2008−309530(JP,A)
【文献】 服部聖彦・中嶋信生・藤井哲也・門洋一・張兵・羽津川貴弘・高塚陽亮,2次元マーカとアドホック通信を使用したハイブリッド屋内測位システムの提案,電子情報通信学会技術研究報告 AN2008-33,日本,社団法人電子情報通信学会,2008年10月15日,Vol.108 No.251,pp.23-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01B 11/00
G01B 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に搭載されたセンサの出力信号に基づいて前記機器の位置と方位とを検出する自律航法装置の位置方位検出誤差を取得し、前記位置方位検出誤差に基づいて前記機器に搭載された撮影器へ撮影を指示する撮影指示部と、
前記撮影指示部の指示に基づき撮影された画像に含まれるマークから前記マークに含まれる位置情報と方位情報とを読み取るマーク読み取り部と、
前記画像に含まれる前記マークの幾何形状に基づいて、前記マークに対する前記機器の相対位置と相対方位とを算出する相対位置方位算出部と、
前記位置情報、前記方位情報、前記相対位置、及び前記相対方位に基づいて、前記機器の絶対位置と絶対方位とを算出する位置方位算出部と
を備え、
前記撮影指示部は、
前記位置方位検出誤差が予め定められた閾値より大きい場合に、前記撮影器に撮影を指示し、
前記位置方位検出誤差は、
統計データに基づき、位置方位検出開始からの経過時間と、利用者のターン動作の回数と、から推定された真の位置及び方位からのずれである
位置方位検出装置。
【請求項2】
前記画像を取得し、前記画像に前記マークが含まれているか否かを判定するマーク判定部を更に備え、
前記マーク判定部は、
前記画像に前記マークが含まれている場合に、前記マーク読み取り部と前記相対位置方位算出部に前記画像を出力する
請求項に記載の位置方位検出装置。
【請求項3】
前記マーク判定部は、
前記画像に前記マークが含まれていない場合に、前記画像を棄却する
請求項に記載の位置方位検出装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1に記載の位置方位検出装置における前記撮影指示部、前記マーク読み取り部と、前記相対位置方位算出部と、前記位置方位算出部として機能させるための位置方位検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置方位検出装置及び位置方位検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マークを撮影することにより位置及び方位を検出する位置方位検出装置が知られている。位置方位検出装置は、マークから読み取った位置情報及び方位情報と、マークに対する相対位置及び相対方位とに基づき、利用者の位置及び方位を検出する(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2008−309530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の位置方位検出装置は、利用者が意識せずに位置及び方位を検出するためには、連続的もしくは定期的に撮影器を作動させなくてはならない。そのため、従来の位置方位検出装置は、消費電力が大きいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、機器に搭載されたセンサの出力信号に基づいて機器の位置と方位とを検出する自律航法装置の位置方位検出誤差を取得し、位置方位検出誤差に基づいて機器に搭載された撮影器へ撮影を指示する撮影指示部と、撮影指示部の指示に基づき撮影された画像に含まれるマークからマークに含まれる位置情報と方位情報とを読み取るマーク読み取り部と、画像に含まれるマークの幾何形状に基づいて、マークに対する機器の相対位置と相対方位とを算出する相対位置方位算出部と、位置情報、方位情報、相対位置、及び相対方位に基づいて、機器の絶対位置と絶対方位とを算出する位置方位算出部とを備え、撮影指示部は、位置方位検出誤差が予め定められた閾値より大きい場合に、撮影器に撮影を指示する位置方位検出装置を提供する。
【0005】
本発明の第2の態様においては、コンピュータを、第1の態様に記載の位置方位検出装置における撮影指示部、マーク読み取り部と、相対位置方位算出部と、位置方位算出部として機能させるための位置方位検出プログラム を提供する。
【0006】
本発明の第3の態様においては、機器に搭載され、予め定められた信号を取得するセンサと、センサの出力信号を取得し、出力信号に基づいて、機器の位置と方位とを検出する自律航法装置と、自律航法装置の位置方位検出誤差を取得し、位置方位検出誤差に基づいて機器に搭載された撮影器へ撮影を指示する撮影指示部と、機器に搭載され、撮影指示部の指示に基づいて、画像を撮影する撮影器と、撮影された画像に含まれるマークからマークに含まれる位置情報と方位情報とを読み取るマーク読み取り部と、画像に含まれるマークの幾何形状に基づいて、マークに対する機器の相対位置と相対方位とを算出する相対位置方位算出部と、位置情報、方位情報、相対位置、及び相対方位に基づいて、機器の絶対位置と絶対方位とを算出する位置方位算出部とを備え、撮影指示部は、位置方位検出誤差が予め定められた閾値より大きい場合に、撮影器に撮影を指示する位置方位検出システムを提供する。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】位置方位検出装置100の構成の一例を示す。
図2】位置方位検出システム200の構成例を示す概略ブロック図である。
図3】位置方位検出システム200の構成例を示す概略ブロック図である。
図4】位置方位検出システム200の動作の一例を示す。
図5】位置方位検出システム200の動作の一例を示す。
図6】比較例に係る位置方位検出装置500の構成の一例を示す。
図7】位置方位検出装置500の撮影タイミングの一例を示す。
図8】天井に設置するマーク400の設置場所を示す商業施設の見取り図である。
図9】磁気センサ信号の時間変化の模式図を示す。
図10】位置方位検出システム200の動作の一例を示す。
図11】本発明の実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、位置方位検出システム200の使用例を示す。本例の位置方位検出システム200は、ショッピングカート300に搭載される。
【0011】
位置方位検出システム200は、商業施設の天井に設置されたマーク400を撮影する。マーク400は、位置情報及び方位情報を記録した幾何形状を含む。例えば、マーク400は、QRコード(登録商標)である。位置方位検出システム200は、撮影した画像に基づいて、絶対位置及び絶対方位を検出する。絶対位置とは、緯度及び経度等の利用者がいる場所を示すものである。また、絶対方位とは、利用者の向いている方位である。絶対方位は、北を基準としたときの利用者の向きの方位角である。
【0012】
なお、本明細書では、説明を簡潔にするために、利用者の位置及び方位は、位置方位検出システム200の位置及び方位と等しいことを前提とする。即ち、単に利用者の位置及び方位と称する場合は、位置方位検出システム200の位置及び方位を指してよい。利用者の位置及び方位が、位置方位検出システム200の位置及び方位と異なる場合は、利用者と位置方位検出システム200との関係に応じて位置及び方位を補正すればよい。
【0013】
図2は、位置方位検出システム200の構成例を示す概略ブロック図である。位置方位検出システム200は、位置方位検出装置100、センサ210、撮影器230及び自律航法装置220を備える。
【0014】
センサ210は、自律航法装置220に出力信号を出力する。例えば、出力信号は、自律航法装置220が位置及び方位を検出するために必要な情報を含む信号である。信号は、電気信号、光信号、磁気信号等どのような種類の信号であってもよい。また、センサ210は、加速度センサ、角速度センサ、磁気センサ、照度センサ、気圧センサ、電波受信機であってよい。
【0015】
自律航法装置220は、センサ210から入力された信号に基づいて、利用者の位置及び方位を検出する。例えば、利用者の位置及び方位は、検出開始からの経過時間、及び利用者のターン動作の回数から検出される。しかしながら、検出された利用者の位置及び方位には、位置方位検出誤差が生じる場合がある。位置方位検出誤差とは、自律航法装置220が検出した利用者の位置及び方位と、利用者の真の位置及び方位とのずれである。
【0016】
また、自律航法装置220は、事前に作成した統計データを用いて位置方位検出誤差を推定する。例えば、統計データは、自律航法装置220が検出した利用者の位置及び方位と、利用者の真の位置及び方位との平均的なずれを示したデータである。平均的なずれとは、検出開始からの経過時間、及び利用者のターン動作の回数に応じて生じる誤差の平均である。自律航法装置220は、統計データとの相関を利用して、利用者の位置方位検出誤差を推定し、位置方位検出装置100に出力する。
【0017】
撮影器230は、商業施設の天井を撮影できる姿勢でショッピングカート300に設置され、マーク400を撮影する。本例の撮影器230は、位置方位検出装置100からの撮影指示に応じて、天井の撮影を行う。なお、本明細書では、説明を簡潔にするために、撮影器230の位置及び方位は、位置方位検出システム200の位置及び方位と同一とみなす。
【0018】
位置方位検出装置100は、撮影指示部10、マーク読み取り部20、相対位置方位算出部30、及び位置方位算出部40を備える。位置方位検出装置100は、自律航法装置220からの位置方位検出誤差に基づいて、利用者の絶対位置及び絶対方位を出力する。例えば、絶対位置及び絶対方位は、商業施設の地図上における、利用者の位置及び方位である。
【0019】
撮影指示部10は、自律航法装置220から入力された位置方位検出誤差からマーク400を撮影すべきか否かを判断する。例えば、マーク400を撮影すべきか否かの判断は、位置方位検出誤差が予め定められた閾値よりも大きくなったか否かに基づく。撮影指示部10は、位置方位検出誤差が大きくなり、マーク400の撮影が必要であると判断すると、撮影器230に撮影を指示する。
【0020】
マーク読み取り部20は、撮影器230が撮影した撮影画像中のマーク400に記録された位置情報及び方位情報を読み取る。撮影画像中のマーク400が撮影器230に対して傾きを有する場合、マーク読み取り部20は、マーク400が撮影器230に対して正対するように位置方位算出部40の傾きを補正してよい。マーク読み取り部20は、読み取った位置情報及び方位情報を位置方位算出部40に出力する。
【0021】
相対位置方位算出部30は、撮影器230が撮影した撮影画像中のマーク400に基づき、マーク400に対する相対位置及び相対方位を算出する。相対位置とは、マーク400を基準とした利用者の位置を指す。また、相対方位は、マーク400の基準方位に対する利用者の向いている方位を指す。相対位置方位算出部30は、算出した相対位置及び相対方位を位置方位算出部40に出力する。なお、マーク400の撮影画像は、相対位置及び相対方位に関する情報を含むものであれば、幾何形状に限られない。
【0022】
位置方位算出部40は、入力された位置情報、方位情報、相対位置及び相対方位に基づき、利用者の絶対位置及び絶対方位を算出する。利用者がマーク400の位置にいる場合、利用者の絶対位置は位置情報と等しくなる。また、利用者がマーク400の基準方位を向いている場合、利用者の絶対方位は方位情報と等しくなる。一方、利用者がマーク400の位置にいない場合、利用者の絶対位置は相対位置を用いて補正された位置となる。また、利用者がマーク400の基準方位を向いていない場合、利用者の絶対方位は相対方位を用いて補正された方位となる。
【0023】
図3は、位置方位検出システム200の構成例を示す概略ブロック図である。本例の位置方位検出装置100は、マーク判定部50を更に備える。
【0024】
マーク判定部50は、撮影器230から入力された撮影画像に基づいて、撮影画像中にマーク400が有るか否かを判定する。マーク判定部50は、撮影画像中にマーク400が無い場合、撮影画像を棄却する。一方、マーク判定部50は、撮影画像中にマークが有る場合、撮影画像をマーク読み取り部20及び相対位置方位算出部30に出力する。マーク400の有無は、撮影画像からマーク400に記載された情報を取得できるか否かによって分かれる。つまり、撮影画像にマーク400が含まれている場合であっても、マーク400が含む情報を取得できなければ、マーク400が無い場合となる。本例の位置方位検出装置100は、マーク判定部50が撮影画像中にマークが有ると判定した場合にのみ、マーク読み取り部20及び相対位置方位算出部30を動作させるので消費電力をさらに低減できる。
【0025】
(実施例1)
図4は、位置方位検出システム200の動作の一例を示す。図4(a)は、撮影器230が撮影する撮影実行タイミングを示す。図4(b)は、撮影必要タイミングを示す。
【0026】
撮影必要タイミングは、撮影器230によるマーク400の撮影が必要となったタイミングである。例えば、位置方位検出システム200は、位置方位検出誤差が閾値よりも大きくなった場合に、撮影が必要であると判断する。位置方位検出システム200は、撮影が必要であると判断すると、マーク400を撮影する。この場合、撮影実行タイミングと撮影必要タイミングとが一致する。
【0027】
本例の撮影実行タイミングは、有効撮影タイミングと一致する。即ち、本例のマーク400は、撮影器230の撮影画像に常に有効に含まれるような場所に設置される。有効撮影タイミングとは、撮影器230が撮影した画像にマーク400が有効に含まれるタイミングを指す。撮影画像にマーク400が有効に含まれた場合、位置方位検出装置100は、精確な利用者の絶対位置及び絶対方位を検出できる。一方、マーク400が無効の場合、位置方位検出装置100は、マーク400を撮影しても、精確な利用者の絶対位置及び絶対方位を検出できない。
【0028】
以上の通り、本例の撮影実行タイミングは、撮影必要タイミング及び有効撮影タイミングと一致する。このような場合、位置方位検出システム200は、位置方位検出誤差が大きくなると即座に、有効なマーク400の撮影画像を取得し、利用者の絶対位置及び絶対方位を検出できる。また、撮影器230は、撮影必要タイミング以外では動作しない。これにより、位置方位検出システム200は、マーク400の撮影による位置及び方位の検出を自動化しても、消費電力を低減し、かつ、高精度に利用者の絶対位置及び絶対方位を検出できる。
【0029】
図5は、位置方位検出システム200の動作の一例を示す。図5(a)は、撮影実行タイミングを示し、図5(b)は、撮影必要タイミングを示す。本例のマーク400は、利用者が移動することにより、有効になる場合と無効になる場合とを含むような場所に設置される。
【0030】
本例の撮影実行タイミングは、撮影必要タイミングと一致する。つまり、撮影器230は、撮影必要タイミング以外では動作しない。但し、本例の撮影実行タイミングは、有効撮影タイミングと無効撮影タイミングとを含む。
【0031】
有効撮影タイミングでは、マーク400が有効に撮影され、利用者の絶対位置及び絶対方位を検出できる。よって、有効撮影タイミング経過後、位置方位検出誤差が閾値よりも小さくなり、撮影必要タイミングが終了する。一方、無効撮影タイミングでは、マーク400が有効に撮影されず、利用者の絶対位置及び絶対方位を検出できない。よって、無効撮影タイミング経過後、位置方位検出誤差が閾値よりも小さくならず、撮影必要タイミングが継続する。撮影必要タイミングが継続している場合、位置方位検出システム200は、予め定められた周期で撮影してよい。その後、有効撮影タイミングとなりマーク400が撮影されると、利用者の絶対位置及び絶対方位が検出される。これにより、撮影必要タイミングが終了する。
【0032】
本例の位置方位検出システム200は、マーク400を有効に撮影できない状況であっても、撮影必要タイミング以外で撮影を実行する必要がない。即ち、位置方位検出システム200は、マーク400の撮影による位置及び方位の検出を自動化しても消費電力を低減できる。
【0033】
なお、マーク400の設置場所は、位置方位検出誤差が大きくなると予測された場所であってよい。例えば、マーク400は、通路の交差点で位置方位検出誤差が大きくなると予測される場合に、交差点の天井に設置される。マーク400を位置方位検出誤差が大きくなると予測された場所に設置することにより、位置方位検出システム200が撮影した画像は、マーク400を含む可能性が高くなる。撮影画像にマーク400を含む可能性が高くなると、無駄に撮影器230を動作させる必要がなくなり、撮影器230における消費電力をさらに低減できる。
【0034】
(比較例)
図6は、比較例に係る位置方位検出装置500の構成の一例を示す。位置方位検出装置500は、撮影器510、マーク読み取り部520、相対位置方位算出部530及び位置方位算出部540を備える。
【0035】
撮影器510は、マークが撮影範囲に含まれるか否かによらず撮影を開始する。撮影器510は、読み取った撮影画像をマーク読み取り部520に出力する。
【0036】
マーク読み取り部520は、撮影画像からマークを読み取る。マーク読み取り部520は、撮影画像中のマークが傾斜している場合、正面から正対して見た場合のマークに補正してよい。マーク読み取り部520は、補正したマークから、位置情報、方位情報、及び傾き情報を取出し、位置方位算出部540に出力する。傾き情報とは、マークを補正する前後のマークの傾きである。傾き情報は、マークに対する利用者の位置を算出するために用いられる。また、マーク読み取り部520は、マークからマークサイズ及び補正処理情報を取出し、相対位置方位算出部530に出力する。補正処理情報とは、マークサイズを算出するために撮影画像に施した補正処理に関する情報である。例えば、補正処理情報には、撮影画像の回転情報及び縮尺情報が含まれる。
【0037】
相対位置方位算出部530は、補正前後のマークサイズの比を計算する。相対位置方位算出部530は、事前に記憶しているサイズ比と距離の対応表を参照して、マークに対する利用者の相対位置を検出する。また、相対位置方位算出部530は、補正処理情報から、利用者の相対方位を検出する。
【0038】
位置方位算出部540は、マークから読み取られた位置情報及び方位情報と、マークに対する利用者の相対位置及び相対方位とに基づき、位置方位検出装置500の絶対位置及び絶対方位を検出する。
【0039】
図7は、位置方位検出装置500の撮影タイミングの一例を示す。図7(a)は、定期的に撮影器510に撮影を実行させた場合の撮影実行タイミングを示し、図7(b)は、撮影必要タイミングを示す。
【0040】
撮影実行タイミングと撮影必要タイミングとが重なったタイミングが、有効に撮影できる有効撮影タイミングである。図7(a)において、有効撮影タイミングを斜線部で表す。一方、図7(a)において、斜線部を除く四角はすべて、撮影器510が撮影を実行しているにもかかわらず、位置方位検出誤差が予め定められた閾値よりも小さいために撮影が有効でないタイミングである。このように、位置方位検出装置500は、撮影が必要であるか否かによらず、定期的に撮影を実行する。この場合、撮影を実行しても撮影が必要か否かは確率論となる。つまり、位置方位検出装置500は、撮影必要タイミング以外にも撮影器を動作させるので消費電力が大きい。
【0041】
(実施例2)
図8は、天井に設置するマーク400の設置場所を示す商業施設の見取り図である。本例では、通路の内、利用者のターン動作が期待される交差点にマーク400を設置する。本例の位置方位検出システム200は、ショッピングカート300に設置された磁気センサの出力信号からマーク400の設置場所か否かを判断する。なお、マーク400の設置場所は、利用者が曲がる場所であれば、通路の曲がり角及び曲り道等であってもよい。
【0042】
図9は、磁気センサ信号の時間変化の模式図を示す。磁気センサ信号とは、センサ210が磁気センサである場合に、センサ210が出力する信号を指す。本例のセンサ210は、ショッピングカート300に設置され、外部磁場を検出する磁気センサである。本実施例では、実施例1に係る場合と同様に、商業施設の交差点の天井にマーク400を設置する。縦軸は磁気センサ信号の所定時間での差分値の絶対値を示し、横軸は時間tを示す。例えば、磁気センサ信号の差分値は、安定した状態での磁気センサ信号と測定時の磁気センサ信号との差分である。
【0043】
撮影指示部10は、磁気センサ信号の所定時間での差分値の絶対値を予め定められた閾値と比較する。撮影指示部10は、磁気センサ信号の差分値の絶対値が閾値を超えた場合、利用者はターン動作中であると判断する。この場合、撮影指示部10は、利用者がマーク400の設置されている交差点にいると判断する。また、撮影指示部10は、ターン動作中であると判断した時間が、予め定められた時間以上となった場合に、利用者が交差点にいると判断してもよい。例えば、位置方位検出システム200は、センサ210として加速度センサ又は角速度センサを用いることができる。
【0044】
図10は、位置方位検出システム200の動作の一例を示す。図10(a)は、撮影実行タイミングを示し、図10(b)は、撮影必要タイミングを示す。
【0045】
位置方位検出システム200は、自律航法装置220の位置方位検出誤差が大きいと判断したときに加え、センサ210の出力信号に基づき利用者がマーク400の設置場所にいると判断したときにのみ撮影する。つまり、位置方位検出システム200は、撮影必要タイミングでかつ、有効撮影タイミングでのみマーク400を撮影する。また、本例の位置方位検出システム200は、撮影必要タイミングであっても、無効撮影タイミングにおいてマーク400を撮影しない。
【0046】
本例の位置方位検出システム200は、撮影必要タイミングと有効撮影タイミングが一致した場合にのみ、マーク400を撮影する。よって、撮影器230は、マーク400が無効な場合には動作しない。また、撮影器230は、自律航法装置220の位置方位検出誤差が小さい場合には動作しない。よって、位置方位検出システム200は、位置方位検出精度を高精度に維持したまま、さらに消費電力を低減できる。
【0047】
以上の通り、実施例1に係る位置方位検出装置100は、自律航法装置220の位置方位検出誤差が大きいか否かを判断して撮影する。よって、位置方位検出装置100は、位置方位検出誤差が大きい場合のみ撮影器230を動作させるので、撮影器230の消費電力を低減できる。また、実施例2に係る位置方位検出装置100は、位置方位検出誤差が大きいか否かに加えて、利用者がマーク400の設置場所にいるか否かを判断して撮影する。そのため、本例の位置方位検出装置100は、位置方位検出誤差が大きく、且つ、利用者がマーク400の設置場所にいる場合のみ撮影器230を動作させるので、撮影器230の消費電力をさらに低減できる。
【0048】
図11は、本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、及び表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、及びCD−ROMドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070を有するレガシー入出力部とを備える。
【0049】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000及びグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010及びRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0050】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラム及びデータを格納する。CD−ROMドライブ2060は、CD−ROM2095からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
【0051】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、及び/又は、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
【0052】
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
【0053】
コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を位置方位検出装置100として機能させるプログラムは、撮影指示モジュールと、マーク読み取りモジュールと、相対位置方位算出モジュールと、位置方位算出モジュールとを備える。これらのプログラム又はモジュールは、CPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、位置方位検出装置としてそれぞれ機能させる。
【0054】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である撮影指示部10、マーク読み取り部20、相対位置方位算出部30及び位置方位算出部40として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の位置方位検出装置100が構築される。
【0055】
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フレキシブルディスク2090、又はCD−ROM2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置又は通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030又は記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0056】
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060(CD−ROM2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、及び/又は記憶装置に含まれるものとする。
【0057】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(又は不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
【0058】
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0059】
以上に示したプログラム又はモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095の他に、DVD又はCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0061】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0062】
10・・・撮影指示部、20・・・マーク読み取り部、30・・・相対位置方位算出部、40・・・位置方位算出部、50・・・マーク判定部、100・・・位置方位検出装置、200・・・位置方位検出システム、210・・・センサ、220・・・自律航法装置、230・・・撮影器、300・・・ショッピングカート、400・・・マーク、500・・・位置方位検出装置、510・・・撮影器、520・・・マーク読み取り部、530・・・相対位置方位算出部、540・・・位置方位算出部
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