(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、酸化物半導体をバックプレーンTFTに採用した、TVや携帯/スマートフォンが商品化されるに至っている。酸化物半導体は、オフリーク特性が良好であり、リフレッシュレートを低周波化することで、低消費電力化が可能である。ローリフレッシュレート(Low Refresh Rate:LRR)技術には、以下の2つがある。
【0003】
(1)フルスクリーンLRR
前画面と今度表示しようとする画面のビデオデータが同じ場合を検出して、映像データ書き込みレート(リフレッシュレート)を低下させる方法である。この技術は、静止画像表示の場合に有効であり、通常、60Hz動作から10Hz以下のレートに低下させる。この場合、パネル駆動アルゴリズムを変える必要はあるが、パネル内部の回路を変える必要はない。
【0004】
(2)パーシャルLRR
ゲート線毎に前画面データとの差異を検出して、異なる場合にのみ映像データを書き込む方法である。ほとんど静止画であるが、部分的にリフレッシュする必要がある画像の場合に有効である。この場合、パネル駆動アルゴリズムおよびパネル内部の回路(ゲート線駆動回路)を変える必要がある。パーシャルLRR回路を搭載した商品は、まだ市場には出回っておらず、現在、各社において、信頼性ある回路技術が開発されつつあるところと考えられる。
【0005】
また、LRR駆動にすることで、ビデオデータを書き込まない時間にタッチ検出を行うことが可能となる。この結果、より小さいポイントの検出(Pen先認識など)や、これまでS/N比が取れなかったものでの検出が可能となり、より快適なユーザインタフェース機能を提供できる。
【0006】
所望のエリアのみに画像表示させることを目的とする場合の従来技術としては、表示エリア以外を黒表示する液晶表示装置がある。
図23は、従来の液晶表示装置に用いられる駆動回路の一例を示したブロック図である(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図23に示すように、ゲートドライバ104は、ゲートスタートパルスGSPの入力ラインに従属接続された複数のシフトレジスタステージS/R1〜S/R5と、シフトレジスタステージS/R1〜S/R5にそれぞれ接続された複数の出力切替部104A〜104Eとを含む。複数のシフトレジスタステージS/R1〜S/R5は、第1クロックCLK1および第2クロックCLK2のいずれか1つを入力する。
【0008】
第1クロックCLK1および第2クロックCLK2は、シフトレジスタステージS/R1〜S/R5に交代に入力される。つまり、奇数番目のシフトレジスタステージS/R1、S/R3、S/R5には、第1クロックCLK1が入力されるが、偶数番目のシフトレジスタステージS/R2、S/R4には、第2クロックCLK2が入力される。
【0009】
第1クロックCLK1および第2クロックCLK2は、相反する位相を有すると共に、水平同期信号の1/2に該当する周波数(すなわち、2倍に相当する周期)を有する。複数のシフトレジスタステージS/R1〜S/R5は、第1クロックCLK1または第2クロックCLK2に応答し、ゲートスタートパルスGSPまたは以前のシフトレジスタステージS/R1〜S/R4からのゲート信号(Vg1〜Vg4のいずれか1つ)をラッチし、対応するゲート線GL1〜GL5に供給されるゲート信号Vg1〜Vg5を発生する。
【0010】
第1シフトレジスタステージS/R1は、第1クロックCLK1に応答し、ゲートスタートパルスGSPをラッチさせて第1ゲート信号Vg1を発生する。第1ゲート信号Vg1は、第1出力切替部104Aおよび第2シフトレジスタステージS/R2に供給される。第2シフトレジスタステージS/R2は、第2クロックCLK2によって、以前のステージである第1シフトレジスタステージS/R1からの第1ゲート信号Vg1をラッチして、第2ゲート信号Vg2を発生する。第2ゲート信号Vg2は、第2出力切替部104Bおよび次のステージである第3シフトレジスタステージS/R3に供給される。
【0011】
第1クロックCLK1に応答する第3シフトレジスタステージS/R3も、以前のステージである第2シフトレジスタステージS/R2からの第2ゲート信号Vg2をシフトさせて、第3ゲート信号Vg3を発生する。第3ゲート信号Vg3は、第3出力切替部104Cおよび次のステージである第4シフトレジスタステージS/R4に供給される。
【0012】
これにより、残りのシフトレジスタステージS/R4、S/R5も、第1クロックCLK1または第2クロックCLK2に応答して、以前のシフトレジスタステージS/R3、S/R4からの第3ゲート信号Vg3または第4ゲート信号Vg4をラッチし、対応するゲート信号Vg4(またはVg5)を発生する。複数の各シフトレジスタステージS/R1〜S/R5から発生する複数のゲート信号Vg1〜Vg5は、1つの水平同期信号の期間ずつ、順次特定論理(例えば、ハイ論理)の状態でイネーブルされる。
【0013】
複数の出力切替部104A〜104Eは、液晶パネルの表示領域上の複数のゲート線GL1〜GL5と電気的にそれぞれ接続される。また、複数の出力切替部104A〜104Eは、垂直ウィンドウ制御信号VWS、または遅延した垂直ウィンドウ制御信号DVWSを、共通に入力する。垂直ウィンドウ制御信号VWSまたは遅延したウィンドウ制御信号DVWSに共通に応答する複数の各出力切替部104A〜104Eは、対応するシフトレジスタステージS/R1〜S/R5から、対応するゲート線GL1〜GL5に供給されるゲート信号Vg1〜Vg5を切り替える。
【0014】
垂直ウィンドウ制御信号VWSまたは遅延した垂直ウィンドウ制御信号DVWSの垂直ウィンドウパルスの期間(基底論理の期間)では、出力切替部104A〜104Eは、対応するシフトレジスタステージS/R1〜S/R5からの対応するゲート線GL1〜GL5に供給される対応するゲート信号Vg1〜Vg5を遮断する。それとは反対に、垂直ウィンドウ制御信号VWSまたは遅延した垂直ウィンドウ制御信号DVWSの特定論理のイネーブル期間では、各出力切替部104A〜104Aは、対応するシフトレジスタステージS/R1〜S/R5からのゲート信号Vg1〜Vg5を対応するゲート線GL1〜GL5に供給する。また、CLK信号は、シフトレジスタS/R1〜S/R5のみに導入され、出力切替部Vg1〜Vg5には導入されていない。
【0015】
図24は、
図23に示した従来の液晶表示装置の出力切替部の回路図と、駆動波形の1例を示した図である。第n出力切替部Vgnは、第nシフトレジスタS/Rnの出力Vgnを通すか通さないかを、垂直ウィンドウ制御信号VWSで制御する。ここで、垂直ウィンドウ制御信号VWSが「H」の時には、GLn(Vgn)が出力され、「L」の時にはGLn(Vgn)が遮断される。
【0016】
第nシフトレジスタS/Rn内のトランジスタTdrvは、第n出力切換部Vgn内のトランジスタTGnを通して、ゲート線を駆動することになり、大きな駆動能力を必要とする。また、トランジスタTGn自身も、トランジスタTdrvの出力抵抗を小さくするために、大きなゲート幅に設定される。
【0017】
また、垂直ウィンドウ制御信号VWSの駆動波形については、以下のようになる。
図24(b)に示したように、第1ゲート線GL1と第2ゲート線GL2に出力し、第3ゲート線GL3の出力を遮断する場合について説明する。この場合、第2ゲート線GL2が十分「L」になるまで、垂直ウィンドウ制御信号VWSは、「H」を維持し、その後、第3ゲート線GL3が立ち上がる前に「L」に設定される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の表示装置用の駆動回路および表示装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0031】
実施の形態1.
図1は、従来技術においてタイミングマージンが少なかった問題を解決するための説明図である。
図1(a)には、2つのCLKと、垂直ウィンドウ制御信号VWSと、GL1〜GL3のタイミングが示されており、
図1(b)には、動作許容タイミングを説明するための拡大図が示されている。
【0032】
CLKのトグリングを起点に、垂直ウィンドウ制御信号VWSを変化させることで、ゲート線GL2をプルダウンし、ゲート線GL3の立ち上がりを遮断している。ここで、正常動作するための許容タイミングは、
図1(b)に示したA期間である。この許容タイミングAを大きくするには、駆動起点を、
図1(a)に示す時刻t1からt2に変え、早い段階で準備をすることが効果的である。時刻t1からt2にタイミング起点を早めることができれば、
図1(a)に示したBの分だけ許容タイミングを得ることができる。そこで、このような許容タイミングの増加を実現する具体的な回路について、次に説明する。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態1におけるパーシャルGIP(Gate In Panel)回路のブロック図である。
図2に示すパーシャルGIP回路は、シフトレジスタ部10、AND回路20、ドライバ部30を備えて構成されており、2つのゲート線GL1、GL2に関連する回路部分を示している。
【0034】
シフトレジスタ部10の出力VSR1、2(あるいはVST)と、出力制御信号OEのAND回路20による論理出力DE(Driver Enable)を、ドライバ部30に印加している。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態1における
図2に示したパーシャルGIP回路による駆動波形を示した図である。VSR1が「H」の期間に、出力制御信号OEを「H」にすることで、DE2が「H」になり、ドライバ部30(2)を活性化し、ゲート線GL2を立ち上げている。
【0036】
出力制御信号OEの「H」期間は、最短で、DEノードを「H」に充電する期間(Tss)であり、最長で、VSRの「H」期間(T)である。このとき、タイミングマージンTmは、次の式で表すことができる。
Tm=T−Tss
この結果、先の
図1(b)で示された許容タイミングAよりも、より長い(大きな)期間がタイミングマージンとして準備できることとなる。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態1におけるパーシャルGIP回路の全体構成図であり、2ライン分のみを示していた先の
図2を、nライン分に拡張した全体図を示している。本実施の形態1におけるパーシャルGIP回路の特徴をまとめると、以下のようになる。
【0038】
(特徴1)シフトレジスタ部と、ゲート線のドライバ部とを分離している。
この結果、シフトレジスタ部は、CLK1、2に従い、常に動作し、常に動作することで、活性化させるゲート線を特定できる。一方、分離することで、VSR、OEの負荷を低減でき、全体のレイアウトサイズを小さくできる。
【0039】
(特徴2)前段のシフトレジスタ部の出力(VSR)と、ゲート線の出力制御信号OEとがともに「H」である時に、DEが「H」となり、ドライバ部を活性化している。
この結果、例えば、ゲート線GL3を活性化させる場合、VSR2が出力される(ゲート線GL2が立ち上がる)タイミングで、先行して、OEを「H」にしておくことができる。
【0040】
(特徴3)CLK1、2は、周期が同じで相反する位相のクロックであり、シフトレジスタ部およびドライバ部の両方に入力される。
この結果、クロックは、シフトレジスタ部においては、動作の基準CLKの役割を果たし、ドライバ部においては、DE信号に従ったゲート線駆動の役割を果たす。
【0041】
なお、CLKは、シフトレジスタ部が駆動できるものであればよく、3相、4相でもよい。また、本実施の形態では、表示部の片側のみにパーシャルGIP回路を設定したが、両側からの駆動も可能である。さらに、シフトレジスタ部/ドライバ部の回路構成は、一例を示したものであり、いかなる回路構成でも構わない。
【0042】
以上のように、実施の形態1によれば、上述した特徴1〜3を備えたパーシャルGIP回路を用いることで、ゲート線を切り換え動作するためのマージンを従来よりも大きくすることができる。この結果、誤動作の起きない安定動作可能なパーシャル駆動を実現する表示装置用の駆動回路を実現できる。
【0043】
より具体的には、所望のゲート線駆動(パーシャル駆動)を可能とするための、以下の効果が挙げられる。
(効果1)シフトレジスタ部の出力(VSR)と出力制御信号(OE)との論理積の出力が、ゲート線駆動トランジスタのゲートを直接または間接的に活性化する回路構成により、1本のゲート線駆動が可能になった。
【0044】
(効果2)シフトレジスタ部の出力(VSR)期間に出力制御信号(OE)を「H」にすることで、1本のゲート線駆動が可能になり、制御タイミングマージンを大きくでき、誤動作防止が可能になった。
(効果3)前画面から変化のある画素のみをリフレッシュするので、低消費電力化が期待できる。
(効果4)ゲート線のパーシャル駆動が可能なので、タッチ検出用の時間が増加し、タッチ感度が向上し、快適なユーザインタフェースを提供できる。
【0045】
次に、本実施の形態1に係る発明のパーシャルGIP回路におけるドライバ部の具体的な構成について、実施例1〜実施例6として、図面を用いて具体的に説明する。
【0046】
[実施例1]
図5は、実施例1におけるドライバ部のブロック図であり、
図6は、
図5中のLogic回路の一例を示した図である。
図5に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)と出力制御信号(OE)とのAND論理回路
・AND論理回路の出力を受け、ゲート線を駆動するトランジスタTdhとTdlのゲートに制御信号を出力するLogic回路
・ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースにVss電位が繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
【0047】
[実施例2]
図7は、実施例2におけるドライバ部のブロック図であり、
図8は、
図7中のLogic回路の一例を示した図である。
図7に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)と出力制御信号(OE)とのAND論理回路
・AND論理出力(DE)がゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースにVss電位が繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0048】
[実施例3]
図9は、実施例3におけるドライバ部のブロック図である。
図9に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)がゲートに入力されたトランジスタ(Tvsr)
・出力制御信号(OE)がゲートに入力されたトランジスタ(Toe)
・ToeのドレインがVDDに繋がれ、TvsrのソースがDEに繋がれ、ToeとTvsrのもう一方の端子が互いに繋がれた回路で構成されたAND論理回路
・AND論理回路の論理出力(DE)がゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースがVss電位に繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0049】
[実施例4]
図10は、実施例4におけるドライバ部のブロック図である。
図10に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・出力制御信号(OE)がゲートに入力され、シフトレジスタ部の出力信号(VSR)がドレインに入力され、ソースが駆動トランジスタ(Tdh)のゲートに繋がれた1つのトランジスタによりAND論理が構成された回路
・その論理出力(DE)がゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースがVss電位に繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0050】
[実施例5]
図11は、実施例5におけるドライバ部のブロック図である。
図11に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)がゲートに入力され、出力制御信号(OE)がドレインに入力され、ソースがトランジスタ(Ts)に繋がれた1つのトランジスタ
・ゲートがドレインあるいはソースのどちらかと繋がれたトランジスタ(Ts)
・Tsのドレインあるいはソースのどちらかがゲート線駆動トランジスタ(Tdh)のゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースがVss電位に繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0051】
[実施例6]
図12は、実施例6におけるドライバ部のブロック図である。
図12に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・ゲートとそのドレイン、ソースどちらか一方と繋がれ、ドレインに出力制御信号(OE)が入力されたトランジスタ(Ts)と、シフトレジスタ部の出力信号(VSR)がゲートに入力され、ドレインがTsのソースと繋がれ、ソースがDE信号となる1つのトランジスタとからなるAND論理回路
・DE信号がゲート線駆動トランジスタ(Tdh)のゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースがVss電位に繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0052】
実施の形態2.
本実施の形態2では、8相クロックCLK1〜CLK8を用いて、より高速化を図ったパーシャル駆動を実現する回路構成について説明する。
【0053】
図13は、本発明の実施の形態2におけるパーシャルGIP回路の全体構成図である。
図13に示すパーシャルGIP回路は、シフトレジスタ部10、AND回路20、ドライバ部30を備えて構成されており、特に、ゲート線GL1、GL3、GL5、GL7、GL9に関連する回路部分を示している。
【0054】
なお、この
図13では、表示パネルの片方に配置されたGIPを駆動するための回路を示しており、4つのクロックCLK1、CLK3、CLK5、CLK7を用いて駆動されている。そして、図示していないが、表示パネルのもう片方に配置されたGIPを駆動するための回路は、残りの4つのクロックCLK2、CLK4、CLK6、CLK8を用いて駆動されている。
【0055】
図13に示した構成を備えた本実施の形態2におけるパーシャルGIP回路の特徴をまとめると、以下のようになる。
【0056】
(特徴1)シフトレジスタ部と、ゲート線のドライバ部とを分離している。
この結果、シフトレジスタ部は、CLK1、3、5、7に従い、常に動作し、常に動作することで、活性化させるゲート線を特定できる。一方、分離することで、VSR、OEの負荷を低減でき、全体のレイアウトサイズを小さくできる。
【0057】
(特徴2)前の前の段のシフトレジスタ部の出力(VSR)と、ゲート線の出力制御信号OEとがともに「H」である時に、DEが「H」となり、ドライバ部を活性化している。
この結果、例えば、ゲート線GL5を活性化させる場合、VSR1が出力される(ゲート線GL1が立ち上がる)タイミングで、先行して、OEを「H」にしておくことができる。
【0058】
(特徴3)CLK1、3、5、7は、周期が同じで位相がずれているクロックであり、シフトレジスタ部およびドライバ部の両方に入力される。
この結果、クロックは、シフトレジスタ部においては、動作の基準CLKの役割を果たし、ドライバ部においては、DE信号に従ったゲート線駆動の役割を果たす。
【0059】
図14は、本発明の実施の形態2における
図13に示したパーシャルGIP回路による駆動波形を示した図であり、OEを常に「H」としたときの各部の波形を示している。また、Qiは、シフトレジスタ部10のノードを示している。
【0060】
図13の回路構成および
図14の駆動波形を用いて、ゲート線GL5の動作を例に、以下に説明する。CLK1が「H」に切り換わったタイミングで、シフトレジスタ部10(5)のQ5ノードが「H」になる。ここで、OEは、常に「H」なので、Q5ノードが「H」になると同時に、ドライバ部30(5)のQノードも「H」になり、CLK5が活性化すると同時に、ゲート線GL5が「H」となって出力される。Q5ノードは、VSR9が「H」になるタイミングでVSSまで低下する。
【0061】
ゲート線出力制御信号OEを入力するタイミングは、VSR1が「H」の期間である。また、OEのパルス幅は、ドライバ部30のQノードを「H」、QBノードを「L」にすることができる期間でよい。
【0062】
また、ドライバ部30において、OE信号とVSR信号とのAND論理を行う場合について、先の実施の形態1と本実施の形態2の場合を比較すると、以下のようになる。
・4相クロックを用いた先の実施の形態1の場合
4相(片側2相、あるいは、片側正相/逆相)の場合には、前段のVSR信号でセットし、後段のVSR信号でリセットする。
・8相クロックを用いた本実施の形態2の場合
8相(片側4相)の場合には、2段前のVSR信号でセットし、2段後のVSR信号でリセットする。
【0063】
なお、CLKは、シフトレジスタ部が駆動できるものであればよく、さらに多相の駆動でもよい。従って、OE信号とVSR信号とのAND論理は、タイミングが合うVSR出力をセットすればよい。さらに、シフトレジスタ部/ドライバ部の回路構成は、一例を示したものであり、いかなる回路構成でも構わない。
【0064】
以上のように、実施の形態2によれば、上述した特徴1〜3を備えたパーシャルGIP回路を用いることで、ゲート線を切り換え動作するためのマージンを従来よりも大きくすることができる。この結果、誤動作の起きない安定動作可能なパーシャル駆動を実現する表示装置用の駆動回路を実現できる。
【0065】
より具体的には、先の実施の形態1と同様に、所望のゲート線駆動(パーシャル駆動)を可能とするための、以下の効果が挙げられる。
(効果1)シフトレジスタ部の出力(VSR)と出力制御信号(OE)との論理積の出力が、ゲート線駆動トランジスタのゲートを直接または間接的に活性化する回路構成により、1本のゲート線駆動が可能になった。
【0066】
(効果2)シフトレジスタ部の出力(VSR)期間に出力制御信号(OE)を「H」にすることで、1本のゲート線駆動が可能になり、制御タイミングマージンを大きくでき、誤動作防止が可能になった。
(効果3)前画面から変化のある画素のみをリフレッシュするので、低消費電力化が期待できる。
(効果4)ゲート線のパーシャル駆動が可能なので、タッチ検出用の時間が増加し、タッチ感度が向上し、快適なユーザインタフェースを提供できる。
【0067】
次に、本実施の形態2に係る発明のパーシャルGIP回路におけるドライバ部の具体的な構成について、実施例7〜実施例12として、図面を用いて具体的に説明する。
【0068】
[実施例7]
図15は、実施例7におけるドライバ部のブロック図であり、
図16は、
図15中のLogic回路の一例を示した図である。
図15に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR_i−1またはVSR_i−2)と出力制御信号(OE)とのAND論理回路
・AND論理回路の出力およびシフトレジスタ部の出力信号(VSR_i+1またはVSR_i+2)を受け、ゲート線を駆動するトランジスタTdhとTdlのゲートに制御信号を出力するLogic回路
・ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースにVss電位が繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
【0069】
[実施例8]
図17は、実施例8におけるドライバ部のブロック図であり、
図18は、
図17中のLogic回路の一例を示した図である。
図17に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR_i−1またはVSR_i−2)と出力制御信号(OE)とのAND論理回路
・AND論理出力(DE)がゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースにVss電位が繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR_i+1またはVSR_i+2)を受けるとともに、2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0070】
[実施例9]
図19は、実施例9におけるドライバ部のブロック図である。
図19に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)がゲートに入力されたトランジスタ(Tvsr)
・出力制御信号(OE)がゲートに入力されたトランジスタ(Toe)
・ToeのドレインがVDDに繋がれ、TvsrのソースがDEに繋がれ、ToeとTvsrのもう一方の端子が互いに繋がれた回路で構成されたAND論理回路
・AND論理回路の論理出力(DE)がゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースがVss電位に繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)を受けるとともに、2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0071】
[実施例10]
図20は、実施例10におけるドライバ部のブロック図である。
図20に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・出力制御信号(OE)がゲートに入力され、シフトレジスタ部の出力信号(VSR)がドレインに入力され、ソースが駆動トランジスタ(Tdh)のゲートに繋がれた1つのトランジスタによりAND論理が構成された回路
・その論理出力(DE)がゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースがVss電位に繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)を受けるとともに、2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0072】
[実施例11]
図21は、実施例11におけるドライバ部のブロック図である。
図21に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)がゲートに入力され、出力制御信号(OE)がドレインに入力され、ソースがトランジスタ(Ts)に繋がれた1つのトランジスタ
・ゲートがドレインあるいはソースのどちらかと繋がれたトランジスタ(Ts)
・Tsのドレインあるいはソースのどちらかがゲート線駆動トランジスタ(Tdh)のゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースがVss電位に繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)を受けるとともに、2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路
【0073】
[実施例12]
図22は、実施例12におけるドライバ部のブロック図である。
図22に示したゲート線駆動回路は、以下の構成を備えている。
・ゲートとそのドレイン、ソースどちらか一方と繋がれ、ドレインに出力制御信号(OE)が入力されたトランジスタ(Ts)と、シフトレジスタ部の出力信号(VSR)がゲートに入力され、ドレインがTsのソースと繋がれ、ソースがDE信号となる1つのトランジスタとからなるAND論理回路
・DE信号がゲート線駆動トランジスタ(Tdh)のゲートに入力され、ドレインにCLK信号が入力され、ソース出力にゲート線が繋がった駆動トランジスタ(Tdh)
・ドレインにゲート線が繋がり、ソースがVss電位に繋がり、ゲート電極にLogic回路からの出力が繋がった駆動トランジスタ(Tdl)
・シフトレジスタ部の出力信号(VSR)を受けるとともに、2つの駆動トランジスタのゲートに繋がったLogic回路