(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測定装置に設定されている動作条件を示す設定表示、前記測定装置の動作状態を示す動作状態表示、および前記測定装置による測定処理の結果を示す測定結果表示のうちの少なくとも1つの表示を表示可能な携帯端末側表示部と、
表示用データを記憶する携帯端末側記憶部と、
図柄、記号および文字のいずれかからなる複数の表示要素で構成される前記少なくとも1つの表示を前記表示用データおよび前記測定装置から送信される表示制御データに基づいて前記携帯端末側表示部に表示させる表示処理を実行する携帯端末側制御部とを備え、
前記携帯端末側制御部は、前記複数の表示要素の画像を含む複数の画像の画像データと、前記画像データの画像、当該画像データの画像によって前記少なくとも1つの表示を表示させる際の携帯端末側表示部における当該画像の表示位置、および当該表示位置に対して付与された表示位置識別符号を相互に関連付けた関連付けデータとが前記表示用データとして前記測定装置から送信されたときに当該表示用データを前記携帯端末側記憶部に記憶させ、かつ前記表示処理において、前記測定装置から送信された前記表示制御データおよび前記表示用データに基づき、当該表示制御データに基づいて特定した前記表示位置識別符号に関連付けられている前記画像データの画像を当該表示位置識別符号が付与されている前記表示位置に表示させることで前記携帯端末側表示部に前記少なくとも1つの表示を表示させると共に、前記測定装置と通信可能な状態において予め規定された受信開始条件が満たされたときに、当該測定装置についての前記少なくとも1つの表示を表示可能な前記表示用データが前記携帯端末側記憶部に記憶されているか否かを判別し、当該表示用データが記憶されていないときに当該表示用データの送信を開始させる送信開始信号を前記測定装置に送信する携帯端末装置。
前記携帯端末側制御部は、前記測定装置に対して付与された第1の装置識別符号、および前記測定装置と同じ前記少なくとも1つの表示を表示可能に構成された測定装置群に対して付与された第2の装置識別符号のいずれか一方の装置識別符号が当該測定装置から送信されたときに前記受信開始条件が満たされたと判別し、当該一方の装置識別符号に関連付けられている前記表示用データが前記携帯端末側記憶部に記憶されていないときには、前記送信開始信号を前記測定装置に送信すると共に当該測定装置から送信される前記表示用データを当該一方の装置識別符号に関連付けて当該携帯端末側記憶部に記憶させ、当該一方の装置識別符号に関連付けられている前記表示用データが前記携帯端末側記憶部に記憶されているときには、当該表示用データの送信が不要であることを報知する報知信号を前記測定装置に送信する請求項4記載の携帯端末装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、出願人が開示している測定システムには、以下のような改善すべき課題が存在する。すなわち、出願人が開示している測定システムでは、スマートフォン等の携帯端末装置に測定システム専用の測定システム用プログラムを予めインストールしておき、測定処理用画面(モニタ表示部)の表示に際しては、予め規定された(測定システム用プログラムに記録された)各セグメントのうちのいずれを表示させるかを特定可能なデータを測定装置からスマートフォンに送信することで、スマートフォンの制御部が測定システム用プログラムに従ってスマートフォンの表示部にモニタ表示部(測定処理用画面)を表示させる構成が採用されている。
【0009】
この場合、例えば、電圧計や電力計などの測定装置と、出願人が上記の特許文献に開示しているクランプ式抵抗測定装置とでは、測定処理用画面の表示態様(表示する測定結果等の種類や表示レイアウトなど)が相違する。したがって、上記の特許文献においてクランプ式抵抗測定装置用の測定処理用画面を表示するのに使用したスマートフォンを用いて、電圧計用の測定処理用画面や、電力計用の測定処理用画面を表示させようとした場合には、クランプ式抵抗測定装置用の測定処理用画面を表示するための上記の測定システム用プログラムとは別個に、電圧計用の測定測定処理用画面を表示するための測定システム用プログラムや、電力計用の測定処理用画面を表示するための測定システム用プログラムをスマートフォンにインストールする必要が生じる。
【0010】
このため、例えば、クランプ式抵抗測定装置、電圧計および電力計の3つの測定装置を順次する利用者が、1台のスマートフォンを兼用して各測定装置の測定結果等を参照しようとした場合には、3つの測定システム用プログラムをスマートフォンにそれぞれインストールする必要があることから、これらのインストール作業が煩雑であると共に、測定システム用プログラムのインストールによって占有される記憶領域が非常に大きくなる。このため、この点を改善するのが好ましい。
【0011】
この場合、複数種類の測定装置の測定処理用画面をそれぞれ模した複数種類のモニタ表示部を表示可能に測定システム用プログラムを記述することにより、1回のインストール作業によって複数の測定装置の測定処理用画面と同様のモニタ表示部(測定処理用画面)をスマートフォンに表示させることが可能となる。しかしながら、例えば、1種類の測定装置しか使用しない場合には、複数種類の測定装置に対応して各種のモニタ表示部(測定処理用画面)を表示可能とした大きなサイズの測定システム用プログラムによって記憶領域が不要に占有されることとなる。
【0012】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、携帯端末装置(外部装置)の貴重な記憶領域を不要に占有することなく、設定表示、動作状態表示および測定結果表示のうちの少なくとも1つの表示を携帯端末側表示部(外部装置側表示部)に表示し得る測定装置、携帯端末装置および測定システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、測定処理を実行する測定部と、表示用データを記憶する測定装置側記憶部と、設定されている動作条件を示す設定表示、動作状態を示す動作状態表示、および前記測定処理の結果を示す測定結果表示のうちの少なくとも1つの表示を外部装置の外部装置側表示部に表示させるための表示制御データを生成すると共に当該表示制御データを当該外部装置に送信することで当該外部装置側表示部に当該少なくとも1つの表示を表示させる表示制御処理を実行する測定装置側制御部とを備え、前記測定装置側記憶部は、前記少なくとも1つの表示を構成する図柄、記号および文字のいずれかからなる複数の表示要素の画像の画像データと、前記画像データの画像、当該画像データの画像によって前記少なくとも1つの表示を表示させる際の前記外部装置側表示部における当該画像の表示位置、および当該表示位置に対して付与された表示位置識別符号を相互に関連付けた関連付けデータとを前記表示用データとして記憶
すると共に、7セグメント表示方式の前記文字を含んで構成される前記少なくとも1つの表示を前記外部装置側表示部に表示可能に当該7セグメント表示方式の文字における各セグメントの画像のデータを前記画像データとして記憶し、前記測定装置側制御部は、前記外部装置と通信可能な状態において予め規定された送信開始条件が満たされたときに、前記表示用データを当該外部装置に送信するデータ送信処理を実行し、前記表示制御処理において、前記少なくとも1つの表示を構成する前記表示要素の前記画像を特定すると共に、特定した当該画像の前記表示位置に対して付与された前記表示位置識別符号を特定可能な情報を前記表示制御データとして前記外部装置に送信する。
【0015】
また、請求項2記載の測定装置は、測定処理を実行する測定部と、表示用データを記憶する測定装置側記憶部と、設定されている動作条件を示す設定表示、動作状態を示す動作状態表示、および前記測定処理の結果を示す測定結果表示のうちの少なくとも1つの表示を外部装置の外部装置側表示部に表示させるための表示制御データを生成すると共に当該表示制御データを当該外部装置に送信することで当該外部装置側表示部に当該少なくとも1つの表示を表示させる表示制御処理を実行する測定装置側制御部と、
前記少なくとも1つの表示を表示する測定装置側表示部とを備え、前記測定装置側記憶部は、前記少なくとも1つの表示を構成する図柄、記号および文字のいずれかからなる複数の表示要素の画像の画像データと、前記画像データの画像、当該画像データの画像によって前記少なくとも1つの表示を表示させる際の前記外部装置側表示部における当該画像の表示位置、および当該表示位置に対して付与された表示位置識別符号を相互に関連付けた関連付けデータとを前記表示用データとして記憶し、前記測定装置側制御部は、前記外部装置と通信可能な状態において予め規定された送信開始条件が満たされたときに、前記表示用データを当該外部装置に送信するデータ送信処理を実行し、前記表示制御処理において、前記
複数の表示要素のうち
のいずれかの当該表示要素を指定して前記測定装置側表示部に表示させることで前記少なくとも1つの表示を表示させ、かつ当該測定装置側表示部に表示させた当該少なくとも1つの表示を構成する
当該表示要素の前記画像を特定すると共に、特定した当該画像の前記表示位置に対して付与された前記表示位置識別符号を特定可能な情報を前記表示制御データとして前記外部装置に送信する。
【0016】
さらに、請求項3記載の測定装置は、測定処理を実行する測定部と、表示用データを記憶する測定装置側記憶部と、設定されている動作条件を示す設定表示、動作状態を示す動作状態表示、および前記測定処理の結果を示す測定結果表示のうちの少なくとも1つの表示を外部装置の外部装置側表示部に表示させるための表示制御データを生成すると共に当該表示制御データを当該外部装置に送信することで当該外部装置側表示部に当該少なくとも1つの表示を表示させる表示制御処理を実行する測定装置側制御部とを備え
た測定装置であって、前記測定装置側記憶部は、前記少なくとも1つの表示を構成する図柄、記号および文字のいずれかからなる複数の表示要素の画像の画像データと、前記画像データの画像、当該画像データの画像によって前記少なくとも1つの表示を表示させる際の前記外部装置側表示部における当該画像の表示位置、および当該表示位置に対して付与された表示位置識別符号を相互に関連付けた関連付けデータとを前記表示用データとして記憶すると共に、当該測定装置に対して付与された第1の装置識別符号、および当該測定装置と同じ前記少なくとも1つの表示を表示可能に構成された測定装置群に対して付与された第2の装置識別符号のいずれか一方の装置識別符号を記憶し、前記測定装置側制御部は、前記一方の装置識別符号を前記外部装置に送信すると共に、前記外部装置と通信可能な状態において前記表示用データの送信を許容する送信開始信号が当該外部装置から送信されたときに予め規定された送信開始条件が満たされたとして前記表示用データを当該外部装置に送信するデータ送信処理を実行し、前記表示制御処理において、前記少なくとも1つの表示を構成する前記表示要素の前記画像を特定すると共に、特定した当該画像の前記表示位置に対して付与された前記表示位置識別符号を特定可能な情報を前記表示制御データとして前記外部装置に送信する。
【0017】
また、請求項4記載の携帯端末装置は、測定装置に設定されている動作条件を示す設定表示、前記測定装置の動作状態を示す動作状態表示、および前記測定装置による測定処理の結果を示す測定結果表示のうちの少なくとも1つの表示を表示可能な携帯端末側表示部と、表示用データを記憶する携帯端末側記憶部と、図柄、記号および文字のいずれかからなる複数の表示要素で構成される前記少なくとも1つの表示を前記表示用データおよび前記測定装置から送信される表示制御データに基づいて前記携帯端末側表示部に表示させる表示処理を実行する携帯端末側制御部とを備え、前記携帯端末側制御部は、前記
複数の表示要素の画像を含む複数の画像の画像データと、前記画像データの画像、当該画像データの画像によって前記少なくとも1つの表示を表示させる際の携帯端末側表示部における当該画像の表示位置、および当該表示位置に対して付与された表示位置識別符号を相互に関連付けた関連付けデータとが前記表示用データとして前記測定装置から送信されたときに当該表示用データを前記携帯端末側記憶部に記憶させ、かつ前記表示処理において、前記測定装置から送信された前記表示制御データおよび前記表示用データに基づき、当該表示制御データに基づいて特定した前記表示位置識別符号に関連付けられている前記画像データの画像を当該表示位置識別符号が付与されている前記表示位置に表示させることで前記携帯端末側表示部に前記少なくとも1つの表示を表示させると共に、前記測定装置と通信可能な状態において予め規定された受信開始条件が満たされたときに、当該測定装置についての前記少なくとも1つの表示を表示可能な前記表示用データが前記携帯端末側記憶部に記憶されているか否かを判別し、当該表示用データが記憶されていないときに当該表示用データの送信を開始させる送信開始信号を前記測定装置に送信する。
【0019】
また、請求項
5記載の携帯端末装置は、請求項
4記載の携帯端末装置において、前記携帯端末側制御部は、前記測定装置に対して付与された第1の装置識別符号、および前記測定装置と同じ前記少なくとも1つの表示を表示可能に構成された測定装置群に対して付与された第2の装置識別符号のいずれか一方の装置識別符号が当該測定装置から送信されたときに前記受信開始条件が満たされたと判別し、当該一方の装置識別符号に関連付けられている前記表示用データが前記携帯端末側記憶部に記憶されていないときには、前記送信開始信号を前記測定装置に送信すると共に当該測定装置から送信される前記表示用データを当該一方の装置識別符号に関連付けて当該携帯端末側記憶部に記憶させ、当該一方の装置識別符号に関連付けられている前記表示用データが前記携帯端末側記憶部に記憶されているときには、当該表示用データの送信が不要であることを報知する報知信号を前記測定装置に送信する。
【0020】
また、請求項
6記載の測定システムは、請求項1
または2記載の測定装置と、前記外部装置としての請求項
4記載の携帯端末装置とを備えて構成されている。
【0021】
また、請求項
7記載の測定システムは、請求項
3記載の測定装置と、前記外部装置としての請求項
5記載の携帯端末装置とを備えて構成されている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1
から3記載の測定装置では、設定表示、動作状態表示および測定結果表示のうちの少なくとも1つの表示を表示させる外部装置側表示部を備えた外部装置(携帯端末装置)と通信可能な状態において予め規定された送信開始条件が満たされたときに、表示用データを外部装置に送信するデータ送信処理を実行し、表示制御処理において、上記の少なくとも1つの表示を構成する画像を特定すると共に、特定した画像の表示位置に対して付与された表示位置識別符号を特定可能な表示制御データを外部装置に送信する。また、請求項
4記載の携帯端末装置では、測定装置から送信された表示用データを携帯端末側記憶部に記憶させると共に、表示処理において、測定装置から送信された表示制御データおよび表示用データに基づき、表示制御データに基づいて特定した表示位置識別符号に関連付けられている画像データの画像を表示位置識別符号が付与された表示位置に表示させることで携帯端末側表示部に上記の少なくとも1つの表示を表示させる。さらに、請求項
6記載の測定システムでは、上記の測定装置と、外部装置としての上記の携帯端末装置とを備えて構成されている。
【0023】
したがって、請求項1
から3記載の測定装置、請求項
4記載の携帯端末装置、および請求項
6記載の測定システムによれば、複数種類の測定装置についての上記の少なくとも1つの表示をそれぞれ表示可能に複数種類の画像データを携帯端末装置(外部装置)に予め記憶させておくことなく、測定装置から携帯端末装置に画像データや表示位置のデータを含む表示用データを送信することで、上記の少なくとも1つの表示を携帯端末装置に表示させることができるため、少なくとも1つの表示を表示すべき測定装置用の表示用データだけを携帯端末装置に記憶させることで、携帯端末装置の貴重な記憶領域が不要に占有される事態を招くことなく、その携帯端末側表示部(外部装置側表示部)に少なくとも1つの表示を確実に表示することができる。
【0024】
また、請求項
1記載の測定装置によれば、7セグメント表示方式の文字における各セグメントの画像の画像データを測定装置側記憶部に記憶させ、そのような画像データを含む表示用データを外部装置に送信することで7セグメント表示方式の文字を含んで構成される上記の少なくとも1つの表示を外部装置側表示部に表示可能としたことにより、例えば、数字の「0」から「9」の10種類の画像データを用いて「0」から「9」の10種類の数字を表示させるのとは異なり、各セグメントの画像の7種類の画像データを外部装置に送信するだけで、「0」から「9」の10種類の数字を表示させることができるため、画像データによって占有される測定装置側記憶部の記憶領域や、外部装置に送信するデータ量を十分に小さくすることができる。
【0025】
また、請求項
2記載の測定装置によれば、表示制御処理において、測定装置側表示部に表示させた表示要素に対応する画像の表示位置に付与された表示位置識別符号を特定可能な表示制御データを外部装置に送信することにより、上記の少なくとも1つの表示を測定装置側表示部に表示させるための表示制御データとは別個に、上記の少なくとも1つの表示を携帯端末装置側表示部に表示させるための表示制御データを生成しなくて済むため、少なくとも1つの表示を携帯端末側表示部に表示させる際に測定装置側制御部に加わる負担を十分に軽減することができる。
【0026】
さらに、請求項
4記載の携帯端末装置によれば、測定装置と通信可能な状態において予め規定された受信開始条件が満たされたときに、上記の少なくとも1つの表示を表示可能な表示用データが携帯端末側記憶部に記憶されているか否かを判別し、表示用データが記憶されていないときに表示用データの送信を開始させる送信開始信号を測定装置に送信することにより、表示用データが既に携帯端末側記憶部に記憶されている測定装置から同じ表示用データを送信させる不要なデータ送信処理が実行される事態を好適に回避することができると共に、上記の少なくとも1つの表示を表示させるのに必要な表示用データを携帯端末側記憶部に確実に記憶させて少なくとも1つの表示を確実に表示させることができる。
【0027】
さらに、請求項
3記載の測定装置では、データ送信処理に先立ち、一方の装置識別符号を外部装置に送信すると共に、表示用データの送信を許容する送信開始信号が外部装置から送信されたときに送信開始条件が満たされたとしてデータ送信処理を開始する。また、請求項
5記載の携帯端末装置では、一方の装置識別符号が測定装置から送信されたときに、一方の装置識別符号に関連付けられている表示用データが携帯端末側記憶部に記憶されていないときには、送信開始信号を測定装置に送信すると共に測定装置から送信される表示用データを一方の装置識別符号に関連付けて携帯端末側記憶部に記憶させ、一方の装置識別符号に関連付けられている表示用データが携帯端末側記憶部に記憶されているときには、表示用データの送信が不要であることを報知する報知信号を測定装置に送信する。さらに、請求項
7記載の測定システムでは、上記の測定装置と、外部装置としての上記の携帯端末装置とを備えて構成されている。
【0028】
したがって、請求項
3記載の測定装置、請求項
5記載の携帯端末装置、および請求項
7記載の測定システムによれば、上記の少なくとも1つの表示を表示可能な表示用データが携帯端末装置に記憶されているか否かを正確に判別させることができるため、表示用データが既に携帯端末側記憶部に記憶されている携帯端末装置に対して測定装置から同じ表示用データを送信させるという不要なデータ送信処理を確実に回避することができると共に、上記の少なくとも1つの表示を表示させるのに必要な表示用データを携帯端末側記憶部に確実に記憶させて少なくとも1つの表示を一層確実に表示させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、測定装置、携帯端末装置および測定システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0031】
図1,2に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、測定装置1およびスマートフォン2を備えて構成されている。この場合、「スマートフォン」は、広義には、PDA(携帯情報端末)の機能を備えた携帯電話を意味するが、本明細書では、この広義の「スマートフォン」のうちの「各種プログラムのインストールによって、任意の機能を付加したり、端末の操作環境や表示環境等をカスタマイズしたりすることができるもの」を「スマートフォン」という。また、上記のスマートフォン2は、「外部装置」としての「携帯端末装置」の一例であって、既存の「スマートフォン」で構成されると共に、後述するように、測定装置1や、図示しない他の測定装置についての設定表示、動作状態表示および測定結果表示を表示させるための測定システム用プログラムDpがインストールされている。
【0032】
測定装置1は、「測定装置」の一例であるクランプ式抵抗測定装置であって、
図1に示すように、測定部11、操作部12、表示部13、無線通信部14、有線通信部15、制御部16およびメモリ17を備えて構成されている。測定部11は、制御部16の制御に従い、クランプセンサ部11a(
図2参照)によってクランプした図示しない測定対象体の抵抗値を測定する「測定処理」を実行して、その測定値を制御部16に出力する。操作部12は、測定装置1の動作条件(測定条件)を設定操作するための複数の操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部16に出力する。
【0033】
表示部13は、「測定装置側表示部」の一例であって、制御部16の制御に従って後述する測定処理用画面30a(
図2参照)を表示する。この場合、本例の測定装置1における表示部13は、一例として、測定部11に対して設定されている測定条件(「動作条件」の一例)を示す設定表示、測定装置1の動作状態を示す動作状態表示、および測定部11による測定処理の結果結果を示す測定結果表示などを表示可能な複数のセグメントを有する液晶表示器で構成されている。
【0034】
具体的には、
図3に示すように、表示部13は、セグメントS1a〜S1g,S2a〜S2g,S3a〜S3g,S4a〜S4g,S5a〜S5g,S6a〜S6g,Sdp2〜Sdp4,SOHM,SA,Sm,SFILT,SHOLD,SB0〜SB3(「図柄、記号および文字のいずれかからなる複数の表示要素」の一例:以下、これらを区別しないときには「セグメントS」ともいう)で構成される文字や記号および図柄によって、設定表示、動作状態表示および測定結果表示を表示する構成が採用されている。なお、同図、および後に参照する
図6,7では、多数の符号が付されることで図面の視認が困難な状態となるのを回避するために、セグメントS2a〜S2g,S3a〜S3g,S5a〜S5g,S6a〜S6gに関し、セグメントS2x、S3x,S5x,S6xと表している。また、これらの表示要素以外に、図柄、記号および文字のいずれかからなる任意の表示要素を表示させることができる。
【0035】
この場合、セグメントS1a〜S1g,S2a〜S2g,S3a〜S3g,S4a〜S4gは、7セグメント表示方式の文字を構成する「表示要素」であって、測定処理の結果を示す測定結果表示の測定値における整数部分および小数部分の4つの数を示す際に任意のセグメントSが選択されて表示される。また、セグメントS5a〜S5g,S6a〜S6gは、7セグメント表示方式の文字を構成する「表示要素」であって、複数台の測定装置1を所有する利用者が、いずれの測定装置1を使用しているかを把握するために各測定装置1に付与する装置番号を表す1桁または2桁の数を示す際に任意のセグメントSが選択されて表示される。さらに、セグメントSdp2〜Sdp4は、小数点を示す「表示要素」であって、測定結果表示の測定値における小数点を表示させる際に任意のセグメントSが選択されて表示される。
【0036】
また、セグメントSOHM,SA,Smは、測定結果の単位を示す「表示要素」であると共に、測定部11が実行する測定処理の種類を示す「表示要素」であって、測定部11に抵抗測定処理を実行させるように設定されているときにセグメントSOHMが選択されて表示され(「抵抗測定処理の実行」との動作条件が設定されていることを示す「設定表示」の一例)、測定部11に電流測定処理を実行させるように設定されているときにセグメントSAやセグメントSmが選択されて表示されると共に(「電流測定処理の実行」との動作条件が設定されていることを示す「設定表示」の一例)、測定結果の表示に際しては、セグメントS1a〜S1g,S2a〜S2g,S3a〜S3g,S4a〜S4gやセグメントSdp2〜Sdp4と共に、表示すべき測定結果の単位に応じた任意のセグメントSが選択されて表示される。
【0037】
さらに、セグメントSFILTは、「動作状態表示」を構成する「表示要素」の一例であって、測定部11による測定処理に際してフィルタ処理が実行されている旨を示す際に選択されて表示され、セグメントSHOLDは、「動作状態表示」を構成する「表示要素」の他の一例であって、操作部12のHOLDスイッチが操作されている旨を示す際に選択されて表示される。また、セグメントSB0〜SB3は、「動作状態表示」を構成する「表示要素」のさらに他の一例であって、測定装置1のバッテリ残量を示す際に任意のセグメントSが選択されて表示される。なお、本例の測定装置1では、後述するように、測定装置1の表示部13に上記の各セグメントSによって示される測定処理用画面30aと同じレイアウトで、この測定処理用画面30aに表示される情報と同じ情報を示すモニタ表示部31(測定処理用画面30b:
図2参照)をスマートフォン2に表示することができるように構成されている。
【0038】
無線通信部14は、一例として、ブルートゥース(Bluetooth :登録商標)規格に準じた近距離無線通信を実行可能に構成されて、後述するようにスマートフォン2との間でペアリングされた状態において、スマートフォン2から送信された制御データD1などを受信して制御部16に出力すると共に、制御部16の制御に従って識別符号データD0、表示用データD2および表示制御データD4などをスマートフォン2に送信する。
【0039】
有線通信部15は、一例として、USB規格に準じた接続コネクタ(図示せず)を備えて、この接続コネクタに接続される信号ケーブル3(
図1参照)を介してスマートフォン2と接続可能に構成されている。また、有線通信部15は、信号ケーブル3を介してスマートフォン2と接続された状態において、スマートフォン2から送信された制御データD1などを受信して制御部16に出力すると共に、制御部16の制御に従って識別符号データD0、表示用データD2および表示制御データD4などをスマートフォン2に送信する。
【0040】
制御部16は、「測定装置側制御部」の一例であって、測定装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部16は、後述するように、無線通信部14および有線通信部15のいずれかを介してスマートフォン2と通信可能な状態となったときに、後述する識別符号データD0をスマートフォン2に送信する。また、制御部16は、表示用データD2の送信開始を指示する制御データD1(「送信開始信号」の一例)がスマートフォン2から送信されたときに、「送信開始条件」が満たされたと判別して、メモリ17に記憶されている表示用データD2をスマートフォン2に送信する「データ送信処理」を実行する。さらに、制御部16は、操作部12のスイッチ操作によって設定された測定条件(動作条件)などに従って測定部11を制御して上記の「測定処理」を実行させる。
【0041】
また、制御部16は、設定されている動作条件(測定条件)、および測定装置1の動作状態や、測定部11から出力される測定値等に基づき、表示部13に測定処理用画面30aを表示させるための表示制御データD3を生成すると共に、生成した表示制御データD3に基づき、スマートフォン2にモニタ表示部31(測定処理用画面30b:「少なくとも1つの表示」としての「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」の一例)を表示させるための表示制御データD4(「表示制御データ」の一例)を生成する。さらに、制御部16は、生成した表示制御データD3を表示部13に出力して測定処理用画面30bを表示させると共に、無線通信部14または有線通信部15を介して表示制御データD4をスマートフォン2に送信することでスマートフォン2にモニタ表示部31を表示させる「表示制御処理」を実行する。
【0042】
メモリ17は、「測定装置側記憶部」の一例であって、制御部16の動作プログラム、識別符号データD0および表示用データD2や、制御部16によって生成される表示制御データD4などを記憶する。
【0043】
一方、スマートフォン2は、前述したように測定システム用プログラムDpがインストールされた既存の「スマートフォン」で構成されている。具体的には、
図1に示すように、スマートフォン2は、本体メモリ21、操作部22、表示部23、無線通信部24、有線通信部25、制御部26およびストレージメモリ装着部27を備えて構成されている。なお、スマートフォン2における「携帯電話としての機能」や「PDAとしての機能」を実現するための構成要素については公知のため、図示および説明を省略する。
【0044】
本体メモリ21は、スマートフォン2の動作プログラムに加え、測定システム用プログラムDp等の各種プログラム(利用者がインストールしたプログラム)や、後述するように測定装置1から送信される識別符号データD0、表示用データD2および表示制御データD4などを記憶する。なお、測定システム用プログラムDp等のプログラムの一部や、識別符号データD0、表示用データD2および表示制御データD4については、ストレージメモリ装着部27に装着されたストレージメモリMに記憶させることもできる。
【0045】
操作部22は、図示しない電源スイッチなどの他に、表示部23の表面側に配設されたタッチパネルを備えて構成されて、これらの操作に応じた操作信号を制御部26に出力する。表示部23は、「外部装置側表示部」としての「携帯端末側表示部」の一例であって、制御部26の制御に従って各種の表示画面を表示する。この場合、この測定システム100では、後述するようにスマートフォン2において測定システム用プログラムDpが実行されたときに、
図2に示すように、測定処理用画面30bが表示部23に表示される。この測定処理用画面30bは、前述したように測定装置1の表示部13に表示される測定処理用画面30aと同じレイアウトで同じ情報を示すモニタ表示部31(「少なくとも1つの表示」としての「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」の一例)を表示させるための表示制御データD4(「表示制御データ」の一例)と、操作部22におけるタッチパネルの操作によって各種の処理を実行するための操作スイッチ表示部32とで構成されており、後述するように、測定装置1から送信される表示用データD2および表示制御データD4に基づいて表示される。
【0046】
無線通信部24は、測定装置1の無線通信部14と同様にして、ブルートゥース規格に準じた近距離無線通信を実行可能に構成されて、後述するように、測定装置1との間でペアリングされた状態において、制御部26の制御に従って測定装置1に制御データD1を送信すると共に、測定装置1から送信された識別符号データD0、表示用データD2および表示制御データD4を受信して制御部26に出力する。
【0047】
有線通信部25は、測定装置1の有線通信部15と同様にして、USB規格に準じた接続コネクタを備えて、この接続コネクタに接続される信号ケーブル3(
図1参照)を介して測定装置1や図示しない各種の外部装置と接続可能に構成されている。この有線通信部25は、信号ケーブル3を介して測定装置1と接続された状態において、制御部26の制御に従って測定装置1に制御データD1を送信すると共に、測定装置1から送信された識別符号データD0、表示用データD2および表示制御データD4を受信して制御部26に出力する。
【0048】
制御部26は、「携帯端末側制御部」の一例であって、スマートフォン2を総括的に制御する。具体的には、制御部26は、一例として、測定システム用プログラムDpの記述に従い、測定装置1から識別符号データD0が送信されたときに、その識別符号データD0に関連付けられた表示用データD2が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているか否かを判別する。また、制御部26は、識別符号データD0に関連付けられた表示用データD2が記憶されていないときに、表示用データD2の送信を開始させる制御データD1を測定装置1に対して送信する。さらに、制御部26は、制御データD1に応じて測定装置1から送信される表示用データD2を識別符号データD0に関連付けて本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶させる。また、制御部26は、無線通信部24または有線通信部25を介して受信した表示制御データD4、および本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されている表示用データD2に基づいて測定処理用画面30b(モニタ表示部31)を表示させる。
【0049】
この場合、測定装置1(メモリ17)に記憶されている識別符号データD0は、「第1の装置識別符号」の一例であって、測定装置1を識別可能に測定装置1に対して付与された固有の符号が記録されている。なお、本例の測定システム100におけるスマートフォン2(測定システム用プログラムDp)では、後述するように、測定装置1と同型の他の測定装置1や、測定装置1とは測定処理の内容等が相違する図示しない他の「測定装置(例えば、電圧計や電力計など)」による測定処理の結果を表示することが可能となっており、これらの「測定装置」に対しても固有の符号(第1の装置識別符号)が付与されて識別符号データD0が記憶されている。
【0050】
また、表示用データD2は、「表示用データ」の一例であって、測定装置1の測定処理用画面30aと同じモニタ表示部31をスマートフォン2に表示させるための各種のデータが記録されて構成されている。具体的には、表示用データD2は、画像データG01〜G22(
図4参照:以下、区別しないときには「画像データG」ともいう)と、関連付けデータDr(
図5参照)とで構成されている。
【0051】
この場合、
図4に示すように、画像データG01,G02・・G22は、モニタ表示部31におけるセグメントS1a,S1b・・SB1〜SB3の画像を記録した「画像データ」で構成されている。なお、同図における各画像データGの画像において網線で塗り潰した領域(各「セグメント」を模した像の周囲の領域)は、モニタ表示部31の表示に際して「透明色」で表示される領域を表している。
【0052】
また、関連付けデータDrは、画像データGの画像と、画像データGの画像によってモニタ表示部31(測定処理用画面30b)を表示させる際の表示部23における画像の表示位置(
図5に示す座標P01〜P54:以下、区別しないときには「座標P」ともいう)と、画像の表示位置に対して付与された表示位置識別符号C01〜C54(
図5参照:以下、区別しないときには「表示位置識別符号C」ともいう)とを相互に関連付ける情報で構成されている。
【0053】
この場合、座標P01,P02・・P54は、画像データG01の画像(セグメントS1aの画像)、画像データG02の画像(セグメントS1bの画像)・・画像データG22の画像(セグメントSB3の画像)を表示すべき表示位置(測定処理用画面30b内での表示座標)をそれぞれ示している。なお、本例の表示用データD2では、一例として、各画像データGの画像における左上角部を位置させるべき表示部23上の座標(表示部23における左上角部を原点とする座標)が座標Pとして関連付けデータDrに記録されている。
【0054】
また、測定装置1に測定処理用画面30aを表示させ、スマートフォン2に測定処理用画面30aを模したモニタ表示部31を表示させる本例では、セグメントS1a〜S4aが同じ形状の「セグメント」で構成され、セグメントS1b〜S4bが同じ形状の「セグメント」で構成され、セグメントS1c〜S4cが同じ形状の「セグメント」で構成され、セグメントS1d〜S4dが同じ形状の「セグメント」で構成され、セグメントS1e〜S4eが同じ形状の「セグメント」で構成され、セグメントS1f〜S4fが同じ形状の「セグメント」で構成され、セグメントS1g〜S4gが同じ形状の「セグメント」で構成され、セグメントSdp2〜Sdp4が同じ形状の「セグメント」で構成され、かつセグメントSB1〜SB3が同じ形状の「セグメント」で構成されている。
【0055】
したがって、本例の関連付けデータDrでは、
図5に示すように、セグメントS1aをモニタ表示部31に表示させるための画像データG01(座標P01に表示する画像の画像データG)を共用して、同じ形状のセグメントS2aなどをモニタ表示部31に表示させ、かつ、セグメントS1bをモニタ表示部31に表示させるための画像データG02(座標P02に表示する画像の画像データG)を共用して、同じ形状のセグメントS2bなどをモニタ表示部31に表示させると共に、セグメントSB1をモニタ表示部31に表示させるための画像データG22(座標P52に表示する画像の画像データG)を共用して、同じ形状のセグメントSB2などをモニタ表示部31に表示させるように記述されている。これにより、本例の表示用データD2では、セグメントSの数と同じ数の画像データGを記録した「表示用データ」と比較して、そのサイズが十分に小さくなっている。
【0056】
さらに、表示位置識別符号C01,C02・・C54は、座標P01の表示位置に付与された識別符号、座標P02の表示位置に付与された識別符号、・・座標P54の表示位置に付与された識別符号で構成されている。なお、本例では、発明についての理解を容易とするために、各「表示位置」に付与された「表示位置識別符号」を「[01]から始まる昇順の算用数字」で表しているが、付与すべき「識別符号」はこれに限定されず、各「表示位置毎に固有の符号」であれば、任意の符号を付与することができる。
【0057】
また、スマートフォン2にインストールされる測定システム用プログラムDpは、上記の測定装置1や、測定装置1と同型の他の測定装置1、および測定装置1とは測定処理が相違する他の「測定装置」などの各種の「測定装置」による測定処理の結果を表示するための共通プログラムであって、各「測定装置」において共通的に実行すべき処理についての手順が記述されている。
【0058】
具体的には、測定システム用プログラムDpには、「測定装置」から識別符号データD0が送信されたときに、その識別符号データD0に関連付けられた表示用データD2が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているか否かを判別する処理、識別符号データD0に関連付けられた表示用データD2が記憶されているときに、表示用データD2の送信が不要であることを報知する制御データD1を「測定装置」に送信する処理、識別符号データD0に関連付けられた表示用データD2が記憶されていないときに、表示用データD2の送信開始を指示する制御データD1を「測定装置」に送信する処理、「測定装置」から表示用データD2が送信されたときに、その表示用データD2を識別符号データD0に関連付けて本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶させる処理、および本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶させた表示用データD2と「測定装置」から送信される表示制御データD4とに基づき、表示制御データD4に記録されている表示位置識別符号Cに対応する座標Pに、その座標Pの表示位置に関連付けられている画像データGの画像を表示させることで上記のモニタ表示部31を表示部23に表示させる処理などの各種の処理の実行手順が記述されている。
【0059】
この場合、本例の測定システム100では、後述するように、モニタ表示部31を構成する各表示要素(各セグメントS)の画像データGや、その画像データGの画像を表示すべき表示位置の座標Pなどを含む表示用データD2が測定装置1からスマートフォン2に送信される。したがって、この測定システム100においてスマートフォン2にインストールされる測定システム用プログラムDpでは、出願人が上記の特許文献に開示している測定システムのスマートフォンにインストールされている測定システム用プログラムとは異なり、モニタ表示部31の各セグメントSを表示するための画像データGや、画像データGの画像を表示すべき表示位置の座標Pのデータなどが存在しない分だけ、従来の測定システム用プログラムよりも十分に小さなサイズとなっている。なお、この測定システム用プログラムDpについては、一例として、インターネット内の任意のサイトからダウンロードして使用するようにしたり、「測定装置」の附属品としてインストール用光ディスクを提供したりすることができる。
【0060】
この測定システム100の使用に際しては、まず、スマートフォン2に測定システム用プログラムDpをインストールする。なお、測定システム用プログラムDpのインストール作業に関しては、「スマートフォンに対する各種プログラムのインストール作業」と同様のため、詳細な説明を省略する。次いで、測定装置1とスマートフォン2との間においてブルートゥースのペアリングを行う。なお、ペアリング作業に関しては、公知の各種ブルートゥース機器のペアリング作業と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0061】
この際に、本例の測定システム100では、一例として、上記のようなペアリング作業が完了して測定装置1とスマートフォン2との間の無線通信が可能な状態となり、その状態でスマートフォン2において測定システム用プログラムDpが起動されたときや、測定装置1の有線通信部15とスマートフォン2の有線通信部25とが信号ケーブル3によって相互に接続されて両者間の有線通信が可能な状態となり、その状態でスマートフォン2において測定システム用プログラムDpが起動されたときに、測定装置1の制御部16が、無線通信部14または有線通信部15を介してスマートフォン2に識別符号データD0を送信する。
【0062】
この場合、ペアリング作業が完了して無線通信部14,24の間における無線通信が可能な状態となった本例では、スマートフォン2において測定システム用プログラムDpが起動されたときに、測定装置1の無線通信部14からスマートフォン2に識別符号データD0が送信される。一方、スマートフォン2では、識別符号データD0が無線通信部24によって受信されたときに(「測定装置と通信可能な状態において予め規定された受信開始条件が満たされたとき」の一例)、制御部26が、測定システム用プログラムDpの記述に従い、その識別符号データD0を本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶させると共に、記憶させた識別符号データD0の符号に関連付けられた表示用データD2(「設定表示、動作状態表示および測定結果表示のうちの少なくとも1つの表示を表示可能な表示用データ」の一例)が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているか否かを判別する。
【0063】
この際に、測定装置1とのブルートゥースのペアリングを行った直後(後述するように、測定装置1の測定処理用画面30aと同じモニタ表示部31を含んだ測定処理用画面30bの表示等を行っていない状態)の本例では、測定装置1から送信された識別符号データD0の符号に関連付けられた表示用データD2(測定装置1の測定処理用画面30aと同様のモニタ表示部31を表示可能な表示用データD2)が本体メモリ21やストレージメモリMに記憶されていない。このため、制御部26は、表示用データD2の送信開始を指示する制御データD1(「送信開始信号」の一例)を無線通信部24から測定装置1する。
【0064】
これに応じて、測定装置1では、無線通信部14によって制御データD1が受信されたときに(「外部装置と通信可能な状態において予め規定された送信開始条件が満たされたとき」の一例)、制御部16が、上記の「データ送信処理」を開始し、メモリ17から表示用データD2を読み出して無線通信部14からスマートフォン2に送信させる。また、スマートフォン2では、制御部26が、測定システム用プログラムDpの記述に従い、無線通信部24によって受信された表示用データD2を、直前に測定装置1から送信された識別符号データD0に関連付けて本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶させる。これにより、スマートフォン2においてモニタ表示部31を表示させる準備が整い、測定システム100を使用することができる状態となる。このような作業を実際の測定作業に先立って実行しておくことにより、測定作業時には、後述するように、測定装置1とスマートフォン2との間の通信(無線通信および有線通信のいずれか)を確立するだけで、測定装置1による測定結果をスマートフォン2に表示させることが可能となる。
【0065】
一方、測定システム100を使用して測定対象体についての測定処理を実施するには、一例として、測定装置1の操作部12を制御して測定処理の条件を設定すると共に、クランプセンサ部11aによって測定対象体をクランプする。次いで、操作部12のスタートスイッチが操作されたときに、制御部16が、設定された測定条件(動作条件)に従って測定部11を制御して測定処理を開始させ、測定部11が、クランプセンサ部11aによってクランプされている測定対象体の抵抗値を測定して、その測定値を制御部16に出力する。
【0066】
これに応じて、制御部16は、設定されている測定条件(動作条件)、および測定装置1の動作状態や、測定部11から出力された測定値に基づき、各セグメントSのうちのいずれのセグメントSを表示させ、かつ、いずれのセグメントSを非表示とするかを特定して表示制御データD3を生成する。また、制御部16は、生成した表示制御データD3を表示部13に出力することにより、
図2に示すように、設定されている測定条件(動作条件)、測定装置1の動作状態、および測定対象体についての抵抗値を示す測定処理用画面30aを表示させる。
【0067】
この場合、本例の測定システム100では、前述したように、測定装置1の表示部13に表示させている測定処理用画面30aと同様のモニタ表示部31を含んだ測定処理用画面30bをスマートフォン2の表示部23に表示させることが可能となっている。具体的には、測定処理用画面30bをスマートフォン2(表示部23)に表示させる際には、一例として、測定装置1による測定処理を継続させた状態において、スマートフォン2の操作部22を操作することで無線通信部24をオン状態(通信可能な状態)とする。これにより、前述したペアリング作業によってペアリングされた測定装置1の無線通信部14とスマートフォン2の無線通信部24とが相互に通信可能な状態となる。次いで、操作部22を操作して、測定システム用プログラムDpを起動させる。
【0068】
この際に、測定装置1では、前述したように、無線通信部14,24の間の無線通信が可能となってスマートフォン2において測定システム用プログラムDpが起動されたときに、制御部16が、無線通信部14を介してスマートフォン2に識別符号データD0を送信する。また、本例では、ペアリグ作業の後に上記したように測定装置1から送信された表示用データD2が識別符号データD0に関連付けられて本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているため、スマートフォン2の制御部26は、送信された識別符号データD0に関連付けられている表示用データD2が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されていると判別する(「一方の装置識別符号に関連付けられている表示用データが携帯端末側記憶部に記憶されているとき」の一例)。この際に、制御部26は、表示用データD2の送信が不要であることを報知する制御データD1(「報知信号」の一例)を測定装置1に送信する。これにより、同じ測定装置1から同じ表示用データD2が複数回送信される不要な「データ送信処理」が実行される事態が回避される。
【0069】
また、制御部26は、測定システム用プログラムDpに従い、無線通信部24を制御して測定装置1に対して表示制御データD4の送信開始を要求する制御データD1を送信させる。一方、測定装置1では、無線通信部14によって表示制御データD4の送信を要求する制御データD1が受信されたときに、制御部16が、表示部13に測定処理用画面30aを表示させるために生成した上記の表示制御データD3に基づいて表示制御データD4を生成し、生成した表示制御データD4を無線通信部14からスマートフォン2に送信させる。
【0070】
この際に、
図6に示すように、一例として、抵抗測定処理を実行するように設定されていることを示す「Ω」との記号で構成された「設定表示」と、測定結果における測定値を示す「103.9」との文字、および測定値が抵抗値であることを示す「Ω」との記号で構成された「測定結果表示」と、測定部11のバッテリ残量を示す電池マーク(この例では、バッテリ残量が十分である旨を示す図柄)、および測定部11に付与された装置番号を示す「16」との文字で構成された「動作状態表示」とが測定装置1における表示部13の測定処理用画面30aに表示されているときには、セグメントS4b,S4c,S3a〜S3f,S2a〜S2d,S2g,Sdp2,S1a〜S1d,S1f,S1g,SOHM,SB0〜SB3,S5a,S5c〜S5g,S6b,S6cを表示させ、他のセグメントSを非表示とするように指示する表示制御データD3が生成されている。
【0071】
したがって、制御部16は、そのような表示制御データD3に基づいて、測定処理用画面30aと同様のモニタ表示部31をスマートフォン2(表示部23)に表示させる表示制御データD4を生成する。なお、スマートフォン2に対して送信する最初の表示制御データD4については、各セグメントSのうちのいずれのセグメントSに対応する画像を表示させ、かついずれのセグメントSに対応する画像を非表示とするかをそれぞれ特定可能とするために、各セグメントSに対応するすべての画像について、表示/非表示のいずれとするかを指示する情報(「特定した画像の表示位置に対応する表示位置識別符号を特定可能な情報」の一例)が記録される。
【0072】
一方、スマートフォン2では、測定装置1から送信された表示制御データD4が無線通信部24によって受信されたときに、制御部26が、表示制御データD2,D4に基づき、前述したように測定装置1の表示部13(測定処理用画面30a)に表示されている「設定表示」、「測定結果表示」および「動作状態表示」と同じ表示を表示部23の測定処理用画面30bに表示させる。具体的には、制御部26は、まず、表示制御データD4に基づき、表示用データD2に記録されている各座標Pの表示位置のうちのいずれの表示位置に画像データGの画像を表示すべきかを特定する。次いで、制御部26は、特定した表示位置に付与されている表示位置識別符号Cを特定すると共に、特定した表示位置識別符号Cの座標Pの表示位置に、特定した表示位置識別符号Cに関連付けられている画像データGの画像をそれぞれ表示させる。
【0073】
これにより、
図6に示すように、セグメントS4b,S4c,S3a〜S3f,S2a〜S2d,S2g,Sdp2,S1a〜S1d,S1f,S1g,SOHM,SB0〜SB3,S5a,S5c〜S5g,S6b,S6cが表示状態となり、かつ他のセグメントSが非表示状態となって、測定装置1の表示部13に表示されている測定処理用画面30aと同様にして、抵抗測定処理を実行するように設定されていることを示す「Ω」との記号で構成された「設定表示」と、測定結果における測定値を示す「103.9」との文字、および測定値が抵抗値であることを示す「Ω」との記号で構成された「測定結果表示」と、測定部11のバッテリ残量を示す電池マーク、および測定部11に付与された装置番号を示す「16」との文字で構成された「動作状態表示」とが測定処理用画面30bのモニタ表示部31内に表される。
【0074】
また、一例として、測定装置1の測定部11による測定結果が「103.9Ω」から「103.8Ω」に変化したときに、測定装置1では、
図7に示すように、一例として、抵抗測定処理を実行するように設定されていることを示す「Ω」との記号で構成された「設定表示」と、測定結果における測定値を示す「103.8」との文字、および測定値が抵抗値であることを示す「Ω」との記号で構成された「測定結果表示」と、測定部11のバッテリ残量を示す電池マーク(この例では、バッテリ残量が十分である旨を示す図柄)、および測定部11に付与された装置番号を示す「16」との文字で構成された「動作状態表示」とが表示部13の測定処理用画面30aに表示されている。このような測定処理用画面30aが表示されているときには、セグメントS4b,S4c,S3a〜S3f,S2a〜S2d,S2g,Sdp2,S1a〜S1g,SOHM,SB0〜SB3,S5a,S5c〜S5g,S6b,S6cを表示させ、他のセグメントSを非表示とするように指示する表示制御データD3が生成されている。
【0075】
したがって、制御部16は、そのような表示制御データD3に基づいて、測定処理用画面30aと同様のモニタ表示部31をスマートフォン2(表示部23)に表示させる表示制御データD4を生成する。なお、スマートフォン2に対して送信する2回目以降の表示制御データD4については、直前に送信した表示制御データD4によって表示させるように指示した画像のうちの非表示とすべき画像と、および直前に送信した表示制御データD4によって非表示とするように指示した画像のうちの表示すべき画像とを特定可能な情報(「特定した画像の表示位置に対応する表示位置識別符号を特定可能な情報」の他の一例)だけが記録される。具体的には、「103.9Ω」との測定結果を表示させるための表示制御データD4に続いて「103.8Ω」との測定結果を表示させるための表示制御データD4を送信する際には、直前に送信した表示制御データD4(「103.9Ω」との測定結果のデータ)において非表示とするように指示した画像データG05の画像(セグメントS1eの画像)を表示するように指示する情報が表示制御データD4として記録される。
【0076】
一方、スマートフォン2では、測定装置1から送信された表示制御データD4が無線通信部24によって受信されたときに、制御部26が、表示制御データD2,D4に基づき、「設定表示」、「測定結果表示」および「動作状態表示」を表示部23の測定処理用画面30bに表示させる。これにより、
図7に示すように、セグメントS4b,S4c,S3a〜S3f,S2a〜S2d,S2g,Sdp2,S1a〜S1g,SOHM,SB0〜SB3,S5a,S5c〜S5g,S6b,S6cが表示状態となり、かつ他のセグメントSが非表示状態となって、測定装置1の表示部13に表示されている測定処理用画面30aと同様にして、抵抗測定処理を実行するように設定されていることを示す「Ω」との記号で構成された「設定表示」と、測定結果における測定値を示す「103.8」との文字、および測定値が抵抗値であることを示す「Ω」との記号で構成された「測定結果表示」と、測定部11のバッテリ残量を示す電池マーク、および測定部11に付与された装置番号を示す「16」との文字で構成された「動作状態表示」とが測定処理用画面30bのモニタ表示部31内に表される。この後、測定装置1からスマートフォン2に新たな表示制御データD4が送信される都度、測定装置1の表示部13に表示されている測定処理用画面30aと同様のモニタ表示部31がスマートフォン2の表示部23(測定処理用画面30b)に表示される。
【0077】
なお、上記の例とは相違するが、スマートフォン2の本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に表示用データD2が記憶されている状態で、スマートフォン2において測定システム用プログラムDpが起動され、かつ「測定処理」が開始されていない測定装置1の無線通信部14とスマートフォン2の無線通信部24との間の無線通信が確立した状態となったときには、一例として、測定装置1からスマートフォン2に対して、セグメントSOHM、およびセグメントSB0〜SB3の表示を指示する表示制御データD4が送信される。これにより、スマートフォン2の表示部23に、抵抗測定処理を実行するように設定されていることを示す「設定表示」としてのセグメントSOHMで構成された「Ω」との記号、およびバッテリ残量が十分であることを示す「動作状態表示」としてのセグメントSB0〜SB3で構成された図柄が表示される(図示せず)。
【0078】
また、詳細な説明を省略するが、前述したような測定処理を完了した後に、測定装置1によって2回目以降の測定処理が行われたときにも、その測定結果などをスマートフォン2の表示部23(測定処理用画面30b)に表示させることができる。この際には、前述したように、モニタ表示部31を表示させるための表示用データD2が1回目の測定処理に先立って測定装置1からスマートフォン2に送信されて本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているため、測定装置1からスマートフォン2に表示制御データD4を送信するだけで、上記のモニタ表示部31の表示時と同様にして、2回目以降の測定処理時に設定されている動作条件(測定条件)および動作状態や、測定処理の結果をスマートフォン2に表示させることができる。
【0079】
一方、測定装置1とは種類が相違する他の「測定装置」の測定結果等をスマートフォン2に表示させる際には、前述したように測定装置1からスマートフォン2に表示用データD2を送信したときと同様にして、その「測定装置」からスマートフォン2に、表示用データD2を送信させることで、その「測定装置」の「測定処理用画面」と同じレイアウトで同じ情報をスマートフォン2の表示部23に表示させることができる(図示せず)。
【0080】
このように、この測定装置1では、「少なくとも1つの表示」(本例では、「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」のすべて)としてのモニタ表示部31を表示させる表示部23を備えたスマートフォン2と通信可能な状態において予め規定された「送信開始条件」が満たされたとき(本例では、スマートフォン2から表示用データD2の送信を開始する旨の制御データD1が送信されたとき)に、表示用データD2をスマートフォン2に送信する「データ送信処理」を実行し、「表示制御処理」において、モニタ表示部31を構成する画像を特定すると共に、特定した画像の表示位置に付与された表示位置識別符号Cを特定可能な表示制御データD4をスマートフォン2に送信する。また、このスマートフォン2では、測定システム用プログラムDpの記述に従い、測定装置1から送信された表示用データD2を本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶させると共に、「表示処理」において、測定装置1から送信された表示制御データD4および表示用データD2に基づき、表示制御データD4に基づいて特定した表示位置識別符号Cに関連付けられている画像データGの画像を表示位置識別符号Cが付与されている表示位置に表示させることで表示部23にモニタ表示部31を表示させる。さらに、この測定システム100では、上記の測定装置1およびスマートフォン2を備えて構成されている。
【0081】
したがって、この測定装置1、スマートフォン2および測定システム100によれば、複数種類の「測定装置」についての上記の「少なくとも1つの表示」をそれぞれ表示可能に複数種類の画像データGをスマートフォン2に予め記憶させておくことなく、測定装置1からスマートフォン2に画像データGや座標Pのデータを含む表示用データD2を送信することで、測定装置1についてのモニタ表示部31をスマートフォン2に表示させることができるため、「少なくとも1つの表示」を表示すべき測定装置1用の表示用データD2だけをスマートフォン2に記憶させることで、スマートフォン2の貴重な記憶領域が不要に占有される事態を招くことなく、スマートフォン2の表示部23に「少なくとも1つの表示」を確実に表示することができる。
【0082】
また、この測定装置1、スマートフォン2および測定システム100によれば、7セグメント表示方式の文字における各セグメントSの画像の画像データGをメモリ17に記憶させ、そのような画像データGを含む表示用データD2をスマートフォン2に送信することで7セグメント表示方式の文字を含んで構成されるモニタ表示部31を表示部23に表示可能としたことにより、例えば、数字の「0」から「9」の10種類の画像データを用いて「0」から「9」の10種類の数字を表示させるのとは異なり、各セグメントSの画像の7種類の画像データG(本例では、画像データG01〜G07)をスマートフォン2に送信するだけで、「0」から「9」の10種類の数字を表示させることができるため、画像データGによって占有されるメモリ17の記憶領域や、スマートフォン2に送信するデータ量(表示用データD2のデータサイズ)を十分に小さくすることができる。
【0083】
また、この測定装置1、スマートフォン2および測定システム100によれば、測定装置1が、「表示制御処理」において、表示部13に表示させたセグメントSに対応する画像の表示位置に関連付けられている表示位置識別符号Cを特定可能な表示制御データD4をスマートフォン2に送信することにより、表示部13に測定処理用画面30aを表示させるための表示制御データD3とは別個に、スマートフォン2の表示部23にモニタ表示部31(測定処理用画面30b)を表示させるための「表示制御データ」を生成しなくて済むため、スマートフォン2の表示部23に「少なくとも1つの表示(モニタ表示部31)」を表示させる際に制御部16に加わる負担を十分に軽減することができる。
【0084】
さらに、この測定装置1、スマートフォン2および測定システム100によれば、スマートフォン2が、測定装置1と通信可能な状態において予め規定された「受信開始条件」が満たされたときに、測定装置1による測定結果を示すモニタ表示部31を表示可能な表示用データD2が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているか否かを判別し、表示用データD2が記憶されていないときに表示用データD2の送信を開始させる制御データD1を測定装置1に送信することにより、表示用データD2が既に本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されている測定装置1から同じ表示用データD2を送信させる不要な「データ送信処理」が実行される事態を好適に回避することができると共に、モニタ表示部31の表示に必要な表示用データD2をスマートフォン2の本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に確実に記憶させてモニタ表示部31を確実に表示させることができる。
【0085】
さらに、この測定装置1では、「データ送信処理」に先立ち、識別符号データD0をスマートフォン2に送信すると共に、表示用データD2の送信を許容する制御データD1がスマートフォン2から送信されたときに「送信開始条件」が満たされたとして「データ送信処理」を開始する。また、このスマートフォン2では、識別符号データD0が測定装置1から送信されたときに、識別符号データD0に関連付けられている表示用データD2が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されていないときには、表示用データD2の送信を開始させる制御データD1を測定装置1に送信すると共に測定装置1から送信される表示用データD2を識別符号データD0に関連付けて本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶させ、識別符号データD0に関連付けられている表示用データD2が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているときには、表示用データD2の送信が不要であることを報知する制御データD1を測定装置1に送信する。さらに、この測定システム100では、上記の測定装置1およびスマートフォン2を備えて構成されている。
【0086】
したがって、この測定装置1、スマートフォン2および測定システム100によれば、測定装置1についての「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」(モニタ表示部31)を表示可能な表示用データD2がスマートフォン2に記憶されているか否かを正確に判別させることができるため、表示用データD2が既に本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているスマートフォン2に対して測定装置1から同じ表示用データD2を送信させるという不要な「データ送信処理」を確実に回避することができると共に、モニタ表示部31の表示に必要な表示用データD2をスマートフォン2の本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に確実に記憶させてモニタ表示部31を一層確実に表示させることができる。
【0087】
なお、測定装置、携帯端末装置および測定システムの構成は、上記の例示に限定されない。例えば、7セグメント表示方式の文字における各セグメントSの画像の画像データG01〜G07を含む表示用データD2をスマートフォン2に送信する構成を例に挙げて説明したが、上記の画像データG01〜G07に代えて、「0」から「9」の10種類の数字が描かれた10個の「画像データ」を含ませた「表示用データ」を「外部装置」としての「携帯端末装置」に送信することで「0」から「9」の10種類の数字を含む「測定結果表示」を表示させる構成を採用することもできる(図示せず)。
【0088】
また、「データ送信処理」の開始に先立ち、「第1の装置識別符号」の一例である識別符号データD0を測定装置1からスマートフォン2に送信し、スマートフォン2において、送信された識別符号データD0に関連付けられた表示用データD2が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているか否かを判別する構成を例に挙げて説明したが、上記の識別符号データD0に代えて、測定装置1と同じモニタ表示部31を表示可能に構成された測定装置群(測定装置1の表示部13における各セグメントSと同様のセグメントSによって「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」を表示するタイプの各種の測定装置)に対して共通的に付与された「第2の装置識別符号」を記録した識別符号データをスマートフォン2に送信し、スマートフォン2において、送信された識別符号データに関連付けられた表示用データD2が本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に記憶されているか否かを判別する構成を採用することもできる。このような構成を採用することで、「第2の装置識別符号」に関連付けられた表示用データD2がスマートフォン2の本体メモリ21(または、ストレージメモリM)に既に記憶されているときに、その「第2の装置識別符号」が付与された他の測定装置に対して、同じ表示用データD2を送信させるという不要な「データ送信処理」が実行される事態を確実に回避することができる。
【0089】
また、ブルートゥース規格に準じた近距離無線通信を実行可能な無線通信部14を有する測定装置1を備えた測定システム100を例に挙げて説明したが、この構成に代えて、または、この構成に加えて、無線LANに接続可能な無線通信部、IrDA規格に準じた赤外線通信を実行可能な無線通信部、およびZigBee(登録商標)規格に準じた近距離無線通信が可能な無線通信部(いずれも図示せず)を有する「測定装置」や「携帯端末装置」を備えて「測定システム」を構成することもできる。このような構成を採用した場合においても、上記の測定システム100と同様の効果を奏することができる。
【0090】
さらに、無線通信部14,24間での無線通信によって制御データD1や表示制御データD4を送受信させる使用方法を例に挙げて説明したが、上記の測定システム100では、有線通信部15,25の間を信号ケーブル3で接続した状態において、制御データD1や表示制御データD4を有線通信で送受信させることもできる。この場合、「有線通信部」としては、上記の例示のようなUSB規格に応じた有線通信だけでなく、IEEE488規格や、IEEE1394規格などに準じた各種の有線通信規格で各種の信号やデータを送受信する構成を採用することもできる。また、「測定装置」および「携帯端末装置」の間の通信手段としては、近距離無線通信や有線通信等に限定されず、公衆回線網やインターネット通信網等を利用した遠距離通信を利用することもできる。
【0091】
また、「携帯端末装置」の一例として、測定システム用プログラムDpをインストールした既存のスマートフォン2を使用する構成を例に挙げて説明したが、「携帯端末装置」は、「スマートフォン」に限定されず、「タブレット端末」や「ノート型パーソナルコンピュータ」に測定システム用プログラムDpと同様の「測定システム用プログラム」をインストールして「携帯端末装置」として使用することもできる。さらに、スマートフォン2にインストールする測定システム用プログラムDpに関し、インターネット内の任意のサイトからダウンロードして使用するようにしたり、「測定装置」の附属品としてインストール用光ディスクを提供したりする例を説明したが、この測定システム用プログラムDpについても、表示用データD2と同様に「測定装置」から「携帯端末装置」に送信してインストールさせる構成を採用することもできる。
【0092】
また、測定装置1の表示部13に表示される測定処理用画面30aと同じレイアウトで同じ情報をスマートフォン2の表示部23(測定処理用画面30b)に表示させる例について説明したが、「測定装置側表示部」に表示させる「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」とはレイアウトや内容が相違する表示を「外部装置側表示部」に表示させる構成を採用することもできる。さらに、表示部13を一体的に備えた測定装置1を例に挙げて説明したが、「測定装置側表示部」が存在しない「測定装置」からスマートフォン2などの「携帯端末装置」に「表示用データ」や「表示制御データ」を送信して、「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」を表示させる構成を採用することもできる。
【0093】
また、「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」のすべてを「外部装置(携帯端末装置)」としてのスマートフォン2の表示部23に表示させる構成を例に挙げて説明したが、「設定表示」、「動作状態表示」および「測定結果表示」のうちのいずれか1つ、または2つだけを「外部装置(携帯端末装置)」の表示部に表示させる構成を採用することもできる。なお、「設定表示」は、上記の例示のような「設定されている測定処理の種類)(抵抗測定処理や電流測定処理)」を示す表示に限定されず、測定レンジ、トリガレベル、サンプリング周期、測定開始時刻および測定終了時刻などの各種の設定項目に関する設定値を示す各種の表示がこれに含まれる。また、「動作状態表示」についても、上記の例示に加え、測定処理中であることを示す「MEASURE」との文字列で構成される表示や、測定値の記憶可能容量が少ないことを示す予め規定された図柄(図示せず)で構成される表示などの各種の表示がこれに含まれる。
【0094】
さらに、「測定装置」の一例であるクランプ式抵抗測定装置(測定装置1)を備えて構成した例に挙げて説明したが、「測定装置」の構成はこれに限定されず、電流値、電圧値、抵抗値、位相、電力、温度、湿度、輝度および照度などの各種の被測定量(電気的パラメータ)を測定可能な「測定装置」を備えて構成することができる。