特許第6599105号(P6599105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599105電力管理装置、モジュールシステム及び電力管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599105
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】電力管理装置、モジュールシステム及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20191021BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20191021BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20191021BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20191021BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H04Q9/00 311H
   H02J13/00 D
   H02J13/00 301A
   G08C15/00 C
   G08C19/00 P
   H04B3/54
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-15197(P2015-15197)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-140013(P2016-140013A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 教志
【審査官】 藤江 大望
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−154114(JP,A)
【文献】 特開平06−014371(JP,A)
【文献】 特開2008−219408(JP,A)
【文献】 特開2006−013703(JP,A)
【文献】 特開2010−288026(JP,A)
【文献】 特開2015−12447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R11/00−11/66
21/00−22/10
35/00−35/06
G08C13/00−25/04
H02J13/00
H03J 9/00−9/06
H04B 1/38−1/58
1/76−3/44
3/50−3/60
7/00−7/015
H04L12/28−12/417
12/44−12/46
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
H04Q 9/00− 9/16
24/00
28/02
72/04
74/04
74/08
84/12
88/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線を介してスマートメータと接続された電力管理装置であって、
前記スマートメータに対して、前記電力線を介してメッセージを送信する送信部と、
前記電力線に接続された電力センサから受信する電力値に基づいて、前記電力線の状態を判断し、前記電力線の状態に応じて、前記メッセージのタイムアウト時間を設定する制御部と、を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電力線の状態が所定状態よりも悪い場合に、前記タイムアウト時間として第1タイムアウト時間を設定し、前記電力線の状態が前記所定状態よりも良い場合に、前記タイムアウト時間として前記第1タイムアウト時間よりも短い第2タイムアウト時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
スマートメータと電力管理装置とを接続する電力線の一部を介して前記スマートメータと通信を行うように構成される第1通信モジュールと、
前記電力線の一部を介して前記電力管理装置と通信を行うように構成される第2通信モジュールとを備え、
前記第1通信モジュールから前記スマートメータに送信されるメッセージのタイムアウト時間は、前記電力線に接続された電力センサから受信する電力値に基づいて判断される前記電力線の状態に応じて、前記電力管理装置によって設定されることを特徴とするモジュールシステム。
【請求項4】
スマートメータと電力管理装置とを接続する電力線を用いた通信を行う電力管理方法であって、
前記スマートメータに対して、前記電力線を介してメッセージを送信するステップと、
前記電力線に接続された電力センサから受信する電力値に基づいて、前記電力線の状態を判断し、前記電力線の状態に応じて、前記メッセージのタイムアウト時間を設定するステップとを備えることを特徴とする電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統から需要家施設に供給される電力を示す情報を管理するための電力管理装置、モジュールシステム及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、需要家施設に設けられる機器の電力を管理する電力管理システム(EMS:Energy Management System)が注目を浴びている。このような電力管理システムでは、機器の電力を管理する電力管理装置が設けられる。
【0003】
電力管理装置としては、住宅に設けられるHEMS(HOME Energy Management System)、ビルに設けられるBEMS(Building Energy Management System)、工場に設けられるFEMS(Factory Energy Management System)、店舗にSEMS(Store Energy Management System)等が挙げられる。
【0004】
このようなケースにおいて、電力系統から需要家施設に供給される電力を測定するメータとして、通信機能を有するスマートメータの導入が検討されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
ここで、電力線を用いて1対の装置の間の通信を行う技術(PLC:Power Line Communication技術)が提案されている(例えば、特許文献2,3)。このようなPLC技術は、スマートメータと電力管理装置との間の通信で用いられることも検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−174384号公報
【特許文献2】国際公開第2009/130905号
【特許文献3】特開2008−141455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したスマートメータの仕様において、スマートメータは、連続的に複数のメッセージを受け付けない旨が規定されている。
【0008】
上述したスマートメータの仕様に対応するために、電力管理装置は、スマートメータに対してメッセージを送信してからタイムアウト時間が経過するまで、新たなメッセージの送信を保留する。一方で、電力管理装置は、スマートメータに対してメッセージを送信してからタイムアウト時間が経過すると、スマートメータにメッセージが到達しなかったと判断して、スマートメータに対して新たなメッセージを送信する。
【0009】
このような背景下において、電力管理装置とスマートメータとの間の通信において、上述したPLC技術が利用される場合には、電力線を流れる電力量が通信に大きな影響を与えることが想定される。
【0010】
従って、電力線を用いる通信状態が良い状態において、タイムアウト時間として大きな値が設定されていると、電力線を用いる通信状態とは異なる要因によってメッセージがスマートメータに到達していないにもかかわらずに、電力管理装置は、タイムアウト時間の経過を待たなければ、新たなメッセージを送信することができない。
【0011】
一方で、電力線を用いる通信状態が悪い状態において、タイムアウト時間として小さな値が設定されていると、スマートメータがメッセージを受信しているにもかかわらず、電力管理装置は、タイムアウト時間の経過に応じて、新たなメッセージを送信してしまう。すなわち、新たなメッセージは、スマートメータによって受け付けられない。
【0012】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、スマートメータが連続的に複数のメッセージを受け付けないという事情を考慮しながらも、電力管理装置が新たなメッセージを送信するまでの待ち時間を適切に低減することを可能とする電力管理装置、モジュールシステム及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の特徴は、電力管理装置であって、電力系統から需要家施設に供給される電力を計測するスマートメータに対して、前記需要家施設に設けられる電力線を介してメッセージを送信する送信部と、前記送信部を制御する制御部とを備え、前記送信部は、前記スマートメータに対して第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信するように構成されており、前記制御部は、前記電力線の状態に応じて、前記タイムアウト時間を設定することを特徴とする。
【0014】
第2の特徴は、モジュールシステムであって、電力系統から需要家施設に供給される電力を計測するスマートメータに接続される第1通信モジュールと、前記電力系統から需要家施設に供給される電力の情報を管理する電力管理装置に接続された第2通信モジュールとを備え、前記第1通信モジュール及び前記第2通信モジュールは、前記需要家施設に設けられる電力線を介して通信を行うように構成されており、前記第2通信モジュールは、前記スマートメータに対して第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信するように構成されており、前記タイムアウト時間は、前記電力線の状態に応じて、前記電力管理装置によって設定されることを要旨とする。
【0015】
第3の特徴は、電力管理方法であって、電力系統から需要家施設に供給される電力を計測するスマートメータに対して、前記需要家施設に設けられる電力線を介してメッセージを送信するステップと、前記スマートメータに対して第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信するステップと、前記電力線の状態に応じて、前記タイムアウト時間を設定するステップとを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スマートメータが連続的に複数のメッセージを受け付けないという事情を考慮しながらも、電力管理装置が新たなメッセージを送信するまでの待ち時間を適切に低減することを可能とする電力管理装置、モジュールシステム及び電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係る管理システム100を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る電力管理方法を示すシーケンス図である。
図3図3は、変更例1に係る管理システム100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、実施形態に係る電力管理装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0019】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
[実施形態の概要]
実施形態に係る電力管理装置は、電力系統から需要家施設に供給される電力を計測するスマートメータに対して、前記需要家施設に設けられる電力線を介してメッセージを送信する送信部と、前記送信部を制御する制御部とを備え、前記送信部は、前記スマートメータに対して第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信するように構成されており、前記制御部は、前記電力線の状態に応じて、前記タイムアウト時間を設定する。
【0021】
実施形態では、電力管理装置は、第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信するという前提下において、電力線の状態に応じてタイムアウト時間を設定する。すなわち、スマートメータが連続的に複数のメッセージを受け付けないという事情を考慮しながらも、タイムアウト時間を動的に変更することによって、電力管理装置が新たなメッセージを送信するまでの待ち時間を適切に低減することができる。
【0022】
[第1実施形態]
(管理システム)
以下において、第1実施形態に係る管理システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係る管理システム100を示す図である。
【0023】
図1に示すように、管理システム100は、スマートメータ10と、EMS20と、モジュールシステム30とを有する。管理システム100は、電力系統から需要家施設に供給される電力を管理するためのシステムである。スマートメータ10及びEMS20は、需要家施設の建物内に設けられていてもよく、需要家施設の建物外に設けられていてもよい。需要家施設に設けられる機器は、冷蔵庫、照明、エアコン、テレビなどの負荷、太陽電池ユニット、蓄電池ユニット、燃料電池ユニット、貯湯ユニットなどを含む。
【0024】
第1実施形態において、スマートメータ10とEMS20との間の通信は、需要家施設内に設けられる電力線を通信回線として用いる電力線搬送通信(例えば、PLC;Power Line Communication)によって行われる。スマートメータ10とEMS20との間の通信は、例えば、ECHONET Lite方式で行われる。
【0025】
スマートメータ10は、電力系統から需要家施設に供給される電力を測定する。例えば、電力系統から需要家施設に電力を供給するための主幹電力線に接続される。
【0026】
第1実施形態において、スマートメータ10は、需要家施設内に設けられる電力線を通信回線として用いてEMS20と電力線搬送通信を行う。具体的には、スマートメータ10は、通信部11と、制御部12とを有する。
【0027】
通信部11は、電力線搬送通信によってメッセージをEMS20に送信し、電力線搬送通信によってメッセージをEMS20から受信する。例えば、通信部11は、電力系統から需要家施設に供給される電力の情報である電力情報をEMS20に送信する。電力情報は、一定期間(例えば、30分)において需要家施設に供給される電力の積算値であってもよく、需要家施設に供給される電力の瞬時値であってもよい。
【0028】
ここで、通信部11は、EMS20からメッセージを受信してからEMS20に対して応答メッセージを送信するまで、新たなメッセージを受け付けず、新たなメッセージを無視する。すなわち、通信部11は、複数のメッセージを連続的に受け付けないように構成されている。連続的なメッセージの受け付けがスマートメータ10で禁止されており、新たなメッセージがエラーと判定される可能性がある。或いは、連続的なメッセージの受け付けがスマートメータ10で禁止されていなくても、新たなメッセージが予期しない挙動を引き起こす可能性がある。
【0029】
スマートメータ10とEMS20との間で送信又は受信されるメッセージは、例えば、ECHONET Lite方式に準拠するメッセージフォーマットを有する。
【0030】
制御部12は、CPU及びメモリによって構成されており、スマートメータ10を制御する。制御部12は、電力系統から需要家施設に供給される電力を測定するとともに、電力情報を送信するように通信部11を制御する。
【0031】
EMS20は、電力系統から需要家施設に供給される電力を示す電力情報を管理する電力管理装置の一例である。EMS20は、需要家施設内に設けられる電力線を通信回線として用いてスマートメータ10と電力線搬送通信を行う。具体的には、EMS20は、通信部21と、制御部22とを有する。
【0032】
通信部21は、電力線搬送通信によってメッセージをスマートメータ10に送信し、電力線搬送通信によってメッセージをスマートメータ10から受信する。通信部21は、需要家施設に設けられる電力線を介して、スマートメータ10にメッセージを送信する送信部を構成する。上述したように、スマートメータ10とEMS20との間で送信又は受信されるメッセージは、例えば、ECHONET Lite方式に準拠するメッセージフォーマットを有する。
【0033】
ここで、通信部21は、スマートメータ10に対して第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信する。言い換えると、通信部21は、第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過するまで、第1メッセージに続く第2メッセージの送信を保留する。但し、通信部21は、第1メッセージに対する応答メッセージをスマートメータ10から受信する場合には、タイムアウト時間が経過する前であっても、第1メッセージに続く第2メッセージを送信してもよい。
【0034】
制御部22は、CPU及びメモリによって構成されており、スマートメータ10を制御する。制御部22は、スマートメータ10とEMS20とを接続する電力線の状態に応じて、タイムアウト時間を設定する。
【0035】
例えば、制御部22は、スマートメータ10にメッセージを送信してからスマートメータ10から応答メッセージを受信するまでの時間間隔に基づいて、電力線の状態を判断する。詳細には、制御部22は、時間間隔が所定時間よりも長い場合に、電力線の状態が所定状態よりも悪いと判断し、タイムアウト時間として第1タイムアウト時間を設定する。一方で、制御部22は、時間間隔が所定時間よりも短い場合に、電力線の状態が所定状態よりも良いと判断し、タイムアウト時間として第1タイムアウト時間よりも短い第2タイムアウト時間を設定する。
【0036】
ここで、制御部22は、3段階以上のタイムアウト時間を設定してもよい。このようなケースにおいては、電力線の状態は3段階以上の状態を含み、電力線の状態を判断するための所定時間は2種類以上の時間を含む。
【0037】
或いは、制御部22は、電力線の電波通信品質に基づいて、電力線の状態を判断してもよい。電波通信品質は、例えば、EMS20に接続されるモジュール(後述する第2モジュール32)によって生成されるLQI(Line Quality Indicator)である。詳細には、制御部22は、LQIが所定閾値よりも大きい場合に、電力線の状態が所定状態よりも悪いと判断し、タイムアウト時間として第1タイムアウト時間を設定する。一方で、制御部22は、LQIが所定閾値よりも小さい場合に、電力線の状態が所定状態よりも良いと判断し、タイムアウト時間として第1タイムアウト時間よりも短い第2タイムアウト時間を設定する。
【0038】
ここで、制御部22は、3段階以上のタイムアウト時間を設定してもよい。このようなケースにおいては、電力線の状態は3段階以上の状態を含み、電力線の状態を判断するための所定閾値は2種類以上の閾値を含む。
【0039】
モジュールシステム30は、第1モジュール31と、第2モジュール32とを有する。第1モジュール31及び第2モジュール32は、需要家施設内に設けられる電力線を通信回線として用いる電力線搬送通信(例えば、PLC)を実現するためのモジュールである。すなわち、第1モジュール31及び第2モジュール32は、需要家施設に設けられる電力線を介して通信を行うように構成されている。
【0040】
第1モジュール31は、スマートメータ10とEMS20とを接続する電力線に接続される。例えば、第1モジュール31は、電力線を終端する電源コンセントに差し込まれる。第1モジュール31は、スマートメータ10(通信部11)に接続される。第1モジュール31と通信部11とを接続する信号線は、有線回線であってもよく、無線回線であってもよい。第1モジュール31は、電波通信品質(LQI)を生成する機能を有する。
【0041】
第2モジュール32は、スマートメータ10とEMS20とを接続する電力線に接続される。例えば、第2モジュール32は、電力線を終端する電源コンセントに差し込まれる。第2モジュール32は、EMS20(通信部21)に接続される。第2モジュール32と通信部21とを接続する信号線は、有線回線であってもよく、無線回線であってもよい。第2モジュール32は、電波通信品質(LQI)を生成する機能を有する。
【0042】
(電力管理方法)
以下において、第1実施形態に係る電力管理方法について説明する。図2は、第1実施形態に係る電力管理方法を示すシーケンス図である。ここでは、ECHONET Lite方式が用いられるケースを例示する。
【0043】
図2に示すように、ステップS10において、EMS20は、GETコマンドをスマートメータ10に送信する。GETコマンドは、ECHONET Lite方式に準拠するメッセージの一例であり、例えば、電力情報(積算値又は瞬時値)の送信を要求するメッセージである。
【0044】
ステップS20において、EMS20は、タイマをセット(起動)する。タイマは、カウントアップ方式であってもよく、カウントダウン方式であってもよい。
【0045】
ステップS30において、スマートメータ10は、GET応答コマンドをEMS20に送信する。GET応答コマンドは、ECHONET Lite方式に準拠するメッセージの一例であり、例えば、電力情報(積算値又は瞬時値)を含むメッセージである。ここでは、EMS20がタイマのタイムアウト前にGET応答コマンドを受信するケースを例示する。
【0046】
ステップS40において、EMS20は、タイマをリセット(停止)する。
【0047】
ステップS50において、EMS20は、タイムアウト時間を設定する。具体的には、EMS20は、スマートメータ10とEMS20とを接続する電力線の状態に応じて、タイムアウト時間を設定する。上述したように、EMS20は、スマートメータ10にメッセージを送信してからスマートメータ10から応答メッセージを受信するまでの時間間隔に基づいて、電力線の状態を判断してもよい。或いは、EMS20は、電力線の電波通信品質(例えば、LQI)に基づいて、電力線の状態を判断してもよい。
【0048】
ステップS60において、EMS20は、GETコマンドをスマートメータ10に送信する。
【0049】
ステップS70において、EMS20は、タイマをセット(起動)する。
【0050】
ステップS80において、EMS20は、タイマのタイムアウトを検出する。
【0051】
ステップS90において、EMS20は、GETコマンドをスマートメータ10に送信する。具体的には、EMS20は、ステップS60で送信するGETコマンドがスマートメータ10に到達しなかったと判断して、GETコマンドをスマートメータ10に送信する。或いは、EMS20は、ステップS60で送信するGETコマンドに応じて、スマートメータ10から返信されるGET応答コマンドがEMS20に到達しなかったと判断して、GETコマンドをスマートメータ10に送信する。
【0052】
ここで、ステップS90で送信するGETコマンドは、ステップS60で送信するGETコマンドの再送コマンドであってもよい。ステップS60で送信するGETコマンドは第1メッセージの一例であり、ステップS90で送信するGETコマンドは第2メッセージの一例である。
【0053】
(作用及び効果)
第1実施形態では、EMS20は、第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信するという前提下において、電力線の状態に応じてタイムアウト時間を設定する。すなわち、スマートメータが連続的に複数のメッセージを受け付けないという事情を考慮しながらも、タイムアウト時間を動的に変更することによって、EMS20が新たなメッセージを送信するまでの待ち時間を適切に低減することができる。
【0054】
第1実施形態では、EMS20は、電力線の状態が所定状態よりも悪いと判断した場合に、タイムアウト時間として第1タイムアウト時間を設定し、電力線の状態が所定状態よりも良いと判断した場合に、タイムアウト時間として第1タイムアウト時間よりも短い第2タイムアウト時間を設定する。従って、EMS20が新たなメッセージを送信するまでの待ち時間を適切に低減することができる。
【0055】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0056】
第1実施形態では、EMS20は、メッセージを送信してから応答メッセージを受信するまでの時間間隔、或いは、電力線の電波通信品質(例えば、LQI)に基づいて、電力線の状態を判断する。これに対して、変更例1では、EMS20は、需要家施設内に設けられる電力線に接続された電力センサから受信する電力値に基づいて、電力線の状態を判断する。
【0057】
(管理システム)
以下において、変更例1に係る管理システムについて説明する。図3は、変更例1に係る管理システム100を示す図である。図3では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。従って、図1と同様の構成の説明については省略する。
【0058】
図1に示すように、管理システム100は、図1に示す構成に加えて、電力センサ40を有する。電力センサ40は、スマートメータ10とEMS20とを接続する電力線に接続される。或いは、電力センサ40は、電力系統から需要家施設に電力を供給するための主幹電力線に接続される。
【0059】
ここで、EMS20(通信部21)は、電力線を流れる電力の値である電力値を電力センサ40から受信する。EMS20(制御部22)は、電力センサ40から受信する電力値に基づいて、電力線の状態を判断してもよい。詳細には、制御部22は、電力値が所定閾値よりも大きい場合に、電力線の状態が所定状態よりも悪いと判断し、タイムアウト時間として第1タイムアウト時間を設定する。一方で、制御部22は、電力値が所定閾値よりも小さい場合に、電力線の状態が所定状態よりも良いと判断し、タイムアウト時間として第1タイムアウト時間よりも短い第2タイムアウト時間を設定する。
【0060】
ここで、制御部22は、3段階以上のタイムアウト時間を設定してもよい。このようなケースにおいては、電力線の状態は3段階以上の状態を含み、電力線の状態を判断するための所定閾値は2種類以上の閾値を含む。
【0061】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0062】
実施形態では、EMS20(通信部21)は、スマートメータ10に対して第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信する。すなわち、上述した第2モジュール32は、必然的に、スマートメータ10に対して第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過した後に第2メッセージを送信する。但し、第2モジュール32は、第1メッセージを送信してからタイムアウト時間が経過するまで、第2メッセージの送信を保留する機能を有していてもよい。このようなケースにおいては、EMS20(制御部22)は、タイムアウト時間を第2モジュール32に設定してもよい。
【0063】
EMS20(制御部22)は、スマートメータ10にメッセージを送信してからスマートメータ10から応答メッセージを受信するまでの時間間隔、電力線の電波通信品質(例えば、LQI)、及び、電力センサ40から受信する電力値のうち、少なくとも2以上の情報に基づいて、電力線の状態を判断してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…スマートメータ、11…通信部、12…制御部、20…EMS、21…通信部、22…制御部、30…モジュールシステム、31…第1モジュール、32…第2モジュール、40…電力センサ、100…管理システム
図1
図2
図3