特許第6599145号(P6599145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599145詰替用液体袋を用いた液体取出装置及び液体取出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599145
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】詰替用液体袋を用いた液体取出装置及び液体取出方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-133456(P2015-133456)
(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公開番号】特開2017-13867(P2017-13867A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】599154652
【氏名又は名称】龍江精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100173668
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 吉之助
(72)【発明者】
【氏名】田中 直樹
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−209098(JP,A)
【文献】 特開2001−335087(JP,A)
【文献】 特開2004−161287(JP,A)
【文献】 特開2000−190942(JP,A)
【文献】 特開2005−313994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 33/36
B65D 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収納した詰替用液体袋と、該詰替用液体袋の上部に装着される液体の吸引・注出手段であるポンプ体と、該ポンプ体の吸引部に連通状態で取り付けられると共に前記詰替用液体袋の内部に挿通配設される吸引管と、を有して成り、
前記ポンプ体の動作によって前記詰替用液体袋内の液体を吸引・注出するに従って、前記詰替用液体袋内の負圧化に伴って収縮(縮小)していく構成(但し、負圧化に伴って底面が高さ方向に上昇して収縮するボトル構成は除く。)のエアレスタイプの液体取出装置において、
前記吸引管は、その先端部及び全体が前記詰替用液体袋の略中央部より上方に配設されており、
前記詰替用液体袋は、少なくとも対向する両側の2辺にヒートシールによる封止部が設けられた合成樹脂製の袋体であり、
更に、前記詰替用液体袋は、上部の1辺にヒートシールによる上封止部が設けられ、該上封止部に前記ポンプ体が直接取付けられるか、又は該上封止部に取り付けられたポンプ体被取付部を介して取付けられる構成(但し、上封止部に取付けられたポンプ体、又はポンプ体被取付部が、詰替用液体袋の内部側に押し込まれた状態となる構成を除く。)により該詰替用液体袋の最大充填量まで液体を充填可能であり、
且つ液体の吸引・注出に際して、該詰替用液体袋の水平方向断面形状が略正三角形・略正方形を含む略正多角形乃至略円形のいずれかの形状に近似するように、該詰替用液体袋の対向する2辺の封止部に対して外側方向から押圧し、この押圧を維持した状態で前記ポンプ体の動作を行うことにより、前記詰替用液体袋の対向する両側の2辺の封止部以外について押圧することなく、充填されている液体の略全量の吸引・注出が可能となる構成であること
を特徴とする詰替用液体袋を用いた液体取出装置。
【請求項2】
前記2辺の封止部に対する外側方向からの押圧が、前記詰替用液体袋の少なくとも下部3分の1に対して行われる構成であることを特徴とする請求項1に記載の詰替用液体袋を用いた液体取出装置。
【請求項3】
前記詰替用液体袋は、下部にマチ付き底部を有する構成であることであることを特徴とする請求項1又は2に記載の詰替用液体袋を用いた液体取出装置。
【請求項4】
前記詰替用液体袋は、載置台に載置した状態、又はケース体に収納した状態で使用する構成であり、
該載置台又はケース体には、載置又は収納したときに前記詰替用液体袋の対向する2辺の封止部に対して外側方向から押圧する押圧部が設けられていること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の詰替用液体袋を用いた液体取出装置。
【請求項5】
液体を収納した詰替用液体袋と、該詰替用液体袋の上部に装着される液体の吸引・注出手段であるポンプ体と、該ポンプ体の吸引部に連通状態で取り付けられると共に前記詰替用液体袋の内部に挿通配設される吸引管と、を有し、
前記ポンプ体の動作によって前記詰替用液体袋内の液体を吸引・注出するに従って、前記詰替用液体袋内の負圧化に伴って収縮(縮小)していく(但し、負圧化に伴って底面が高さ方向に上昇して収縮していくボトル構成は除く。)、液体取出方法において、
前記吸引管は、その先端部及び全体が前記詰替用液体袋の略中央部より上方に配設されており、
前記詰替用液体袋は、少なくとも対向する両側の2辺にヒートシールによる封止部が設けられた合成樹脂製の袋体であり、
更に、前記詰替用液体袋は、上部の1辺にヒートシールによる上封止部が設けられ、該上封止部に前記ポンプ体が直接取付けられるか、又は該上封止部に取り付けられたポンプ体被取付部を介して取付けられる構成(但し、上封止部に取付けられたポンプ体、又はポンプ体被取付部が、詰替用液体袋の内部側に押し込まれた状態となる構成を除く。)により該詰替用液体袋の最大充填量まで液体を充填可能であり、
且つ液体の吸引・注出に際して、該詰替用液体袋の水平方向断面形状が略正三角形・略正方形を含む略正多角形乃至は略円形のいずれかの形状に近似するように、該詰替用液体袋の対向する2辺の封止部に対して外側方向から押圧し、この押圧を維持した状態で前記ポンプ体の動作を行うことにより、前記詰替用液体袋の対向する両側の2辺の封止部以外について押圧することなく、前記詰替用液体袋内の液体の吸引・注出が限界に達するまで該詰替用液体袋内の通液路を確保して液体残留を限りなく少なく抑制することを特徴とする詰替用液体袋を用いた液体取出方法。
【請求項6】
前記2辺の封止部に対する外側方向からの押圧が、前記詰替用液体袋の少なくとも下部3分の1に対して行うことを特徴とする請求項に記載の詰替用液体袋を用いた液体取出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は詰替用液体袋を用いた液体取出装置及び液体取出方法に関し、詳しくは可撓性の液体袋に充填された液体を吸引・注出するエアレスタイプの液体の取出装置及び取出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する液体袋に充填された液体をポンプ手段により吸引・注出するに従って前記液体袋内の負圧化に伴って収縮(縮小)していく構成のエアレスタイプの液体取出装置では、使用開始の時点(図9(A)参照)では液体の吸引・注出を問題なく行うことができるが、液体残量が少なくなってくると吸引管の吸引口に液体袋の内壁部が徐々に吸い寄せられ(図9の(B)参照)、吸引口と液体とを連絡する通液路が絶たれてしまい(図9の(C)参照)、液体袋内の液体の全量の吸引・注出ができなくなることが多々ある。
【0003】
かかる問題を解決するため、吸引管の長さを液体袋の底部付近まで伸ばす構成とすることにより液体袋の底部における液体の残留を防ぐことが行われているが、この場合、液体袋の底部の液体の吸引・注出は問題なく行えるようになるが、吸引管の根元部である液体袋の上部に液体が残留してしまうという問題が生じ易い。
【0004】
そこで本発明者は、吸引管の上端近傍の側壁部分と下端近傍の側壁部分の各々に吸引孔を設ける構成によって、先ず上方の吸引孔から液体袋上部における吸引・注出を始め、この上方での吸引・注出により液体袋の上部が収縮して上方の吸引孔を閉塞した後は、下方の吸引孔から液体袋下部における吸引・注出を始めることにより、液体袋内の液体の吸引・注出が限界に達した際の液体残留を限りなく少なく抑制する技術を先に提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−245993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、当該技術について更に研究を続けたところ、より簡素な構成による液体の吸引・注出においても液体袋内の液体の吸引・注出が限界に達した際の液体残留を限りなく少ない量に抑制することができることを見出した。
【0007】
そこで本発明の目的は、より簡素な構成により、吸引・注出力が高く、しかも充填液体の略全量を使い切ることができる詰替用液体袋を用いた液体取出装置及び液体取出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
【0009】
1.液体を収納した詰替用液体袋と、該詰替用液体袋の上部に装着される液体の吸引・注出手段であるポンプ体と、該ポンプ体の吸引部に連通状態で取り付けられると共に前記詰替用液体袋の内部に挿通配設される吸引管と、を有して成り、
前記ポンプ体の動作によって前記詰替用液体袋内の液体を吸引・注出するに従って、前記詰替用液体袋内の負圧化に伴って収縮(縮小)していく構成(但し、負圧化に伴って底面が高さ方向に上昇して収縮するボトル構成は除く。)のエアレスタイプの液体取出装置において、
前記吸引管は、その先端部及び全体が前記詰替用液体袋の略中央部より上方に配設されており、
前記詰替用液体袋は、少なくとも対向する両側の2辺にヒートシールによる封止部が設けられた合成樹脂製の袋体であり、
更に、前記詰替用液体袋は、上部の1辺にヒートシールによる上封止部が設けられ、該上封止部に前記ポンプ体が直接取付けられるか、又は該上封止部に取り付けられたポンプ体被取付部を介して取付けられる構成(但し、上封止部に取付けられたポンプ体、又はポンプ体被取付部が、詰替用液体袋の内部側に押し込まれた状態となる構成を除く。)により該詰替用液体袋の最大充填量まで液体を充填可能であり、
且つ液体の吸引・注出に際して、該詰替用液体袋の水平方向断面形状が略正三角形・略正方形を含む略正多角形乃至略円形のいずれかの形状に近似するように、該詰替用液体袋の対向する2辺の封止部に対して外側方向から押圧し、この押圧を維持した状態で前記ポンプ体の動作を行うことにより、前記詰替用液体袋の対向する両側の2辺の封止部以外について押圧することなく、充填されている液体の略全量の吸引・注出が可能となる構成であること
を特徴とする詰替用液体袋を用いた液体取出装置。
【0010】
2.前記2辺の封止部に対する外側方向からの押圧が、前記詰替用液体袋の少なくとも下部3分の1に対して行われる構成であることを特徴とする上記1に記載の詰替用液体袋を用いた液体取出装置。
【0012】
.前記詰替用液体袋は、下部にマチ付き底部を有する構成であることであることを特徴とする上記1又は2に記載の詰替用液体袋を用いた液体取出装置。
【0013】
.前記詰替用液体袋は、載置台に載置した状態、又はケース体に収納した状態で使用する構成であり、
該載置台又はケース体には、載置又は収納したときに前記詰替用液体袋の対向する2辺の封止部に対して外側方向から押圧する押圧部が設けられていること、
を特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の詰替用液体袋を用いた液体取出装置。
【0014】
.液体を収納した詰替用液体袋と、該詰替用液体袋の上部に装着される液体の吸引・注出手段であるポンプ体と、該ポンプ体の吸引部に連通状態で取り付けられると共に前記詰替用液体袋の内部に挿通配設される吸引管と、を有し、
前記ポンプ体の動作によって前記詰替用液体袋内の液体を吸引・注出するに従って、前記詰替用液体袋内の負圧化に伴って収縮(縮小)していく(但し、負圧化に伴って底面が高さ方向に上昇して収縮していくボトル構成は除く。)、液体取出方法において、
前記吸引管は、その先端部及び全体が前記詰替用液体袋の略中央部より上方に配設されており、
前記詰替用液体袋は、少なくとも対向する両側の2辺にヒートシールによる封止部が設けられた合成樹脂製の袋体であり、
更に、前記詰替用液体袋は、上部の1辺にヒートシールによる上封止部が設けられ、該上封止部に前記ポンプ体が直接取付けられるか、又は該上封止部に取り付けられたポンプ体被取付部を介して取付けられる構成(但し、上封止部に取付けられたポンプ体、又はポンプ体被取付部が、詰替用液体袋の内部側に押し込まれた状態となる構成を除く。)により該詰替用液体袋の最大充填量まで液体を充填可能であり、
且つ液体の吸引・注出に際して、該詰替用液体袋の水平方向断面形状が略正三角形・略正方形を含む略正多角形乃至は略円形のいずれかの形状に近似するように、該詰替用液体袋の対向する2辺の封止部に対して外側方向から押圧し、この押圧を維持した状態で前記ポンプ体の動作を行うことにより、前記詰替用液体袋の対向する両側の2辺の封止部以外について押圧することなく、前記詰替用液体袋内の液体の吸引・注出が限界に達するまで該詰替用液体袋内の通液路を確保して液体残留を限りなく少なく抑制することを特徴とする詰替用液体袋を用いた液体取出方法。
【0015】
.前記2辺の封止部に対する外側方向からの押圧が、前記詰替用液体袋の少なくとも下部3分の1に対して行うことを特徴とする上記に記載の詰替用液体袋を用いた液体取出方法。
【発明の効果】
【0016】
請求項1又は6に示す発明によれば、より簡素な構成により、吸引・注出力が高く、しかも充填液体の略全量を使い切ることができる詰替用液体袋を用いた液体取出装置又は液体取出方法を提供することができる。
【0017】
特に、液体が未充填の時に扁平である両側ヒートシール構成の詰替用液体袋の場合、液体の残量が少なくなるにしたがって液体袋が未充填時の形状である扁平状に戻ろうとする特性を有することによって液体残量の減少に応じて段々と内壁部同士がくっ付いていき通液路が閉塞されてしまうが、本構成によれば、液体残量の減少に応じて詰替用液体袋が扁平状に戻るのが抑制され水平方向断面形状(略正三角形・略正方形を含む略正多角形乃至は略円形のいずれかの形状)を維持しようとしたまま略全周方向から潰れるように細くなっていき、この潰れていく過程において通水路が幾筋も発生する状態となり易いので、通液路が閉塞されることなく充填されている液体の略全量の吸引・抽出が可能となる。
【0018】
また、吸引管が詰替用液体袋の中央より上方に配設される長さであるため、吸引・抽出に際しては、該吸引管の根元部である詰替用液体袋の上部に液体が残留することがなく、吸引・抽出が可能となる。
更に、液体取出装置の製造に際しては、吸引管の金型の小型化及び使用原材料の少量化等により吸引管の製造コストを下げることができる。
【0019】
尚、詰替用液体袋の底部付近まで吸引管を伸ばす構成のものでは、詰替用液体袋の長さに応じた長さの吸引管を製造用意しなければならないが、本発明に用いる吸引管によれば、詰替用液体袋の略中央部より上方に配設される長さであればよいので、様々な長さの液体袋に対応することができる。
尚また、吸引管が詰替用液体袋の略中央部より下方にまで進出する長さとなって本発明の範囲外とはなるが、より長さの短い小容量タイプの詰替用液体袋に用いる吸引管としても利用することができるので、様々な容量の液体取出装置を製造する場合の総合的な製造コストを下げることが可能となる。
尚また更に、詰替用液体袋の対向する両側の2辺の封止部以外については押圧しなくてもよいので、液体取出装置のデザインを特別な制限無く自由に且つ多様に構成することができる。
【0020】
請求項2又は7に示す発明によれば、押圧する必要のない詰替用液体袋の上部3分の2については、該詰替用液体袋や液体取出装置のデザインを特別な制限無く自由に且つ多様に構成することができる。
【0021】
請求項3に示す発明によれば、詰替用液体袋の未充填時の形状がより扁平状である、上部の1辺についてもヒートシールによる封止部を有する場合であっても、通液路が閉塞されることなく充填されている液体の略全量の吸引・抽出が可能となる。
【0022】
請求項4に示す発明によれば、詰替用液体袋内の液体が減少するに従って下部に残留し易くなるマチ付き底部を有する場合であっても、通液路が閉塞されることなく充填されている液体の略全量の吸引・抽出が可能となる。
【0023】
請求項5に示す発明によれば、詰替用液体袋を、載置台に載置又はケース体に収納することにより2辺の封止部に対する押圧を維持することができるので、液体の略全量の吸引・注出が完了するまで通液路が閉鎖されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る詰替用液体袋を用いた液体取出装置の一実施例を示す構成説明図
図2図1の液体取出装置に用いた詰替用液体袋の未充填状態を示す正面図及び側面図
図3図1の液体取出装置に用いた詰替用液体袋の満充填状態を示す正面図及び側面図
図4図3の満充填状態の詰替用液体袋の水平方向断面形状の一例を示す概略端面図(図3のIV−IV線端面図)
図5】本発明に用いる載置台の一例を示す斜視図
図6図3の満充填状態の詰替用液体袋の水平方向断面形状の他の例を示す概略端面図
図7】本発明に用いる載置台の他の例を示す斜視図
図8】本発明に用いるケース体の一例を示す斜視図
図9】従来の液体取出装置による液体の吸引・注出時の問題点を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る詰替用液体袋を用いた液体取出装置及び液体取出方法(以下、単に「液体取出装置」、「液体取出方法」ということもある。)について図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
本発明は、シャンプー、コンディショナー、トリートメント、その他の頭髪用品をはじめ、液状石鹸、化粧液、歯磨き、ソース、マヨネーズ、食用油、機械油、その他の各種液体(ゲル状或いはゼリー状等の高粘度液体を含む)が充填された液体袋から前記液体をポンプ体によって吸引・注出するに従って、前記詰替用液体袋内の負圧化に伴って収縮(縮小)していく構成のエアレスタイプの液体取出装置である。液体袋内の液体の吸引・注出によって空になった後は、満充填された新規の詰替用液体袋に交換して使い続けることができる構成である。
【0027】
以下、本発明の液体取出装置の実施例について、図1図4に基づき説明する。
【0028】
先ず、図1に示すように、本発明の液体取出装置1は、液体を収納した詰替用液体袋2と、該詰替用液体袋2の上部に装着される液体の吸引・注出手段であるポンプ体3と、該ポンプ体3の吸引部に連通状態で取り付けられると共に前記詰替用液体袋2の内部に挿通配設される吸引管4と、を有して成り、
前記ポンプ体3の動作によって前記詰替用液体袋2内の液体5を吸引・注出するに従って、図1(A)から(D)に示すように、前記詰替用液体袋2内の負圧化に伴って収縮(縮小)していくエアレスタイプ構成を有し、
前記吸引管4は、その先端部41及び全体が前記詰替用液体袋2の略中央部より上方に配設されており、
前記詰替用液体袋2は、少なくとも対向する両側の2辺にヒートシールによる封止部21・22が設けられた合成樹脂製の袋体であり、
且つ液体5の吸引・注出に際して、該詰替用液体袋2の水平方向断面形状が略正三角形・略正方形を含む略正多角形乃至略円形のいずれかの形状(本実施例では、図4に示す略円形)に近似するように、該詰替用液体袋2の対向する2辺の封止部21・22に対して外側方向から押圧し、この押圧を維持した状態で前記ポンプ体3の動作を行う構成である。
【0029】
2辺の封止部21・22に対する外側方向からの押圧は、図3(A)に符号Y(Y1〜Y4)として示す。
この2辺の封止部21・22に対する押圧の領域としては、詰替用液体袋2の少なくとも下部3分の1の位置(図3(A)の仮想線X2の位置)までに対して行われる押圧(同図の矢符Y4及びY3)であれば好ましく、詰替用液体袋2の略中央部の位置(同図の仮想線X1の位置)までに対して行われる押圧(同図の矢符Y4・Y3・Y2)であればより好ましい。
尚、この押圧は、吸引管4の先端部41の位置での押圧である矢符Y1での押圧を上限とし、これより上方での押圧は行っても行わなくてもよい。
【0030】
上記の図1に示す押圧(符号Y1〜Y4)によって、詰替用液体袋2の水平方向断面形状を図4に示す略円形の形状に近似させる。
【0031】
詰替用液体袋2の水平方向断面形状を図4に示す略円形の形状に近似させるために、2辺の封止部21・22に対する押圧を行う構成部材である押圧部11・12は、前記封止部21・22の各々を平面視した際に円弧状の押圧面を有する構成によって押圧することが好ましく、例えば図5に示すように平面視した際に円弧状に形成された押圧部11・12を有する載置台10を用いることで可能となる。該載置台10に詰替用液体袋2を載置するには、押圧部11・12に2辺の封止部21・22が押圧状態で当接するように詰替用液体袋2を収納載置し、該詰替用液体袋2の上部のポンプ体3を載置台10のポンプ体係止部13に係止することによりセット完了となる。
【0032】
尚、図5に示す載置台10の押圧部11・12の高さは、詰替用液体袋2の2辺の封止部21・22の下部3分の1を押圧に充分な高さを有しているが、2辺の封止部21・22の略中央部までを押圧可能な高さとしてもよいし、吸引管4の先端部41の高さ位置までを押圧可能な高さとしてもよいし、2辺の封止部21・22の全てを押圧可能な高さとしてもよい。
【0033】
次に、詰替用液体袋2について更に詳説すると、少なくとも両側の2辺がヒートシールされた封止部21・22を有する構成であればよいが、好ましくは本実施例に示すように、上部の1辺についてもヒートシールによる上封止部23を有し、下部にマチ付き底部24を有する構成である。また、上封止部23には、前記ポンプ体3が直接取付けられることが好ましく、該ポンプ体3の取付けは、上封止部23と共に熱溶着によって直接取り付けられる構成でもよいし、上封止部23に取り付けたポンプ体被取付部31等を介して取付けられる構成でもよい。ポンプ体被取付部31等へのポンプ体4の取付構成としては、螺合、圧入、接着、溶着等の公知公用の様々な取付構成を挙げることができる。
【0034】
更に、詰替用液体袋2としては、この種のエアレスタイプに用いられる袋体として公知公用のものを特別の制限無く用いることができ、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム等のフィルム単層体、或いはこれら複数のフィルム積層体から成る酸素透過抑制積層フィルム等による袋体を挙げることができる。
【0035】
ポンプ体3としては、この種のエアレスタイプの液体取出装置に用いられる公知公用のポンプを特別の制限なく用いることができ、上部の押下部を押込操作することで吸引管4並びにポンプ動作部内のピストン・シリンダ内を通って詰替用液体袋2内の液体を吐出口から吐出することができる。尚、ポンプ体3のポンプ構成については、この種の液体取出装置に用いられる一般的なポンプ構成であるため、本明細書ではポンプ体3のポンプ機構についての説明は省略する。
【0036】
以上の構成を有する本発明の液体取出装置1によれば、液体が未充填の時に扁平である両側ヒートシール構成の詰替用液体袋の場合、液体の残量が少なくなるにしたがって液体袋が未充填時の形状である扁平状(図2(B)参照)に戻ろうとするのを抑制され水平方向断面形状(略正三角形・略正方形を含む略正多角形乃至は略円形のいずれかの形状)を維持しようとしたまま略全周方向から潰れるように細くなっていき、図1(C)及び(D)に示すように、この潰れていく過程において通水路が幾筋も発生する状態(図1の(D)参照)となり易いので、通液路が閉塞されることなく充填されている液体5の略全量の吸引・抽出が可能となる。
【0037】
また、吸引管4が詰替用液体袋2の中央より上方に配設される長さであるため、吸引・抽出に際しては、図1(B)〜(D)に示すように該吸引管4の根元部である詰替用液体袋2の上部に液体5が残留することがなく、吸引・抽出が可能となる。
【0038】
以上、本発明に係る詰替用液体袋を用いた液体取出装置及び液体取出方法について実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において他の態様を採ることもできる。
【0039】
例えば、詰替用液体袋2の水平断面形状は、上記実施例の図4に示す略円形の形状に限らず、略正三角形・略正方形を含む略正多角形に近似する形状であってもよい。略正多角形の一例として図6に略正方形の場合の詰替用液体袋2の水平断面形状の一例を示す。
【0040】
詰替用液体袋2の水平方向断面形状を図6に示す略正方形の形状に近似させる場合に好ましく用いられる載置台の一例を図7に示す。詰替用液体袋2の2辺の封止部21・22に対する押圧を行う構成部材である押圧部11・12は、前記封止部21・22の各々を平面視した際に直線状の押圧面を有する構成によって押圧することが好ましいため、平面視した際に平行する2辺の直線状に形成された押圧部11・12を有する載置台10を用いることで可能となる。該載置台10に詰替用液体袋2を載置するには、押圧部11・12に2辺の封止部21・22が押圧状態で当接するように詰替用液体袋2を収納載置し、該詰替用液体袋2の上部のポンプ体3を載置台10のポンプ体係止部13に係止することによりセット完了となる。
【0041】
上記したような水平方向断面形状を図6に示す略正方形の形状に近似させる場合、図7に示す載置台10以外に、例えば、図8に示す角柱箱体形状のケース体10を用いることもできる。図8に示すケース体10の場合、詰替用液体袋2をセットする開放面を利用時には背面として設置することにより該ケース体10に詰替用液体袋2を被露出状態で収納することができる。従って、該ケース体10に種々の模様や色彩等を施すことにより審美性の高い液体取出装置1を得ることができる。
【0042】
また、詰替用液体袋2は、両側の2辺がヒートシールされた封止部21・22を有する構成であればよいが、この両側の2辺の一方又は両方がマチ付きである所謂ガゼット付き液体袋である構成も本発明に包含することができるし、両側の2辺がマチ付きで上部及び/又は下部についてもマチ付きである構成、両側と上部と下部の4辺全てがマチの無いヒートシールのみである構成、上部のみがマチ付きである構成、上部と下部の両方がマチ付きである構成等の種々の構成についても本発明に含む。
【符号の説明】
【0043】
1 液体取出装置
10 載置台又はケース体
11 押圧部
12 押圧部
13 ポンプ体係止部
2 詰替用液体袋
21 封止部
22 封止部
23 上封止部
24 マチ付き底部
3 ポンプ体
31 ポンプ体被取付部
4 吸引管
41 先端部
5 液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9