(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器では、調理器本体内におけるシールド板の周囲に、回路基板を取り付けた基板ホルダを配置するためのスペースを確保する必要がある。そのため、制御対象の部品が増加すると、確保が必要な配置スペースも広くなり、調理器本体の水平方向における寸法が大型化していた。
【0005】
本発明は、加熱調理器の大型化を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内鍋と、前記内鍋を収容する収容部を有する本体と、前記収容部の底側外面に配置され、前記内鍋を誘導加熱するコイルと、前記本体の底壁と前記コイルとの間に配置されている非磁性金属からなるシールド板と、前記本体内における前記シールド板の横に配置され、電気部品が取り付けられたホルダとを備え、前記シールド板には、前記ホルダ又は前記電気部品の一部分を嵌め込んで配置するための嵌合部が設けられている、加熱調理器を提供する。
【0007】
この加熱調理器によれば、シールド板の嵌合部にホルダ又は電気部品の一部分が配置されるため、本体内におけるホルダの配置スペースを削減できる。よって、本体の水平方向における寸法の大型化を防止できる。また、本体の底壁とコイルとの間には非磁性金属からなるシールド板が配置されているため、コイルから発生する磁束が本体の外部へ漏れることを抑制できる。
【0008】
前記シールド板には、前記嵌合部の一端と他端とを連続させる連続部が設けられていてもよい。この態様によれば、連続部にコイルから発生した磁束が電流として流れるため、本体の外部へ磁束が漏れること大幅に低減できる。よって、加熱調理器の周辺の磁性を有する物が、漏れた磁束で加熱されることを防止できる。
【0009】
前記連続部は、前記嵌合部に配置された前記一部分の外周に沿うように屈曲されていてもよい。この態様によれば、本体内における配置スペースの削減と、本体外への磁束漏れの抑制を確実に実現できる。また、嵌合部にホルダ又は電気部品の一部分を組み付ける際の作業性を向上できる。
【0010】
前記シールド板及び前記ホルダは、前記収容部に固定されてもよい。この態様によれば、本体内にシールド板及びホルダを組み付ける際の作業性を向上できる。
【0011】
前記電気部品には、回路基板と冷却用のファンとが含まれていてもよい。この場合、前記嵌合部には、前記ホルダにおける前記ファンの取付部又は前記ファンが、前記一部分として配置されている。この態様によれば、ファンによってコイルと回路基板の両方を確実に冷却できる。
【0012】
前記嵌合部に配置されている前記取付部又は前記ファンは、前記シールド板に固定されていてもよい。この態様によれば、磁束が流れることに伴うシールド板の振動とファンの振動とが相殺されるため、加熱調理器自体の振動を低減できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加熱調理器では、シールド板に設けた嵌合部にホルダ又は電気部品の一部分を配置するため、本体内におけるホルダの配置スペースを削減でき、本体の水平方向における寸法の大型化を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1及び
図2は、本実施形態に係る加熱調理器である炊飯器10を示す。この炊飯器10は、炊飯鍋12、炊飯器本体15、及び蓋体82を備える。炊飯器本体15の内部には、複数(本実施形態では4枚)の回路基板55〜58が配置されている。本実施形態では、これら回路基板55〜58のレイアウトを改善することで、炊飯器本体15の大型化を防止する。
【0017】
(炊飯器の全体構成)
図1及び
図2に示すように、炊飯器本体15の外装体16は、有底筒状の胴体17と、胴体17の上端に配置されている肩体22とを備えている。
図3を併せて参照すると、外装体16は、
図1において右側に位置する後側Bに、取外し可能な後カバー28を備えている。この炊飯器本体15には、内鍋である炊飯鍋12を取外し可能に収容する収容部30が形成されている。
【0018】
収容部30は、金属製の内胴31、樹脂製の鍋受部材32、及び樹脂製の保護枠33を備えている。内胴31と鍋受部材32とは円環状である。保護枠33は、下部から上部に向けて直径が次第に大きくなるようにした受皿状である。保護枠33の底側外面には、炊飯鍋12を誘導加熱するコイル35が取付部材36を介して取り付けられている。
図6を参照すると、取付部材36には、フェライトコア38が装着されている。このフェライトコア38は、コイル35から発生した磁束を集中させることで、炊飯鍋12の誘導加熱効率を向上させる。
【0019】
蓋体82は、肩体22のヒンジ接続部23に回転可能に取り付けられている。この蓋体82には、収容部30に配置した炊飯鍋12の上端開口をシールするシール部材83が配置されている。また、蓋体82には、炊飯鍋12内で発生した蒸気を外部へ排出するための排気通路が形成されている。
図3を参照すると、この排気通路の排気口84は、蓋体82の後側Bに形成されている。
【0020】
この炊飯器10を使用する際には、希望量の飯米と、飯米量に応じて予め設定された量の水が、炊飯鍋12内に収容される。この炊飯鍋12を収容部30内に配置すると、炊飯鍋12の鍔部13が収容部30の鍋受部材32上に載置される。そして、炊飯処理が実行されると、蓋体82の内部に配置されている図示しない回路基板に実装されたマイコン(制御部)がコイル35を制御する。するとコイル35は、高周波電流が流されることで、磁界を発生させる。炊飯鍋12は、磁界により渦電流が流れることで、誘導加熱される。これにより炊飯鍋12内で米飯が炊き上げられる。
【0021】
炊飯処理中には、炊飯鍋12内で発生した蒸気が蓋体82の排気通路を通して外部へ排出されるが、炊飯鍋12内の圧力は大気圧より高くなることがある。すると、炊飯鍋12には下向きの力が加わるため、収容部30には炊飯鍋12による押圧力が作用する。この押圧力は、排気通路中に開閉弁が配置され、炊飯鍋12内を大気圧より高い設定圧力まで昇圧可能とした圧力式炊飯器の場合には大きくなる。炊飯鍋12の押圧力によって収容部30の鍋受部材32が破損することを防止するために、本実施形態の炊飯器本体15には金属製の補強板40が配置されている。
【0022】
図1及び
図4を参照すると、補強板40は、鍋受部材32の下部に位置する保持部41と、胴体17の外周壁18に沿う一対の側板部42,42とを備えている。保持部41は、肩体22の下部に配置されており、胴体17の底壁19に沿って水平方向に延びる板状である。この保持部41には、収容部30に対応する開口部が設けられている。また、保持部41は、炊飯器本体15の全高の中間部分(概ね上側の2/3の高さ)に位置する。側板部42は、保持部41に対して底壁19側に屈曲されている。
【0023】
また、誘導加熱方式の炊飯器10においては、炊飯処理中にコイル35から発生した磁束が外装体16の外部へ漏れると、炊飯器10の周辺の磁性を有する物(例えばシンクやアルミホイル等)が誘導加熱されてしまう。そこで、本実施形態の炊飯器本体15には、非磁性金属(例えばSUS304)からなるシールド板45が配置されている。
【0024】
図4から
図6に示すように、シールド板45は、取付部材36に固定することで、取付部材36を介して保護枠33のボス34に固定されている。
図1を参照すると、組付状態のシールド板45は、底壁19とコイル35の間に位置し、底壁19に沿って水平に配置されている。このシールド板45には、収容部30の軸線を中心として周方向に間隔をあけて、扇形状の打抜部46が設けられている。これにより、コイル35で発生した熱が、シールド板45よりも外側へ排出される。シールド板45の側部には、外周壁18の内側に沿って延びる側板部47が屈曲して設けられている。この側板部47によって、炊飯器本体15の側部からの磁束の漏れも抑制されている。
【0025】
図1及び
図5を参照すると、炊飯器本体15は、前後方向の寸法(奥行き)が左右方向の寸法(幅)より大きい概ね直方体状に形成されている。底壁19と収容部30の底との間には、他の部品を配置するようなスペースは殆ど無い。これは、この底スペースを広くすると、炊飯器本体15の垂直方向における寸法が大型化するためである。また、外周壁18と収容部30の側部との間にも、他の部品を配置するようなスペースは殆ど無い。これは、この横スペースを広くすると、炊飯器本体15の左右の幅方向における寸法が大型化するためである。
【0026】
よって、本実施形態の炊飯器本体15内には、収容部30の前側Fと後側Bで、かつ、シールド板45の前側Fと後側Bに、回路基板55〜58を配置する必要がある。また、本実施形態の炊飯器本体15には補強板40が取り付けられているため、炊飯器本体15内には回路基板55〜58を垂直方向に配置するスペースを確保できない。そこで、本実施形態では、回路基板55〜58のレイアウトを以下のようにしている。
【0027】
(回路基板のレイアウトの詳細)
図1を併せて
図4から
図6を参照すると、炊飯器本体15内には、収容部30の前側Fのスペースに、第2回路基板である加熱制御基板55が配置されている。収容部30の後側Bのスペースには、第1回路基板である電源基板56と、第3回路基板である中継基板57とが配置されている。また、収容部30の後側Bのスペースには、第4回路基板である駆動電源基板58を配置することが可能である。さらに、収容部30の後側Bには、電力供給部材であるコードリール62が配置されている。
【0028】
加熱制御基板55、電源基板56、及び中継基板57は、機種(グレード)に拘わらず必要な部品(回路)である。駆動電源基板58は、機種によっては不要の部品である。必須の電気部品である加熱制御基板55、電源基板56、及び中継基板57を1枚の回路基板で構成すると大きくなるため、炊飯器本体15内の一部分に広い配置スペースを確保する必要がある。このような配置スペースを炊飯器本体15内に確保するのは困難であり、炊飯器本体15も大型化する。よって、本実施形態では、加熱制御基板55、電源基板56、及び中継基板57を分割して形成し、これらを炊飯器本体15内の空きスペースに分けて配置している。このように大きな配置スペースを不要とすることで、炊飯器本体15の大型化を防止している。
【0029】
加熱制御基板55の実装面55aには、コイル35を駆動するIGBT等の回路素子が実装されている。この加熱制御基板55は、図示しない接続ケーブルによって、コードリール62及び電源基板56に電気的に接続されている。加熱制御基板55は、炊飯器本体15の幅方向の中央に位置するように、ホルダ68を介して保護枠33のボス34に固定されている。ホルダ68は、電気部品である加熱制御基板55と冷却用のファン73とを取り付けるものである。詳しくは、ホルダ68は、加熱制御基板55を配置する基板取付部69と、ファン73を配置するためのファン取付部70とを備えている。ファン取付部70に対して基板取付部69は、90度を超える大きな角度で傾斜している。
図1に最も明瞭に示すように、ホルダ68を炊飯器本体15内に組み付けると、基板取付部69に取り付けた加熱制御基板55の実装面55aは、上端から下端に向けて後向きに傾斜して配置される。即ち、加熱制御基板55の上端は補強板40の近傍に位置し、加熱制御基板55の下端はシールド板45の近傍に位置する。また、加熱制御基板55の下端は、加熱制御基板55の上端よりも後側Bに位置している。
【0030】
電源基板56の実装面56aには、回路素子等が実装されている。この電源基板56は、コードリール62から入力された交流電圧を、回路素子や電気部品が動作可能な設定された直流電圧に変換して出力する。電源基板56は、図示しない接続ケーブルによって、コードリール62、加熱制御基板55、中継基板57、及び駆動電源基板58に電気的に接続されている。電源基板56は、炊飯器本体15の幅方向の中央に位置するように、基板ホルダ75を介して保護枠33のボス34に固定されている。基板ホルダ75は、下端(
図6では上端)を開口した容器である。この基板ホルダ75に対して電源基板56は、実装面56aが開口と平行に位置するように取り付けられる。
図1に最も明瞭に示すように、基板ホルダ75を炊飯器本体15内に組み付けると、基板ホルダ75内の電源基板56の実装面56aは、底壁19に沿って水平に配置される。実装面56aが底壁19に沿って配置されるとは、実装面56aが底壁19に対して平行に位置する構成は勿論、実装面56aが底壁19に対して若干傾斜した構成を含む。
【0031】
中継基板57の実装面57aには、回路素子等が実装されている。中継基板57は、図示しない接続ケーブルによって、電源基板56、及び蓋体82内の電気部品(例えば液晶パネル85を含む表示基板)に電気的に接続されている。
図3を併せて参照すると、中継基板57は、ヒンジ接続部23の下側に形成されている基板取付部25に取外し可能に装着されている。この基板取付部25は、基板ホルダ75の配置部分の後側B、かつ、炊飯器本体15の幅方向の中央に位置している。基板取付部25に取り付けた中継基板57の実装面57aは、底壁19に沿って水平に配置される。なお、実装面57aが底壁19に沿って配置されるとは、電源基板56と同様に定義される。
【0032】
引き続いて
図3を併せて参照すると、基板取付部25の上側には、駆動装置80を装着するための配置部26が設けられている。これら配置部26と基板取付部25は、後カバー28を取り外すことで露出される。また、本実施形態の蓋体82には、現在時刻等を表示可能な液晶パネル85が配置されている。この液晶パネル85は、コードリール62の電源コード63が商用電源から抜かれ、電源基板56からの直流電圧の入力が断たれると、リセットされてしまう。そのため、中継基板57には、電力が遮断された状態で液晶パネル85を作動させるために、バックアップ用の電池60が実装されている。
【0033】
図4から
図6を参照すると、駆動装置80を制御する駆動電源基板58の実装面58aには、回路素子等が実装されている。この駆動電源基板58は、図示しない接続ケーブルによって、電源基板56、及び駆動装置80に電気的に接続されている。駆動電源基板58は、
図5において電源基板56の右側(側部)に位置するように、基板ホルダ78を介して保護枠33のボス34に固定されている。基板ホルダ78は、下端(
図6では上端)を開口した容器である。この基板ホルダ78に対して駆動電源基板58は、実装面58aが開口と平行に位置するように取り付けられる。この基板ホルダ78を炊飯器本体15内に組み付けると、基板ホルダ78内に取り付けた駆動電源基板58の実装面58aは、底壁19に沿って水平に配置される。なお、実装面58aが底壁19に沿って配置されるとは、電源基板56と同様に定義される。
【0034】
図1及び
図3に示すように、駆動電源基板58によって制御される駆動装置80は、配置部26に配置されている。駆動装置80は、炊飯器本体15に対して蓋体82を閉じるための駆動部であり、この駆動装置80を搭載するか否かは機種によって決められている。駆動装置80のケーシングには、電動モータと複数の歯車とが収容されている。この駆動装置80がヒンジ軸24を直接回転駆動することで、このヒンジ軸24に連結された蓋体82が回転される。
【0035】
蓋体82の前側Fの端面に配置されたスイッチ86が操作されると、駆動装置80が作動する。すると、蓋体82は、
図2に示す開位置から
図1に示す閉位置に向けて閉方向に回転する。この回転により、蓋体82のロック部材87が肩体22のロック穴27に係合すると、駆動装置80の作動が停止する。また、蓋体82の上面に配置されている操作部材88が操作されると、ロック部材87とロック穴27の係止が解除される。すると、蓋体82は、ヒンジ接続部23に配置されたスプリング(図示せず)の付勢力によって、閉位置から開位置に開方向に回転する。
【0036】
図1及び
図6に示すように、コードリール62は、電源コード63が巻回状態で収容されるケース64を備えている。電源コード63の巻き取りは、巻取機構による自動巻き式であってもよいし、ユーザによる手巻き式であってもよい。このケース64は、概ね円環状の外周壁65と、外周壁65の端部を塞ぐ一対の端壁66,66とを備えている。外周壁65には、電源コード63を巻取可能に引き出すための開口が設けられている。端壁66は、概ね円形状の平板である。このケース64は、一方の端壁66から他方の端壁66までの寸法である厚さが、ケース64の横幅の寸法に相当する外周壁65の直径よりも小さい。
【0037】
炊飯器本体15の底壁19には、コードリール62を配置するための凹部20が設けられている。この凹部20は、電源基板56の直下に位置し、炊飯器本体15の内部に向けて窪んでいる。コードリール62は、ケース64の端壁66が凹部20の端面(底壁19)に沿うように取り付けられている。コードリール62は、図示しない2本のリード線を備えている。一方のリード線は電源基板56に接続され、他方のリード線は加熱制御基板55に接続されている。これにより、商用電源からの電力が加熱制御基板55及び電源基板56に供給される。
【0038】
このようにした炊飯器10では、電源基板56の実装面56aとコードリール62の端壁66がそれぞれ、底壁19に沿って水平に配置されている。そのため、炊飯器本体15の垂直方向における寸法の大型化を防止できる。特に、本実施形態の炊飯器本体15には補強板40が配置されているため、炊飯器本体15内には垂直方向の配置スペースを確保することが困難である。しかし、炊飯器本体15の全高は、補強板を配置しない炊飯器と同等の高さを維持できる。
【0039】
また、コードリール62は電源基板56の直下に配置されているため、炊飯器本体15の水平方向における寸法の大型化を抑制できる。また、コードリール62の上側に電源基板56が位置するため、組立時の接続作業性を向上できる。さらに、加熱制御基板55の実装面55aは、上端から下端に向けて後向きに傾斜して配置されているため、この構成によっても炊飯器本体15の水平方向における寸法の大型化を防止できる。
【0040】
また、中継基板57は、配置部26の下側のデッドスペースに形成した基板取付部25に取り付けられている。よって、この構成によっても炊飯器本体15の水平方向における寸法の大型化を防止できる。さらに、基板取付部25は後カバー28を取り外すだけで露出可能であり、バックアップ用の電池60が中継基板57に実装されているため、電池60を交換する際の作業性を向上できる。
【0041】
また、駆動電源基板58は、炊飯器本体15内における電源基板56の側部に配置される。そのため、
図5及び
図8に示すように、駆動装置80を搭載する機種と搭載しない機種とでは、共通部品である加熱制御基板55、電源基板56、及び中継基板57のレイアウトを兼用できる。よって、機種が異なる炊飯器10を製造する際の組立作業性を向上できる。
【0042】
さらに、本実施形態の炊飯器10では、
図1及び
図4に示すように、シールド板45に対してホルダ68,75を水平方向にオーバーラップさせて配置している。これにより、炊飯器本体15の水平方向における寸法の大型化を防止するだけでなく、小型化を図っている。
【0043】
(シールド板と基板ホルダの詳細)
図6及び
図7に示すように、シールド板45の前側Fには、ホルダ68の一部分を嵌め込んで配置するための嵌合部48が設けられている。この嵌合部48には、ホルダ68のファン取付部70が配置される。嵌合部48は凹溝状で、シールド板45を打ち抜くことで、前側Fから後向きに窪むように形成されている。なお、組立状態では、嵌合部48の内縁は、ファン取付部70における上下方向の中間部分に位置する。
【0044】
嵌合部48を備えるシールド板45では、炊飯器本体15を底側から見ると、嵌合部48を形成した領域からコイル35が露出する。この部分からの磁束漏れを抑制するために、シールド板45には連続部49が設けられている。この連続部49は帯状で、嵌合部48の一端48aと他端48bとを連続させている。詳しくは、連続部49は、一対の第1部分49a,49aと、第2部分49bとを備えている。第1部分49aは、シールド板45の本体部分に対して、保護枠33に向けて底壁19から離れる方向に屈曲されている。第2部分49bは、第1部分49a,49aの先端を連続させており、前側Fに向けて屈曲されている。嵌合部48にファン取付部70を嵌合させると、第1部分49a,49a及び第2部分49bがファン取付部70の外周に沿って位置する。
【0045】
図4を併せて参照すると、シールド板45の後側Bには、基板ホルダ75の一部分であるネジ止め部76が重ねて配置される段部50が設けられている。この段部50は、階段状に屈曲された第1部分50aから第4部分50dを備えている。第1部分50aは、シールド板45の本体部分から保護枠33に向けて屈曲されている。第2部分50bは、第1部分50aから後側Bに向けて屈曲されている。第3部分50cは、第2部分50bから保護枠33に向けて屈曲されている。第4部分50dは、第3部分50cから後側Bに向けて屈曲されている。そして、基板ホルダ75は、第4部分50dに重ねられている。
【0046】
シールド板45には、取付部材36を介して保護枠33に固定するためのネジ止め孔51が設けられている。このネジ止め孔51は、取付部材36のネジ止め部37(
図6参照)と対応する位置に設けられている。図示しないネジは、ネジ止め孔51、及びネジ止め部37を貫通し、保護枠33のボス34に締め付けられる。
【0047】
また、シールド板45には、ホルダ68,75を固定するためのネジ止め孔52が設けられている。ネジ止め孔52は、嵌合部48の縁近傍に一対設けられ、第4部分50dにも一対設けられている。本実施形態では、図示しないネジをホルダ68のネジ止め部71とネジ止め孔52に貫通させ、ホルダ68とシールド板45とを保護枠33のボス34に共締めして固定している。また、基板ホルダ75のネジ止め部76とネジ止め孔52にネジを貫通させ、基板ホルダ75とシールド板45とを保護枠33のボス34に共締めして固定している。
【0048】
このように、シールド板45とホルダ68,75とは、保護枠33に対して一緒にネジ止めされるため、組付作業性を向上できる。また、シールド板45の一部は、保護枠33に対して取付部材36と一緒にネジ止めされるため、これらの組付作業性も向上できる。しかも、取付部材36、シールド板45、及びホルダ68,75のうちの2部品が1組としてネジ止めされるため、保護枠33の固定部であるボス34の数を減らすことができる。よって、保護枠33の構造を簡素化できる。
【0049】
また、この炊飯器10では、ホルダ68がシールド板45の嵌合部48に配置され、反対側の基板ホルダ75もシールド板45の段部50にオーバーラップさせて配置されている。そのため、炊飯器本体15内におけるホルダ68,75の配置スペースを削減できる。よって、炊飯器本体15の水平方向における寸法を小型化できる。また、嵌合部48には連続部49が連続しているが、この連続部49は底壁19から離れる方向に屈曲されているため、ホルダ68を組み付ける際の作業性は良好である。
【0050】
さらに、炊飯処理中にコイル35から発生した磁束が炊飯器本体15の外部へ漏れることは、帯状の連続部49を含むシールド板45によって大幅に低減できる。よって、炊飯器10の周辺の磁性を有する物が漏れた磁束で加熱されることを防止できる。
【0051】
また、シールド板45の嵌合部48には、ホルダ68のファン取付部70を配置しているため、ファン73によってコイル34と加熱制御基板55の両方を確実に冷却できる。しかも、ファン取付部70をシールド板45に固定しているため、磁束が流れることに伴うシールド板45の振動と、ファン73の振動とを相殺することができる。よって、炊飯処理の実行中に炊飯器10自体が振動することを低減できる。
【0052】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、シールド板45の連続部49は、リード線を接合することで設けてもよい。また、シールド板45とホルダ68,75とは、保護枠33に対して別々に固定してもよい。また、シールド板45と取付部材36も、保護枠33に対して別々に固定してもよい。
【0054】
また、コードリール62は、炊飯器本体15内に位置するように底壁19に配置してもよい。また、補強板40を搭載しない炊飯器10であっても、所定の回路基板55〜58の実装面が底壁19に沿うように配置すれば、炊飯器本体15の垂直方向における寸法の大型化は防止できる。また、中継基板57は、電源基板56と一体に設けてもよい。また、バックアップ用の電池60は、電源基板56に実装してもよい。
【0055】
また、
図9に示すように、ホルダ68には、ファン取付部70を設けることなく、ファン73をネジ止めにより直接取り付けてもよい。この場合、ファンケース74にネジ止め部74aを設けることで、ファン73をシールド板45に固定する。また、ホルダ68には、加熱制御基板55だけを取り付けてもよいし、ファン73だけを取り付けてもよい。
【0056】
さらに、駆動装置80は、蓋体82を開方向へ回転させてもよいし、蓋体82を閉方向と開方向の両方へ回転させてもよい。さらにまた、前記実施形態では、本発明の加熱調理器として、飯米を炊飯する炊飯器を例に挙げて説明したが、所定の調理材料を調理する調理器にも同様に適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。