【実施例】
【0040】
製造例1:3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オンの合成
【化6】
炭酸カリウム2.06g(14.9mmol)をアセトン5mLに溶解し、室温で1,2,4−1H−トリアゾール0.98g(14.0mmol)を加えた。1−ブロモ−3,3−ジメチル−2−ブタノン2mL(14.9mmol)を加え、反応を開始した。室温で3時間撹拌した後に濾紙で濾過して炭酸カリウムを取り除き、減圧濃縮した。これをヘキサン−アセトン(7:3)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(35g,1.5cm内径×45cm長さ)に供し、標記化合物を無色透明針状結晶として1.65g(9.87mmol;収率71%)得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)1.28(9H,s,t−Bu),5.20(2H,s,H−1),7.96(1H,s,H−3’),8.15(1H,s,H−5’)
【0041】
製造例2:1−(3−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンの合成
【化7】
3−ヨードベンズアルデヒド552.2mg(2.380mmol)を無水酢酸1mLに溶解し、室温で炭酸カリウム327.8mg(2.372mmol)、3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オン405.7mg(2.426mmol)を加えて反応を開始した。100℃で8時間、室温に戻して10時間、再び100℃にて12時間撹拌した後、水8mLを加えて反応を停止し、更に水15mLを追加して酢酸エチル50mLで3回抽出した。飽和塩化ナトリウム水溶液3mLで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して淡橙色油状物質986.0mgを得た。これをヘキサン−アセトン(75:25)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(60g,2.4cm内径×25cm長さ)に供し、標記化合物をZ:E=10:3(NMR測定の1,3’,5’,2’’,4’’,5’’,6’’位プロトンの積分比より算出)で淡黄色油状物質として551.6mg(1.447mmol;収率61%)得た。
【0042】
製造例3:(E)−1−(3−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンの合成
【化8】
製造例2で得られた1−(3−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンのEZ体の混合物123.3mgをヘキサン−酢酸エチル(75:25)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15g,1.4cm内径×16cm長さ)に供し、(Z)−1−(3−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンを83.4mg、(E)−1−(3−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンを16.0mg及び両者の混合物を18.1mg得た。
製造例2で得られたEZ体の混合物100.1mg(0.263mmol)をメタノールに溶解し、氷冷しながらUVランプ(UVP BLACK−RAY LONGWAVE ULTRAVIOLET LAMP,MODEL B−100A)を照射した。2時間後、UV照射を止めて減圧濃縮し、淡黄色油状物質100.2mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(75:25)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(12g,1.2cm内径×20cm長さ)に供し、EZ混合物10.3mg及びE体97.2mg(0.255mmol)を淡黄色油状物質として得た(収率97%)。
Z体
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)1.22(9H,s,t−Bu),6.68−6.71(1H,m,H−6’’),6.98(1H,t,J=7.9Hz,H−5’’),7.27(1H,m,H−2’’),7.46(1H,s,H−1),7.64−7.68(1H,m,H−4’’),7.98(1H,s,H−3’),8.18(1H,s,H−5’)
E体
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)1.03(9H,s,t−Bu),7.08(1H,s,H−1)7.12(1H,t,J=7.9Hz,H−5’’),7.30−7.33(1H,m,H−6’’),7.67−7.70(1H,m,H−2’’and4’’),8.07(1H,brs,H−3’),8.26(1H,brs,H−5’)
高分解能MS:C
15H
16I
1N
3Na
1O
1に対する計算値404.02357;実測値404.02399
【0043】
製造例4:(E)−1−(3−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化9】
(E)−1−(3−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オン86.8mg(0.228mmol)をメタノール3mLに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム11.6mg(0.307mmol)を加えて反応を開始した。室温で1時間、撹拌した後に水5mLを加えて反応を停止し、酢酸エチル15mLで3回抽出した。飽和塩化ナトリウム水溶液1mLで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して白色固体88.8mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(6:4)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(8.5g,1.0cm内径×20.5cm)に供し、標記化合物を白色固体として86.2mg(0.225mmol;収率99%)得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)0.68(9H,s,t−Bu),4.26(1H,d,J=8.6Hz,OH),4.53(1H,d,J=8.6Hz,H−3),6.88(1H,s,H−1),7.16(1H,t,J=7.9Hz,H−5’’),7.34−7.37(1H,m,H−6’’),7.68−7.76(2H,m,H−4’’and2’’),8.05(1H,s,H−3’),8.48(1H,s,H−5’)
高分解能MS:C
15H
18I
1N
3Na
1O
1に対する計算値406.03922;実測値406.03914
【0044】
製造例5:4−メチルベンゼンスルホン酸 2−(2−(プロパ−2−イン−1−イロキシ)エトキシ)エチルの合成
【化10】
プロパルギルアルコール250μL(4.23mmol)を脱水ジメチルホルムアミド30mLに溶解し、60%水素化ナトリウム348mg(8.7mmol)を加えて室温で30分撹拌した。ジエチレングリコールビス(p−トルエンスルホネート)3.5g(8.5mmol)を氷冷下で加えて反応を開始した。室温で1時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液15mLを加えて反応を停止した。水60mLを追加して1M塩酸を3mL加えpHを7にした後、酢酸エチル100mLで3回抽出した。飽和塩化ナトリウム水溶液3mLで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して白色固体と淡黄色油状物質の混合物3262.5mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(75:25)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(150g,3.0cm内径×35cm長さ)に供し、標記化合物を無色透明油状物質として753.0mg(2.523mmol;収率60%)得た。
【0045】
製造例6:4−メチルベンゼンスルホン酸 (E)−2−(2−(3−(3−(3−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−1−イル)フェニル)プロパ−2−イン−1−イロキシ)エトキシ)エチルの合成
【化11】
(E)−1−(3−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール417.9mg(1.091mmol)をアルゴン気流下で脱水テトラヒドロフラン6mLに溶解し、トリエチルアミン0.76mL(5.45mmol)、ヨウ化銅(I)19.0mg(0.0997mmol)、トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)20.0mg(0.0285mmol)を順に加えた。室温で30分撹拌した後、4−メチルベンゼンスルホン酸 2−(2−(プロパ−2−イン−1−イロキシ)エトキシ)エチル349.0mg(1.170mmol)を脱水テトラヒドロフラン溶液として3mL×2回で洗い込みながら添加して反応を開始した。室温で1.5時間撹拌した後にシリカゲル(8g)のショートカラムに通して反応を停止し、酢酸エチル100mLで溶出した。飽和塩化ナトリウム水溶液2mL、水2mL×2回、飽和塩化ナトリウム水溶液2mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後に減圧濃縮して褐色油状物質756.9mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(4:6)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65g,2.4cm内径×27cm長さ)に供し、標記化合物を淡黄色油状物質として426.9mg(0.7710mmol;収率71%)得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)0.58(9H,s,t−Bu),2.37(3H,s,H−14’’’),3.57−3.67(6H,m,H−4’’’,5’’’and6’’’),4.10−4.13(2H,m,H−7’’’),4.34(2H,s,H−3’’’),4.47(1H,brs,H−3),6.85(1H,s,H−1),7.19−7.38(6H,m,H−5’’,6’’,9’’’,10’’’,12’’’,13’’’),7.72−7.75(2H,m,H−2’’and4’’),7.98(1H,s,H−3’),8.44(1H,brs,H−5’)
高分解能MS:C
29H
35N
3Na
1O
6S
1に対する計算値576.21443;実測値576.21478
【0046】
製造例7:1−(4−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンの合成
【化12】
3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オン104.6mg(0.625mmol)を無水酢酸1mLに溶解し、炭酸カリウム87.4mg(0.632mmol)、4−ヨードベンズアルデヒド146.0mg(0.629mmol)を加えて100℃に昇温して反応を開始した。反応5時間後、水3mLを加えて反応を停止し、更に水3mLを追加して酢酸エチル16mLで3回抽出した。飽和塩化ナトリウム水溶液1mLで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して淡橙色油状物質と白色固体の混合物255.6mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(8:2)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(19g,1.4cm内径×20cm長さ)に供し、標記化合物を白色固体として101.5mg(0.2663mmol;収率43%)得た。
【0047】
製造例8:(E)−1−(4−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンの合成
【化13】
製造例7で得られた1−(4−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンのEZ体の混合物84.0mg(0.211mmol)をメタノールに溶解し、氷冷しながらUVランプを照射した。1.5時間後、照射を止めて減圧濃縮し、主に(E)−1−(4−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンと、わずかに(Z)−1−(4−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンを含んだ白色固体と無色透明油状物質の混合物を80.4mg(0.2109mmol)得た。
Z体
1H−NMR(270MHz,CD
3OD):δ(ppm)0.99(9H,s,t−Bu),7.13(1H,m,H−2’’or6’’),7.16(1H,m,H−2’’or6’’),7.24(1H,brs,H−1),7.73(1H,m,H−3’’or5’’),7.77(1H,m,H−3’’or5’’),8.12(1H,s,H−3’),8.92(1H,s,H−5’)
E体
1H−NMR(270MHz,CD
3OD):δ(ppm)1.26(9H,s,t−Bu),6.62(1H,m,H−2’’or6’’),6.66(1H,m,H−2’’or6’’),7.64(1H,m,H−3’’or5’’),7.68(1H,m,H−3’’or5’’),7.73(1H,brs,H−1),8.23(1H,s,H−3’),8.45(1H,s,H−5’)
【0048】
製造例9:(E)−1−(4−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化14】
(E)−1−(4−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オンを主成分とする混合物をメタノール2mLに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム10.4mg(0.274mmol)を加えて反応を開始した。室温で1.5時間撹拌し、水素化ホウ素ナトリウム5.1mg(0.14mmol)を追加し、その1時間後に更に水素化ホウ素ナトリウム6.3mg(0.17mmol)を追加した。反応開始から3時間後に水3mLを加えて反応を停止し、酢酸エチル18mLで3回抽出した。この際、分離が悪かったために1M塩酸を0.3mL加えた。飽和塩化ナトリウム水溶液1mLで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して無色透明油状物質89.2mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(7:3)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(11g,1.2cm内径×16cm長さ)に供し、標記化合物を白色固体として61.4mg(収率73%)得た。
1H−NMR(270MHz,CD
3OD):δ(ppm)0.56(9H,s,t−Bu),4.54(1H,s,H−3)6.95(1H,s,H−1),7.09(1H,m,H−2’’or6’’),7.12(1H,m,H−2’’or6’’),7.68(1H,m,H−3’’or5’’),7.70(1H,m,H−3’’or5’’),7.99(1H,s,H−3’),8.82(1H,s,H−5’)
【0049】
製造例10:4−メチルベンゼンスルホン酸 (E)−2−(2−(3−(4−(3−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−1−イル)フェニル)プロパ−2−イン−1−イロキシ)エトキシ)エチルの合成
【化15】
(E)−1−(4−ヨードフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール31.2mg(81.8μmol)をアルゴン気流下で脱水テトラヒドロフラン0.5mLに溶解し、トリエチルアミン22μL(158μmol)、ヨウ化銅(I)2.4mg(13μmol)、トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)1.6mg(2.3μmol)を順に加えた。室温で30分撹拌した後に4−メチルベンゼンスルホン酸 2−(2−(プロパ−2−イン−1−イロキシ)エトキシ)エチル38.1mg(127μmol)を脱水テトラヒドロフラン溶液として0.1mL×2回で洗い込みながら添加して反応を開始した。室温で1.5時間撹拌した後、シリカゲル(0.5g)のショートカラムに通して反応を停止し、酢酸エチル25mLで溶出した。水2mL、飽和塩化ナトリウム水溶液1mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後に減圧濃縮して橙色油状物質69.7mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(3:7)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10g,1.2cm内径×18cm長さ)に供し、標記化合物を淡黄色油状物質として37.8mg(68.3mmol;収率84%)得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)0.66(9H,s,t−Bu),2.44(3H,s,H−14’’’),3.64−3.74(6H,m,H−4’’’,5’’’and6’’’),4.19(2H,t,J=4.6Hz,H−7’’’),4.41(2H,s,H−3’’’),4.58(1H,brs,H−3),6.93(1H,s,H−1),7.34(4H,m,H−2’’,6’’,10’’’and12’’’),7.49(2H,m,H−3’’and5’’),7.81(2H,m,H−9’’’and13’’’),8.06(1H,brs,H−3’),8.49(1H,brs,H−5’)
高分解能MS:C
29H
35N
3Na
1O
6S
1に対する計算値576.21443;実測値576.21416
【0050】
実施例1:(E)−1−(3−(2,5,8,11−テトラオキサテトラデス−13−イン−14−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化16】
2−メトキシエタノール3mLにアルゴン気流下で60%水素化ナトリウムを323.5mg(8.088mmol)加えて室温で15分間撹拌した。4−メチルベンゼンスルホン酸 (E)−2−(2−(3−(3−(3−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−1−イル)フェニル)プロパ−2−イン−1−イロキシ)エトキシ)エチル395.7mg(0.7146mmol)を2−メトキシエタノール3mL×3回で洗い込みながら加え、反応を開始した。室温で30分撹拌した後に80℃に昇温して1時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液20mLを氷冷下で加えて反応を停止した。水20mLを追加して酢酸エチル60mLで3回抽出した。飽和塩化ナトリウム水溶液3mLで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して褐色油状物質と無色透明油状物質の混合物432.9mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(9:1−0:10のステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(43g,2.4cm内径×18.5cm長さ)に供して不純物を取り除いた後、酢酸エチル−メタノール(99:1)の溶離液で溶出することで標記化合物及び不純物の混合物を271.6mg得た。これを、70%メタノール/水を溶離液としたHPLC(カラム、YMC−Pack HydrosphereC18(20mm内径×150mm長さ);流速8mL/min;検出UV254nm)で分離し、標記化合物を無色透明油状物質として248.4mg(0.5428mmol;収率76%)得た。(総収率22%)
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)0.66(9H,s,t−Bu),3.38(3H,s,H−10’’’),3.49−3.80(12H,m,H−4’’’,5’’’,6’’’,7’’’,8’’’and9’’’),4.26(1H,d,J=8.9Hz,OH),4.44(2H,s,H−3’’’),4.54(1H,d,J=8.9Hz,H−3),6.92(1H,s,H−1),7.31−7.45(4H,m,H−2’’,3’’,4’’and6’’),8.05(1H,s,H−3’),8.50(1H,s,H−5’)
UV λmax(MeOH) nm(ε):241(33000)
高分解能MS:C
25H
35N
3Na
1O
5に対する計算値480.24744;実測値480.24698
【0051】
標記化合物をキラルHPLC(カラム、CHIRAL CEL OD−H(10mm内径×250mm長さ);18%2−プロパノール/ヘキサン;流速4.5mL/min;検出UV254nm)により光学分割した。先に溶出した化合物は(−)体、後に溶出した化合物は(+)体であった。
(−)体
ee>99.96(%)
[α]
29D −2.8(MeOH;c0.52)
(+)体
ee=99.96(%)
[α]
30D +3.6(MeOH;c0.54)
【0052】
実施例2:(E)−1−(3−(3−(2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)プロパ−1−イン−1−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化17】
2−メトキシエタノールに代えて1−ブタノールを用いて、実施例1に記載の方法と同様の方法で反応を行い、標記化合物を得た(総収率26%)。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)0.66(9H,s,t−Bu),0.91(3H,t,J=7.3Hz,H−11’’’),1.22−1.43(2H,m,H−10’’’),1.52−1.62(2H,m,H−9’’’),3.47(2H,t,J=6.6Hz,H−8’’’),3.59−3.81(8H,m,H−4’’’,5’’’,6’’’and7’’’),4.27(1H,d,J=8.6Hz,OH),4.45(2H,s,H−3’’’),4.55(1H,d,J=8.6Hz,H−3),6.92(1H,s,H−1),7.31−7.45(4H,m,H−2’’,3’’,4’’and6’’),8.05(1H,s,H−3’),8.50(1H,s,H−5’)
UV λmax(MeOH) nm(ε):241(35000)
高分解能MS:C
26H
37N
3Na
1O
4に対する計算値478.26818;実測値478.26751
【0053】
標記化合物をキラルHPLC(カラム、CHIRAL CEL OD−H(10mm内径×250mm長さ);10%2−プロパノール/ヘキサン;流速4.5mL/min;検出、UV254nm)により光学分割した。先に溶出した化合物は(−)体、後に溶出した化合物は(+)体であった。
(−)体
ee>99.96(%)
[α]
32D −4.4(MeOH;c0.5)
(+)体
ee=99.96(%)
[α]
32D +3.8(MeOH;c0.5)
【0054】
実施例3:(E)−1−(4−(2,5,8,11−テトラオキサテトラデス−13−イン−14−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化18】
アルゴン気流下で、2−メトキシエタノール2mLに60%水素化ナトリウムを75.6mg(1.89mmol)加え、室温で20分撹拌した。4−メチルベンゼンスルホン酸 (E)−2−(2−(3−(4−(3−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−1−イル)フェニル)プロパ−2−イン−1−イロキシ)エトキシ)エチル87.2mg(0.158mmol)を2−メトキシエタノール1mL×3回で洗い込みながら添加し、60℃に昇温して反応を開始した。7.5時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を10mL加えて反応を停止した。水10mLを追加して酢酸エチル30mLで3回抽出した。飽和塩化ナトリウム水溶液2mLで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して黄色油状物質97.7mgを得た。これをジクロロメタン−メタノール(19:1)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10g,1.4cm内径×17cm長さ)に供して標記化合物を淡黄色油状物質として61.0mg(0.134mmol;収率85%)得た。(総収率16%)これを65%メタノール/水を溶離液としたHPLC(カラム、YMC−Pack HydrosphereC18(20mm内径×150mm長さ);流速8mL/min;検出UV254nm)で精製し、無色透明油状物質を得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)0.66(9H,s,t−Bu),3.38(3H,s,H−10’’’),3.54−3.80(12H,m,H−4’’’,5’’’,6’’’,7’’’,8’’’and9’’’),4.27(1H,d,J=8.9Hz,OH),4.45(2H,s,H−3’’’),4.57(1H,d,J=8.9Hz,H−3),6.93(1H,s,H−1),7.32−7.35(2H,m,H−2’’and6’’),7.47−7.50(2H,m,H−3’’and5’’),8.05(1H,s,H−3’),8.48(1H,s,H−5’)
UV λmax(MeOH)nm(ε):270(24000)
高分解能MS:C
25H
35N
3Na
1O
5に対する計算値480.24744;実測値480.24734
【0055】
標記化合物をキラルHPLC(カラム、CHIRAL CEL OD−H(10mm内径×250mm長さ);15%2−プロパノール/ヘキサン;流速4.5mL/min;検出、UV254nm)により光学分割し、(−)体と(+)体を得た。先に溶出した化合物は(−)体、後に溶出した化合物は(+)体であった。
(−)体
ee>99.84(%)
[α]
32D −35(MeOH;c0.81)
(+)体
ee=99.84(%)
[α]
32D +36(MeOH;c0.82)
【0056】
実施例4:(E)−1−(3−(3−(2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)プロパ−1−イン−1−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化19】
2−メトキシエタノールに代えて1−ブタノールを用いて、実施例3に記載の方法と同様の方法で反応を行い、標記化合物を得た(総収率15%)。
1H−NMR(500MHz,CD
3OD):δ(ppm)0.22(9H,s,t−Bu),0.48(3H,t,J=7.6Hz,H−11’’’),0.90−0.98(2H,m,H−10’’’),1.08−1.14(2H,m,H−9’’’),3.04(2H,t,J=6.7Hz,H−8’’’),3.14−3.16(2H,m,H−7’’’),3.20−3.22(2H,m,H−6’’’),3.25−3.26(2H,m,H−5’’’),3.31−3.33(2H,m,H−4’’’),4.00(2H,s,H−3’’’),4.24(1H,s,H−3),6.66(1H,s,H−1),6.97−6.98(2H,m,H−2’’and6’’),7.05−7.06(2H,m,H−3’’and5’’),7.65(1H,s,H−3’),8.48(1H,s,H−5’)
UV λmax(MeOH) nm(ε):271(24000)
高分解能MS:C
26H
37N
3Na
1O
4に対する計算値478.26818;実測値478.26763
【0057】
標記化合物をキラルHPLC(カラム、CHIRAL CEL OD−H(10mm内径×250mm長さ);8%2−プロパノール/ヘキサン;流速4.5mL/min;検出、UV254nm)により光学分割し、(−)体と(+)体を得た。先に溶出した化合物は(−)体、後に溶出した化合物は(+)体であった。
(−)体
ee>99.9(%)
[α]
27D −36(MeOH;c0.78)
(+)体
ee>99.9(%)
[α]
28D +32(MeOH;c0.75)
【0058】
実施例5:(−)−(S)−(E)−1−(3−(2,5,8,11−テトラオキサテトラデス−13−イン−14−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化20】
アルゴン気流下、(E)−1−(3−(2,5,8,11−テトラオキサテトラデス−13−イン−14−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール57.0mg(0.12mmol)をトルエン5mLに溶解し、N−(パラ−トルエンスルホニル)−L−フェニルアラニルクロリド420.8mg(1.25mmol)を加えて130℃で3時間撹拌した。室温に戻した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液12mLを加え、酢酸エチル15mLで3回抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して、粘性のある黄色油状物質117mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(0−100%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(14g,15mm内径×140mm長さ)に供し、標記化合物を12.8mg(28nmol,収率22%,e.e98.4%)得た。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)0.52(9H,s),2.23(3H,s),2.89(1H,dd),3.10(1H,dd,J=13.8and6.9Hz),3.34(3H,s),3.49−3.84(12H,m),4.36(1H,dd,J=7.9and7.3Hz),4.46(2H,s),5.82(1H,s),7.08−7.63(14H,m),8.14(1H,s),8.80(1H,s)
【0059】
実施例6:(−)−(S)−(E)−1−(3−(2,5,8,11−テトラオキサテトラデス−13−イン−14−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化21】
アルゴン気流下、(E)−1−(3−(2,5,8,11−テトラオキサテトラデス−13−イン−14−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オール50.3mg(0.11mmol)をトルエン5mLに溶解し、N−(パラ−トルエンスルホニル)−L−フェニルアラニルクロリド743.8mg(2.20mmol)を加えて130℃で3時間撹拌した。室温に戻した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加え、酢酸エチル15mLで3回抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して、粘性のある黄色油状物質251mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(0−100%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(11g,14mm内径×150mm長さ)に供し、さらにODS HPLC(YMC−Pack ODS−AQ(20mm内径×150mm長さ),80%MeOH,8.0mL/min,254nm)に供して、標記化合物のエステル体を32.2mg(0.027mmol)得た。このうち20.2mgをテトラヒドロフラン1.5mLに溶解し、5M水酸化ナトリウム水溶液1.5mLを加えて60℃で6時間撹拌した。室温に戻し、酢酸エチル12mLで3回抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して、無色透明油状物質14mgを得た。これをヘキサン−酢酸エチル(0−100%,ステップグラジエント)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10g,15mm内径×135mm長さ)に供し、標記化合物を11.5mg(0.025mmol,収率36%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl
3,TMS):δ(ppm)0.52(9H,s),2.23(3H,s),2.89(1H,dd),3.10(1H,dd,J=13.8and6.9Hz),3.34(3H,s),3.49−3.84(12H,m),4.36(1H,dd,J=7.9and7.3Hz),4.46(2H,s),5.82(1H,s),7.08−7.63(14H,m),8.14(1H,s),8.80(1H,s)
【0060】
比較例1:1−(4−(4−((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オールの合成
【化22】
非特許文献1に記載の方法に従い、標記化合物を合成し、光学分割により(+)体及び(−)体を得た。
【0061】
試験例1:シロイヌナズナ種子発芽阻害試験(1)
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana,Col−0)種子を70%エタノール水溶液500μLに30分、続いて100%エタノール500μLに1分浸漬し、蒸留水1mLで3回洗浄した後に、種子を蒸留水に浸漬させ、暗所下、4℃で3日間春化処理した。試料のメタノール溶液及びABAのメタノール溶液を1.5mL容マイクロチューブに入れ、減圧下にてメタノールを除去し、70℃の0.5%寒天水溶液(含1/2MS培地無機塩類)を加えて撹拌した。それを96穴プレートに入れ、サンプルを含む培地とした。ここに春化処理したシロイヌナズナ種子を20−30粒ずつ播種し、連続光下、22℃で培養してその発芽数を経時的に観察した。下記式(1)にしたがって発芽率を計算した。なお,メタノールを用いて同様に培地を調製したものを無処理区とし、播種72時間後に発芽率100%を示した。播種72時間後の発芽率を
図1に示し、120時間後のシロイヌナズナの初期生育の様子を
図2に示す。実施例1〜4の化合物の投与により種子の発芽が阻害されることが明らかとなった。
発芽率(%)=発芽数(個)/播種数(個)×100…(1)
【0062】
試験例2:シロイヌナズナ種子発芽阻害試験(2)
試料に、実施例1の(−)体、実施例2の(−)体及び比較例1の(−)体を用いて、試験例1と同様の試験を行った。播種120時間後の発芽の様子を
図3に示す。比較例1の(−)体と比較して、実施例1の(−)体及び実施例2の(−)はより低濃度でも種子の発芽を阻害できることが明らかとなった。
【0063】
試験例3:イネ第二葉鞘伸長阻害試験
イネ(Oryza sativa L. cv. Nihonbare)種子をエタノールに5分間浸漬した後、水で10回洗浄し、水に浸漬して連続光下、30℃で3日間培養し発芽させた。試料のメタノール溶液を培養管に入れ、メタノールを減圧下で除去した後、脱イオン水2mLを加えた。これに発芽種子を7粒ずつ入れ、蓋をして連続光下、30℃で7日間培養後に第二葉鞘長を測定し、下記式(2)にしたがって阻害率を算出した。なお、脱イオン水のみで培養したものをコントロールとした。結果を
図4に示す。実施例1〜4の化合物の高濃度投与によってのみ葉鞘の伸長が阻害されることが明らかとなった。
伸長阻害率(%)={1−(各検体の第二葉鞘長/コントロールの第二葉鞘長)}×100…(2)
【0064】
試験例4:アブシジン酸8’位水酸化酵素CYP707A3阻害試験
1.5mLマイクロチューブに、基質である250μM ABAのカリウム・リン酸緩衝液(KPB)溶液を10μL、試料のジメチルホルムアミド溶液を5μL、KPB435μL、アブシジン酸8’位水酸化酵素CYP707A3+NADPH−P450還元酵素ATR1 40μLを加え、30℃で10分間加温した。5mg/mLのNADPHのKPB溶液を10μL添加して酵素反応を開始した。30℃、1000rpmで10分間反応し、1M水酸化ナトリウム水溶液を25μL加えて反応を停止した。4℃で30分静置した後、1M塩酸50μLを加えて酵素代謝物をファゼイン酸(PA)に変換した。OASIS HLBカートリッジ(1cc,30mg;メタノール(1%酢酸)1mLで洗浄し、水(1%酢酸)1mLで平衡化したもの)に酵素反応溶液を供し、10%メタノール/水(1%酢酸)1mLで洗浄した後、メタノール(1%酢酸)1mLでファゼイン酸を溶出した。減圧濃縮し(トルエンを加えて酢酸を共沸)、メタノール50μLに溶解して20μLをHPLC(カラム、YMC−Pack HydrosphereC18(6mm内径×150mm長さ);流速1mL/min;検出、UV254nm)分析に供した。下記式(3)にしたがって試料によるCYP707A3阻害率を算出した。なお、コントロールには試料溶液の代わりにジメチルホルムアミドを用いた。各試料について2種類の濃度について試験を行い、その酵素阻害率から50%阻害濃度(IC
50)を算出した。その結果を表1に示す。
酵素阻害率(%)={1−(各試料のPAピーク面積/コントロールのPAピーク面積)}×100…(3)
【0065】
【表1】
【0066】
試験例5:ent−カウレンオキシダーゼCYP701A6阻害試験
1.5mLマイクロチューブに、基質である500μM ent−カウレンの45%シクロデキストリン水溶液を8μL、試料のジメチルホルムアミド溶液を8μL入れた。そこへ、予め30℃で5分間加温しておいた2.32μMのent−カウレンオキシダーゼCYP701A6を10μLと4.6unit/mLのNADPH−P450還元酵素ATR2を10μL添加した。予め30℃で10分間加温しておいた超純水304μL、500mM KPB40μL、20mM NADPH水溶液20μLを添加して酵素反応を開始した。30℃、1000rpmで30分間反応し、1M塩酸を100μL加えて反応を停止した。内部標準として10μMのアビエチン酸5μLを添加して酢酸エチル400μLで抽出し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮した。メタノール50μLと2Mトリメチルシリルジアゾメタン5μLを添加してカルボン酸をメチル化し、窒素乾固した。ヘキサン150μLに溶解して1μLをGC−MS分析に供し、酵素代謝物であるent−カウレン酸を検出した。下記式(4)にしたがって試料によるCYP701A6阻害率を算出した。なお、ent−カウレン酸のピーク面積はm/z273のピーク面積から算出し、m/z257,213の面積比からent−カウレン酸であることを確認した。アビエチン酸のピーク面積はm/z256の面積から算出し、m/z316の面積比からアビエチン酸であることを確認した。コントロールには試料溶液の代わりにジメチルホルムアミドを用いた。各試料について2種類の濃度について試験を行い、その酵素阻害率から50%阻害濃度(IC
50)を算出した。その結果を表2に示す。
酵素阻害率(%)={1−(各試料のent−カウレン酸ピーク面積/各試料のアビエチン酸ピーク面積)/(コントロールのent−カウレン酸ピーク面積/コントロールのアビエチン酸ピーク面積)}×100…(4)
【0067】
【表2】
【0068】
試験例6:シロイヌナズナ生育試験
Gelzan培地(MS培地混合塩類と1%ショ糖を含む)で生育させた2週齢のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana,Col−0)5個体を、バーミキュライトとプロミックスを1:1で混合させた培養土を入れた200mL容のプラスチックポットに移植し、22℃、16時間明期−8時間暗期の条件で2週間生育させた。この段階で、植物体と培養土を含むポットの質量が約150gになるように水分量を調整した。27ポット(合計135個体のシロイヌナズナ実生)に、実施例1の(−)体の50μM水溶液(0.05%Tween−20と0.2%のMeOHを含む)50mLを、1日1回ずつ3日間、地上部に散布した。上記化合物を含まない水溶液(0.05%Tween−20と0.2%のMeOHを含む)50mLを、1日1回ずつ3日間、地上部に散布したポットをコントロールとして用いた。12日間の乾燥処理後に灌水し、3日後の生存個体数を測定し、下記式(5)にしたがって、生存率を算出した。コントロールのポットでは、乾燥処理後のシロイヌナズナの生存率が15%であったのに対し、実施例1の(−)体50μM水溶液を散布されたポットでは、乾燥処理後のシロイヌナズナの生存率は75%であった。シロイヌナズナに実施例1の(−)体の化合物を散布することにより、乾燥による枯死が緩和されることが明らかとなった。
生存率(%)=生存個体数(個)/全個体数(個)×100…(5)