特許第6599360号(P6599360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599360滅菌システムアクセスを有するサージカルドレープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599360
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】滅菌システムアクセスを有するサージカルドレープ
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/10 20160101AFI20191021BHJP
   A61B 46/20 20160101ALI20191021BHJP
【FI】
   A61B46/10
   A61B46/20
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-565031(P2016-565031)
(86)(22)【出願日】2015年5月4日
(65)【公表番号】特表2017-521109(P2017-521109A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015029005
(87)【国際公開番号】WO2015183474
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年4月16日
(31)【優先権主張番号】14/287,563
(32)【優先日】2014年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518174101
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インターナショナル アンリミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リバシー、リチャード・アイ
【審査官】 吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/078620(WO,A2)
【文献】 米国特許第04334529(US,A)
【文献】 米国特許第05074316(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0205233(US,A1)
【文献】 特開昭54−152382(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0097175(US,A1)
【文献】 米国特許第05765566(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 46/10
A61B 46/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の手術中に使用するためのドレープであって、
手術中に前記患者の少なくとも一部及び機器アレイを覆うことができるように構成されており、
前記ドレープは、
少なくとも1つの不透明補強パネルと、
前記機器アレイを覆うことができるように構成された少なくとも1つの透明透視パネルと、
前記機器アレイから前記患者まで延びる前記患者に流体を送達するためのラインを通すための孔が形成された第1の有孔部分と、前記第1の有孔部分を覆うことができるように構成されたフラップとを有する第1の有孔パネルを含み、
前記第1の有孔パネルは、前記少なくとも1つの不透明補強パネルと同じ材料から形成され、
前記第1の有孔部分は、少なくとも1つの前記透明透視パネルの上に位置することを特徴とするドレープ。
【請求項2】
前記機器アレイは、血管造影用の造影剤送達システムであることを特徴とする請求項1に記載のドレープ。
【請求項3】
液体不透過性材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のドレープ。
【請求項4】
前記第1の有孔部分とは別の位置に配置された第2の有孔部分を有する第2の有孔パネルをさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のドレープ。
【請求項5】
ベースシートをさらに含み、
前記少なくとも1つの不透明補強パネルは、不織布、多層積層体、流体吸収性材料、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のドレープ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの不透明補強パネルは、流体撥性または流体不透過性を有するフィルム層により裏張りされていることを特徴とする請求項5に記載のドレープ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの不透明補強パネルは、前記ベースシートに、接着、縫合、熱接合、または超音波接合により取り付けられていることを特徴とする請求項5または6に記載のドレープ。
【請求項8】
前記第1の有孔パネルは、不織布、多層積層体、流体吸収性材料、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のドレープ。
【請求項9】
前記機器アレイを覆う部分は、10−60マイクロメートルの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のドレープ。
【請求項10】
前記機器アレイを覆う部分は、ポリエチレンフィルムを含むことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のドレープ。
【請求項11】
使用時に手術部位の上に配置可能な開口部をさらに有し、
前記開口部は、略円形の断面形状を有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のドレープ。
【請求項12】
前記開口部は、大腿部開窓であることを特徴とする請求項11に記載のドレープ。
【請求項13】
使用時に手術部位の上に配置可能な開口部をさらに有し、
前記開口部は、略楕円形の断面形状を有することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のドレープ。
【請求項14】
前記開口部が、橈骨開窓であることを特徴とする請求項13に記載のドレープ。
【請求項15】
当該ドレープを前記患者、前記機器アレイ、またはその両方に接着するための接着剤が、当該ドレープの周縁部に配されていることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のドレープ。
【請求項16】
前記接着剤が、感圧性接着剤であることを特徴とする請求項15に記載のドレープ。
【請求項17】
血管造影手術中に使用するためのドレープであって、
手術中に患者の少なくとも一部及び造影剤送達システムを覆うことができるように構成されており、
前記ドレープは、
少なくとも1つの不透明補強パネルと、
前記造影剤送達システムを覆うことができるように構成された少なくとも1つの透明透視パネルと、
前記造影剤送達システムから延びる流体送達ライン及びコントローララインを通すための孔が形成された第1の有孔部分と、前記第1の有孔部分に向けて折り返して、前記孔に通された前記流体送達ライン及び前記コントローララインを覆うことができるように構成されたフラップとを有する第1の有孔パネルを含み、
前記第1の有孔パネルは、前記少なくとも1つの不透明補強パネルと同じ材料から形成され、
前記第1の有孔部分は、少なくとも1つの前記透明透視パネルの上に位置することを特徴とするドレープ。
【請求項18】
前記造影剤送達システムが、滅菌野の外側に位置するタッチスクリーンディスプレイ(CRT)を有することを特徴とする請求項17に記載のドレープ。
【請求項19】
液体不透過性材料を含むことを特徴とする請求項17または18に記載のドレープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2014年5月27日出願の米国特許出願第14/287,563号に基づく優先権を主張するものである。上記出願は、その全文を引用することを以って本明細書の一部となす。
【背景技術】
【0002】
外科手術中に患者の手術部位を無菌に保つために使用される様々な構成の使い捨て型サージカルドレープが、当分野で公知である。多くの場合、構造強度を与え、かつ手術部位から出る体液を吸収するために、使い捨て型サージカルドレープの開窓部または縁部の周りに補強領域が設けられる。また、多くの使い捨て型ドレープでは、ドレープ領域及び補強領域が互いに異なる材料の多層構造から成り、各層がドレープに対して異なる特性を付与するように構成されている。例えば、スパンボンド繊維、メルトブローン繊維、及びポリマーフィルムが、使い捨て型ドレープの層として使用される。
【0003】
特定の外科手術は、造影剤の注入を伴う。従来は、造影剤は、手に持った注射器を用いて、大腿部または橈骨動脈に導入されるラインに注入していた。しかし、造影剤は粘着性が非常に高いので、比較的高い圧力で注入する必要があった。そのため、医師は、造影剤を注入するのに、強い手の力を必要とした。また、造影剤は高価であるが、余った造影剤は、手術中に患者領域に入らないように廃棄しなければならなかった。比較的新しい装置が、より幅広く使用されるようになってきており、それにより、患者に使用されなかった造影剤を節約することが可能となった。この装置は、ACIST CVi造影剤送達システムとして知られており、ACISTシステムから延びる高圧ラインを介して造影剤を患者に注入するように構成されており、シンプルな手動コントローラにより制御することができるので、医師の造影剤を注入する労力を大幅に軽減することができる。加えて、余った造影剤は、患者領域の外側に位置するACISTシステム内の小さなガラスボトル内に貯蔵されるので、別の患者に使用することができる。このACISTシステムは、タッチスクリーンディスプレイ(CRT)と、造影剤を患者に送達するためのラインと、造影剤の注入を手動で制御するためのラインとを有している。
【0004】
このシステムと患者とを接続するラインは患者領域の内側から外側に延びているので、このシステムと患者との間の接続に問題が発生する。この問題を解決するために提案された1つの方法は、CRTを滅菌野の外側にカバー等で被覆されない状態で配置し、ドレープにペンまたは鋭利な器具により形成した貫通孔に制御ライン及び高圧ラインを通す方法である。別の解決策は、滅菌野と非滅菌野との間に特定のバリアを配置せず、ラインを手術室の天井または器具からぶら下げてドレープの上方に配置することである。しかし、いずれの解決策も理想的ではなく、また、このシステム及び手術のための標準的なドレープシステムは存在しない。
【0005】
したがって、ACIST CViまたはそれと同様のシステムと共に使用するための、使用が容易であり、かつ患者と装置との間の分離を提供する、アクセスが設けられたサージカルドレープが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の様々な特徴及び利点は、その一部が以下の説明に記載されており、あるいは以下の説明から明らかであり、あるいは本開示の実施により学ぶことができるであろう。
【0007】
本開示の態様によれば、患者の手術中に使用するためのサージカルドレープが提供される。前記ドレープは、手術中に、患者の少なくとも一部並びに機器アレイを覆うことができるサイズ及び形状を有するシート材料を含む。前記ドレープは、機器アレイから患者まで延びるラインがドレープを通過することを可能にする予め形成された孔を含む。前記ドレープはまた、患者の周囲の滅菌野を維持するために、前記孔に前記ラインを通した後に前記孔を覆うフラップを含む。
【0008】
特定の実施形態では、患者の手術中に使用するためのサージカルドレープが提供される。前記ドレープは、手術中に前記患者の少なくとも一部及び機器アレイを覆うことができるように構成されている。前記ドレープにおける前記機器アレイを覆う部分は、透明に構成されている。前記ドレープは、第1の有孔部分とフラップとを有する第1の有孔パネルを含む。前記第1の有孔部分には、前記機器アレイから前記患者まで延びる前記患者に流体を送達するためのラインを通すための孔が形成されている。前記フラップは、前記第1の有孔部分を覆うことができるように構成されている。
【0009】
さらなる実施形態では、前記機器アレイは、血管造影用の造影剤送達システムである。
【0010】
別の実施形態では、前記ドレープは、液体不透過性材料を含む。
【0011】
さらに別の実施形態では、前記ドレープは、前記第1の有孔部分とは別の位置に配置された第2の有孔部分を有する第2の有孔パネルをさらに含む。
【0012】
さらに別の実施形態では、前記ドレープは、ベースシートと、少なくとも1つの補強パネルとを含み、前記少なくとも1つの補強パネルは、不織布、多層積層体、流体吸収性材料、またはそれらの組み合わせを含む。前記少なくとも1つの補強パネルは、流体撥性または流体不透過性を有するフィルム層により裏張りされるとよい。さらに、前記少なくとも1つの補強パネルは、前記ベースシートに、接着、縫合、熱接合、または超音波接合により取り付けられるとよい。
【0013】
別の実施形態では、前記第1の有孔部分は、当該ドレープの透明な部分に取り付けられる。
【0014】
別の実施形態では、前記第1の有孔パネルは、不織布、多層積層体、流体吸収性材料、またはそれらの組み合わせを含む。
【0015】
さらに別の実施形態では、前記機器アレイを覆う前記部分は、10−60マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0016】
別の実施形態では、前記機器アレイを覆う前記部分は、ポリエチレンフィルムを含む。
【0017】
さらなる実施形態では、前記第1の有孔部分の前記孔は、略円形の断面形状を有する。特定の実施形態では、前記孔は、大腿部開窓である。
【0018】
別の実施形態では、前記第1の有孔部分の前記孔は、略楕円形の断面形状を有する。特定の実施形態では、前記孔は、橈骨開窓である。
【0019】
別の実施形態では、前記ドレープを前記患者、前記機器アレイ、またはその両方に接着するための接着剤が、前記ドレープの周縁部に配されている。特定の実施形態では、前記接着剤は、感圧性接着剤である。
【0020】
別の実施形態では、血管造影手術中に使用するためのドレープが提供される。前記ドレープは、手術中に前記患者の少なくとも一部及び造影剤送達システムを覆うことができるように構成されている。前記ドレープにおける前記造影剤送達システムを覆う部分は透明に構成されている。前記ドレープは、第1の有孔部分とフラップとを有する第1の有孔パネルを含む。前記第1の有孔部分には、前記造影剤送達システムから延びる流体送達ライン及びコントローララインを通すための孔が形成されている。前記フラップは、前記第1の有孔部分に向けて折り返して、前記孔に通された前記流体送達ライン及び前記コントローララインを覆うことができるように構成されている。
【0021】
特定の実施形態では、前記造影剤送達システムは、滅菌野の外側に位置するタッチスクリーンディスプレイ(CRT)を有する。
【0022】
別の実施形態では、前記ドレープは液体不透過性材料を含む。
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に明らかにされるであろう。上記の要約、並びに以下の詳細な説明及び実施例は、両方とも単に本発明の代表例であり、特許請求の範囲に規定された本発明を理解するための概要を提供することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
当業者を対象にした本開示の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)は、添付図面を参照して本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0025】
図1】患者及び機器アレイを覆っているサージカルドレープを示す図であり、ラインをドレープの孔に通した状態を示している。
図2】一実施形態に係るドレープを示す平面図であり、ドレープの様々な要素の位置を示している。
図3】ドレープの孔及びフラップを示す平面図である。
図4】他の実施形態に係るドレープを示す平面図であり、ドレープの様々な要素の位置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の様々な実施形態について詳細に説明し、1以上の実施例を以下に示す。各実施例は、本開示の説明のために与えられるものであり、本開示を限定するためのものではない。実際には、本開示の範囲及び要旨から逸脱しない範囲で本開示の様々な変更及び変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付した特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限りは、そのような変更及び変形を包含することを意図している。
【0027】
本開示に従って作製されたサージカルドレープは、その使用用途や所望する性質に応じて、任意の様々なサイズ及び形状を有することができる。例えば、あるサージカルドレープの構造が、Griesbach他に付与された米国特許第6,055,987号に記載されている(この特許は、全ての目的のために、引用することを以って本明細書の一部となす)。
【0028】
本開示の態様を含むサージカルドレープの様々な実施形態が、外科手術中に患者を覆うためのドレープ10(図1)として添付図面に記載されている。ドレープ10は、当分野で使い捨て型のサージカルドレープ、衣服、カバーなどに一般的に使用されるドレープシート材料に用いられる任意の材料または材料の組み合わせから作製することができる。
【0029】
一般的に、ドレープシートは、例えば、織布、再使用可能な布、及び使い捨て型の不織布または不織ウェブなどの、様々な材料から作製することができる。本開示での使用に適した不織材料としては、例えば、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)材料のような多層積層体が挙げられる。好適な布の例は、Brock他に付与された米国特許第4,041,203号に記載されている。
【0030】
本明細書で使用される「不織布または不織ウェブ」なる用語は、個々の繊維または糸が、編物のような規則的な繰り返し形態ではないランダムな形態で交絡された構造を有するウェブを意味する。不織布または不織ウェブは、例えばメルトブローン法、スパンボンド法、及びボンデッドカーデッドウェブ法などの様々な方法によって作製されてきた。不織布の秤量は、通常は1平方ヤード当たりオンス(osy)または1平方メートル当たりグラム(gsm)単位で表され、繊維径は、通常はミクロン(μm)単位で表される(なお、osyの数値をgsmの数値に変換するためには、osyの数値に33.91を乗ずればよい)。
【0031】
本明細書で使用される「スパンボンド繊維」なる用語は、溶融した熱可塑性プラスチック材料を、スピナレット(紡糸口金)の通常は円形断面形状を有する複数の微細なキャピラリからフィラメント(細繊維)として押し出した後、例えば、Appel他に付与された米国特許第4,340,563号、Dorschner他に付与された米国特許第3,692,618号、Matsuki他に付与された米国特許第3,802,817号、Kinneyに付与された米国特許第3,338,992号及び第3,341,394号、Hartmanに付与された米国特許第3,502,763号、あるいはDobo他に付与された米国特許第3,542,615号に記載されているようにして、押し出されたフィラメントの直径を急激に縮径させることにより形成された小径の繊維を指す。スパンボンド繊維は一般的に、捕集面上に堆積したときに粘着性を示さない。スパンボンド繊維は一般的に連続的であり、7マイクロメートル(ミクロン)以上の平均直径(少なくとも10個のサンプルの平均値)を有し、より具体的には約10〜20マイクロメートルの平均直径を有する。
【0032】
本明細書で使用される「メルトブローン繊維」なる用語は、溶融した熱可塑性材料を、通常は円形の断面形状を有する複数の微細なダイキャピラリから溶融糸または溶融フィラメントとして、通常は高温の高速の集束ガス(例えば空気)流の中に押し出し、前記高速ガス流によって、溶融糸または溶融フィラメントの直径をマイクロ繊維(超極細繊維)の直径の程度にまで縮径させることにより形成された繊維を意味する。メルトブローン繊維は、その後、前記高速ガス流によって運ばれて捕集面上に堆積し、それにより、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブが形成される。このような工程は、例えば、Butin他に付与された米国特許第3,849,241号に開示されている。メルトブローン繊維は、連続的または非連続的なマイクロ繊維であり、一般的に10マイクロメートル(ミクロン)未満の平均直径を有し、一般的に捕集面上に堆積したときに粘着性を示す。
【0033】
本明細書で使用される「多層積層体」なる用語は、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)積層体や他の積層体のような、スパンボンド層とメルトブローン層とを含む積層体を意味する。このような積層体は、例えば、Brock他に付与された米国特許第4,041,203号、Collier他に付与された米国特許第5,169,706号、Potts他に付与された米国特許第5,145,727号、Perkins他に付与された米国特許第5,178,931号、及びTimmons他に付与された米国特許第5,188,885号に開示されておる。このような積層体は、移動する成形ベルト上に、スパンボンド布層、メルトブローン布層、別のスパンボンド布層をその順番に堆積させ、その後、後述する方法で各層を互いに結合させることによって製造することができる。あるいは、上記の各布層を個別に製造してロールに集積しておき、別の結合ステップにおいて互いに組み合わせてもよい。このような布地は、約0.1−12osy(6−400gsm)、より具体的には、約0.75−約3osyの坪量を有する。また、多層積層体は、メルトブローン層とスパンボンド層を様々な数で含む構成や、フィルムやコフォーム材料などの他の材料を含む構成を有することができる(例えば、SMMS、SM、SFS)。
【0034】
本明細書で使用される「コフォーム」なる用語は、ウェブの形成中に、少なくとも1つのメルトブローンダイヘッドの近傍に配置されたシュートからウェブに他の材料を加える工程を意味する。前記他の材料は、例えば、パルプ、高吸収性粒子、セルロース、またはステープル繊維であり得る。コフォーム工程は、Lauに付与された米国特許第4,818,464号、及びAnderson他に付与された第4,100,324号に開示されている。コフォーム工程により製造されたウェブは、一般的に、コフォーム材料と呼ばれる。
【0035】
一実施形態では、ドレープ10は、当分野では周知のように手術中に手術部位の上側に配置される大腿部開窓開口部(femoral fenestration openings)40及び橈骨開窓(radial fenestrations)42を含む。開窓40、42のサイズ、形状、及び位置は、ドレープ10が使用される外科手術の種類に応じて異なる。例えば、大腿部血管造影手術に使用されるドレープは、図2に示すように、略円形の断面形状及び約12−13mmの直径を有する1つまたは2つの開窓40を有する。一方、橈骨開窓42は、略楕円形の断面形状及び約12mm×約7−8mmの径サイズを有する。
【0036】
機器アレイ(instrument array)が、手術の進行をモニタするのに、または流体(例えば、血管造影剤)を患者に投与するのに使用される。機器アレイは、例えば、タッチスクリーンディスプレイ(CRT)と、造影剤を送達するための他の関連する機器とを含む。比較的新しい装置が血管造影に使用されており、このような機器アレイの使用を伴う。この装置は、ACIST CVi造影剤送達システムとして知られており、ACISTシステムから延びる高圧ラインを介して造影剤を患者に注入するように構成されており、シンプルな手動コントローラにより制御することができるので、ユーザの造影剤を注入する労力を大幅に軽減することができる。加えて、余った造影剤は、患者領域の外側に位置するACISTシステム内の小さなガラスボトル内に貯蔵されるので、別の患者に使用することができる。このACISTシステムは、タッチスクリーンディスプレイ(CRT)と、造影剤を患者に送達するためのラインと、造影剤の注入を手動で制御するためのラインとを有している。
【0037】
本明細書に開示されたドレープ10は、ACISTシステムと共に使用することができ、透明な流体抵抗性材料(例えば、ポリエチレンフィルム)から作製された透視パネル(図2の18、20、22、24)を含む。図1に示すように、この透視パネル(透明フィルム)で患者及び機器アレイ50を覆うことにより、透視パネルを介して機器アレイ50を容易に視認することができる。一般的に使用される透視パネルは、約10−60マイクロメートル(ミクロン)の範囲、より具体的には約40マイクロメートルの厚さを有する。
【0038】
本開示のサージカルドレープ10は、ベースシート上に重ね合わされ任意の適切かつ妥当な方法で固定されるか、または他のパネル(例えば、透視パネル18、20、22、24)の縁部に結合された補強パネル12、14、16を含む。補強パネルの幅、長さ、及び構成材料は、ドレープ10の用途に応じて異なる。補強パネルは、例えば、不織布、多層積層体(例えば、SMS)、流体吸収性材料、及びそれらの組み合わせなどの様々な材料から作製することができる。補強パネルは、流体撥性または流体不透過性を有するフィルム層によって裏張りするとよい。補強パネルのフィルム層側または下面は、任意の一般的な手段、例えば、接着、縫合、熱接合技術、または超音波接合技術を用いて、ベースシートの上面に固定される。補強パネルの上面は、露出した状態に保たれ、手術部位から排出された流体の吸収に利用可能である。流体不透過性フィルム層(存在する場合)は、血液または他の体液が補強パネル及びベースシートを通過するのを防止する。
【0039】
ドレープ10を患者または機器アレイ50に接着させるために、ドレープ10の周縁部に、接着剤30がストリップ状またはスクエア状に配される。接着剤30としては、粘着性の感圧性接着剤、かつ生物的に許容可能な接着剤を使用するとよい。そのような接着剤材料は、Schrading他に付与された米国特許第3,669,106号に開示されている。
【0040】
ドレープの作製に用いられる材料の一部または全部は、親水性または疎水性を有するように構成してもよく、また、所望の吸水性を実現すべく化学的に処理してもよい。例えば、1または複数の材料が、Yahiaoui他に付与された米国特許第5,540,979号に開示されているような方法を用いて、界面活性剤で処理される。
【0041】
図面を参照して、図1では、ドレープ10の透視パネル24の下側に、機器アレイ50を視認することができる。機器アレイ50は、ドレープ10の第1の有孔パネル26に予め形成された孔32に通される2つのライン52、54を有する(第1の有孔パネル26、及びその周囲のドレープ10の小領域は、図3に拡大して示されていることに留意されたい)。一方のラインは、コントローラライン52であり、他方のラインは、開窓40の1つを通って患者に接続される高圧流体ライン54である。第1の有孔パネル26は、フラップ36と、有孔部分34とを含む。フラップ36は、その折り返し部分38だけが、ドレープ10に結合されている。使用時は、フラップ36を折り返して孔32を露出させ、ライン52、54は、孔32のいずれかに通されて、機器アレイ50に接続される。その後、フラップ36は、ライン52、54及び孔32を遮蔽すべく第1の有孔パネル26の有孔部分34の上側に折り返され、それにより、孔32にラインを通した後に患者の滅菌野を維持することができる。第1の有孔パネル26は、上述した補強パネルと同じ材料から作製することができる。
【0042】
第1の有孔パネル26は、図2に示すように、ドレープ10の上側の位置に配置されている。図2におけるドレープ10の上側の位置は、手術用の機器アレイ50が最も一般的に配置される位置に対応する位置だからである。しかし、医師の希望または他の要因により、機器アレイ50が別の位置に配置される場合もある。そのため、第2の有孔パネル28が、ドレープ10の反対側の位置(図2におけるドレープ10の下側の位置)に設けられる。第2の有孔パネル28は、患者の身体幅方向における反対側に位置するので、フラップ36が患者の身体幅方向における身体内側に向かって折り返されるように、第1の有孔パネル26を180度回転させた形態で設けられている。この2つの有孔パネル26、28は、同じサイズである必要はなく、また、孔32の数は同じである必要もない。例えば、ある実施形態では、第1の有孔パネル26は5つの孔32を有し、第2の有孔パネル28は3つの孔32を有する。図2では、フラップを閉じた状態を示しているので、有孔部分の孔は見えない。
【0043】
一実施形態では(図2)、ドレープ10は、その長手方向の全長として、約340cmの長さを有する。ドレープ10は、その頭側端部(図2のH)では、約260cmの幅を有する。ドレープ10は、その足側端部(図2のF)では、約295cmの幅を有する。補強パネル12、14、及び16は、それらを組み合わせた全長として、275cmの長さを有する。補強パネル14の幅方向両側の一部は、補強パネル12及び16と比べて若干、具体的には約15cmずつ幅が広い。補強パネル12、14、及び16は、SMS繊維から作製され、血液及び他の流体の制御に役立つようにパネル14に吸収性層が追加されることが望ましい。透視パネル24は、約50cmの幅を有し、頭側端部から約150cmの位置で終端する(すなわち、約150cmの長さを有する)。
【0044】
別の実施形態(図4)では、ドレープ10は、その長手方向の全長として、約363cmの長さを有する。ドレープ10は、その頭側端部(図4のH)では、約238cmの幅を有する。ドレープ10は、その足側端部(図4のF)では、約288cmの幅を有する。補強パネル12、14、及び16は、ドレープ10の全長(約363cm)に渡って延在する。そのため、ドレープ10の頭側端部Hまたは足側端部Fに沿って延在する透明部分は存在しない。補強パネル14の幅方向両側の一部は、補強パネル12及び16の幅(約91cm)と比べて若干、具体的には約35.5cmずつ幅が広い。パネル14の幅の広い部分は、パネル14の長さ方向に沿って約61cm延在する。補強パネル12、14、及び16は、SMS繊維から作製され、血液及び他の流体の制御に役立つようにパネル14に吸収性層が追加されることが望ましい。透視パネル24は、約363cmの長さを有し、その足側端部で約115cmの幅を有し、その頭側端部で約65cmの幅を有し、頭側端部から約130cmの位置で幅が短くなる。別の透明な透視パネル20は、約81cmの幅と約363cmの長さを有する。第1の有孔パネル26の有孔部分34は、約76cmの長さと、約12.5cmの幅を有し、フラップ36も同じサイズを有する。第2の有孔パネル28の有孔部分は、約41cmの長さと、約12.5cmの幅を有し、フラップも同じサイズを有する。図4では、フラップを開いた状態を示しているので、有孔部分の孔は見える。
【0045】
本開示のドレープは、ユーザが、滅菌野から非滅菌野まで、ドレープを貫通してラインを通すことを可能とする。また、本開示のドレープは、無菌のユーザ(すなわち、看護師)が、非無菌の看護師の助けを借りることなく、システムを配置することを可能にする。また、別のスクリーンカバーを必要とすることなく、患者用のドレープのみを使用して、ユーザがACIST CViシステムのタッチスクリーンを覆って使用することを可能にする。
【0046】
本開示の範囲及び精神から逸脱しない範囲で、本明細書で説明した実施形態に様々な変更及び変形を為し得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付した特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限りは、そのような変更及び変形を包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4