特許第6599400号(P6599400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599400
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】電源回路遮断装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/83 20110101AFI20191021BHJP
【FI】
   H01R12/83
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-109989(P2017-109989)
(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公開番号】特開2018-206585(P2018-206585A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175536
【弁理士】
【氏名又は名称】高井 智之
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 統
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−100382(JP,A)
【文献】 特開2002−133979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路の途中に設けられる固定側コネクタ装置と、
該固定側コネクタ装置に係合・離脱して前記電源回路をオン・オフする可動側コネクタ装置とを含み、
前記固定側コネクタ装置は、前記電源回路の分断部分の一方に接続される導電性の第一端子と、前記電源回路の分断部分の他方に接続される導電性の第二端子と、これら前記第一端子及び前記第二端子を収容する絶縁性の固定側コネクタハウジングとを含み、
前記可動側コネクタ装置は、前記固定側コネクタハウジングに係合する絶縁性の可動側コネクタハウジングと、該可動側コネクタハウジングに収容され且つ前記第一端子及び前記第二端子に接触して前記電源回路をオンする第三端子とを含み、
前記第一端子及び前記第二端子は、前記固定側コネクタ装置及び前記可動側コネクタ装置の係合方向に沿ってそれぞれ突出し且つ所定の間隔をあけて前記係合方向に直交する方向に沿って並ぶタブ状の第一電気接触部及び第二電気接触部を有し、
前記固定側コネクタハウジングは、固定側ベース部と、前記第一電気接触部及び前記第二電気接触部を囲むように円筒形状に形成される固定側円筒部とを有し、
前記可動側コネクタハウジングは、可動側ベース部と、前記第三端子を囲むように円筒形状に形成され且つ前記固定側コネクタハウジングに対して係合する可動側円筒部とを有し、
前記固定側円筒部及び前記可動側円筒部のいずれか一方は、突起状のボス部を有するとともに、いずれか他方は、前記ボス部に案内されるスリット形状又は溝形状のガイド部を有し、
該ガイド部は、前記いずれか他方の開口縁から前記係合方向に沿って形成される第一ガイド部と、該第一ガイド部に連続するとともに前記係合方向に平行な回転軸回りの方向に形成される第二ガイド部と、該第二ガイド部に連続するとともに前記係合方向に沿って前記開口縁から離れる側に形成される第三ガイド部とを有する
ことを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路遮断装置において、
前記固定側ベース部は、前記第一電気接触部及び前記第二電気接触部の各接続面の反対側を支持する支持部を有する
ことを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項3】
請求項に記載の電源回路遮断装置において、
当該電源回路遮断装置は、前記電源回路と共に配索される信号回路の途中にも設けられるものであり、
前記固定側コネクタ装置は、前記信号回路の分断部分の一方に接続される導電性の第四端子と、前記信号回路の分断部分の他方に接続される導電性の第五端子と、これら前記第四端子及び前記第五端子を収容する絶縁性の固定側信号用ハウジングとを含み、
前記可動側コネクタ装置は、前記固定側信号用ハウジングに係合する絶縁性の可動側信号用ハウジングと、該可動側信号用ハウジングに収容され且つ前記第四端子及び前記第五端子に接続されて短絡をする第六端子とを含む
ことを特徴とする電源回路遮断装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導通状態にある電源回路を遮断することが可能な電源回路遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハイブリッド自動車や電気自動車の電源回路は高電圧の回路になる。従って、メンテナンス等で作業安全性を確保するためには、電源部と負荷部との通電を遮断することが必要であり、下記特許文献1に開示されるような電源回路遮断装置を電源回路の途中に設けることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−62043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術にあっては、電源回路遮断装置における電気的な接続部分がバネを有する端子とオスタブを有する端子との接触により形成される。電源回路は高電圧の回路になることから、上記バネの接触荷重を大きくしておく必要があり、そのため電源遮断装置におけるレバーの操作荷重が大きく操作性が悪くなってしまうという問題点を有する。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、操作性の向上を図ることが可能な電源回路遮断装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
記課題を解決するためになされた請求項に記載の本発明の電源回路遮断装置は、電源回路の途中に設けられる固定側コネクタ装置と、該固定側コネクタ装置に係合・離脱して前記電源回路をオン・オフする可動側コネクタ装置とを含み、前記固定側コネクタ装置は、前記電源回路の分断部分の一方に接続される導電性の第一端子と、前記電源回路の分断部分の他方に接続される導電性の第二端子と、これら前記第一端子及び前記第二端子を収容する絶縁性の固定側コネクタハウジングとを含み、前記可動側コネクタ装置は、前記固定側コネクタハウジングに係合する絶縁性の可動側コネクタハウジングと、該可動側コネクタハウジングに収容され且つ前記第一端子及び前記第二端子に接触して前記電源回路をオンする第三端子とを含み、前記第一端子及び前記第二端子は、前記固定側コネクタ装置及び前記可動側コネクタ装置の係合方向に沿ってそれぞれ突出し且つ所定の間隔をあけて前記係合方向に直交する方向に沿って並ぶタブ状の第一電気接触部及び第二電気接触部を有し、前記固定側コネクタハウジングは、固定側ベース部と、前記第一電気接触部及び前記第二電気接触部を囲むように円筒形状に形成される固定側円筒部とを有し、前記可動側コネクタハウジングは、可動側ベース部と、前記第三端子を囲むように円筒形状に形成され且つ前記固定側コネクタハウジングに対して係合する可動側円筒部とを有し、前記固定側円筒部及び前記可動側円筒部のいずれか一方は、突起状のボス部を有するとともに、いずれか他方は、前記ボス部に案内されるスリット形状又は溝形状のガイド部を有し、該ガイド部は、前記いずれか他方の開口縁から前記係合方向に沿って形成される第一ガイド部と、該第一ガイド部に連続するとともに前記係合方向に平行な回転軸回りの方向に形成される第二ガイド部と、該第二ガイド部に連続するとともに前記係合方向に沿って前記開口縁から離れる側に形成される第三ガイド部とを有することを特徴とする。
【0009】
このような請求項の特徴を有する本発明によれば、レバーを用いない構成及び構造の電源回路遮断装置にすることができる。すなわち、固定側コネクタ装置に対し可動側コネクタ装置を直線移動及び回転移動させてコネクタ装置同士の係合・離脱及び電源回路のオン・オフを図る構成及び構造にすれば、レバーを用いなくとも操作性のよい電源回路遮断装置を提供することができる。この他、本発明によれば、端子接触による荷重がかかった状態の操作距離を従来例よりも小さく設定することができる。
【0010】
請求項に記載の本発明は、請求項に記載の電源回路遮断装置において、前記固定側ベース部は、前記第一電気接触部及び前記第二電気接触部の各接続面の反対側を支持する支持部を有することを特徴とする。
【0011】
このような請求項の特徴を有する本発明によれば、第一端子及び第二端子の第一電気接触部及び第二電気接触部の各接続面と、第三端子との接続状態を安定させることができる。
【0012】
請求項に記載の本発明は、請求項に記載の電源回路遮断装置において、当該電源回路遮断装置は、前記電源回路と共に配索される信号回路の途中にも設けられるものであり、前記固定側コネクタ装置は、前記信号回路の分断部分の一方に接続される導電性の第四端子と、前記信号回路の分断部分の他方に接続される導電性の第五端子と、これら前記第四端子及び前記第五端子を収容する絶縁性の固定側信号用ハウジングとを含み、前記可動側コネクタ装置は、前記固定側信号用ハウジングに係合する絶縁性の可動側信号用ハウジングと、該可動側信号用ハウジングに収容され且つ前記第四端子及び前記第五端子に接続されて短絡をする第六端子とを含むことを特徴とする。
【0013】
このような請求項の特徴を有する本発明によれば、信号回路のオン・オフも図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電源回路遮断装置によれば、コネクタ装置同士の係合・離脱及び電源回路のオン・オフの際の操作性向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の電源回路遮断装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
図2図1の固定側コネクタ装置の拡大図である。
図3図1の可動側コネクタ装置の拡大図である。
図4】コネクタ装置同士の係合前の状態を示す図であり、(a)は装置の外観を示す斜視図、(b)は端子位置を示す斜視図である。
図5】コネクタ装置同士の係合開始時の状態を示す図であり、(a)は装置の外観を示す斜視図、(b)は端子位置を示す斜視図である。
図6図5の時の端子位置を示す図であり、(a)は固定側コネクタ装置の平面図、(b)は(a)の端子のみの図である。
図7】コネクタ装置同士の係合途中の状態を示す図であり、(a)は装置の外観を示す斜視図、(b)は端子位置を示す斜視図である。
図8図7の時の端子位置を示す図であり、(a)は固定側コネクタ装置の平面図、(b)は(a)の端子のみの図である。
図9】コネクタ装置同士の係合終了時の状態を示す図であり、(a)は装置の外観を示す斜視図、(b)は端子位置を示す斜視図である。
図10図9の時の端子位置を示す図であり、(a)は固定側コネクタ装置の平面図、(b)は(a)の端子のみの図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
電源回路遮断装置は、電源回路の途中に設けられる固定側コネクタ装置と、この固定側コネクタ装置に係合・離脱して電源回路をオン・オフする可動側コネクタ装置と、コネクタ装置同士の係合・離脱及び電源回路のオン・オフのための回転接続機構とを含んで構成される。回転接続機構は、コネクタ装置同士の係合・離脱及び電源回路のオン・オフにあたり、係合方向に沿って可動側コネクタ装置を直線移動可能にし、且つ、係合方向に平行な回転軸回りの方向に可動側コネクタ装置を回転移動可能にするように構成される。
【実施例】
【0017】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の電源回路遮断装置の一実施形態を示す分解斜視図である。また、図2は固定側コネクタ装置の拡大図、図3は可動側コネクタ装置の拡大図、図4図10はコネクタ装置同士の係合前の状態から係合終了時までの状態を示す図である。
【0018】
<電源回路遮断装置1について>
図1において、電源回路遮断装置1は、電源回路D及び信号回路Sの途中に設けられる固定側コネクタ装置2と、この固定側コネクタ装置2に係合・離脱して電源回路D及び信号回路Sをオン・オフする可動側コネクタ装置3と、コネクタ装置同士の係合・離脱、及び、電源回路Dや信号回路Sのオン・オフのための回転接続機構4とを含んで構成される。本実施例の電源回路遮断装置1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車のサービスプラグに相当するものである。電源回路遮断装置1は、以下の説明で分かるようになるが、従来例とは異なりレバーを用いない回転式のサービスプラグである。
【0019】
尚、図1中の符号CLは中心軸・回転軸を示すものとする。また、この中心軸・回転軸CLに沿って平行な矢印Pは特許請求の範囲に記載された嵌合方向を示すものとする。また、中心軸・回転軸CLを中心にした矢印Qは特許請求の範囲に記載された回転軸回りの方向を示すものとする。この他、上記矢印Pが本実施例において上下方向を示すものとする。また、矢印Rが左右方向を示すものとする。また、矢印Tが前後方向を示すものとする。
【0020】
<固定側コネクタ装置2について>
図1及び図2において、固定側コネクタ装置2は、導電性の第一端子5と、同じく導電性の第二端子6と、これら第一端子5及び第二端子6を収容する絶縁性の固定側コネクタハウジング7とを備えて構成される。また、固定側コネクタ装置2は、導電性の第四端子8と、同じく導電性の第五端子9と、これら第四端子8及び第五端子9を収容する絶縁性の固定側信号用ハウジング10とを備えて構成される。尚、上記端子の中に「第三」及び「第六」がないが、これらは可動側コネクタ装置3の方に備えられるものとする。
【0021】
<第一端子5及び第二端子6について>
図1及び図2において、第一端子5及び第二端子6は、ここでは同じ形状のものが採用される。第一端子5は、電源回路Dの分断部分の一方に接続される。また、第二端子6は、電源回路Dの分断部分の他方に接続される。第一端子5及び第二端子6は、電源回路Dとの接続にあたりナット42が用いられる(一例であるものとする。接続方法は特に限定されないものとする)。第一端子5及び第二端子6は、係合方向Pに沿ってそれぞれ突出するタブ状の第一電気接触部11及び第二電気接触部12と、第一電気接触部11及び第二電気接触部12に連続する第一回路接続部13及び第二回路接続部14とを有し、例えば図示のようなL字状に形成される。
【0022】
第一電気接触部11及び第二電気接触部12は、引用符号15で示す接続面と、引用符号16で示す支持面とを有する。接続面15と支持面16は、共に平坦な面に形成される。第一電気接触部11及び第二電気接触部12は、所定の間隔をあけて係合方向Pに直交する方向(矢印R参照)に沿って並ぶように配置される。尚、上記所定の間隔とは、後述する第三端子27の回転移動を妨げない程度の間隔であるものとする。また、第一電気接触部11及び第二電気接触部12は、接続面15同士が第三端子27の厚み分だけ離れるように配置される(図6参照)。
【0023】
<固定側コネクタハウジング7について>
図1及び図2において、固定側コネクタハウジング7は、第一端子5及び第二端子6を収容する部分として用いられる。また、固定側コネクタハウジング7は、可動側コネクタ装置3の後述する可動側コネクタハウジング26との係合部分としても用いられる。このような固定側コネクタハウジング7には、固定側ベース部17と、固定側円筒部18とが形成される。
【0024】
<固定側ベース部17について>
図2及び図6において、固定側ベース部17は、平面視矩形の板状に形成される。固定側ベース部17の四隅には、固定部19がそれぞれ形成される。また、固定側ベース部17の少なくとも上面には、複数の補強リブ20が形成される。固定側ベース部17の中央には、二つの端子挿通穴21と、二つの支持部22とが形成される。二つの端子挿通穴21は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12の挿通部分として形成される。二つの支持部22は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12の各接続面16の反対側を支持する部分として形成される。二つの支持部22は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12が後述する第三端子27からの押圧を受けた時の支えになる壁状の部分として形成される。二つの支持部22は、電気的な接触状態の安定化を図るための部分である。
【0025】
<固定側円筒部18について>
図1及び図2において、固定側円筒部18は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12を囲むように円筒形状に形成される。固定側円筒部18は、この開口縁23が二つの支持部22よりも上方に位置するように形成される。固定側円筒部18の外周面には、一対のボス部24が形成される。
【0026】
<一対のボス部24について>
図2及び図6において、一対のボス部24は、矢印Tの前後方向に突出する突起状の部分に形成される。一対のボス部24は、本実施例において、固定側円筒部18の外周面から若干膨出する形状、且つ、矢印Pの上下方向にのびる形状の膨出部25に形成される。また、この膨出部25の略中央位置に形成される。一対のボス部24は、後述するガイド部33の内外の縁部に係合するような「くびれ」を有する形状(符号省略)に形成される。
【0027】
<第四端子8及び第五端子9について>
図1及び図2において、第四端子8及び第五端子9は、ここでは同じ形状のものが採用される。第四端子8は、信号回路Sの分断部分の一方に接続される。また、第五端子9は、信号回路Sの分断部分の他方に接続される。第四端子8及び第五端子9は、低電圧用の公知の雌端子が採用される。尚、信号回路Sとして、ここでは公知の電線が採用される。
【0028】
<固定側信号用ハウジング10について>
図1及び図2において、固定側信号用ハウジング10は、固定側ベース部17の上面から上方に突出するような矩形箱状の部分に形成される。このような固定側信号用ハウジング10の内部には、第四端子及び前記第五端子を収容する端子収容室(符号省略)や、係止用のランス(図示省略)が形成される。固定側信号用ハウジング10の上面には、後述する第六端子29が挿通される端子挿通穴(符号省略)が形成される。尚、固定側信号用ハウジング10の上面の位置は、一対のボス部24の位置を考慮して設定される。
【0029】
<可動側コネクタ装置3について>
図1及び図3において、可動側コネクタ装置3は、固定側コネクタハウジング7に係合する絶縁性の可動側コネクタハウジング26と、この可動側コネクタハウジング26に収容され且つ第一端子5及び第二端子6に対し接触して電源回路Dをオンする第三端子27と、固定側信号用ハウジング10に係合する絶縁性の可動側信号用ハウジング28と、この可動側信号用ハウジング28に収容され且つ第四端子8及び第五端子9に接続されてこれらを短絡する第六端子29とを備えて構成される。
【0030】
<可動側コネクタハウジング26について>
図1及び図3において、可動側コネクタハウジング26は、第三端子27を収容する部分として用いられる。また、可動側コネクタハウジング26、固定側コネクタハウジング7との係合部分としても用いられる。このような可動側コネクタハウジング26には、可動側ベース部30と、可動側円筒部31とが形成される。
【0031】
<可動側ベース部30について>
図1及び図3において、可動側ベース部30は、円形の部分に形成される。この可動側ベース部30の上面には、矢印Rの左右方向及び矢印Tの前後方向にのびるリブ32が形成される。リブ32は、平面視「+」の形状に形成される。可動側ベース部30の下面には、第三端子27を固定するための図示しない端子固定部が形成される。
【0032】
<可動側円筒部31について>
図1及び図3において、可動側円筒部31は、第三端子27を囲むように円筒形状に形成される。可動側円筒部31、固定側円筒部18の外側に係合するような大きさに形成される。このような可動側円筒部31の壁には、一対のガイド部33が形成される。
【0033】
<一対のガイド部33について>
図1及び図3において、一対のガイド部33は、一対のボス部24に案内されるスリット形状(又は溝形状でもよい)の部分に形成される。一対のガイド部33は、可動側円筒部31の開口縁41から係合方向Pに沿って切り欠き形成される第一ガイド部34と、この第一ガイド部34に連続するとともに回転軸回りの方向Qに切り欠き形成される第二ガイド部35と、第二ガイド部35に連続するとともに係合方向Pに沿って上記開口縁41から離れる側に切り欠き形成される第三ガイド部36とを有する図示形状に形成される。一対のガイド部33のスリット幅は、一対のボス部24の径に対し、ほぼ同じサイズになるように設定される。また、一対のガイド部33の各部分の形成位置は、端子接続位置に配慮して設定される。
【0034】
<第三端子27について>
図1及び図3において、第三端子27は、矩形板状に形成される。第三端子27は、撓まないくらいの剛性を有する。このような第三端子27における引用符号37は接続面を示す。この接続面37は、第三端子27の両面に平坦な面で形成される。また、第三端子27における引用符号38は、可動側ベース部30の上記図示しない端子固定部に固定される固定部を示す。第三端子27は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12の各接続面15に対する接触に必要な幅寸法、高さ寸法、厚さ寸法を有するように形成される。
【0035】
<可動側信号用ハウジング28について>
図1及び図3において、可動側信号用ハウジング28は、可動側円筒部31の外周面に一体化するような矩形箱状の部分に形成される。可動側信号用ハウジング28は、この下面が開口するように形成される。また、可動側信号用ハウジング28は、固定側信号用ハウジング10の外側に係合するような大きさに形成される。
【0036】
<第六端子29について>
図1及び図3において、第六端子29は、上記のように第四端子8及び第五端子9を短絡するための端子であって、可動側信号用ハウジング28に固定される固定部39と、一対のオスタブ40とを有する。
【0037】
<回転接続機構4について>
図1ないし図3において、回転接続機構4は、固定側コネクタ装置2及び可動側コネクタ装置3同士の係合・離脱、及び、電源回路Dや信号回路Sのオン・オフにあたり、係合方向Pに沿って可動側コネクタ装置3を直線移動可能にし、且つ、回転軸回りの方向Qに可動側コネクタ装置3を回転移動可能にすることのできる構成及び構造が該当する。具体的には、固定側コネクタ装置2では、第一端子5及び第二端子6の形状や配置、固定側円筒部18の形状、一対のボス部24の形状や配置、二つの支持部22等が該当する。また、可動側コネクタ装置3では、可動側円筒部31の形状、一対のガイド部33の形状や配置、第三端子27の形状や配置等が該当する。さらに、第四端子8及び第五端子9、固定側信号用ハウジング10、可動側信号用ハウジング28、第六端子29が該当する。
【0038】
<固定側コネクタ装置2及び可動側コネクタ装置3同士の係合について>
上記構成及び構造に基づき、固定側コネクタ装置2及び可動側コネクタ装置3同士の係合について、図4ないし図10を参照しながら説明をする。
【0039】
図4において、コネクタ装置同士の係合前の状態では、固定側コネクタ装置2の上方に可動側コネクタ装置3がセットされる。この時、一対のガイド部33の第一ガイド部34は、一対のボス部24の直上に配置される。また、第三端子27も第一端子5及び第二端子6の直上に配置される(第三端子27の幅方向が第一端子5及び第二端子6の並び方向に対し交差するような位置関係に配置される)。
【0040】
図5及び図6において、コネクタ装置同士の係合開始時の状態では、可動側円筒部31が固定側円筒部18に係合し始める。この時、一対のガイド部33の第一ガイド部34が一対のボス部24に案内される。また、第三端子27が第一端子5及び第二端子6に対し非接触の状態でこれらの間に差し込まれ始める。尚、一対のボス部24により第一ガイド部34の奥位置まで案内されると、可動側コネクタ装置3の係合方向Pの方向への直線移動が一旦できなくなる。
【0041】
図7及び図8において、コネクタ装置同士の係合途中の状態では、第三端子27が第一端子5及び第二端子6に接触するような可動側コネクタ装置3の右回りの回転移動が行われる。この時、一対のガイド部33の第二ガイド部35が一対のボス部24に案内される。また、第三端子27も中心軸・回転軸CLを中心に回転移動し、第一端子5及び第二端子6に接触する。第三端子27が第一端子5及び第二端子6に接触することで仮接続の状態が形成される。
【0042】
図7の状態になると、固定側信号用ハウジング10の直上に可動側信号用ハウジング28が配置される。別な言い方をすれば、第四端子8及び第五端子9の直上に短絡用の第六端子29が配置される。
【0043】
図9及び図10において、コネクタ装置同士の係合終了時の状態では、可動側円筒部31が固定側円筒部18に完全に係合するような係合方向Pの方向への直線移動が行われる。この時、一対のガイド部33の第三ガイド部36が一対のボス部24により奥位置まで案内される。また、第三端子27も係合方向Pの方向へ直線移動し、第一端子5及び第二端子6に接触したままで押し込まれる。これにより本接続の状態が形成される。さらに、可動側信号用ハウジング28が固定側信号用ハウジング10に係合し、第四端子8及び第五端子9が第六端子29により短絡される。以上により電源回路D及び信号回路Sはオンの状態になる。
【0044】
上記本接続の状態は、一対のガイド部33と一対のボス部24との係合により維持される(この維持にあたっては特別なロック構造は不要である)。本接続の際の荷重がかかった状態の操作距離は、第三ガイド部36が一対のボス部24により奥位置まで案内される距離の分だけになる。すなわち、短いことが分かる。
【0045】
以上、図1ないし図10を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態である電源回路遮断装置1によれば、従来例のようなレバーを用いない構成及び構造にすることができる。すなわち、固定側コネクタ装置2に対し可動側コネクタ装置3を直線移動及び回転移動させてコネクタ装置同士の係合・離脱、及び、電源回路Dや信号回路Sのオン・オフを図る構成及び構造の電源回路遮断装置1であることから、レバーを用いなくとも操作性をよくすることができる。また、上記構成及び構造からも分かるように、従来例よりも簡素化を図ることができる。
【0046】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
D…電源回路、 S…信号回路、 1…電源回路遮断装置、 2…固定側コネクタ装置、 3…可動側コネクタ装置、 4…回転接続機構、 5…第一端子、 6…第二端子、 7…固定側コネクタハウジング、 8…第四端子、 9…第五端子、 10…固定側信号用ハウジング、 11…第一電気接触部、 12…第二電気接触部、 13…第一回路接続部、 14…第二回路接続部、 15…接続面、 16…支持面、 17…固定側ベース部、 18…固定側円筒部、 19…固定部、 20…補強リブ、 21…端子挿通穴、 22…支持部、 23…開口縁、 24…ボス部、 25…膨出部、 26…可動側コネクタハウジング、 27…第三端子、 28…可動側信号用ハウジング、 29…第六端子、 30…可動側ベース部、 31…可動側円筒部、 32…リブ、 33…ガイド部、 34…第一ガイド部、 35…第二ガイド部、 36…第三ガイド部、 37…接続面、 38…固定部、 39…固定部、 40…オスタブ、 41…開口縁、 42…ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10