【実施例】
【0017】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1は本発明の電源回路遮断装置の一実施形態を示す分解斜視図である。また、
図2は固定側コネクタ装置の拡大図、
図3は可動側コネクタ装置の拡大図、
図4〜
図10はコネクタ装置同士の係合前の状態から係合終了時までの状態を示す図である。
【0018】
<電源回路遮断装置1について>
図1において、電源回路遮断装置1は、電源回路D及び信号回路Sの途中に設けられる固定側コネクタ装置2と、この固定側コネクタ装置2に係合・離脱して電源回路D及び信号回路Sをオン・オフする可動側コネクタ装置3と、コネクタ装置同士の係合・離脱、及び、電源回路Dや信号回路Sのオン・オフのための回転接続機構4とを含んで構成される。本実施例の電源回路遮断装置1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車のサービスプラグに相当するものである。電源回路遮断装置1は、以下の説明で分かるようになるが、従来例とは異なりレバーを用いない回転式のサービスプラグである。
【0019】
尚、
図1中の符号CLは中心軸・回転軸を示すものとする。また、この中心軸・回転軸CLに沿って平行な矢印Pは特許請求の範囲に記載された嵌合方向を示すものとする。また、中心軸・回転軸CLを中心にした矢印Qは特許請求の範囲に記載された回転軸回りの方向を示すものとする。この他、上記矢印Pが本実施例において上下方向を示すものとする。また、矢印Rが左右方向を示すものとする。また、矢印Tが前後方向を示すものとする。
【0020】
<固定側コネクタ装置2について>
図1及び
図2において、固定側コネクタ装置2は、導電性の第一端子5と、同じく導電性の第二端子6と、これら第一端子5及び第二端子6を収容する絶縁性の固定側コネクタハウジング7とを備えて構成される。また、固定側コネクタ装置2は、導電性の第四端子8と、同じく導電性の第五端子9と、これら第四端子8及び第五端子9を収容する絶縁性の固定側信号用ハウジング10とを備えて構成される。尚、上記端子の中に「第三」及び「第六」がないが、これらは可動側コネクタ装置3の方に備えられるものとする。
【0021】
<第一端子5及び第二端子6について>
図1及び
図2において、第一端子5及び第二端子6は、ここでは同じ形状のものが採用される。第一端子5は、電源回路Dの分断部分の一方に接続される。また、第二端子6は、電源回路Dの分断部分の他方に接続される。第一端子5及び第二端子6は、電源回路Dとの接続にあたりナット42が用いられる(一例であるものとする。接続方法は特に限定されないものとする)。第一端子5及び第二端子6は、係合方向Pに沿ってそれぞれ突出するタブ状の第一電気接触部11及び第二電気接触部12と、第一電気接触部11及び第二電気接触部12に連続する第一回路接続部13及び第二回路接続部14とを有し、例えば図示のようなL字状に形成される。
【0022】
第一電気接触部11及び第二電気接触部12は、引用符号15で示す接続面と、引用符号16で示す支持面とを有する。接続面15と支持面16は、共に平坦な面に形成される。第一電気接触部11及び第二電気接触部12は、所定の間隔をあけて係合方向Pに直交する方向(矢印R参照)に沿って並ぶように配置される。尚、上記所定の間隔とは、後述する第三端子27の回転移動を妨げない程度の間隔であるものとする。また、第一電気接触部11及び第二電気接触部12は、接続面15同士が第三端子27の厚み分だけ離れるように配置される(
図6参照)。
【0023】
<固定側コネクタハウジング7について>
図1及び
図2において、固定側コネクタハウジング7は、第一端子5及び第二端子6を収容する部分として用いられる。また、固定側コネクタハウジング7は、可動側コネクタ装置3の後述する可動側コネクタハウジング26との係合部分としても用いられる。このような固定側コネクタハウジング7には、固定側ベース部17と、固定側円筒部18とが形成される。
【0024】
<固定側ベース部17について>
図2及び
図6において、固定側ベース部17は、平面視矩形の板状に形成される。固定側ベース部17の四隅には、固定部19がそれぞれ形成される。また、固定側ベース部17の少なくとも上面には、複数の補強リブ20が形成される。固定側ベース部17の中央には、二つの端子挿通穴21と、二つの支持部22とが形成される。二つの端子挿通穴21は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12の挿通部分として形成される。二つの支持部22は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12の各接続面16の反対側を支持する部分として形成される。二つの支持部22は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12が後述する第三端子27からの押圧を受けた時の支えになる壁状の部分として形成される。二つの支持部22は、電気的な接触状態の安定化を図るための部分である。
【0025】
<固定側円筒部18について>
図1及び
図2において、固定側円筒部18は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12を囲むように円筒形状に形成される。固定側円筒部18は、この開口縁23が二つの支持部22よりも上方に位置するように形成される。固定側円筒部18の外周面には、一対のボス部24が形成される。
【0026】
<一対のボス部24について>
図2及び
図6において、一対のボス部24は、矢印Tの前後方向に突出する突起状の部分に形成される。一対のボス部24は、本実施例において、固定側円筒部18の外周面から若干膨出する形状、且つ、矢印Pの上下方向にのびる形状の膨出部25に形成される。また、この膨出部25の略中央位置に形成される。一対のボス部24は、後述するガイド部33の内外の縁部に係合するような「くびれ」を有する形状(符号省略)に形成される。
【0027】
<第四端子8及び第五端子9について>
図1及び
図2において、第四端子8及び第五端子9は、ここでは同じ形状のものが採用される。第四端子8は、信号回路Sの分断部分の一方に接続される。また、第五端子9は、信号回路Sの分断部分の他方に接続される。第四端子8及び第五端子9は、低電圧用の公知の雌端子が採用される。尚、信号回路Sとして、ここでは公知の電線が採用される。
【0028】
<固定側信号用ハウジング10について>
図1及び
図2において、固定側信号用ハウジング10は、固定側ベース部17の上面から上方に突出するような矩形箱状の部分に形成される。このような固定側信号用ハウジング10の内部には、第四端子及び前記第五端子を収容する端子収容室(符号省略)や、係止用のランス(図示省略)が形成される。固定側信号用ハウジング10の上面には、後述する第六端子29が挿通される端子挿通穴(符号省略)が形成される。尚、固定側信号用ハウジング10の上面の位置は、一対のボス部24の位置を考慮して設定される。
【0029】
<可動側コネクタ装置3について>
図1及び
図3において、可動側コネクタ装置3は、固定側コネクタハウジング7に係合する絶縁性の可動側コネクタハウジング26と、この可動側コネクタハウジング26に収容され且つ第一端子5及び第二端子6に対し接触して電源回路Dをオンする第三端子27と、固定側信号用ハウジング10に係合する絶縁性の可動側信号用ハウジング28と、この可動側信号用ハウジング28に収容され且つ第四端子8及び第五端子9に接続されてこれらを短絡する第六端子29とを備えて構成される。
【0030】
<可動側コネクタハウジング26について>
図1及び
図3において、可動側コネクタハウジング26は、第三端子27を収容する部分として用いられる。また、可動側コネクタハウジング26、固定側コネクタハウジング7との係合部分としても用いられる。このような可動側コネクタハウジング26には、可動側ベース部30と、可動側円筒部31とが形成される。
【0031】
<可動側ベース部30について>
図1及び
図3において、可動側ベース部30は、円形の部分に形成される。この可動側ベース部30の上面には、矢印Rの左右方向及び矢印Tの前後方向にのびるリブ32が形成される。リブ32は、平面視「+」の形状に形成される。可動側ベース部30の下面には、第三端子27を固定するための図示しない端子固定部が形成される。
【0032】
<可動側円筒部31について>
図1及び
図3において、可動側円筒部31は、第三端子27を囲むように円筒形状に形成される。可動側円筒部31、固定側円筒部18の外側に係合するような大きさに形成される。このような可動側円筒部31の壁には、一対のガイド部33が形成される。
【0033】
<一対のガイド部33について>
図1及び
図3において、一対のガイド部33は、一対のボス部24に案内されるスリット形状(又は溝形状でもよい)の部分に形成される。一対のガイド部33は、可動側円筒部31の開口縁41から係合方向Pに沿って切り欠き形成される第一ガイド部34と、この第一ガイド部34に連続するとともに回転軸回りの方向Qに切り欠き形成される第二ガイド部35と、第二ガイド部35に連続するとともに係合方向Pに沿って上記開口縁41から離れる側に切り欠き形成される第三ガイド部36とを有する図示形状に形成される。一対のガイド部33のスリット幅は、一対のボス部24の径に対し、ほぼ同じサイズになるように設定される。また、一対のガイド部33の各部分の形成位置は、端子接続位置に配慮して設定される。
【0034】
<第三端子27について>
図1及び
図3において、第三端子27は、矩形板状に形成される。第三端子27は、撓まないくらいの剛性を有する。このような第三端子27における引用符号37は接続面を示す。この接続面37は、第三端子27の両面に平坦な面で形成される。また、第三端子27における引用符号38は、可動側ベース部30の上記図示しない端子固定部に固定される固定部を示す。第三端子27は、第一電気接触部11及び第二電気接触部12の各接続面15に対する接触に必要な幅寸法、高さ寸法、厚さ寸法を有するように形成される。
【0035】
<可動側信号用ハウジング28について>
図1及び
図3において、可動側信号用ハウジング28は、可動側円筒部31の外周面に一体化するような矩形箱状の部分に形成される。可動側信号用ハウジング28は、この下面が開口するように形成される。また、可動側信号用ハウジング28は、固定側信号用ハウジング10の外側に係合するような大きさに形成される。
【0036】
<第六端子29について>
図1及び
図3において、第六端子29は、上記のように第四端子8及び第五端子9を短絡するための端子であって、可動側信号用ハウジング28に固定される固定部39と、一対のオスタブ40とを有する。
【0037】
<回転接続機構4について>
図1ないし
図3において、回転接続機構4は、固定側コネクタ装置2及び可動側コネクタ装置3同士の係合・離脱、及び、電源回路Dや信号回路Sのオン・オフにあたり、係合方向Pに沿って可動側コネクタ装置3を直線移動可能にし、且つ、回転軸回りの方向Qに可動側コネクタ装置3を回転移動可能にすることのできる構成及び構造が該当する。具体的には、固定側コネクタ装置2では、第一端子5及び第二端子6の形状や配置、固定側円筒部18の形状、一対のボス部24の形状や配置、二つの支持部22等が該当する。また、可動側コネクタ装置3では、可動側円筒部31の形状、一対のガイド部33の形状や配置、第三端子27の形状や配置等が該当する。さらに、第四端子8及び第五端子9、固定側信号用ハウジング10、可動側信号用ハウジング28、第六端子29が該当する。
【0038】
<固定側コネクタ装置2及び可動側コネクタ装置3同士の係合について>
上記構成及び構造に基づき、固定側コネクタ装置2及び可動側コネクタ装置3同士の係合について、
図4ないし
図10を参照しながら説明をする。
【0039】
図4において、コネクタ装置同士の係合前の状態では、固定側コネクタ装置2の上方に可動側コネクタ装置3がセットされる。この時、一対のガイド部33の第一ガイド部34は、一対のボス部24の直上に配置される。また、第三端子27も第一端子5及び第二端子6の直上に配置される(第三端子27の幅方向が第一端子5及び第二端子6の並び方向に対し交差するような位置関係に配置される)。
【0040】
図5及び
図6において、コネクタ装置同士の係合開始時の状態では、可動側円筒部31が固定側円筒部18に係合し始める。この時、一対のガイド部33の第一ガイド部34が一対のボス部24に案内される。また、第三端子27が第一端子5及び第二端子6に対し非接触の状態でこれらの間に差し込まれ始める。尚、一対のボス部24により第一ガイド部34の奥位置まで案内されると、可動側コネクタ装置3の係合方向Pの方向への直線移動が一旦できなくなる。
【0041】
図7及び
図8において、コネクタ装置同士の係合途中の状態では、第三端子27が第一端子5及び第二端子6に接触するような可動側コネクタ装置3の右回りの回転移動が行われる。この時、一対のガイド部33の第二ガイド部35が一対のボス部24に案内される。また、第三端子27も中心軸・回転軸CLを中心に回転移動し、第一端子5及び第二端子6に接触する。第三端子27が第一端子5及び第二端子6に接触することで仮接続の状態が形成される。
【0042】
図7の状態になると、固定側信号用ハウジング10の直上に可動側信号用ハウジング28が配置される。別な言い方をすれば、第四端子8及び第五端子9の直上に短絡用の第六端子29が配置される。
【0043】
図9及び
図10において、コネクタ装置同士の係合終了時の状態では、可動側円筒部31が固定側円筒部18に完全に係合するような係合方向Pの方向への直線移動が行われる。この時、一対のガイド部33の第三ガイド部36が一対のボス部24により奥位置まで案内される。また、第三端子27も係合方向Pの方向へ直線移動し、第一端子5及び第二端子6に接触したままで押し込まれる。これにより本接続の状態が形成される。さらに、可動側信号用ハウジング28が固定側信号用ハウジング10に係合し、第四端子8及び第五端子9が第六端子29により短絡される。以上により電源回路D及び信号回路Sはオンの状態になる。
【0044】
上記本接続の状態は、一対のガイド部33と一対のボス部24との係合により維持される(この維持にあたっては特別なロック構造は不要である)。本接続の際の荷重がかかった状態の操作距離は、第三ガイド部36が一対のボス部24により奥位置まで案内される距離の分だけになる。すなわち、短いことが分かる。
【0045】
以上、
図1ないし
図10を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態である電源回路遮断装置1によれば、従来例のようなレバーを用いない構成及び構造にすることができる。すなわち、固定側コネクタ装置2に対し可動側コネクタ装置3を直線移動及び回転移動させてコネクタ装置同士の係合・離脱、及び、電源回路Dや信号回路Sのオン・オフを図る構成及び構造の電源回路遮断装置1であることから、レバーを用いなくとも操作性をよくすることができる。また、上記構成及び構造からも分かるように、従来例よりも簡素化を図ることができる。
【0046】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。