(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599405
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】液体容器用蓋体及び液体容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20191021BHJP
B65D 47/36 20060101ALI20191021BHJP
B65D 51/18 20060101ALI20191021BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20191021BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
B65D47/08 100
B65D47/36
B65D51/18
B65D77/20 A
B65D83/00 K
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-135125(P2017-135125)
(22)【出願日】2017年7月11日
(65)【公開番号】特開2019-14533(P2019-14533A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2018年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】599154652
【氏名又は名称】龍江精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100173668
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 吉之助
(72)【発明者】
【氏名】田中 直樹
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/080252(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3152861(JP,U)
【文献】
特開2016−078900(JP,A)
【文献】
特開2014−105003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 77/20
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が密封充填される可撓性を有する液体容器と、該液体容器の口部に取付けられることにより液体の吸引・注出を行うポンプ体と、該ポンプ体の吸引部に連通状態で取り付けられると共に前記液体容器の内部に挿通配設される吸引管と、を有して成り、前記ポンプ体の動作によって前記液体容器内の液体を吸引・注出するに従って、前記液体容器内の負圧化に伴ってヴァージン性を維持した状態で収縮(縮小)していくエアレスタイプの液体取出装置に用いられる液体容器の口部を閉塞する蓋体であって、
該蓋体が合成樹脂製であり、
前記口部に止着されると共に略中央部に開口を有する本体部と、
該本体部の開口の開口縁から上方に立設状態に及び/又は下方に垂設状態に設けられる筒状体であり、該筒状体の上方開口から前記吸引管が挿通された際に該筒状体の内周面に前記吸引管の外周面が液密・気密状態で密接挿通する挿通筒体部と、
該挿通筒体部の下方開口に下方向に取り外し可能に嵌着されて該下方開口を液密・気密状態で閉塞する閉塞蓋部と、
を有して成り、
前記挿通筒体部に吸引管が挿通されて該吸引管の外周面が前記筒状体の内周面に密接して液密・気密となってから該吸引管の先端が前記閉塞蓋部に当接して下方に押下することにより前記挿通筒体部の下方開口が開栓されて前記ポンプ体の吸引部と液体容器内とを連通させることが可能な状態となることによって液体容器のリフィル交換時の液体容器内の液体と外気との接触を防止してヴァージン性を維持した状態でのリフィル交換が可能な構成であることを特徴とする液体用器用蓋体。
【請求項2】
前記蓋体の本体部と、挿通筒体部と、閉塞蓋部と、が可撓性を有するポリエチレン製であることを特徴とする請求項1に記載の液体容器用蓋体。
【請求項3】
前記閉塞蓋部が、前記本体部及び/又は挿通筒体部と接続部を介して接続された構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体容器用蓋体。
【請求項4】
前記接続部が薄肉部であることを特徴とする請求項3に記載の液体容器用蓋体。
【請求項5】
本体部、挿通筒体部、閉塞蓋部と、を有して構成される前記蓋体が一体成形された一部材構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【請求項6】
前記蓋体が内蓋であり、該内蓋が前記口部に止着され被覆された状態とされる外蓋を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【請求項7】
前記蓋体の本体部が、前記口部の縁の内側に入り込んだ状態で止着される構成であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【請求項8】
前記蓋体の本体部が、前記口部の縁の外側に覆う状態で止着される構成であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【請求項9】
前記蓋体の本体部の液体容器の口部への止着構成が、嵌合された状態又は螺合された状態の構成であることを特徴とする請求項7又は8に記載の液体容器用蓋体。
【請求項10】
前記液体容器の口部に嵌合又は螺合された前記蓋体の本体部が、前記口部に溶着、融着又は接着された状態の構成であることを特徴とする請求項9に記載の液体容器用蓋体。
【請求項11】
前記液体容器が、ボトル状リフィル容器又は袋状リフィル容器であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【請求項12】
前記吸引管が、先端に先鋭部を有することなく、該先端の端面が前記閉塞蓋部に当接して押下する構成であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の液体容器用蓋体を有することを特徴とする液体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体容器用蓋体及び液体容器に関し、詳しくはエアレスタイプ液体取出装置のリフィル容器の内蓋として好適な蓋体、及びこの蓋体を有する液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体容器に充填された種々液体を、ポンプ体によって吸引・注出するに従って、前記液体容器内の負圧化に伴って収縮(縮小)していく構成のエアレスタイプの液体取出装置では、液体容器が空になるまで液体を使い切った後は、満充填された新規の詰替用の液体容器(リフィル容器)にリフィル交換して使い続けることができる(例えば、特許文献1〜3等参照)。
【0003】
特許文献1、2の技術では、液体容器に種々の液体が充填され、口部が蓋体によって閉塞された状態で用意乃至は販売されている。また、特許文献3の技術では、液体容器に種々の液体が充填され、口部に接合されたシート状のシール体によって閉塞された状態で用意乃至は販売されている。
【0004】
液体取出装置における液体容器の交換は、特許文献1、2の技術では、先ず、使い切って空になった液体容器をポンプ体から取り外し、次に、予め用意した新規の液体容器(リフィル容器)の蓋体を取り外すことにより口部を開栓した後に、この新規の液体容器(リフィル容器)の口部に液体取出装置のポンプ体を装着することにより行われる。
【0005】
上記したように新規の液体容器(リフィル容器)にリフィル交換する際には、液体容器の口部を閉塞していた蓋体を取り外して開栓することによって、液体容器内の液体が外気に触れてしまうことになるため、ヴァージン性を維持した状態での交換が不可能である。
【0006】
この外気との接触によって充填されている液体が、例えば、肌に直接使用する化粧液や、ソース、マヨネーズ、食用油のような食用品類の場合、酸化等による品質低下や雑菌の繁殖等が生じるおそれがある。
【0007】
また、蓋体を取り外した液体容器の口部は無栓の開放状態であるため、液体取出装置への装着の際に、装着の不慣れや不注意等によって液体容器を傾けたり倒してしまった場合に内容物である液体がこぼしてしまうこともあった。
【0008】
更には、液体容器が可撓性を有するものである場合には、無栓状態の液体容器を強く掴んでしまった場合に液体容器が潰れて液体が溢れてしまうこともあった。
【0009】
これに対して特許文献3の技術では、液体容器の口部の開栓が蓋体の取り外しではなくシート状のシール体にポンプ体の吸引管を突き刺すことにより開栓する構成である。かかる構成の液体容器は、液体容器に液体を充填してからシール体を口部に接合しなければならず、このシール体の接合がコスト高であった。
【0010】
更に、この吸引管の突き刺しによる開栓では、吸引管の先端が先鋭形状であるため、使用者が老人や女性等の場合、この先鋭形状に対する苦手意識が先立って躊躇することによって強く突き刺すことができずに開栓を失敗してしまうことが少なくないという問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平06−003459号
【特許文献2】実開平06−003877号
【特許文献3】特開2006−298498号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで本発明の目的は、液体容器の口部に装着することによって、液体容器交換の際の開栓時のリフィル容器内の液体の外気接触による品質低下を低コストで防止し、ヴァージン性を維持した状態のまま確実且つ安全に容易にリフィル交換が可能となる液体容器用蓋体、及びこの蓋体を有する液体容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
【0014】
1.液体が密封充填される可撓性を有する液体容器と、該液体容器の口部に取付けられることにより液体の吸引・注出を行うポンプ体と、該ポンプ体の吸引部に連通状態で取り付けられると共に前記液体容器の内部に挿通配設される吸引管と、を有して成り、前記ポンプ体の動作によって前記液体容器内の液体を吸引・注出するに従って、前記液体容器内の負圧化に伴ってヴァージン性を維持した状態で収縮(縮小)していくエアレスタイプの液体取出装置に用いられる液体容器の口部を閉塞する蓋体であって、
該蓋体が合成樹脂製であり、
前記口部に止着されると共に略中央部に開口を有する本体部と、
該本体部の開口の開口縁から上方に立設状態に及び/又は下方に垂設状態に設けられる筒状体であり、該筒状体の上方開口から前記吸引管が挿通された際に該筒状体の内周面に前記吸引管の外周面が液密・気密状態で密接挿通する挿通筒体部と、
該挿通筒体部の下方開口に下方向に取り外し可能に嵌着されて該下方開口を液密・気密状態で閉塞する閉塞蓋部と、
を有して成り、
前記挿通筒体部に吸引管が挿通されて該吸引管の外周面が前記筒状体の内周面に密接して液密・気密となってから該吸引管の先端が前記閉塞蓋部に当接して下方に押下することにより前記挿通筒体部の下方開口が開栓されて前記ポンプ体の吸引部と液体容器内とを連通させることが可能な状態となる
ことによって液体容器のリフィル交換時の液体容器内の液体と外気との接触を防止してヴァージン性を維持した状態でのリフィル交換が可能な構成であることを特徴とする液体用器用蓋体。
【0015】
2.前記蓋体の本体部と、挿通筒体部と、閉塞蓋部と、が可撓性を有するポリエチレン製であることを特徴とする上記1に記載の液体容器用蓋体。
【0016】
3.前記閉塞蓋部が、前記本体部及び/又は挿通筒体部と接続部を介して接続された構成であることを特徴とする上記1又は2に記載の液体容器用蓋体。
【0017】
4.前記接続部が薄肉部であることを特徴とする上記3に記載の液体容器用蓋体。
【0018】
5.本体部、挿通筒体部、閉塞蓋部と、を有して構成される前記蓋体が一体成形された一部材構成であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【0019】
6.前記蓋体が内蓋であり、該内蓋が前記口部に止着され被覆された状態とされる外蓋を有することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【0020】
7.前記蓋体の本体部が、前記口部の縁の内側に入り込んだ状態で止着される構成であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【0021】
8.前記蓋体の本体部が、前記口部の縁の外側に覆う状態で止着される構成であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【0022】
9.前記蓋体の本体部の液体容器の口部への止着構成が、嵌合された状態又は螺合された状態の構成であることを特徴とする上記7又は8に記載の液体容器用蓋体。
【0023】
10.前記液体容器の口部に嵌合又は螺合された前記蓋体の本体部が、前記口部に溶着、融着又は接着された状態の構成であることを特徴とする上記9に記載の液体容器用蓋体。
【0024】
11.前記液体容器が、ボトル状リフィル容器又は袋状リフィ
ル容器であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【0025】
12.前記吸引管が、先端に先鋭部を有することなく、該先端の端面が前記閉塞蓋部に当接して押下する構成であることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の液体容器用蓋体。
【0026】
13.上記1〜12のいずれかに記載の液体容器用蓋体を有することを特徴とする液体容器。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に示す発明によれば、液体容器の口部に装着することによって、液体容器交換の際の開栓時のリフィル容器内の液体の外気接触による品質低下を低コストで防止し、ヴァージン性を維持した状態のまま確実且つ安全に容易にリフィル交換が可能となる液体容器用蓋体を提供することにある。
【0028】
特に、液体容器のリフィル交換の際は、液体容器の口部に装着された蓋体の挿通筒体部に吸引管が液密・気密状態に密接挿通されてから該吸引管の先端が蓋体の閉塞蓋部を押下して開栓する構成のため、新規の液体容器に充填されている液体への外気接触を避けることができる。従って、ヴァージン性を維持した状態のままのリフィル交換が可能である。
【0029】
しかも、この開栓作業は、単に吸引管を挿通して下方に押下するだけでよいので、確実且つ安全に行うことができるため、この種のリフィル交換作業が苦手な老人や女性であっても失敗することなく極めて容易に行うことができる。
【0030】
更に、製造に際しては、合成樹脂製で容易に成形可能であるため低コストに提供することができる。
【0031】
請求項2に示す発明によれば、低コストで製造可能であるだけでなく、吸引管の外周面が蓋体の挿通筒体部の内周面に確実に密接するので液密性・気密性が極めて良好であり、液漏れや空気侵入がなく安定した吸引吐出と品質保持が可能である。更に、吸引管の直径が、途中から太くなるタイプ、徐々に太くなるタイプ、段付き部を介して太くなるタイプ等であっても、吸引管の太さに対応して密接した状態を維持したまま挿通筒体部も追従して変形するので、液密・気密状態を維持することができる。
【0032】
請求項3に示す発明によれば、開栓した際に閉塞蓋部が液体容器内の液体容器内を沈降したり浮遊したりすることがないので、ポンプ体の動作による吸引・抽出時に吸引管を塞いでしまう虞がない。
【0033】
請求項4に示す発明によれば、閉塞蓋部が極めて簡易な構成で本体部及び/又は挿通筒体部と接続する構成とすることができる。
【0034】
請求項5に示す発明によれば、簡易な構成により一体成形によって低コストで製造可能である。
【0035】
請求項6に示す発明によれば、出荷時、輸送時、保管時、販売時等は外蓋によって保護されるので、内蓋の構成を強固にすることなく、低コストで提供することができる。
【0036】
請求項7に示す発明によれば、液体容器の口部の外径に影響することがない。従って、液体取出装置に装着する際等に口部に取り付けられるポンプ体を変更を加えることなく取付けることができる。
【0037】
請求項8に示す発明によれば、液体容器の口部の内径に影響することがない。従って、この部分の通液路の大きさを維持することができる。
【0038】
請求項9に示す発明によれば、液体容器の口部に対して蓋体を簡易な構成で確実に止着することができる。
【0039】
請求項10に示す発明によれば、液体容器の口部に止着した蓋体を確実に固定することができる。
【0040】
請求項11に示す発明によれば、液体容器としてボトル状リフィル容器や袋状リフィル容器のように様々な態様のリフィル容器に対応することができる。
【0041】
請求項12に示す発明によれば、先端に先鋭部を有していない吸引管を用いることによって、吸引管の先鋭部に対して苦手意識を有する老人や女性等であっても、安心且つ安全に液体容器のリフィル交換を行うことができる。しかも、吸引管の先端による閉塞蓋部の開栓は吸引管の先端の端面が面接触によって当接して押下する構成なので、安定した押下による開栓が容易に可能である。
【0042】
請求項13に示す発明によれば、新規の液体容器に交換するの際の開栓時の容器内の液体の外気接触による品質低下を低コストで防止し、ヴァージン性を維持した状態のまま確実且つ安全に容易にリフィル交換が可能となる液体容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明に係る液体容器用蓋体の一実施例を示す6面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、A−A線断面図)
【
図2】
図1に示す液体容器用蓋体の閉塞蓋部の閉塞状態を示す4面図(正面図、平面図、底面図、B−B線断面図)
【
図3】
図1及び
図2に示す液体用器用蓋体の液体容器への装着構成を示す説明図
【
図4】
図1及び
図2に示す液体用器用蓋体を装着した液体容器へのポンプ体の取付け構成を示す説明図
【
図5】
図1及び
図2に示す液体容器用蓋体の開栓構成を示す説明図(その1)
【
図6】
図1及び
図2に示す液体容器用蓋体の開栓構成を示す説明図(その2)
【
図7】
図1及び
図2に示す液体容器用蓋体の開栓構成を示す説明図(その3)
【
図8】
図1及び
図2に示す液体容器用蓋体の開栓構成を示す説明図(その4)
【
図9】
図1及び
図2に示す液体容器用蓋体の開栓構成を示す説明図(その5)
【
図10】本発明に係る液体用器用蓋体の他の実施例を示す断面図
【
図11】本発明に係る液体用器用蓋体の他の実施例を示す断面図
【
図12】本発明に係る液体用器用蓋体の他の実施例を示す断面図
【
図13】本発明に係る液体用器用蓋体の他の実施例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明に係る液体容器用蓋体(以下、単に蓋体と言うこともある。)及びこの蓋体を有する液体容器について
図1〜
図9に基づき詳細に説明する。
【0045】
本発明は、シャンプー、コンディショナー、トリートメント、その他の頭髪用品をはじめ、液状石鹸、化粧液、歯磨き、食器用洗剤、ソース、マヨネーズ、食用油、機械油、その他の各種液体(ゲル状或いはゼリー状等の高粘度液体を含む)が充填済みの液体容器から前記液体をポンプ体によって吸引・注出するに従って、前記液体容器内の負圧化に伴って収縮(縮小)していく構成のエアレスタイプの液体取出装置に用いられる液体容器の蓋体である。液体容器内の液体の吸引・注出によって空になった後は、満充填された新規の詰替用の液体容器(リフィル容器)にリフィル交換して使い続けることができるものであり、この交換用のリフィル容器である新規の液体容器の口部を閉塞してヴァージン性を保持した状態のまま交換可能な構成によって品質低下を防止するために極めて好適な蓋体である。
【0046】
図1及び
図2に示す本発明に係る蓋体1は、
図3〜
図9に示すように、液体が密封充填される可撓性を有する液体容器2と、該液体容器2の口部21に取付けられることにより液体の吸引・注出を行うポンプ体4と、該ポンプ体4の吸引部に連通状態で取り付けられると共に前記液体容器2の内部に挿通配設される吸引管5と、を有して成り、前記ポンプ体4の動作によって前記液体容器2内の液体を吸引・注出するに従って、前記液体容器2内の負圧化に伴ってヴァージン性を維持した状態で収縮(縮小)していくエアレスタイプの液体取出装置に用いられる液体容器2の口部21を閉塞するものである。
図3及び
図4において符号3は外蓋である。
【0047】
蓋体1の具体的構成としては、合成樹脂製であり、
前記口部21に止着されると共に略中央部に開口11Aを有する本体部11と、
該本体部11の開口11Aの開口縁から上方に立設状態に及び/又は下方に垂設状態(本実施例では上方に立設状態)に設けられる筒状体であり、該筒状体の上方開口から前記吸引管5が挿通された際に該筒状体の内周面に前記吸引管5の外周面が液密・気密状態で密接挿通する挿通筒体部12と、
該挿通筒体部12の下方開口に下方向に取り外し可能に嵌着されて該下方開口を液密・気密状態で閉塞する閉塞蓋部13と、
を有して成り、
前記挿通筒体部12に吸引管5が挿通されて該吸引管5の外周面が前記筒状体の内周面に密接して液密・気密となってから該吸引管5の先端が前記閉塞蓋部13に当接して下方に押下することにより前記挿通筒体部12の下方開口が開栓されて前記ポンプ体4の吸引部と液体容器2内とを連通させることが可能な状態となる構成を主構成とする。
【0048】
以下、本発明の構成について更に詳説する。
【0049】
蓋体1の本体部11を構成する素材としては上記したように合成樹脂製であり、好ましくは可撓性を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エラストマー、シリコン等の合成樹脂製であり、特に好ましくは可撓性を有するポリエチレン製である。また、蓋体1は、本体部11と、挿通筒体部12と、閉塞蓋部13と、が一体成形された構成であることが好ましい。
【0050】
蓋体1は、本実施例では液体容器2の口部21の縁の内側に本体部11が入り込んだ状態で止着される構成であり、更に該蓋体1は内蓋として機能し、更に外蓋3により内蓋として機能する蓋体1を保護すると共に液体容器2の口部21をより確実且つ安全に閉塞する。
【0051】
蓋体1の挿通筒体部12は、上記したように本実施例では本体部11の底面の略中央部の開口11Aの開口縁から上方に立設状態に設けられた筒状体構成である。本実施例の構成の場合、本体部11の略中央部の開口11Aは挿通筒退部12の下方開口となる。
【0052】
蓋体1の閉塞蓋部13は、上記したように挿通筒体部12の下方開口に下方向に取り外し可能に嵌着されて該下方開口を閉塞する構成であるが、本実施例に示すように、前記本体部11及び/又は挿通筒体部12(本実施例では本体部11)と接続部14を介して接続された構成であることが好ましい。また、接続部14は、蓋体1を構成する本体部11、挿通筒体部12、閉塞蓋部13と一体成形された構成であることがより好ましく、かかる構成の場合、該接続部14は薄肉部であることが好ましい。
【0053】
以上の構成を有する蓋体1は、
図3に示すように、先ず、挿通筒体部12の下方開口に閉塞蓋部13を下方から装着することによって本体部11の略中央部の開口11Aを液密・気密状態に閉塞する。
【0054】
次に、この蓋体1を液体充填後の液体容器2の口部21に装着する。この蓋体21の装着によって液体容器2に液体が密封充填された状態となる。本実施例では、蓋体1は内蓋として機能させる構成であるため、外蓋3を更に装着し、該外蓋3が内蓋としての蓋体1の閉塞状態を保護することによって、液体を密封充填した液体容器2について出荷時、輸送時、保管時、販売時等における口部21からの液体漏出や外気浸入を確実且つ安全に防ぐことができる。
【0055】
上記したように液体が密封充填された液体容器2は、
図4に示すようにリフィル交換によってポンプ体4を装着することにより該液体容器2内の液体の吸引・抽出が可能となる。
【0056】
次に、
図4に示されるようにポンプ体4を液体容器2の口部21へ取り付けるに際しての蓋体1と取り付けられるポンプ体4及び吸引管5の取付構成の詳細について
図5〜
図9に基き説明する。
【0057】
液体容器2の口部21にポンプ体4を取り付けるには、前記口部21に止着した蓋体1の挿通筒体部12に、ポンプ体4の吸引部に取り付けられた吸引管5を
図5に示すように上方から挿通する。
【0058】
吸引管5の先端部分が
図6に示すように前記挿通筒体部12の筒状体に挿通されると、この先端部分の外周面は筒状体の内周面に密接することになるので液密・気密状態となる。この液密・気密状態となった時点では、閉塞蓋部13は開栓されていない状態である。
【0059】
蓋体1の挿通筒対部12に吸引管5の先端部分が液密・気密状態で密接挿通されてから、
図7に示すように吸引管5を更に下方に押込んで該吸引管5の先端の端面が閉塞蓋部13に当接する状態となる。尚、吸引管5は本実施例に示すようにその先端に先鋭部を有することなく水平端面を有する構成であることが好ましい。
【0060】
図7に示す状態から吸引管5を更に下方に押込むことにより、該吸引管5の先端が閉塞蓋部13を更に下方に押下することになって該閉塞蓋部13の嵌着が解除されて
図8に示すように挿通筒体部12の下方開口が開栓されることになる。この開栓によってポンプ体4の吸引部と液体容器2内とが連通状態となる。
【0061】
吸引管5による閉塞蓋部13の開栓後、更に吸引管5を最下方まで押込み、ポンプ体4を液体容器2の口部21に螺合等によって止着固定することにより
図9に示すようにリフィル交換が完了する。尚、本実施例に用いられる吸引管5は途中部分に段付部を有して径が太くなる構成のものを用いており、この径が太くなる部分が蓋体1の挿通筒体部12に押込まれた際、この径に追従して挿通筒体部12が押し広げられることになる。蓋体1は可撓性を有するため、挿通筒体部12の内周面は、吸引管5の外周面により強く密接することになり、液密性・気密性がより向上することになる。
【0062】
本発明の蓋体1によって口部21が閉塞される液体容器2としては、ボトル状リフィル容器又は袋状リフィル容器であることが好ましく、本実施例では袋状リフィル容器を用いている。
【0063】
また、液体容器2としては、この種のエアレスタイプに用いられる袋体として公知公用のものを特別の制限無く用いることができ、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム等のフィルム単層体、或いはこれら複数のフィルム積層体から成る酸素透過抑制積層フィルム等による袋体を挙げることができる。尚、液体容器1は、硬質合成樹脂製、陶磁器製、ガラス製、木製、金属製等から成る外容器に収容された状態での使用も本発明の範囲内である。
【0064】
上記の液体容器2に取り付けられるポンプ体4としては、この種のポンプ式の液体取出装置に用いられる公知公用のポンプを特別の制限なく用いることができ、注出口の付設された押下操作部を押下操作することで液体を抽出する構成に限らず、トリガー操作によって液体の抽出を行うトリガー操作部を有する構成、或いはその他の構成であってもよい。尚、ポンプ体4の吸引部構成については、この種の液体取出装置に用いられる一般的な構成であるため、本明細書ではポンプ体4の吸引部機構についての説明は省略する。
【0065】
またポンプ体4に連通する吸液管5としては、吸引・抽出を行う液体の濃度や粘度、或いは量等によって種々の太さや長さを有するものが適宜適用される。更に、本実施例に用いられている吸引管5は途中部分に段付き部を有するが、段付き部を有していないストレートタイプでもよいし、或いは段を有することなく徐々に太くなる形状であってもよいし、多段形状であってもよい。
【0066】
以上の構成を有する蓋体1を、液体容器2の口部21に止着することにより、該口部21を閉塞することができ、この閉塞によって液体容器2に充填済みの液体の外気との接触による酸化等を防ぎ品質低下を防止することができる。この品質低下防止効果は、出荷時、輸送時、保管時、販売時等だけでなく、吸引・抽出による使用時、リフィル交換時も液体容器2内の液体と外気との接触を防止することができるので当該効果を常に発揮することができる。
【0067】
以上、本発明に係る液体容器用蓋体及びこの蓋体を有する液体容器について実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において他の態様を採ることもできる。
【0068】
例えば、上記実施例では、液体容器2の口部21への蓋体1の止着構成として、該口部21の縁の内側に入り込んだ状態で
止着する構成としていたが、本発明はかかる構成に限定されず、例えば、
図3に示す構成の蓋体1を用いることにより、
図10に示すように前記口部21の縁の外側を覆う状態で止着する構成とすることもできる。
【0069】
更に、
図10に示す実施例では、挿通筒体部12は、蓋体1の本体部11の開口11Aの開口縁から下方に垂設状態に設けられる筒状体である構成となっている。
【0070】
更にまた、
図10に示す実施例では、閉塞蓋部13の接続部14は挿通筒体部12に連設された構成となっている。
【0071】
また、
図11に示す実施例では、挿通筒体部12は、蓋体1の本体部11の開口11Aの上方及び下方の両方に立設状態及び垂設状態に設けられる筒状体である構成となっている。
【0072】
更に、
図12に示す実施例では、閉塞蓋部13は、蓋体1の本体部11・挿通筒体部12とは別体構成となっている。かかる構成の場合、開栓後の吸引・注出時に吸引管5の吸引口を塞いでしまうことがないような配慮が必要である。尚、閉塞蓋部13が液体内で沈降したり浮遊しないように紐部材等によって本体部11・挿通筒体部12に接続しておくことが好ましい。
【0073】
更に、上記した各実施例では挿通筒体部12の下端縁の内側に閉塞蓋部13が嵌着される構成となっているが、
図13に示す実施例のように、挿通筒体部12の下端縁の外側に嵌着される構成とすることもできる。また、閉塞蓋部13を挿通筒体部12の下端部の内側と外側の両方に嵌着される構成としてもよい。
【0074】
更に、液体容器2の口部21への蓋体1の止着構成としては、上記実施例では嵌合構成としていたが、螺合構成とすることもできる。
【0075】
更に、液体容器2の口部21に嵌合又は螺合した蓋体1の本体部11を口部21に溶着、融着又は接着し、止着をより強固に且つ確実にする構成とすることもできる。
【0076】
尚、本発明の蓋体1は可撓性を有する液体容器に好適に用いられるものであるが、可撓性を有していない陶磁器製、ガラス製、硬質合成樹脂製の液体容器の口部の閉塞に用いることもできる。
【0077】
尚また、本発明に用いられる吸引管5は、その先端に先鋭部を有することなく、該先端の水平端面が前記閉塞蓋部に当接して押下する構成であることが好ましいが、先鋭部を有する吸引管5を用いる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 液体容器用蓋体
11 本体部
11A 開口
12 挿通筒体部
13 閉塞蓋部
14 接続部
2 液体容器
21 口部
3 外蓋
4 ポンプ体
5 吸引管