(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599416
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】製造ライン監視装置、製造ライン監視プログラム、製造ライン監視方法、製造ライン監視システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20191021BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20191021BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20191021BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q10/00 300
G06Q50/04
G05B23/02 302Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-211595(P2017-211595)
(22)【出願日】2017年11月1日
(62)【分割の表示】特願2015-540771(P2015-540771)の分割
【原出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-63715(P2018-63715A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2017年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】前之園 克美
(72)【発明者】
【氏名】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】前杉 諭
(72)【発明者】
【氏名】野澤 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】奈良迫 祐介
(72)【発明者】
【氏名】秦 久典
【審査官】
稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−191041(JP,A)
【文献】
特開2002−014721(JP,A)
【文献】
特開2011−047724(JP,A)
【文献】
特開2012−160056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
G06Q 10/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末とネットワークを介して接続された製造ライン監視装置であって、
製造ラインを構成する製造装置近傍に設けられたセンサによる測定値を示すセンサデータと、前記製造ラインにより製造されるワーク上の欠陥を検査する検査装置より出力され、欠陥種別及び該欠陥種別により示される欠陥の数または大きさを示す欠陥データとを受信する受信部と、
前記センサデータにより示される測定値が予め設定された所定の範囲を示すセンサ閾値を超えるか否かを判定するセンサ判定部と、
前記欠陥データにより示される欠陥の数または大きさが予め設定された欠陥閾値より大きいか否かを判定する欠陥判定部と、
前記欠陥判定部によって、前記欠陥種別により示される欠陥の数または大きさが前記欠陥閾値より大きいと判断され、且つ、前記センサ判定部によって、前記欠陥種別に予め対応付けられたセンサによる測定値が前記センサ閾値を超えると判断された場合、前記クライアント端末に対して、前記ワークに異常が生じたことを提示するワーク異常通知と、前記製造装置に異常が生じたことを提示する製造装置異常通知とを送信する通知部と
を備える製造ライン監視装置。
【請求項2】
クライアント端末と、該クライアント端末とネットワークを介して接続された製造ライン監視装置とを備える製造ライン監視システムであって、
前記クライアント端末は、
所定の欠陥種別と該所定の欠陥種別に対応する所定のセンサとを示す指示情報を前記製造ライン監視装置へ送信するとともに、製造ラインにより製造されるワークに異常が生じたことを提示するワーク異常通知と、前記製造ラインを構成する製造装置に異常が生じたことを提示する製造装置異常通知とを前記製造ライン監視装置より受信し、
前記製造ライン監視装置は、
前記製造装置近傍に設けられたセンサによる測定値を示すセンサデータと、前記ワーク上の欠陥を検査する検査装置より出力され、欠陥種別及び該欠陥種別により示される欠陥の数または大きさを示す欠陥データとを受信する受信部と、
前記センサデータにより示される測定値が予め設定された所定の範囲を示すセンサ閾値を超えるか否かを判定するセンサ判定部と、
前記欠陥データにより示される欠陥の数または大きさが予め設定された欠陥閾値より大きいか否かを判定する欠陥判定部と、
前記クライアント端末から前記指示情報を受信し、該指示情報に基づいて、前記欠陥データにより示される所定の欠陥種別と、前記センサデータにより示される所定のセンサとを対応付ける設定部と、
前記欠陥判定部によって、前記所定の欠陥種別により示される欠陥の数または大きさが前記欠陥閾値より大きいと判断され、且つ、前記センサ判定部によって、前記設定部により前記所定の欠陥種別に対応付けられたセンサによる測定値が前記センサ閾値を超えると判断された場合、前記クライアント端末に対して、前記ワーク異常通知と、前記製造装置異常通知とを送信する通知部とを備えることを特徴とする製造ライン監視システム。
【請求項3】
クライアント端末とネットワークを介して接続されたコンピュータにより実行される製造ライン監視プログラムであって、
製造ラインを構成する製造装置近傍に設けられたセンサによる測定値を示すセンサデータと、前記製造ラインにより製造されるワーク上の欠陥を検査する検査装置より出力され、欠陥種別及び該欠陥種別により示される欠陥の数または大きさを示す欠陥データとを受信し、
前記センサデータにより示される測定値が予め設定された所定の範囲を示すセンサ閾値を超えるか否かを判定し、
前記欠陥データにより示される欠陥の数または大きさが予め設定された欠陥閾値より大きいか否かを判定し、
前記欠陥種別により示される欠陥の数または大きさが前記欠陥閾値より大きいと判断され、且つ、前記欠陥種別に予め対応付けられたセンサによる測定値が前記センサ閾値を超えると判断された場合、前記クライアント端末に対して、前記ワークに異常が生じたことを提示するワーク異常通知と、前記製造装置に異常が生じたことを提示する製造装置異常通知とを送信する
処理を前記コンピュータに実行させる製造ライン監視プログラム。
【請求項4】
クライアント端末とネットワークを介して接続されたコンピュータにより実行される製造ライン監視方法であって、
前記コンピュータが、
製造ラインを構成する製造装置近傍に設けられたセンサによる測定値を示すセンサデータと、前記製造ラインにより製造されるワーク上の欠陥を検査する検査装置より出力され、欠陥種別及び該欠陥種別により示される欠陥の数または大きさを示す欠陥データとを受信し、
前記センサデータにより示される測定値が予め設定された所定の範囲を示すセンサ閾値を超えるか否かを判定し、
前記欠陥データにより示される欠陥の数または大きさが予め設定された欠陥閾値より大きいか否かを判定し、
前記欠陥種別により示される欠陥の数または大きさが前記欠陥閾値より大きいと判断され、且つ、前記欠陥種別に予め対応付けられたセンサによる測定値が前記センサ閾値を超えると判断された場合、前記クライアント端末に対して、前記ワークに異常が生じたことを提示するワーク異常通知と、前記製造装置に異常が生じたことを提示する製造装置異常通知とを送信する製造ライン監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、製造ラインを監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造ラインのメンテナンスとして、予防保全による定期的なオーバーホールによって運転中に故障させない対策が採られてきた。このようなメンテナンスによれば、例えば、製造ラインにおける駆動モーターに温度計や電流計を装備し、これらを現場のオペレータが目視確認することによって製造ラインに異常がないかが確認される。また、故障が発生してしまった場合は、製造ラインを止めて、故障が発生した部品の修理または交換が行われていた。
【0003】
また、関連する技術として、特許文献1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−160056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、製造コストを低減させるために、メンテナンスのための人員数は削減される傾向にあり、したがって、製造ラインの異常を事前に発見する予防保全が困難となり、製造ラインのメンテナンスは、実質、故障が発生してからの事後対応となってしまい、この場合、製造ラインは停止されることとなる。つまり、製造ラインのメンテナンスとしては予防保全が望ましいが、それには大きなコストを要する、という問題があった。
【0006】
本発明の実施形態は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、より低コストで予防保全を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、製造ラインを構成する製造装置近傍に設けられたセンサによる測定値を示すセンサデータを受信する受信部と、センサデータにより示される測定値が予め設定された所定の範囲を示す第1センサ閾値を超えるか否かを判定するセンサ判定部と、センサ判定部により測定値が第1センサ閾値を超えると判定された場合、クライアント端末に対して、製造装置が正常に動作していない旨をクライアント端末のユーザに提示するセンサ異常通知を送信する通知部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係る製造ライン監視システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】ゲートウェイ端末、サーバ装置、クライアント端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】ゲートウェイ端末、サーバ装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】通知処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本実施の形態に係る製造ライン監視システムの全体構成について、
図1を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係る製造ライン監視システムの概略図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態に係る製造ライン監視システムは、製造現場に設置される構成として、製造ライン9、検査装置50、製造ラインPLC(Programmable Logic Controller)60、データ収集PLC70、ゲートウェイ端末80を備え、また、遠隔地に設置される構成として、サーバ装置10、クライアント端末20を備える。なお、サーバ装置10とクライアント
端末20は互いに異なる場所に設置されるものとする。
【0011】
製造ライン9は、本実施の形態においては、複数の製造装置を有して、これらの装置によりフィルムを製造するものとし、その製造工程には、少なくとも、製造工程においてフィルム原料を溶解させるヒータ90を有し、また、その検査工程には、製造工程により連続的に製造されたフィルムをワークとして搬送する複数の搬送用ロール91、ワークの裏面を撮像するカメラ92、カメラ92による撮像範囲を照らす照明93、ワークの表面を撮像するカメラ94、カメラ94による撮像範囲を照らす照明95を有する。カメラ92及び94により撮像された撮像画像は、検査装置50によるワークの検査に用いられ、評価工程において検査装置50による検査結果に基づく欠陥評価がなされる。この欠陥評価によれば、ワークの搬送方向における所定の位置間隔毎に良品または不良品と判定される。また、ヒータ90近傍にはその温度を測定する温度センサ90aが設けられ、搬送用ロール91の駆動部近傍にはその振動を測定する振動センサ91aが設けられ、照明93の近傍にはその照度を測定する照度センサ93aが設けられる。温度センサ90aはヒータ90の温度を出力し、振動センサ91aは搬送用ロール91の振動として、加速度、速度、変位を出力し、照度センサ93aは照明93の照度を出力する。
【0012】
検査装置50は、カメラ92及び94により撮像された撮像画像に基づいて、ワークを検査して欠陥を検出する。検出される欠陥としては、ピンホール、黒点、FE(Fish EYE)、傷、などが挙げられ、検査装置50は、1つのワーク毎に欠陥種別とその数またはその大きさとを、検査データとしてデータ収集PLC70へ出力する。なお、この検査装置50は、PC(Personal Computer)に検査を行うためのプログラムがインストールされたものであり、その筐体における熱排出箇所の近傍に、温度を測定する温度センサ50aが設けられる。温度センサ50aは検査装置50の温度を出力する。
【0013】
製造ラインPLC(Programmable Logic Controller)60は、製造ライン9の各設備に接続され、稼働状況を示す各種信号を受信し、信号値を製造ラインデータとしてデータ収集PLC70へ出力する。稼働状況を示す信号として、製造ライン9が故障したことを示す故障信号、駆動部のインバータ制御出力、ワークの搬送速度を示す搬送ライン速度、製造ライン9の運転周波数、などが挙げられる。
【0014】
データ収集PLC70は、検査装置50より出力される検査データ、製造ラインPLC60より出力される製造ラインデータ、各種センサ90a〜93a,50aより出力される値をセンサデータとして取得し、取得した検査データ、製造ラインデータ、センサデータをゲートウェイ端末80へ出力する。
【0015】
ゲートウェイ端末80は、データ収集PLC70により出力された検査データ、製造ラインデータ、センサデータを受信し、受信したこれらのデータを遠隔地に設置されたサーバ装置10へネットワークを介して送信する。
【0016】
サーバ装置10は、ゲートウェイ端末80により送信された検査データ、製造ラインデータ、センサデータを蓄積して、これらの各種データをクライアント端末20から閲覧可能にする。また、サーバ装置10は、クライアント端末20による指示に基づいて各種データに対して判定を行い、必要に応じて判定結果をクライアント端末20へ通知する。
【0017】
クライアント端末20は、製造ライン9の設置場所、サーバ装置10の設置場所とも異なる場所に設置された、製造ライン9のメンテナンス担当者が利用するPCである。このクライアント端末20は、ブラウザによってサーバ装置10に蓄積された各種データを閲覧することができ、また、サーバ装置10による各種データに対する判定に関する指示を行い、この判定に基づく通知を受信する。
【0018】
次に、ゲートウェイ端末、サーバ装置、クライアント端末のハードウェア構成について説明する。
図2は、ゲートウェイ端末、サーバ装置、クライアント端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、ゲートウェイ端末80、サーバ装置10、クライアント端末20は、いずれも、CPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置であるメモリ12、不揮発性の記憶装置13、及び他の装置との通信を行う外部I/F(interface)14を備える。ゲートウェイ端末80、サーバ装置10、クライアント端末20それぞれの外部I/F14は、いずれもネットワークに接続し、ゲートウェイ端末80及びクライアント端末20はサーバ装置10とデータを送受信可能に接続される。
【0020】
次に、ゲートウェイ端末、サーバ装置の機能構成について説明する。
図3は、ゲートウェイ端末、サーバ装置の機能構成を示すブロック図である。
【0021】
図
3に示すように、ゲートウェイ端末80は、取得部801、管理部802、送信部803を機能として備える。これらの各機能は、ゲートウェイ端末80において、記憶装置13に保存されているプログラムがメモリ12にロードされ、CPU11がロードされたプログラムを演算実行することで実現される。
【0022】
取得部801は、検査データ、製造ラインデータ、センサデータを取得する。管理部802は、取得部801により取得された各種データと、取得タイミングにおける日時とを対応付ける。送信部803は、管理部802により日時と対応付けられた各種データを、ネットワークを介して、サーバ装置10へ送信する。なお、この各種データの送信は、取得部801が各種データを取得する周期以上の長さを有する周期で行われ、送信部803はこの周期間に取得された各種データをまとめてサーバ装置10へ送信する。
【0023】
また、サーバ装置10は、受信部101、蓄積部102、設定部103、欠陥判定部104、センサ判定部105、通知部106、変換部107を機能として備える。これらの各機能は、ゲートウェイ端末80と同様に、サーバ装置10において、記憶装置13に保存されている製造ライン監視プログラムがメモリ12にロードされ、CPU11がロードされた製造ライン監視プログラムを演算実行することで実現される。
【0024】
受信部101は、ゲートウェイ端末80の送信部803により送信された各種データを受信する。蓄積部102は、受信部101により受信された各種データを互いに対応付けて、サーバ装置10の記憶装置13に時系列順に蓄積する。設定部103は、クライアント端末20からの指示に基づいて、ワークの欠陥種別と、この欠陥種別と関連する特定のセンサとを対応付け、また、後述する第1欠陥閾値を欠陥判定部104に設定し、後述する第1センサ閾値をセンサ判定部105に設定する。ここで、第1欠陥閾値は、所定の値として設定され、第1センサ閾値は、上限及び下限、上限のみ、または下限のみのいずれかを示す値として設定されるものとし、以降、これらを総称して設定範囲と称する。欠陥判定部104は、設定部103により設定された第1欠陥閾値、及びこの第1欠陥閾値に対して所定量だけ低い値である第2欠陥閾値により、検査データに対する判定を行う。センサ判定部105は、設定部103により設定された第1センサ閾値、及びこの第1センサ閾値に対して、その設定範囲内に上限または下限に対して所定量だけ異なる第2センサ閾値により、センサデータに対する判定を行う。通知部106は、センサ判定部105、または欠陥判定部104及びセンサ判定部105による判定に基づいて、クライアント端末20に対して、ワークまたはセンサの測定対象の異常または警告を通知する。変換部107は、蓄積部102により蓄積された各種データを、メンテナンス担当者が製造ライン9の状況を容易に把握できるように、クライアント端末20により閲覧可能な形式に変換する。
【0025】
蓄積部102による各種データの対応付けは、その出力周期が最長であるデータに、この周期内に時間的に収まる他のデータを関連付けることによってなされるものとする。例えば、検査装置50による出力が1秒毎であり、製造ラインPLC60による出力が0.2秒毎、各種センサによる出力が0.1秒毎であれば、1つの検査データに対して、5つの製造ラインデータ、10の各種センサデータがそれぞれ対応付けられることとなる。
【0026】
通知部106による通知に関して、ワークに関する異常通知は、ワーク上に存在する欠陥の数、大きさなどがすでに許容範囲を超えていることを示し、ワークに関する警告通知は、ワーク上に存在する欠陥の数、大きさなどが今後許容範囲を超える可能性を示す。また、測定対象に関する異常通知は、センサの測定対象がすでに正常に動作していないことを示し、測定対象に関する警告通知は、センサの測定対象が今後正常に動作しなくなる可能性を示す。これらの通知は、具体的には、通知部106がクライアント端末20へ電子メールを送信することによりなされるものとし、この電子メールのタイトルまたは本文に記載されたテキストによって、通知の種別やその具体的な状況がメンテナンス担当者に把握されるものとする。
【0027】
変換部107によるデータの変換には、各種データのグラフ化と、HTML化とが含まれる。グラフ化によれば、検査データ、製造ラインデータ、センサデータについて、縦軸をデータ値、横軸を時間として表現したグラフが生成される。このグラフについては、検査データ、製造ラインデータ、センサデータ間の関連性をメンテナンス担当者が容易に把握できるようにするため、各種データそれぞれは互いに同一の時間スケールを用いるものとし、同一のタイミングにおける各種データのデータ値が揃う状態となっていることが望ましい。また、HTML化によれば、各種データのグラフを閲覧するための特定のアプリケーションを導入することなく、クライアント端末20のブラウザから各種データのグラフを閲覧可能となる。
【0028】
また、変換部107は、HTML化によって、クライアント端末20からの指示を受け付けるインターフェイスを提供する。このインターフェイスによれば、設定項目として、第1欠陥閾値としての値を入力可能なテキストボックス、第1センサ閾値の設定方法として下限及び上限、下限のみ、上限のみ、のいずれかひとつを選択可能なラジオボックス、このラジオボックスの選択に応じて表示される、第1センサ閾値としての値を入力可能な1つまたは2つのテキストボックス、検査データにおける欠陥種別それぞれについて用意され、1つの欠陥種別に対して少なくとも1つ以上対応付けられるセンサ種別を示すチェックボックス、が提供される。なお、このセンサ種別を示すチェックボックスと同様に、1つの欠陥種別に対して少なくとも1つ以上対応付けられる稼働状況の種別を示すチェックボックスが更に提供されても良い。
【0029】
次に、ワークの欠陥及びセンサによる測定値に基づいてクライアント端末への通知を行う通知処理の動作について説明する。
図4は、通知処理の動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートにおいては、予め、設定部によって、欠陥種別の1つであるFEに対してセンサ種別の1つであるヒータ近傍の温度センサが対応付けられ、また、FE個数に対して第1欠陥閾値が設定され、ヒータ近傍の温度センサに対して下限のみを有する第1センサ閾値が設定されているものとする。また、この通知処理は、受信部による各種データの受信毎に実行されるものとする。
【0030】
図4に示すように、まず、欠陥判定部104は、検査データを参照し、ワークにFEが存在するか否かを判定する(S101)。
【0031】
FEが存在する場合(S101,YES)、欠陥判定部104は、FE個数が、第1欠陥閾値に対して所定量だけ低い値を有する第2欠陥閾値より大きいか否かを判定する(S102)。
【0032】
FE個数が第2欠陥閾値よりも大きい場合(S102,YES)、センサ判定部105は、温度センサ90aにより測定されたヒータ温度が第2センサ閾値より小さいか否かを判定する(S103)。ここで、第2センサ閾値は、第1センサ閾値に対して範囲内に所定量だけ異なる値を有するものであり、下限のみが設定される本実施形態においては第1センサ閾値より所定量だけ大きい値を有する。
【0033】
ヒータ温度が第2センサ閾値よりも小さい場合(S103,YES)
、通知部106は、ワークに関する異常通知としてのFE個数異常、及び測定対象に関する異常通知としてのヒータ異常をクライアント端末20へ通知する(S104)。
【0034】
一方、ヒータ温度が第2センサ閾値以上である場合(S103,NO)、欠陥判定部104は、FE個数が第1欠陥閾値より大きいか否かを判定する(S105)。
【0035】
FE個数が第1欠陥閾値より大きい場合(S105,YES)、通知部106は、FE個数異常をクライアント端末20へ通知する(S106)。
【0036】
一方、FE個数が第1欠陥閾値以下である場合(S105,NO)、通知部106は、ワークに関する警告通知としてのFE個数警告をクライアント端末20へ通知する(S107)。
【0037】
また、ステップS102において、FE個数が第2欠陥閾値以下である場合(S102,NO)、センサ判定部105は、ヒータ温度が第1センサ閾値より小さいか否かを判定する(S108)。
【0038】
ヒータ温度が第1センサ閾値よりも小さい場合(S108,YES)、通知部106はヒータ異常をクライアント端末20へ通知する(S109)。
【0039】
一方、ヒータ温度が第1センサ閾値以上である場合(S108,NO)、センサ判定部105は、ヒータ温度が第2センサ閾値より小さいか否かを判定する(S110)。
【0040】
ヒータ温度が第2センサ閾値よりも小さい場合(S110,YES)、通知部106は、測定対象に関する警告通知としてのヒータ警告をクライアント端末20へ通知する(S111)。
【0041】
一方、ヒータ温度が第2センサ閾値以上である場合(S110,NO)、センサ判定部105は、通知処理を終了する。
【0042】
また、ステップS101において、ワークにFEが存在しない場合(S101,NO)、センサ判定部105は、ヒータ温度が第1センサ閾値より小さいか否かを判定する(S108)。
【0043】
上述したように、通知処理によれば、第1欠陥閾値に基づく判定によるワークに関する異常、及び第2欠陥閾値に基づく判定によるワークに関する警告が通知され、第1センサ閾値に基づく判定による測定対象に関する異常、及び第2センサ閾値に基づく判定による測定対象に関する警告が通知される。ワークに関する通知、測定対象に関する通知のいずれについても、設定された閾値と異なる閾値による判定を行うことにより、異常が発生する前に、その可能性をメンテナンス担当者が把握することができる。また、互いに相関性が高いと推定される欠陥種別とセンサ種別とを対応付け、これらについて、第2欠陥閾値による判定基準を満たし、且つ第2センサ閾値による判定基準を満たした場合に、ワーク及び測定対象に異常が生じたものと見做し、その旨を通知することによって、欠陥数または大きさが第1欠陥閾値に達する前に、または、センサによる測定値が第1センサ閾値により定められる範囲を超える前に、両者に異常が生じたことをメンテナンス担当者が把握することができる。
【0044】
本実施の形態において、製造ライン監視プログラムは上述した製造ライン監視装置としてのサーバ装置の内部に予めインストールされているものとして記載したが、本発明における製造ライン監視プログラムは記憶媒体に記憶されたものも含まれる。ここで記憶媒体とは、磁気テープ、磁気ディスク(ハードディスクドライブ等)、光ディスク(CD−ROM、DVDディスク等)、光磁気ディスク(MO等)、フラッシュメモリ等、サーバ装置に対し脱着可能な媒体や、さらにネットワークを介することで伝送可能な媒体等、上述したサーバ装置におけるコンピュータで読み取りや実行が可能な全ての媒体をいう。
【0045】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
9 製造ライン、10 サーバ装置、20 クライアント
端末、50 検査装置、80 ゲートウェイ
端末、101 受信部、102 蓄積部、103 設定部、104 欠陥判定部、105 センサ判定部、106 通知部、107 変換部。