特許第6599429号(P6599429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599429ストッパを有する制御ロッドを備えた電磁電力接触器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599429
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ストッパを有する制御ロッドを備えた電磁電力接触器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/30 20060101AFI20191021BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H01H50/30 B
   H01H50/54 B
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-505444(P2017-505444)
(86)(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公表番号】特表2017-522704(P2017-522704A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】FR2015052117
(87)【国際公開番号】WO2016016585
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年5月8日
(31)【優先権主張番号】1457503
(32)【優先日】2014年8月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】ロマン、ギグノ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、パトロワ
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−107828(JP,A)
【文献】 特開2013−062156(JP,A)
【文献】 特開2014−123442(JP,A)
【文献】 特開平08−167363(JP,A)
【文献】 特開2014−015910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 〜 45/14
H01H 50/00 〜 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に内燃機関の始動器の電気モータのための電磁電力接触器(1)であって、
−第1磁性コア(2)と、
−前記第1磁性コア(2)に対して可動である第2磁性コア(3)であって、休止位置と、前記第2磁性コア(3)が前記第1磁性コア(2)に接触している磁化位置との間で可動ある、第2磁性コア(3)と、
−休止位置と給電位置との間で可動である制御ロッド(13)と、
−前記制御ロッド(13)に取り付けられた接触プレート(17)であって、前記制御ロッド(13)が前記給電位置にあるときに電気端子(18、19)との接触を確立可能である、接触プレート(17)と、を備え、
前記制御ロッド(13)は、ショルダ部(131)を備え、
前記ショルダ部(131)は、前記休止位置において、前記第1磁性コア(2)と接触する面を含み、
前記第1磁性コア(2)と前記休止位置にある前記制御ロッド(13)は、前記第1磁性コア(2)と前記第2磁性コア(3)との間に延在する第1チャンバ(37)と、前記接触プレート(17)が位置する第2チャンバ(38)とを分離し、
前記電磁電力接触器(1)は、
−前記第1チャンバ(37)と前記第2チャンバ(38)との間に形成された少なくとも1つの開口(40、41、44)を更に備え、
前記開口は、前記制御ロッド(13)が休止位置にあるときに、前記第1磁性コア(2)と前記ショルダ部(131)の前記面との間にある接触領域(36)に形成されており、
前記開口(40、41、44)は、前記第2磁性コア(3)が前記休止位置から前記磁化位置に移動するときに、前記第1チャンバ(37)から前記第2チャンバ(38)への空気の移動を可能にしている、
接触器。
【請求項2】
少なくとも1つの通気口(40)が前記ショルダ部(131)の前記面に形成されている、
請求項に記載の接触器。
【請求項3】
2つの通気口(40)が前記ショルダ部(131)の前記面に形成されている、
請求項に記載の接触器。
【請求項4】
3つの通気口(40)が前記ショルダ部(131)の前記面に形成されている、
請求項に記載の接触器。
【請求項5】
前記開口(40、41、44)は、前記第2磁性コア(3)の速度が0.9m/sから1.1m/sの間に含まれるような寸法を有している、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項6】
前記電気端子(18、19)は前記接触プレート(17)に対する接触面を有しており、これらの面にはピン(28)が設けられている、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項7】
前記接触プレート(17)は、前記ショルダ部(131)とストッパ(132)との間に配置された圧縮バネ(21)によって、前記ストッパ(132)に接触して支持され続ける、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項8】
前記ストッパ(132)は、前記制御ロッド(13)に係止され得る爪によって軸方向に固定されたワッシャ(30)により構成されている、
請求項に記載の接触器。
【請求項9】
前記ストッパ(132)は、前記制御ロッド(13)と一体のカラー部(31)と、前記制御ロッド(13)の一部を受容する径方向ノッチ(33)を有するとともに前記制御ロッド(13)の前記ショルダ部(131)に当接する追加閉鎖クリップ(32)とにより構成されている、
請求項に記載の接触器。
【請求項10】
カバー(25)と前記ストッパ(132)との間に戻しバネ(22)が配設されており、前記接触プレート(17)に対する前記圧縮バネ(21)の力は、アクティブ位置にある前記制御ロッド(13)に対する前記戻しバネ(22)の力より少なくとも20ニュートン大きい、
請求項乃至のいずれか一項に記載の接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストッパを有する制御ロッドを備えた電磁電力接触器に関する。
【0002】
本発明は、特に自動車用の電源回路、特に内燃機関の始動器の電気モータのための電磁接触器の分野において特に有利な有用性を有している。
【0003】
特に、本発明は、自動車で使用される、熱機関の自動停止及び再始動の機能(いわゆる停止・発進機能)を有する始動器に関する。
【背景技術】
【0004】
公知のように、接触器は2つの役割を有している。1つ目は、始動器のピニオンを支持している発射装置を枢動レバーにより移動させて、これによりピニオンを始動すべき熱機関のリングに係合させることである。2つ目は、始動器の電気モータに給電してピニオンを回転可能とすることである。
【0005】
この目的のために、図1に示すように、接触器1は、固定コア2と、可動コア3と、絶縁環状支持体9に取り付けられた一組のコイル6a、6bが設けられた金属ハウジング5と、を有している。
【0006】
可動コア3の端部は、枢動レバー10に連結されている。可動コア3の他端部は、制御ロッド13の後端部が摺動可能に配置された固定コア2の中央ボア16内を押されることにより制御ロッド13の後端部に作用するように設計されている。
【0007】
制御ロッド13は、当該制御ロッド13上を摺動可能に配置された接触プレート17を支持している。接触プレート17は、電源回路の2つの電気端子18、19と協働してそれらの間に電気的接点を確立し得るように、横手方向に延在している。
【0008】
制御ロッド13は、ショルダ部131と接触プレート17との間に設けられた圧縮バネ21を支持している。また、接触器1は、カバー25と制御ロッド13のストッパ132との間に設けられた戻しバネ22も備えている。
【0009】
可動コア3は、休止位置として理解される位置と、磁化位置として理解される位置との間で可動となっている。休止位置において、可動コア3は固定コア2から離間した位置にある。磁化位置において、可動コア3は固定コア2に接触して更に一組のコイル6a、6bを作動させる。これにより可動コア3を固定コア2に向かって引き付ける磁場が生成される。
【0010】
また、可動コア3によって移動する制御ロッド13は、休止位置と給電位置との間で可動となっている。給電位置において、可動コア3が磁化位置にある場合に接触プレート17が電気端子18、19との接触を確立する。
【0011】
始動機が頻繁に使用される停止・発進タイプに利用される接触器1の寿命を向上させるように、文書FR2994504号は、ショルダ部131を備えた制御ロッド13が設けられた接触器1の使用を教示している。ショルダ部131は、ロッド13が休止位置にあるときに固定コア2に当接する。このようにして、他のタイプの装置と同様に、接触プレート17ではなくロッド13において応力が分散される。
【0012】
このタイプの構成の問題点は、ショルダ部131が可動コア3の移動により生じた空気流を遮断してしまうことであり、これにより、休止位置から磁化位置へのコア3の移動速度が低下する。図2は、接触プレート17の端子18、19に対する接触が確立された時点において、行程の終端近くの可動コア3の速度がおよそ0.8m/s(ポイントO1参照)であることを示している。しかしながら、このような速度は、低温時に電気端子18、19に形成され得る氷を砕くには十分でない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、特に内燃機関の始動器の電気モータのための電磁電力接触器であって、
−第1磁性コアと、
−前記第1磁性コアに対して可動である第2磁性コアであって、休止位置と、前記第2磁性コアが前記第1磁性コアに接触している磁化位置との間で可動ある、第2磁性コアと、
−休止位置と給電位置との間で可動である制御ロッドと、
−前記制御ロッドに取り付けられた接触プレートであって、前記制御ロッドが前記給電位置にあるときに電気端子との接触を確立可能である、接触プレートと、を備え、
前記制御ロッドは、ショルダ部を備え、
前記ショルダ部は、前記休止位置において、前記第1磁性コアと接触する面を含み、
前記第1磁性コアと前記休止位置にある前記制御ロッドは、前記第1磁性コアと前記第2磁性コアとの間に延在する第1チャンバと、前記接触プレートが位置する第2チャンバとを分離し、
前記電磁電力接触器は、
−前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間に形成された少なくとも1つの開口を更に備え、
前記開口は、前記第2磁性コアが前記休止位置から前記磁化位置に移動するときに、前記第1チャンバから前記第2チャンバへの空気の移動を可能にしている、接触器、
を提案することにより、このようなデメリットを効果的に排除することである。
【0014】
このようなタイプの開口を形成することにより、可動コア、ひいては接触プレートの移動速度を上昇させることが可能となり、これは低温時に端子に形成され得る氷を砕く場合に有利である。
【0015】
一実施形態によれば、前記開口は、前記制御ロッドが休止位置にあるときに、前記第1磁性コアと前記ショルダ部の前記面との間にある接触領域に形成されている。
【0016】
一実施形態によれば、少なくとも1つの通気口が前記ショルダ部の前記面に形成されている。
【0017】
一実施形態によれば、2つの通気口が前記ショルダ部の前記面に形成されている。
【0018】
一実施形態によれば、3つの通気口が前記ショルダ部の前記面に形成されている。
【0019】
一実施形態によれば、前記開口は、前記第1チャンバに位置する前記制御ロッドの径方向面に形成された給気口を有している。
【0020】
一実施形態によれば、前記開口は、前記第2チャンバに位置する前記制御ロッドの径方向面に形成された排気口を有している。
【0021】
一実施形態によれば、前記開口は、前記制御ロッドの外縁部に形成された排気口を有している。
【0022】
一実施形態によれば、前記開口は、前記第1磁性コアに形成されている。
【0023】
一実施形態によれば、前記開口は、前記第2磁性コアの速度が0.9m/sから1.1m/sの間に含まれるような寸法を有している。
【0024】
一実施形態によれば、前記電気端子は前記接触プレートに対する接触面を有しており、これらの面にはピンが設けられている。
【0025】
一実施形態によれば、前記接触プレートは、前記ショルダ部とストッパとの間に配置された圧縮バネによって、前記ストッパに接触して支持され続ける。
【0026】
一実施形態によれば、前記ストッパは、前記制御ロッドに係止され得る爪によって軸方向に固定されたワッシャにより構成されている。
【0027】
一実施形態によれば、前記ストッパは、前記制御ロッドと一体のカラー部と、前記制御ロッドの一部を受容する径方向ノッチを有するとともに前記制御ロッドの前記ショルダ部に当接する追加閉鎖クリップとにより構成されている。
【0028】
一実施形態によれば、カバーと前記ストッパとの間に戻しバネが配設されており、前記接触プレートに対する前記圧縮バネの力は、アクティブ位置にある前記制御ロッドに対する前記戻しバネの力より少なくとも20ニュートン大きい。このため、接触器の起動中のプレートの逆戻り(リバウンド)が制限される。
【0029】
本発明は、以下の説明を読み且つこれに添付された図面を精査することでより良く理解されるであろう。これらの図面は純粋に例示のみを目的とするものであり、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来技術による休止状態の電磁接触器の長手方向断面図。
図2図1の接触器が休止状態から起動状態へ移行する間の、接触器の種々のパラメータの継時変化を示す図。
図3】本発明による休止状態にある電磁接触器の長手方向断面図。
図4図3の接触器が有する制御ロッド及び関連する要素の斜視図。
図5a図3の接触器の有する制御ロッドの他の実施形態の斜視図。
図5b図3の接触器の有する制御ロッドの他の実施形態の前方からの図。
図6】空気の通流のための通気口を有する制御ロッドのみの斜視図。
図7a】2つの通気口を有する図6の制御ロッドの正面図。
図7b】3つの通気口を有する図6の制御ロッドの正面図。
図8図3の接触器が休止状態から起動状態へ移行する間の、接触器の種々のパラメータの継時変化を示す図。
図9】本発明による接触器の第1チャンバと第2チャンバとの間の空気の通流を可能にする開口の断面に応じた可動コアの速度変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明において、「後」及び「前」という相対的な用語は、図3の左から右への配向に対応しており、部品の後部は左側に配置されているとともに部品の前部は右側に配置されている。
【0032】
図3は、図1の接触器に代わって所定位置に配置された接触器1を示す。この接触器1は、例えば、内燃機関の始動器の電気モータの動作を制御するために使用される。接触器1は、固定コア2と、可動コア3と、金属ハウジング5と、を有している。固定コア2と可動コア3の双方は強磁性材料からなる。金属ハウジング5内には、絶縁環状支持体9に取り付けられた一組のコイル6a、6bが配設されている。
【0033】
可動コア3は、図3に示す、可動コア3が固定コア2から離間した位置にある休止位置と、可動コア3が固定コア2に接触する磁化位置との間で移動可能とされている。
【0034】
この目的のために、一組のコイル6a、6bは、プル・インコイル(pull-in coil)6a及び接触コイル(contact coil)6bを備えている。2つのコイル6a、6bは、可動コア3をその休止位置からその磁化位置へ移動するために給電されるが、その後の磁化位置におけるコア3の保持は、一組のコイルの消費を制限するためにコイル6bのみにより確保される。
【0035】
可動コア3の後端部は、連結ロッド11を介して枢動レバー10(部分的に図示)に連結されている。枢動レバー10は、可動コア3がその磁化位置へと移動すると、始動器のピニオン発射装置(図示せず)を駆動して、始動すべき熱機関の始動器リングへと移動させる。歯対歯(tooth−against−tooth)バネ12が、始動器リングにおいて発射装置(図示せず)のピニオンが非直接貫通状態(non-direct penetration)である場合に圧縮されている。連結ロッド11とバネ12は、電気的絶縁材料からなるキャビティの内部に取り付けられている。このキャビティは、ワッシャ14により構成される可動コア3の前端部により閉鎖される。
【0036】
また、可動コア3が磁化位置へ移動すると、制御ロッド13は休止位置と給電位置との間においてハウジング5に対して並進移動する。この目的のために、可動コア3の前端部は、内部にロッド13が摺動自在に取り付けられた固定コア2の中央ボア16内に制御ロッド13の後端部を貫通させることにより、制御ロッド13に作用する。
【0037】
この制御ロッド13は、ショルダ部131と、制御ロッド13と並進的に一体化されたストッパ132と、を有している。接触プレート17が制御ロッド13に取り付けられている。制御ロッド13の給電位置への移行により、接触プレート17は電気端子18、19に接触し、電気モータ(図示せず)が給電されてピニオンが回転する。
【0038】
したがって、導電材料から形成された接触プレート17は、制御ロッド13に対して、制御ロッド13が休止位置にある初期位置と、制御ロッドがアクティブ位置にある最終位置との間で可動となっている。初期位置においては、接触プレート17はストッパ132に接触して支持されており、最終位置においては、電気端子18、19との接触によってストッパ132と接触プレート17との間に空間が形成されている。
【0039】
2つの端子18、19は電気的絶縁材料から形成されたカバー25により固定され且つ支持されている。カバー25は、ハウジング5の前部に圧接(crimping)により固定されている。例えば上述の文書FR2994504号に記載されるように、一方の端子18はバッテリの正極に連結されるように設計されているのに対し、他方の端子19は始動器の電気モータに連結されるように設計されている。好適には、電気端子18、19は、接触プレート17に対する接触面を有している。これらの接触面には、低温時に端子に形成され得る氷を砕きやすくするように、ピン28が設けられている。
【0040】
制御ロッド13に取り付けられた圧縮バネ21は、接触プレート17が電気端子18、19に接触していないときに接触プレート17がストッパ132に支持された状態を維持するように、且つ接触プレート17が電気端子18、19に接触しているときには圧縮されるように、設計されている。この目的のために、予め応力を与えられた圧縮バネ21が、ショルダ部131と接触プレート17との間に設けられている。
【0041】
また、戻しバネ22は、コイル6a、6bが給電されなくなったときに制御ロッド13が休止位置へ戻ることを容易にするように設計されている。この目的のために、戻りバネ22は、カバー25とストッパ132との間に設けられている。これは、ロッド13の前部が部分的にバネ22の内部に配置された態様で、ロッド13及び接触プレート17を戻すためである。
【0042】
バネ21、22は、円筒形状の螺旋バネである。戻しバネ22は、圧縮バネ21の剛性よりも低い剛性を有している。好適には、接触器1の起動中にプレート17の逆戻り(リバウンド)を制限するように、最終位置にある接触プレート17に対する圧縮バネ21の力は、アクティブ位置にある制御ロッド13に対する戻しバネ22の力より少なくとも20ニュートン大きい。
【0043】
図3及び4に示す実施形態において、制御ロッド13のストッパ132は、ロッド13のプラスチック材料に係止された爪によって軸方向に固定されたワッシャ30により構成されている。変形例として、図5a、5b及び6に示すように、ストッパ132は、制御ロッド13と一体のカラー部(collar)31により構成されている。本実施形態において、追加閉鎖クリップ32が使用されている。追加閉鎖クリップ32の、径方向における幅は、圧縮バネ21の外径より大きいか又はこれに等しい。この閉鎖クリップ32は、制御ロッド13の一部を受容する径方向ノッチ33を有するとともに、ロッド13のショルダ部131に当接している。圧縮バネ21は、このようにして、閉鎖クリップ32と、カラー部31に当接する接触プレート17との間で圧縮配置されている。
【0044】
接触プレート17との短絡を回避するように、ロッド13やショルダ部131、そして妥当であればロッド13と一体のカラー部31は、電気的絶縁性プラスチック材料からなる。したがって、ロッド13は、例えば、選択的にファイバーにより補強された絶縁プラスチック材料から形成される。例えば、ロッドはPA6−6から構成されて成形により得られる。変形例として、ロッド13はセラミックから構成されて例えば焼結により得られる。
【0045】
制御ロッド13が休止位置にあるとき、ショルダ部131は、図3に示される接触領域36において固定コア2に接触している面を備えている。この接触領域36は、本例において円錐台形状を有しており、制御ロッド13がその休止位置に戻る際に制御ロッド13が受ける力を最適な態様で分散させることを可能にしている。ロッド13の構成は、制御ロッド13が休止位置にある場合に、およそ1ミリメートルの間隙が接触プレート17と固定コア2との間に存在するようなものとなっている。
【0046】
休止位置において、固定コア2と制御ロッド13は、第1チャンバ37と第2チャンバ38とを分離している。第1チャンバ37は、可動コア3と固定コア2との間に延在するとともに、絶縁環状支持体9の内縁により画成されている。カバー25と固定コア2との間に延在する第2チャンバ38は、端子18、19と接触プレート17のための接触チャンバに相当する。
【0047】
本発明によれば、可動コア3が休止位置から磁化位置へと移動するときに第1チャンバ37から第2チャンバ38への空気の移動を許容するように、第1チャンバ37と第2チャンバ38との間に開口が形成されている。
【0048】
つまり、図3、4、6、7a及び7bの実施形態において、少なくとも1つの通気口40が、ロッド13が休止位置にある場合に固定コア2に接触するショルダ部131の面に形成されている。より具体的には、図6及び7aの実施形態において、2つの直径方向に対向する通気口40がショルダ部131に形成されている。図7bの実施形態において、互いに一定の角度を以て離間している3つの通気口がショルダ部131に形成されている。
【0049】
図3に示すように、第1チャンバ37から得られた空気は、矢印F1に従ってロッド13に沿って、固定コア2のボア16を画成している壁と制御ロッド13との間を通過できる。これは、これら2つの要素間に構造的に存在する間隙があるためであり、こうして空気は通気口40を通過して第2チャンバ38に到達する。
【0050】
変形例として、通気口40は、制御ロッド13のショルダ部131に接触する固定コア2の一部において、接触領域36に形成され得る。
【0051】
図5a及び5bの実施形態において、制御ロッド13の一側から他側に軸方向に通過する開口41が形成されている。第1チャンバ37に位置する制御ロッド13の径方向面に吸気口42が形成されているとともに、第2チャンバ38に位置する制御ロッド13の径方向面に排気口43が形成されている。こうして、空気が吸入口42を経由して第1チャンバ37を出るとともに排気口43を経由して第2チャンバ38に至るようにして、空気がロッド13を通過可能となっている。
【0052】
或いは、図5bにおいて破線で示されるように、開口41は、第2チャンバ38に位置して制御ロッド13の周縁部に開口する排気口43’を有している。このため、開口41は、軸方向部分と、ダクト形状の径方向部分であってロッド13の外縁部と開口の軸方向部分との間に延在する径方向部分とを備えている。
【0053】
変形例として、図3に示すように、第1チャンバ37と第2チャンバ38を連通するように、固定コア2内に破線で示される貫通口44が形成される。
【0054】
上述のように、作動において、一組のコイル6a、6bへの給電により、給電位置への制御ロッド13の移動が実施され、これにより接触プレート17が電気端子18、19に接触する。このとき、圧縮バネ21と戻しバネ22との間に剛性差があるために、圧縮バネ21は、制御ロッド13に対して戻しバネ22が及ぼす力よりも少なくとも20ニュートン大きい力を接触プレート17に加える。戻しバネ22の力よりも大きい圧縮バネ21の力により、接触プレート17の最終位置において、すなわち電気端子18、19に接触したときの、接触プレート17とストッパ132との間に形成される間隙が制限される。こうして、制御ロッド13のアクティブ位置への移動中に接触プレート17が受けるリバウンドは減少し、接触ミスなく電気モータの給電がなされる(図8のクロス記号により示される始動器(I_始動器)を通過する強度カーブを参照)。
【0055】
また、空気が第1チャンバ37から第2チャンバ38に移動可能であるという事実により、プレート17の移動速度を上昇させることが可能となり、これは低温時に端子18、19に形成され得る氷を砕く場合に有利である。この場合、プレート17が最終位置に到達して端子18、19に接触したときの(ポイントO2参照)可動コア3の速度は、およそ0.9m/sである。図9に示すように、可動コア3ひいてはプレート17の移動速度を、開口の通過断面に応じて適合させることができる。好適には、開口40、41、44は、可動コア3の速度が0.9m/sから1.1m/sの間に含まれるように形成される。
【0056】
また、コイル6a、6bに給電されなくなると、可動コア3は固定コア2に引き付けられなくなるため、可動コア3は休止位置へと戻る。戻しバネ22により、接触プレート17は電気端子18、19からの接続を断たれ、これにより、制御ロッド13は休止位置へ戻ることが可能となる。次いで、ショルダ部131は、固定コア2との接触状態に戻る。
【0057】
また、圧縮バネ21は展開され、これにより接触プレート17はその最終位置からその初期位置へと移動する。初期位置において、接触プレート17は再びストッパ132に接触して支持される。
【0058】
或いは、固定コア2を、始動器のハウジング5に対して少なくとも部分的に可動である、流れ閉鎖用のコアに交換する。
【0059】
本発明は、内燃機関の従来の始動器の電気モータのためのあらゆるタイプの接触器1に適用される。したがって、接触器1を、文書FR2795884号のように、始動器の電気モータに埋設することができる。変形例として、文書FR2843427号のように、接触器1はオフセットされて、例えば始動器の電気モータの後部において横方向に埋設される。
【0060】
始動器リング内の発射装置のピニオンが非直接貫通状態の場合に圧縮される歯対歯バネは、図3に示すように接触器1内か、又は、文書EP0960276号の図1のように接触器1の外部において発射装置と作動レバーとの間のいずれかに埋設される。
【0061】
変形例として、文書FR2795884号のように、接触器1は、単独のコイルのみを備えている。
【0062】
変形例として、レバーを起動するための特殊電気モータが設けられ、これにより、レバーに対する連結手段がなくなるため可動コア3が単純化される。
【0063】
上述の説明は純粋に例示として示されたものであって、本発明の範囲を制限するものではなく、あらゆる他の等価物による実施の詳細は本発明の範囲を超えるものではないということに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9