(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599462
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】エンドレス・配置圧延転換連鋳及び圧延設備並びにエンドレス・配置圧延転換連鋳及び圧延方法
(51)【国際特許分類】
B21B 1/46 20060101AFI20191021BHJP
B21B 15/00 20060101ALI20191021BHJP
B21B 38/00 20060101ALI20191021BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20191021BHJP
B21C 47/00 20060101ALI20191021BHJP
B21B 45/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
B21B1/46 B
B21B15/00 C
B21B38/00 C
B21C51/00 E
B21C47/00 G
B21B45/00 N
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-533755(P2017-533755)
(86)(22)【出願日】2015年4月29日
(65)【公表番号】特表2018-500178(P2018-500178A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】KR2015004349
(87)【国際公開番号】WO2016104882
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年8月16日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0189084
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヨン−ギ
(72)【発明者】
【氏名】シム、 ヨン−ソプ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、 ヨン−ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ギョン−ミ
(72)【発明者】
【氏名】コ、 ヨン−ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 ソク−チョル
(72)【発明者】
【氏名】チョン、 ジェ−スク
【審査官】
酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−525253(JP,A)
【文献】
特開平10−175001(JP,A)
【文献】
特開昭60−180601(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/046347(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/46,15/00,
B22D 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連鋳部、少なくとも2以上の圧延部、及び前記圧延部の間に配置されたコイルボックスを含むエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延方法であって、
鋳片を生産する連鋳段階と、
第1圧延部により前記鋳片の厚さを減少させる1次圧延段階と、
鋳造初期に鋳片の先端部から一定距離を切断する切断段階と、
連続的に供給される鋳片が前記コイルボックスを通過する通過段階と、
第2圧延部により前記コイルボックスを通過した鋳片の厚さを減少させる2次圧延段階と、
を含み、
前記1次圧延段階以降に、前記第1圧延部を通過した鋳片の温度を測定する鋳片温度測定段階が行われ、
前記切断段階は、第1圧延部を通過した鋳片の温度から前記鋳片が第2圧延部を通過した時の温度を予測し、測定された鋳片の温度から予測された前記第2圧延部通過温度が熱間圧延可能温度以上である時に中断されるエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延方法。
【請求項2】
前記切断段階が中断された後、前記1次圧延段階は、前記鋳片の厚さ減少量を増大させ、前記2次圧延段階は、前記鋳片の厚さ減少量を減少させることを特徴とする請求項1に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延方法。
【請求項3】
前記切断段階と通過段階との間で鋳片の温度を上昇させる加熱段階がさらに行われることを特徴とする請求項2に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延方法。
【請求項4】
前記切断段階が中断された後、前記加熱段階は、昇温温度を20〜50℃減らすことを特徴とする請求項3に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延方法。
【請求項5】
前記1次圧延段階は、次第に圧下量を増大させることを特徴とする請求項2に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延方法。
【請求項6】
連鋳部と、
前記連鋳部から生産された鋳片の進行方向に沿って配置され、前記鋳片を圧延する第1及び第2圧延部と、
前記第1及び第2圧延部の間に配置され、第1圧延部を通過した鋳片がバッチ圧延時にはコイリング及びアンコイリングされ、エンドレス時にはそのまま通過するように構成されたコイルボックスと、
前記第1圧延部と前記コイルボックスとの間に配置された切断機と、
前記第1圧延部の後方に配置された鋳片温度測定センサと、
前記第1、第2圧延部、コイルボックス、切断機及び温度測定センサと連結された制御部とを含むエンドレス・バッチ圧延転換設備であって、
前記制御部は、初期鋳造時に前記切断機が前記温度測定センサ測定値に基づいて前記鋳片が第2圧延部を通過した時の温度を予測し、測定値に基づいて予測された前記第2圧延部通過温度が熱間圧延可能温度以上になるまで初期鋳造部を切断するようにし、前記コイルボックスは、連鋳部と連結された鋳片を通過させるように制御するエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延設備。
【請求項7】
前記切断機と前記コイルボックスとの間に配置され、通過する鋳片を昇温させる加熱部をさらに含み、
前記制御部は、初期鋳造部の切断が完了した後、前記鋳片の昇温温度を減らすように制御することを特徴とする請求項6に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延設備。
【請求項8】
前記制御部は、初期鋳造部の切断が完了した後、前記第1圧延部の圧下量を増大させ、前記第2圧延部の圧下量を減少させて、最終厚さを維持させることを特徴とする請求項7に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延設備。
【請求項9】
前記コイルボックスは、複数のマンドレルを含むカルーセル(carousel)タイプで構成され、
前記コイルボックスが鋳片を通過させる時、前記コイルボックスのマンドレルは、通過する鋳片の上側に位置することを特徴とする請求項6に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延設備。
【請求項10】
前記加熱部は、一側面が開放されたインダクティブヒーターを含み、前記インダクティブヒーターは、鋳片の側方向に進入及び後退可能に構成されることを特徴とする請求項7に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延設備。
【請求項11】
前記加熱部と前記切断機との間に配置され、切断された鋳片を鋳片の経路上から除去するプッシャー及びパイラーをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のエンドレス・バッチ圧延転換設備の連鋳及び圧延設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造転換時あるいは初期鋳造時に無駄になる量を減らして実収率を増大させることが可能なエンドレス圧延と
バッチ圧延との転換が可能な連続鋳造及び圧延設備並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の連鋳及び圧延設備は、特許文献1に示す構造、つまり、鋳造機と圧延ラインとの間に保温炉を具備する方式と、特許文献2に示すように、1次圧延ラインと2次圧延ラインとの間にコイラーあるいはコイルボックスを具備する方式が知られている。
【0003】
特に、特許文献1には、鋼種によってあるいは作業状況によって、連続鋳造後にエンドレス圧延を行うか、圧延可能な温度が確保されない場合は、連続鋳造後に鋳片を切断して
バッチ圧延を行う方法及び設備が提案されている。
【0004】
連続鋳造速度が圧延可能速度より遅くて鋳造から圧延まで鋳片が連結して行われる連続鋳造とエンドレス圧延の場合には、圧延と連続鋳造が別に行われる
バッチ圧延より、圧延が遅く行われざるを得ない。また、圧延の場合に、所定の温度条件を満せない場合は圧延が困難であるため、連続鋳造とエンドレス圧延の場合、最終圧延スタンドにおける鋳片温度を合わせることが重要である。
【0005】
このような理由により、エンドレス・
バッチ圧延が可能な設備であったとしても、鋳造の初期には、鋳片の温度が低ければエンドレス圧延を行うのが困難であり、
バッチ圧延から開始しなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−508691号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0841995号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、エンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備において、鋳造転換時あるいは初期に不可避にスクラップ処理される部分を減らして、工程の実収率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような課題を達成するために、一実施形態として、連鋳部、少なくとも2以上の圧延部、及び上記圧延部の間に配置されたコイルボックスを含むエンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備の運営方法であって、鋳片を生産する連鋳段階と、上記鋳片の厚さを減少させる1次圧延段階と、鋳造初期に鋳片の先端部から一定距離を切断する切断段階と、連続的に供給される鋳片が上記コイルボックスを通過する通過段階と、通過した鋳片の厚さを減少させる2次圧延段階とを含むエンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延方法を提供する。
【0009】
この時、上記1次圧延段階は、定常圧下量より小さい圧下量で上記鋳片の厚さを減少させることができる。
【0010】
また、上記切断段階と通過段階との間で通過する鋳片の温度を上昇させる加熱段階がさらに行われることができる。
【0011】
本発明の一実施形態では、上記加熱段階は、上記鋳片を定常昇温温度より高く昇温させることができる。
【0012】
本発明の一実施形態では、上記加熱段階は、上記定常昇温温度より20〜30℃高い温度に昇温させることができる。
【0013】
また、上記第1圧延段階以降に、鋳片の温度を測定する鋳片温度測定段階が行われ、上記切断段階は、上記鋳片の温度に基づいて鋳片を切断することもできる。
【0014】
また、上記鋳片温度測定段階は、上記第1圧延部を通過した鋳片の温度を測定することができる。
【0015】
本発明の一実施形態では、上記切断段階は、上記鋳片が第2圧延部を通過する温度を予測し、上記第2圧延部通過温度が圧延可能温度以上になるまで鋳片を切断することができる。
【0016】
本発明の一実施形態では、上記第2圧延段階は、定常圧下量より大きい圧下量で圧延することができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記第1圧延段階及び第2圧延段階は、一定時間が経過した後、定常圧下量に復帰することができ、第1圧延段階は、次第に圧下量を増大させることができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、連鋳部と、上記連鋳部から生産された鋳片の進行方向に沿って配置され、上記鋳片を圧延する第1及び第2圧延部と、上記第1及び第2圧延部の間に配置され、第1圧延部を通過した鋳片が
バッチ圧延時にはコイリング及びアンコイリングされ、エンドレス時にはそのまま通過するように構成されたコイルボックスと、上記第1圧延部と上記コイルボックスとの間に配置された切断機と、上記第1圧延部の後方に配置された鋳片温度測定センサと、上記第1、第2圧延部、コイルボックス、切断機及び温度測定センサと連結された制御部とを含むエンドレス・
バッチ転換設備であって、上記制御部は、初期鋳造時に上記切断機が上記温度測定センサ測定値に基づいて初期鋳造部を切断するようにし、上記コイルボックスは、連鋳部と連結された鋳片を通過させるように制御する。
【0019】
この時、上記切断機と上記コイルボックスの間に配置され、通過する鋳片を昇温させる加熱部をさらに含むことができ、上記制御部は、上記加熱部が上記鋳片を定常昇温温度より高く昇温させるように制御することができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記制御部は、上記第1圧延部の圧下量は定常圧下量より減少させ、上記第2圧延部の圧下量は定常圧下量より増大させて、最終厚さを維持させることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記コイルボックスは、カルーセル(carousel)タイプで構成され、上記コイルボックスが鋳片を通過させる時、上記コイルボックスのマンドレルは、通過する鋳片の上側に位置することができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、上記加熱部は、一側面が開放されたインダクティブヒーターを含み、上記インダクティブヒーターは、鋳片の側方向に進入及び後退可能に構成されることができる。
【0023】
また、本発明の一実施形態において、上記加熱部と上記切断機との間に配置され、切断された鋳片を鋳片の経路上から除去するプッシャー及びパイラーをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、エンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備において、鋳造転換時あるいは初期に不可避にスクラップ処理される部分を減らして、工程の実収率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態において、
バッチ圧延が行われる時の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態において、エンドレス圧延が行われる時の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、添付の図面を参考として、本発明について具体的に説明する。
【0027】
図1及び
図2には、本発明の一実施形態が示されている。
図1には、本発明の実施形態であるエンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備が
バッチ圧延を行う様子が、
図2には、エンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備がエンドレス圧延を行う様子が示されている。
【0028】
図1に示すように、本発明の一実施形態であるエンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備は、連鋳部10と、上記連鋳部から生産された鋳片の進行方向に沿って配置され、上記鋳片を圧延する第1圧延部20と、上記第1圧延部20を通過した鋳片の温度を測定する温度測定センサ110、111、112、113、114と、第1圧延部20を通過した鋳片を切断可能な切断機30、40と、切断されていない鋳片を加熱する加熱部50と、第1圧延部20及び加熱部50を通過した鋳片が
バッチ圧延時はコイリング及びアンコイリングされ、エンドレス時は通過するように構成されたコイルボックス60と、コイルボックスと並んで配置される第2圧延部70、圧延が完了し、スクラップとなった鋳片を冷却するランアウトテーブル80と、一つのコイルに当たる量だけ切断する切断機90と、コイラー100と、上記第1圧延部20、第2圧延部70、コイルボックス60、切断機30、40、90及び温度測定センサ110、111、112、113、114と連結された制御部120とを含む。
【0029】
本発明において、連鋳部10は、連続鋳造ができる構成であれば、如何なる構成でも適用可能である。この実施形態において、連鋳部10は、モールド下方に複数のセグメント(図示せず)が配置されて鋳片を冷却させる。
【0030】
第1圧延部20は、連鋳部10と並んで配置され、連鋳部を通過した鋳片を圧下して目標の厚さに圧延する。
図1及び
図2の実施形態では、3つのスタンドを有する圧延部で示したが、必要に応じて、スタンドの数を増やしたり減らしたりしてもよい。第1圧延部20は、制御部120に連結され、制御部120の信号によって圧下量を調整することができる。
【0031】
温度測定センサ110は、第1圧延部20の後端に配置され、第1圧延が完了した鋳片の温度を測定する。温度測定センサ110は、接触式或いは非接触式のいずれで構成されてもよく、第1圧延部20の後端だけでなく、加熱部50の前後端、第2圧延部70の前後端、及び連鋳機10の後端などの多数の地点に設置されて、通過する鋳片の温度を感知することができる。
【0032】
切断機30、40、90は、本発明の実施形態において、3つが具備され、第1圧延部20の後端に2つが配置され、コイラー100の前端にも配置される。第1圧延部20の後端に配置された切断機30の場合、鋳片の厚さによって複数個が配置されるが、一つの切断機のみを使用することももちろん可能である。
【0033】
加熱部50は、本実施形態では、一側面が開放されたインダクティブヒーターで構成される。即ち、一側面が開放され、前面からみた時に全体的に逆「コ」の形状を有する加熱部で構成される。該インダクティブヒーターは、鋳片の側方向に進入及び後退可能に移動手段と連結されることができ、加熱が不要な場合は、鋳片の進行経路上から抜け出していてもよい。
【0034】
また、加熱部50の前後端には、温度測定センサ111、112が配置されることができ、それにより、制御部120は、加熱部50を制御して所望の温度に昇温させることができる。
【0035】
一方、
図1及び
図2に示してはいないが、切断機30、40と加熱部50との間の空間には、プッシャー及びパイラー(図示せず)が配置されることができる。プッシャー及びパイラーは、上記切断機30、40によって切断された鋳片を押し出すことで鋳片の経路上から除去するものであり、プッシャー及びパイラーではなく他の切断鋳片の除去装置が適用可能なこともいうまでもない。
【0036】
本実施形態において、コイルボックス60は、2つのマンドレル61、62を含み、円形軌道に沿って回転しながらコイリング・アンコイリングが交互に行われる構造のカルーセル(carousel)タイプで構成されることができる。また、
図2のように、エンドレス圧延が行われる場合は、鋳片の進行経路を塞がないように、複数のマンドレルが全て通過する鋳片の上側に位置するようにコイルボックス60が上昇する構造を有することができるが、これに制限されず、他の構造、例えば、マンドレル61、62の間を通過する構造を有することもできる。
【0037】
第2圧延部70は、コイルボックス60と並んで配置され、この実施形態では、5つの圧延スタンドを有すると示されているが、これに制限されず、複数の圧延スタンドを含むことができる。また、圧延スタンドは、並んで配置されてもよいが、離隔してもよい。
【0038】
第2圧延部70は、複数の圧延スタンドによって、第1圧延部20を通過しながら厚さが減少した鋳片を圧延して、最終目標の厚さまで圧下する。この時、第2圧延部70で圧延可能な温度が維持されるかは、制御部120が第2圧延部70の前後方に配置された温度測定センサ113、114によって管理することができる。
【0039】
ランアウトテーブル80は、ローラー上側に鋳片を一定区間通過させながら、上部に配置された冷却水供給装置によってスクラップとなった鋳片を冷却させる構成であり、エンドレス圧延の場合には、コイラー100に巻かれる前に、一つのコイルの分量となるように切断機90がランアウトテーブル80を通過した鋳片を切断する。
【0040】
制御部120は、各装置と連結されており、各装置の情報に基づいて他の装置を調節することができる。特に、本発明では、少なくとも第1圧延部20、切断機30、40、加熱部50、コイルボックス60、第2圧延部70及び温度測定センサ110と連結され、温度測定センサ110の温度値に基づいて、第1圧延部20、切断機30、40、加熱部50、コイルボックス60、第2圧延部70を制御する。
【0041】
このような構造の場合に、鋳造初期にエンドレス圧延で開始すると、鋳造初期の鋳片温度が確保されない部分が第2圧延部70の最後のスタンドを通過する前に圧延可能な温度を確保することが不可能である。また、
バッチ圧延を行う場合に、この実施形態の構造でエンドレス圧延に転換する時に、コイルボックス60でマンドレル61、62が移動されなければならないため、前に巻かれたコイルを巻き出す時間が必要である。それにより、コイルを巻き出す間に連続鋳造される鋳片は、切断機30、40によって切断してスクラップ処理しなければならない。このようにコイルを巻き出す間に鋳造される鋳片をスクラップ処理する場合に、10トン以上の鋳片がスクラップ処理されるため、実収率に大きな影響を与える。
【0042】
従って、本発明のエンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備は、制御部120によって、鋳造初期にコイルボックスをそのまま通過させるエンドレス圧延から開始し、鋳片の先端部を一定の距離だけ切断する。この時、切断距離は、第2圧延部70の最後のスタンドを通過する前の鋳片の温度が圧延可能な温度となるように、制御部120によって調節されることができる。
【0043】
また、切断距離を減らすために、本発明の実施形態では、加熱部50が定常状態である時に鋳片を昇温させる温度より高く加熱することで、初期に低い温度を補償する。ここで、定常状態とは、鋳造が安定した時を意味する。
【0044】
即ち、鋳造初期に鋳片の温度が相対的に低い時は、鋳造中間で加熱する加熱量より多くの熱量を供給する。この時、加熱量、鋳片を昇温させる温度は、定常状態より20〜50℃高い温度に加熱して、第2圧延部70における温度を初期に確保することができる。昇温温度の差異が20℃より小さい場合は、追加加熱による効果が少なく、昇温温度の差異が50℃を超える場合は、鋳片の品質に影響を与える恐れがあり、加熱部50周辺の設備も劣化し、寿命の短縮に影響を与える恐れもある。
【0045】
また、制御部120は、鋳造初期に第1圧延部20の圧下量は定常状態の圧下量より減少させ、第2圧延部70の圧下量は定常状態の圧下量より増大させて運営することで、第2圧延部70で鋳片の塑性発熱を増加させて、第2圧延部70における温度を確保することができる。
【0046】
特に、加熱部50の場合に、鋳片の厚さが厚いほど加熱効率が増大するため、第1圧延部20の圧下量を定常状態の圧下量より減少させることにより、加熱部50の効率を増大させて、鋳片に提供する加熱量を増加させることができる。
【0047】
圧延部20、70の場合、定常状態では、中間の設備トラブル等の問題がある場合に備えて、圧下能力の最大値まで使用せず、ある程度の余裕を持って運用する。しかし、鋳造初期に、制御部120は、第2圧延部70の余裕圧下量を活用して、第1圧延部20の圧下量は減らし、第2圧延部70でさらに多くの圧下が行われるようにして第2圧延部70の塑性発熱を活用し、初期の鋳片の低い温度をカバーする。
【0048】
一方、初期の鋳片が通過した後、鋳片の温度が確保されれば、制御部120は、第1圧延部20の圧下量は定常状態の圧下量に上昇させ、第2圧延部70の圧下量は定常状態の圧下量に下降させて、全圧延部20、70が余裕圧下量を持つことができるように制御する。この時、第1圧延部20及び第2圧延部70の圧下量の変化は、次第に変化させることができる。
【0049】
但し、上記のような圧下量の制御、加熱部50の制御を経ても、鋳造初期の一部区間は、第2圧延部70で圧延可能温度を確保できないことがある。従って、制御部120は、第1圧延部20の出側に配置された温度測定センサ110によって第1圧延部20を通過した鋳片の温度を測定し、測定された温度、加熱部50で提供可能な熱量と、加熱部50、コイルボックス60、第2圧延部70を通過する間に鋳片から奪われる熱量を考慮して第2圧延部70を通過した時の鋳片の温度を予測し、この温度が圧延可能温度より低い場合は、鋳片の当該区間は切断機30、40で切断する。
【0050】
一方、制御部120は、第1圧延部20を初期鋳片の先端が通過した後から圧下量を加えて、鋳片が第1圧延部20に初期に取り込まれる時に発生し得る衝突を予防するように制御することもできる。
【0051】
上記のようなエンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備の運営方法について説明する。
【0052】
鋳造初期に、エンドレス圧延から開始できるように、
図2のように、コイルボックス60は、マンドレル61、62を鋳片の進行経路の上側に移動させておいた状態で鋳造を開始する。
【0053】
連鋳機で鋳片を連続鋳造する連鋳段階を経た後、鋳造初期に第1圧延部20の取込問題が生じないように、第1圧延部20は、鋳片先端が通過した後に圧下を開始する第1圧延段階が行われる。この時、第1圧延部20を通過した鋳片の温度を温度測定センサ110によって測定する温度測定段階が行われ、該当温度に基づいて鋳片が第2圧延部70を通過する際の温度を予測し、該温度値が圧延可能温度未満である場合、切断機30、40によって切断する切断段階が行われる。切断段階は、温度測定段階なしに経験から得られた距離を一律に切断することも可能であるが、温度測定段階の温度値に基づくと、切断距離を短縮させることができ、実収率の向上をもたらすことができる。
【0054】
切断された鋳片は、鋳片の経路上から除去され、切断されずに連鋳部10と連結された鋳片は、加熱部50によって昇温される加熱段階が行われる。昇温効率を高めてさらに多くの熱量を提供し、後端で塑性発熱による温度上昇を誘導することができるように、上記第1圧延部20では、第1圧延段階で、定常状態の圧下量より小さい圧下量で圧下し、第1圧延部20で不足した圧下は、後述の第2圧延段階で、第2圧延部70で定常状態よりさらに大きい圧下を行うことにより補償する。
【0055】
加熱段階以降に、コイルボックス60を鋳片がそのまま通過する通過段階が行われ、その後、第2圧延部70によって第2圧延段階が行われる。第2圧延段階は、前述したように、定常状態の圧下量より大きい圧下量で鋳片を圧下し、第1圧延段階で圧下されなかった部分を補償する。
【0056】
本実施形態の方法によると、鋳造初期にエンドレス圧延が実行可能にコイルボックスを制御し、エンドレス圧延が行われない部分は切断することにより、エンドレス・配置を転換する時あるいは鋳造初期に発生するスクラップ量を減らすことができ、実収率の向上が可能である。
【0057】
また、エンドレス圧延が行われない部分を減らすように、加熱量の増大及び塑性発熱を活用することで、
バッチ圧延からエンドレス圧延への転換時に発生するスクラップに対して約20〜30%のスクラップのみが鋳造初期に発生しながら、
バッチ・エンドレス圧延転換が可能であり、実収率の向上に非常に役立てられる。
【実施例】
【0058】
下記の表1は、定常状態のエンドレス・
バッチ圧延転換連鋳及び圧延設備条件で初期圧延を行った時と、本発明の方法で行った時とを対比した対比表である。
【0059】
定常状態より第1圧延部の圧下量を減少させ、代わりに第2圧延部の圧下量を増大させて、全圧下量は同一にし、加熱部の昇温量は、定常状態より45℃だけさらに昇温させた。その結果、初期第2圧延部の出側温度に20℃程度の差異が生じ、それにより、無駄になるスクラップ量を飛躍的に減少させて、実収率を向上させることができた。
【0060】
【表1】
【符号の説明】
【0061】
10 連鋳部
20 第1圧延部
30、40 切断機
50 加熱部
60 コイルボックス
70 第2圧延部
80 ランアウトテーブル
90 切断機
100 コイラー
110〜114 温度測定センサ
120 制御部