特許第6599510号(P6599510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599510
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】アレルギー性鼻炎診断器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/233 20060101AFI20191021BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   A61B1/233
   A61B10/00 J
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-96700(P2018-96700)
(22)【出願日】2018年5月21日
(65)【公開番号】特開2018-196728(P2018-196728A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2018年12月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-101622(P2017-101622)
(32)【優先日】2017年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517180752
【氏名又は名称】渡邊 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100168930
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 勤
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 毅
【審査官】 ▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−23475(JP,A)
【文献】 米国特許第4576168(US,A)
【文献】 特開2007−44069(JP,A)
【文献】 特開2005−66284(JP,A)
【文献】 特開2012−5710(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3182337(JP,U)
【文献】 特表平3−503011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプーンと、ペンライトと、前記スプーンと前記ペンライトとを固定する固定具とを備えたアレルギー性鼻炎診断器具であって、
前記固定具は、前記スプーンの柄部の表面側の面と前記ペンライトの側面とが互いに向かい合う態様で、前記スプーンの柄部を把持固定する第1の固定部と、前記ペンライトの軸部分を把持固定する第2の固定部とを有することを特徴とするアレルギー性鼻炎診断器具。
【請求項2】
前記固定具は、前記スプーンの柄部の先端が前記ペンライトの発光部よりも軸方向において外側に突き出た態様で前記スプーンの柄部を固定することを特徴とする請求項1に記載のアレルギー性鼻炎診断器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギー性鼻炎診断器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鼻の疾患の一つとしてアレルギー性鼻炎が知られている。アレルギー性鼻炎とは、空気中を浮遊するスギ等の花粉やハウスダストなどの原因物質アレルゲンが、鼻の粘膜から体内に入ることによって引き起こされる鼻水、鼻づまり、くしゃみ等のアレルギー反応である。
【0003】
このようなアレルギー性鼻炎の主な診断方法では、例えば特異的IgE抗体検査、好酸球検査、パッチテストが用いられる(例えば、特許文献1参照)。なお、特異的IgE抗体検査とは、血液検査によって特異的IgE抗体、すなわちアレルゲンによる感作が生じるとアレルゲンに結合して産生される抗体の量を測定する検査である。好酸球検査とは、診断される人の鼻水に、アレルギー性鼻炎の人に多く見られる好酸球の有無を調べる検査である。パッチテストは、色んな種類の抗原のエキスを鼻の粘膜に付け、どの抗原で症状が出るかを調べる検査である。
【0004】
例えば特許文献1には、アレルゲン特異的IgE抗体と、多種類の特異的IgE抗体量の総和である総IgE抗体とを、被検試料を分割することなく、同一被検試料から同日に測定するイムノクロマトグラフ法に係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−340897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のアレルギー性鼻炎の各診断方法のいずれの方法も、診断用の特別な機器や消耗品等を用いるものであり、その分だけ、診断を行うための費用や時間を要するものとなっていた。以上のことから、従来よりも安価で且つ迅速にアレルギー性鼻炎を診断できることが好ましかった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、安価に且つ迅速にアレルギー性鼻炎を診断することが可能なアレルギー性鼻炎診断器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係るアレルギー性鼻炎診断器具は、スプーンと、ペンライトと、前記スプーンと前記ペンライトとを固定する固定具とを備えたアレルギー性鼻炎診断器具であって、前記固定具は、前記スプーンの柄部の表面側の面と前記ペンライトの側面とが互いに向かい合う態様で、前記スプーンの柄部を把持固定する第1の固定部と、前記ペンライトの軸部分を把持固定する第2の固定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安価に且つ迅速にアレルギー性鼻炎を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断器具の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断器具の他の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断方法を示すフローチャートである。
図4図2のステップS1を補足説明するための図である。
図5図2のステップS3を補足説明するための図である。
図6図2のステップS4を補足説明するための図である。
図7A】正常な鼻内状態を示す写真図である。
図7B】アレルギー性鼻炎の場合の鼻内状態を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
[アレルギー性鼻炎診断器具]
図1は、本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断器具の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断器具1は、スプーン2、ペンライト3により構成される。
【0014】
スプーン2は、一端側に一定の深さを有する掬い部21が、他端側に操作者が把持するための柄部22が設けられた一般的なスプーンである。なお、特に柄部22の付け根部分、すなわち掬い部21との境界付近を、付け根部22aという。
【0015】
ペンライト3は、一端に発光部31が設けられ、他端に発光部31による発光のオンオフを切り替える操作スイッチ32が設けられた一般的なペン型の懐中電灯である。
【0016】
以上に示すように、本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断器具1は、一般的に使用されるスプーン2及びペンライト3により構成される。詳細には後述するが、本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断方法によれば、既製品であるスプーン2及びペンライト3を用いて診断できるため、安価にアレルギー性鼻炎を診断することができる。
【0017】
図2は、本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断器具の他の一例を示す図である。
【0018】
図2に示す他の一例に係るアレルギー性診断器具4は、スプーン5、ペンライト6、固定具7により構成される。
【0019】
スプーン5は、前述のスプーン2と同様、一端側に一定の深さを有する掬い部51が、他端側に操作者が把持するための柄部52が設けられた一般的なスプーンである。なお、特に柄部52の付け根部分、すなわち掬い部51との境界付近を、付け根部分52aという。
【0020】
ペンライト6は、前述のペンライト3と同様、一端に発光部61が設けられ、他端に発光部61による発光のオンオフを切り替える操作スイッチ62が設けられた一般的なペン型の懐中電灯である。
【0021】
固定具7は、スプーン5とペンライト6とを固定するための例えばクリップ型の固定具である。この固定具7は、スプーン5の柄部52の付け根部分52aを把持固定する第1の固定部7aと、ペンライト6の長軸部分を把持固定する第2の固定部7bとを有し、スプーン5とペンライト6とを同時に固定する。
【0022】
具体的には、第1の固定部7aは、スプーン5の表面側の面とペンライト6の側面とが互いに向かい合う態様で、スプーン5の柄部52の付け根部分52aを把持固定する。第1の固定部7aは、スプーン5の柄部52を把持固定すべく例えば一対のコノ字型形状をしている。第2の固定部7bは、ペンライト6の軸部分を把持固定する一般的なクリップの把持機構である。なお、固定具7は、図2に示すように、スプーン5の柄部52の先端がペンライトの発光部61よりも軸方向において外側に突き出た態様でスプーン5の柄部52を固定する。
【0023】
以上に示すように、他の例に係るアレルギー性鼻炎診断器具4は、一般的に使用されるスプーン5とペンライト6と固定具7とにより構成される。図1のアレルギー性鼻炎診断器具1と同様、既製品であるスプーン5及びペンライト6を用いて診断できるため、安価にアレルギー性鼻炎を診断することができる。なお、スプーン5、ペンライト6及び固定具7の果たす機能を、一の器具により実現しても良い。
【0024】
[アレルギー性鼻炎診断方法]
図3は、本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断方法を示すフローチャートである。ここでは、診断者(特に、医療従事者)が、図1に示すアレルギー性鼻炎診断器具1を用いてアレルギー性鼻炎を診断する各工程について説明する。
【0025】
まずステップS1において、診断者(特に、医療従事者)は、スプーン2を逆向きに把持する(S1)。ステップS1において具体的には、図4に示すように、柄部22の付け根部22aを、通常のスプーン2の把持態様とは逆向きの把持態様で、親指と人差し指とにより把持する。
【0026】
図4は、図3のステップS1を補足説明するための図である。図4に示すように、スプーン2の付け根部22aは、親指と人差し指とによって、通常のスプーンの把持態様とは逆向きの把持態様で把持される。
【0027】
図3に戻ってステップS2に進み、診断者は、ステップS1で把持したスプーン2の柄部22の先端を、被診断者の鼻内に挿し込む(S2)。
【0028】
続いてステップS3に進み、診断者は、被診断者の鼻内に挿し込まれたスプーン2を用いて、鼻翼を斜め上方向に持ち上げる(S3)。ステップS3において具体的には、図5に示すように、柄部22の付け根部22aから先端に向かって中指、薬指及び小指を添えた上で、柄部22の先端面を鼻内面に押し当て、そのまま鼻翼を斜め上方向に持ち上げる。なお、鼻翼とは、鼻のあたまの左右両端にふくれている部分であり、小鼻ともいう。
【0029】
図5は、図3のステップS3を補足説明するための図である。ステップS3では、図5に示すように、鼻翼が斜め上方向に持ち上げられた状態になる。なお、この際、上唇が併せて持ち上がる程度に鼻翼を持ち上げることが好ましい。
【0030】
図3に戻ってステップS4に進み、診断者は、ペンライト3を使用してアレルギー性鼻炎を診断する(S4)。
【0031】
図6は、図3のステップS4を補足説明するための図である。
【0032】
ステップS4において具体的には、図6に示すように、スプーン2を把持している手と他方の手でペンライト3を把持し、ペンライト3の発光部31によって診断対象の鼻内を点灯させた上で、下方から鼻内を覗き込む。その後、診断者は、アレルギー性鼻炎であるか否かの診断を、後述する図7A及び図7Bに示す各特徴に基づいて行う。
【0033】
[アレルギー性鼻炎の有無について]
図7Aは、正常な鼻内状態を示す写真図である。図7Bは、アレルギー性鼻炎の場合の鼻内状態を示す写真図である。なお、図7A及び図7Bでは、いずれも右鼻内の写真を示している。
【0034】
図7Aに示すように、正常な鼻内状態は以下の三つの特徴を有する。すなわち、第一の特徴は、鼻粘膜(下鼻甲介)の色が赤色であることであり、第二の特徴は、鼻粘膜と鼻中隔との間に隙間があることであり、第三の特徴は、異常な鼻汁が視覚的に把握できないことである。
【0035】
一方、図7Bに示すように、アレルギー性鼻炎の鼻内状態は以下の三つの特徴を有する。すなわち、第一の特徴は、鼻粘膜(下鼻甲介)の色が青白色であることであり(図中の細い矢印部分)、第二の特徴は、鼻粘膜が腫脹して鼻粘膜と鼻中隔との間に隙間がない鼻閉状態であり(図中の太い矢印部分)、第三の特徴は、水っぽい鼻水が視覚的に把握できることである(図中の記号*の部分)。
【0036】
すなわち、図3のステップS4において診断者は、図7Bに示すアレルギー性鼻炎のすべての特徴を見出した場合に、アレルギー性鼻炎であると診断することができる。
【0037】
以上説明してきたように、本実施形態に係るアレルギー性鼻炎診断方法によれば、既製品であるスプーン2及びペンライト3を用いた診断によって、安価に且つ迅速にアレルギー性鼻炎を診断することができる。なお、図2に示すアレルギー性鼻炎診断器具4を用いた診断方法も同様であり、当該アレルギー性鼻炎診断器具4によれば、既製品であるスプーン5及びペンライト6を用いた診断によって、安価に且つ迅速にアレルギー性鼻炎を診断することができる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0039】
例えば上記説明においては、診断対象の症状がアレルギー性鼻炎の場合を例示して説明を行ってきたが、この場合に限定されるものではない。診断対象の症状は、例えばウイルス性上気道炎、すなわち風邪であっても良い。
【符号の説明】
【0040】
1、4 アレルギー性鼻炎診断器具
2、5 スプーン
3、6 ペンライト
7 固定具
22、42 柄部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B