特許第6599512号(P6599512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599512安全キャップ組立体及びそれを備えた圧力調理器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599512
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】安全キャップ組立体及びそれを備えた圧力調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/09 20060101AFI20191021BHJP
   A47J 27/08 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   A47J27/09
   A47J27/08 G
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-97078(P2018-97078)
(22)【出願日】2018年5月21日
(65)【公開番号】特開2018-192265(P2018-192265A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2018年5月21日
(31)【優先権主張番号】62/508,902
(32)【優先日】2017年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/982,533
(32)【優先日】2018年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504043071
【氏名又は名称】トム ヒロシ ハセガワ
【氏名又は名称原語表記】Tom Hiroshi Hasegawa
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】トム・ヒロシ・ハセガワ
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0199633(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02397052(EP,A1)
【文献】 特開昭63−023628(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0116614(KR,A)
【文献】 実開昭59−176414(JP,U)
【文献】 実開昭59−031322(JP,U)
【文献】 実開昭62−054617(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00−27/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力調理器用の安全キャップ組立体であって、
軸方向に延在する圧力開放流路が中に形成されており、外方に延在するフランジ部が下端に形成されている圧力開放管と、
実質的に、上端から下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状であり、前記圧力開放管の下部に取り付けられるように構成されたキャップ固定ナットと、
メッシュケーシングと支持ブリッジとから成り、前記圧力開放管の前記下部に取り付けられるように構成された安全キャップユニットと、前記支持ブリッジの中央部は、実質的に前記メッシュケーシングの外側にあり、前記キャップ固定ナット及び前記外方に延在するフランジ部によって保持されている、
を備える安全キャップ組立体。
【請求項2】
前記キャップ固定ナットは、前記圧力開放管の前記下部に螺着される、請求項1に記載の安全キャップ組立体。
【請求項3】
前記支持ブリッジは、支持円板と、中央部が前記支持円板に、両端が前記メッシュケーシングに取り付けられている一対の支持ロッドとから成り、前記支持ロッドは、それの中央部が上方に屈曲されている、請求項1に記載の安全キャップ組立体。
【請求項4】
前記フランジ部には、一対の平行な嵌合溝が形成されており、
前記支持ブリッジは、前記嵌合溝に嵌合される係合部を有する一対の支持ロッドから成り、
圧板は、前記キャップ固定ナットと前記外方に延在するフランジ部との間に設けられている、
請求項1に記載の安全キャップ組立体。
【請求項5】
前記キャップ固定ナットと係合するように構成された取付アダプタを更に備え、前記取付アダプタは、
圧力調理器の蓋に取り付けられるように構成された環状取付ナットと、
前記圧力開放管に形成されている係止溝と係合するように前記環状取付ナットに設けられているスライド可能なロックキーと
を備える、請求項1に記載の安全キャップ組立体。
【請求項6】
前記ロックキーは、係止部と、前記係止部の一端が上方に屈曲されている操作部とを有する実質的にL字型の平板であり、前記係止部には、円形ガイド開口部と、前記円形ガイド開口部から連続して開口されている線形ロック開口部とが形成されている、請求項5に記載の安全キャップ組立体。
【請求項7】
前記キャップ固定ナットは、上部ナット要素と下部ナット要素とから成り、各々が、実質的に、上端から下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状であり、互いに組み合わされると、実質的に、前記上部ナット要素の上端から前記下部ナット要素の下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状になる、請求項1に記載の安全キャップ組立体。
【請求項8】
前記上部ナット要素は、前記下部ナット要素が下にある状態で前記圧力開放管に螺着される、請求項7に記載の安全キャップ組立体。
【請求項9】
前記圧力開放管に取り付けられるように構成された圧力調整重りを更に備え、前記圧力調整重りには、下部にネジが形成されている中央凹部が形成されている、請求項1に記載の安全キャップ組立体。
【請求項10】
前記キャップ固定ナットと係合するように構成された取付アダプタを更に備え、前記取付アダプタは、
圧力調理器の蓋に取り付けられるように構成された環状取付ナットと、
前記圧力開放管に形成されている係止溝と係合するように前記環状取付ナットに設けられているスライド可能なロックキーと
を備える、請求項4に記載の安全キャップ組立体。
【請求項11】
前記ロックキーは、係止部と、前記係止部の一端が上方に屈曲されている操作部とを有する実質的にL字型の平板であり、前記係止部には、円形ガイド開口部と、前記円形ガイド開口部から連続して開口されている線形ロック開口部とが形成されている、請求項10に記載の安全キャップ組立体。
【請求項12】
真空アダプタが設けられており、前記真空アダプタが、
軸方向に延在する真空流路が中に形成されているメインケーシングと、
前記メインケーシングの上部に形成されており、真空源に接続されるように構成された接続口が設けられている真空制御チャンバと、
中心ボアを有し、前記真空制御チャンバに設けられているブロック座金と、
前記メインケーシングに設けられており、前記真空制御チャンバへと延在する押圧突起を有するツイストノブと、
前記真空制御チャンバに設けられている閉栓ボールと
を備える、請求項1に記載の安全キャップ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理機器用の安全キャップに関し、より具体的には、圧力調理器用の安全キャップ組立体と、この安全キャップ組立体を備えた圧力調理器とに関する。
【背景技術】
【0002】
調理鍋の内側(又は調理室の内側)で食物を調理するために高温高圧スチームを利用する圧力調理器はよく知られており、広く使用されている。残念ながら、圧力調理器の鍋の内側の過度の圧力によって引き起こされる爆発の危険性が常にある。
【0003】
この危険性を防ぐ1つの方法は、圧力調理器の蓋に設置されている安全弁を覆う安全キャップを使用して、鍋の内側の過度の圧力を開放することである。この安全弁の内部の下端に取り付けられている安全キャップは、食物片が安全弁に入るのを防ぎ、故に、この弁に食物片が目詰まりすることを回避し、この弁に食物片が目詰まりすることで引き起こされる圧力調理器の爆発を防ぐ。
【0004】
安全キャップは、安全弁(又は圧力開放弁)の目詰まりを防ぐために有効に作用するため、圧力調理器の爆発を防ぎ、圧力調理器の安全かつ確実な使用を提供する。しかし、ユーザは、圧力調理器を洗浄するために蓋から安全キャップを取り外すことがあり、結果として、ユーザが安全キャップを圧力開放弁に付け戻し忘れることや、圧力開放弁への安全キャップの完全な取付をし損なうことが起こり得、これは、最終的に望ましくない結果をもたらす。
[先行技術文献]
[特許文献1] 米国特許出願公開第2013/199633号明細書
[特許文献2] 欧州特許出願公開第2397052号明細書
[特許文献3] 欧州特許出願公開第0249572号明細書
【発明の概要】
【0005】
従って、構造が単純であり、圧力調理器の蓋に容易にかつ確実に取り付けられること及びそれから取り外されることができる安全キャップ組立体を提供することであって、それにより、それが容易に洗浄されることができるように、かつ、安全キャップ組立体が圧力調理器、特に圧力調理器の蓋上、に取り付けられていない場合には、圧力調理器として使用できる状態にならないようにし、圧力調理器の調理に対して高水準の衛生と安全性とを保証することが本発明の1つの目的である。
【0006】
調理鍋の内側(調理室)が真空にされ、内側にある食材が調理鍋の内側のそのような真空環境で加工される真空調理に使用される安全キャップ組立体を提供することが本発明の別の目的である。
【0007】
上記目的は、以下を備える安全キャップ組立体のための本発明の特異構造によって達成される:
軸方向に延在する圧力開放流路を中に、外方に延在するフランジ部を下端に有する圧力開放管、
実質的に、上端から下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状であり、圧力開放管の下部に取り付けられるように構成されたキャップ固定ナット、及び
支持ブリッジを有するメッシュケーシングから成り、圧力開放管の下部に取り付けられるように構成された安全キャップユニット、支持ブリッジの中央部は、実質的にメッシュケーシングの外側にあり、キャップ固定ナットと圧力開放管のフランジ部とによって保持されている。
【0008】
上で説明したように構造化された安全キャップ組立体は、調理機器の蓋に、特に本発明の取付アダプタを用いて圧力調理器の蓋に、取り付けられる。取付アダプタは、圧力調理器の蓋に固定されており、環状取付ナットと、この環状取付ナットにスライド可能に設置されるスライド式ロックキーとから成る。スライド式ロックキーは、円形ガイド開口部と、この円形ガイド開口部から連続して形成されている線形ロック開口部とを有するL字型の長細い板状である。安全キャップ組立体は、そのキャップ固定ナットが取付アダプタの取付ナットと係合した状態で、及び、安全キャップ組立体の圧力開放管がスライド式ロックキーの線形ロック開口部と係合されるようにスライド式ロックキーをスライドすることで、圧力調理器の蓋上で保持される。安全キャップ組立体は、圧力開放管がスライド式ロックキーから係脱されることを可能にするためにスライド式ロックキーを逆方向にスライドすることで、圧力調理器の蓋から容易に取り外される。
【0009】
上記から見られるように、安全キャップ組立体は、少数の部分を有する単純な構造であるため、それの製造は、容易に行われることができる。安全キャップ組立体は、圧力調理器の蓋に取り付けること及びそれから取り外すことが容易にできるため、それの洗浄は容易に行われることができる。加えて、安全キャップ組立体が圧力調理器の蓋に取り付けられていない限り、圧力調整重りは、安全キャップ組立体に取り付けられることができないため、結果として、圧力調理器は構成されない。従って、ユーザが、メッシュケーシング(又は安全キャップ組立体)である濾過装置を取り付け損なうような、又は、圧力調理器の蓋に濾過装置を完全に取り付けることをし損なうようなアクシデントが防がれることができるため、圧力調理器の爆発も防がれる。
【0010】
加えて、安全キャップ組立体は、(円錐台形状の)その固定ナットが取付アダプタの取付ナットとぴったりと係合した状態で圧力調理器の蓋に取り付けられているため、圧力調理器の内側は、しっかりと密封され、外側からか隔離される。従って、安全キャップ組立体に(圧力調整重りの代わりに)真空アダプタを接続することで、圧力調理器の内側は真空にされることができ、圧力調理器に入れられた食材に対して真空調理が実行されることができる。真空環境を利用する現在知られている調理方法はパウチを使用する。(調味料とともに)食材がパウチの中に投入され、次いで、このパウチは真空にされて密封され、食材が内側にある状態でこの真空にされたパウチが調理鍋の水の中に入れられる。次いで、真空にされたパウチの中の食材を調理するために水が加熱される。本発明では、真空調理は、パウチを使用することなく、真空にされた圧力調理器の内側で実行される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の一実施形態に係る安全キャップ組立体が蓋に設置されている圧力調理器の概略断面図。
図1B】本発明の別の実施形態に係る安全キャップ組立体の概略断面図。
図2】断面で例示されている、本発明の安全キャップ組立体の圧力開放管を示す図。
図3】断面で例示されている、キャップ固定ナットと、座金と、安全キャップのメッシュケーシングに取り付けられている支持ブリッジとを示す図。
図4】断面で例示されている、キャップ固定ナット及び支持ブリッジが取り付けられた状態の圧力開放管を示す図。
図5】本発明に係る安全キャップユニットの上面図。
図6】本発明に係る、平底メッシュケーシングを有する安全キャップユニットの側面図。
図7】本発明に係る、ドーム型メッシュケーシングを有する安全キャップユニットの側面図。
図8A】本発明の別の実施形態に係る、圧力調理器用の安全キャップ組立体の断面部分図。
図8B図8Aの安全キャップ組立体から切り離された圧力開放管の断面部分図。
図9図8Aの安全キャップ組立体の分解断面図。
図9A】いくつかの要素が図9の構造とは異なって配列されている安全キャップ組立体の分解断面図。
図10】圧力調理器の蓋に安全キャップ組立体を取り付けるための取付アダプタの断面図。
図11】圧力調理器の蓋に安全キャップ組立体を取り付けるための別のタイプの取付アダプタの断面図。
図12A】取付アダプタのスライド式ロックキーの拡大側面図。
図12B】取付アダプタのスライド式ロックキーの上面図。
図13A】圧力調理器の蓋に安全キャップ組立体を取り付ける方法を例示する図。
図13B】圧力調理器の蓋に安全キャップ組立体を取り付ける方法を例示する図。
図14A】安全キャップ組立体に圧力調整重りを取り付ける方法を例示する図。
図14B】安全キャップ組立体に圧力調整重りを取り付ける方法を例示する図。
図15】本発明に係る別の安全キャップユニットの上面図。
図16図15の安全キャップユニットの側面図。
図17図15及び16の安全キャップユニットのメッシュケーシングの支持ロッドと、固定リング、キャップ固定ナット、載置板、及び圧力開放管の拡大断面図。
図18図15及び16の安全キャップユニットの支持ロッドのフランジ部及び係合部を例示する、圧力開放管の上面図。
図19】本発明の安全キャップ組立体に取り付けられることとなる真空アダプタの断面図。
図20A】真空アダプタの動作の方法を例示する図。
図20B】真空アダプタの動作の方法を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
圧力調理器のような調理機器用の本発明の安全キャップ組立体は、図1Aから見られるように、圧力調理器1の蓋に設置されるように構成される。圧力調理器1は、鍋2と、この鍋2を覆う蓋3とから成り、安全キャップ組立体10は、この蓋3に形成されている取付開口部に設置される。
【0013】
本発明の安全キャップ組立体が通常使用される圧力調理器1(しかし、これに限定されるわけではない)は、ステンレス鋼製であり、100PSI(ポンド・平方インチ)の圧力に耐え、最大10−8Pa(パスカル)まで真空にされることができるものであり、ここで、深さは20−24インチであり、直径は20−30インチであり、よって、容量は50−64ガロンである。
【0014】
図1Bから見られるように、安全キャップ組立体10は、圧力開放管20と、キャップ固定ナット30と、安全キャップユニット40とから成る。
【0015】
図2に示されるように、圧力開放管20は、例えば、ステンレス鋼製の中空円筒管であり、圧力調理器の内圧を開放することができるように1つの端(上端)及び別の端(下端)で開口している軸方向に延在する圧力開放流路20aが中に形成されている。圧力開放管20は、その上部にある接続部20Aと、その下部にある固定部20Cと、その中間部にある又は接続部20Aと固定部20Cとの間にある中間部20Bとから成る。接続部20Aは、中間部20Bよりわずかに大きい外径を有し、圧力開放重り(図示せず)がそれにネジ結合されることができるように外部がネジ切りされている。固定部20Cは、接続部20Aと同じかそれよりわずかに大きい外径を有し、キャップ固定ナット30がそれと螺合されるように外部がネジ切りされている。固定部20Cには、支持フランジ部22がその下端に形成されており、このフランジ部22は、固定部20Cより大きい直径を有するように外方に延在する。
【0016】
圧力開放管20は、係止部20Dを更に含む。係止部20Dは、中間部20Bと固定部20Cとの間に設けられており、係止溝20Daと、外方に延在する係止フランジ部20Dbとから成る。係止フランジ部20Db及び係止溝20Daは、係止フランジ部20Dbの外径が接続部20Aのもの及び固定部20Cのものと同じかそれよりわずかに小さくなり、係止溝20Daの外径が係止フランジ部20Dbのものより小さくなるように形成されている。
【0017】
図3から見られるように、キャップ固定ナット30は、実質的に、横から見たときに台形であるような円錐台形状のナットである。キャップ固定ナット30には、1つの端(上端)及び別の端(下端)で開口している軸方向に延在する中心ボア30aが中に形成されている。キャップ固定ナット30の中心ボア30aの直径は、圧力開放管20の固定部20Cの外径のものと実質的に同じである。
【0018】
この中心ボア30aにはネジ山が形成されており、それにより、この内部形成されているネジ山は、圧力開放管20の固定部20Cの外部形成されているネジ山(図2参照)と係合し、キャップ固定ナット30は、圧力開放管20のフランジ部22上で圧力開放管20の下部に螺合される。
【0019】
キャップ固定ナット30は、好ましくは、例えば、シリコン(又はある程度の弾力性がある素材、そしてこれもステンレス鋼製であることができる)から作られている。キャップ固定ナット30は、上部にある、垂直方向に一貫した外径を有する円筒部30Aと、この円筒部30Aの下端からキャップ固定ナット30の下端に向かって延在するスカート部30Bとから成る。故に、キャップ固定ナット30は、全体として、円錐台形状をとる。
【0020】
故に、キャップ固定ナット30のスカート部30Bは、その底面に対して約60度である傾斜した円周外面を有する。故に、スカート部30Bは、上端が最小であり下端が最大である外径を有する。キャップ固定ナット30の高さは、圧力開放管20の固定部20cのものと実質的に同じである。キャップ固定ナット30のスカート部30Bの底部又は下端の外径は、圧力開放管20の支持フランジ部22の外径のものと実質的に同じである。
【0021】
図8A〜9Aに示される圧力開放管及びキャップ固定ナットは、図2〜4に示されているものとはわずかに異なる構成をとる。図8A(8B)の圧力開放管20の固定部20Cは、下部20Cbがネジ切りされず、上部20Caの外部がネジ切りされるように、垂直方向の観点から一部ネジ切りされている。
【0022】
図9から見られるように、キャップ固定ナット30は、上部ナット要素34と下部ナット要素36という2つの要素から成る。上部ナット要素34及び下部ナット要素36は、それぞれ、実質的に円錐台形状をとり、横から見たときに、上部ナット要素及び下部ナット要素の各々の外径が上端から下端へと徐々に増加する台形をとる。互いに組み合わせられると、これらの上部ナット要素及び下部ナット要素によって形成されるキャップ固定ナット30は、横から見たときに、キャップ固定ナット30の外径が、全体として、上部ナット要素34の上端から下部ナット要素36の下端へと徐々に増加するような台形である円錐台形状を全体としてとる。換言すると、上部ナット要素34の底部の直径は、下部ナット要素36の頂部の直径と同じであるため、それらの円周面34A及び36Aは、上部ナット要素34が下部ナット要素36の上になるように上部ナット要素34及び下部ナット要素36が組み合わせられると、単一の同一平面の表面を作る。
【0023】
上部ナット要素34及び下部ナット要素36には、1つの端(上端)及び別の端(下端)で開口している軸方向に延在する中心ボア34a及び36aが形成されている。これらの中心ボアの直径は、圧力開放管20の固定部20Cの外径のものと実質的に同じである。
【0024】
上部ナット要素34の中心ボア34aはネジ切りされており、この雌ネジは、圧力開放管20の固定部20Cの上部20Caの外部形成されているネジ山と係合する。下部ナット要素36の中心ボア36aは、この下部ナット要素36が下部20Cbにぴったりと螺嵌されるように、圧力開放管20の固定部20Cの下部20Cbの外径のものと直径が実質的に同じである。故に、上部ナット要素34及び下部ナット要素36を備えるキャップ固定ナット30は、図8Aから見られるように、下部ナット要素36が下にある状態で上部ナット要素34が圧力開放管20の上部20Caに螺合されるとき、そのフランジ部22上で圧力開放管20の固定部20Cに固定される。
【0025】
上部ナット要素34は、例えば、ステンレス鋼製であり、下部ナット要素36は、例えば、シリコン又はある程度の弾力性がある素材から作られている。
【0026】
上部ナット要素34及び下部ナット要素36の傾斜した円周面は、底面に対して約60度をなす。上部ナット要素34及び下部ナット要素36を合わせた高さは、圧力開放管20の固定部20cのものと実質的に同じである。下部ナット要素36の底部又は下端の外径は、圧力開放管20の支持フランジ部22の外径のものと実質的に同じである(又はそれより小さい)。
【0027】
安全キャップユニット40は、図5及び6から見られるように、メッシュケーシング42と、内側に空きスペースのある、このメッシュケーシング42に取り付けられている支持ブリッジ44とから成る。メッシュケーシング42は、金網(例えば、SS304金網)製であり、そしてそれは、平底であるため、比較的浅いケーシングである。メッシュケーシングの各開口部(メッシュ)のサイズは、圧力開放管20の、軸方向に延在する圧力開放流路20aの内径より小さい。補強円形フレーム42Aが、メッシュケーシング42の上部周縁に固定されている。
【0028】
このメッシュケーシング42に、支持ブリッジ44が取り付けられている。図5及び6に示されるように、支持ブリッジ44は、支持円板44Aと一対の支持ロッド44Bとの組合せである。換言すると、図5から見られるように、支持ブリッジ44は、支持円板44Aに取り付けられている一対の支持ロッド44Bから成る。支持ロッド44Bは、図6から見られるように、横から見たときに、実質的に浅い逆V字型をとるようにそれらの中央部で上方に屈曲されており、それらの屈曲した中央部には、例えば、それらの中央部で溶接することで、支持円板44Aが取り付けられている。中央部は、支持円板44Aの下面であることができる。屈曲した支持ロッド44Bの各々の両端は、例えば、溶接によってメッシュケーシング42に固定されている円形フレーム42Aに、支持ブリッジ44がメッシュケーシング42又はその円形フレーム42Aを実質的に直径方向にブリッジするように取り付けられている。結果として、上方に屈曲した支持ロッド44Bの中央部に取り付けられている少なくとも支持円板44A又は支持ブリッジ44は、メッシュケーシング42の上縁レベル若しくはそれより上に又はメッシュケーシング42の外側に位置している。
【0029】
示される実施形態では、一対の支持ロッド44Bは、図5から見られるように、上から見たときに対称的なC字型である。しかしながら、それらは、直線でかつ互いに対して平行であることができる。
【0030】
圧力開放管20の接続部20A、中間部20B、及び固定部20Cの外径よりは直径が大きいが、圧力開放管20のフランジ部22の外径よりは直径が小さい取付孔44Aaが支持円板44Aに開口されている。
【0031】
安全キャップユニット40のメッシュケーシング42は、図7に示されるように、ドーム型をとることができる。このドーム型メッシュケーシング42でも同じく、支持ロッド44Bは、メッシュケーシング42又はその円形フレーム42Aを実質的に直径方向にブリッジし、屈曲した支持ロッド44Bの中央部に取り付けられている少なくとも支持円板44A又は支持ブリッジ44は、メッシュケーシング42の上縁レベル若しくはそれより上に又はメッシュケーシング42の外側に位置している。
【0032】
上記構造の場合、圧力開放管20又はその接続部20Aは、支持円板44Aの取付孔44Aaと位置合わせされ、それに挿入され、支持円板44Aが、圧力開放管20のフランジ部22上に置かれる。ガスケット50(図3参照)は、(オプションで)支持円板44A上に置かれる。次に、キャップ固定ナット30は、それが圧力開放管20の支持フランジ部22上で支持ブリッジ44の支持円板44Aを(使用されている場合には、その間にガスケット50を伴って)保持するように、圧力開放管20の固定部20Cに螺着される。結果として、図4から見られるように、支持円板44Aは、キャップ固定ナット30のスカート部30Bの底部と、圧力開放管20の支持フランジ部22との間に保持又は挟まれることで圧力開放管20に固定され、故に、メッシュケーシング42は、キャップ固定ナット30によって固定されることで圧力開放管20に又は圧力開放管20の下部に取り付けられる。
【0033】
図8A、8B、及び9の構造では、ガスケット52が用いられている。例えば、ステンレス鋼製のガスケット52には、その外縁に沿ってリング状の溝52Aが形成されており、Oリング53がその中に嵌合されている。このOリングが備わったガスケット52は、圧力調理器の蓋とより密着することを確実にすることができる。また、2つのガスケット(図示せず)、シリコンガスケット、及びステンレス鋼ガスケット(図示せず)が、単一のガスケット52の代わりとして使用されることができる。加えて、それは、図9Aから見られるように、支持円板44Aのための密封とキャップ固定ナット30の安定した設置とを提供するためにOリング53がガスケット52によって押圧保持されるように構造化されることができる。
【0034】
故に、圧力開放管20と、キャップ固定ナット30と、安全キャップユニット40とから成る上で説明した安全キャップ組立体10は、圧力調理器の蓋に取り付けられ、より具体的には、以下で説明するような方法で、圧力調理器の蓋に設置されている安全キャップ取付アダプタに取り付けられる。
【0035】
安全キャップ取付アダプタ60は、図10から見られるように、環状取付ナット62と、固定リング64と、スライド式ロックキー66とから成る。環状取付ナット62及び固定リング64は、例えば、金属、アルミニウム製、等であり、シリコン、ゴム、等のある程度の弾力性がある素材で作られることもできる。環状取付ナット62は、円筒本体部62Aと鍔部62Bとを含む。円筒本体部62Aは、その内側に、キャップ固定ナット30(のスカート部30B)を受け入れ、それと組み合わさることができる円錐台形状である受容部60Cを有する。円筒本体部62Aは、圧力開放管20のための垂直貫通孔62aに加えて、水平方向に延在する係止溝62Abが中に形成されているガイド突起62Aaをその上に有し、ロックキー66は、この係止溝62Abにスライド可能に挿入される。
【0036】
図10の環状取付ナット62は、ガイド突起62Aaを含む、環状取付ナット62の円筒本体部62Aの上部が蓋3の外側にくるように、円筒本体部62Aの外周面が蓋3の取付開口部の内周面と密着するように、及び鍔部62Bの上面が蓋3の取付開口部を取り囲んでいる領域の下面と密着するように、下方から、圧力調理器の蓋3の略中央に開口されている取付開口部へと挿入される。固定リング64は、通常、環状取付ナット62の円筒本体部62Aの外面にネジ止めされる。故に、取付アダプタ60は、圧力調理器の蓋3に確実に取り付けられる。
【0037】
図11は、別のタイプの安全キャップ取付アダプタ70を示す。図11の安全キャップ取付アダプタ70は、環状取付ナット72とスライド式ロックキー76とから成る。環状取付ナット72は、ある程度の弾力性がある素材から作られており、それは、円筒本体部72Aと、それぞれ円筒本体部72Aの上端及び下端から外方に延在する上部フランジ部72B及び下部フランジ部72Cとを含む。円筒本体部72Aは、圧力開放管のための垂直貫通孔72aに加えて、係止溝72Abが中に形成されているガイド突起72Aaをその上に有し、この係止溝72Abは、水平方向に延在し、ロックキー76は、この係止溝72Abにスライド可能に挿入される。円筒本体部72Aは、その内側に、キャップ固定ナット30(のスカート部30B)を受け入れ、それと組み合わさることができるような円錐台形状である受容部72Dを有する。
【0038】
図11の環状取付ナット72は、ガイド突起72Aaが蓋3の外側にきて、円筒本体部72Aの外周面が蓋3の取付開口部の内周面と密着し、更に、上部フランジ部72Bの下面及び下部フランジ部72Cの上面もそれぞれ蓋3の取付開口部を取り囲んでいる円周領域の上面及び下面と密着するように、上部フランジ部72B及び下部フランジ部72Cの弾力性を利用して、上方又は下方から、圧力調理器の蓋3の略中央に開口されている取付開口部へと押される。故に、取付アダプタ70は、その弾力性を利用して蓋3に確実に取り付けられる。
【0039】
構造が同じである、上で説明したスライド式ロックキー66,76は、図12A,12Bから見られるように、通常、金属製であり、(横から見たときに)L字型の板状であり、係止部66A,76Aと、これら係止部66A,76Aの一端が上方に屈曲されている操作部66B,76Bとから成る。
【0040】
係止部66A,76Aには、円形ガイド開口部66Aa,76Aaと、これら係止部66A,76Aの縦方向に延在するようにこの円形ガイド開口部66Aa,76Aaから連続して開口されている線形ロック開口部66Ab,76Abとが中に形成されている。円形ガイド開口部66Aa,76Aaは、圧力開放管20の接続部20A及び係止フランジ部20Dbの外径より大きい直径を有し、線形ロック開口部66Ab,76Abは、圧力開放管20の係止フランジ部20Dbの直径より小さく、係止溝20Daの外径よりわずかに大きい幅を有する。故に、構造化されたスライド式ロックキー66,76は、上で説明したように、環状取付ナット62,72のガイド突起62Aa,72Aaの係止溝62Ab,72Abにスライド可能に挿入される。スライド式ロックキー66,76には、先端が係止部66A,76Aの上面上にあり、胴部の下端が係止部66A,76Aの下面から突出するようなストッパーピン68が係止部66A,76Aの終端に設けられることができる。ストッパーピン68は、スライド式ロックキー66,76が取付ナット62,72から滑り落ちるのを防ぐためのものである。
【0041】
上で説明した安全キャップ組立体を使用する際、係止溝62Ab,72Abにあるスライド式ロックキー66,76は、円形ガイド開口部66Aa,76Aaが環状取付ナット62,72の受容部60C,72Dの上方にありかつそれと位置合わせされている開放位置に配置されている(図13)。13A〜14Bは環状取付ナット62を例示しているが、環状取付ナット72は、環状取付ナット62と同じように使用される。次いで、安全キャップ組立体10の圧力開放管20を、圧力調理器の蓋3の下に位置させる。次に、圧力開放管20の接続部20Aは、環状取付ナット62,72の受容部60C,72D(の中心)と位置合わせされ、圧力開放管20の接続部20A及び中間部20Bが環状取付ナット62,72を貫通して、蓋3の上に及び外側にくるように、及び、キャップ固定ナット30が環状取付ナット62,72の受容部60C,72Dの内側にきて、その外面が受容部62C,72Dの内面と表面接触するように、上方に又は環状取付ナット62,72に向かって押される。
【0042】
その後、図14A及び14Bから見られるように、圧力調整重りが圧力開放管20に取り付けられる。圧力調整重り80は、示される例では、通常、金属製であり、それは、上端に係合ボス82が形成されている中央凹部80Aを有する。中央凹部80Aには、圧力開放管20の接続部20Aの雄ネジと係合することができる雌ネジ84が下部に形成されている。このネジ84より上の部分の内径は、雌ネジ84が形成されている部分の内径より大きく作られている。図14A及び14Bから見られるように、圧力調整重り80は、その底部の半径が、圧力開放管20の中心とスライド式ロックキー66,76の操作部66B,76Bとの間の距離(と少なくとも同じ又は)より大きくなる(又は、円形ガイド開口部66Aa,76Aaの中心とスライド式ロックキー66,76の操作部66B,76Bとの間の距離より大きくなる)ようにサイズ決定される。スライド式ロックキー66,76の操作部66B,76Bの高さは、少なくとも、係止溝20Daと、圧力開放管20の接続部20Aの上端との間の距離と同じ高さである。
【0043】
結果として、スライド式ロックキー66,76が図13A又は14Aに示される開放位置にあるとき、圧力調整重り80は、その下部が、ロックキー66,76の操作部66B,76Bの上端と接触することとなり、圧力開放管20上にネジ止めされることができない。
【0044】
次いで、スライド式ロックキー66,76は、ガイド溝66Ab,76Ab(図13B,14B参照)の末端が圧力開放管20の係止溝20Da(図2参照)と接触するまで(又はスライド式ロックキーがこれ以上引かれることができなくなるまで)又は少なくとも係止溝20Daがガイド溝66Ab,76Ab内にくるまで、操作部66B,76Bを用いて引かれる(又は図13A,14Aの左に動かされる)。結果として、安全キャップ組立体10は、圧力開放管20の係止部20Dと係合されるスライド式ロックキー66,76によって蓋3に係止及び固定され、安全キャップ組立体10は、スライド式ロックキー66,76のガイド溝66Ab,76Abの幅が圧力開放管20の係止フランジ部20Dbの直径より小さいため、スライド式ロックキー66,76の係止部66A,76Aによって圧力開放管20の係止フランジ部20Dbで下方から保持又は支持されていることにより抜け落ちない。加えて、図14Bから見られるように、スライド式ロックキー66,76の操作部66B,76Bは圧力調整重り80と接触しておらず、故にそれによって妨げられないため、圧力調整重り80の係合ボス82が圧力開放管20の接続部20Aの圧力開放流路20aの内側にくるように圧力調整重り80が降下させられて(螺締されて)圧力開放管20上に配置されることがこの時点で可能になる。圧力調整重り80が降下させられるとき、それは、最初に雌ネジ84が接続部20Aの雄ネジと係合し、次にこの雄ネジから係脱して、接続部20Aを貫通し、接続部20Aが、圧力制御重り80の中央凹部80Aのネジ84より上の部分に入るように、回転させられる。従って、圧力調理器が使用中であるとき、圧力制御重り80は、圧力開放管20の圧力開放流路20aを通して開放される圧力(スチーム)により、係合ボス82を中心として揺動することができる。故に、一旦圧力調整重り80が圧力開放管20上に配置されると、圧力調整重り80が逆方向に回転させられ、中央凹部80A中の雌ネジ84が形成されている部分を螺合式に貫通するまで、圧力開放管20から取り外すことができない。従って、調理が完了した後に圧力調理器の蓋が圧力調理器の鍋から切り離されるときに、(例えば、数キログラムの重さの)圧力調整重り80がその蓋から不注意に落下するようなアクシデントは回避されることができる。
【0045】
上の係止状態では、圧力開放管20の係止フランジ部20Dbは、スライド式ロックキー66,76によって(特にそれの係止部66A,76Aによって)下方から保持され、円錐台形状のキャップ固定ナット30は、安全キャップ組立体のキャップ固定ナット30の円錐台形状の部分の外面が、環状取付ナット62,72の内面とぴったりと組み合わさり、その傾斜した円周外面でそれと密に表面接触するように、環状取付ナット62,72の円錐台形状の受容部60C,72Dの内側にある。故に、圧力調理器はこの時点で使用できる状態になる。
【0046】
上で説明した圧力調整重りの代わりに、圧力開放管20の接続部20A上に、(米国特許第8,869,829号に記載の)圧縮制御ユニットがネジで取り付けられ、それにより、圧力調理器は使用されることができる。
【0047】
調理プロセスが進むにつれ、圧力調理器の鍋の内側の圧力は高まり、上方に、又は、円錐台形状の傾斜した面を有する環状取付ナット62,72に向かって安全キャップ組立体10(又はキャップ固定ナット30)を押す。結果として、キャップ固定ナット30は、高まった圧力により、それらの傾斜した面で環状取付ナット62,72と確実に密着して、圧力調理器のための良好かつ確実な密封を形成する。シリコン又は弾力性がある素材から形成されているキャップ固定ナット30を用いることで、ナット30(又は上部ナット要素34)は、取付ナット62,72に密着することができ、良好な密封効果をもたらす。
【0048】
図15〜18は、本発明の別のタイプの安全キャップ組立体を示す。この安全キャップ組立体では、安全キャップユニットの支持ブリッジは、圧力開放管に直接取り付けられている一対の支持ロッドから成る(ここで、支持ブリッジは、上で説明した構造で使用される支持円板44Aを含まない)。この安全キャップ組立体の圧力開放管120は、圧力開放管20にあるように、その上部にある接続部120Aと、その下部にある(上部固定部120Ca及び下部固定部120Cbを備える)固定部120Cと、その中間部にある又は接続部20Aと固定部120Cとの間にある中間部120Bとから成る。それには、圧力開放流路120aに加えて、スライド式ロックキー66,76と係合するために、上で説明した圧力開放管20にあるような係止部を形成する係止溝120Da及び外方に延在する係止フランジ部120Dbも形成されている。
【0049】
より具体的には、圧力開放管120のフランジ部122には、図17及び18から見られるように、その上面上に一対の嵌合溝124が形成されている。この溝124は、圧力開放管120の固定部120Cがそれらの間にくるように形成されており、それにより、嵌合溝124は、円形であるフランジ部122の直径と平行に延在しており、それらは互いに対しても並行である。溝124は、支持ロッド144B(又はそれらの中央係合部144Ba)がその中にぴったり嵌合するように形成されている。溝124の各々の幅は、断面が通常円形である支持ロッド144B(又は係合部144Ba)の各々の直径と実質的に同じであり、溝124の各々の奥行は、支持ロッド144B(又は係合部144Ba)の半径の長さと実質的に同じである。係合部144Baは、それらの嵌合溝124に溶接されることができる。溝124の底部は、曲線的であることができる。
【0050】
支持ロッド144Bから成る支持ブリッジは、図16から見られるように、横から見たときに浅い逆V字型をとるようにそれらの中央係合部144Baが上方に屈曲されており、屈曲した支持ロッド144Bの係合部144Baは、メッシュケーシング142の上縁レベルに又はそれより上に位置するか、メッシュケーシング142の外側に位置する。支持ロッド144Bの各々の両端は、例えば溶接によってメッシュケーシング142に固定されている円形フレーム142Aに取り付けられている。係合部144Baは、直線でかつ互いに対して平行であることができ、図18から見られるように、長さが嵌合溝124と実質的に同じである。支持ロッド144Bの各々は、図15から見られるように、上から見たときにC字型である。故に、各支持ロッド144Bは、支持ロッド144Bの中間にある直線の係合部14Baにより、横から見たときには若干角度のある扁平な逆V字型であり(図16及び17)、上から見たときには若干角度のあるC字型である(図15及び18)。図15では、参照番号144Bbは、一対のC字型の支持ロッド144Bを接続している補強ロッドである。
【0051】
結果として、支持ロッド144Bの係合部144Baは、支持ロッド144Bの直線な中央の係合部144Baが嵌合溝124の内側にある状態で安全キャップユニット140が圧力開放管120に取り付けられるように、嵌合溝124にぴったりと嵌合される。溝124は、支持ロッド144Bの係合部144Baが嵌合溝124の内側に配置される限り、鉛直断面が矩形であることができる。
【0052】
安全キャップ組立体は、通常金属製であり、形状が円形であり、直径方向にフランジ部122と実質的に同じ又はそれより大きい圧板150を更に含む。圧板150は、圧力開放管120の固定部120Cの外径よりわずかに大きい中央孔152を有する。
【0053】
安全キャップユニット140は依然として、キャップ固定ナット160と、内部がネジ切りされている固定リング170とを更に含む。
【0054】
キャップ固定ナット160は、キャップ固定ナット30と実質的に同じである。故に、これは、円錐台形状のナットであり、横から見たときに台形である。キャップ固定ナット160には、1つの端(上端)及び別の端(下端)で開口している軸方向に延在する中心ボア160aが中に形成されている。キャップ固定ナット160の中心ボア160aの直径は、圧力開放管120の固定部120Cの外径のものと実質的に同じである。
【0055】
キャップ固定ナット160は、好ましくは、キャップ固定ナット160が、圧力開放管120の固定部120Cにきつく嵌合するように、例えば、シリコン(又はある程度の弾力性がある素材)でできている。キャップ固定ナット160は、同じく、ステンレス鋼製であることができる。キャップ固定ナット160の直径は、その上端から底部に徐々に増加し、故に、全体として、円錐台形状をとる。
【0056】
故に、キャップ固定ナット160は、その底面に対して約60度である傾斜した円周外面を有する。キャップ固定ナット160の高さは、圧力開放管120の固定部120Cの下部120Cbのものと実質的に同じである。キャップ固定ナット160の底部又は下端の外径は、圧板150の外径と実質的に同じであるか又はそれより小さい。故に、キャップ固定ナット160は、圧板150上に置かれることができる。
【0057】
固定リング170は、固定部120Cの上部固定部120Caと螺合されるように内部がネジ切りされており、ここで上部固定部120Caは外部がネジ切りされている。
【0058】
上記構造では、安全キャップユニット140は、その支持ロッド144B(係合部144Ba)が固定溝124中に配置されて(図17及び18の矢印参照)、固定溝124と係合した状態で、圧力開放管120に取り付けられている。次いで、固定平板150は、フランジ部122と、固定溝124中にある支持ロッド144Bの係合部144Baとの両方を覆うように、フランジ部122上に置かれる(図17の矢印参照)。次に、固定平板150の底面が支持ロッド144Bの係合部144Baの上面と接触するように、切頭キャップ固定ナット160が固定平板150上に置かれる。最後に、固定リング170が、圧力開放管120の固定部120Cの上部固定部120Caにネジ止めされ、固締される。結果として、安全キャップユニット140は、その支持ロッド144Bが、フランジ部122に形成されている嵌合溝124内に係合した状態で圧力開放管120上に確実に取り付けられて、安全キャップ組立体を形成し、安全キャップユニット140を有する圧力開放管120は、上で説明した安全キャップ組立体にあるのと同じように(安全キャップ取付アダプタ60,70、スライド式ロックキー66,76、等を使用して)圧力調理器の蓋に取り付けられる。
【0059】
更に、本発明では、圧力調整重り80(又は圧力制御ユニット)の代わりに、真空アダプタが、安全キャップ組立体の圧力開放管20に取り付けられることができる。
【0060】
図19から見られるように、真空アダプタ100は、軸方向に延在する真空流路102aと真空制御チャンバ104とが中に形成されている円筒状のメインケーシング102から成る。軸方向に延在する真空流路102aは、圧力開放管20(120)の接続部20A(120A)の内径と実質的に同じ直径を有し、それには、接続部20A(120A)にネジ止めされることができるように雌ネジが下部に形成されている。真空制御チャンバ104は、メインケーシング102の上部にあり、その底部が真空流路102aと連通している。円筒状のメインケーシング102には、頂壁にツイストノブ104Aが設けられている。ツイストノブ104Aは、その下面に押圧突起104Aaが形成されており、この押圧突起104Aaは、真空チャンバ104の内側に延在するように設けられている。真空チャンバ104は、側壁に接続口104Bを有しているため、真空チャンバ104は、この接続口104Bにおいて真空源(真空ポンプ)110に接続可能である。真空制御チャンバ104の内側には、通常ステンレス鋼製の閉栓ボール106が設けられており、それは、真空流路102aの直径より大きな直径を有する。真空チャンバ104の接続口104Bは、閉栓ボール106が真空チャンバ104から抜け出ないように形成されている。真空制御チャンバ104の底部には、例えばシリコン製の円筒状のブロック座金108が(例えば接着剤によって又はその弾力性により)固設されている。このブロック座金108の上端面は、逆円錐形(又は縦断面が三角形)に凹部形成されているため、閉栓ボール106がこの陥凹部108Aの底の中央に位置することができる(図20A参照)。ブロック座金108には、メインケーシング102の真空流路102aと実質的に同じ直径の中央孔108aが形成されている。
【0061】
使用に際し、真空アダプタ100は、食材が中に置かれている圧力調理器の蓋に取り付けられている安全キャップ組立体10の圧力開放管20の接続部20Aにネジ止めされる。真空制御チャンバ104に接続されている真空源(真空ポンプ)110が稼働されると、図20Aから見られるように、閉栓ボール106が真空吸引によって持ち上げられて、ブロック座金108の中央孔108a及びメインケーシング102の真空流路102aを開ける。そのため、上向きの矢印によって示されるように、圧力調理器の内側の空気は、真空制御チャンバ104において閉栓ボール106が持ち上げられている状態で、メインケーシング102の真空流路102a及びブロック座金108の中央孔108aを通して引き出されて、圧力調理器の内側に真空環境を作り出す。真空ポンプ110の動作が停止されると、持ち上げられた閉栓ボール106は、その持ち上げられた位置からブロック座金108の凹部108Aへと落下して、中央孔108a及び真空流路102aを閉じる(又は塞ぐ)。次いで、ツイストノブ104Aは、図20Bから見られるように、ツイストノブ104Aの押圧突起104Aaの下端が閉栓ボール106と接触し、このボール106をブロック座金108の凹部108Aに対して押し付けるように、手動で回転させられる。ブロック座金108がシリコンのようなある程度の弾力性がある素材で作られているため、閉栓ボール106は、ブロック座金108の凹部108Aに対して確実に押し付けられ、メインケーシング102の真空流路102aをしっかりと密封する。結果として、ステンレス鋼ボール106が圧力開放管20の圧力開放流路20aを閉塞するため、鍋の内側が真空に保たれる。
【0062】
真空は、圧力調理器の内側の温度を下げ、食材の内側の水分を飛ばす。従って、圧力調理器に置かれた食材に対して凍結/乾燥真空調理を実行することが可能である。加えて、例えば底部がSS430ステンレス鋼クラッド金属製である圧力調理器が使用されるとき、その鍋を加熱することにより、鍋、特に底部、は、遠赤外線を放出し、鍋内の食材に放射されるようにこの放出された遠赤外線を利用する真空調理は、真空環境下で達成される。SS430ステンレス鋼クラッド金属の底部を有する圧力調理器の場合、誘導加熱が実現可能であり、遠赤外線を利用した食材のための真空加熱調理、これは凍結/乾燥真空調理とは異なる調理プロセスである、が可能となる。
【0063】
上で説明した構造では、安全キャップ組立体のキャップ固定ナット30(160)は、円錐台形状であるが、それは、曲面を有するドーム型、複数の平らな円周面を有する円錐ピラミッド形状、等を含む任意の他の形状をとることができるため、キャップ固定ナットを受ける環状取付ナットは、曲面、円錐ピラミッド形状、等の対応する形状を有する。
【0064】
上記から見られるように、本発明の安全キャップ組立体は、組み立てられた圧力開放管と、キャップ固定ナットと、安全キャップユニットとによって形成された単体であり、安全キャップユニットの支持ブリッジ又は支持ブリッジの少なくとも中央部は、メッシュケーシングの外側にある。従って、圧力開放流路の下端開口部からメッシュケーシングの任意の点までの距離は様々であり、食物片は、このメッシュケーシングに引っ掛かる。従って、圧力開放管の圧力開放流路の目詰まりが防がれ、圧力調理器の爆発を回避する。安全キャップ組立体は、円錐台形状のナットを取付アダプタの円錐台形状の受容部に位置させること、圧力制御重りを圧力開放管上に配置することと、スライド式ロックキーを引くことと、次いで圧力制御重りを圧力開放管に取り付けることとからなるステップを行うことで、圧力調理器の蓋に取り付けられる。これらのステップを全て行わない場合、圧力調理器は、圧力調理器として使用されることができず、アクシデントが防がれることができる。加えて、円錐台形状であるキャップ固定ナットにより、安全キャップ組立体は、圧力調理器の調理のための確実な密封を提供し、それに真空アダプタが取り付けられると、圧力調理器の内側に適切な真空環境が作り出されて、この圧力調理器が真空調理に使用されることを可能にする。更に、安全キャップ組立体は構造が単純であるため、容易に洗浄されることができ、圧力調理器の安全かつ衛生的な使用を確実にする。加えて、安全キャップ組立体は構造が単純であり、容易に圧力調理器の蓋に取り付けられること及びそれから取り外されることができるため、それらは、任意の所望のサイズで設計されることができ、スープ鍋のような大型の調理鍋でも使用されることができる。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 圧力調理器用の安全キャップ組立体であって、
軸方向に延在する圧力開放流路が中に形成されており、外方に延在するフランジ部が下端に形成されている圧力開放管と、
実質的に、上端から下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状であり、前記圧力開放管の下部に取り付けられるように構成されたキャップ固定ナットと、
メッシュケーシングと支持ブリッジとから成り、前記圧力開放管の前記下部に取り付けられるように構成された安全キャップユニットと、前記支持ブリッジの中央部は、実質的に前記メッシュケーシングの外側にあり、前記キャップ固定ナット及び前記外方に延在するフランジ部によって保持されている、
を備える安全キャップ組立体。
[2] 前記キャップ固定ナットは、前記圧力開放管の前記下部に螺着される、[1]に記載の安全キャップ組立体。
[3] 前記支持ブリッジは、支持円板と、中央部が前記支持円板に、両端が前記メッシュケーシングに取り付けられている一対の支持ロッドとから成り、前記支持ロッドは、それの中央部が上方に屈曲されている、[1]に記載の安全キャップ組立体。
[4] 前記フランジ部には、一対の平行な嵌合溝が形成されており、
前記支持ブリッジは、前記嵌合溝に嵌合される係合部を有する一対の支持ロッドから成り、
圧板は、前記キャップ固定ナットと前記外方に延在するフランジ部との間に設けられている、
[1]に記載の安全キャップ組立体。
[5] 前記キャップ固定ナットと係合するように構成された取付アダプタを更に備え、前記取付アダプタは、
圧力調理器の蓋に取り付けられるように構成された環状取付ナットと、
前記圧力開放管に形成されている係止溝と係合するように前記環状取付ナットに設けられているスライド可能なロックキーと
を備える、[1]に記載の安全キャップ組立体。
[6] 前記ロックキーは、係止部と、前記係止部の一端が上方に屈曲されている操作部とを有する実質的にL字型の平板であり、前記係止部には、円形ガイド開口部と、前記円形ガイド開口部から連続して開口されている線形ロック開口部とが形成されている、[5]に記載の安全キャップ組立体。
[7] 前記キャップ固定ナットは、上部ナット要素と下部ナット要素とから成り、各々が、実質的に、上端から下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状であり、互いに組み合わされると、実質的に、前記上部ナット要素の上端から前記下部ナット要素の下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状になる、[1]に記載の安全キャップ組立体。
[8] 前記上部ナット要素は、前記下部ナット要素が下にある状態で前記圧力開放管に螺着される、[7]に記載の安全キャップ組立体。
[9] 前記圧力開放管に取り付けられるように構成された圧力調整重りを更に備え、前記圧力調整重りには、下部にネジが形成されている中央凹部が形成されている、[1]に記載の安全キャップ組立体。
[10] 前記キャップ固定ナットと係合するように構成された取付アダプタを更に備え、前記取付アダプタは、
圧力調理器の蓋に取り付けられるように構成された環状取付ナットと、
前記圧力開放管に形成されている係止溝と係合するように前記環状取付ナットに設けられているスライド可能なロックキーと
を備える、[4]に記載の安全キャップ組立体。
[11] 前記ロックキーは、係止部と、前記係止部の一端が上方に屈曲されている操作部とを有する実質的にL字型の平板であり、前記係止部には、円形ガイド開口部と、前記円形ガイド開口部から連続して開口されている線形ロック開口部とが形成されている、[10]に記載の安全キャップ組立体。
[12] 真空アダプタが設けられており、前記真空アダプタが、
軸方向に延在する真空流路が中に形成されているメインケーシングと、
前記メインケーシングの上部に形成されており、真空源に接続されるように構成された接続口が設けられている真空制御チャンバと、
中心ボアを有し、前記真空制御チャンバに設けられているブロック座金と、
前記メインケーシングに設けられており、前記真空制御チャンバへと延在する押圧突起を有するツイストノブと、
前記真空制御チャンバに設けられている閉栓ボールと
を備える、[1]に記載の安全キャップ組立体。
[13] 鍋と前記鍋を覆う蓋とを備える圧力調理器であって、
安全キャップ組立体と、前記安全キャップ組立体は、
軸方向に延在する圧力開放流路が中に形成されており、外方に延在するフランジ部が下端に形成されている圧力開放管と、
前記圧力開放管の下部に取り付けられており、実質的に、上端から下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状であるキャップ固定ナットと、
メッシュケーシングと支持ブリッジとから成り、前記圧力開放管の前記下部に取り付けられている安全キャップユニットと
を含む、
前記安全キャップ組立体の前記圧力開放管に取り付けられている圧力調整重りと
を備えた圧力調理器。
[14] 鍋と前記鍋を覆う蓋とを備える圧力調理器であって、
安全キャップ組立体と、前記安全キャップ組立体は、
軸方向に延在する圧力開放流路が中に形成されており、外方に延在するフランジ部が下端に形成されている圧力開放管と、
前記圧力開放管の下部に取り付けられており、実質的に、上端から下端へと徐々に増加する外径を有する円錐台形状であるキャップ固定ナットと、
メッシュケーシングと支持ブリッジとから成り、前記圧力開放管の前記下部に取り付けられている安全キャップユニットと
を含む、
前記安全キャップ組立体の前記圧力開放管に取り付けられている真空アダプタと、前記真空アダプタは、前記鍋の内側を真空にするために真空源に接続されるように構成されている、
を備えた圧力調理器。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図9A
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B