(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットまたは数字を付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0022】
[実施形態の概要]
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。近年、遠隔地にカメラを配置し、このカメラによって撮影された映像に基づいて、監視装置において映像データを解析して交通量の計測を行う技術が開示されている。交通量の計測は常に有効な状態であってもよいが、有効な状態と無効な状態との間の切り替えが可能な場合も存在し得る。例えば、かかる切り替えが監視者によるカメラ操作部に対する切り替え操作に基づいて行われる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0023】
監視者によるカメラ操作部に対する切り替え操作に基づいて切り替えがなされる技術においては、交通量の計測のためにカメラからの映像が監視装置に提供される他に、交通量の計測を有効にするか否かを制御するための制御信号もカメラ操作部から監視装置に対して送信される。そこで、本明細書においては、交通量の計測を有効にするための制御信号が監視装置に対して外部から与えられなくても監視装置において交通量の計測が無効な状態から有効な状態にすることが可能な技術を主に提案する。
【0024】
なお、本明細書において、監視装置において交通量の計測が有効な状態は、監視装置における交通量の計測結果が利用される状態を意味し得る。交通量の計測結果はどのように利用されてもよく、所定の記録媒体に記録されてもよいし、交通量の集計に利用されてもよいし、何らかの演算のために用いられてもよい。一方、監視装置において交通量の計測が無効な状態は、監視装置における交通量の計測結果が利用されない状態を意味し得る。
【0025】
また、本明細書においては、監視装置において交通量の計測が有効な状態であるか否かに関わらず、監視装置において交通量の計測がなされる例を説明する。しかし、監視装置において交通量の計測が無効な状態においては、監視装置において交通量の計測自体がなされなくてもよい。したがって、監視装置において交通量の計測が無効な状態は、監視装置において交通量の計測自体が行われない状態をも含み得る。また、監視装置において交通量の計測が無効な状態においては、交通量の計測以外の計測(車両以外の動物体の計測など)がなされるか否かは特に問われない。
【0026】
以下では、監視装置において映像データの解析による交通量の計測が有効な状態を指す文言として「有効監視状態」を用い、監視装置において交通量の計測が無効な状態を指す文言として「無効監視状態」を用いる。
【0027】
また本明細書では、カメラを所定の方向に固定して、カメラによって撮影された映像に映る道路を機械的・自動的に監視することを「自動監視」と呼ぶこととする。特に、自動監視においては、カメラによって撮影された映像を使って、道路を通行する車両の交通量(例えば、車両の通行台数、車両の平均速度など)の計測が行われる。また、道路の監視者がカメラを任意の方向に向けることで、カメラによって撮影された映像に映る道路を監視者が目視で監視することを「手動監視」と呼ぶこととする。
【0028】
道路の監視目的で遠隔地に配置された旋回カメラを自動監視と手動監視で併用する場合、一般的には自動監視と手動監視との間において、監視モードの切り替えが行われながら監視が行われる。なぜならば、監視者がカメラを旋回させることで、当該カメラが自動監視で設定された所定の方向と異なる方向を向いており、自動監視を正確に行えない可能性があるからである。このため、自動監視から手動監視に状態が変わった場合は、自動監視で行われていた交通量計測を停止するようにするのがよい。また、手動監視から自動監視に状態が戻った場合は、交通量計測を再開させるようにするのがよい。
【0029】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシステム1Aの全体構成図である。
図1に示すように、システム1Aは、制御装置10A、カメラ20、監視装置30および操作装置40を有して構成される。カメラ20は、操作装置40からの遠隔操作により旋回(パン、チルトまたはズーム)することが可能である。カメラ20は、通常は視点を固定して道路を撮影する「自動監視」の状態を継続する。固定される視点は複数あってよい。ここでは、カメラ20は自動監視におけるN個の視点を有している。以下、自動監視においてカメラ20が有効監視状態となる視点n(1≦n≦N)を向いているとき、カメラ20および監視装置30の状態は有効監視状態nである、と言う。
【0030】
監視者50は、操作装置40によってカメラ20を旋回させることにより、カメラ20を任意の方向に向け、道路その他を監視する「手動監視」を行うことができる。また、監視者50は、通常、手動監視が終了すると、カメラ20をいずれかの有効監視状態の視点に戻す。例えば、監視者50がカメラ20の視点を指定すると、自動的にその視点へカメラ20が向くようになっていてよい。
【0031】
監視装置30は常に自動監視を継続しており、監視装置30の自動監視の状態が有効監視状態であるとき、カメラ20から受信された映像データを解析して、その視点における交通量(例えば、車両の通行台数、車両の平均速度など)を計測する。一方、監視者50が操作装置40からの操作信号でカメラ20を遠隔操作し、手動監視を行なおうとする場合は、操作信号に応じて旋回等を行ったカメラ20から受信された映像を監視者50に提示し、監視可能とさせる。監視装置30の自動監視の状態が有効監視状態であるか無効監視状態であるか、有効監視状態の場合に自動監視における視点がいずれであるかは、制御装置10から送られる制御信号に基づいて決定されてよい。
【0032】
図2は、制御装置10Aの機能構成を示す図である。
図2に示すように、制御装置10Aは、受信部101Aと、算出部102と、判定部103Aと、制御部104Aと、記憶部105Aと、送信部106とを備える。
図3は、記憶部105Aによって記憶されるデータの例を示す図である。
図3に示すように、記憶部105Aは、現在の監視状態とカメラ20の視点ごとの動きベクトルとを記憶していてよい。ここで、現在の監視状態とは、自動監視の状態が、有効監視状態であるか無効監視状態であるかを示す。自動監視の状態が有効監視状態である場合には、現在の監視状態は、カメラ20の視点がN個の視点のうちいずれであるかを示してよい。
【0033】
また、
図3を参照すると、動きベクトルは方向と大きさとの組み合わせを含んでいる。しかし、動きベクトルは、カメラ20の視点ごとの特徴量の一例に過ぎない。したがって、動きベクトルは、方向と大きさとの組み合わせ以外の特徴量であってもよい。例えば、特徴量は、動きの方向、動きの大きさおよび動きの位置のうち少なくとも何れか一つを含んでもよい。あるいは、特徴量は、変化のない領域(例えば、隣接する複数のレーンの境界線など)であってもよい。かかる特徴量は、映像の監視結果や計測結果に基づいてあらかじめ算出され、記憶部105Aに記憶されてよい。
【0034】
受信部101Aは、カメラ20から映像を受信する。受信部101Aは、受信した映像を算出部102に受け渡す。算出部102は、時系列に撮影された映像から動きベクトル(方向と大きさとの組み合わせ)を算出する。なお、算出部102によって算出される動きベクトルも特徴量の一例に過ぎない。したがって、動きベクトルは、映像から検出される動きの方向と大きさとの組み合わせ以外の特徴量であってもよい。特徴量は、映像から検出される動きの方向、動きの大きさおよび動きの位置のうち少なくとも何れか一つを含んでもよい。あるいは、特徴量は、映像から検出される変化のない領域(例えば、隣接する複数のレーンの境界線など)であってもよい。より具体的に説明すると、時系列的に映像の変化がないことを、特徴量を表現するための指標として捉えれば、映像の変化がない領域の場所を特徴量として利用できる。
【0035】
図4〜
図6は、受信部101Aによって受信される映像の例である。
図4に示すような映像Img−1が受信された場合、算出部102は、映像Img−1から車両を抽出し、抽出した車両の移動の方向および大きさを動きベクトルとして算出してよい。同様に、
図5に示すような映像Img−2が受信された場合、算出部102は、映像Img−2から車両を抽出し、抽出した車両の移動の方向および大きさを動きベクトルとして算出してよい。算出される動きベクトルの数は限定されない。
【0036】
例えば、
図4および
図5に示したように、算出部102によって算出される動きベクトルの数は、視点ごとに1つであってもよい。あるいは、算出部102によって算出される動きベクトルの数は、視点に対して複数であってもよい。
図6に示すように、対向する複数の車両が映る映像Img−3が受信されるような場合、算出部102は、1つの視点に対して複数の動きベクトルを算出してもよい。
【0037】
より詳細には、算出部102は、映像Img−3を複数のエリアに分割し、エリアごとの動きベクトルを算出してもよい。あるいは、算出部102は、映像Img−3から算出した複数の動きベクトルを同一または類似する動きベクトルごとにグループ化した場合、属する動きベクトルの数が上位k番目までのグループを、その視点における動きベクトルとして採用してもよい。算出部102は、算出した動きベクトルを判定部103に受け渡す。
【0038】
なお、現在の監視状態が有効監視状態の場合には、カメラ20が固定されており、動物体以外は静止していることが想定される。そして、この場合の動物体は、大半が監視対象である車両である。したがって、算出部102は、現在の監視状態が有効監視状態の場合には、映像から検出される動きベクトルを、映像中の車両に基づくものとして算出することができる。一方、現在の監視状態が無効監視状態の場合には、カメラ20が動かされており、映像全体が変化していることが想定される。したがって、算出部102は、現在の監視状態が無効監視状態の場合には、映像から検出される動きベクトルを、映像全体の動きに基づくものとして算出することになる。
【0039】
判定部103Aは、算出部102から受け取った動きベクトルが所定の条件を満たすか否かを判定する。所定の条件は、あらかじめ登録された動きベクトルと算出部102から受け取った動きベクトルとの一致度合いに関する条件を含んでもよい。例えば、判定部103Aは、記憶部105Aによってあらかじめ記憶されたデータ(有効監視状態1〜nとそれぞれに対応する動きベクトル)を参照しながら、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されているか否かを判定する。
【0040】
その後、判定部103Aは、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されている場合には、その動きベクトルに対応する有効監視状態nを制御部104Aに通知する。一方、判定部103Aは、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されていない場合には、無効監視状態を制御部104Aに通知する。なお、動きベクトル同士の類似範囲は特に限定されず、あらかじめ定められていてよい。
【0041】
制御部104Aは、記憶部105Aに記憶された「現在の監視状態」と判定部103Aから「通知された監視状態」とに基づいて、監視装置30の動作を制御する。例えば、制御部104Aは、「現在の監視状態」と「通知された監視状態」との関係に基づいて、以下のように監視装置30の動作を制御してよい。
【0042】
例えば、制御部104Aは、「現在の監視状態」と「通知された監視状態」とが一致する場合、監視状態を変更させる必要がないと考えられる。したがって、制御部104Aは、「現在の監視状態」と「通知された監視状態」とが一致する場合、監視装置30に制御信号を送らないようにしてよい。また、制御部104Aは、「現在の監視状態」と「通知された監視状態」とが一致する場合、記憶部105Aによって記憶された「現在の監視状態」を変更しなくてよい。
【0043】
また、制御部104Aは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、記憶部105Aによって記憶された「現在の監視状態」を有効監視状態nに更新してよい。また、制御部104Aは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、監視装置30に対して、「有効監視状態nを開始する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。
【0044】
また、制御部104Aは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、記憶部105Aによって記憶された「現在の監視状態」を無効監視状態に更新してよい。また、制御部104Aは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、監視装置30に対して、「有効監視状態nを停止する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。
【0045】
また、制御部104Aは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態m(n≠m)である場合、記憶部105Aによって記憶された「現在の監視状態」を有効監視状態mに更新してよい。また、制御部104Aは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態m(n≠m)である場合、監視装置30に対して、「有効監視状態nを停止する」ための制御信号および「有効監視状態mを開始する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。
【0046】
続いて、本発明の第1の実施形態に係る制御装置10Aの動作の例について説明する。
図7は、制御装置10Aの動作の流れの例を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、受信部101Aは、カメラ20から映像信号を受信する(S101)。そして、受信部101Aは、受信した映像信号を算出部102に受け渡す。続いて、算出部102は、時系列に撮影された映像信号から動きベクトルを算出する(S102)。算出部102は、算出した動きベクトルを判定部103Aに受け渡す。
【0047】
続いて、判定部103Aは、記憶部105Aによってあらかじめ記憶されたデータ(有効監視状態1〜nとそれぞれに対応する動きベクトル)を参照しながら、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されているか否かを判定する(S103)。
【0048】
判定部103Aは、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されていると判定した場合には(S103において「Yes」)、その動きベクトルに対応する有効監視状態を制御部104Aに通知して、S104に進む。一方、判定部103Aは、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されていないと判定した場合には(S103において「No」)、S108に進む。
【0049】
S104に進んだ場合、制御部104Aは、記憶部105Aに記憶された「現在の監視状態」と判定部103Aから「通知された監視状態」とが同じ場合には(S104において「Yes」)、動作を終了してよい。一方、制御部104Aは、記憶部105Aに記憶された「現在の監視状態」と判定部103Aから「通知された監視状態」とが異なる場合には(S104において「No」)、記憶部105によって記憶された「現在の監視状態」を判定部103Aから「通知された監視状態」に更新し(S105)、監視装置30に対して、現在の視点の有効監視状態を停止するための制御信号を、送信部106を介して送り(S106)、新しい視点における有効監視状態を開始するための制御信号を、送信部106を介して送ってよい(S107)。
【0050】
S108に進んだ場合、制御部104Aは、記憶部105Aに記憶された「現在の監視状態」が無効監視状態である場合(S108において「Yes」)、動作を終了してよい。一方、制御部104Aは、記憶部105Aに記憶された「現在の監視状態」が有効監視状態である場合(S108において「No」)、記憶部105Aによって記憶された「現在の監視状態」を「無効監視状態」に更新し、監視装置30に対して、無効監視状態を開始するための制御信号を、送信部106を介して送ってよい(S109)。
【0051】
以上、本発明の第1の実施形態に係る制御装置10Aの動作の例について説明した。本発明の第1の実施形態によれば、カメラ20によって撮影された映像から算出された動きベクトルが所定の条件を満たす場合に、監視装置30の状態を有効監視状態に切り替えることが可能となる。したがって、有効監視状態に切り替えるための制御信号が監視装置30に対して外部から与えられなくても監視装置30の状態を無効監視状態から有効監視状態に切り替えることが可能となる。
【0052】
また、本発明の第1の実施形態によれば、カメラ20によって撮影された映像から算出された動きベクトルが所定の条件を満たさない場合に、監視装置30の状態を無効監視状態に切り替えることが可能となる。したがって、無効監視状態に切り替えるための制御信号が監視装置30に対して外部から与えられなくても監視装置30の状態を有効監視状態から無効監視状態に切り替えることが可能となる。
【0053】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0054】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るシステム1Bの全体構成図である。
図8に示すように、システム1Bは、制御装置10B、カメラ20、監視装置30および操作装置40を有して構成される。本発明の第2の実施形態においては、監視装置30の状態が無効監視状態である場合における各種データ(例えば、カメラ20によって撮影された映像および映像に基づいて計測された交通量の少なくとも何れか一方)を、監視装置30側に設けられた記録媒体に記録しない手法について説明する。
【0055】
なお、本発明の第2の実施形態におけるカメラ20、監視装置30および操作装置40は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ20、監視装置30および操作装置40と同様の機能を有するため、カメラ20、監視装置30および操作装置40に関する説明は省略する。また、本発明の第2の実施形態における制御装置10Bが有する機能のうち、本発明の第1の実施形態における制御装置10Aが有する機能と同様な機能に関する説明は省略する。本発明の第2の実施形態においては、カメラ20から制御装置10Bに送られる映像信号に、その映像が撮影された撮影時刻が付される。
【0056】
図9は、制御装置10Bの機能構成を示す図である。
図9に示すように、制御装置10Bは、受信部101Bと、算出部102と、判定部103Aと、制御部104Bと、記憶部105Bと、送信部106とを備える。受信部101Bは、カメラ20から撮影時刻が付された映像信号を受信して算出部102に受け渡す。また、受信部101Bは、映像信号に付された撮影時刻を制御部104Bに受け渡す。記憶部105Bは、「現在の監視状態」の他、「無効監視状態の開始時刻」を記憶している。
【0057】
制御部104Bは、記憶部105Bに記憶された「現在の監視状態」と判定部103Aから「通知された監視状態」と受信部101Bから受け取った「撮影時刻」とに基づいて、監視装置30の動作を制御する。例えば、制御部104Bは、「現在の監視状態」と「通知された監視状態」と「撮影時刻」との関係に基づいて、以下のように監視装置30の動作を制御してよい。
【0058】
例えば、制御部104Bは、「現在の監視状態」と「通知された監視状態」とが一致する場合、本発明の第1の実施形態と同様に、監視装置30に制御信号を送らないようにしてよい。また、制御部104Bは、「現在の監視状態」と「通知された監視状態」とが一致する場合、本発明の第1の実施形態と同様に、記憶部105Aによって記憶された「現在の監視状態」を変更しなくてよい。
【0059】
また、制御部104Bは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、本発明の第1の実施形態と同様に、記憶部105Bによって記憶された「現在の監視状態」を有効監視状態nに更新してよい。また、制御部104Bは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、本発明の第1の実施形態と同様に、監視装置30に対して、「有効監視状態nを開始する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。さらに、制御部104Bは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、「無効監視状態の開始時刻」から「撮影時刻」までの各種データ(例えば、カメラ20によって撮影された映像および映像に基づいて計測された交通量の少なくとも何れか一方)を記録媒体に記録しないようにしてよい。
【0060】
また、制御部104Bは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、本発明の第1の実施形態と同様に、記憶部105Bによって記憶された「現在の監視状態」を無効監視状態に更新してよい。また、制御部104Bは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、本発明の第1の実施形態と同様に、監視装置30に対して、「有効監視状態nを停止する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。さらに、制御部104Bは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、「無効監視状態の開始時刻」を「撮影時刻」に更新してよい。
【0061】
また、制御部104Bは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態m(n≠m)である場合、本発明の第1の実施形態と同様に、記憶部105Bによって記憶された「現在の監視状態」を有効監視状態mに更新してよい。また、制御部104Bは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態m(n≠m)である場合、本発明の第1の実施形態と同様に、監視装置30に対して、「有効監視状態nを停止する」ための制御信号および「有効監視状態mを開始する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。
【0062】
以上、本発明の第2の実施形態に係る制御部104Bが有する機能の例について説明した。本発明の第2の実施形態によれば、制御部104Bは、監視装置30の状態が無効監視状態における各種データ(例えば、映像および交通量の少なくとも何れか一方)を記録媒体に記録させないようにすることが可能である。一方、制御部104Bは、監視装置30の状態が有効監視状態における各種データ(例えば、映像および交通量の少なくとも何れか一方)を記録媒体に記録させることが可能である。
【0063】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0064】
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態に係るシステム1Cの全体構成図である。
図10に示すように、システム1Cは、制御装置10C、カメラ20、監視装置30および操作装置40を有して構成される。本発明の第3の実施形態においては、無効監視状態の継続時間や、累積時間または回数が上限値を超えた場合に、その旨が監視者50に通知される手法について説明する。通知の手法は特に限定されず、操作装置40の画面に表示させる手法であってもよいし、他の手法であってもよい。
【0065】
なお、本発明の第3の実施形態におけるカメラ20、監視装置30および操作装置40は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ20、監視装置30および操作装置40と同様の機能を有するため、カメラ20、監視装置30および操作装置40に関する説明は省略する。また、本発明の第3の実施形態における制御装置10Cが有する機能のうち、本発明の第1の実施形態における制御装置10Aが有する機能と同様な機能に関する説明は省略する。本発明の第3の実施形態においては、カメラ20から制御装置10Cに送られる映像信号に、その映像が撮影された撮影時刻が付される。
【0066】
図11は、制御装置10Cの機能構成を示す図である。
図11に示すように、制御装置10Cは、受信部101Cと、算出部102と、判定部103Aと、制御部104Cと、記憶部105Cと、送信部106とを備える。受信部101Cは、カメラ20から撮影時刻が付された映像信号を受信して算出部102に受け渡す。また、受信部101Cは、映像信号に付された撮影時刻を制御部104Cに受け渡す。記憶部105Cは、「現在の監視状態」の他、「無効監視状態の開始時刻」、「無効監視状態の累積時間」、「無効監視状態の継続時間の上限値」および「無効監視状態の累積時間の上限値」を記憶している。
【0067】
制御部104Cは、記憶部105Cに記憶された「現在の監視状態」、「無効監視状態の開始時刻」、「無効監視状態の累積時間」、「無効監視状態の継続時間の上限値」および「無効監視状態の累積時間の上限値」と判定部103Aから「通知された監視状態」と受信部101Cから受け取った「撮影時刻」とに基づいて、監視装置30の動作を制御する。例えば、制御部104Cは、「現在の監視状態」、「無効監視状態の開始時刻」、「無効監視状態の累積時間」、「無効監視状態の継続時間の上限値」および「無効監視状態の累積時間の上限値」と「通知された監視状態」と「撮影時刻」との関係に基づいて、以下のように監視装置30の動作を制御してよい。
【0068】
例えば、制御部104Cは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、監視装置30に制御信号を送らないようにしてよい。また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、記憶部105Cによって記憶された「現在の監視状態」を変更しなくてよい。
【0069】
また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、「撮影時刻」から「無効監視状態の開始時刻」を減算した結果が「無効監視状態の継続時間の上限値」を超えていれば、監視者50に対してその旨の通知を行ってよい。また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、「撮影時刻」から「無効監視状態の開始時刻」を減算した結果を「無効監視状態の累積時間」に加算することによって「無効監視状態の累積時間」を更新してよい。
【0070】
さらに、制御部104Cは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、「無効監視状態の累積時間」が「無効監視状態の累積時間の上限値」を超えていれば、監視者50に対してその旨の通知を行ってよい。なお、ここでは、「無効監視状態の累積時間」が用いられる場合を主に説明しているが、「無効監視状態の累積時間」の代わりに、「無効監視状態の回数」が用いられてもよい。
【0071】
また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、本発明の第1の実施形態と同様に、記憶部105Cによって記憶された「現在の監視状態」を有効監視状態nに更新してよい。また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が無効監視状態である場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態nである場合、本発明の第1の実施形態と同様に、監視装置30に対して、「有効監視状態nを開始する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。
【0072】
また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、本発明の第1の実施形態と同様に、記憶部105Cによって記憶された「現在の監視状態」を無効監視状態に更新してよい。また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、本発明の第1の実施形態と同様に、監視装置30に対して、「有効監視状態nを停止する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。さらに、制御部104Cは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が無効監視状態である場合、「無効監視状態の開始時刻」を「撮影時刻」に更新してよい。
【0073】
また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態m(n≠m)である場合、本発明の第1の実施形態と同様に、記憶部105Cによって記憶された「現在の監視状態」を有効監視状態mに更新してよい。また、制御部104Cは、「現在の監視状態」が有効監視状態nである場合、かつ、「通知された監視状態」が有効監視状態m(n≠m)である場合、本発明の第1の実施形態と同様に、監視装置30に対して、「有効監視状態nを停止する」ための制御信号および「有効監視状態mを開始する」ための制御信号を、送信部106を介して送ってよい。
【0074】
以上、本発明の第3の実施形態に係る制御部104Cが有する機能の例について説明した。本発明の第3の実施形態によれば、制御部104Cは、無効監視状態の累積時間または回数が上限値を超えた場合には、監視者50に対して所定の通知を行うことが可能である。さらに、制御部104Cは、無効監視状態の継続時間が上限値を超えた場合には、監視者50に対して所定の通知を行うことが可能である。例えば、監視者50は、かかる通知を受けた場合、操作装置40を操作して監視装置30の状態を有効監視状態に戻し、有効監視状態における交通量の計測を必要な時間分確保することができる。
【0075】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
【0076】
[第4の実施形態]
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第4の実施形態に係るシステム1Dの全体構成図である。
図12に示すように、システム1Dは、制御装置10D、カメラ20、監視装置30および操作装置40を有して構成される。本発明の第4の実施形態においては、あらかじめ登録された動きベクトルと算出された動きベクトルとの一致度合いが下限値を下回る場合に、監視者50に対して所定の通知を行う手法について説明する。通知の手法は特に限定されず、操作装置40の画面に表示させる手法であってもよいし、他の手法であってもよい。
【0077】
なお、本発明の第4の実施形態におけるカメラ20、監視装置30および操作装置40は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ20、監視装置30および操作装置40と同様の機能を有するため、カメラ20、監視装置30および操作装置40に関する説明は省略する。また、本発明の第4の実施形態における制御装置10Dが有する機能のうち、本発明の第1の実施形態における制御装置10Aが有する機能と同様な機能に関する説明は省略する。
【0078】
図13は、制御装置10Dの機能構成を示す図である。
図13に示すように、制御装置10Dは、受信部101Aと、算出部102と、判定部103Bと、制御部104Dと、記憶部105Aと、送信部106とを備える。本発明の第4の実施形態における受信部101A、算出部102および記憶部105Aが有する機能は、本発明の第1の実施形態における受信部101A、算出部102および記憶部105Aが有する機能と同様であるため、詳細については説明を省略する。
【0079】
判定部103Bは、記憶部105Aにあらかじめ登録された動きベクトルと算出部102によって算出された動きベクトルとの一致度合いを算出する。例えば、判定部103Bは、記憶部105Aによってあらかじめ記憶されたデータ(有効監視状態1〜nとそれぞれに対応する動きベクトル)を参照しながら、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されているか否かを判定する。
【0080】
その後、判定部103Bは、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されている場合には、その動きベクトルに対応する有効監視状態nを制御部104Dに通知する。一方、判定部103Bは、算出部102から受け取った動きベクトルと一致または類似する動きベクトルが記憶部105Aに登録されていない場合には、無効監視状態を制御部104Bに通知する。その他、判定部103Bは、記憶部105Aにあらかじめ登録された動きベクトルと算出部102によって算出された動きベクトルとの一致度合いを制御部104Bに受け渡す。
【0081】
制御部104Dは、記憶部105Aに記憶された「現在の監視状態」と判定部103Bから「通知された監視状態」とに基づいて、監視装置30の動作を制御する。かかる制御は、本発明の第1の実施形態と同様であってよいため、詳細な説明は省略する。さらに、制御部104Dは、かかる一致度合いが下限値を下回る場合には、監視者50に対して所定の通知を行ってよい。下限値は特に限定されないが、あらかじめ1つの下限値が定められていてもよいし、あらかじめ視点ごとに定められていてもよい。
【0082】
以上、本発明の第4の実施形態に係る制御部104Dが有する機能の例について説明した。本発明の第4の実施形態によれば、判定部103Bは、記憶部105Aにあらかじめ登録された動きベクトルと算出部102によって算出された動きベクトルとの一致度合いを算出し、制御部104Dは、一致度合いが下限値を下回る場合には、監視者50に対して所定の通知を行うことが可能である。例えば、監視者50は、かかる通知を受けた場合、操作装置40を操作して監視装置30の状態を正常な有効監視状態nに変更することができる。
【0083】
以上、本発明の第4の実施形態について説明した。
【0084】
[第5の実施形態]
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。
図14は、本発明の第5の実施形態に係るシステム1Eの全体構成図である。
図14に示すように、システム1Eは、カメラ20、監視装置30、操作装置40、記憶装置60および集計装置70を有して構成される。本発明の第5の実施形態においては、監視装置30の状態が有効監視状態である場合における交通量を集計して出力する手法について説明する。
【0085】
なお、本発明の第5の実施形態におけるカメラ20、監視装置30および操作装置40は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ20、監視装置30および操作装置40と同様の機能を有するため、カメラ20、監視装置30および操作装置40に関する説明は省略する。
図14に示すように、操作装置40は、手動監視の開始時刻および終了時刻を操作記録として記憶装置60に記憶させる。なお、
図14に示した例では、システム1Eが制御装置10Aを備えていないが、システム1Eは制御装置10Aを備えていてもよい。かかる場合、制御装置10Aが操作記録を記憶装置60に記憶させてよい。
【0086】
記憶装置60によって記憶された操作記録は、集計装置70に出力される。また、監視装置30によって計測された交通量は、計測記録として集計装置70に出力される。
図15は、集計装置70の機能構成を示す図である。
図15に示すように、集計装置70は、受信部701と、集計部702とを備える。受信部701は、監視装置30から計測記録を受信するとともに記憶装置60から操作記録を受信して、計測記録および操作記録を集計部702に受け渡す。
【0087】
集計部702は、計測記録および操作記録を集計部702に基づいて、有効監視状態における交通量を集計し、集計結果を出力する。より詳細には、集計部702は、操作記録を参照して、計測記録から、無効監視状態と見做せる手動監視の開始時刻から終了時刻までに該当する部分を除外した結果を集計結果として出力すればよい。
【0088】
以上、本発明の第5の実施形態に係る集計装置70が有する機能の例について説明した。本発明の第5の実施形態によれば、監視装置30の状態が有効監視状態の場合における交通量が集計されて出力される。
【0089】
以上、本発明の第5の実施形態について説明した。
【0090】
[効果の説明]
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、カメラ20によって撮影された映像から算出された動きベクトルが所定の条件を満たす場合に、監視装置30の状態を有効監視状態に切り替えることが可能となる。したがって、有効監視状態に切り替えるための制御信号が監視装置30に対して外部から与えられなくても監視装置30の状態を無効監視状態から有効監視状態に切り替えることが可能となる。
【0091】
また、本発明の実施形態によれば、カメラ20によって撮影された映像から算出された動きベクトルが所定の条件を満たさない場合に、監視装置30の状態を無効監視状態に切り替えることが可能となる。したがって、無効監視状態に切り替えるための制御信号が監視装置30に対して外部から与えられなくても監視装置30の状態を有効監視状態から無効監視状態に切り替えることが可能となる。
【0092】
[変形例の説明]
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0093】
例えば、算出部102、判定部103および制御部104を構成する各ブロックは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、記憶部105により記憶されているプログラムがCPUによりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。あるいは、算出部102、判定部103および制御部104を構成する各ブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0094】
また、監視装置30は、有効監視状態における交通量の計測結果に関し、タイムスタンプとして有効監視状態の開始時刻と終了時刻とを記録することができる。かかる有効監視状態の開始時刻と終了時刻とは、カメラ間または1つのカメラ内で計測結果を突き合わせ、計測結果の内容に整合がとれているかを確認したり、交通量が時系列の変化をしたりするときに用いられてよい。
【0095】
また、上記した本発明の各実施形態では、映像データの解析による交通量の計測のためのカメラと、監視者の目視による状況監視のためのカメラを共有する構成について説明したが、監視者の目視による状況監視以外の、交通量の計測以外の目的の映像データ解析や自動監視のためのカメラと併用することも可能である。更に、映像データの解析による交通量の計測を含む、三つ以上の目的でカメラを併用する構成も可能である。
【0096】
また、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。