特許第6599650号(P6599650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599650
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】巻付けラベル連続体、及び巻付けラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20191021BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20191021BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G09F3/02 A
   G09F3/02 B
   G09F3/10 H
   B65D23/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-118141(P2015-118141)
(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-3804(P2017-3804A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】阪田 良津
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−076259(JP,A)
【文献】 特開2003−255839(JP,A)
【文献】 特開2010−097136(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0021918(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00 − 5/04
B65D 23/00 − 25/56
B32B 27/00 − 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻付けラベルの複数が長さ方向に繋がっている巻付けラベル連続体であって、
前記巻付けラベルが、
フィルムと、
前記フィルムの裏面側に設けられたメタリック印刷層と、
前記フィルムの裏面側の一部分に設けられ且つ白色インキが隙間無く連なって層を成した全白色印刷層と、
前記フィルムの裏面側うち、前記全白色印刷層が設けられた領域以外の領域に設けられた透明な樹脂層と、を有し、
最裏面が、前記全白色印刷層の裏面と前記透明な樹脂層の裏面のみで構成されている、巻付けラベル連続体。
【請求項2】
さらに、前記フィルムの表面側に、透明な表面保護層が設けられている、請求項1に記載の巻付けラベル連続体。
【請求項3】
前記全白色印刷層が、前記メタリック印刷層の裏面の一部又は全部に重なって前記フィルムの裏面側に設けられている、請求項1または2に記載の巻付けラベル連続体。
【請求項4】
前記全白色印刷層が、樹脂微粒子を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の巻付けラベル連続体。
【請求項5】
前記フィルムの裏面側には、白色インキが点在して層を成した部分白色印刷層がさらに設けられており、
前記部分白色印刷層の裏面側に、透明な樹脂層が設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の巻付けラベル連続体。
【請求項6】
フィルムと、
前記フィルムの表面側に設けられた透明な表面保護層と、
前記フィルムの裏面側に設けられたメタリック印刷層と、
前記フィルムの裏面側の一部分に設けられ且つ白色インキが隙間無く連なって層を成した全白色印刷層と、
前記フィルムの裏面側うち、前記全白色印刷層が設けられた領域以外の領域に設けられた透明な樹脂層と、を有し、
最裏面が、前記全白色印刷層の裏面と前記透明な樹脂層の裏面のみで構成されている、巻付けラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に巻き付けて装着される巻付けラベルを含む巻付けラベル連続体などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料容器、調味料容器、化粧品容器、医療用容器などの各種容器の胴部に、フィルムの第1側端部の裏面を貼着し、このフィルムを胴部周りに巻き付けた後、フィルムの第2側端部の裏面を前記第1側端部の表面に重ね合わせて接着することにより、容器に巻付け装着される巻付けラベルが知られている(特許文献1)。
このような巻付けラベルは、その複数が長さ方向に連続的に繋がった連続体(以下、巻付けラベル連続体という)の形態で提供され、容器に装着する直前に、その連続体から個々の巻付けラベルが切り出される。
具体的には、巻付けラベル連続体は、長さ方向を周方向としてロールに巻き取られた状態で保管・運搬に供され、使用時に、ラベラー(ラベルを容器に装着する装置)に充填される。ラベラーは、ロールから巻付けラベル連続体を引き出し、それを搬送ラインにて装着部位にまで搬送し、前記装着部位の直前で、巻き付けラベル連続体を切断して1つの巻付けラベルを得、これを容器に巻き付けて装着する。
このような装着形態から、巻付けラベル連続体をロールから円滑に引き出せること、搬送ラインなどで円滑に搬送できること、搬送中に傷付いてラベルの商品価値が損なわれないようにすること、などが求められる。
【0003】
ところで、巻付けラベルには商品名などの様々な印刷が施されているが、その中で、金属色を呈するメタリック印刷層が設けられている巻付けラベルも知られている。このようなメタリック印刷層は、傷付き防止の観点から、フィルムの裏面側に設けられている。さらに、ラベラーの搬送ラインで円滑に巻付けラベル連続体を搬送できるようにするため、前記メタリック印刷層の裏面側であって巻付けラベル連続体(巻付けラベル)の最も裏面側には、透明な樹脂層が設けられている。
【0004】
しかしながら、前記メタリック印刷層が設けられた巻付けラベル連続体は、ロールに巻き取られた状態で保管している間に、ブロッキングを生じ易いという問題点がある。ブロッキングを生じると、巻付けラベル連続体を円滑に引き出すことができず、その改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−003724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ブロッキングを生じ難く、ラベラーにて円滑に搬送できる巻付けラベル連続体及び巻付けラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ブロッキングが生じる原因について鋭意研究したところ、従来のメタリック印刷層は溶剤残存量が大きい上、さらに、そのメタリック印刷層の裏面側に設けられた透明な樹脂層にも溶剤が残存しているので、巻付けラベル連続体中には比較的多量の溶剤が残存しており、巻付けラベル連続体をロール状態としている間に、前記溶剤を含む印刷層がブロッキングを生じさせることを見出した。
この点、透明な樹脂層を省略すると、巻付けラベル連続体中の溶剤残存量も小さくなり、ブロッキングを効果的に防止できるが、そうすると、巻付けラベル連続体の裏面側の滑り性が低下し、ラベラーにて円滑に搬送できないおそれがある。
そこで、本発明者らは、鋭意研究したところ、白色印刷層の裏面は滑り性が良好であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明の巻付けラベル連続体は、巻付けラベルの複数が長さ方向に繋がっており、前記巻付けラベルが、フィルムと、前記フィルムの裏面側に設けられたメタリック印刷層と、前記フィルムの裏面側の一部分に設けられ且つ白色インキが隙間無く連なって層を成した全白色印刷層と、前記フィルムの裏面側うち、前記全白色印刷層が設けられた領域以外の領域に設けられた透明な樹脂層と、を有し、最裏面が、前記全白色印刷層の裏面と前記透明な樹脂層の裏面のみで構成されている。
【0009】
上記本発明の巻付けラベル連続体は、フィルムの裏面側に、白色インキが隙間無く連続した全白色印刷層と透明な樹脂層が設けられ、その連続体の最裏面が、全白色印刷層の裏面と透明な樹脂層の裏面のみで構成されている。このため、巻付けラベル連続体は、ラベラーにて円滑に搬送でき、巻付けラベル連続体の裏面側が傷付くことも抑制できる。
さらに、本発明の巻付けラベル連続体は、透明な樹脂層が全白色印刷層の設けられた領域以外の領域に設けられているので、裏面側の全体に透明な樹脂層が設けられている従来の巻付けラベル連続体に比して、1つの巻付けラベル当たりの透明な樹脂層の量が小さくなる。このため、例えば、本発明のメタリック印刷層や透明な樹脂層が有機溶剤を含むインキで形成される場合であっても、1つの巻付けラベル当たりの溶剤残存量は相対的に小さくなり、ブロッキングを生じ難い巻付けラベル連続体を構成できる。
【0010】
本発明の好ましい巻付けラベル連続体は、さらに、前記フィルムの表面側に、透明な表面保護層が設けられている。かかる巻付けラベル連続体は、ブロッキングをより生じ難く、また、巻付けラベル連続体の搬送中や巻付けラベルを装着した容器の搬送中に、巻付けラベルの表面が傷付くことを防止できる。
【0011】
本発明の好ましい巻付けラベル連続体は、前記全白色印刷層が、前記メタリック印刷層の裏面の一部又は全部に重なって前記フィルムの裏面側に設けられている。
本発明の好ましい巻付けラベル連続体は、前記全白色印刷層が、樹脂微粒子を含む。
本発明の好ましい巻付けラベル連続体は、前記フィルムの裏面側には、白色インキが点在して層を成した部分白色印刷層がさらに設けられており、前記部分白色印刷層の裏面側に、透明な樹脂層が設けられている。
【0012】
本発明の別の局面によれば、巻付けラベルを提供する。
本発明の巻付けラベルは、フィルムと、前記フィルムの表面側に設けられた透明な表面保護層と、前記フィルムの裏面側に設けられたメタリック印刷層と、前記フィルムの裏面側の一部分に設けられ且つ白色インキが隙間無く連なって層を成した全白色印刷層と、前記フィルムの裏面側うち、前記全白色印刷層が設けられた領域以外の領域に設けられた透明な樹脂層と、を有し、最裏面が、前記全白色印刷層の裏面と前記透明な樹脂層の裏面のみで構成されている
【発明の効果】
【0013】
本発明の巻付けラベル連続体は、ブロッキングを生じ難いので、ロールに巻いた状態から円滑に引き出すことができる。
さらに、本発明の巻付けラベル連続体は、ラベラーにて円滑に搬送できるので、ラベラーを用いた巻付けラベルの容器への装着を、途中で止まることなく連続的且つ円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】巻付けラベル連続体を表面側から見た斜視図。
図2】第1実施形態の巻付けラベルを表面側から見た平面図。
図3図1のIII−III線(横方向)で切断した断面図。
図4図1のIV−IV線(縦方向)で切断した断面図。
図5】巻付けラベルを容器に装着する過程を示す正面図。
図6】ラベル付き容器の正面図。
図7】第2実施形態の巻付けラベルを横方向で切断した断面図。
図8】部分白色印刷層と全白色印刷層の白色インキを模式的に表した参考平面図。
図9】第3実施形態の巻付けラベルを横方向で切断した断面図。
図10】第4実施形態の巻付けラベルを横方向で切断した断面図。
図11】第5実施形態の巻付けラベルを横方向で切断した断面図。
図12】第6実施形態の巻付けラベルを横方向で切断した断面図。
図13】第7実施形態の巻付けラベルを横方向で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
ただし、本明細書において、ある部材又は層の「表面」は、巻付けラベルを容器に巻き付ける際に外側となる面を指し、「裏面」は、巻付けラベルを容器に巻き付ける際に内側(容器側)となる面を指す。また、「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
なお、各図において表された形状、大きさ、各層の厚み及びそれらの相対的な比率などは、実際の寸法とは異なっていることに留意されたい。
【0016】
[巻付けラベル連続体及び巻付けラベル]
巻付けラベル連続体10は、図1に示すように、全体として長尺帯状であり、通常、ロールに巻かれて保管され、その状態で運搬される。
巻付けラベル連続体10は、概念上、複数の巻付けラベル1が長さ方向に連続的に繋がって構成されている。換言すると、巻付けラベル連続体10は、長さ方向が幅方向に対して十分に長い長尺帯状のフィルムに、後述するメタリック印刷層などの各層が所望のパターンで設けられ、そのパターンが長さ方向に繰り返し形成されて構成されている。前記各層が1つのパターンで形成されたものが1つの巻付けラベル1であり、個々の巻付けラベル1は、巻付けラベル連続体10を、隣接するパターンの間で幅方向に切断することによって得られる。なお、図1の矢印は、隣接するパターン(隣接する巻付けラベル1)の境界部であって、巻付けラベル連続体10から巻付けラベル1を得る際の切断箇所を示している。
このように巻付けラベル連続体10は、巻付けラベル1が連続的に繋がったものなので、以下、巻付けラベル1の層構成を具体的に説明し、巻付けラベル連続体10の層構成の説明は省略する。
【0017】
第1実施形態に係る巻付けラベル1は、図2乃至図4に示すように、フィルム2と、前記フィルム2の表面側に設けられた透明な表面保護層3と、前記フィルム2の裏面側に設けられたメタリック印刷層4と、前記フィルム2の裏面側に設けられ且つ白色インキが隙間無く連なって層を成した全白色印刷層5と、前記フィルム2の裏面側うち、前記全白色印刷層5が設けられた領域以外の領域に設けられた透明な樹脂層6と、を有する。
【0018】
<フィルム>
フィルム2は、平面視所定形状に形成されている。フィルム2の平面視形状は、例えば、長方形状又は正方形状である。図示例では、フィルム2は、横方向が縦方向よりも大きい平面視長方形状に形成されている。
なお、図1に示す巻付けラベル連続体10は、前記フィルム2の横方向を長さ方向として巻付けラベル1が連続的に繋がっている。もっとも、本発明の巻付けラベル連続体は、フィルム2の縦方向を長さ方向として巻付けラベル1が連続的に繋がっている態様でもよい。
フィルム2は、透明且つ柔軟なシート材であることを条件として特に限定されず、例えば、代表的には、合成樹脂フィルム、合成樹脂フィルムを含む積層フィルムが挙げられる。
【0019】
合成樹脂フィルムの材質は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、環状オレフィン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種又は2種以上の混合物などが挙げられる。中でも、ポリオレフィン系樹脂を含むフィルムやポリエステル系樹脂を含むフィルムが好ましい。
なお、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムは、ぬれ性が低い。ぬれ性の低い樹脂を表裏面に有するフィルムを用いる場合には、必要に応じて、コロナ放電処理などの表面改質処理を行っておくことが好ましい。例えば、フィルム2として、裏面及び表面の少なくとも一方に(好ましくは、裏面及び表面の双方に)コロナ放電処理などの表面改質処理が施されたポリオレフィン系樹脂フィルムが用いられる。
フィルム2の透明性は、フィルム2の裏面側に設けられたメタリック印刷層4の金属色などをフィルム2の表面側から視認できるほどに、可視光を透過するものであればよい。例えば、前記透明なフィルム2の全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。本明細書において、全光線透過率は、JIS K7361(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
【0020】
フィルム2は、非熱収縮性及び/又は非自己伸縮性のフィルムでもよく、或いは、熱収縮性及び/又は自己伸縮性を有していてもよい。中でも、本発明で用いられるフィルム2は、二軸延伸フィルムが好ましく、さらに、非熱収縮性の二軸延伸フィルムがより好ましい。具体的には、フィルム2は、非熱収縮性の二軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、又は二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが好ましく、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム又は二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムがより好ましい。なお、二軸延伸ポリオレフィン系フィルム(二軸延伸ポリプロピレン系フィルム)については、上述のように、表面及び裏面の少なくとも一方にコロナ放電処理等の表面改質処理が施されていることが好ましい。
【0021】
前記非熱収縮性のフィルムは、後述する熱収縮性を実質的に有さないフィルムをいい、非自己伸縮性は後述する自己伸縮性を実質的に有さないフィルムをいう。前記熱収縮性を実質的に有さないフィルムは、例えば、後述する横方向における熱収縮率が5%以下で、縦方向における熱収縮率が5%以下のものが含まれる。
【0022】
前記熱収縮性を有するフィルムは、シュリンクフィルムなどとも呼ばれ、所定温度(例えば、70℃〜100℃)に加熱すると収縮する性質を有する。前記自己伸縮性を有するフィルムは、ストレッチフィルムなどとも呼ばれ、(前記のような熱収縮性を有さず)拡張力を加えることによって伸び、拡張力を解除することによってほぼ復元する性質を有する。熱収縮性及び自己伸縮性を有するフィルムは、ストレッチシュリンクフィルムなどとも呼ばれ、前記熱収縮性と自己伸縮性を併せ持つ。
前記熱収縮性を有するフィルムは、熱収縮温度(例えば、70℃〜100℃)において、少なくとも横方向に熱収縮し得るものが用いられる。また、熱収縮性を有するフィルムは、縦方向(縦方向は、フィルムの面内において前記横方向と直交する方向)にも熱収縮し得るものでもよい。例えば、熱収縮性を有するフィルムは、例えば、85℃に加熱した際の横方向における熱収縮率が30%以上であることが好ましく、さらに、40%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。また、前記フィルムが縦方向にも熱収縮し得る場合、そのフィルムの、85℃に加熱した際の縦方向における熱収縮率は、1%〜15%であり、好ましくは1%〜10%である。
ここで、前記85℃に加熱した際の熱収縮率は、加熱前の熱収縮性を有するフィルムの長さ(元の長さ)と、前記フィルムを85℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合である。前記熱収縮率は、下記式に代入して求められる。
式:熱収縮率(%)=[{(フィルムの横方向(又は縦方向)の元の長さ)−(フィルムの横方向(又は縦方向)の浸漬後の長さ)}/(フィルムの横方向(又は縦方向)の元の長さ)]×100。
フィルム2の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm〜120μmであり、好ましくは、10μm〜50μmであり、より好ましくは、12μm〜40μmである。一般に、厚みが小さいフィルムは、ロールに巻いたときの巻き長さが長くなるので(つまり、フィルムをロールに巻いて例えば直径1mとした際に、厚みが小さいフィルムほどそのロールに巻く長さが長くなるので)、ブロッキングを生じ易い傾向にある。この点、本発明によれば、前記のような厚みのフィルムを用いても、ブロッキングを効果的に防止できる。
【0023】
前記フィルム2の表面側には、透明な表面保護層3が設けられている。表面保護層3は、その形成材料が隙間無く連なって層を成している。詳しくは、表面保護層の形成材料がフィルム2の表面においてフィルム2の面方向に隙間無く連なって層を成している。表面保護層3は、必要に応じて設けられる。もっとも、表面にコロナ放電処理などの表面改質処理が施されているフィルム2を用いる場合には、ブロッキング防止のため、表面保護層3が設けられていることが好ましい。
表面保護層3の透明性は、フィルム2の裏面側に設けられたメタリック印刷層4の金属色などをフィルム2の表面側から視認できるほどに、可視光を透過するものであればよい。例えば、前記透明な表面保護層3の全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。前記全光線透過率は、全光線透過率が90%以上のフィルム2の表面に表面保護層3が設けられたものをサンプルとして、JIS K7361に準拠した測定法によって測定される値をいう。
前記表面保護層3は、フィルム2の表面に直接設けられている。もっとも、フィルム2の表面に透明な任意の機能層(図示せず)が設けられている場合には、表面保護層3は、その機能層の表面に設けられる。
【0024】
前記表面保護層3は、フィルム2の表面側の全体に設けられていてもよく、フィルム2の表面側の一部分に設けられていてもよい。例えば、表面保護層3は、フィルム2の横方向第1側の側端部2a(以下、第1側端部2aという)を除くフィルム2の表面側に設けられている。前記フィルム2の第1側端部2aは、横方向第1側において縦方向に帯状に伸びる領域をいう。また、フィルム2の第2側端部2bは、フィルム2の横方向において前記第1側端部2aと向かい合った側端部であって、横方向第2側において縦方向に帯状に伸びる領域をいう。
後述するように、巻付けラベル1を容器に装着する際には、接着剤を介して第1側端部2aの表面に第2側端部2bの裏面が接着されるが、第1側端部2aの表面がフィルム2の表面であるため、接着剤が良好に接着し得る。特に、フィルム2の表面に、コロナ放電処理などの表面改質処理が施されている場合には、前記接着がより良好となる。
また、後述するように、装着時に容器に巻付ける巻付けラベル1は筒状となるが、表面保護層3が第1側端部2aの表面を除くフィルム2の表面に設けられているので、筒状になった巻付けラベル1の最も外側が表面保護層3で構成される。このため、ラベル付き容器の保管・運搬中に、巻付けラベル1が傷付くことを効果的に防止できる。
【0025】
前記フィルム2の裏面側には、デザイン印刷層7が設けられている。デザイン印刷層7は、デザイン印刷インキを用いて商品名や絵柄などの所望のデザインが表された印刷層である。
前記デザイン印刷層7は、フィルム2の裏面に直接設けられている。もっとも、フィルム2の裏面に透明な任意の機能層(図示せず)が設けられている場合には、デザイン印刷層7は、その機能層の表面に設けられる(透明な樹脂層6なども同様)。
デザイン印刷層7は、フィルム2の裏面側の全体に設けられていてもよく、フィルム2の裏面側の一部分に設けられていてもよい。例えば、デザイン印刷層7は、図4に示すように、フィルム2の縦方向第1側の側端部2c及び縦方向第2側の側端部2dを除くフィルム2の裏面側に設けられている。前記フィルム2の縦方向第1側及び第2側の各側端部2c,2dは、縦方向において互いに向かい合った側端部であって、縦方向両側において横方向に帯状に伸びる領域をいう。
なお、図示例では、前記縦方向第1側及び第2側の各側端部2c,2d以外の領域に設けられたデザイン印刷層7が1つの層として表されているが、デザイン印刷層7に表されるデザインによっては、前記領域内においても、デザイン印刷層7が所々形成されない箇所(以下、デザイン空白箇所という)がある場合もある。デザイン空白箇所は図示しない。例えば、デザインが図形「○」である場合には、前記○を視認できるようにデザイン印刷インキをフィルムに印刷することによってデザイン印刷層が設けられるが、その○の内側箇所や外側箇所は、デザイン印刷インキを有さず、これらの箇所がデザイン空白箇所である。換言すると、デザイン空白箇所は、巨視的に見て、デザイン印刷インキに起因する色彩を視認できない箇所を意味する。ただし、前記デザイン印刷層を微視的に見ると、無数のデザイン印刷インキの間に僅かな隙間を有する場合があるが、ここでのデザイン印刷層は、巨視的に見て、デザインを視認できるほどにデザイン印刷インキが付着した層を意味する。
【0026】
さらに、フィルム2の裏面側には、メタリック印刷層4が設けられている。メタリック印刷層4は、そのメタリックインキが隙間無く連なって層を成したものでもよく、或いは、そのメタリックインキが点在して層を成したものでもよい。詳しくは、メタリックインキがフィルム2の面方向に隙間無く連なって層を成し、或いは、メタリックインキがフィルム2の面方向に点在して層を成している。
メタリック印刷層4は、フィルム2の裏面側の全体に設けられていてもよく、フィルム2の裏面側の一部分に設けられていてもよい。例えば、メタリック印刷層4は、フィルム2の縦方向第1側の側端部2c及び縦方向第2側の側端部2dを除くフィルム2の裏面側に設けられている。メタリック印刷層4は、図3及び図4に示すように、デザイン印刷層7の裏面に重なる部分を有して設けられている。すなわち、メタリック印刷層4は、平面透視において、その全体がデザイン印刷層7に重なるように設けられていてもよく、或いは、デザイン印刷層7よりも小さく設けられていてもよく、或いは、デザイン印刷層7よりも大きくてもよい。なお、本明細書において、平面透視とは、概念上、フィルム2の表面に対して視線を垂直にして、その視線の方向にある層を透視することをいう。ただし、メタリック印刷層4がデザイン印刷層7に重なっている場合でも、上述のように所々でデザイン空白箇所を有する場合もあるので、そのデザイン空白箇所においては、メタリック印刷層4は、フィルム2の裏面に直接的に設けられる。
また、前記デザイン空白箇所にメタリック印刷層4が設けられている場合、そのメタリック印刷層4の裏面側には、後述する透明な樹脂層6又は全白色印刷層5のいずれが設けられていてよいが、好ましくは、前記デザイン空白箇所に設けられたメタリック印刷層4の裏面側の少なくとも一部には、全白色印刷層5が設けられる。
【0027】
図示例では、メタリック印刷層4は、平面透視において、デザイン印刷層7よりも小さい。なお、図示例では、デザイン印刷層7の裏面の所定の領域に設けられたメタリック印刷層4が1つの層として表されているが、前記領域内においても、メタリック印刷層4が所々形成されない箇所(以下、メタリック空白箇所)がある場合もある。メタリック空白箇所は、図示しない。ただし、メタリック空白箇所は、巨視的に見て、メタリックインキに起因する金属色を視認できない箇所を意味する。
メタリック印刷層4の面積は、特に限定されず、例えば、フィルム2の裏面の面積を100%とした場合に、メタリック印刷層4の占める面積は、5%〜95%であり、好ましくは、30%〜90%である。
【0028】
また、フィルム2の裏面側には、全白色印刷層5が設けられている。
全白色印刷層5は、白色インキが隙間無く連なって層を成したものであって、白色を呈する印刷層である。詳しくは、白色インキがフィルム2の面方向に隙間無く連なって層を成している。
全白色印刷層5は、フィルム2の裏面側の一部分に設けられる。例えば、全白色印刷層5は、フィルム2の縦方向第1側の側端部2c及び縦方向第2側の側端部2dを除くフィルム2の裏面側に設けられている。
また、全白色印刷層5は、メタリック印刷層4の裏面の一部又は全部を含んで設けられていてもよく、或いは、メタリック印刷層4の裏面に重ならないように設けられていてもよい。
例えば、全白色印刷層5は、図3及び図4に示すように、メタリック印刷層4の裏面に重なる部分を有して設けられている。すなわち、全白色印刷層5は、平面透視において、その全体がメタリック印刷層4に重なるように設けられていてもよく、或いは、メタリック印刷層4よりも小さく設けられていてもよく、或いは、メタリック印刷層4よりも大きくてもよい。
ただし、全白色印刷層5がメタリック印刷層4に重なっている場合でも、上述のように所々でメタリック空白箇所を有する場合もあるので、そのメタリック空白箇所においては、全白色印刷層5は、デザイン印刷層7の裏面又はフィルム2の裏面に直接的に設けられる。
図示例では、全白色印刷層5は、平面透視において、その全体がメタリック印刷層4と重なるように設けられている。なお、図示例では、メタリック印刷層4の裏面の所定の領域に設けられた全白色印刷層5が1つの層として表されているが、前記領域内においても、全白色印刷層5が所々形成されない箇所がある場合もある。
【0029】
さらに、フィルム2の裏面側には、透明な樹脂層6が設けられている。透明な樹脂層6は、その形成材料が隙間無く連なって層を成している。詳しくは、樹脂層6の形成材料がフィルム2の面方向に隙間無く連なって層を成している。
前記樹脂層6の表面保護層3の透明性は、フィルム2の裏面側に設けられたデザイン印刷層7などをフィルム2の裏面側から視認できるほどに、可視光を透過するものであればよい。例えば、前記透明な樹脂層6の全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。前記全光線透過率は、全光線透過率が90%以上のフィルム2の裏面に樹脂層6が設けられたものをサンプルとして、JIS K7361に準拠した測定法によって測定される値をいう。
透明な樹脂層6は、デザイン印刷層7の裏面やメタリック印刷層4の裏面に直接的に設けられる。デザイン空白箇所においては、透明な樹脂層6がフィルム2の裏面に直接的に設けられる場合もある。デザイン空白箇所の裏面に透明な樹脂層6が直接設けられている場合、その部分においては透明となる。このような透明部分に有する巻付けラベル1も本発明の好ましい態様である。なお、デザインが透けて見えるようにすることを意図して形成されたデザイン印刷層7の場合(このようなデザイン印刷層は、透光性の高いデザイン印刷インキを用いて形成される)、そのデザインの透けを減殺しないようにするため、そのデザイン印刷層7の裏面には、透明な樹脂層6を直接的に設けることが好ましい。この透光性の高いデザイン印刷層7の裏面に透明な樹脂層6が直接設けられている場合、その部分においては透明感に優れる。
【0030】
前記透明な樹脂層6は、全白色印刷層5が設けられた領域以外の領域に設けられている。従って、フィルム2の最も裏面側は、透明な樹脂層6と全白色印刷層5によって構成されており、前記樹脂層6の裏面と全白色印刷層5の裏面が、フィルム2の最裏面(巻付けラベル1の最裏面)を構成している。ただし、前記樹脂層6と全白色印刷層5の境界において、樹脂層6の縁部と全白色印刷層5の縁部が少し重なっている場合もあることに留意されたい。樹脂層6と全白色印刷層5が全く重ならないようにそれらの層を形成することは、実際上、困難である場合が多いからである。
例えば、図示例では、透明な樹脂層6は、フィルム2の裏面側のうち、第1側端部2a、第2側端部2b、縦方向第1側の側端部2c及び縦方向第2側の側端部2dに設けられている。なお、透明な樹脂層6は、デザイン印刷層7の裏面に直接設けられていてもよく、或いは、フィルム2の裏面に直接設けられていてもよく、或いは、デザイン印刷層7の裏面とフィルム2の裏面に跨がって設けられていてもよい。
前記樹脂層6と全白色印刷層5の占める比率は特に限定されず、例えば、フィルム2の裏面側から見て、樹脂層6の面積:全白色印刷層5の面積=95:5〜5:95であり、好ましくは、70:30〜10:90である。
【0031】
<表面保護層の形成>
表面保護層3の形成材料は、特に限定されず、例えば、顔料などの着色剤を実質的に含まないインキなどが挙げられる。このようなインキは、メジウムインキとも呼ばれ、透明な樹脂成分を含む液状物である。
表面保護層3の形成材料である、前記着色剤を実質的に含まないインキ(以下、メジウムインキという)としては、有機溶剤、樹脂成分及び必要に応じて各種添加剤を含むインキ(以下、溶剤含有インキという場合ある);有機溶剤を実質的に含まず、樹脂成分及び必要に応じて各種添加剤を含むインキ(以下、無溶剤インキという場合がある);などが挙げられる。
【0032】
前記溶剤含有インキは、その固化方式の違いによる分類によれば、溶剤蒸発型、反応型などが挙げられる。反応型としては、紫外線硬化型、2液反応型などが挙げられる。
前記有機溶剤は、樹脂成分を溶解させることができるものであれば特に限定されず、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル類;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;イソプロピルアルコールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記樹脂成分としては、特に限定されず、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ロジン、ケトン樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル−ウレタン共重合体、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
【0033】
前記無溶剤インキは、その固化方式の違いによる分類によれば、水分蒸発型(水系エマルジョン型)、紫外線硬化型などの反応型などが挙げられる。
前記水分蒸発型の無溶剤インキは、水又は水とアルコールに、アクリル樹脂、アクリル共重合体、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、水性ポリアミド樹脂などを分散させたインキである。
前記メジウムインキには、必要に応じて添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、特に限定されず、例えば、ワックスなどの滑剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、ゲル化剤、安定剤、消泡剤、充填剤などが挙げられる。メジウムインキは、前記添加剤の中でも、少なくともワックスなどの滑剤を含んでいることが好ましい。
表面保護層3は、公知の印刷法によって、前記形成材料をフィルム2の表面側に塗布することにより形成される。
表面保護層3の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1μm〜5μmであり、好ましくは、0.2μm〜3μmである。
【0034】
表面保護層3は、樹脂成分と、滑剤と、を含む層であることが好ましい。前記滑剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは、表面保護層3の全量に対して、滑剤が1質量%〜10質量%含まれる。
また、表面保護層3は透明な艶消し調であってもよい。このような艶消し調の表面保護層3は、樹脂成分と、シリカやアクリルビーズ等の体質顔料と、滑剤と、を含み、表面保護層3の全量に対して、体質顔料が10質量%〜40質量%、滑剤が1質量%〜10質量%含まれていることが好ましい。
【0035】
<デザイン印刷層の形成>
デザイン印刷層7は、通常、所望の色彩を呈するデザイン印刷インキ(黒色や白色を含むカラーインキ)が用いられる。
デザイン印刷層7は、公知の印刷法によって、デザイン印刷インキをフィルム2の裏面側に塗布することにより形成される。
デザイン印刷層7の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.2μm〜5μmであり、好ましくは、0.5μm〜3μmである。
【0036】
<メタリック印刷層の形成>
メタリック印刷層4は、例えば、金属色を呈するメタリックインキを用いて形成される。
メタリックインキは、有機溶剤、樹脂成分、金属微粒子及び必要に応じて各種添加剤を含むインキ(金属微粒子を含む溶剤含有インキ);有機溶剤を実質的に含まず、金属微粒子、樹脂成分及び必要に応じて各種添加剤を含むインキ(金属微粒子を含む無溶剤インキ);などが挙げられる。
メタリックインキの溶剤含有インキ及び無溶剤インキは、金属微粒子を含むことを条件として、上記メジウムインキで説明したような溶剤又は水分蒸発型や反応型などを用いることができる。メタリックインキにおける溶剤蒸発型、水分蒸発型及び反応型は、上記メジウムインキで例示した中から適宜選択できる。なお、メタリックインキは、金属微粒子の輝きを損ねない範囲で、添加剤として着色剤(顔料又は染料)を若干含んでいてもよい。
本発明によれば、メタリックインキとして溶剤含有インキを用いた場合でも、巻付けラベル当たりの溶剤残存量を小さくできる。このため、メタリック印刷層4を、金属微粒子を含む溶剤含有インキで形成した場合でも、ブロッキングを生じ難い巻付けラベル連続体10を構成できる。
【0037】
前記金属微粒子としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム粉、銀粉、亜鉛粉、ステンレス粉、ニッケル粉などが挙げられる。また、前記アルミニウム粉などの金属微粒子を溶剤や表面処理剤に添加した、金属微粒子ペーストを用いることも可能である。輝き感に優れ且つ比較的安価であることから、アルミニウム粉(アルミニウム粉ペーストを含む)を用いることが好ましい。前記アルミニウム粉は、リーフィングタイプであってもよく、ノンリーフィングタイプであってもよく、或いは、蒸着層を剥離粉砕して製造された蒸着アルミニウム粉などであってもよい。
金属微粒子の含有量は、特に限定されないが、メタリック印刷層4の全量に対して、例えば、3質量%以上である。メタリック印刷層4中の金属微粒子が3質量%未満であると、メタリック印刷層4が十分な金属光沢色を生じないおそれがある。好ましくは、金属微粒子の含有量は、メタリック印刷層4の全量に対して、3質量%〜50質量%であり、より好ましくは5質量%〜40質量%である。
【0038】
前記メタリック印刷層4は、公知の印刷法によって、前記メタリックインキをフィルム2の裏面側に塗布し、有機溶剤を乾燥することにより形成される。なお、反応型や水分蒸発型のメタリックインキを用いた場合には、その固化方式に従ってインキを固化することにより、メタリック印刷層4を形成できる。
前記メタリック印刷層4の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1μm〜5μmである。
【0039】
<全白色印刷層の形成>
全白色印刷層5を形成する白色インキは、特に限定されず、例えば、有機溶剤、樹脂成分、白色顔料及び必要に応じて各種添加剤を含むインキ(白色顔料を含む溶剤含有インキ);有機溶剤を実質的に含まず、白色顔料、樹脂成分及び必要に応じて各種添加剤を含むインキ(白色顔料を含む無溶剤インキ);などが挙げられる。
白色インキの溶剤含有インキ及び無溶剤インキは、白色顔料を含むことを条件として、上記メジウムインキで説明したような溶剤又は水分蒸発型や反応型などを用いることができる。白色インキにおける溶剤蒸発型、水分蒸発型及び反応型は、上記メジウムインキで例示した中から適宜選択できる。
本発明によれば、白色インキとして溶剤含有インキを用いた場合でも、巻付けラベル当たりの溶剤残存量を小さくできる。
【0040】
前記白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、クレー、アルミナホワイトなどが挙げられ、特に、二酸化チタンが好ましい。
前記二酸化チタンの平均粒径(凝集体を形成している場合には、凝集体の粒径(いわゆる2次粒径))は、特に限定されないが、全白色印刷層5の裏面が良好な滑り性を有するために、例えば、0.01μm〜1μmであり、好ましくは0.1μm〜0.5μmである。
ただし、前記二酸化チタンの粒径は、体積基準分布におけるメディアン径であって、レーザー回折法に従って測定される値である。
全白色印刷層5中の白色顔料の含有量は、特に限定されず、例えば、全白色印刷層5の全量に対して、15質量%〜85質量%であり、好ましくは、20質量%〜80質量%である。
【0041】
さらに、白色インキには、樹脂微粒子が含まれていてもよい。樹脂微粒子を含む白色インキを用いることにより、樹脂微粒子を含む全白色印刷層5を形成できる。
前記樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず、メタクリル酸メチル樹脂、アクリル酸メチル樹脂などのアクリル系樹脂、ノルボルネン樹脂などの環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂などが挙げられる。
前記樹脂微粒子の大きさも特に限定されない。樹脂微粒子の大きさは、例えば、平均粒径1μm〜20μmであり、好ましくは2μm〜15μmである。
樹脂微粒子は、前記白色顔料よりも大きいものが好ましい。
樹脂微粒子は、粒径の異なるものが混じっていてもよいが、好ましくは、均一な粒径の樹脂微粒子が用いられる。均一粒径の樹脂微粒子は、粒径誤差が±5%の範囲を含み、好ましくは、粒径誤差が±2%の範囲を含む。
ただし、前記樹脂微粒子の粒径は、画像解析法によって、任意の複数の樹脂微粒子の直径(球でない場合は、短径)を測定した結果を、個数基準により算術平均した値である。
全白色印刷層5中の樹脂微粒子の含有量は、特に限定されないが、例えば、全白色印刷層5の全量に対して、0.1質量%〜10質量%であり、好ましくは、1質量%〜5質量%である。樹脂微粒子の量が余りに少ないと、滑り性を向上させる効果を奏さず、余りに多いと、全白色印刷層5中に占める白色顔料の相対量が低下する。
【0042】
前記全白色印刷層5は、公知の印刷法によって、前記白色インキをフィルム2の裏面側に塗布し、有機溶剤を乾燥することにより形成される。なお、反応型や水分蒸発型の白色インキを用いた場合には、その固化方式に従ってインキを固化することにより、全白色印刷層5を形成できる。
前記全白色印刷層5の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.2μm〜5μmであり、好ましくは、0.3μm〜3μmである。
【0043】
全白色印刷層5は、樹脂成分と、層5の全量に対して15質量%〜85質量%の白色顔料と、0.1質量%〜10質量%の樹脂微粒子と、を含む層であることが好ましい。
【0044】
<透明な樹脂層の形成>
透明な樹脂層6の形成材料は、特に限定されず、例えば、表面保護層3と同様に、メジウムインキなどが挙げられる。
透明な樹脂層6の形成材料であるメジウムインキとしては、上記表面保護層3で説明したような溶剤又は水分蒸発型や反応型などのメジウムインキを用いることができる。
例えば、透明な樹脂層6を形成するメジウムインキとしては、樹脂成分として2液反応型のウレタン樹脂を含む溶剤含有インキを用いることができる。
好ましくは、透明な樹脂層6の形成材料としては、滑剤を含むメジウムインキ又は樹脂微粒子を含むメジウムインキが用いられる。滑剤及び樹脂微粒子の具体例については、上記の通りである。
本発明によれば、透明な樹脂層6の形成材料として溶剤含有インキを用いた場合でも、巻付けラベル当たりの溶剤残存量を小さくできる。
透明な樹脂層6は、公知の印刷法によって、前記形成材料をフィルム2の裏面側に塗布することにより形成される。
透明な樹脂層6の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1μm〜5μmであり、好ましくは、0.2μm〜2μmである。
透明な樹脂層6が滑剤を含む場合、その樹脂層6は、樹脂成分と、層6の全量に対して1質量%〜10質量%の滑剤と、を含むことが好ましい。透明な樹脂層6が樹脂微粒子を含む場合、その樹脂層6は、樹脂成分と、層6の全量に対して0.1質量%〜10質量%の樹脂微粒子と、を含むことが好ましい。なお、透明な樹脂層6は、滑剤及び樹脂微粒子の双方を含んでいてもよい。
【0045】
[巻付けラベル連続体の使用法]
巻付けラベル連続体10は、従来と同様に、ロールに巻き付けられたロール形態で、ラベラーに装填される。
本発明の巻付けラベル連続体10は、フィルム2の裏面側に、白色インキが隙間無く連続した全白色印刷層5と透明な樹脂層6が設けられている。かかる巻付けラベル連続体10は、ラベラーの搬送ラインにて装着部位に円滑に搬送され、装着部位にて切断され、巻付けラベル連続体10から個々の巻付けラベル1が切り出される。
得られた巻付けラベル1は、少なくとも第1側端部2aの裏面及び第2側端部2bの裏面に接着剤が塗布され、図5に示すように、第1側端部2aの裏面が容器8の胴部に貼り付けられる。第1側端部2aが容器8に貼り付けられた巻付けラベル1は、容器8の周方向に巻き付けられ、その第1側端部2aの表面に、接着剤を介して第2側端部2bの裏面を重ね合わすことにより、容器8に装着される。このようにして、図6に示すようなラベル付き容器9が得られる。
また、巻付けラベル連続体10(巻付けラベル1)には、表面保護層3が設けられているので、巻付けラベル連続体10やラベル付き容器9の搬送中に、巻付けラベル1が傷付くことを防止できる。
【0046】
さらに、本発明の巻付けラベル連続体10は、ロールに巻いた状態で、ブロッキングを生じ難い。
一般に、溶剤残存量の大きい巻付けラベル連続体をロールに巻いた状態では、溶剤によって樹脂が軟らかくなること及び巻き圧が加わることによってブロッキングを生じ易い。従来の巻付けラベル連続体は、溶剤残存量が大きく、ブロッキングを生じ易い。
この点、本発明の巻付けラベル連続体10は、全白色印刷層5が設けられた領域以外の領域に透明な樹脂層6が設けられているので、1つの巻付けラベル当たりの樹脂層6の量が小さくなる。そのため、透明な樹脂層6が有機溶剤を含むインキで形成される場合であっても、従来に比して、1つの巻付けラベル当たりの溶剤残存量が相対的に小さくなり、ブロッキングを生じ難い巻付けラベル連続体10を構成できる。
【0047】
本発明の巻付けラベル連続体及び巻付けラベルは、上記第1実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に変更できる。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、主として上記で示した実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成等については、その説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
【0048】
[第2実施形態]
第2実施形態の巻付けラベル1(及び巻付けラベル1の複数を有する巻付けラベル連続体10)は、図7に示すように、白色インキが点在して層を成した部分白色印刷層51がさらに設けられている点で上記第1実施形態とは異なる。部分白色印刷層51は、白色インキがフィルム2の面方向に点在して層を成している。
図7において、部分白色印刷層51を、次第に厚みが小さくなる断面視鋭角三角形状で表し且つ全白色印刷層5と同じ斜線を付している。
図8は、全白色印刷層5と部分白色印刷層51を構成する白色インキの形成パターンを、模式的に表した平面図である。
部分白色印刷層51は、微視的に見ると、図8に示すように、平面視点状の白色インキ51aを無数に有し、隣接する点状の白色インキ51aの間に隙間51bを有しており、巨視的に見ると、1つの層を成しているかの如く白色に見える。
全白色印刷層5は、微視的に見ると、図8に示すように、平面視点状の白色インキ5aを無数に有し、隣接する点状の白色インキ5aが隙間無く繋がって連続している。
部分白色印刷層51の単位面積当たりの白色インキ量は、全白色印刷層5の単位面積当たりの白色インキ量に比して小さい。
また、部分白色印刷層51は、図8に示すように、単位面積当たりの白色インキ量が異なるように点状の白色インキ51aの面積が部分的に異なっていてもよい。点状の白色インキ51aの面積が異なる部分白色印刷層51は、巨視的に見ると、白色の濃淡が現れるようになる。もっとも、点状の白色インキ51aの面積が部分白色印刷層51の全体に亘って均等でもよい。
【0049】
部分白色印刷層51と全白色印刷層5は連続して設けられていてもよく(図7参照)、部分白色印刷層51と全白色印刷層5はそれぞれ独立して設けられていてもよい。
そして、全白色印刷層5が設けられた領域以外の領域に設けられた透明な樹脂層6は、前記部分白色印刷層51の裏面を覆うように設けられている。
なお、部分白色印刷層51は、樹脂成分と、白色顔料と、を含む層であるが、好ましくは、樹脂成分と、層51の全量に対して15質量%〜85質量%の白色顔料と、0.1質量%〜10質量%の樹脂微粒子と、を含む層である。好ましくは、部分白色印刷層51は、全白色印刷層5を形成するための白色インキと同一のインキを用いて形成される。この場合、部分白色印刷層51と全白色印刷層5は、ほぼ同一の組成となる。
本実施形態の巻付けラベル連続体10も上記第1実施形態と同様にして使用され、同様の効果を奏する。
【0050】
[第3実施形態]
第3実施形態の巻付けラベル1(及び巻付けラベル1の複数を有する巻付けラベル連続体10)は、図9に示すように、メタリック印刷層4が、メタリックインキが点在して層を成した部分メタリック印刷層41を含んでいる点で上記第1及び第2実施形態とは異なる。
図9において、部分メタリック印刷層41を次第に厚みが小さくなる断面視鋭角三角形状で表し、且つメタリック印刷層4と同じ斜線を付している。
部分メタリック印刷層41は、上記第2実施形態で説明した部分白色印刷層51と同様に、微視的に見ると、平面視点状のメタリックインキを無数に有し、隣接する点状のメタリックインキの間に隙間を有している。
図9に示すように、部分メタリック印刷層41の裏面に全白色印刷層5が設けられていてもよく、或いは、部分メタリック印刷層41の裏面に部分白色印刷層51が設けられていてもよく、或いは、特に図示しないが、部分メタリック印刷層41の裏面に全白色印刷層5及び部分白色印刷層51が設けられず、透明な樹脂層6が設けられていてもよい。
なお、図9において、部分白色印刷層51を、次第に厚みが小さくなる断面視鋭角三角形状で表し且つ全白色印刷層5と同じ斜線を付している。
【0051】
[第4実施形態]
第4実施形態の巻付けラベル1(及び巻付けラベル1の複数を有する巻付けラベル連続体10)は、図10に示すように、全白色印刷層5の面積がメタリック印刷層4の面積よりも小さく、平面透視おいて、全白色印刷層5の全体がメタリック印刷層4の内側に重なっている。
【0052】
[第5実施形態]
第5実施形態の巻付けラベル1(及び巻付けラベル1の複数を有する巻付けラベル連続体10)は、図11に示すように、全白色印刷層5の一部がメタリック印刷層4の一部に重なり、全白色印刷層5の一部がメタリック印刷層4に重ならず且つメタリック印刷層4の一部が全白色印刷層5に重なっていない。
【0053】
[第6実施形態]
第6実施形態の巻付けラベル1(及び巻付けラベル1の複数を有する巻付けラベル連続体10)は、図12に示すように、全白色印刷層5とメタリック印刷層4が重ならず、フィルム2の面方向に並んで配置されている。
【0054】
[第7実施形態]
第7実施形態の巻付けラベル1(及び巻付けラベル1の複数を有する巻付けラベル連続体10)は、図13に示すように、第2側端部2bの裏面側に(透明樹脂層6を有さず)全白色印刷層5が設けられていてもよい。すなわち、上記各実施形態では、フィルム2の横方向第1側及び第2側並びに縦方向第1側及び第2側の各側端部の裏面側に、透明な樹脂層6が設けられているが、それらの側端部の一部又は全部の裏面側に全白色印刷層5が設けられていてもよい。
さらに、図13に示すように、2つの全白色印刷層5の間に透明な樹脂層6が設けられていてもよい。すなわち、上記各実施形態では、全白色印刷層5を取り囲むように透明な樹脂層6が設けられているが、全白色印刷層5が透明な樹脂層6を取り囲むように設けられていてもよく、或いは、全白色印刷層5(又は透明な樹脂層6)が透明な樹脂層6(全白色印刷層5)を取り囲まないように設けられていてもよい。
【0055】
上記第1乃至7実施形態で示した各構成を適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態で示した部分白色印刷層51を第6実施形態に組み合わせてもよく、第3実施形態で示した部分メタリック印刷層41を第7実施形態に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 巻付けラベル
2 フィルム
3 表面保護層
4 メタリック印刷層
5 全白色印刷層
51 部分白色印刷層
6 樹脂層
7 デザイン印刷層
10 巻付けラベル連続体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13