特許第6599654号(P6599654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599654真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルム、3次元成型品加飾方法及び加飾成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599654
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルム、3次元成型品加飾方法及び加飾成形体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20191021BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20191021BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20191021BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20191021BHJP
   B29C 51/14 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   B32B27/00 E
   B32B27/00 D
   B32B27/16
   B32B15/08 H
   B29C51/12
   B29C51/14
【請求項の数】6
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-121985(P2015-121985)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-7109(P2017-7109A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】593135125
【氏名又は名称】日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】長谷 高和
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】栄田 正三郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 英次
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−543807(JP,A)
【文献】 特開2000−025103(JP,A)
【文献】 特開2007−070518(JP,A)
【文献】 特開2006−035540(JP,A)
【文献】 特開2014−141087(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0183120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 51/00−51/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着層(A)、基材フィルム層(B)及びクリヤー塗膜層(C)を有する真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムであって、
更に、意匠層(D)を備えるものであるか、接着層(A)が意匠層としての機能を兼ね備えた接着層(A−d)であり、
接着層(A)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、塩ビ・酢ビ樹脂、エポキシ樹脂及びブチラール樹脂からなる群から選択され、軟化温度が20〜100℃である少なくとも1の接着樹脂を含有し
リヤー塗膜層(C)は、ポリウレタンアクリレート(C1)を含有する活性エネルギー線硬化型コーティング組成物によって形成された層であり、
前記ポリウレタンアクリレート(C1)は、
2重結合当量:130〜600g/eq
分子量Mw:3000〜200000
ウレタン濃度:300〜2000g/eq、
である
ことを特徴とする真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルム。
【請求項2】
接着樹脂が非晶性高分子であり、重量平均分子量Mwが5000〜150000である請求項1記載の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルム。
【請求項3】
積層フィルムとして、温度範囲40〜130℃における伸びが30〜400%である請求項1又は2記載の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルム。
【請求項4】
意匠層(D)又は意匠層としての機能を兼ね備えた接着層(A)は、顔料を含有するベース層(D−1)、蒸着アルミを含む薄膜層(D−2)、金属蒸着層(D−3)及び印刷層(D−4)からなる群より選択される少なくとも1である請求項1、2又は3記載の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルム。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムを使用し、成形時、基材とフィルムとの間が70kPa以下であるような真空条件下で接着することによって加飾成形を行うことを特徴とする3次元成型品加飾方法。
【請求項6】
請求項記載の3次元成型品加飾方法により加飾成形を行ったことを特徴とする加飾成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルム、3次元成型品加飾方法及び加飾成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
建材、自動車用内外装品、家電製品等の分野で使用される、プラスチック、金属等の成型品においては、表面に意匠性を付与したり、表面を保護したりする目的でフィルムによる表面への加飾が行われている。このような成形においては、真空条件でフィルムと成形品とを接着させる、真空(圧空)成形を用いたフィルム加飾法も公知である。
【0003】
このような加飾成形法においては、表面の耐擦傷性や硬度、耐薬品性等が必要となる。これらの性能を得るには、基材と加飾用積層フィルムとを密着させて好適な接着を行うことが必要となる。更には、表面に活性エネルギー線硬化型コーティング組成物からなる層を形成することが必要となる。
【0004】
このような成型品加飾用積層フィルムにおいては、上述したすべての性能を備えつつ、良好な成形性も得る必要があることから、積層フィルムを構成する各層の組成について、所定の性能を有するものとすることが必要である。しかしながら、上述したすべての物性を完全に備え、安価に加飾を行うことができるようなフィルムは知られていなかった。
【0005】
特許文献1においては、真空成形において加飾フィルムを使用することが記載されている。ここでは、使用する接着層は、潜在的反応性接着剤であることが記載されているが、その軟化温度は記載されていない。
【0006】
特許文献2においては、接着剤の軟化温度を射出成型時の金型温度、樹脂温度との関係を特定範囲のものとした三次元成形加飾フィルムの製造方法が記載されている。しかし、当該文献においては、真空成形における加飾成形に関する記載はなされていない。
特許文献3においては、熱転写フィルムが記載されているが、接着剤層を設けることは記載されていない。
【0007】
特許文献4においては、接着剤によって形成された接着層を有する成型品加飾用積層フィルムが開示されている。しかし、当該フィルムは接着層に関する詳細な記載はなされていない。
【0008】
特許文献5においては、熱成形用積層シート及び加飾成形体が記載されている。しかし、ここでは、活性エネルギー線硬化型組成物によって形成されたクリヤー塗膜層を設けることは記載されていない。
【0009】
特許文献6においては、三次元成形用加飾シートが開示されている。しかし、これは、射出成型金型内同時加飾方法に関するものであるから、本願発明のものとは用途が完全に相違するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2013−543807号公報
【特許文献2】特開2014−156130号公報
【特許文献3】特開2013−14027号公報
【特許文献4】特開2006−224459号公報
【特許文献5】特開2010−149485号公報
【特許文献6】特開2012−201032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記に鑑み、表面の耐擦傷性や耐薬品性等の性質が良好であるような加飾を行うことができる成型品加飾用積層フィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、接着層(A)、基材フィルム層(B)及びクリヤー塗膜層(C)を有する真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムであって、
更に、意匠層(D)を備えるものであるか、接着層(A)が意匠層としての機能を兼ね備えた接着層(A−d)であり、
接着層(A)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、塩ビ・酢ビ樹脂、エポキシ樹脂及びブチラール樹脂からなる群から選択され、軟化温度が20〜100℃である少なくとも1の接着樹脂を含有し
リヤー塗膜層(C)は、ポリウレタンアクリレート(C1)を含有する活性エネルギー線硬化型コーティング組成物によって形成された層であり、
前記ポリウレタンアクリレート(C1)は、
2重結合当量:130〜600g/eq
分子量Mw:3000〜200000
ウレタン濃度:300〜2000g/eq、
である
ことを特徴とする真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムである。
上記接着樹脂が非晶性高分子であり、重量平均分子量Mwが5000〜150000であってもよい。
【0013】
上記真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、積層フィルムとして、温度範囲40〜130℃における伸びが30〜400%であることが好ましい。
【0014】
意匠層(D)又は意匠層としての機能を兼ね備えた接着層(A)は、顔料を含有するベース層(D−1)、蒸着アルミを含む薄膜層(D−2)、金属蒸着層(D−3)及び印刷層(D−4)からなる群より選択される少なくとも1であることが好ましい。
【0015】
本発明は、上述した真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムを使用し、成形時、基材とフィルムとの間が70kPa以下であるような真空条件下で接着することによって加飾成形を行うことを特徴とする3次元成型品加飾方法でもある。
本発明は、上述の3次元成型品加飾方法により加飾成形を行ったことを特徴とする加飾成形体でもある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、成型品への接着性・密着性が良好なものであることから、表面の耐擦傷性や耐薬品性等の性質が良好であるような加飾を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムの積層構造の一例を示す模式図である。
図2】本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムの積層構造の一例を示す模式図である。
図3】本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムの積層構造の一例を示す模式図である。
図4】本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムの積層構造の一例を示す模式図である。
図5】本発明におけるTgの測定方法において、チャートからTgを読み取る際の読み取り方法を具体的に示す図である。
図6】フィルムの温度による伸び変化と成形温度範囲を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
(真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルム)
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、3次元成型品の加飾成形において使用するフィルムである。すなわち、意匠性を有するフィルムを各種成型体に接着させて、成型体に意匠性を付与したり、表面保護機能を付与したりするものである。
その際に、3次元形状の表面に沿った形に変形させて密着させるものである。また、本発明の3次元成型品加飾用積層フィルムは、真空成形用である。本発明において、「真空成形用」とは、加飾用積層フィルムが基材となる成型品に接着される際、真空下で接着されるような成形であることを意味する。
【0019】
すなわち、真空条件下で基材である成型品に接着させるものとする場合は、接着時の接着層が接着時の条件下で変形をしやすいものとしておくと、3次元成型品加飾用積層フィルムと基材との間に、空気が含まれることが少ない。更に、接着層自体が成型品自体が有する凹凸形状、表面の微細な凹凸等の形状に変形することによって、隙間なく密着することができる。このような作用によっても、極めて良好な密着性を得ることができる点で、本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは優れたものである。
【0020】
本発明においては、接着層(A)が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、塩ビ・酢ビ樹脂、エポキシ樹脂及びブチラール樹脂からなる群から選択される少なくとも1の軟化温度が20〜100℃である樹脂を含有するものとすることで、真空成形における成形温度において、接着層(A)が、基材の細かな凹凸に沿った形で密着し、これによって基材とフィルムとの間に空気が入り込むことがなくなり、これによって、良好な密着性が得られ、フィルムの耐薬品性や耐久性等の性能が向上することとなる。
【0021】
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、フィルムを基材に接着するための接着層(A)、フィルム製造の際の基材となる基材フィルム層(B)、表面を保護するためのクリヤー塗膜層(C)目的とする意匠を付与するための意匠層(D)とを有するものである。これらの層を必要に応じて種々の積層形態としたものとすることができる。
【0022】
以下、図を参照しつつ、具体的な積層構造の態様について説明する。
図1に示した第一の積層構造は、基材フィルム(B)上に、離形層(E)、クリヤー塗膜層(C)、意匠層(D)、接着層(A)をこの順で積層した積層フィルムである。当該第一の積層構造においては、このような構成のフィルムは、接着層(A)により3次元成型品に接着し、加飾成形後に基材フィルム層(B)を離形層(E)とともに剥離することによって、加飾を行う。これによって、クリヤー塗膜層(C)、意匠層(D)、接着層(A)の3層からなる加飾層が3次元成型品上に形成されるものである。
【0023】
図2に示した第二の積層構造は、基材フィルム(B)上に、離形層(E)、クリヤー塗膜層(C)、意匠層としての機能を備えた接着層(A−d)をこの順で積層した積層フィルムである。なお、ここでは接着層(A−d)は接着層としての機能に加え、意匠層としての機能も同時に付与したものであり、したがって、クリヤー塗膜層(C)及び接着層(A−d)の2層からなる加飾層が3次元成型品上に形成されるものである。
【0024】
図3に示した第三の積層構造は、基材フィルム(B)の片面に、意匠層(D)、接着層(A)をこの順で積層し、反対側にクリヤー塗膜層(C)を形成したフィルムである。このような構成のフィルムは、接着層(A)により3次元成型品に接着して、加飾を行う。その際に基材フィルム(B)を剥離することは行わない。よって、クリヤー塗膜層(C)、基材フィルム(B)、意匠層(D)、接着層(A)の4層からなる加飾層が3次元成型品上に形成されるものである。
【0025】
図4に示した第四の積層構造は、基材フィルム(B)の片面に、意匠層としての機能を備えた接着層(A−d)を、反対側の面にクリヤー塗膜層(C)を設けたフィルムである。このような構成のフィルムは、接着層(A)により3次元成型品に接着して、加飾を行う。その際に基材フィルム(B)を剥離することは行わない。よって、クリヤー塗膜層(C)、基材フィルム(B)、意匠層としての機能を備えた接着層(A−d)の3層からなる加飾層が3次元成型品上に形成されるものである。
【0026】
(接着層(A))
上記接着層(A)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、塩ビ・酢ビ樹脂、エポキシ樹脂及びブチラール樹脂からなる群から選択され、軟化温度が20〜100℃である少なくとも1の接着樹脂を含有するものである。
【0027】
本発明においては、以下で詳述する基材との好適な接着性能が得られ、かつ、真空成形加工において適切な変形を生じて、基材に密着した状態で接着が得られるという点で上述した各種の樹脂を使用することが望ましいものである。
【0028】
上述した樹脂種は、基材となる成型品に対する接着性が良好なものを選択することが必要である。すなわち、上述した樹脂のなかから、適宜、基材との接着性が良好なものを選択して使用することが好ましい。例えば、基材がポリプロピレン樹脂であればオレフィン樹脂、基材がABSであればアクリル樹脂や塩ビ・酢ビ樹脂、ポリカーボネートであればポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を使用することが好ましい。
【0029】
上記接着層(A)は、軟化温度が20〜100℃である接着樹脂を含有するものである。すなわち、上述した樹脂であっても、軟化温度が20℃未満であると、表面のタックが大きくなり、フィルムのブロッキングを生じやすいため好ましくなく、100℃を超えるものであると、真空成形時に良好な変形をさせることができず、本発明の目的を達成することができない。上記軟化温度の下限は、25℃であることがより好ましく、30℃であることが更に好ましい。上記軟化温度の上限は、90℃であることがより好ましく、80℃であることが更に好ましい。
【0030】
なお、本明細書において、接着層(A)の軟化温度は、以下の実施例において詳細に記載した方法によって測定した値である。
【0031】
さらに、上記接着樹脂が非晶性高分子である場合、重量平均分子量は5000〜150000の範囲内である。上記接着樹脂が結晶構造を有する樹脂の場合、軟化温度はすなわち融解温度であるため、軟化温度(融解温度)以上における流動性は確保されるが、非晶性高分子の場合、軟化温度以上における流動性を確保する必要がある。そのため、重量平均分子量Mwが5000〜150000の範囲である必要がある。
【0032】
重量平均分子量Mwが5000未満の場合、フィルムにする場合の製膜性に劣り、重量平均分子量Mwが150000を超える場合、成形時の基材への浸透性が劣り、密着性を確保することが困難となる。
上記下限は、6000であることがより好ましく、8000であることが更に好ましい。上記上限は、130000であることがより好ましく、100000であることが更に好ましい。
なお、上記接着樹脂の重量平均分子量は、以下の実施例において詳述した方法によって測定した値である。
【0033】
さらに接着性を良好にするためには、成形温度すなわち軟化温度における粘着性が必要で、これは、傾斜式ボールタック試験(JIS Z0237)やローリングボールタック試験(PSTC−6)で測定される。十分な接着性を得るためには、ローリングボールタック試験で300mm以下であることが好ましく、250mm以下であることがより好ましい。
【0034】
上記接着層(A)は、上述した性質を満たす接着樹脂を2種以上混合して使用するものであってもよい。本発明において必要とされる性質を得るために、2種以上を組み合わせることが望ましい場合も考えられる。
【0035】
上記接着層(A)の厚みは、0.004〜0.1mmであることが好ましい。この範囲を外れると、成型基材との密着性低下や、塗工、乾燥性が悪くなるなどの点で好ましくない。上記下限は、0.01mmであることがより好ましく、上記上限は、0.06mmであることがより好ましい。
【0036】
上記接着層(A)は、硬化剤を含有するものであることが好ましい。硬化剤を含有する場合、硬化剤としては、ポリイソシアネートを使用することが好ましい。使用することができるポリイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、以下にクリヤー塗膜層(C)の形成において使用することができるとして例示するもの等を使用することができる。
硬化剤を使用する場合、接着樹脂として硬化剤との反応性官能基を有するものを使用することが好ましい。具体的には水酸基を有するものであることが好ましい。この場合、水酸基価は1〜100mgKOH/gであることが好ましい。上記下限は、2mgKOH/gであることがより好ましく、5mgKOH/gであることが更に好ましい。上記上限は、80mgKOH/gであることがより好ましく、50mgKOH/gであることが更に好ましい。水酸基価が低いと十分な架橋膜が得られず、水酸基価が高いと架橋後の膜が延伸性に劣る、または、イソシアネートとの反応が不十分で未反応の水酸基価が残存し、耐水性などの性能が劣る可能性がある。
【0037】
硬化剤としてのポリイソシアネートの量は、接着層(A)中の樹脂のOH当量およびポリイソシアネートのNCO当量によって適宜決められるべきであり、その比率が1:0.8〜1:1.2程度で混合することが好ましい。接着層(A)の全量に対しては、0.5重量部〜10重量部であることが好ましい。
【0038】
上記接着層(A)は、以下で詳述する意匠層(D)の機能を兼ね備えたものであってもよい。すなわち、接着層(A)に対して、顔料等の各種意匠性の成分を配合することで、意匠層としての機能を兼ね備えた接着層(A−d)とすることもできる。このようにすることで、多層構造を1層減らすことができ、コスト減に対応できる点で好ましい。
【0039】
上記意匠層(D)については、以下で詳述するものであるが、意匠層としての機能を兼ね備えた接着層(A−d)としては、着色塗料組成物を塗布した後乾燥することによって形成された層、金属調意匠層、といった形態の接着層とすることができる。また、接着層(A)を意匠層としての機能を兼ね備えた接着層(A−d)とすると同時に、それとは別に意匠層(D)を形成し、2以上の層による意匠性を得るものであってもよい。
【0040】
上記接着層(A)は、発明の目的を阻害しない範囲内で、上述した接着樹脂、硬化剤、意匠性付与のための成分以外の成分を配合するものであってもよい。このような配合成分としては、紫外線吸収剤(UVA)、光安定剤(HALS)、硬化触媒、酸化防止剤、表面調整剤、レベリング剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、導電性充填剤、溶剤等を挙げることができる。
【0041】
さらに、接着層に含まれる各成分の混合や粘度調整のために溶剤を用いてもよい。該溶剤としては、例えば、エステル系、エーテル系、アルコール系、アミド系、ケトン系、脂肪族炭化水素系、脂環族炭化水素系、芳香族炭化水素系等、塗料に用いられる従来公知の有機溶媒を、1種又は2種以上を組み合わせて用いればよい。なお、上記溶剤を用いる場合、積層フィルムに揮発性物質が残存すると、基材への加飾に関して、揮発性物質が揮散して、ピンホールや膨れが生じることがある。そのため、積層フィルムに含まれる揮発性物質を十分に低減することが好ましい。
【0042】
(基材フィルム層(B))
基材フィルム層(B)は、本発明の積層フィルムを製造する際のキャリアフィルムとしての働きをもなすものである。すなわち、本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムの製造時に、各層を形成するための基材として使用されるものである。
【0043】
基材フィルム層(B)を形成するフィルムとしては、特に限定されず、例えば、軟質塩化ビニルフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、フッ素フィルム等の従来公知のフィルムが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルおよび/またはポリオレフィンにより形成されるフィルムが好ましく、特に省エネ低温加工性の点からは無延伸ポリエステルフィルムがより好ましい。上記基材フィルム層(B)の厚みは、0.01〜0.5mmであることが好ましく、0.02〜0.3mmであることがより好ましい。この範囲を外れると、キャリアフィルムとしての働きや、電磁線硬化の際の経済性の点で好ましくない。
【0044】
本発明において、上記基材フィルム層(B)は、少なくとも片面に凹凸模様を有するものであってもよい。上記凹凸模様としては特に限定されず、エンボス加工、ヘアーライン加工、ケミカルエッチング、練り込みマット加工、コーティングマット加工、樹脂層分離等の公知の加工方法により形成することができる。
【0045】
上述したような凹凸模様を有するものであると、基材フィルム(B)剥離後のフィルムにおいて最表面層に凹凸が形成されたものとなる。これによって、凹凸が視覚的に認識されるものとなり、凹凸を設けることによって意匠的な意味で視覚的効果を有するものとすることができる。
【0046】
よって、このような凹凸模様を有するものとするのは、図1図2に示したように、成型体への加飾を行った後に、基材フィルム層(B)を剥離する態様であることが好ましい。
【0047】
具体的には、表面に種々の模様がエンボス加工された金属ロールとゴムロールの間を加熱しながらフィルムを通すことで、レザー調や木目調、シルク調の凹凸が形成され、また、表面がヘアーライン加工されたフィルムを用いることで、ヘアーライン金属調意匠が表現でき、さらに、種々のマット加工が施されたフィルムを用いることで、艶消し感が調整された金属調意匠や低グロスの印刷柄意匠が表現できる。
【0048】
(クリヤー塗膜層(C))
本発明で使用するクリヤー塗膜層(C)は、エネルギー線硬化性塗膜であり、その具体的な組成は、積層フィルムとしての物性を害するものでない限り特に限定されるものではなく、公知のエネルギー線硬化性塗膜とすることができる。これによって、硬化前の状態で真空成形による成形を行い、その後、エネルギー線を照射することによって、耐候性、耐薬品性等の性質に優れた層を形成することができる。
【0049】
このような観点から、上記クリヤー塗膜層(C)は、ポリウレタンアクリレート(C1)、不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)及び重合開始剤(C3)を含有する活性エネルギー線硬化型コーティング組成物によって形成されたものであることが好ましい。これによって、使用時の延伸が容易になされ、真空成形にも容易に対応できるため、3次元形状への追随が良好となる。また、ブロッキングを生じにくいものとすることができるという利点も有する。
【0050】
更に、上記活性エネルギー線硬化型コーティング組成物は、(C1)の固形分重量、(C2)の固形分重量の合計量((C1)+(C2))100重量部中に、(C1)を50〜99重量部、(C2)を1〜50重量部の範囲内となるように含有し、(C1)の固形分重量及び(C2)の固形分重量の合計量((C1)+(C2))100重量部に対して(C3)を0.5〜20重量部の範囲内となるように含有するものであることが好ましい。これによって、硬化前の耐ブロッキング性、深絞り性(延伸性)を有することができる。さらに硬化後の高い耐擦傷性、表面硬度、耐薬品性、耐衝撃性を有することができる。
以下、(C1)〜(C3)について詳細に説明する。
【0051】
(ポリウレタンアクリレート(C1))
ポリウレタンアクリレート(C1)は、ウレタン結合を分子内に有し、かつ(メタ)アクリレート基を分子中に有する化合物である。これを使用することによって、加飾成形を行う際の延伸性が向上し、真空成形にも容易に対応できるため、3次元形状への追随が良好となる。
【0052】
上記ポリウレタンアクリレート(C1)としては、特に限定されず、公知の任意のものを使用することができる。例えば、
i)分子内に2個以上のイソシアナート基を持つ化合物に、分子内に1個以上の水酸基と1個以上の2重結合基を持つ化合物とを当量反応させて得られる化合物、
ii)ポリオールと1塩基酸および/または多塩基酸および/またはその酸無水物との縮合物に、分子内に2個以上のイソシアナート基を持つ化合物を反応させたのち、さらに分子内に1個以上の水酸基と1個以上の2重結合基を持つ化合物を反応させて得られる化合物、
iii)ポリオールに、分子内に2個以上のイソシアナート基を持つ化合物を反応させたのち、さらに分子内に1個以上の水酸基と1個以上の2重結合基を持つ化合物を反応させて得られる化合物、
等が挙げられる。
【0053】
上記i)〜iii)において、分子内に1個以上の水酸基と1個以上の2重結合基を持つ化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等や、市販品では、プラクセルF(M)Aシリーズ(ダイセル化学社の商品名)等が挙げられる。また、上記ii)〜iii)において、多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン等や、市販品では、プラクセルジオールシリーズ(ダイセル化学社の商品名)、プラクセルトリオールシリーズ(ダイセル化学社の商品名)等が挙げられる。
【0054】
上記ポリオールとしては特に限定されず、公知のアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を使用することができる。また、エチレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール等の各種低分子量ジオール等も必要に応じて使用することができる。
【0055】
上記ポリオールとしては、ポリカーボネート濃度:0.5〜75wt%(ポリウレタンアクリレート(C1)全量に対する割合)となる割合でポリカーボネートジオール骨格を有することが好ましい。ポリカーボネートジオール骨格を有するものを使用することで、強靭性が発現し、加飾成形時の膨れ防止、意匠外観保持(ワレ防止)が可能となる利点を有する。
上記ポリカーボネートジオールは、2〜70重量%であることがより好ましい。
【0056】
上記ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されず、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート等の芳香族のもの;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族のもの;イソホロンジイソシアネート等の脂環族のもの;その単量体及びそのビュレットタイプ、ヌレートタイプ、アダクトタイプ等の多量体等を挙げることができる。
【0057】
上記ポリイソシアネートの市販品としては、デュラネート24A−90PX(NCO:23.6%、商品名、旭化成社製)、スミジュールN−3200−90M(商品名、住友バイエルウレタン社製)、タケネートD165N−90X(商品名、三井化学社製)、スミジュールN−3300、スミジュールN−3500(いずれも商品名、住友バイエルウレタン社製)、デュラネートTHA−100(商品名、旭化成社製)等を挙げることができる。また、必要に応じてこれらをブロックしたブロックイソシアネートを使用することもできる。
【0058】
上記ポリウレタンアクリレート(C1)は、一部にウレア結合を有するものであってもよい。
ウレア結合を有するものとするためには、ポリウレタンアクリレートの合成において、一部にポリアミン化合物を使用すればよい。使用できるポリアミン化合物としては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(2−ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシエチルエチレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2−ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、ピペラジン等の脂肪族ポリアミン;1,2−および1,3−シクロブタンジアミン、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、メチレンビスシクロヘキサン2,4’−および/または4,4’−ジアミン、ノルボルナンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン,3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ビス−(sec−ブチル)ジフェニルメタン等の芳香族ジアミン;及びダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン、末端に一級又は二級アミノ基を有するデンドリマー等を挙げることができる。
【0059】
上記ポリウレタンアクリレート(C1)は、2重結合当量が130〜600g/eqであることが好ましく、150〜300g/eqであることがさらに好ましい。2重結合当量が130g/eq未満であると、硬化膜の耐クラック性、耐衝撃性に劣るという問題を生じるおそれがある。2重結合当量が600g/eqを超えると、擦傷性、表面硬度、耐薬品性に劣るという問題を生じるおそれがある。
【0060】
上記ポリウレタンアクリレート(C1)は、重量平均分子量が3000〜200000であることが好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、耐ブロッキング性に劣るという問題を生じるおそれがある。重量平均分子量が200000を超えると、得られるポリウレタンアクリレート(C1)とクリヤー塗料組成物に含まれる不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)等との相溶性が低下するおそれがある。加えて重量平均分子量が200000を超えるとクリヤー塗料組成物の粘度が高くなる傾向にある。また、このような粘度の上昇を改善するために、有機溶剤を用いてクリヤー塗料組成物を希釈すると、クリヤー塗料組成物中の固形分量が著しく低下し、加工性が悪化するという問題を生じるおそれがある。なお、本明細書において、重量平均分子量は後述の方法により測定した。
【0061】
上記ポリウレタンアクリレート(C1)は、ウレタン濃度が300〜2000g/eqであることが好ましい。ウレタン濃度が300g/eq未満であると、得られるポリウレタンアクリレート(C1)とクリヤー塗料組成物に含まれる不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)等との相溶性が低下するおそれがある。加えてウレタン濃度が300g/eq未満であると、クリヤー塗料組成物の粘度が高くなる傾向にある。また、このような粘度の上昇を改善するために、有機溶剤を用いてクリヤー塗料組成物を希釈すると、クリヤー塗料組成物中の固形分量が著しく低下し、加工性が悪化するという問題を生じるおそれがある。ウレタン濃度が2000g/eqを超えると、耐ブロッキング性、耐衝撃性に劣るという問題を生じるおそれがある。
【0062】
上記ポリウレタンアクリレート(C1)は、ウレア濃度が500〜1000g/eqであることが好ましい。ウレア濃度が500g/eq未満であると、得られるポリウレタンアクリレート(C1)とクリヤー塗料組成物に含まれる不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)等との相溶性が低下するおそれがある。加えてウレア濃度が500g/eq未満であると、クリヤー塗料組成物の粘度が高くなる傾向にある。また、このような粘度の上昇を改善するために、有機溶剤を用いてクリヤー塗料組成物を希釈すると、クリヤー塗料組成物中の固形分量が著しく低下し、加工性が悪化するという問題を生じるおそれがある。ウレア濃度が1000g/eqを超えると、耐ブロッキング性に劣るという問題を生じるおそれがある。
【0063】
ポリウレタンアクリレート(C1)は、フッ素及び/又はシリコーンで変性されたものであってもよい。すなわち、フッ素やシリコーン単位を含有する単量体を使用して上述した方法によってポリウレタンアクリレート(C1)を合成するものであってもよいし、上述した方法によって得られたポリウレタンアクリレート(C1)が有する官能基をフッ素及び/又はシリコーンを有する化合物と反応させたものであってもよい。
【0064】
(不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2))
上記不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)としては、公知の任意のものを使用することができ、例えば、以下の化合物を使用することができる。
【0065】
官能基数2の(メタ)アクリレートの例は、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等を含む。なかでも、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等を好ましく用いることができる。
【0066】
官能基数3の(メタ)アクリレートの例は、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等を含む。なかでも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等を好ましく用いることができる。
【0067】
官能基数4の(メタ)アクリレートの例は、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を含む。なかでも、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができる。
【0068】
官能基数4以上の(メタ)アクリレートの例は、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物のヘキサ(メタ)アクリレートなど多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマーは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレートとしては、一般にポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有するアクリレートモノマーを反応させて得ることができる。
これらの(メタ)アクリル系オリゴマーは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、また、上記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーと併用してもよい。
【0070】
上記不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)としては、日本合成化学工業社製UV 1700B等の市販のものも使用することができる。
【0071】
(重合開始剤(C3))
上記クリヤー塗料組成物には、上記したポリウレタンアクリレート(C1)及び不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)に加え、さらに重合開始剤(C3)を含有することが好ましい。上記重合開始剤(C3)としては、紫外線(UV)や電子線等の電磁線によって重合が開始される電磁線重合開始剤、熱硬化用ラジカル重合開始剤等が挙げられるが、これに限定されない。
【0072】
具体的には、上記電磁線重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン系化合物;2−エチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ジフェニルスルフィド等のスルフィド系化合物;2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィノキサイド等のホスフィノキサイド系化合物;イルガキュア(登録商標)−184,イルガキュア−819(いずれもBASF社製)等の紫外線(UV)硬化用重合開始剤等を挙げることができる。これらの化合物は、重合開始剤として、1種又は2種以上を用いることができる。
【0073】
また、上記熱硬化用ラジカル重合開始剤としては、例えば、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、トリゴノックス(登録商標)121−50(化薬アクゾ社製)等の有機過酸化物等を挙げることができる。熱硬化用ラジカル重合開始剤としての有機過酸化物は、1種又は2種以上を用いればよい。
【0074】
((C1)〜(C3)の配合量)
(C1)の固形分重量、(C2)の固形分重量の合計量((C1)+(C2))100重量部中に、(C1)を50〜99重量部、(C2)を1〜50重量部の範囲内となるように含有し、(C1)の固形分重量及び(C2)の固形分重量の合計量((C1)+(C2))100重量部に対して(C3)を0.5〜20重量部の範囲内となるように含有するものであることが好ましい。
【0075】
上記ポリウレタンアクリレート(C1)の含有量が50重量部未満であると、耐ブロッキング性が低下するという点で好ましいものではない。上記ポリウレタンアクリレート(C1)の含有量が99重量部を超えると、耐擦傷性、表面硬度が不充分となる点で好ましいものではない。上記下限は、55重量部以上であることがより好ましく、65重量部以上であることが更に好ましい。上記上限は、98重量部以下であることがより好ましく、95重量部以下であることが更に好ましい。
【0076】
上記不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)の含有量が1重量部未満であると、耐擦傷性、表面硬度が不充分となる点で好ましいものではない。上記不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)の含有量が50重量部を超えると、耐ブロッキング性が低下するという点で好ましいものではない。上記下限は、2重量部以上であることがより好ましく、5重量部以上であることが更に好ましい。上記上限は、45重量部以下であることがより好ましく、35重量部以下であることが更に好ましい。
【0077】
上記重合開始剤(C3)の含有量が0.5重量部未満であると、クリヤー層を十分に硬化させることができず、得られるクリヤーの耐擦傷性、表面硬度、耐薬品性、耐衝撃性の塗膜物性を得られない可能性がある。上記重合開始剤(C3)の含有量が20重量部を超えると、クリヤー塗膜内に未反応の重合開始剤(C3)が残存し、屋外での太陽光等によって、クリヤー塗膜が劣化し、耐候性が悪化する可能性がある。
【0078】
上記クリヤー塗料組成物は、チオール基及び/又はアミン基を有するモノマーを0.5〜20重量部含有することが好ましい。
上記チオール基及び/又はアミン基を有するモノマーとしては、特に限定されず、通常使用されるチオール化合物、及び、アミン化合物を挙げることができる。
【0079】
上記アミン化合物としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、等の脂肪族ポリアミン:1,2−および1,3−シクロブタンジアミン、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、メチレンビスシクロヘキサン2,4’−および/または4,4’−ジアミン、ノルボルナンジアミン等の脂環式ポリアミン:フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4−ビス−(sec−ブチル)ジフェニルメタンなどの芳香族アミン:及びダイマー酸のカルボキシ基をアミノ基に転化したダイマー酸ジアミン、末端にアミノ基を有するデンドリマー、アミンを繰返し構造として有するポリアミンを用いることもできるがこれらに限定されない。
【0080】
上記チオール化合物としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、エチレングリコールジメルカプトプロピオネート、ジエチレングリコールジメルカプトプロピオネート、4−t−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、ビス−(2−メルカプトエチル)スルフィド、4,4’−チオジベンゼンチオール、ベンゼンジチオール、グリコールジメルカプトアセテート、グリコールジメルカプトプロピオネート、エチレンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ポリエチレングリコールジメルカプトアセテート、ポリエチレングリコールジ−(3−メルカプトピロピオネート)、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、ビスフェノフルオレンビス(エトキシ−3−メルカプトプロピオネート)、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、2−メルカプトメチル−2−メチル−1,3−プロパンジチオール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、チオグリセロールビスメルカプト−アセテート等の2官能チオール:トリメチロールプロパン(トリスメルカプトプロピオネート)(TMPTMP)、トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタン トリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトアセテート)、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、及びトリス(3−メルカプトプロピオネート)トリエチル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、等の3官能チオール:ポリ(メルカプトプロピルメチル)シロキサン(PMPMS)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオールペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトアセテート)、及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)等の多官能チオールを含むが、これらに限定されない。
【0081】
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムにおいて使用されるクリヤー塗膜層(C)は、上述したようなものであるが、更に好ましくは、ポリウレタンアクリレート(C1)が
2重結合当量:130〜600g/eq
分子量Mw:3000〜200000
ウレタン濃度:300〜2000g/eq、
である塗料組成物によって形成されたものであることが好ましい。これらの性質を満たすものを使用することが好ましい。このようなクリヤー塗料組成物によってクリヤー塗膜層(C)を形成することによって、耐ブロッキング性、高い耐擦傷性,表面硬度,耐薬品性を備え,良好な耐衝撃性を付与することができる点で好ましいものである。さらに、上記ポリウレタンアクリレート(C1)は、ウレア濃度:500〜1000g/eqであることが好ましい。
【0082】
なお、本明細書における重量平均分子量は、東ソー(株)製HLC−82220GPCを用いて測定した。測定条件は下記の通りである。
カラム:TSKgel Super Multipore HZ−M 3本
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム注入口オーブン 40℃
流量:0.35 ml/min.
検出器:RI
標準ポリスチレン:東ソー (株)PSオリゴマーキット
【0083】
(その他の成分)
クリヤー塗料組成物には、上記したポリウレタンアクリレート(C1)、不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(C2)、重合開始剤(C3)の他に、通常、塗料材料として添加される化合物が、その他の成分として含まれていてもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤(UVA)、光安定剤(HALS)、バインダー用樹脂や架橋剤、顔料、表面調整剤、消泡剤、導電性充填剤、溶剤等を挙げることができる。
【0084】
さらに、クリヤー塗料組成物に含まれる各成分の混合や粘度調整のために溶剤を用いてもよい。該溶剤としては、例えば、エステル系、エーテル系、アルコール系、アミド系、ケトン系、脂肪族炭化水素系、脂環族炭化水素系、芳香族炭化水素系等、塗料に用いられる従来公知の有機溶媒を、1種又は2種以上を組み合わせて用いればよい。なお、上記溶剤を用いる場合、積層フィルムに揮発性物質が残存すると、基材への加飾に際して、揮発性物質が揮散して、ピンホールや膨れが生じることがある。そのため、積層フィルムに含まれる揮発性物質を十分に低減することが好ましい。
【0085】
更に、上記クリヤー塗料組成物は、更に、平均1次粒子径が100nm以下の無機・有機フィラーを0.5〜60重量部含有することが好ましい。これによって、耐ブロッキング性、高い耐擦傷性,表面硬度を改善することができる。上記配合量の下限は、1重量%であることがより好ましく、上限は50重量%であることがより好ましい。
【0086】
上記無機フィラーとしては、シリカ、微粉末ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、セピオライト(マグネシウム珪酸塩)、タルク(珪酸マグネシウム)、マイカ(珪酸アルミ)、ゾノトライト(珪酸カルシウム)、硼酸アルミニウム、ハイドロタルサイト、ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、チタン酸カリウム、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、イットリア、セリア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ジルコニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、あるいはこれらの共融混合物、または成型、焼成などを経て得られる非金属無機材料いわゆるセラミックスフィラーが挙げられる。その中で価格と効果の面からシリカ、アルミナ、ジルコニア、あるいはこれらの共融混合物が好ましい。
【0087】
上記有機フィラーとしては、アクリル、スチレン、シリコーン、ポリウレタン、アクリルウレタン、ベンゾグアナミン、ポリエチレンの各樹脂のビーズが挙げられる。
また、市販のものとして、オルガノシリカゾルMIBK−ST, MEK−ST−UP、MEK−ST−L,MEK−AC−2140Z (日産化学工業製)、SIRMIBK15ET%−H24、 SIRMIBK15ET%−H83、ALMIBK30WT%−H06(CIKナノテック)等を使用することができる。
【0088】
クリヤー塗料組成物は、イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を0.5〜20重量%(塗料中の固形分比)含有するものであってもよい。ポリイソシアネート化合物を配合することによって、成形性(延伸性)と耐擦傷性を付与できる点で好ましい。上記配合量の下限は、2重量%であることがより好ましく、上限は18重量%であることがより好ましい。
【0089】
クリヤー塗膜層の膜厚としては特に限定されないが、3〜60μmであることが好ましい。
特に、基材フィルム層が表面に凹凸を有する場合は表面の凹凸深さに関わらず、表面硬度や耐擦り傷性などの性能を維持するためには所定の膜厚を確保することが好ましい。また、表面の凹凸模様を忠実に転写するためには、フィルム表面の凹凸にクリヤー塗料が十分入り込む必要があるため、塗料粘度は低い方が好ましい。塗膜を形成する工法にもよるが、50mPa・s〜5000mPa・sが好ましく、100mPa・s〜3000mPa・sがより好ましい。粘度がこれより低いと膜厚を確保することが困難となり、また作業性が劣ることとなる。粘度がこれより高いと、フィルム表面の凹凸にクリヤー塗料が十分入り込まず、模様が忠実に転写されなくなる。また、空気が残存することとなるため、成形時に膨れなどの不具合が発生する。
【0090】
(意匠層(D))
本発明における意匠層(D)は、3次元成型品加飾用積層フィルムによって付与される意匠外観を形成した層である。このような層としては、着色塗料組成物を塗布した後乾燥することによって形成された層、印刷によって形成された層、金属調意匠層等を使用することができる。以下、これらについてそれぞれ説明する。
【0091】
(着色塗料組成物によって形成された意匠層(D))
上記意匠層(D)の形成において使用することができる着色塗料組成物は、特に限定されるものではないが、ウレタン樹脂(D1)及び光輝材(D2)を含有することが好ましい。また、上記着色塗料組成物には、上記の各成分に加えて、紫外線吸収剤(UVA)、光安定剤(HALS)、バインダー用樹脂や架橋剤、顔料、表面調整剤、消泡剤、導電性充填剤、溶剤等のその他の成分が含まれていてもよい。なお、上記着色塗料組成物は、電磁線照射によって硬化するものであってもよく、あるいは、熱可塑性や熱硬化性であってもよい。
【0092】
(ウレタン樹脂(D1))
着色塗料組成物に含有されるウレタン樹脂(D1)は、特に限定されないが、重量平均分子量Mwが10,000以上200,000以下であることが好ましく、30,000以上150,000以下であることがより好ましい。上記重量平均分子量Mwが10,000未満であると、意匠層(D)の柔軟性が低下し、重量平均分子量Mwが200,000を超えると、着色塗料組成物の製造とフィルムへの塗工が困難となる。
【0093】
上記ポリウレタン樹脂(D1)は、Tg:−30℃〜30℃であることが好ましい。上記
Tgが−30℃未満であると、塗工、乾燥後の塗膜タック性(ブロッキング)が低下するという問題を生じる場合があり、30℃を超えると、塗膜硬度UPによる成形不良、製品としての低温物性低下という問題を生じる場合がある。
【0094】
なお、本明細書においてTgは、示差走査熱量計(DSC)(熱分析装置SSC5200(セイコー電子製))にて以下の工程により測定した値を意味するものである。すなわち、昇温速度10℃/minにて20℃から150℃に昇温する工程(工程1)、降温速度10℃/minにて150℃から−50℃に降温する工程(工程2)、昇温速度10℃/minにて−50℃から150℃に昇温する工程(工程3)において、工程3の昇温時のチャートから得られる値である。即ち、図5で示されるチャートの矢印で示される温度をTgとした。
【0095】
(光輝材(D2))
上記光輝材(D2)としては特に限定されず、アルミ、ガラス、無機顔料及び有機顔料からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。より具体的には、コーティングアルミニウム、アルミニウムフレーク、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属又は合金等の金属性光輝材等を用いた金属系顔料;干渉マイカ、ホワイトマイカ等のマイカ系顔料等を挙げることができる。
上記着色塗料組成物は、(C1)の固形分重量及び(C2)の固形分重量の合計量((C1)+(C2))100重量部中に、(C2)を0.5〜60重量部の範囲となるように含有する物を使用することが好ましい。
【0096】
(その他の成分)
着色塗料組成物に含まれるその他の成分であるバインダー用樹脂や架橋剤としては、例えば、変性アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、変性オレフィン樹脂、メラミン樹脂、ポリイソシアナート化合物、ブロックイソシアナート化合物等を挙げることができる。また、上記着色塗料組成物に含まれる溶剤としては、エステル系、エーテル系、アルコール系、アミド系、ケトン系、脂肪族炭化水素系、脂環族炭化水素系、芳香族炭化水素系等の、通常塗料に用いられる有機溶媒を1種又は2種以上を組み合わせて用いればよい。なお、上記溶剤を用いる場合、積層フィルムに揮発性物質が残存すると、基材への加飾に際して、揮発性物質が揮散して、ピンホールや膨れが生じることがある。そのため、積層フィルムに含まれる揮発性物質を十分に低減することが好ましい。
【0097】
(印刷によって形成された意匠層(D))
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、印刷によって形成された意匠層(D)を有するものであってもよい。印刷の方法は特に限定されず、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷又はフレキソ印刷等の公知の方法によって形成することができる。特に、インクジェット印刷を使用することで、安価に種々の印刷層を形成することができる点で好ましい。また、印刷に際しては、エネルギー線硬化型のインクを使用した印刷を行うものであってもよい。
【0098】
(金属調意匠層(D))
本発明は、金属からなるものであるかのような、すぐれた金属調の外観を得るために、蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1)又はインジウム若しくはスズからなる蒸着金属層(D−2)であるような金属調意匠層(D)を形成してもよい。このような金属調意匠層(D)を形成することで、良好な金属外観が得られるだけでなく、三次元の成型品に対して加飾を行う際の延伸によって、ワレや白化を生じることがなく、良好な金属調を有するような加飾を行うことができる。
【0099】
上記蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1)及びインジウム若しくはスズからなる蒸着金属層(D−2)について、以下、詳述する。
【0100】
(蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1))
上記金属調意匠層を形成するための塗膜層として第一にあげられるのは、蒸着アルミ顔料を含有する塗料によって形成されたものである。
【0101】
このような蒸着アルミ顔料を含有する塗膜層(D−1)は、例えば、塗料固形分量に対して30〜85重量%の蒸着アルミ顔料を含有するメタリックベース塗料によって形成されたものを挙げることができる。
【0102】
上記蒸着アルミ顔料は、蒸着アルミニウム膜を細断してフレーク状にしたものである。このようなノンリーフィング蒸着アルミ顔料は、例えば、配向ポリプロピレン、結晶性ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムをベースフィルムとして用い、その上に剥離剤を塗布し、剥離剤の上にアルミニウム蒸着を行うことによって製造することができる。
【0103】
上記蒸着アルミ顔料は、アルミフレーク等の通常のアルミ顔料とは異なり、粒子感の少ないものであり、これによって、金属表面のような鏡面状の外観を有する意匠層を提供することができる。
【0104】
上記蒸着アルミ顔料は、ノンリーフィング蒸着アルミ顔料であることがより好ましい。ノンリーフィング蒸着アルミ顔料は、粒子径が3〜20μm、厚みが0.01〜0.1μmであることが好ましい。上記粒子径を有するものであることによって、粒子感の少ない金属調の新たな意匠を得ることができる。上記粒子径は5〜15μmであることがより好ましい。なお、本明細書における粒子径とは、レーザー回折粉度分布計 LA−910(株式会社 堀場製作所製)にて測定した値である。本発明に使用することができる市販のノンリーフィング蒸着アルミとしては、メタシーン11−0010、41−0010、71−0010,91−0010、MS− 750, MS−650(チバスペシャリティー社製)及びシルバーラインP1000、P4100, Metalure L, Metalure A21010BG(エカルト社製)等を挙げることができる。
【0105】
なお、上記リーフィング処理とは、アルミニウムの表面に疎水性及び/又は疎油性剤によって行う処理である。本発明で使用するノンリーフィング蒸着アルミ顔料は、このようなリーフィング処理を施していないノンリーフィング蒸着アルミ顔料であることが好ましい。リーフィング蒸着アルミニウムを使用した場合、隣接する塗膜層との密着力が低下し密着性に不具合が生じる。よって、本発明においては、ノンリーフィング蒸着アルミニウムを使用することが好ましい。
【0106】
上記蒸着アルミ顔料は、上記蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1)の固形分全量に対して30〜85質量%である。30質量%未満では、緻密金属光沢感を満たす光輝性塗膜が得られず、85質量%を超えると塗膜の物性が低下する。上記ノンリーフィング蒸着アルミ顔料の含有量は、より好ましくは、40〜80質量%である。
【0107】
上記蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1)は、上記ノンリーフィング蒸着アルミ顔料に加えて、更にバインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂としては特に限定されるものではなく塩化ビニル樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらのうち、2種類以上を混合して使用するものであってもよい。これらのなかでも特に塩化ビニル樹脂が好ましい。
【0108】
塩化ビニル樹脂は、市場から入手可能なものを用いることができる。上記塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルの単独重合体であってもよいし、塩化ビニルと共重合しうる他のビニル単量体との共重合体であってもよい。上記共重合体としてより具体的には、塩化ビニルと酢酸ビニル、無水マレイン酸あるいはそのエステル類、ビニルエーテル、アクリル酸、アクリル系水酸基含有モノマー等との共重合体等を挙げることができる。
【0109】
これらの塩化ビニル樹脂の重合度は、通常200〜2000、好ましくは300〜1000である。入手が容易な塩化ビニル樹脂の市販品としては、日信化学工業製ソルバインC、CN、A、TA2、TAO、TAOL、M5;Wacker製Vinnol H11/59、E15/48A、LL4320、E15/45M;Dow UCAR社製VYHD、VAGD、VMCH、VMCC等を挙げることができる。これらのうち、2種以上を混合して使用することもできる。
【0110】
上記蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1)は、アルミニウム凝集防止剤を添加したものであってもよい。この場合、アルミニウム凝集防止剤の作用によって、アルミニウムと樹脂との間での凝集破壊を抑制することができる点で好ましい。アルミニウム凝集防止剤としては、具体的にはダイアナ―ルRE360(三菱レーヨン社製)等を使用することができる。
【0111】
上記蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1)は、上記特定ノンリーフィング蒸着アルミ顔料以外に、その他の光輝性顔料及び/又は着色顔料を含有することができる。
【0112】
その他の光輝性顔料としては、例えば、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、グラファイト顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属チタンフレーク顔料、ステンレスフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、金属めっきガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、ホログラム顔料及びコレステリック液晶ポリマーからなるフレーク状顔料からなる群より選ばれた少なくとも1種の顔料が挙げられ、より好ましくは金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、グラファイト顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料又は金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料からなる群より選ばれた少なくとも1種の顔料が挙げられる。
【0113】
上記着色顔料として、例えば、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、また、無機顔料としては、例えば、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラックが挙げられる。
【0114】
上記蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1)を形成するためのメタリックベース塗料は、上記成分の他に、ポリエチレンワックス、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、シリコーンや有機高分子等の表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)等を適宜添加して含有することができる。上記メタリックベース塗料は、溶剤系塗料、水系塗料等の形態とすることができる。
【0115】
上記蒸着アルミを含有する塗膜層(D−1)は、厚みが0.05〜5μmであることが好ましい。上記範囲外であると、白化やワレ等の問題を生じやすい点で好ましいものではない。
【0116】
(インジウム若しくはスズからなる蒸着金属層(D−2))
蒸着とは、真空にした容器の中で、蒸着材料を加熱・気化して、離れた位置に置かれた基材の表面に付着させ、薄膜を形成する工法である。本発明において、蒸着に使用される金属は、スズ、インジウムであることが好ましい。蒸着には10−3〜10−4Pa程度の真空度が必要なため、一旦、容器を真空状態にする必要がある。それゆえ、蒸着は完全なバッチ処理となり、連続的な処理が不可能である。
【0117】
また、フィルムへの蒸着工法は一般的に、(1)チャンバー内にフィルムロールおよびターゲット金属をセットし、(2)チャンバー内を真空排気(10−3〜 10−4Pa)し、フィルムの走行をスタート、(3)ターゲット加熱、蒸気発生でフィルム表面に蒸着され、(4)蒸着完了で、チャンバーを大気開放する工程からなる。部品への直接蒸着に比べ、バッチ処理でありながら、フィルム1ロール分が連続して加工されるため、経済効率が高い。また、蒸着膜の厚みや質が制御しやすいという利点がある。ただし、フィルムのままでは3次元形状物へ適用できないものである。
【0118】
本発明における上記インジウム若しくはスズからなる蒸着金属層(D−2)は、これらの金属を使用した通常の蒸着法によって形成することができる。インジウム若しくはスズを使用することによって、伸びが良好な金属層とすることができるため、3次元形状への成形を行う場合にワレや白化を生じることがなく、外観に悪影響を生じることもない。
【0119】
本発明においては、蒸着金属層として、インジウム若しくはスズを使用することで、不連続蒸着という作用によって、ワレや白化が生じにくいという利点を有するものである。
【0120】
このような蒸着金属層を形成する場合、その厚みは、0.05〜5μmであることが好ましい。このような厚みとすることで、上述した目的を良好に達成することができる。
【0121】
(離形層(E))
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、必要に応じて離形層(E)を設けたものであってもよい。すなわち、基材フィルム層(B)を剥離して使用する場合に、その剥離が容易となるように、剥離面において離形層(E)を形成してもよい。
【0122】
本発明における離形層(E)は、公知の任意のものを使用することができ、例えば、シリコーン系離型剤等によって形成することができる。
離形層(E)とクリヤー塗膜層(C)の剥離強度は、0.05〜8.0N/25mmであることが好ましく、0.1〜5.0N/25mmであることがさらに好ましい。0.05N/25mm未満であると、フィルム製造時、加飾成形時に基材フィルム層(B)が剥離するなど、作業性が悪く、また、8.0N/25mmを超えると、成形後フィルムを剥離する場合に、剥離が困難となる恐れがある。
【0123】
(保護層(F))
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、特に意匠層(D)として金属調意匠層を設ける場合、意匠層(D)に隣接する形で保護層(F)を形成したものであることが好ましい。すなわち、金属調意匠層(D)は、クリヤー塗膜層(C)と接する位置に設けた場合、未硬化状態での延伸によって未硬化状態のクリヤー塗膜層(C)が動く際に、金属調意匠層(D)が動いてしまい、これによって外観の悪化を生じる場合がある。
【0124】
更に、金属調意匠層(D)がインジウム若しくはスズからなる蒸着金属層(C−2)である場合、その製造において、未硬化状態のクリヤー塗膜層(C)上に蒸着金属層を形成することが困難となる場合がある。よって、このような問題を軽減させるという観点からも、蒸着性が良好であるような保護層(F)を設け、このような問題を改善することが望ましい。
【0125】
上記保護層(F)としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等の樹脂を使用することができ、ウレタン樹脂が好ましく、ウレア結合含有ウレタン樹脂がさらに好ましい。1種単独でまたは2種以上を併用して配合することができる。
【0126】
(紫外線吸収層(G))
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、紫外線吸収層(G)を設けたものであってもよい。特に、エネルギー線硬化型のインクジェット印刷によって意匠層(D)を形成した場合は、このような紫外線吸収層(G)を設け、エネルギー線硬化型の意匠層(D)を硬化させる際に、クリヤー塗膜層(C)が硬化しないようにすることが好ましい。
【0127】
紫外線吸収層(G)は、強度40℃〜130℃で3〜1000N/cm、表面張力20〜60mN/m、及び、紫外線透過率290nm〜430nmで20%以下を満たすものである。
強度が低いと、成形時膨れを生じ、高いと成形性が不十分になる。また、表面張力が低いとインクがにじみ、高いとインクがハジキ、いずれも良好な印刷画像を得られなくなる。また、紫外線透過率が高いと、十分な紫外線遮断効果が得られなくなる。
すなわち、インクジェット印刷を行うのに十分な表面張力を有し、クリヤー塗膜層の硬化を防ぐのに十分な紫外線遮蔽能を有し、かつ、成形において不具合を生じないだけの強度を有するものとしたものである。
【0128】
上記紫外線吸収層(G)の強度は、紫外線吸収層単独で島津製作所製オートグラフAG−ISを用い60℃の温度条件下、50mm/minの引張速度にて、伸び200%の時の膜強度を測定したものである。
【0129】
上記紫外線吸収層(G)の表面張力は、自動接触角計DSA20(クルツ社製)を用い、水およびヨウ化メチレンの接触角を測定し、算出されたものである。
【0130】
上記紫外線吸収層(G)の紫外線透過率は、紫外可視分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ)を用い、波長290.0nm〜430.0nmの範囲で測定されたものである。
【0131】
また、紫外線吸収層(G)は、紫外線は吸収するが、可視光は透過しやすいものであることが好ましい。可視光が透過しなければ、意匠層が外部から見にくいものになってしまうためである。
【0132】
上記紫外線吸収層(G)は、バインダー樹脂(G1)及び紫外線吸収剤(G2)を含有する塗料組成物によって形成されたものである。そして、これらの成分の配合や組み合わせを調整することによって、上述したパラメータを満たす層を形成すことができる。
【0133】
上記バインダー樹脂(G1)としては、特に限定されず、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等の樹脂を使用することができ、ウレタン樹脂が好ましく、ウレア結合含有ウレタン樹脂がさらに好ましい。1種単独でまたは2種以上を併用して配合することができる。
紫外線吸収層(G)全量に対して85〜99重量%の範囲内であることが好ましい。
【0134】
上記紫外線吸収剤(G2)としては、特に限定されず、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤等を使用することができる。
【0135】
上記トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。
【0136】
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロー2−ヒドロキシベンゾフェノン2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジエトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジプロポキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジブトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシー4−メトキシー4’−プロポキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシー4−メトキシー4’−ブトキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0137】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシー5−t−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシー3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0138】
上記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
【0139】
上記ヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサルシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサルシレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5−ジ−t−ブチルー4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−アミルフェニル−3’,5−ジ−t−ブチルー4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3’,5−ジ−t−ブチルー4’−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0140】
上記紫外線吸収剤(G2)としては、短波長域から長波長域に渡る広範囲の波長(約280〜360nm)の紫外線吸収性が高い点で、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤は上記化合物を1種単独で又は2種以上を併用して配合することができる。
具体的には、チヌビン400、900、447、1130(BASF社製)を使用することができる。紫外線吸収剤(G2)の配合量は使用する紫外線吸収剤によって相違し、上述した紫外線透過率を満たすものであれば特に限定されないが、紫外線吸収層(G)全量に対して1〜15重量%の範囲内であることが好ましく、3〜10重量%の範囲内であることがさらに好ましい。1重量%未満であると紫外線遮断効果が不十分になる可能性がある。15重量%を超えると紫外線吸収層の強度が低下し成形性が不十分になる可能性があり、またコストの面で不利となる。
【0141】
上記紫外線吸収層(G)は、表面調整剤(G3)を含有するものであってもよい。すなわち、紫外線吸収層(G)において使用する樹脂種によっては、表面張力を上述したような範囲内のものとすることが困難となる場合がある。この場合は、表面調整剤(G3)を配合することによって、上述した範囲内の表面張力とすることができる。
【0142】
上記表面調整剤(G3)としては特に限定されず、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン等を使用することができる。具体的には、例えば、BYK−300、BYK−342、BYK−349(ビックケミージャパン社製)などが挙げられる。
上記表面調整剤(G3)の配合量は特に限定されず、紫外線吸収層(G)全量に対して0.01〜5重量%の範囲内であることが好ましい。
【0143】
上記紫外線吸収層(G)は、その厚みを特に限定するものではないが、例えば、3〜30μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。薄すぎる場合は、紫外線遮蔽性能や強度を充分に得ることが困難となりやすく、厚すぎても特に性能が向上するわけではなく、コスト上不利になってしまうばかりか、塗工および乾燥が困難となる。
【0144】
(破断伸度)
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、硬化前に、40〜130℃で30〜400%の破断伸びを有する、充分な延伸性を示すものであることが好ましい。射出成形により3次元成型品加飾用積層フィルムを成型体に接着する場合、高温で処理するため意匠性が低下したりする問題があった。一方、真空成形は高温での処理を必要としないためこのような問題はないものの、充分な延伸性が求められる。すなわち上記の温度範囲で、このような破断伸度を有するものとすることで、真空成形に容易に対応できるものとなり、本発明の効果を好適に得ることができる。
【0145】
このような数値範囲内のものとすることは、フィルムを形成する各層の成分を調製することで可能となる。本発明において、「40〜130℃で30〜400%の破断伸びを有する」とは、破断伸びが30〜400%を示す温度領域が40〜130℃内にあり、その温度で成形することで、十分な延伸性が得られる。という意味である。
図6は「40〜130℃で30〜400%の破断伸びを有する」状態を示したものである。すなわち、図6中実線で示したものは40〜130℃の範囲内に30〜400%の破断伸びであるが、破線で示したものは範囲外となる。
【0146】
なお、破断伸度は、基材フィルム(B)を含む状態で島津製作所製オートグラフAG−ISを用い、40〜130℃の温度範囲内で、50mm/minの引張速度にて測定し、いずれかの層が破断した時点の伸びを測定して得られた値である。フィルムの性質に応じて、40〜130℃の範囲内のいずれかの任意の温度において、破断伸びが上述した範囲のものとなればよい。
【0147】
(積層フィルムの製造方法)
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムを構成する基材フィルム層(B)以外の各層は、各層を構成する成分を溶剤に溶解した塗料組成物を調製し、これを基材フィルム層(B)上に塗布・乾燥することで、形成することができる。また、意匠層(D)は上述したように、印刷によって形成することもできる。
【0148】
上記各層を形成するための塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレーによる吹付け塗布、アプリケーターや、ダイコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマコーター、ローラブラシ、はけ、へら等を用いて塗布すればよい。上記塗布方法にて、塗料溶液を塗布した後、該塗料溶液中の溶剤を除去するために、加温乾燥を行って、形成することができる。
【0149】
また、上述したように、接着層(A)に関しては、塗布・乾燥という方法ではなく、ラミネート法によって接着するものであってもよい。すなわち、接着層(A)によって形成されたフィルムを調製し、これをフィルムにラミネートによって接着させる方法で形成してもよい。
【0150】
上記意匠層(D)が、インジウム若しくはスズからなる蒸着金属層(D−2)である場合、蒸着金属層の形成を行う必要がある。このような蒸着金属層の形成方法は特に限定されるものではなく、通常の公知の方法によって行うことができる。
【0151】
(使用方法)
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムを用いて基材を加飾する場合には、従来公知の真空成形による手法と同様に行えばよく、特に限定されるものではない。すなわち、必要に応じて積層フィルムから基材フィルム層(B)を剥離し、接着層が基材表面に面するようにして、基材表面に積層フィルムを密着するように、該積層フィルムを圧着させて加飾する。その後、電磁波照射又は加熱を行い、各層を硬化させて、塗膜を得る。また、圧着、硬化後に基材フィルム層(B)を剥離してもよい。
【0152】
本発明の積層フィルムを適用する真空成形は、成形時、基材とフィルムとの間が70kPa以下であるような真空条件下で接着が行われるものである。このような真空度での成形を行うことで、接着層(A)と成型体との間に空気が入り込むことがなくなり、高密着性の加飾を行うことができる点で好ましい。
【0153】
また、加飾のための成形は、積層フィルムとして伸びが30〜400%となるような温度を40〜130℃の温度範囲内から選定して行うことが好ましい。これによって、積層フィルムが好適に高伸度に対応できることから、良好な真空成形を行うことができる。
【0154】
なお、本発明の積層フィルムによって好適に加飾を施すことができる基材は、特に限定されないが、例えば、バンパー、フロントアンダースポイラー、リヤーアンダースポイラー、サイドアンダースカート、サイドガーニッシュ、ドアミラー等の自動車外装部品、インパネ、センターコンソール、ドアスイッチパネル等の自動車内装部品、携帯電話やオーディオ製品、冷蔵庫、ファンヒータ、照明器具等の家電製品の筐体、洗面化粧台等を挙げることができる。
【実施例】
【0155】
以下、本発明を実施例によって説明する。実施例中、配合割合において%とあるのは特に言及がない限り重量%を意味する。本発明は以下に記載した実施例に限定されるものではない。
【0156】
(合成例 ポリウレタンの合成)
攪拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及び材料投入口を備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「デュラノールT6001」、旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量による数平均分子量=1,000)200.0g、1,4−ブタンジオール80.0g、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)120.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)238.1gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃で4,4‘−メチレンビス-シクロヘキシルジイソシアネート314.2gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ポリウレタンを含有する樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液の粘度は200dPa・s/20℃、固形分は45%、2重結合当量は600g/eqであった。また、GPCにより測定したポリウレタンの重量平均分子量は44,000であった。
【0157】
〔積層フィルムの製造例〕
<基材フィルムの調整>
離形層ありの場合は、基材フィルムの塗膜層を形成する片方の面にフッ素系の離型剤を塗布し、離形層を形成した。
【0158】
<クリヤー塗料溶液の調整>
攪拌機を備えた容器に、ポリウレタンアクリレート(C1)、モノマー(C2)を入れ、攪拌しながら最終の塗料がNV=40%となる量のMEKを入れ、さらに重合開始剤(C3)を入れ、30分間攪拌し、クリヤー塗料溶液を得た。
【0159】
<着色塗料溶液の調整>
攪拌機を備えた容器に、ウレタン樹脂(D1)及び光輝剤(D2)を入れ、攪拌しながら
最終の塗料がNV=35%となる量のMIBKを入れ、30分間攪拌し、着色塗料溶液を得た。
【0160】
<接着塗料溶液の調整>
攪拌機を備えた容器に、それぞれの樹脂を入れ、攪拌しながら最終の塗料がNV=30%となる量のMEKを入れ、30分間攪拌し、接着塗料溶液を得た。
【0161】
<意匠層としての機能を備えた接着塗料溶液の調整>
攪拌機を備えた容器に、それぞれの樹脂(A−d1)及び光輝剤(A−d2)を入れ、攪拌しながら最終の塗料がNV=35%となる量のMEKを入れ、30分間攪拌し、意匠層としての機能を備えた接着塗料溶液を得た。
【0162】
<積層フィルムの作製1>
基材フィルム(B)上に、乾燥した時の膜厚(以下、乾燥膜厚)が20μmのクリヤー塗膜層(C)が得られるように、上記クリヤー塗料溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、80℃にて15分間乾燥させてクリヤー塗膜層(C)を形成した。
なお、以下では、基材フィルム層(B)上にクリヤー塗膜層(C)が形成されてなるものを、(B+C)層フィルムと記載する。
【0163】
次いで、上記(B+C)層フィルムのクリヤー塗膜層(C)上に、乾燥膜厚が20μmの意匠層(D)が得られるように、上記着色塗料溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、その後、80℃にて15分間乾燥させ、意匠層(D)を形成した。
【0164】
続いて意匠層(D)上に、乾燥膜厚が20μmの接着剤層(A)が得られるように、接着塗料溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、80℃にて15分間乾燥させ、接着剤層(A)を形成した。
意匠層としての機能を備えた接着層の場合は、上記(B+C)層フィルムのクリヤー塗膜層(C)上に、乾燥膜厚が20μmの接着層(A−d)が得られるように、上記意匠層としての機能を備えた接着塗料溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、その後、80℃にて15分間乾燥させ、意匠層兼接着層(A−d)を形成した。
【0165】
<積層フィルムの作製2>
基材フィルム(B)上に、乾燥した時の膜厚(以下、乾燥膜厚)が20μmのクリヤー塗膜層(C)が得られるように、上記クリヤー塗料溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、80℃にて15分間乾燥させてクリヤー塗膜層(C)を形成した。
なお、以下では、基材フィルム層(B)上にクリヤー塗膜層(C)が形成されてなるものを、(B+C)層フィルムと記載する。
次いで、上記(B+C)層フィルムのクリヤー塗膜層(C)とは反対側に、乾燥膜厚が20μmの意匠層(D)が得られるように、上記着色塗料溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、その後、80℃にて15分間乾燥させ、意匠層(D)を形成した。
続いて意匠層(D)上に、乾燥膜厚が20μmの接着剤層(A)が得られるように、接着塗料溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、80℃にて15分間乾燥させ、接着剤層(A)を形成した。
【0166】
〔積層フィルムによって加飾された成形体の製造例〕
上下ボックスからなる両面真空成形装置(商品名NGF−0709、布施真空(株)社製)内に装備された上下昇降テーブル上に、基材(成型品)を載置した。その後、上記両面真空成形装置の成型基材(成型品)の上部にあるシートクランプ枠に、上記にて得た積層フィルムをセットした。続いて、上下ボックス内の真空度が1.0kPaになるように減圧し、近赤外線ヒータを用いて積層フィルムの温度が90℃になるまで加熱し、成型基材を上昇させて、成型基材と積層フィルムとを圧着、その後、上ボックスにのみ200kPaの圧縮空気を導入し、35秒間保持した。
上下ボックスを大気圧に開放し、積層フィルムで加飾された加飾成形体を得た。
さらに、上記加飾成形体のクリヤー塗膜層(B)側から、120W/cmの高圧水銀灯を用いて、2000mJ/cmの光量の紫外線を照射し、クリヤー塗膜層(B)のクリヤー塗料を硬化させ、UV(紫外線)硬化成形体を得た。
【0167】
以下表1〜3に示した各実施例及び比較例の積層フィルムについて、以下のような条件での評価を行った。結果を表1〜3に示す。
【0168】
伸度:基材込みにて島津製作所製オートグラフAG−ISを用い80℃の温度条件下、50mm/minの引張速度にて測定
いずれかの層が破断した時点で、伸びを判定した。
【0169】
成形性:布施真空(株)製両面真空成形機NGF−0709を用いてTOM成形にて確認
◎:基材に高延伸部まで追随し成形可能
○:基材に中延伸部まで追随し成形可能
△:基材に低延伸部まで追随し成形可能
×:成形不可
【0170】
密着性:碁盤目セロテープ剥離試験 2mm100マスカット
○:剥離なし
△:〜50%剥離
×:〜100%剥離
【0171】
耐水密着性:40℃240時間浸漬後、碁盤目セロテープ剥離試験 2mm100マスカット
○:剥離なし
△:〜50%剥離
×:〜100%剥離
【0172】
成形後耐SW性:耐スチールウール性試験機を用いて、100g/cm2荷重にて♯0000のスチールウールを10往復
◎:傷なし
○:2〜3本の傷
△:数えられる程度の傷
×:傷が無数
【0173】
成形後耐衝撃性:デュポン耐衝撃試験機を用い、高さ20cmから重さ500gの重りを落下させ、塗膜のワレを確認
○:ワレなし
△:塗膜にわずかなひび
×:塗膜に顕著なひび
【0174】
成形後耐薬品性:内径38mm 高さ15mmの円筒のポリリングを塗膜に固定し、下記の溶液を滴下。
耐酸 0.1N H2SO4溶液 5ml 20℃×24h
耐アルカリ 0.1N NaOH溶液 5ml 55℃×4h
耐水 蒸留水 5ml 55℃×4h
各条件下にてフタをして静置し、試験後、水洗いして塗膜の状態初期と比較する。以下の基準によって評価を行った。
◎:塗膜に変化なし
○:塗膜外観がわずかに変化(しわ、クラック)
△:塗膜外観が明らかに変化(しわ、クラック)
×:塗膜外観が著しく変化(しわ、クラック)
【0175】
TMA(針入モード)による軟化点の確認
<分析装置>
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社「TMA/SS7100C」
<分析条件>
荷重10mN
昇温5℃/min
測定温度範囲は、DSCで融点・ガラス転移温度を確認し、明らかに柔らかいサンプルに関しては0℃付近より測定開始し、それ以外に関しては常温より測定開始
【0176】
GPCによる分子量の確認
<分析装置>
東ソー株式会社
「高速GPC HLC−8220GPC」
【0177】
<分析条件>
溶離液 THF(酸化防止剤含有)
流量 0.35ml/min
注入量 10μl
温調部 40℃
検出器 RI
標準 ポリスチレン・・・算出される分子量は、ポリスチレン換算
【0178】
なお、表中の各成分は以下のものを使用した。
ノバクリアSG007(三菱樹脂):A−PETシート
ソフトシャイン(東洋紡):易成形二軸延伸ポリエステルフィルム
UV 1700B (日本合成化学工業):ウレタンアクリレートオリゴマー
ルシリンTPO(BASF):2,4,6−トリメチルベンゾイルージフェニルーフォスフィンオキサイド
アルペースト65−388アルミ(東洋アルミ):アルミペースト
E−1321(東亜合成):塩ビ、酢ビ共重合樹脂
MAU−2000(大日精化工業):変性オレフィン樹脂
Xp012N35(三井化学):変性オレフィン樹脂
MAU−2600(大日精化工業):PC系ウレタン樹脂
MAU−2600HV(大日精化工業):PC系ウレタン樹脂
MAU−2602HV(大日精化工業):PC系ウレタン樹脂
MAU−2603HV(大日精化工業):PC系ウレタン樹脂
MAU−700(大日精化工業):ブチラール系ウレタン樹脂
クロスネートXCR(大日精化工業):NCO
R−298−1クリヤー(NBC):自動車用クリヤー塗料
R−298硬化剤(NBC):R−298−1クリヤー用硬化剤
【0179】
【表1】



【0180】
【表2】


【0181】
【表3】
【0182】
以上の実施例の結果から、本発明の3次元成型品加飾用積層フィルムは、良好な密着性、成形性を有し、表面の耐擦傷性や耐薬品性等の性質においても優れており、3次元成型品に対して良好な加飾を行うことができることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明の真空成形用3次元成型品加飾用積層フィルムは、各種の成型体に対して3次元的形状面を有する加飾を行う際に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0184】
(A)接着層
(A−d)意匠層としての機能を兼ね備えた接着層
(B)基材フィルム層
(C)クリヤー塗膜層
(D)意匠層
(E)離形層
図1
図2
図3
図4
図5
図6