(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題について、特開2007−233299号公報(特許文献1)の図を用いて説明する。
図10は、特開2007−233299号公報に開示されたカラーフィルタ欠陥修正装置の構成を示す外観図である。
図10を参照して、このカラーフィルタ欠陥修正装置は、ホストコンピュータ1と、制御用コンピュータ2と、画像処理部3と、Z軸ステージ4と、XYステージ5と、チャック台6と、カット用レーザ照射部7と、可変スリット部8と、インク塗布部9と、モニタ10と、対物レンズ21とを備える。カット用レーザ照射部7と、可変スリット部8と、インク塗布部9とは、修正処理部50を構成する。Z軸ステージ4と、XYステージ5とは、位置決め機構51を構成する。
【0006】
次に、インクの塗布手順について説明する。作業者は、ホストコンピュータ1のモニタに表示された欠陥を確認し、インクの塗布位置を指示する。モニタ上の画像は対物レンズ21により拡大表示されており、マウスなどでモニタ上の点をクリックすることによりXY平面における塗布位置を指定する。この際、ホストコンピュータ1は、クリックされた位置をXYステージ5の座標値Pに変換して内部に記憶する。
【0007】
このときに画像の焦点が合っていない場合は、作業者は、マニュアル操作によってZ軸ステージ4を移動させて焦点を合わせるか、画像処理部3による自動焦点合わせによってZ軸ステージ4を移動させて焦点を合わせる。この動作によって、インク塗布部9と塗布対象物の表面とのZ軸方向の相対位置関係が適切な位置関係に設定される。この後、作業者はホストコンピュータ1に塗布動作を指示する。
【0008】
インクの塗布動作が指示されると、ホストコンピュータ1は、記憶しておいた座標値Pにインク塗布部9の対物レンズ21に対する相対座標値を加えて座標P’を算出する。ホストコンピュータ1は、座標P’に基づいてXYステージ5を移動させインク塗布部9を制御してインクを塗布した後、XYステージ5を元の位置に移動させる。最後に、作業者は、ホストコンピュータ1のモニタに表示されたインクの状態を確認する。
【0009】
以上のように、特許文献1の構成では、インク塗布部9が対物レンズ21に対して水平方向にオフセットした位置に取り付けられているので、塗布対象物は、Z軸方向の位置合わせ時に対物レンズの下に移動し、塗布時にはインク塗布部9の下に移動する必要がある。
【0010】
図11は、従来の装置において問題となる塗布対象物の表面形状を説明するための模式図である。
図11(a)のように表面に段差があったり、
図11(b)のように表面が傾斜している塗布対象物に対しては、連続した塗布動作はできない。その理由は、インク塗布部9の塗布針の下降量は予め定められた値に設定されており、対物レンズの下で焦点を合わせるZ軸方向の位置合わせ操作1回に対して、同一高さの平面にしか塗布を行なうことができないからである。
【0011】
したがって、
図11に示したような形状の塗布対象物に対しては、同一高さの平面上の塗布動作が完了したら、再度対物レンズ21で塗布対象物を確認して、次の高さの対象面に焦点を合わせることによって対象
面とインク塗布部9とのZ軸方向の位置関係を合わせてから塗布する必要がある。このため、タクトタイムの短縮が難しい。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、インク塗布部と塗布対象物の塗布予定部との相対距離を正確に測定する手段を有し、インク塗布部と塗布対象物の塗布予定部の表面とのZ軸方向の位置関係を高精度に位置決めすることが可能な液状材料塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、要約すると、液状材料塗布装置であって、液状材料を先端部に付着させて対象物に塗布するための塗布針と、塗布針に沿う上下方向に塗布針を対象物に対して相対的に移動させる駆動装置と、対象物の塗布予定部が塗布針の下に位置するように対象物が位置決めされた状態で、塗布予定部と先端部との相対距離を検出する測定装置と、測定装置によって検出された相対距離に基づいて塗布針を移動させて先端部を対象物に接触させた後、塗布針を移動させて先端部を対象物から離脱させるように駆動装置を制御する制御装置とを備える。
【0014】
好ましくは、測定装置は、レーザ光を出射する投光器と、対象物の表面で反射されたレーザ光の反射光を受光する受光器とを含む。
【0015】
より好ましくは、塗布針と、投光器の投光軸と、受光器の受光軸は同一の平面上に配置される。塗布針は、その平面上において、投光器と受光器の中間に配置される。
【0016】
さらに好ましくは、塗布予定部は、塗布針の先端部が対象物に接触する対象物の表面上の接触点である。投光器から出射されるレーザ光のスポットは、接触点に略一致するように調整されている。
【0017】
好ましくは、駆動装置は、塗布針を上下方向に移動させる第一の駆動機構と、第一の駆動機構および測定装置が固定された支持部材を上下方向に移動させる第二の駆動機構とを含む。移動距離は、第一の駆動機構による塗布針の第1の移動距離と、第二の駆動機構による支持部材の第2の移動距離との合計である。制御装置は、第1の移動距離を固定長とし、第2の移動距離を相対距離に基づいて変化させる。
【0018】
より好ましくは、測定装置は、支持部材に固定され、塗布予定部にレーザ光を照射し反射光に基づいて相対距離を取得する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、塗布針の先端部と対象物の塗布予定部の相対位置を高精度に位置決めすることができる。さらに、針接触位置とレーザ光のスポットを略一致させる構成のため、高さが異なる面に対してもその都度の焦点合わせ動作は不要であり、塗布装置の駆動機構の動作時間を短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る液状材料塗布装置の構成を示す図である。本実施の形態では、
図10のインク塗布部9を、
図1に示す塗布機構部101で置き換えたことが特徴である。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態に係る液状材料塗布装置300は、インク塗布の対象物(回路基板など)の表面を観察する観察光学系で観察された画像を映し出すモニタ10と、観察光学系を介して対象物にレーザ光を照射し不要部をカットするカット用レーザ照射部7と、インクを塗布針の先端部に付着させて対象物の対象領域に塗布する塗布機構部101と、対象領域を認識する画像処理部3と、装置全体を制御するホストコンピュータ1と、塗布機構部101の動作を制御する制御用コンピュータ2とを含む。液状材料塗布装置300は、さらに、その他に対象領域を有する対象物をXY方向(水平方向)に移動させるXYステージ5と、XYステージ5上で対象物を保持するチャック台6と、観察光学系および塗布機構部101をZ方向(垂直方向)に移動させるZステージ4などを含む。
【0024】
XYステージ5は、塗布機構部101によってインクを対象領域に塗布する際や、観察光学系によって対象物の表面を観察する際などに、対象物を適切な位置に相対移動させるために用いられる。XYステージ5は、2つの一軸ステージを直角方向に重ねた構成を有している。ただし、このXYステージ5は、観察光学系や塗布機構部101に対して対象物を相対的に移動させることができるものであればよく、
図1に示すXYステージ5の構成に限定されるものではない。対象物のサイズが大きい場合には、X軸方向とY軸方向にそれぞれ独立して移動可能なガントリ型のXYステージを用いてもよい。
【0025】
図2は、本実施の形態に係る液状材料塗布装置の塗布機構部101の詳細な構成を示す図である。
図2を参照して、塗布機構部101は、液状材料が注入された容器107と、液状材料を先端部に付着させて対象物に塗布するための塗布針106と、塗布針106が取り付けられ塗布針106をZ方向にスライドするためのスライド機構105と、スライド機構105が取り付けられスライド機構105をZ方向に位置決めするための第二の駆動機構104と、第二の駆動機構104が取り付けられた支持部材102と、支持部材102をZ方向に位置決めするための第一の駆動機構103とを含む。
【0026】
図3は、塗布針106と容器107を拡大した図である。
図3には、容器107の底に開口された第1の孔21aと、その蓋23に開口された第2の孔23aと、塗布針106との寸法関係を表したものである。第1の孔21aの径をDdとし、第2の孔23aの径をDuとし、塗布針106の径をDとすると、DdとDuはDよりも大きく、Dd>Du>Dの関係にある。なお、この関係式は、塗布針106が段付ではなく、ストレートのタイプの場合に成り立つ。
【0027】
また、第1の孔21aの径Ddと塗布針106の径Dとの差の半分(片側隙間)をΔdとし、第2の孔23aの径Duと塗布針106の径Dとの差の半分(片側隙間)をΔuとすると、Δd>Δuの関係にあり、蓋23に開口された第2の孔23aと塗布針106との隙間よりも、容器107の底に開口された第1の孔21aと塗布針106との隙間の方が大きく設定されている。このため、第2の孔23aと塗布針106で容器107の姿勢を保つことができ、さらに、塗布針106が第2の孔23aの内面に接触した状態にあっても、塗布針106が第1の孔21aの内面に接触しないため、第1の孔21aの磨耗による変形を抑制できる。したがって、塗布針106の先端部24aに付着するインク22の液量が変化しないので安定した塗布が可能となる。
【0028】
再び
図2に戻って、塗布機構部101は、塗布機構部101と対象物108との相対距離を検出する測定装置111をさらに含む。測定装置111は、投光器109と受光器110とを含む。支持部材102には、投光器109と受光器110が取り付けられる。この測定装置111は、対象物108上の接触点Pを含む近傍(塗布予定部)と測定装置111との間のZ方向の距離を、公知の三角測量の原理に基づいて検出するためのものである。
【0029】
投光器109は、点Aから出射されるレーザ光Lのスポットが点Pに略一致するように支持部材102上に固定される。また、受光器110は、レーザ光Lと反射光Rの光軸がZ方向に対して対称になるように支持部材102上に固定される。これにより、レーザ光Lの点Pでの反射光Rは受光器110の点Bに入射する。
【0030】
図4は、Z方向の距離を検出する原理を説明するためにレーザ光Lと反射光Rを含む平面上において、反射光Rの軌跡が変化する様子を示した図である。
図2、
図4を参照して、点Aには半導体レーザ発光器が配置され、点Pにはリニアイメージセンサが配置される。Z軸は、塗布針106が通過する軌跡と一致している。点Pは、対象物108の塗布予定部が塗布機構部101に対して最適な位置にあるときの対象物108の接触点である。
【0031】
対象物108の塗布予定部が最適な位置からZ+方向に遠ざかると、レーザ光Lの反射位置は点Pから点P(+)に変化する。すると、反射光Rの軌跡が平行移動し受光器における受光位置が点Bから点B(+)に変化する。
【0032】
逆に、対象物108の塗布予定部が最適な位置からZ−方向に遠ざかると、レーザ光Lの反射位置は点Pから点P(−)に変化する。すると、反射光Rの軌跡が平行移動し受光器における受光位置が点Bから点B(−)に変化する。
【0033】
このように、受光器における受光位置と塗布機構部101から対象物の塗布予定部までの距離との間には相関関係がある。したがって、たとえば、受光位置のずれ量と距離との対応関係を予め計算してマップにして
図5の測定装置用コントローラ215に記憶しておき、測定時に受光位置のずれ量から距離をマップを参照して求めても良い。また、受光器の受光面を点Aと同じ高さになるようにしておけば、3つの点A、B、Pで構成される三角形の∠BAPと∠ABPの角度が固定であるので、受光位置(辺ABの長さ)に基づいて、その距離(三角形PABの高さ)を
図5の測定装置用コントローラ215で算出しても良い。
【0034】
図5は、液状材料塗布装置の制御ブロックの構成を示す図である。
図5を参照して、第一の駆動機構103、第二の駆動機構104、測定装置111を制御するために、第一の駆動機構用ドライバ213、第二の駆動機構用ドライバ214、測定装置用コントローラ215および制御装置212が設けられる。
【0035】
第一の駆動機構103は、第一の駆動機構用ドライバ213の電気的指令に基づいて動作する。第二の駆動機構104も同様に、第二の駆動機構用ドライバ214の電気的指令に基づいて動作する。測定装置用コントローラ215は、投光器109のレーザ光Lの照射制御や、受光器110に入射する反射光Rの解析を行ない、距離を測定する。
【0036】
制御装置212は、第一の駆動機構用ドライバ213および第二の駆動機構用ドライバ214に指令を出力し、塗布動作を制御する。このとき、測定装置用コントローラ215から距離を取得し、取得した距離に基づいて第一の駆動機構103の移動量を決定する。
【0037】
次に、フローチャートを用いて、塗布機構部101による液状材料の塗布動作について説明する。その前処理として、あらかじめ、塗布機構部101の支持部材102を、塗布機構部101を使用する液状材料塗布装置300に取り付けて固定し、対象物108の塗布予定部と塗布針先端との距離を最適距離に設定したときの測定装置の基準面(たとえばZ軸に直交し点A、Bを通る面)から点Pまでの距離を測定装置用コントローラ215から取得し、
図4に示すようにD0とおく。また、このとき、第一の駆動機構103および第二の駆動機構104を制御し、塗布針106を+Z方向に移動させて点Pに接触させたときの第一の駆動機構103の移動量をZ0とおく。なお、ここでは、第二の駆動機構104の移動量K(K≧0)は固定とする。
【0038】
図6は、塗布機構部101を制御する制御装置で実行される制御内容を示すフローチャートである。
図6を参照して、制御装置212は、塗布動作のステップS1において、塗布動作の直前に、現在の測定装置用コントローラ215から点Pまでの距離D1を取得する。距離D1は、
図4に示すように対象物108の塗布対象部がZ軸の+方向にずれているときは、D1(+)に示すように変化し、逆に対象物108の塗布対象部がZ軸の−方向にずれているときは、D1(−)に示すように変化する。D1−D0は、塗布対象部と塗布機構部101との現在の距離が基準距離Z0からずれている量を示す。
【0039】
そして、制御装置212は、下記式(1)に基づいて第一の駆動機構103の移動量Z1を求める。
Z1=D1−D0+Z0 …(1)
続いて、制御装置212は、ステップS2において、第二の駆動機構用ドライバ214に正の移動量+Kを指定し、第二の駆動機構104を+Z方向に移動する。移動後の塗布機構の状態を
図7に示す。なお、移動量として正の値を指定すると、第二の駆動機構104は+Z方向に移動する。
【0040】
ステップS3では、第一の駆動機構用ドライバ213に第一の駆動機構103の移動量として+Z1を指定し、第一の駆動機構103を+Z方向に移動する。移動後の塗布機構の状態を
図8に示す。このとき、塗布針106が対象物108に接触する。なお、移動量として正の値を指定すると、第一の駆動機構103は+Z方向に移動する。また、液状材料によっては塗布針106を対象物108に接触させなくてもよい場合があり、このような場合はZ1の値をより小さくすることができる。これにより、第一の駆動機構103の移動量を小さくできるので、塗布動作時間を短縮することができる。
【0041】
ステップS4では、塗布針106が対象物108に接触した状態で、あらかじめ決められた時間だけ待機する。これにより、塗布針106の先から対象物108の表面に液状材料が充填される。
【0042】
ステップS5では、第一の駆動機構用ドライバ213に第一の駆動機構103の移動量として−Z1を指定し、第一の駆動機構103を−Z方向に移動する。移動後の塗布機構の状態は、再び
図7に示した状態となる。
【0043】
ステップS6では、第二の駆動機構用ドライバ214に負の移動量−Kを指定し、第二の駆動機構104を−Z方向に移動する。移動後の塗布機構部101の状態は、
図2に示した状態に戻る。
【0044】
以上説明したように、一連の塗布動作は、ステップS1からステップS6までの処理を順次実行することにより完了する。
【0045】
なお、
図2、
図7、
図8は、模式的に塗布機構部101の構造を記載しているので塗布針の昇降動作についてやや理解しにくい面がある。このため、塗布機構部101の昇降動作について、より具体的な形状を示した図を例示しておく。
図9は、昇降動作を具体的に説明するための図である。なお、図示の簡単のため、
図9では、測定装置111は省略されているが、容器107の紙面手前側に測定装置111の投光器109が配置され、容器107に対して投光器109と反対側に測定装置の受光器110が配置されており、容器107と測定装置111とは一体的に昇降する。
【0046】
図9に示された塗布機構は、塗布ユニット20をZ軸方向(垂直方向、塗布針106の長さ方向)に下降および上昇させる副Zステージ34と、駆動軸34aに取り付けられた支持台29と、塗布針106を支持台29に対してZ軸方向に移動させるためのエアシリンダ30と、支持台29に対して塗布針106をスライドさせるための直動案内部材26とを含む。
【0047】
副Zステージ34は、Z軸方向に伸縮する駆動軸34aを有し、駆動軸34aの先端部が支持台29の上端部に固定されている。副Zステージ34は、駆動軸34aを任意のZ軸方向の第1座標から任意のZ軸方向の第2座標まで所望の速度で移動させる機能を有する。
【0048】
以下の説明において、直動案内部材26は、
図2のスライド機構105に相当する。エアシリンダ30は、
図2のスライド機構105をZ方向に位置決めするための第二の駆動機構104に相当する。支持台29は、
図2の第二の駆動機構104が取り付けられた支持部材102に相当する。副Zステージ34は、
図2の支持部材102をZ方向に位置決めするための第一の駆動機構103に相当する。基板35は、対象物108に相当し、対象領域35aは塗布予定部に相当する。
【0049】
まず、
図9(A)に示すように、
図1のXYステージ5およびZステージ4を用いて塗布ユニット20と基板35を相対移動させ、基板35の対象領域35aの上方に塗布針106の先端を配置する。
【0050】
次に
図9(B)に示すように、エアシリンダ30の出力軸30aを下方(図では、出力軸30aを引き込む方向)に移動させ、出力軸30aと一体となって移動する駆動板31を下方に移動させる。駆動板31の先端に固着したピン31aは、塗布針固定板25に設けた切り欠き部25aに下方から接しており、駆動板31の下降により塗布針固定板25は直動案内部材26に沿って下方に移動する。それに合わせて塗布針106も下方に移動し、容器107の底に開口された第1の孔21aから塗布針106の先端部24aが突出する。この状態で、塗布針106の先端部24aにはインク22が付着しており、塗布できる状態となる。このとき、塗布針106の先端は対象領域35aの真上に配置され、塗布針106の先端と対象領域35aの表面との間隔は所定の距離に設定されている。つまり、対象領域35aの上方の予め定められた位置に塗布針106の先端が配置される。
【0051】
その後、
図9(C)に示すように、副Zステージ34を用いて塗布ユニット20全体を所定の速度で下降させ、インク22が付着した塗布針106の先端を基板35の対象領域35aに接触させる。これにより、塗布針先端部24aのインク22が対象領域35aに塗布され、インク層22aが形成される。
【0052】
塗布針106の先端を一定時間、対象領域35aに接触させた後、
図9(D)に示すように、エアシリンダ30の出力軸30aを上方(図では、出力軸30aを突出させる方向)に移動させ、塗布針106の先端部24aを容器107のインク22中に浸漬した状態に戻すとともに、副Zステージ34の駆動軸34aを上方に移動させて塗布ユニット20全体を上方に移動させ、1回の塗布動作が終了する。
【0053】
最後に、再び本実施の形態の液状材料塗布装置について総括する。
図1、
図2を参照して、本実施の形態に係る液状材料塗布装置300は、塗布針106と、駆動装置120と、測定装置111と、制御装置212とを含む。塗布針106は、液状材料を先端部に付着させて対象物108に塗布する。駆動装置120は、塗布針106に沿う上下方向(Z軸方向)に塗布針106を対象物108に対して相対的に移動させる。測定装置111は、対象物108の塗布予定部が塗布針106の下に位置するように対象物108が位置決めされた状態で、
図4で説明したように、塗布予定部と先端部24aとの相対距離を検出する。制御装置212は、測定装置111によって検出された相対距離に基づいて塗布針106の移動距離を求め、塗布針106を移動距離だけ移動させて先端部を対象物108に接触させた後、塗布針106を移動させて先端部を対象物108から離脱させるように駆動装置120を制御する。
【0054】
好ましくは、
図2に示すように、測定装置111は、レーザ光Lを出射する投光器109と、対象物108の表面で反射されたレーザ光の反射光Rを受光する受光器110とを含む。
【0055】
より好ましくは、
図2、
図4に示すように、塗布針106と、投光器109の投光軸と、受光器110の受光軸は同一の平面上に配置される。
図2に示すように、塗布針106は、その平面上において、投光器109と受光器110の中間に配置される。
【0056】
さらに好ましくは、塗布予定部は、塗布針106の先端部が対象物108に接触する対象物108の表面上の接触点Pである。
図2、
図4に示すように、投光器109から出射されるレーザ光Lのスポットは、接触点Pに略一致するように調整されている。
【0057】
好ましくは、
図2、
図4に示すように駆動装置120は、塗布針106を上下方向に移動させる第一の駆動機構103と、第一の駆動機構103および測定装置111が固定された支持部材を上下方向に移動させる第二の駆動機構104とを含む。塗布針106の移動距離は、第一の駆動機構103による塗布針106の第1の移動距離と、第二の駆動機構104による支持部材の第2の移動距離との合計である。制御装置212は、
図7、
図8に示すように、第1の移動距離を固定長K(K≧0)とし、第2の移動距離Z1を相対距離に基づいて変化させる。
【0058】
より好ましくは、
図2に示すように、測定装置111は、支持部材102に固定され、塗布予定部にレーザ光Lを照射し反射光Rに基づいて相対距離を取得する。
【0059】
本発明によれば、針先端部を塗布対象物に対して高精度に位置決めすることができる。さらに、
図2、
図4で説明したように、針接触位置とレーザ光のスポットを略一致させる構成のため、特許文献1のような焦点合わせ動作は不要であり、塗布機構の動作時間を短くすることができる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。