(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599746
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】細管洗浄システム
(51)【国際特許分類】
B08B 9/055 20060101AFI20191021BHJP
F28G 1/12 20060101ALI20191021BHJP
F28B 1/02 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
B08B9/055 551
B08B9/055 552
B08B9/055 553
B08B9/055 557
F28G1/12 E
F28B1/02
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-241034(P2015-241034)
(22)【出願日】2015年12月10日
(65)【公開番号】特開2017-104811(P2017-104811A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157005
【氏名又は名称】関電プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】部谷 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】明神 正和
(72)【発明者】
【氏名】中村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】北山 正治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真
(72)【発明者】
【氏名】林 清一
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−152394(JP,A)
【文献】
特開平10−054694(JP,A)
【文献】
特開平10−232098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/055
F28B 1/02
F28G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体の穴部に細管の端部が取り付けられ、洗浄前の細管内に洗浄手段が挿入された細管を探し、流体供給手段の挿入部が前記穴部に挿入された状態で、前記挿入部から洗浄流体を供給することによって、洗浄手段を圧送し、前記細管を洗浄する細管洗浄システムであって、
前記穴部の画像を取得するステレオカメラにて構成され、前記穴部の画像を取得して穴部を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知した情報に基づいて、穴部の位置を画像処理により演算し、前記洗浄手段が挿入された細管が取り付けられた穴部のみを検知する演算手段と、
前記演算手段により演算した穴部の位置に、前記挿入部が対応するように前記流体供給手段を移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする細管洗浄システム。
【請求項2】
前記演算手段は、穴部の三次元位置に基づいて板状体の平面式を求めて、前記板状体の傾きを演算する傾き演算部を有し、傾き演算部の演算に基づいて、前記穴部に対して挿入部が垂直となるように前記挿入部の向きを調整する調整部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の細管洗浄システム。
【請求項3】
前記ステレオカメラは、前記挿入部の両隣に夫々設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の細管洗浄システム。
【請求項4】
前記穴部の画像のひずみ補正や座標補正を行って補正画像を作成する補正手段と、前記補正画像に基づいて2値化して洗浄ブラシのエッジを検出してその位置を記憶するエッジ検出手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の細管洗浄システム。
【請求項5】
前記演算手段は、
2値化画像中から円形を発見して、円形部分を穴部であるとして、穴部の位置を演算する穴部位置演算部と、
穴部の座標位置と、挿入部の座標位置との相対的な三次元座標を演算する相対位置演算部と、
穴部の三次元位置に基づいて、挿入部の管板までの相対距離を演算し、流体供給手段の押し出し量を演算する押出量演算部とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の細管洗浄システム。
【請求項6】
検出した穴位置と、処理済み、未処理、及びエラーのいずれかである処理結果とを、座標データを基に記録した細管マップとして記憶する記録手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の細管洗浄システム。
【請求項7】
前記板状体及び細管は、復水器に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の細管洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体の穴部に取り付けられた細管を洗浄する細管洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に復水器の一部を示す。このような復水器は、水室100aと水室100bとの間を数千から一万数千本もの多数の細管101で連結し、循環水管より水室に至った水により熱交換を行わせている。細管101の端部は、管板102a、102bに取り付けられている。すなわち、
図6に示すように、管板102a(102b)には多数の穴部103が設けられており、これら穴部103の夫々に、細管101の端部が内挿されることによって、管板102a(102b)に細管101が取り付けられている。
【0003】
復水器を長期間使用すると、細管内にスラッジなどが付着する。特に、循環水として海水を使用する場合は、細管内に貝殻やその他の付着物が付着することがある。そこで、細管内の付着物の除去が定期的に行われており、その方法として、特許文献1に示す方法が提案されている。すなわち、
図7に示すように、細管101に洗浄ブラシ104を挿入し、高圧水及びパージエアを供給することが可能な流体供給手段105(洗浄ガン)の先端を細管入口である穴部103aに挿入する。なお、
図7において、穴部103aは洗浄ブラシ104が挿入された穴部を示し、穴部103bは洗浄ブラシ104が挿入されていない穴部を示している。そして、洗浄ガン105から細管入口に高圧水を流入させ、洗浄ブラシ104を圧送し、その後、残水除去や細管の探傷検査のために、細管内に溜まっている残水を高圧エアーで吹き飛ばすエアーパージを行う。
【0004】
この場合、洗浄ガン105を穴部103aへ挿入する作業は、
図7に示すように人が手作業で行っていた。すなわち、洗浄ブラシ104が挿入されている穴部103aを、人が目視で確認し、その穴部103aに洗浄ガン105を挿入するという作業を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−232098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したような復水器の細管洗浄作業は、酸欠の危険性や多湿等の作業環境が悪い中での長時間作業となる。このため、復水器の細管洗浄作業は、作業者にとって負担が大きいものとなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、細管を自動で洗浄することができる細管洗浄システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の細管洗浄システムは、板状体の穴部に細管の端部が取り付けられ、流体供給手段の挿入部が前記穴部に挿入された状態で、前記挿入部から洗浄流体を供給することによって、前記細管を洗浄する細管洗浄システムであって、前記穴部を検知する検知手段と、前記検知手段により検知した情報に基づいて、穴部の位置を演算する演算手段と、前記演算手段により演算した穴部の位置に、前記挿入部が対応するように前記流体供給手段を移動させる移動手段とを備えたものである。
【0009】
本発明の細管洗浄システムによれば、検知手段が穴部を検知し、演算手段が穴部の位置を演算し、演算した穴部の位置に基づいて、移動手段は、前記挿入部が穴部の位置に対応するように流体供給手段を移動させる。これにより、人が手作業で行うことなく自動で、流体供給手段の挿入部を穴部に対応させることができる。
【0010】
前記構成において、前記演算手段は、前記板状体の傾きを演算する傾き演算部を有し、傾き演算部の演算に基づいて、前記穴部に対して挿入部が垂直となるように前記挿入部の向きを調整する調整部を備えていてもよい。
【0011】
前記構成において、洗浄前の穴部内に洗浄手段が挿入され、前記演算手段は、前記洗浄手段が挿入された細管が取り付けられた穴部のみを検知するものであってもよい。
【0012】
前記構成において、前記検知手段は、穴部の画像を取得するステレオカメラにて構成され、前記演算手段は、画像処理により穴部の位置を演算するものであってもよい。この場合、前記ステレオカメラは、前記挿入部の両隣に夫々設けるのが好ましい。
【0013】
前記構成において、1つの板状体に、液体供給手段が複数配置してもよい。また、前記構成において、前記板状体及び細管は、復水器に使用されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の細管洗浄システムは、人が手作業で行うことなく自動で、流体供給手段の挿入部を穴部に対応させることができ、細管を自動で洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】前記
図1の細管洗浄システムを構成する流体供給手段及び移動手段の斜視図である。
【
図3】前記
図1の細管洗浄システムを構成する検知手段により取得した画像を示す図であり、(a)は撮影画像、(b)は補正後画像、(c)は2値化画像、(d)は2値化画像において円形を抽出した画像である。
【
図4】前記
図1の細管洗浄システムの使用例を示す斜視図である。
【
図7】管板の穴部に流体供給手段を取り付ける作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施の形態を
図1〜
図4に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態の細管洗浄システムは、復水器で使用される細管を洗浄するものである。すなわち、
図1に示すように、板状体(以下、管板50という)には多数の穴部51が設けられており、これら穴部51の夫々に、細管52の端部が内挿されることによって、管板50に細管52が取り付けられている。
図1における管板50は、水平方向に切断した断面図を示しており、穴部51及び穴部51に取り付けられる細管52は、水平方向(x方向)及び上下方向(z方向)に多数設けられている。
【0018】
未洗浄の細管内に洗浄手段53(洗浄ブラシ)が挿入され、流体供給手段1(洗浄ガン)の挿入部2が穴部51に挿入された状態で、挿入部2から洗浄流体(高圧水やパージエア)を供給することによって、洗浄ブラシ53を圧送し、細管52を洗浄する。流体供給手段1は、例えば特開平10−232098号公報に記載された洗浄ガンを使用することができるが、これに限るものではなく、穴部51に挿入した状態で高圧水やパージエアを供給できるものであればよい。
【0019】
細管洗浄システムは、
図1に示すように、移動手段3と、検知手段4と、演算手段5とを備えている。
【0020】
移動手段3は、
図1に示すように、保持体7と、調整部8と、移動体9と、x方向のガイド軸10と、z方向のガイド軸11とを備えている。
図2に示すように、保持体7は箱体からなり、その内部には、
図1に示すように、流体供給手段1と、押圧手段14と、後述する検知手段4とが保持されている。押圧手段14は、流体供給手段1を矢印E(
図1及び
図2参照)に示すようにy方向(水平方向)に往復動させるものであり、本実施形態では、シリンダ型の電動アクチュエータにて構成している。
【0021】
保持体7は、調整部8を介して移動体9と連結されている。調整部8は、チルト機構とパン機構とを有しており、これらによって、保持体7のパンチルト動作が可能となる。すなわち、チルト機構を構成する第1回転軸12は、保持体7及び移動体9に連結されている。図示省略のモータの駆動により、第1回転軸12の回転によって、保持体7は矢印A(
図1及び
図2参照)に示すように、第1回転軸12の軸心廻りの回動が可能となる。また、パン機構を構成する第2回転軸13は、保持体7内に設けられている。図示省略のモータの駆動により、第2回転軸13の回転によって、保持体7は矢印B(
図1及び
図2参照)に示すように、第2回転軸13の軸心廻りの回動が可能となる。このようにして、管板50が傾いている場合であっても、調整部8は、穴部51に対して挿入部2を垂直に挿入するように、保持部7(挿入部2)の向きを調整することができる。
【0022】
移動体9は、矢印C(
図1及び
図2参照)に示すように、z方向のガイド軸11に沿ってz方向(上下方向)に往復動する。さらに、z方向のガイド軸11の下端部は、図示省略の移動体を介してx方向のガイド軸10に連結されており、z方向のガイド軸11は、矢印D(
図1参照)に示すように、x方向のガイド軸10に沿ってx方向(水平方向)に往復動する。往復動させるための手段としては、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアモータ機構等の種々の機構にて構成することができる。
【0023】
検知手段4は穴部51を検知するためのセンサである。本実施形態では、検知手段4は、流体供給手段1の両隣に夫々設けられた一対のステレオカメラ15a、15bにて構成している。ステレオカメラは、対象物を複数の異なる方向から同時に撮影することにより、その奥行き方向の情報も記録できるカメラである。一対のステレオカメラ15a、15bにより、
図3に示すように、2方向から穴部51の画像を取得することができる。
【0024】
コンピュータ54は、メモリ16と、補正手段17と、エッジ検出手段18と、演算手段5と、制御手段23と、記録手段27とを備えている。
【0025】
メモリ16は、
図3(a)に示すように、ステレオカメラ15a、15bにより穴部51が撮影された画像(一方のステレオカメラにて撮影された画像を右カメラ画像、他方のステレオカメラにて撮影された画像を左カメラ画像とする)を記憶するものである。補正手段17は、公知公用の方法で
図3(a)に示す画像のひずみ補正や座標補正等を行って、
図3(b)に示すような補正画像を作成するものである。エッジ検出手段18は、
図3(c)に示すように、夫々の補正画像を2値化して洗浄ブラシ53のエッジを検出し、その位置を記憶するものである。
【0026】
演算手段5は、コンピュータ54に設けられたソフトウェアであって、検知手段4により検知した情報(画像)に基づいて、画像処理により穴部51の位置を演算するものである。演算手段5は、穴部位置演算部19と、相対位置演算部20と、傾き演算部21と、押出量演算部22とを備えている。
【0027】
穴部位置演算部19は、
図3(d)に示すように、2値化画像中から円形を発見し、円形部分を穴部51であるとして、穴部51の位置を演算するものである。また、発見した円形部分に対して楕円フィットを行うことで、より正確に穴部51の位置を求めてもよい。相対位置演算部20は、穴部51の座標位置と、挿入部2の座標位置との相対的な三次元座標を演算するものである。傾き演算部21は、穴部51の三次元位置に基づいて管板50の平面式を求めることで、管板50の傾きを演算するものである。押出量演算部22は、穴部51の三次元位置に基づいて、挿入部2の管板50までの相対距離を演算して、流体供給手段1の押し出し量を演算するものである。これらの演算は、公知公用の方法であって、右カメラ画像と左カメラ画像とで映る穴部51の位置の違い(視差)から、穴部51の位置や立体的な形状を認識することができる。
【0028】
制御手段23は、ガイド軸制御部24と、パンチルト制御部25と、シリンダ制御部26とを備えている。ガイド軸制御部24は、相対位置演算部20により求めた穴部51との相対的な三次元座標に基づいて、穴部51の正面に挿入部2が対応するまで流体供給手段1を移動させるように、ガイド軸10、11指令値を与えるものである。パンチルト制御部25は、傾き演算部21により求めた管板50の傾きに基づいて、穴部51に対して挿入部2が垂直となるまで保持部7を傾けるように調整部8に指令を与えるものである。シリンダ制御部26は、押出量演算部22により求めた流体供給手段1の押し出し量に基づいて、流体供給手段1が押し出し量分y方向に押し出すように押圧手段14に指令を与えるものである。
【0029】
記録手段27は、検出した穴位置と処理結果(処理済み/未処理/エラー)とを記憶するものであり、それを細管マップとして記憶するものである。細管マップは、処理した細管52の位置を、座標データを基に記録したものである。
【0030】
本発明の細管洗浄システムを用いて復水器に使用される細管52を洗浄する方法を説明する。本実施形態では、
図4に示すように、流体供給手段1、検知手段4、演算手段5、及び移動手段3を1つのユニットとして、このユニットが、水平方向(x方向)及び上下方向(z方向)に所定間隔で離間して、架台55に取り付けられている。このようにすれば、1つの管板50に対して複数の流体供給手段1を配置することができ、これらが同時に作用することにより、管板50に取り付けられた細管52の洗浄の効率化を図ることができる。
【0031】
最初に、液体供給手段1の角度調整を行う。その方法として、ステレオカメラ15a、15bにて、管板50の画像を撮影する。この場合、上下及び水平方向に異なる3か所以上において撮影を行う。これにより、コンピュータ54のメモリ16には、
図3(a)に示すような右カメラ画像及び左カメラ画像が記憶される。穴部位置演算部19は、画像中から円形を発見し、円形の位置を演算し、傾き演算部21は、管板50の傾きを演算する。
【0032】
傾き演算部21の演算は、例えば次の方法により行うことができる。すなわち、穴部51以外の領域(つまり管板面と考えられる)について、Lucas-Kanade法を用いて特徴点の抽出とステレオマッチングを行う。Lucas-Kanade法は時間的に連続する画像間で特徴点をトラッキングする手法であるが、本実施形態では、この手法を左右それぞれのカメラの画像のステレオマッチングに応用している。次に、それぞれの特徴点の3次元座標を算出し、最小二乗法を用いて平面式を計算し得る。その後、パンチルト制御部25は、調整部8に指令値を与えて、穴部51に対して挿入部2が垂直となるように、調整部8を制御する。
【0033】
液体供給手段1の角度調整が終了した後は、洗浄ブラシ53の挿入された細管52を探し、洗浄する作業を行う。すなわち、ステレオカメラ15a、15bにて、管板50の画像を撮影する。これにより、コンピュータ54のメモリ16には、
図3(a)に示すような右カメラ画像及び左カメラ画像が記憶される。補正手段17は、公知公用の方法で、
図3(a)に示す画像のひずみ補正や座標補正等を行って、
図3(b)に示すような補正画像を作成する。エッジ検出手段18は、
図3(c)に示すように、夫々の補正画像を2値化して、洗浄ブラシ53のエッジを検出し、その位置を記憶する。
【0034】
穴部位置演算部19は、
図3(d)に示すように、例えばハフ変換等の方法で2値化画像中から円形を発見し、洗浄ブラシ53のエッジが検出された円形の位置を演算する。また、発見した円形部分に対して楕円フィットを行うことで、より正確な洗浄ブラシ53のエッジの位置を求めてもよい。これにより、本実施形態における演算手段5は、洗浄ブラシ53が挿入された細管52が取り付けられた穴部51のみを検知することができる。
【0035】
相対位置演算部20は、穴部51の座標位置と、挿入部2の座標位置との相対的な三次元座標を演算する。また、押出量演算部22は、挿入部2の管板50までの相対距離を演算して、流体供給手段1の押し出し量を演算する。
【0036】
ガイド軸制御部24は、移動手段3のガイド軸10、11に指令値を与えて、穴部51の正面に挿入部2が対応するまで流体供給手段1が移動するように、ガイド軸10、11を制御する。さらに、シリンダ制御部26は、押圧手段14に指令値を与えて、流体供給手段1が押し出し量分だけ押し出すように、押圧手段14を制御する。このようにして、挿入部2は、洗浄ブラシ53が挿入された細管52が取り付けられた穴部51に、ほぼ垂直に挿入される。
【0037】
挿入部2が挿入されたことを判別するために、流体供給手段1にセンサ(リミットスイッチ)を設けてもよい。また、押圧手段14、第1回転軸12を回転させるモータ(図示省略)、及び第2回転軸13を回転させるモータ(図示省略)に、夫々負荷を測定する機能を設け、それぞれの負荷を監視することにより、過負荷状態となるのを防止し、挿入部2の無理な挿入を防止することができる。
【0038】
洗浄ブラシ53が挿入された細管52が取り付けられた穴部51に挿入部2が挿入されると、作業者は、流体供給手段1の操作部(図示省略)を操作して、所望の流体を所定量だけ噴射するように操作する。これにより、洗浄ブラシ53が挿入された細管52に流体を供給することができて、洗浄ブラシ53が圧送されることで、細管52を洗浄することができる。
【0039】
本発明の細管洗浄システムは、検知手段4が穴部51を検知し、演算手段5が穴部51の位置を演算し、演算した穴部51の位置に基づいて、移動手段3は、挿入部2が穴部51の位置に対応するように流体供給手段1を移動させる。これにより、人が手作業で行うことなく自動で、流体供給手段1の挿入部2を穴部51に対応させることができ、細管52を自動で洗浄することができる。
【0040】
演算手段5によって演算された穴部51の位置と、演算した穴部51の位置に基づいて移動手段3が挿入部2を穴部51の位置に対応するように流体供給手段1を移動させ、細管52を自動で洗浄した結果(処理済み/未処理/エラー)は、都度、記録手段27に記録される。洗浄終了後、記録手段27に記録されたデータを図示省略の表示媒体(ディスプレイ/紙など)に出力することで、細管洗浄システムが処理した全ての細管52の位置と洗浄結果を確認することができる。また、ディスプレイなどに表示された細管52の位置を指定することで、ガイド軸制御部24を操作して保持体7をその位置に移動させる機能を有してもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、メモリ16や、補正手段17やエッジ検出手段18は省略することができる。検知手段4は、ステレオカメラ15の他に、例えば、超音波センサ、赤外線センサ等、穴部51を検知できるセンサであれば他のものであってもよい。ステレオカメラ15を設ける場合、正確に穴部51を検知するためには複数設けることが望ましいが、1つであってもよく、逆に3つ以上設けてもよい。移動手段3のガイド軸10、11は、実施形態ではx方向及びz方向の2方向に設けたが、x方向のみ、y方向のみ、z方向のみの1方向で設けられるものであったり、xy方向、yz方向の2方向で設けられるものであったり、zyz方向の全ての方向で設けられるものであってもよい。押圧手段14は、エアシリンダ等、他のシリンダ機構であってもよく、さらには、ボールねじ機構、リニアモータ機構等の種々の機構を採用することができる。1つの板状体に対して、1つの流体供給手段1のみで洗浄してもよい。また、洗浄ブラシ53を圧送することなく、単に細管内に洗浄流体を供給して細管52を洗浄してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 流体供給手段
2 挿入部
3 移動手段
4 検知手段
5 演算手段
8 調整部
15a、15b ステレオカメラ
21 傾き演算部
50 管板
51 穴部
52 細管
53 洗浄ブラシ