(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態の構成を
図1ないし
図7を参照して説明する。
【0009】
図7において、11は電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、この電気掃除機11を掃除に使用しない収納状態で支持する図示しない支持装置(充電台)とともに電気掃除装置を構成するものである。
【0010】
そして、本実施形態において、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に直接接続された長尺状の管部である延長管13および被掃除面上の塵埃を吸い込む吸込口体としての床ブラシ14からなる風路体15とを備えた、いわゆるスティック型の電気掃除機である。
【0011】
掃除機本体12は、例えば本体部21と、この本体部21に対して着脱可能な集塵部である集塵装置22とを備えている。本体部21の内部には、電動送風機25、この電動送風機25の動作を制御する例えばマイコンなどの制御手段(制御部)27および電源である電池28などが備えられている。また、集塵装置22は、例えば電動送風機25の動作により空気とともに吸い込んだ塵埃を空気から分離して捕集するものである。この集塵装置22としては、例えばフィルタを用いるものや、直進分離をするものなど、任意のものを用いることができるが、本実施形態では、例えば塵埃を遠心分離(サイクロン分離)する、円筒状の集塵カップとする。
【0012】
そして、電動送風機25は、
図4ないし
図6(a)に示すように、電動機31と、この電動機31により回転されるファンである遠心ファン32と、これら電動機31と遠心ファン32との間に介在される整流体であるディフューザ33と、遠心ファン32を覆うファンカバー34とを一体的に備えている。
【0013】
電動機31は、例えばブラシレスモータであり、
図1に示すように、ステータ36と、このステータ36により回転されるロータ37と、これらステータ36およびロータ37を収容する略円筒状のフレーム38とを備えている。そして、この電動機31は、図示しない制御回路により動作が制御されるようになっている。なお、以下、
図1に示す上下方向および左右方向を、電動送風機25(電動機31)の上下方向(矢印U側および矢印D側)および左右方向(矢印L側および矢印R側)とし、電動送風機25の軸方向の電動機31側を後方向(
図4などに示す矢印RR側)、遠心ファン32側を前方向(
図4などに示す矢印FR側)として説明する。
【0014】
ステータ36は、ロータ37を回転させる固定磁極を構成するもので、複数、例えば一対のステータコア41,41と、これらステータコア41,41にそれぞれ取り付けられた巻線部(コイル部)42,42と、ステータコア41,41間に介在されたスペーサ43,43とを備えている。そして、このステータ36は、フレーム38内において、各ステータコア41がこのフレーム38の径方向に沿って放射状に配置されており、本実施形態では、ステータコア41,41が上下に離間され、上下に対向して配置されている。
【0015】
(一方および他方の)ステータコア41は、電磁鋼板などの磁性体により形成されており、互いに略平行に配置された一対のコア部45,45と、これらコア部45,45の一端部を連結する連結部46とにより、略コ字状(C字状)にそれぞれ形成されている。
【0016】
コア部45,45は、上下方向に沿って配置され、ロータ37に対して左右に位置している。各コア部45の他端部には、ロータ37に対向するコア歯部48がそれぞれ突設されている。各コア歯部48は、ロータ37に向けて突出しており、互いに左右に離間されている。また、各コア歯部48は、
図2に示すように、ロータ37の外周面に対向する磁気作用面48aと、この磁気作用面48aとコア部45の外側面45aとに亘って連続する被押圧部である被押圧面48bとを備えている。そして、各ステータコア41の左右に離間されたコア歯部48,48間、および、上下方向に互いに対向して離間されたステータコア41,41のコア歯部48,48間が、それぞれスロット開口部49となっている。
【0017】
磁気作用面48aは、巻線部42によりコア歯部48に形成される固定磁極をロータ37に作用させるもので、ロータ37の外周面に沿って円弧状に湾曲しており、ロータ37の外周面に対して僅かな間隙を介して離間されている。
【0018】
被押圧面48bは、スペーサ43と接触して、スペーサ43により押圧される部分であり、ロータ37(磁気作用面48a)から離間されるほど、すなわち外側に向けて、ロータ37(フレーム38)の中心軸を通る左右方向の仮想線に対して離間されるように傾斜した傾斜面である。
【0019】
図1に示す連結部46は、左右方向、すなわちコア部45,45に対して略直交する方向に沿って配置されている。そして、この連結部46の左右両端部がフレーム38によって支持されていることで、各ステータ36がフレーム38に、周方向に回り止めされた状態で支持されている。
【0020】
したがって、ステータコア41は、フレーム38に対向する端部の位置が、両側に角部46a,46aを有する多角形状(四角形状)となっているとともに、その反対側の端部(コア歯部48,48,48,48)の位置でスペーサ43,43により両側から挟み込まれている。
【0021】
図1および
図3(a)および
図3(b)に示す各巻線部42は、ステータコア41に取り付けられる絶縁体51と、この絶縁体51に巻き付けられた巻線52とを備えている。
【0022】
絶縁体51は、ステータコア41の各コア部45が挿通された角筒状の絶縁体本体部54と、この絶縁体本体部54を連結する絶縁体連結部55と、この絶縁体連結部55に設けられた端子部56,56とを一体的に備えている。そして、この絶縁体51は、例えばステータコア41に対してインサート成形などにより一体的に固定されている。
【0023】
絶縁体本体部54は、ボビン状をなし、ステータコア41の各コア部45のコア歯部48よりも連結部46側の位置全体を覆って取り付けられている。
【0024】
絶縁体連結部55は、ステータコア41の連結部46に沿って、すなわち左右方向に沿って配置されている。
【0025】
端子部56,56は、絶縁体連結部55の遠心ファン32と反対側である後側に突設されており、ステータコア41の連結部46の左右両端の位置に重ねられている。これら端子部56,56には、制御回路と電気的に接続される端子58,58が挿入されている。これら端子58,58は、それぞれ絶縁体本体部54,54に巻回された巻線52,52の端部を、これら巻線52,52と電気的に接続された状態で挟み込んで端子部56,56に取り付けられている。
【0026】
巻線52は、導電体の表面を絶縁皮膜で覆って形成され、絶縁体51の各絶縁体本体部54の周囲に複数層に巻回されている。
【0027】
図1に示す各スペーサ43は、ステータ36のステータコア41,41をフレーム38に対して押し付けて位置決めするもので、例えばPBT(Polybutylene terephthalate)などの、フレーム38より軟質の非磁性体などの材料により形成されている。これらスペーサ43,43は、ステータコア41,41の左右に位置しており、一方のスペーサ43がステータコア41,41の左側を、他方のスペーサ43がステータコア41,41の右側を、それぞれフレーム38の径方向に沿って反対方向に押圧するようになっている。すなわち、各スペーサ43は、一方(他方)のステータコア41をフレーム38に押圧することでフレーム38からステータコア41を介して伝わる反力によって他方(一方)のステータコア41をフレーム38に押圧するようになっている。
【0028】
具体的に、各スペーサ43は、
図2、
図4および
図5に示すように、ステータコア41(コア歯部48(被押圧面48b))と接触するコア接触部61と、絶縁体51と接触する絶縁体接触部62と、ステータコア41,41の位置を電動送風機25の軸方向(前後方向)に規制するコア規制部63,63とをそれぞれ一体に備えている。したがって、これらスペーサ43,43は、ステータコア41,41間および巻線部42,42の絶縁体51,51間に充填されて位置している。換言すれば、これらスペーサ43,43は、ステータコア41,41間および巻線部42,42の絶縁体51,51間を隙間なく埋めるように位置している。また、各スペーサ43には、収納部64がそれぞれ凹設されており、この収納部64にロータ37の回転位置を検出する位置検出手段(回転位置検出センサ)65がそれぞれ収納されている。
【0029】
図2に示すように、コア接触部61は、上下に対向するステータコア41,41のコア歯部48,48(被押圧面48b,48b)間に連続して位置している。このコア接触部61は、上下に対向するステータコア41,41のコア歯部48,48の被押圧面48b,48bと接触する接触部である接触面61a,61aを上下の側部に備えている。これら接触面61a,61aは、ロータ37側に向かって互いに接近するように傾斜しており、各スペーサ43をステータコア41,41のコア歯部48,48間にロータ37側へと圧入する力の方向を変換して、ステータコア41,41をフレーム38へと径方向に押圧する力を生じさせるように構成されている。したがって、このコア接触部61は、ロータ37に向かって徐々に幅狭になる、断面台形状に形成されている。
【0030】
絶縁体接触部62は、上下に対向する絶縁体51,51の絶縁体本体部54,54間に連続して位置している。この絶縁体接触部62は、絶縁体51,51に対してフレーム38の径方向に沿って当接する当接面62a,62aを上下の側部に備えている。
【0031】
コア規制部63,63は、コア接触部61の接触面61a,61aの前後を覆う板状に形成されている。そして、これらコア規制部63,63は、各スペーサ43をステータコア41,41間に圧入することで、上下に対向するステータコア41,41のコア歯部48,48間を覆うように構成されている。したがって、各スペーサ43は、ステータコア41,41間に圧入されることで、ステータコア41,41を上下にブリッジするようになっている。
【0032】
収納部64は、コア接触部61の後部のロータ37寄りの位置に、このロータ37の軸方向(前後方向)に沿って凹設されている。
【0033】
各位置検出手段65は、ロータ37の磁極の極性を検出することによってロータ37の回転位置(回転角度)を検出するもので、例えばホールICなどであり、本実施形態ではリード部品であって、収納部64に挿入されてリード部が収納部64の外部に導出されている。したがって、これら位置検出手段65,65は、上下のステータコア41,41(コア歯部48,48)間のスロット開口部49,49に位置してロータ37の外周面に対して離間された位置でこのロータの外周面に近接対向して位置している。すなわち、これら位置検出手段65,65は、ロータ37を挟んで互いに反対側(左右)に位置している。
【0034】
ロータ37は、
図3(b)に示すように、遠心ファン32(
図4)と接続される出力軸である回転軸67と、この回転軸67の周囲に一体的に設けられたロータ本体である磁石部68とを備えている。そして、このロータ37は、フレーム38に対して、ベアリング69,70を介して回転可能に保持されている。
【0035】
回転軸67は、フレーム38の中心軸上に沿って位置している。この回転軸67は、前端側がフレーム38に対して前方に突出しており、この突出した前端側に遠心ファン32(
図4)が接続されている。
【0036】
磁石部68には、図示しない永久磁石が埋め込まれており、回転方向(周方向)に互いに異なる極性を有する磁極(回転磁極)が隣接して形成されている。したがって、この磁石部68には、回転方向にN極とS極とが順次交互に配置されて対をなしている。
【0037】
ベアリング69は、回転軸67の前端側に取り付けられており、ベアリング70は、回転軸67の後端部に取り付けられている。これらベアリング69,70は、フレーム38にそれぞれ固定されて、ロータ37をフレーム38に対して回転自在に保持するようになっている。
【0038】
図1ないし
図5に示すフレーム38は、例えばアルミニウム、あるいはマグネシウムなどの、軽量の金属部材、あるいは例えばBMC(FRP)などの合成樹脂などにより形成されている。このフレーム38は、概略として、
図4および
図5に示すように、円環状の外郭部72と、ベアリング69,70を受けることでロータ37を回転自在に支持する一および他の軸受部73,74と、外郭部72と一および他の軸受部73,74とを連結する一および他の軸受連結部75,76とを備えている。そして、このフレーム38は、複数のフレーム本体、本実施形態では例えば外郭部72、一の軸受部73および一の軸受連結部75を一体に備える一のフレーム本体78と、他の軸受部74および他の軸受連結部76とを一体に備える他のフレーム本体79とに前後に分割されており、これら一のフレーム本体78と他のフレーム本体79とが、ねじなどの例えば複数の固定部材80によって前後に互いに固定されることでステータ36およびロータ37を前後方向に挟み込んで収容するように構成されている。
【0039】
外郭部72は、スペーサ43,43によりステータ36のステータコア41,41が内周側に押し付けられる部分である。この外郭部72の内周には、
図1および
図5に示すように、スペーサ43,43により押し付けられたステータコア41,41の位置をロータ37の回転方向である周方向に規制する規制部82が突設されている。また、この外郭部72には、固定部材80がねじ止めされる固定孔であるねじ孔83が複数、例えば4箇所にそれぞれ前後方向に貫通して設けられている。
【0040】
規制部82は、外郭部72の内周に、この外郭部72の軸方向(電動送風機25(電動機31)の軸方向)に沿って突設されている。本実施形態において、この規制部82は、一の軸受連結部75の外郭部72側の端部の位置にそれぞれ配置されている。これら規制部82は、ステータコア41のフレーム38(外郭部72)に対向する位置の両角部、すなわち連結部46の左右両端の角部46a,46a、換言すれば各コア部45,45の基端側の左右両端を嵌合保持するように設けられており、これら角部46a,46aが嵌合する規制受部82aが前後方向に見てL字状に切り欠き形成されている。換言すれば、規制部82は、ステータコア41毎に一対ずつ設けられている。したがって、規制部82は、ステータコア41を左右方向から挟み込んで左右方向への動きを規制することで、フレーム38に対してステータコア41を左右方向に位置決めしている。また、規制部82には、ステータコア41の角部46a,46aの後側を支持する支持部82b(
図5)が規制受部82a内に突設されている。このため、規制部82は、ステータコア41の後方向への動きを規制することで、フレーム38に対してステータコア41を後方向に位置決めしている。
【0041】
一および他の軸受部73,74は、
図5に示すように、ベアリング69,70を内周側に保持する略円筒状の部分である。これら一および他の軸受部73,74は、外郭部72と同軸状に配置されている。
【0042】
一および他の軸受連結部75,76は、
図4および
図5に示すように、それぞれ一および他の軸受部73,74と外郭部72とを連結する放射状に配置されている。一の軸受連結部75は、複数、例えば左右方向と上下斜め方向とにそれぞれ位置して6つ設けられ、周方向に互いに離間されている。これら一の軸受連結部75のうち、例えば左右に位置する一の軸受連結部75には、ディフューザ33と電動機31とを互いに前後方向に固定するねじなどの固定体85が固定される固定用孔部であるねじ孔86,86が設けられている。そして、これら一の軸受連結部75間は、ディフューザ33を通過した空気が電動機31内へと流入する複数、例えば6つの通気口87となっている。また、他の軸受連結部76は、複数、例えば上下左右方向にそれぞれ位置して4つ設けられて十字状となっており、周方向に互いに離間されている。これら他の軸受連結部76の先端部には、固定部材80が挿通される挿通孔88が前後方向に貫通して形成されている(
図4)。これら他の軸受連結部76間は、
図6(b)に示すように、電動機31内に流入した空気を外部へと排気する複数、例えば4つの排気口89となっている。これら排気口89には、ステータ36の各巻線部42(巻線52)および各端子部56(端子58)がそれぞれ露出して配置されている。
【0043】
制御回路は、例えばインバータ回路を含むドライバと、このドライバをPWM制御する制御部とを備え、各端子部56および各位置検出手段65と電気的に接続されている。そして、この制御回路は、ドライバによって巻線52に流れる電流の向きや通電時間を制御することで、
図1に示す巻線部42を介してステータ36の各ステータコア41のコア歯部48,48にそれぞれ生じさせる磁極を時間毎に切り換えるように構成されている。
【0044】
図4および
図5に示す遠心ファン32は、電動機31により回転されることで空気を中心側から外周側へと整流するものである。この遠心ファン32は、例えば耐熱性および耐摩耗性などに優れた合成樹脂、あるいはアルミニウムなどの軽量の金属などの部材によって形成されている。また、この遠心ファン32は、電動機31の回転軸67(
図6(a))の端部に一体的に固定されるファン本体91と、このファン本体91の電動機31(ディフューザ33)と反対側である前側に突設された複数のファン翼92とを一体に備えている。ファン本体91は、一端部(前端部)から他端部(後端部)に向かって徐々に拡径する円筒状に形成されている。ファン翼92は、ファン本体91の中心から外周へと徐々に湾曲する渦巻状に形成されており、周方向に互いに離間され、遠心ファン32の一方向への回転によって空気を中心側から外周側へと整流するように構成されている。
【0045】
ディフューザ33は、遠心ファン32により整流された空気を整流して電動機31の内部へと流し込むものである。このディフューザ33は、フレーム38の外郭部72と略等しい径寸法を有する円環状の外枠部93と、この外枠部93の内方に位置する整流本体部94と、これら外枠部93と整流本体部94との間を連結する複数の整流翼95とを備えており、これら整流翼95間が、ディフューザ33を前後方向に貫通する風路部96となっている。そして、整流本体部94には、電動機31の一の軸受部73が嵌合して回転軸67(
図1)が露出する例えば円形状の取付開口97と、ディフューザ33を固定体85(
図4)により電動機31に対して固定するための固定孔部である通孔98,98とが設けられている。
【0046】
ファンカバー34は、遠心ファン32の一部を覆ってディフューザ33に取り付けられている。このファンカバー34は、ディフューザ33および電動機31のフレーム38(外郭部72)と略等しい径寸法を有する略円筒状に形成されている。そして、このファンカバー34には、遠心ファン32の中央部を露出させる吸気口99が開口されており、このファンカバー34は、この吸気口99から徐々に拡開するように傾斜している。
【0047】
次に、
図1ないし
図6を参照しながら、上記一実施形態の電動送風機25の組み立て手順を説明する。
【0048】
まず、電動機31を組み立てる。すなわち、予め成形したステータコア41に対して絶縁体51をインサート成形などにより一体成形した後、絶縁体51の絶縁体本体部54,54にそれぞれ巻線52,52を巻き付け、巻線52,52の端部を端子部56,56に導入し、これら端子部56,56に端子58,58を圧入することで、この端子58,58を巻線52,52に導通させた状態で端子部56,56に固定することで巻線部42を構成する。
【0049】
次いで、回転軸67に対して磁石部68およびベアリング69,70を取り付けてロータ37を構成し、回転軸67を、予め成形したフレーム38の一のフレーム本体78の一の軸受部73に挿通しつつ、このロータ37のベアリング69を一の軸受部73に保持する。
【0050】
さらに、この一のフレーム本体78の左右の規制部82,82間に、巻線部42を設けた一対のステータコア41の角部46a,46aを、規制受部82a,82aに嵌合させつつ支持部82b,82bに支持するように押し込み、上下に対向したステータコア41,41間に左右からスペーサ43,43を圧入する。このとき、スペーサ43,43は、互いに上下に対向するステータコア41,41間のスペースを隙間なく全て埋めるように挿入され、スペーサ43,43のそれぞれに密着する。そして、各スペーサ43の接触面61a,61aが、ステータコア41,41のコア歯部48,48の被押圧面48b,48bをロータ37側へと押し込むことで、これら接触面61a,61aと被押圧面48b,48bとの傾斜によりこの押し込む力の方向が、ステータコア41,41がフレーム38の外郭部72の内周面に押し付ける方向へと変換されるとともに、左右方向、すなわちフレーム38の外郭部72の周方向へのステータコア41,41の動きは規制部82,82によって規制されることで、ステータコア41,41が各スペーサ43とフレーム38の外郭部72との間で、いわば突っ張った状態となるように押圧され、さらに各スペーサ43のコア規制部63,63によりステータコア41,41が前後方向に定位置で挟み込まれ、ステータコア41,41がフレーム38に対して径方向に沿って直線状に位置決めされる。この結果、各スペーサ43の接触面61aがステータコア41,41の被押圧面48b,48bに押圧され、当接面62a,62aが絶縁体51,51に押圧され、コア規制部63がステータコア41,41の前後面に押圧されて、ステータ36がフレーム38に対して、ステータコア41,41のコア歯部48,48,48,48の磁気作用面48a,48a,48a,48aが、ロータ37の磁石部68の外周面に対して所定の間隙を介した状態で正対した位置に位置決めされる。
【0051】
また、各スペーサ43の収納部64には、それぞれ位置検出手段65を挿入することで、これら位置検出手段65が、ロータ37の磁石部68の外周面に近接した所定位置に取り付けられる。
【0052】
そして、このステータ36およびロータ37を組み付けた一のフレーム本体78に対して、予め成形した他のフレーム本体79を、各挿通孔88を各ねじ孔83に位置決めしつつ、ベアリング70を他の軸受部74に保持するように被せ、各挿通孔88に挿通した固定部材80を各ねじ孔83に締め付けることで一および他のフレーム本体78,79によりステータ36およびロータ37を挟み込むように固定する。この状態で、各排気口89から各端子部56(端子58)および各巻線部42(巻線52)が露出する。
【0053】
次いで、このように組み立てた電動機31の一の軸受部73をディフューザ33の取付開口97に嵌合させ、固定体85を通孔98,98に挿通して電動機31のねじ孔86,86にねじ止めすることで、電動機31とディフューザ33とを固定する。そして、ディフューザ33の取付開口97から突出する電動機31の回転軸67に遠心ファン32を取り付け、この遠心ファン32を覆ってファンカバー34をディフューザ33に圧入あるいは接着固定することで、電動送風機25が完成する。
【0054】
このように組み立てた電動送風機25は、位置検出手段65,65によりロータ37の回転位置を検出しつつ、この回転位置に応じて、制御回路により各巻線部42の巻線52に流れる電流の向きおよび通電時間を制御することで、コア歯部48に順次磁極を形成し、これら磁極とロータ37の磁極との反発・吸引によってロータ37を回転させる。この結果、このロータ37に接続された遠心ファン32が高速(例えば約100000rpm)で回転する。そこで、この電動送風機25を本体部21に組み込んだ電気掃除機11(
図7)は、電動送風機25の遠心ファン32の回転により発生した負圧によって床ブラシ14などから被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込み、集塵装置22で塵埃を捕集する。塵埃が捕集された空気は、集塵装置22を通過した後、
図4、
図5および
図6(a)に示す吸気口99から電動送風機25に吸い込まれる。そして、この吸い込まれた空気は、遠心ファン32によりこの遠心ファン32の周囲へと整流され、
図4に示すディフューザ33により整流されて風路部96から通気口87を介して電動機31へと流し込まれ、電動機31(ステータ36およびロータ37)を冷却しながらこの電動機31のフレーム38内を通過して各巻線部42(巻線52)および各端子部56(端子58)を冷却しつつ
図6(b)に示す排気口89から排気され、本体部21に開口された図示しない排気孔から本体部21の外部へと排気される。
【0055】
以上説明した一実施形態によれば、ステータコア41,41間に挿入したスペーサ43,43により、ステータコア41,41をそれぞれフレーム38に押し付けるとともに、このフレーム38に、スペーサ43,43により押し付けられたステータコア41,41の位置をロータ37の回転方向である周方向に規制する規制部82,82,82,82を設けることで、例えばステータコア41,41間にブリッジ部を一体成形などにより形成する構成のように、熱的負荷や機械的負荷が巻線52に加わることがなく、信頼性を確保しつつ、複数のステータコア41をフレーム38に対して容易に位置決めできる。
【0056】
そして、ステータコア41,41を別々にフレーム38に対して組み付けることができるので、ステータコア41,41のコア歯部48,48間の距離がベアリング69,70の外径よりも小さい場合であっても組み立てることができ、組み立て性がより向上する。
【0057】
また、各スペーサ43,43を、ステータコア41,41間および各巻線部42,42の絶縁体51,51間を充填して配置したので、ステータコア41,41の被押圧面48b,48bや絶縁体51,51の端部の面積が狭くても各スペーサ43によってステータコア41,41を確実に保持して位置決めできる。
【0058】
さらに、位置検出手段65を各スペーサ43に設けた収納部64に収納することで、位置検出手段65をロータ37の磁石部68に対してより近接させた位置に配置できるので、ロータ37の回転位置の検出精度を向上でき、精度のよい回転制御が可能になる。
【0059】
また、各スペーサ43を非磁性体により形成しているので、ステータ36の磁路に影響を与えず、出力低下などの悪影響が生じない。
【0060】
さらに、電動送風機25は、電気掃除機11に使用する電気掃除機用のものであるため、回転数が高く、振動が生じ易いので、各スペーサ43をフレーム38よりも軟質の材質で形成することで、振動を各スペーサ43によって吸収でき、振動による異音やがたつきの発生を防止できる。
【0061】
なお、上記一実施形態において、ステータコア41は、2つ(一対)に限らず、3以上用いてもよい。
【0062】
また、各スペーサ43は、ステータコア41,41のコア歯部48,48の被押圧面48b,48bの広さや、絶縁体51,51の絶縁体本体部54,54の端部の広さなどに応じて、ステータコア41,41間のみに充填されている構成や、絶縁体51,51間のみに充填されている構成などとすることもできる。
【0063】
さらに、各スペーサ43は、ステータコア41,41に対して絶縁していれば導体により形成してもよい。
【0064】
そして、電気掃除機11は、スティック型に限らず、被掃除面を走行可能な掃除機本体12に対してホース体を含む風路体が接続されたキャニスタ型や、被掃除面を自律走行しながら掃除するロボット型などでも対応できる。
【0065】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。