特許第6599811号(P6599811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599811
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】簡易屋根構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   E04B1/343 U
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-67169(P2016-67169)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-179825(P2017-179825A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小川 徹
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−021221(JP,A)
【文献】 特開2012−117230(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3035197(JP,U)
【文献】 実開昭59−136805(JP,U)
【文献】 特開2000−265663(JP,A)
【文献】 米国特許第05660005(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04B 1/58
E04H 6/02
E04B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に間隔をあけて立設された複数の支柱と、前記支柱に取付けられた断面円筒状の梁と、前記梁に取付けられた屋根材とを備え、前記梁は、連結部材を介して前記支柱に連結された簡易屋根構造物であって、
前記連結部材は、前記支柱の上端部に固定される支柱連結部と、前記梁を固定する梁連結部とを備え、
前記梁連結部は、前記梁を上方から挿入できるように左右に間隔をあけて配置した側壁部と、前記梁の外周面に沿って下向きに凹んで左右に分割された凹部とを備え、
前記梁は、前記側壁部の間に固定されており、
前記凹部は、側方に向けて形成されて側壁部と接続する下壁部を有しており、
前記下壁部と前記梁との間には隙間が設けられている
ことを特徴とする簡易屋根構造物。
【請求項2】
前記凹部は、左右両方に前記下壁部を有しており、一方の下壁部から前記凹部を経て他方の下壁部にかけて断面逆ハット状となされている
ことを特徴とする請求項1に記載の簡易屋根構造物。
【請求項3】
前記凹部は、左右に分割された箇所が離間されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の簡易屋根構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車置場、カーポート、バス停留所、シェルターなどに用いられる組立式の簡易屋根構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車置場、カーポート、バス停留所、シェルターなどの簡易屋根構造物については、例えば特許文献1には、

断面方形状中空支柱と、支柱の上端から横方向に向かってのびる断面方形状屋根支持材と、屋根支持材により支持される屋根とを備え、支柱と各屋根支持材とがそれぞれ連結部材によって連結される組立建物において、連結部材が、屋根支持材の下面と平行な上壁と、上壁の対向縁からそれぞれ下方に向かってのびて支柱の対向側壁内面にそれぞれ当接する一対の垂直壁とを備え、連結部材を支柱上端と連結部材上壁とが面一になるように支柱上端部内に挿入するとともにねじによって各支柱に各連結部材を固定し、かつ各屋根支持材を各連結部材の上壁に載置するとともにねじによって固定した組立建物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−61291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような組立建物を組み立てる時は、まず支柱を設置面に立設することが多い。これは、屋根支持材、屋根を取付けるので、その荷重を支えられる様に十分な養生期間が必要なことが多いためである。かかる従来の組立建物において、この組立手順に沿って進める場合、連結部材のみを支柱上端部内に面一で挿入することは作業性が悪く、一方で連結部材に屋根支持材を取付けて作業する場合は、屋根支持材を持ち上げた状態で連結部材を支柱上端部内に挿入する必要があるため、作業が大掛かりとなって少人数では作業が難しいものであった。
【0005】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、少人数であっても、支柱に梁を取付ける作業が容易であって、施工性に優れた簡易屋根構造物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち本発明に係る簡易屋根構造物は、
左右に間隔をあけて立設された複数の支柱と、前記支柱に取付けられた断面円筒状の梁と、前記梁に取付けられた屋根材とを備え、前記梁は、連結部材を介して前記支柱に連結された簡易屋根構造物であって、前記連結部材は、前記支柱の上端部に固定される支柱連結部と、前記梁を固定する梁連結部とを備え、前記梁連結部は、前記梁を上方から挿入できるように左右に間隔をあけて配置した側壁部と、前記梁の外周面に沿って下向きに凹んで左右に分割された凹部とを備え、前記梁は、前記側壁部の間に固定されており、前記凹部は、側方に向けて形成されて側壁部と接続する下壁部を有しており、前記下壁部と前記梁との間には隙間が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明において、前記凹部は、左右両方に前記下壁部を有しており、一方の下壁部から前記凹部を経て他方の下壁部にかけて断面逆ハット状となされているようにしてもよい。
【0008】
また、本発明において、前記凹部は、左右に分割された箇所が離間されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記梁連結部は、前記梁を上方から挿入できるように左右に間隔をあけて配置した側壁部と、前記梁の外周面に沿って下向きに凹んだ凹部とを備えているので、梁連結部に梁を固定しやすく、支柱に梁を取付ける施工作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る簡易屋根構造物の実施の一形態を示す正面図である。
図2図1の簡易屋根構造物の側面図である。
図3図1の簡易屋根構造物の屋根材の一部を切り欠いた平面図である。
図4図2の連結部材付近の説明図である。
図5図4の連結部材の説明図である。
図6図5のA−A断面における概略拡大断面図である。
図7図5のB−B断面における概略拡大断面図である。
図8図5の連結部材付近の分解説明図である。
図9図5のC−C断面における概略拡大断面図である。
図10図5のD−D断面における概略拡大断面図である。
図11図2の前側支柱の上端付近の説明図である。
図12図11の分解説明図である。
図13図11のE−E断面における概略拡大断面図である。
図14図11のF−F断面における概略拡大断面図である。
図15】梁の連結構造を示す分解説明図である。
図16】梁の連結構造を示す分解説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0012】
図1〜3は、本発明に係る簡易屋根構造物の実施の一形態を示す説明図であって、図1は正面図、図2は側面図、図3は屋根材の一部を切り欠いた平面図である。図1〜3に示された簡易屋根構造物Pは、支柱1と、支柱1に取付けられた梁2と、梁2に取付けられた屋根材3とを備え、梁2は連結部材4を介して支柱1に連結されたものである。
【0013】
支柱1は円筒状の鋼管を適宜長さに切断して作製され、下端部が設置面に埋設されており、本形態では、左右方向に間隔をあけて三個立設されている。支柱1は、強度的に安定しておりコストの安い鋼管が好適に用いられるが、鋼管に限るものではなく、アルミニウム合金型材、ステンレス鋼管でもよい。
【0014】
梁2は、支柱1と同様に円筒状の鋼管を適宜長さに切断して作製され、支柱1の上方に取付けられており、本形態では、前記三個の支柱1の上方にそれぞれ前後方向に沿って取付けられている。梁2は、支柱1と同様に強度的に安定しておりコストの安い鋼管が好適に用いられるが、鋼管に限るものではなく、アルミニウム合金型材、ステンレス鋼管でもよい。
【0015】
支柱1の前方には、梁2の前部が取付けられた前側支柱11が立設されている。すなわち本形態では、前後に間隔をあけて立設された前側支柱11と支柱1の間に梁2が架設されている。前側支柱11は、支柱1と同様に円筒状の鋼管を適宜長さに切断して作製され、鋼管が好適に用いられる。
【0016】
次に、支柱1に対する梁2の取付構造について、更に詳しく説明する。図4図2の連結部材付近の説明図である。支柱1と梁2は、連結部材4を介して取付けられている。連結部材4は、支柱1の上端部に固定される支柱連結部41と梁2が取付けられる梁連結部42とを備えている。
【0017】
まず支柱1と連結部材4との関係について詳しく説明する。図5図4の連結部材の説明図、図6図4のA−A部の概略拡大断面図、図7図4のB−B部の概略拡大断面図、図8図4の連結部材付近の分解説明図である。連結部材4の支柱連結部41は、支柱1を固定するために、支柱1を挿入できるように左右に間隔をあけて配置した固定部43と支柱1の外周面の形状に合わせて形成された支持部44とを有している。支柱1は、固定部43の間に配置され、支柱1に設けられた左右に貫通する貫通孔1aと各固定部43に設けられた貫通孔43aとを挿通するボルト7とナット8によって固定部43に固定されている。
【0018】
続いて、梁2と連結部材4との関係について詳しく説明する。図9図4のC−C部の要部拡大断面図、図10図4のD−D部の要部拡大断面図である。図4に示すように、連結部材4の梁連結部42は、梁2を上方から挿入できるように左右に間隔をあけて配置した側壁部45と、側壁部45の間に設けられて梁2の外周面に沿って下向きに凹んだ凹部46とを備えている。梁2は、側壁部45の間に配置され、凹部46の上に載置されており、梁2を左右に貫通する貫通孔2aと各側壁部45に設けられた貫通孔45aとを挿通するボルト7とナット8によって側壁部45に固定されている。
【0019】
本形態では、図8に示すように、連結部材4は、左右勝手違いの二個の連結片47を備えたものである。すなわち、支柱連結部41の支持部44と梁連結部42の凹部46は左右に分割されており、一個の連結片47は、支柱連結部41の固定部43と分割された支持部44、梁連結部42の側壁部45と分割された凹部46とを備えたものである。そして、左右勝手違いの二個の連結片47を支柱1に固定することによって、梁連結部42の側壁部45が左右に間隔をあけて配置され、下向きに凹んだ凹部46が形成される。また、本形態では、支柱1と梁2の外径が同じであるため、1個の連結片47を反転させて、組み合わせることにより、連結部材4を形成することができるので、左右別々の形状の連結片47を準備する必要がなくなる。
【0020】
図11図2の前側支柱の上端付近の説明図、図12図11の分解説明図、図13図11のE−E断面における概略拡大断面図、図14はF−F断面における概略拡大断面図である。梁2の前側は、前側連結部材5を介して前側支柱11に連結されている。前側連結部材5は、支柱連結部51と梁連結部52を備えており、本形態では、左右勝手違いの二個の前側連結片53を備えたものである。支柱1は、支柱連結部51の間に配置され、前側支柱11、支柱連結部51に設けられた左右に貫通する貫通孔11a、51aを挿通するボルト7とナット8によって支柱連結部51に連結されている。
【0021】
梁連結部52は、各支柱連結部51の上端部から上方に向けて設けられている。梁2は、梁連結部52の間に梁2を挿入され、梁2、梁連結部52に設けられた左右に貫通する貫通孔2a、52aを挿通するボルト7とナット8によって梁連結部52に連結されている。
【0022】
次に、支柱1と前側支柱11との間に梁2を連結する際の連結構造について説明する。図15図16は梁の連結構造を示す分解説明図である。まず、支柱1に連結部材4を連結する。具体的には固定部43の間に支柱1を配置し、支持部44を支柱1の外周面に沿わせ、支柱1の貫通孔1aの位置と各固定部43の貫通孔43aとの位置を合わせてボルト7を挿通しナット8を螺合して締結する。これにより、支柱1に固定部43が固定され、連結部材4の支柱連結部41が支柱1に連結される。
【0023】
続いて、前側支柱11に前側連結部材5を連結する。具体的には、二個の前側連結片53の支柱連結部51の間に前側支柱11を配置し、ボルト7を挿通しナット8を螺合して、支柱連結部51と前側支柱11を締結する。
【0024】
続いて、支柱1と前側支柱11の間に梁2を固定する。具体的には、梁2をY1方向に移動し、梁連結部52の間に梁2の前側を挿入し、連結部材4の梁連結部42の側壁部45の間に梁2の後側を挿入して凹部46の上に載置する。これにより、梁2を所定の高さまで持ち上げることができれば、作業者が一人であっても、上記作業手順に従って支柱1と前側支柱11との間に梁2を仮置きすることができる。また、出荷時に予め組み立てておく必要がないため、輸送効率がよく、また現場での組立作業も容易となり好ましい。この後、梁2の位置を微調整してボルト7、ナット8を用いて締結することにより、支柱1と前側支柱11の間に梁2を固定することができる。したがって、連結部材4を介して、支柱1と梁2を連列することができる。支柱1、梁2、連結部材4、前側支柱11を固定あるいは連結する手順は特に限定されるものではない。
【0025】
また本形態のように凹部46を分割して、ボルト7、ナット8で締結する時に、図10に示すように、凹部46の分割箇所が離間するようにしておけば、分割された凹部46同士が干渉せずに、強固に締結することができるので好ましい。しかし、分割した凹部46は梁2の自重により沈み込んで分割箇所が広がるように凹部46が下方に向けて変形し、ボルト7への負荷が増大するおそれがある。そこで本形態では、梁連結部42において、凹部46から側方に向けて形成されて側壁部45と接続する下壁部48を有しており、一方の下壁部48から凹部46を経て他方の下壁部48にかけて断面逆ハット状となされている。そして凹部46に梁2を載置した際、下壁部48と梁2の間に隙間が設けられるようになされている。これにより、下壁部48と凹部46の境界付近が起点として変形しやすくなり、梁2の沈み込みを下壁部48で抑制し、ボルト7への負荷の増大も防ぐことができる。
【0026】
次に、梁2に対する屋根材3の取付構造について詳しく説明する。図1図3に示すように、本形態では、支柱1と前側支柱11との間に取付けられた梁2が、左右方向に間隔をあけて設けられている。梁2には、前後に間隔をあけて母屋6が取付けられている。
【0027】
母屋6は、角筒状の鋼管を適宜長さに切断して作製され、梁2の上に前後に間隔をあけて三本取付けられている。母屋6は、支柱1と同様に強度的に安定しておりコストの安い鋼管が好適に用いられるが、鋼管に限るものではなく、アルミニウム合金型材、ステンレス鋼管でもよい。
【0028】
屋根材3は、前後方向に長い平面視略長方形状であって、母屋6上に固定されている。屋根材3は後方へ下がる水切り勾配が設けられて固定されている。
【0029】
以上、本発明の簡易屋根構造物について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、自転車置場、カーポート、バス停留所、シェルターなどに用いられる簡易屋根構造物として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 支柱
11 前側支柱
11a 貫通孔
2 梁
3 屋根材
4 連結部材
41 支柱連結部
42 梁連結部
43 固定部
44 支持部
45 側壁部
45a 貫通孔
46 凹部
47 連結片
48 下壁部
5 前側連結部材
51 支柱連結部
51a 貫通孔
52 梁連結部
53 前側連結片
6 母屋
7 ボルト
8 ナット
P 簡易屋根構造物
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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