(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カルボン酸銀が、プロピオン酸銀、酪酸銀、ペンタン酸銀、ヘキサン酸銀、ヘプタン酸銀、エチルヘキサン酸銀、ベヘン酸銀、オレイン酸銀、オクタン酸銀、ノナン酸銀、デカン酸銀、ネオデカン酸銀、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
前記触媒が、少なくとも1つの第一級アミン、少なくとも1つの第二級アミン、少なくとも1つの第三級アミン、少なくとも1つのポリアミン、または少なくとも1つの、C1〜18を有するアルキルアミンを含む、請求項6に記載の組成物。
前記カルボン酸銀が、プロピオン酸銀、酪酸銀、ペンタン酸銀、ヘキサン酸銀、ヘプタン酸銀、エチルヘキサン酸銀、ベヘン酸銀、オレイン酸銀、オクタン酸銀、ノナン酸銀、デカン酸銀、ネオデカン酸銀、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
前記触媒が、少なくとも1つの第一級アミン、少なくとも1つの第二級アミン、少なくとも1つの第三級アミン、少なくとも1つのポリアミン、または少なくとも1つの、C1〜18を有するアルキルアミンを含む、請求項18に記載の方法。
前記カルボン酸銀がヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀であり、前記溶解剤がキシレンであり、前記触媒がtert−オクチルアミンである、請求項14に記載の方法。
前記カルボン酸銀がネオデカン酸銀であり、前記溶解剤がキシレンおよびテルピネオールを含み、前記触媒がtert−オクチルアミンである、請求項14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
銀前駆体から導電性構造物を作り出す方法
導電性インク構造物を提供するための組成物およびその組成物の作製方法を開示する。銀金属前駆体から誘導されるインク組成物は、2012年12月20日出願の「Ink Composition for Making a Conductive Silver Structure」という名称の国際出願番号PCT/US2012/071034号に記載されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0018】
高い分解温度を必要としない銀錯体を作製することによって形成される改善されたインク組成物が開示されている。導電性構造物を形成させるために、より低い分解温度および短いタックタイムを用いることによって、改善されたインク組成物は、完全性を維持するために高い加工温度を必要としないより多くの基板と適合することになる。さらに、インク組成物を作製させるためのこの方法は、簡単かつ高収率である。
【0019】
このインク組成物は低粘度を有していてもよく、その結果、スロットダイコーティング、スピンコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷を含むロールツーロール印刷、ロータリースクリーン印刷、スクリーン印刷、エアロゾルジェット印刷、インクジェット印刷、エアーブラッシング、マイヤーロッドコーティング、フラッドコーティング、3D印刷および電気流体力学的印刷を含む広範囲のパターン化技術と適合することができる。パターン化されたフィーチャーは、室温で高度に導電性であり、温和な温度(例えば、約100℃未満)で分解すると、バルク導電性を達成することができる。最後に、このインクは、粒子沈殿を伴うことなく、室温で数か月間安定なままであることができる。
【0020】
したがって、導電性インク組成物(「導電性インク」または「インク」とも称される)は、室温で高度に導電性のフィーチャーを印刷するために作り出される。そうしたインクは、安定で粒子フリーであり、広範囲のパターン化技術に適切であり得る。一実施形態では、「粒子フリー」なインクは、直径約10nm超の粒子を含まないインクである。一実施形態では、「粒子フリー」なインクは、約1%未満の粒子、好ましくは約0.1%未満の粒子を有するインクである。銀塩は、最終的に導電性銀コーティング、ラインまたはパターンにおいて銀をもたらす前駆体材料としてのインクにおいて使用される。任意の適切な銀前駆体を使用することができる。
【0021】
一態様では、導電性インク組成物は、カルボン酸銀、そのカルボン酸銀を溶解する少なくとも1つの溶解剤および触媒を混合することによって形成される銀錯体を含む。この触媒は、そのカルボン酸銀を脱炭酸して導電性インク組成物を作製するアミンを含む。一実施形態では、カルボン酸銀は溶解剤に可溶性である。当業者に公知であるように、溶解性は、溶解剤などの溶媒中に溶解させるためのカルボン酸銀などの物質の性質である。一実施形態では、銀錯体を、最初に基板に塗布する。一実施形態では、その触媒は、カルボン酸銀を約200℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。一実施形態では、その触媒は、カルボン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、その触媒は、カルボン酸銀を、約220℃、約210℃もしくはそれ未満、約190℃もしくはそれ未満、約180℃もしくはそれ未満、約170℃もしくはそれ未満、約160℃もしくはそれ未満、約150℃もしくはそれ未満、約140℃もしくはそれ未満、約130℃もしくはそれ未満、約120℃もしくはそれ未満、約110℃もしくはそれ未満、約90℃もしくはそれ未満、約80℃もしくはそれ未満、約70℃もしくはそれ未満、約60℃もしくはそれ未満または約50℃もしくはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0022】
別の態様では、導電性インク組成物は、カルボン酸銀、そのカルボン酸銀を溶解する少なくとも1つの溶解剤、およびカルボン酸銀の銀を還元する触媒を混合することによって形成される銀錯体を含む。一実施形態では、カルボン酸銀は、溶解剤に可溶性である。この触媒はアミンを含む。一実施形態では、銀錯体を、最初に基板に塗布する。一実施形態では、その触媒は、カルボン酸銀の銀を約200℃またはそれ未満の温度で還元する。一実施形態では、その触媒は、カルボン酸銀の銀を約100℃またはそれ未満の温度で還元する。いくつかの実施形態では、その触媒は、カルボン酸銀の銀を約210℃もしくはそれ未満、約220℃もしくはそれ未満、約190℃もしくはそれ未満、約180℃もしくはそれ未満、約170℃もしくはそれ未満、約160℃もしくはそれ未満、約150℃もしくはそれ未満、約140℃もしくはそれ未満、約130℃もしくはそれ未満、約120℃もしくはそれ未満、約110℃もしくはそれ未満、約90℃もしくはそれ未満、約80℃もしくはそれ未満、約70℃もしくはそれ未満、約60℃もしくはそれ未満または約50℃もしくはそれ未満の温度で還元する。
カルボン酸銀
【0023】
一実施形態では、そのカルボン酸銀は、脂肪族カルボン酸の銀塩を含む。一実施形態では、カルボン酸銀は、長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩を含む。一実施形態では、カルボン酸銀は、10〜30個の炭素原子を有する長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩を含む。一実施形態では、その触媒は、高温でカルボン酸銀の銀を還元する。
【0024】
一実施形態では、そのカルボン酸銀は、プロピオン酸銀、酪酸銀、ペンタン酸銀、ヘキサン酸銀、ヘプタン酸銀、エチルヘキサン酸銀、ベヘン酸銀、オレイン酸銀、オクタン酸銀、ノナン酸銀、デカン酸銀、ネオデカン酸銀、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀からなる群から選択される。一実施形態では、カルボン酸銀はネオデカン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はプロピオン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀は酪酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はペンタン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はヘキサン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はヘプタン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はエチルヘキサン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はベヘン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はオレイン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はノナン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はデカン酸銀である。
【0025】
一実施形態では、約0.4グラム〜約0.6グラムの量のカルボン酸銀を、溶解剤に溶解する。いくつかの実施形態では、約0.4グラム、約0.5グラムまたは約0.6グラムのカルボン酸銀を、溶解剤に溶解する。一実施形態では、約0.4グラム〜約0.6グラムの量のネオデカン酸銀を、溶解剤に溶解する。いくつかの実施形態では、約0.4グラム、約0.5グラムまたは約0.6グラムのネオデカン酸銀を、溶解剤に溶解する。一実施形態では、約0.4グラム〜約0.6グラムの量のヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を、溶解剤に溶解する。いくつかの実施形態では、約0.4グラム、約0.5グラムまたは約0.6グラムのヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を、溶解剤に溶解する。
溶解剤
【0026】
上記したように、少なくとも1つの溶解剤は、開示されているカルボン酸銀を溶解する。溶解剤は、カルボン酸銀のための安定剤および溶媒の役割を果たす。溶解剤は、カルボン酸銀のための還元剤としての役割を果たさせようとするものではない。一実施形態では、溶解剤は、約200℃またはそれ未満の沸点を有する。一実施形態では、溶解剤は、約100℃またはそれ未満の沸点を有する。いくつかの実施形態では、溶解剤は、約220℃もしくはそれ未満、約210℃もしくはそれ未満、約190℃もしくはそれ未満、約180℃もしくはそれ未満、約170℃もしくはそれ未満、約160℃もしくはそれ未満、約150℃もしくはそれ未満、約140℃もしくはそれ未満、約130℃もしくはそれ未満、約120℃もしくはそれ未満、約110℃もしくはそれ未満、約90℃もしくはそれ未満、約80℃もしくはそれ未満、約70℃もしくはそれ未満、約60℃もしくはそれ未満または約50℃もしくはそれ未満の沸点を有する。
【0027】
一実施形態では、溶解剤は、インク組成物を作製するために使用されるカルボン酸銀の種類をもとにして選択することができる。一実施形態では、溶解剤は、特定の用途のための沸点/タックタイムをもとにして選択することができる。一実施形態では、溶解剤は、適合性および湿潤性の問題について、インク組成物が塗布されることになる基板の種類をもとにして選択することができる。例えば、インクジェット印刷またはeジェットなどの固着法のためには、より高い安定性が一般に好ましく、したがって、より高い沸点を有する溶解剤を使用することが好ましい。
【0028】
一実施形態では、溶解剤は、有機溶媒、キレート剤およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、溶解剤は少なくとも1つの有機溶媒である。一実施形態では、溶解剤は少なくとも1つの非極性有機溶媒である。一実施形態では、溶解剤は少なくとも1つのキレート剤である。一実施形態では、希釈剤は、1つまたは複数の溶解剤と1つまたは複数のキレート剤の混合物である。
【0029】
一実施形態では、溶解剤は、アルカン炭化水素、カルバメート、アルケン、環状炭化水素、芳香族炭化水素、アミン、ポリアミン、アミド、エーテル、エステル、アルコール、チオール、チオエーテル、ホスフィンおよびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0030】
一実施形態では、溶解剤は有機溶媒である。一実施形態では、溶解剤は、長さC
5〜20の1つもしくは複数の直鎖状または分枝状アルカン炭化水素を含むことができる。例えば、溶解剤は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカンおよびイコサンを含むことができる。
【0031】
一実施形態では、溶解剤は、長さC
6〜20の1つまたは複数の環状炭化水素を含むことができる。例えば、溶解剤は、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンおよびデカリンを含むことができる。一実施形態では、溶解剤は、芳香族炭化水素を含むことができる。例えば、溶解剤は、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびテトラリンを含むことができる。一実施形態では、溶解剤はキシレンである。
【0032】
一実施形態では、溶解剤は、直鎖状エーテル、分枝状エーテルまたは環状エーテルを含むことができる。一実施形態では、溶解剤は、直鎖状または分枝状エーテルを含むことができる。例えば、溶解剤は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテルを含むことができる。一実施形態では、溶解剤は、1つまたは複数の環状エーテルを含むことができる。例えば、溶解剤は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピランおよび1,4−ジオキサンを含むことができる。
【0033】
一実施形態では、溶解剤はアルコールである。一実施形態では、溶解剤は、第一級アルコール、第二級アルコールまたは第三級アルコールである。一実施形態では、アルコールは、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールおよびオクタノールならびにそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、アルコールは、1−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、シクロペンタノール、テルピネオールおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、溶解剤はテルピネオールである。
【0034】
一実施形態では、溶解剤はキレート剤である。一実施形態では、溶解剤は、エチレンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)、ニトリロ三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン(dethylenetriamine)−N,N,N’,N”,N”−五酢酸、グリコールエーテルジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ジメチルスルホキシド、ジエチレントリアミン、tert−オクチルアミン、tert−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミンおよびエチレンジアミンからなる群から選択される。一実施形態では、溶解剤はtert−オクチルアミンである。一実施形態では、溶解剤はtert−ブチルアミンである。一実施形態では、溶解剤は2−エチルヘキシルアミンである。
【0035】
一実施形態では、カルボン酸銀が溶解剤中に実質的に溶解する、または完全に溶解するような溶解剤の量を添加する。一実施形態では、「実質的に溶解する(substantially dissolved)」とは、カルボン酸銀が、溶解剤中に、25℃で約400g/Lの溶解度を有することを意味する。
【0036】
一実施形態では、カルボン酸銀を、約0.5mL〜約2.0mLの量の溶解剤中に溶解する。一実施形態では、カルボン酸銀を、約1.0mL〜約2.0mLの量の溶解剤中に溶解する。いくつかの実施形態では、カルボン酸銀を、約0.5mL、約1.0mL、約1.5mLまたは約2.0mLの溶解剤中に溶解する。
【0037】
一実施形態では、カルボン酸銀を、約0.5mL〜約2.0mLの量のキシレンに溶解する。一実施形態では、カルボン酸銀を、約1.0mL〜約2.0mLの量のキシレンに溶解する。いくつかの実施形態では、カルボン酸銀を、約0.5mL、約1.0mL、約1.5mLまたは約2.0mLのキシレンに溶解する。
【0038】
一実施形態では、カルボン酸銀を、約0.5mL〜約2.0mLの量のテルピネオールに溶解する。一実施形態では、カルボン酸銀を、約1.0mL〜約2.0mLの量のテルピネオールに溶解する。いくつかの実施形態では、カルボン酸銀を、約0.5mL、約1.0mL、約1.5mLおよび約2.0mLのテルピネオールに溶解する。
【0039】
一実施形態では、カルボン酸銀を、約0.5mL〜約2.0mLのキシレンとテルピネオールの混合物中に溶解する。一実施形態では、カルボン酸銀を、約1.0mL〜約2.0mLのキシレンとテルピネオールの混合物中に溶解する。いくつかの実施形態では、カルボン酸銀を、約0.5mL、約1.0mL、約1.5mLまたは約2.0mLの、キシレンとテルピネオールの混合物中に溶解する。
【0040】
一実施形態では、溶解剤は2つの有機溶媒を含む。一実施形態では、2つの有機溶媒の体積比は、第1の有機溶媒対第2の有機溶媒が約1対約1である。一実施形態では、2つの有機溶媒の体積比は、第1の有機溶媒対第2の有機溶媒が約2対約1である。一実施形態では、2つの有機溶媒の体積比は、第1の有機溶媒対第2の有機溶媒が約3対約1である。一実施形態では、2つの有機溶媒の体積比は、第1の有機溶媒対第2の有機溶媒が約4対約1である。
【0041】
一実施形態では、溶解剤は、2つのキレート剤を含む。一実施形態では、2つのキレート剤の体積比は、第1のキレート剤対第2のキレート剤が約1対約1である。一実施形態では、2つのキレート剤の体積比は、第1のキレート剤対第2のキレート剤が約2対約1である。一実施形態では、2つのキレート剤の体積比は、第1のキレート剤対第2のキレート剤が約3対約1である。一実施形態では、2つのキレート剤の体積比は、第1のキレート剤対第2のキレート剤が約4対約1である。
【0042】
一実施形態では、溶解剤は、1つの有機溶媒および1つのキレート剤を含む。一実施形態では、有機溶媒とキレート剤の体積比は約1対約1である。一実施形態では、有機溶媒とキレート剤の体積比は約2対約1である。一実施形態では、有機溶媒とキレート剤の体積比は約3対約1である。一実施形態では、有機溶媒とキレート剤の体積比は約4対約1である。一実施形態では、有機溶媒とキレート剤の体積比は約1対約2である。一実施形態では、有機溶媒とキレート剤の体積比は約1対約3である。一実施形態では、有機溶媒とキレート剤の体積比は約1対約4である。
触媒
【0043】
上記で論じたように、触媒を開示する。一実施形態では、その触媒は還元剤である。一実施形態では、触媒は、銀塩を銀金属へ還元する。一実施形態では、触媒は脱炭酸剤である。一実施形態では、触媒は、カルボン酸銀を脱炭酸して導電性インク組成物を作製させる。一実施形態では、触媒は、カルボン酸銀の銀を還元して導電性インク組成物を作製させる。一実施形態では、触媒は、脱炭酸剤と還元剤の両方である。一実施形態では、触媒は、同時に、カルボン酸銀を脱炭酸し、カルボン酸銀の銀を還元して導電性インク組成物を作製させる。
【0044】
任意の適切な銀前駆体を使用することができる。一実施形態では、その銀前駆体は、Ag(I)または+1の酸化状態を含む。一実施形態では、銀前駆体は、Ag(II)または+2の酸化状態を含む。一実施形態では、銀前駆体は、Ag(III)または+3の酸化状態を含む。一実施形態では、触媒の量は、銀塩を、0の酸化状態を有する銀金属へ完全に還元するように添加する。一実施形態では、比較的少量の触媒を添加する。一実施形態では、添加される触媒の量は、インクの所望の粘度に依存する。
【0045】
一実施形態では、触媒は、銀イオン(Ag
+)を銀金属(Ag
0)へ還元することができる。一実施形態では、触媒は、銀イオン(Ag
2+)を銀金属(Ag
0)へ還元することができる。一実施形態では、触媒は、銀イオン(Ag
3+)を銀金属(Ag
0)へ還元することができる。
【0046】
一態様では、触媒はアミンである。一実施形態では、触媒は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンまたはポリアミンである。一実施形態では、触媒は第一級アミンである。「第一級アミン」は、アミン基の窒素と結合した2個の水素原子を有するアミンを指す。一実施形態では、触媒は、1〜18の炭素数を有するアルキルアミンである。例えば、触媒は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミンおよびそれらの組合せを含むことができる。使用できる触媒の他の例には、アリルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、tert−ヘキシルアミン、フェニルアミン、シクロペンチルアミン、tert−オクチルアミン、tert−デシルアミン、tert−ドデシルアミン、tert−オクタデシルアミンおよびそれらの組合せが含まれる。一実施形態では、触媒はtert−オクチルアミンである。一実施形態では、触媒は2−エチルヘキシルアミンである。
【0047】
一実施形態では、触媒は、第二級アミンを含むことができる。「第二級アミン」は、アミン基の窒素と結合した1個の水素原子を有するアミンを指す。例えば、触媒は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、ジシクロペンチルアミン、メチルブチルアミンおよびそれらの組合せを含むことができる。
【0048】
一実施形態では、触媒は、第三級アミンを含むことができる。「第三級アミン」は、アミン基の窒素と結合した水素原子をもたないアミンを指す。例えば、触媒は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミンおよびそれらの組合せを含むことができる。
【0049】
一実施形態では、触媒は、ポリアミンを含むことができる。例えば、触媒は、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミンおよびそれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、触媒はエチレンジアミンである。一実施形態では、触媒は1,3−ジアミノプロパンである。一実施形態では、触媒はヘキサメチレンジアミンである。
【0050】
一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約1mLの触媒を添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.8mLの触媒を添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.7mLの触媒を添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.6mLの触媒を添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの触媒を添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.5mLの触媒を添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの触媒を添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.3mL〜約0.4mLの触媒を添加することによって形成される。いくつかの実施形態では、銀錯体は、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mLまたは約1.0mLの触媒を添加することによって形成される。
【0051】
一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約1mLのtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.8mLのtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.7mLのtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.6mLのtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.6mLのtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.5mLのtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.6mLのtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.3mL〜約0.4mLのtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。他の実施形態では、銀錯体は、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mLまたは約1.0mLの量のtert−オクチルアミンを添加することによって形成される。
【0052】
一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約1mLの2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.8mLの2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.7mLの2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.1mL〜約0.6mLの2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.5mLの2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。一実施形態では、銀錯体は、約0.3mL〜約0.4mLの2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。他の実施形態では、銀錯体は、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mLまたは約1.0mLの量の2−エチルヘキシルアミンを添加することによって形成される。
【0053】
一態様では、触媒は溶解剤である。一実施形態では、導電性インク組成物は、カルボン酸銀を触媒と混合することによって形成される銀錯体を含む。一実施形態では、カルボン酸銀を、触媒中に溶解する。触媒は、還元剤としての役目も果たす。触媒は、カルボン酸銀を還元して導電性インク組成物を作製するアミンを含む。一実施形態では、tert−オクチルアミンはカルボン酸銀を溶解し、カルボン酸銀を還元する。一実施形態では、tert−ブチルアミンはカルボン酸銀を溶解し、カルボン酸銀を還元する。一実施形態では、2−エチルヘキシルアミンはカルボン酸銀を溶解し、カルボン酸銀を還元する。
カルボン酸銀、溶解剤および触媒の導電性インク組成物組合せ
【0054】
一実施形態では、カルボン酸銀はネオデカン酸銀である。一実施形態では、カルボン酸銀はヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀である。一実施形態では、溶解剤はキシレンである。一実施形態では、溶解剤はキシレンおよびテルピネオールを含む。一実施形態では、触媒はtert−オクチルアミンである。一実施形態では、触媒は2−エチルヘキシルアミンである。
【0055】
一実施形態では、導電性インク組成物は、導電性インク組成物の約1〜約40wt%の銀の濃度を有する。一実施形態では、導電性インク組成物は、導電性インク組成物の約1〜約30wt%の銀の濃度を有する。一実施形態では、導電性インク組成物は、導電性インク組成物の約1〜約20wt%の銀の濃度を有する。一実施形態では、導電性インク組成物は、導電性インク組成物の約1〜約10wt%の銀の濃度を有する。一実施形態では、導電性インク組成物は、導電性インク組成物の約5〜約15wt%の銀の濃度を有する。いくつかの実施形態では、導電性インク組成物は、導電性インク組成物の約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、約25wt%、約26wt%、約27wt%、約28wt%、約29wt%、約30wt%、約31wt%、約32wt%、約33wt%、約34wt%、約35wt%、約36wt%、約37wt%、約38wt%、約39wt%または約40wt%の銀の濃度を有する。
【0056】
一実施形態では、導電性構造物は、低い二乗平均平方根(RMS)値を有する。一実施形態では、導電性構造物は、約20nm未満のRMS値を有する。一実施形態では、導電性構造物は、約10nm未満のRMS値を有する。
【0057】
一実施形態では、導電性構造物の電気伝導度を測定する。一実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、約2×10
−6Ω・cm〜約1×10
−5Ω・cmである。一実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、約3×10
−6Ω・cm〜約6×10
−6Ω・cmである。いくつかの実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、少なくとも約2×10
−6Ω・cm、約3×10
−6Ω・cm、約4×10
−6Ω・cm、約5×10
−6Ω・cm、約6×10
−6Ω・cm、約7×10
−6Ω・cm、約8×10
−6Ω・cmまたは約9×10
−6Ω・cmである。いくつかの実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、最大約1×10
−5Ω・cm、約9×10
−6Ω・cm、約8×10
−6Ω・cm、約7×10
−6Ω・cm、約6×10
−6Ω・cm、約5×10
−6Ω・cm、約4×10
−6Ω・cmまたは約3×10
−6Ω・cmである。
ネオデカン酸銀、キシレンおよび2−エチルヘキシルアミンの組合せ
【0058】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレン中に溶解したネオデカン酸銀を2−エチルヘキシルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。2−エチルヘキシルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。別の実施形態では、2−エチルヘキシルアミンは、ネオデカン酸銀を約190℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0059】
一実施形態では、導電性インク組成物は、約1mLのキシレン中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLの2−エチルヘキシルアミン(2−ethyhexylamine)と混合することによって形成される銀錯体を含む。2−エチルヘキシルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、2−エチルヘキシルアミンは、ネオデカン酸銀を約95℃もしくはそれ未満または約105℃もしくはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0060】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレン中に溶解したネオデカン酸銀を2−エチルヘキシルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。2−エチルヘキシルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、導電性インク組成物は、約1mLのキシレン中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.4mLまたは約0.6mLの2−エチルヘキシルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。2−エチルヘキシルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0061】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレン中に溶解したネオデカン酸銀を2−エチルヘキシルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。2−エチルヘキシルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。一実施形態では、導電性インク組成物は、約1mLのキシレン中に溶解した約0.4グラムまたは約0.6グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLの2−エチルヘキシルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。2−エチルヘキシルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀、キシレンおよびtert−オクチルアミンの組合せ
【0062】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレン中に溶解したヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。別の実施形態では、tert−オクチルアミンは、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を約160℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0063】
一実施形態では、導電性インク組成物は、約1mLのキシレン中に溶解した約0.4グラムのヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約95℃もしくはそれ未満の温度または約105℃もしくはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0064】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレン中に溶解したヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、導電性インク組成物は、約1mLのキシレン中に溶解した約0.4グラムのヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を約0.4mLまたは約0.6mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0065】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレン中に溶解したヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、導電性インク組成物は、約1mLのキシレン中に溶解した約0.3グラムまたは約0.5グラムのヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
ネオデカン酸銀、キシレン、テルピネオールおよびTert−オクチルアミンの組合せ
【0066】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。別の実施形態では、tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約200℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0067】
一実施形態では、導電性インク組成物は、約0.5mLのキシレンと約0.5mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を、約80℃もしくはそれ未満の温度、約90℃もしくはそれ未満の温度または約110℃もしくはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0068】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、導電性インク組成物は、約0.5mLのキシレンと約0.5mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.4mLまたは約0.6mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0069】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。いくつかの実施形態では、導電性インク組成物は、約0.5mLのキシレンと約0.5mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.4グラムまたは約0.6グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0070】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。一実施形態では、導電性インク組成物は、約0.6mLのキシレンと約0.4mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0071】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。一実施形態では、導電性インク組成物は、約0.7mLのキシレンと約0.3mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0072】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。一実施形態では、導電性インク組成物は、約0.8mLのキシレンと約0.2mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0073】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。一実施形態では、導電性インク組成物は、約0.4mLのキシレンと約0.6mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0074】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。一実施形態では、導電性インク組成物は、約0.3mLのキシレンと約0.7mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
【0075】
一実施形態では、導電性インク組成物は、キシレンおよびテルピネオールの中に溶解したネオデカン酸銀をtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。一実施形態では、導電性インク組成物は、約0.2mLのキシレンと約0.8mLのテルピネオールの混合物中に溶解した約0.5グラムのネオデカン酸銀を約0.2mLのtert−オクチルアミンと混合することによって形成される銀錯体を含む。tert−オクチルアミンは、ネオデカン酸銀を約100℃またはそれ未満の温度で脱炭酸する。
導電性インク組成物を作製する方法
【0076】
一態様では、導電性構造物を作製する方法を開示する。一実施形態では、本方法は、アミンを含む触媒の存在下でカルボン酸銀を混合して銀錯体を形成するステップを含む。カルボン酸銀を、少なくとも1つの溶解剤中に溶解する。一実施形態では、本方法は、銀錯体を基板に塗布するステップも含む。いくつかの実施形態では、本方法は、基板上の銀錯体を、約200℃またはそれ未満の分解温度で加熱して導電性構造物を形成させるステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、基板上の銀錯体を、約100℃またはそれ未満の分解温度で加熱して導電性構造物を形成させるステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、基板上の銀錯体を、約210℃もしくはそれ未満、約220℃もしくはそれ未満、約190℃、約180℃もしくはそれ未満、約170℃もしくはそれ未満、約160℃、約150℃もしくはそれ未満、約140℃もしくはそれ未満、約130℃もしくはそれ未満、約120℃もしくはそれ未満、約110℃もしくはそれ未満、約90℃もしくはそれ未満、約80℃もしくはそれ未満、約70℃もしくはそれ未満、約60℃もしくはそれ未満または約50℃もしくはそれ未満の分解温度で加熱して導電性構造物を形成させるステップを含む。一実施形態では、銀錯体を加熱源で加熱する。加熱源の例には、IRランプ、オーブンまたは加熱基板が含まれる。
【0077】
一実施形態では、カルボン酸銀を、触媒を添加する前に、溶解剤中に溶解する。一実施形態では、カルボン酸銀を、カルボン酸銀を溶解剤に溶解する前に、触媒と混合する。一実施形態では、カルボン酸銀、溶解剤および触媒を同時に加える。
【0078】
一実施形態では、銀錯体は所望の粘度を有する。一実施形態では、所望の粘度は、microVISC粘度計を使用して得る。一実施形態では、銀錯体は、約50センチポアズ〜約1000センチポアズの粘度を有する。一実施形態では、銀錯体は、約5センチポアズ〜約50センチポアズの粘度を有する。一実施形態では、銀錯体は、約10センチポアズ〜約40センチポアズの粘度を有する。一実施形態では、銀錯体は、約20センチポアズ〜約30センチポアズの粘度を有する。一実施形態では、銀錯体は、約18センチポアズ〜約20センチポアズの粘度を有する。いくつかの実施形態では、銀錯体は、約18、約19または約20センチポアズの粘度を有する。いくつかの実施形態では、銀錯体は、少なくとも約5センチポアズ、約10センチポアズ、約20センチポアズ、約30センチポアズ、約40センチポアズ、約50センチポアズ、約60センチポアズ、約70センチポアズ、約80センチポアズ、約90センチポアズ、約100センチポアズ、約200センチポアズ、約300センチポアズ、約400センチポアズ、約500センチポアズ、約600センチポアズ、約700センチポアズ、約800センチポアズまたは約900センチポアズの粘度を有する。いくつかの実施形態では、銀錯体は、最大約1000センチポアズ、約900センチポアズ、約800センチポアズ、約700センチポアズ、約600センチポアズ、約500センチポアズ、約400センチポアズ、約300センチポアズ、約200センチポアズ、約100センチポアズ、約90センチポアズ、約80センチポアズ、約70センチポアズ、約60センチポアズ、約50センチポアズ、約40センチポアズ、約30センチポアズ、約20センチポアズまたは約10センチポアズの粘度を有する。
【0079】
一実施形態では、錯体の粘度を、使用する溶媒の量に基づいて調節する。一実施形態では、錯体の粘度を、使用する溶媒の種類に基づいて調節する。溶解剤がテルピネオールおよびキシレンを含む実施形態では、より多くのテルピネオールを使用し、キシレンがより少ない場合、粘度は増大する。一実施形態では、銀錯体の粘度を、大きな割合のキシレンで5センチポアズに調整し、大部分のテルピネオールで50センチポアズに調整することができる。
【0080】
さらに、錯体の粘度を、添加する触媒の量に基づいて調節する。より多くの触媒を使用した場合、銀錯体の粘度は増大する。一実施形態では、銀錯体の粘度は、触媒の量を増大させることによって、1000センチポアズをはるかに上回って増大させることができる。一実施形態では、銀錯体の粘度は、触媒の量を約0.2mLから約0.6mLへ増大させることによって、1000センチポアズをはるかに上回って増大させることができる。一実施形態では、より少ない触媒を使用した場合、銀錯体の粘度は減少する。
導電性インク組成物の用途
【0081】
導電性インク組成物は、スロットダイコーティング、スピンコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷を含むロールツーロール印刷、ロータリースクリーン印刷、スクリーン印刷、エアロゾルジェット印刷、インクジェット印刷、エアーブラッシング、マイヤーロッドコーティング、フラッドコーティング、3D印刷、ディスペンサーおよび電気流体力学的印刷を含む種々の印刷用途において使用することができる。さらに、パターンを、特定の領域から銀をエッチングするためのマスクを作り出すフォトリソグラフィーを使用して作り出し、それによって高忠実度のフィーチャーを作り出すことができる。ポジティブパターニング工程とネガティブパターニング工程の両方を用いてパターンを作り出すことができる。
【0082】
一実施形態では、カルボン酸銀の銀塩を、少なくとも1つの溶解剤に完全に溶解させる。完全に溶解した銀塩は、そこで極性錯体が十分には湿潤していない、多くの非極性ポリマー基板、ガラスおよびセラミック基板に適合する。一実施形態では、銀錯体を、ポリマー基板に塗布する。一実施形態では、銀錯体を、非極性ポリマー基板に塗布する。一実施形態では、銀錯体を、ガラス基板に塗布する。一実施形態では、銀錯体を、セラミック基板に塗布する。
【0083】
さらに、特異的に非平面状のトポグラフィーを有するエラストマーおよび3D基板を、導電性構造物と一緒に使用することができる。一実施形態では、銀錯体を、エラストマーに塗布する。一実施形態では、銀錯体を、3D基板に塗布する。
【0084】
導電性構造物の鏡面反射性(specular reflectance)は、導電性構造物の極端に低いRMS値の副産物である。一実施形態では、導電性構造物のRMS値は、約10ナノメートルまたはそれ未満である。一実施形態では、導電性構造物は、平滑表面を有する基板上で使用される。一実施形態では、導電性構造物は、OLEDディスプレイおよび光起電力技術のための電極構造物用に使用される。これらの構造物は、ディスプレイおよびタッチスクリーンならびにプリントアンテナにおける導電性のトレースおよび電極としても使用される。
インク組成物
定義
【0085】
本開示の化合物、組成物、方法およびプロセスを説明する場合、以下の用語は、別段の指定のない限り、以下の意味を有する。
【0086】
「アルキル」という用語は、指定された炭素数を有する(すなわち、C
1〜30は1〜30個の炭素原子を意味する)、直鎖状、環状もしくは分枝状またはそれらの組合せであってよい炭化水素基を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン等が含まれる。アルキル基は、別段の指定のない限り、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0087】
「シクロアルキル」という用語は、飽和した単環式、二環式、三環式または他の多環式炭化水素基を指す。任意の原子は、例えば1つまたは複数の置換基によって置換されていてよい。環炭素は、シクロアルキル基の別の部分との結合点としての役目を果たす。シクロアルキル基は縮合環を含有することができる。縮合環は、共通する炭素原子を共有する環である。シクロアルキル部分は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルおよびノルボルニル(ビシクロ(bicycle)[2.2.1]ヘプチル)を含むことができる。
【0088】
「かさ高い(bulky)」という用語は、その基のサイズが立体障害をもたらすことができることを意味する。「立体的にかさ高い対イオン」は、立体障害をもたらすことができる対イオンである。
【0089】
「配位子」という用語は、単一の金属イオンと1つまたは複数の結合を形成することができる化合物を指す。配位子の例は、アミン、エーテルおよびチオエーテルである。
組成物
【0090】
本開示は、一般に、立体的にかさ高い対イオンおよび配位子を有する金属塩を含むインク組成物にも関する。
【0091】
立体的にかさ高い対イオンを有する任意の適切な金属塩を使用することができる。いくつかの実施形態では、金属塩は、銀塩、銅塩、ニッケル塩、金塩、白金塩、パラジウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩およびスズ塩からなる群から選択される。一実施形態では、その塩は銀塩である。
【0092】
いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、カルボン酸イオン、シアン化物イオン、スルホン酸イオン、ホウ酸イオン、リン酸イオンおよび過塩素酸イオンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、長鎖または分枝状のカルボン酸イオンである。いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンはR
1COO
−である。R
1は、非置換または置換アルキル、非置換または置換シクロアルキルおよび非置換または置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
1は置換C
1〜C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、C
1〜C
30アルキルは、アルキルおよびケト基の少なくとも1つで置換されていてよい。選択される置換基は、好ましくは、立体的にかさ高い対イオンに立体障害特性を提供するのに十分大きいように選択される。いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、ネオデカン酸イオン、2−エチルオクタン酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、2−エチルペンタン酸イオン、2−エチルブタン酸イオン(2−ethylbutylnoate)、2−エチル−2−メチルブタン酸イオン、2,2−ジエチルブタン酸イオンおよびそれらの組合せである。一実施形態では、立体的にかさ高い対イオンはネオデカン酸イオンである。他の実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、βケトカルボン酸イオン、例えば3−オキソブタン酸イオン、3−オキソペンタン酸イオンまたは3−オキソヘキサン酸イオンである。
【0093】
他の実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、テトラフルオロホウ酸イオン([BF
4]
−)、ヘキサフルオロリン酸イオン([PF
6]
−)または過塩素酸イオンである。
【0094】
いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンを有する金属塩は、ネオデカン酸銀、2−エチルヘキサン酸銀またはβケトカルボン酸銀である。
一実施形態では、その塩は、ネオデカン酸銀である。
【0095】
配位子は、任意の適切な配位子であってよい。一般に、配位子は相対的に低い沸点(200℃未満)を有する。温度を100℃より高く増大させた場合、配位子は蒸発し始める。結果として、インクは、粒子またはポリマーが粘度を増大させる必要なく高い粘度を維持しながら、低いアニーリング温度を有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、その配位子はかさ高い配位子である。いくつかの実施形態では、配位子は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンおよび環状アミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、配位子は、tert−ブチルアミン、2−メチルブタン−2−アミン、2−メチルペンタン−2−アミン、2−エチルヘキシルアミン、2−エチルヘプチルアミン、N−エチルヘキサン−1−アミン、N−エチルヘプタン−1−アミンおよびtert−オクチルアミンからなる群から選択される。一実施形態では、配位子はtert−オクチルアミンである。いくつかの実施形態では、配位子は、非置換または置換ピロリジンおよび非置換または置換ピペリジンである。
【0097】
いくつかの実施形態では、配位子は、チオエーテル、環状チオエーテル、エーテル、クラウンエーテルおよびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、配位子は、分枝状チオエーテルおよび分枝状エーテルからなる群から選択される。例えば、配位子は、式R’XR’’のものであってよい。R’およびR’’は独立に長鎖または分枝状アルキルである。XはSまたはOである。
【0098】
いくつかの実施形態では、配位子の金属塩に対するモル比は、約10,000:1〜約50:1である。いくつかの実施形態では、配位子の金属塩に対するモル比は約30:1より大きい。いくつかの実施形態では、配位子の金属塩に対するモル比は約15:1より大きい。いくつかの実施形態では、配位子の金属塩に対するモル比は約10:1より大きい。いくつかの実施形態では、金属塩と配位子とのモル比は約1である。
【0099】
インク組成物は、溶媒をさらに含むことができる。一般に、その溶媒は低い沸点を有する。いくつかの実施形態では、溶媒は、水およびジメチルホルムアミドなどの極性溶媒である。いくつかの実施形態では、キシレンを溶媒として使用する。
調製物
【0100】
本開示は、インク組成物を調製する方法も提供する。本方法は、立体的にかさ高い対イオンを有する金属塩を溶媒に加えて混合物を形成させるステップと;配位子をその混合物に加えてインク組成物を形成させるステップを含む。
【0101】
この金属塩を溶媒中に溶解した場合、この混合物は相対的に低い粘度を有し、自由流動する。金属塩が添加されると、粘度は急速に増大する。配位子の添加後、粘度は約100cPsに達する。より多くの配位子が添加されると、粘度は増大し続けて約10000cPsに達することになる。理論に拘泥するわけではないが、金属塩のかさ高い対イオンは、それが適切な溶媒に溶解されたとき、金属イオンについて相当な程度(significant amount)の立体障害を生み出す。かさ高い配位子と障害の結びつき(association)は、完全にゲル化した混合物を生み出す。この完全にゲル化した混合物は、高い粘度を有しており、自由には流動しない。一実施形態では、この混合物は、混合物で満たされた容器をひっくり返しても流動しない。
【0102】
本開示では、金属塩は、銀塩、銅塩、ニッケル塩、金塩、白金塩、パラジウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩およびスズ塩からなる群から選択される。
一実施形態では、塩は銀塩である。
【0103】
いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、カルボン酸イオン、シアン化物イオン、スルホン酸イオン、ホウ酸イオン、リン酸イオンおよび過塩素酸イオンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、長鎖または分枝状のカルボン酸イオンである。いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンはR
1COO
−である。R
1は、非置換または置換アルキル、非置換または置換シクロアルキルおよび非置換または置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
1は置換C
1〜C
30アルキルである。いくつかの実施形態では、C
1〜C
30アルキルは、アルキルおよびケト基の少なくとも1つで置換される。選択される置換基は、好ましくは、立体的にかさ高い対イオンに立体障害特性を提供するのに十分大きいように選択される。
【0104】
いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、ネオデカン酸イオン、2−エチルオクタン酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、2−エチルペンタン酸イオン、2−エチルブタン酸イオン、2−エチル−2−メチルブタン酸イオン、2,2−ジエチルブタン酸イオンおよびそれらの組合せである。一実施形態では、立体的にかさ高い対イオンはネオデカン酸イオンである。他の実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、βケトカルボン酸イオン、例えば3−オキソブタン酸イオン、3−オキソペンタン酸イオンまたは3−オキソヘキサン酸イオンである。
【0105】
他の実施形態では、立体的にかさ高い対イオンは、テトラフルオロホウ酸イオン([BF
4]
−)、ヘキサフルオロリン酸イオン([PF
6]
−)または過塩素酸イオンである。
【0106】
いくつかの実施形態では、立体的にかさ高い対イオンを有する金属塩は、ネオデカン酸銀、2−エチルヘキサン酸銀またはβケトカルボン酸銀である。一実施形態では、その塩は、ネオデカン酸銀である。
【0107】
配位子は、任意の適切な配位子であってよい。いくつかの実施形態では、その配位子はかさ高い配位子である。いくつかの実施形態では、配位子は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンおよび環状アミンからなる群から選択される。
【0108】
いくつかの実施形態では、配位子は、tert−ブチルアミン、2−メチルブタン−2−アミン、2−メチルペンタン−2−アミン、2−エチルヘキシルアミン、2−エチルヘプチルアミン、N−エチルヘキサン−1−アミン、N−エチルヘプタン−1−アミンおよびtert−オクチルアミンからなる群から選択される。一実施形態では、配位子はtert−オクチルアミンである。いくつかの実施形態では、配位子は、非置換または置換ピロリジンおよび非置換または置換ピペリジンである。
【0109】
いくつかの実施形態では、配位子は、チオエーテル、環状チオエーテル、エーテル、クラウンエーテルおよびそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、配位子は、分枝状チオエーテルおよび分枝状エーテルからなる群から選択される。例えば、配位子は、式R’XR’’のものであってよい。R’およびR’’は独立に長鎖または分枝状アルキルである。XはSまたはOである。
【0110】
いくつかの実施形態では、配位子の金属塩に対するモル比は、約10,000:1〜約50:1である。いくつかの実施形態では、配位子の金属塩に対するモル比は約30:1より大きい。いくつかの実施形態では、配位子の金属塩に対するモル比は約15:1より大きい。いくつかの実施形態では、配位子の金属塩に対するモル比は約10:1より大きい。いくつかの実施形態では、金属塩と配位子とのモル比は約1:1である。
【0111】
溶媒は、任意の適切な溶媒であってよい。一般に、溶媒は低い沸点を有する。いくつかの実施形態では、溶媒は、水およびジメチルホルムアミドなどの極性溶媒である。いくつかの実施形態では、キシレンを溶媒として使用する。いくつかの実施形態では、配位子は、溶媒の役割を果たすことができる。
応用
【0112】
導電性構造物を作製する方法を開示する。本方法は、立体的にかさ高い対イオンを有する金属塩を溶媒に加えて第1の混合物を形成させるステップと;配位子を第1の混合物に加えてインク組成物を形成させるステップと;インク組成物を加熱して導電性構造物を形成させるステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、インク組成物を基板上に固着させるステップを含む。その基板には、ガラス、酢酸セルロース、セロファン、ポリイミドおよびポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ITO、PC、CPOが含まれる。
反応性金属錯体およびそれらの合金
【0113】
導電性インク構造物を提供するための組成物およびその組成物の作製方法も開示する。改善されたインク組成物は、高い分解温度を必要としない還元性金属錯体を作製することによって形成される。導電性構造物を形成させるためにより低い分解温度を用いることによって、改善されたインク組成物は、完全性を維持するために高い加工温度を必要としないより多くの基板と適合する。さらに、インク組成物を作製させるためのこの方法は、簡単かつ高収率である。このインク組成物は低粘度を有していてもよく、その結果、スロットダイコーティング、スピンコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷を含むロールツーロール印刷、ロータリースクリーン印刷、スクリーン印刷、エアロゾルジェット印刷、インクジェット印刷、エアーブラッシング、マイヤーロッドコーティング、フラッドコーティング、3D印刷および電気流体力学的印刷を含む広範囲のパターン化技術と適合することができる。パターン化されたフィーチャーは、室温で高度に導電性であり、温和な温度(例えば、約100℃未満)で分解すると、バルク導電性を達成することができる。最後に、このインクは、粒子沈殿を伴うことなく、室温で数か月間安定なままであることができる。
【0114】
いくつかのシステムおよび方法は、基板上の金属塩を還元して金属性インク配合物を形成する還元剤を開示している。米国特許第8,066,805号(その全体を参照により本明細書に組み込む)は、金属インク前駆体からの、印刷可能な金属配合物、その配合物を作製する方法、および薄膜をコーティングまたは印刷する方法を開示しており、その金属配合物は、1つまたは複数の4、5、6、7、8、9、10、11または12族の金属塩または金属錯体を含む。米国特許出願第2005/0006339号(その全体を参照により本明細書に組み込む)は金属パターンを固着させ、基板上の金属塩を還元する方法およびシステムを記載している。
【0115】
導電性インク構造物を提供するための組成物およびその組成物の作製方法を開示する。インク組成物(「導電性インク」または「インク」とも称する)は、室温で高度に導電性のフィーチャーを印刷するために作り出されている。そうしたインクは、安定で、粒子フリーであり、広範囲のパターン化技術に適している可能性がある。
【0116】
一態様では、インク組成物は、溶解剤中に溶解された還元剤を、少なくとも1つの金属塩または金属錯体と混合することによって形成される還元性金属錯体を含む。還元剤は、溶解剤に可溶性である。当業者に公知であるように、溶解性は、還元剤などの物質を、溶解剤などの溶媒中に溶解する性質である。一実施形態では、その還元剤は水素化物である。いくつかの実施形態では、還元剤は、ギ酸塩かまたはβケトカルボン酸塩である。一実施形態では、還元剤は、金属塩または金属錯体の金属を還元して導電性構造物を形成させる。一実施形態では、還元剤を少なくとも1つの金属塩または金属錯体と混合すると、沈殿物を形成する。一実施形態では、還元性金属錯体を基板に塗布する前に、沈殿物を除去する。一実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解させる前に、沈殿物を除去する。
【0117】
一態様では、導電性構造物を作製するためのインク組成物は、溶解剤中に溶解された還元剤を少なくとも1つの金属塩または金属錯体と混合することによって形成される還元性金属錯体を含む。金属塩または金属錯体の金属は、4、5、6、7、8、9、10、11または12族の金属である。一実施形態では、還元剤は水素化物である。いくつかの実施形態では、還元剤は、ギ酸塩かまたはβケトカルボン酸塩である。還元剤は、金属塩または金属錯体の金属を還元して導電性構造物を形成させる。
金属および金属錯体
【0118】
一実施形態では、金属塩は式MX
nを有する。一実施形態では、金属錯体は式M(L)
pX
nを有する。一実施形態では、Mは4、5、6、7、8、9、10、11または12族の金属である。一実施形態では、Xは、ハライド、プソイドハライド、ニトレート、スルフェート、ホルメート、アセテート、シアネート、イソシアネート、アルコキシドまたはジケトネートである。一実施形態では、Lは、NH
3、CO、NO、N
2、H
2S、C
2H
4、C
6H
6、CN、NC、PH
3からなる群から選択される。一実施形態では、nは、Mの形式電荷をXの形式電荷で除したものに等しい。一実施形態では、pは、M上の配位部位の数からX
nによって占有されている配位部位を減じたものに等しい整数である。一実施形態では、M(L)
pX
nは、ニッケルテトラカルボニルを含む。一実施形態では、M(L)
pX
nは、コバルトテトラカルボニルを含む。
【0119】
一実施形態では、Mは:アルミニウム、マグネシウム、チタン、ケイ素、バナジウム、亜鉛、スズ、銅、ニッケル、パラジウム、ジルコニウム、鉄、ニオブ、ゲルマニウム、マンガン、クロム、コバルト、タングステン、モリブデン、ビスマス、ルテニウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0120】
一実施形態では、金属錯体は、ケイ素アルキル錯体を含む。一実施形態では、金属錯体は、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、1,2−ジクロロテトラメチルシラン、1,2−ジフェニルテトラメチルシラン、1,2−ジクロロテトラエチルシラン、1,2−ジフェニルテトラエチルシラン、1,2,3−トリクロロテトラメチルシランまたは1,2,3−テトラメチルトリフェニルシランからなる群から選択される。一実施形態では、金属錯体は、テトラエチルシランを含む。
【0121】
一実施形態では、配位子Lは、アルケンかまたはアルキンである。一実施形態では、配位子Lは、シクロオクタジエン、ノルボルナジエンおよびエチレンからなる群から選択される。一実施形態では、金属錯体は、金属アルケン錯体を含む。一実施形態では、金属錯体は、ニッケル(0)アルケン錯体を含む。一実施形態では、金属錯体は、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)を含む。一実施形態では、金属錯体は、トリス(エチレン)ニッケル(0)を含む。一実施形態では、金属錯体は、金属アルキン錯体を含む。一実施形態では、金属錯体は、白金(0)アルキン錯体を含む。
【0122】
一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約0.1〜40wt%の濃度の金属塩を有する。一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約1〜30wt%の濃度の金属塩を有する。一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約1〜20wt%の濃度の金属塩を有する。一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約1〜10wt%の濃度の金属塩を有する。一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約5〜15wt%の濃度の金属塩を有する。いくつかの実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%または約20wt%の濃度の金属を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、インク組成物の少なくとも約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%または約20wt%の濃度の金属塩を有する。いくつかの実施形態では、インク組成物は、インク組成物の最大約40wt%、約39wt%、約38wt%、約37wt%、約36wt%、約35wt%、約34wt%、約33wt%、約32wt%、31wt%、約30wt%、約29wt%、約28wt%、約27wt%、約26wt%、約25wt%、約24wt%、約23wt%、約22wt%、約21wt%、約20wt%、約19wt%、約18wt%、約17wt%、約16wt%、約15wt%、約14wt%、約13wt%または約12wt%の濃度の金属塩を有する。
【0124】
一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約0.1〜40wt%の濃度の金属錯体を有する。一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約1〜30wt%の濃度の金属錯体を有する。一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約1〜20wt%の濃度の金属錯体を有する。一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約1〜10wt%の濃度の金属錯体を有する。一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約5〜15wt%の濃度の金属錯体を有する。いくつかの実施形態では、インク組成物は、インク組成物の約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%または約20wt%の濃度の金属錯体を有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、インク組成物は、インク組成物の少なくとも約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%または約20wt%の濃度の金属錯体を有する。いくつかの実施形態では、インク組成物は、インク組成物の最大約40wt%、約39wt%、約38wt%、約37wt%、約36wt%、約35wt%、約34wt%、約33wt%、約32wt%、31wt%、約30wt%、約29wt%、約28wt%、約27wt%、約26wt%、約25wt%、約24wt%、約23wt%、約22wt%、約21wt%、約20wt%、約19wt%、約18wt%、約17wt%、約16wt%、約15wt%、約14wt%、約13wt%または約12wt%の濃度の金属錯体を有する。
溶解剤
【0126】
上記したように、少なくとも1つの溶解剤は、開示される還元剤を溶解する。溶解剤は、安定剤および還元剤のための溶媒としての役割を果たす。溶解剤は、金属および金属錯体の金属塩のための還元剤としての役割を果たさせようとするものではない。一実施形態では、溶解剤は、約200℃またはそれ未満の沸点を有する。一実施形態では、溶解剤は、インク組成物を作製するために使用される還元剤の種類をもとにして選択することができる。一実施形態では、溶解剤は、インク組成物の特定の用途のための沸点をもとにして選択することができる。一実施形態では、溶解剤は、インク組成物が塗布されることになる基板の種類をもとにして選択することができる。インクジェット印刷またはeジェットなどの固着法のためには、より高い安定性が一般に好ましく、したがって、より高い沸点を有する溶解剤を使用することが好ましい可能性がある。
【0127】
少なくとも1つの溶解剤を、還元剤を溶解させるために使用する。一実施形態では、溶解剤は少なくとも1つの有機溶媒である。一実施形態では、溶解剤は少なくとも1つの非極性有機溶媒である。
【0128】
一実施形態では、溶解剤は、飽和炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、アルコールおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、溶解剤は、1つもしくは複数の長さC
5〜20の直鎖状または分枝状アルカン炭化水素を含むことができる。例えば、溶解剤は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサンおよびそれらの組合せを含むことができる。
【0129】
一実施形態では、溶解剤は、1つまたは複数の長さC
6〜20の環状炭化水素を含むことができる。例えば、溶解剤は、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、デカリンおよびそれらの組合せを含むことができる。
【0130】
一実施形態では、溶解剤は、芳香族炭化水素を含むことができる。例えば、溶解剤は、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびテトラリンを含むことができる。一実施形態では、溶解剤はキシレンである。
【0131】
一実施形態では、溶解剤は、直鎖状エーテル、分枝状エーテルまたは環状エーテルを含むことができる。一実施形態では、溶解剤は、直鎖状または分枝状エーテルを含むことができる。例えば、溶解剤は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルt−ブチルエーテルおよびそれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、溶解剤はジエチルエーテルである。一実施形態では、溶解剤は、1つまたは複数の環状エーテルを含むことができる。例えば、溶解剤は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピランおよび1,4−ジオキサンを含むことができる。
【0132】
一実施形態では、溶解剤はアルコールである。一実施形態では、溶解剤は、第一級アルコール、第二級アルコールまたは第三級アルコールである。一実施形態では、アルコールは、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールおよびオクタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、アルコールは、1−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、シクロペンタノール、テルピネオールおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、溶解剤は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールである。
【0133】
一実施形態では、還元剤が溶解剤中に実質的に溶解するまたは完全に溶解するような量の溶解剤を添加する。一実施形態では、「実質的に溶解している(substantially dissolved)」は、還元剤が、25℃で約100〜500g/Lの溶解剤中への溶解度を有することを意味する。
【0134】
一実施形態では、還元剤を、約0.5mL〜約2.0mLの量の溶解剤に溶解する。一実施形態では、還元剤を、約1.0mL〜約2.0mLの量の溶解剤に溶解する。いくつかの実施形態では、還元剤を、約0.5mL、約1.0mL、約1.5mLまたは約2.0mLの溶解剤に溶解する。
【0135】
一実施形態では、還元剤を、約0.5mL〜約2.0mLの量のジエチルエーテルに溶解する。一実施形態では、還元剤を、約1.0mL〜約2.0mLの量のジエチルエーテルに溶解する。いくつかの実施形態では、還元剤を、約0.5mL、約1.0mL、約1.5mLまたは約2.0mLのジエチルエーテルに溶解する。
【0136】
一実施形態では、溶解剤は2つの有機溶媒を含む。一実施形態では、2つの有機溶媒の体積比は、第1の有機溶媒対第2の有機溶媒が約1対約1である。一実施形態では、2つの有機溶媒の体積比は、第1の有機溶媒対第2の有機溶媒が約2対約1である。一実施形態では、2つの有機溶媒の体積比は、第1の有機溶媒対第2の有機溶媒が約3対約1である。一実施形態では、2つの有機溶媒の体積比は、第1の有機溶媒対第2の有機溶媒が約4対約1である。
還元剤
【0137】
上記で論じたように、還元剤を開示する。一実施形態では、少なくとも1つの還元剤を、少なくとも1つの金属塩または金属錯体と混合する。一実施形態では、還元剤は、金属塩を還元して金属にする。一実施形態では、還元剤は、金属塩または金属錯体の金属を還元して導電性構造物を形成させる。
【0138】
任意の適切な金属前駆体を使用することができる。一実施形態では、金属前駆体はM(I)または+1の酸化状態を含み、ここで、Mは金属塩を表す。一実施形態では、金属前駆体は、M(II)または+2の酸化状態を含む。一実施形態では、金属前駆体は、M(III)または+3の酸化状態を含む。一実施形態では、金属前駆体は、M(III)または+3の酸化状態を含む。一実施形態では、金属前駆体は、M(IV)または+4の酸化状態を含む。一実施形態では、金属前駆体は、M(V)または+5の酸化状態を含む。一実施形態では、金属前駆体は、M(VI)または+6の酸化状態を含む。一実施形態では、金属前駆体は、M(VII)または+7の酸化状態を含む。一実施形態では、金属前駆体は、M(VIII)または+8の酸化状態を含む。一実施形態では、その金属塩を完全に還元して0の酸化状態を有する金属にするように、還元剤の量が使用される。一実施形態では、還元剤は、金属イオンM
+、M
2+、M
3+、M
4+、M
5+、M
6+、M
7+またはM
8+を還元して金属M
0にすることができる。一実施形態では、比較的少量の還元剤が使用される。一実施形態では、粘度は、還元剤の量に依存しない。
【0139】
一実施形態では、還元剤は、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属とホウ素の錯体水素化物、アルカリ金属とアルミニウムの錯体水素化物、ギ酸塩、βケトカルボン酸塩およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0140】
一実施形態では、還元剤は金属水素化物である。例えば、還元剤は、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化ルビジウム、水素化セシウムおよびそれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、還元剤は水素化リチウムである。
【0141】
一実施形態では、還元剤は、アルカリ金属およびホウ素の錯体水素化物である。一実施形態では、還元剤は、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0142】
一実施形態では、還元剤は、アルカリ金属およびアルミニウムの錯体水素化物である。一実施形態では、還元剤は、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化アルミニウムカリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、還元剤は、水素化アルミニウムリチウムである。
【0143】
一実施形態では、還元剤は、ギ酸塩である。一実施形態では、還元剤は、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸アンモニウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、還元剤は、βケトカルボン酸塩である。
【0144】
一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約1mLの還元剤を添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.8mLの還元剤を添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.7mLの還元剤を添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.6mLの還元剤を添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの還元剤を添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.5mLの還元剤を添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの還元剤を添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.3mL〜約0.4mLの還元剤を添加することによって形成される。いくつかの実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mLまたは約1.0mLの還元剤を添加することによって形成される。
【0145】
一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約1mLの水素化アルミニウムリチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.8mLの水素化アルミニウムリチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.7mLの水素化アルミニウムリチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.6mLの水素化アルミニウムリチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの水素化アルミニウムリチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.5mLの水素化アルミニウムリチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの水素化アルミニウムリチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.3mL〜約0.4mLの水素化アルミニウムリチウムを添加することによって形成される。他の実施形態では、還元性金属錯体は、水素化アルミニウムリチウムを、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mLまたは約1.0mLの量で添加することによって形成される。
【0146】
一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約1mLの水素化リチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.8mLの水素化リチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.7mLの水素化リチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.1mL〜約0.6mLの水素化リチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの水素化リチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.5mLの水素化リチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.2mL〜約0.6mLの水素化リチウムを添加することによって形成される。一実施形態では、還元性金属錯体は、約0.3mL〜約0.4mLの水素化リチウムを添加することによって形成される。他の実施形態では、還元性金属錯体は、水素化リチウムを、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mLまたは約1.0mLの量で添加することによって形成される。
分解
【0147】
一態様では、還元性金属錯体を基板上で分解させてその基板上に導電性構造物を形成させる。一実施形態では、還元性金属錯体は、還元性金属錯体を約270℃またはそれ未満の温度で加熱することによって分解させる。いくつかの実施形態では、還元性金属錯体は、還元性金属錯体を、約260℃もしくはそれ未満、約250℃もしくはそれ未満、約240℃もしくはそれ未満、約230℃もしくはそれ未満、約220℃もしくはそれ未満、約210℃もしくはそれ未満、約200℃もしくはそれ未満、約190℃もしくはそれ未満、約180℃もしくはそれ未満、約170℃もしくはそれ未満、約160℃もしくはそれ未満、約150℃もしくはそれ未満、約140℃もしくはそれ未満、約130℃もしくはそれ未満、約120℃もしくはそれ未満、約110℃もしくはそれ未満、約100℃もしくはそれ未満、約90℃もしくはそれ未満、約80℃もしくはそれ未満または約70℃もしくはそれ未満の温度で加熱することによって分解させる。一実施形態では、還元性金属錯体を、加熱源によって加熱する。加熱源の例には、IRランプ、オーブンまたは加熱基板が含まれる。
【0148】
一態様では、還元性金属錯体は、触媒を還元性金属錯体と混合して触媒還元性金属錯体を形成させることによって分解させる。一実施形態では、触媒還元性金属錯体を、還元性金属錯体を分解するために必要な温度より低い温度で分解させる。一実施形態では、触媒還元性金属錯体を、約220℃もしくはそれ未満、約210℃もしくはそれ未満、約200℃もしくはそれ未満、約190℃もしくはそれ未満、約180℃もしくはそれ未満、約170℃もしくはそれ未満、約160℃もしくはそれ未満、約150℃もしくはそれ未満、約140℃もしくはそれ未満、約130℃もしくはそれ未満、約120℃もしくはそれ未満、約110℃もしくはそれ未満、約100℃もしくはそれ未満、約90℃もしくはそれ未満、約80℃もしくはそれ未満または約70℃もしくはそれ未満の温度に加熱する。
【0149】
一実施形態では、触媒は、水素化物引抜剤(abstractor)である。一実施形態では、触媒は、カルボニルエクストラクターである。一実施形態では、触媒は、チタン(IV)化合物、フェナジンメトスルフェート、フェナジンエトスルフェート、1−メトキシフェナジンメトスルフェート、メルドラブルーおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、触媒は、チタン(IV)化合物である。一実施形態では、触媒は、酸化チタン(IV)、硫化チタン(IV)、硝酸チタン(IV)、チタン(IV)アルコキシドおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、チタン(IV)アルコキシドは、チタン(IV)イソプロポキシドかまたはチタン(IV)2−エチルヘキシルオキシドである。一実施形態では、触媒はチタン(IV)エトキシドである。
【0150】
一態様では、還元性金属錯体を、約100nm〜約1500nmの波長の光源に還元性金属錯体を曝露させることによって分解させる。一実施形態では、還元性金属錯体を、約100nm〜約1000nmの波長のキセノンランプまたはIRランプなどの光源に還元性金属錯体を曝露させることによって分解させる。一実施形態では、還元性金属錯体を、約100nm〜約700nmの波長の光源に還元性金属錯体を曝露させることによって分解させる。一実施形態では、還元性金属錯体を、約100nm〜約500nmの波長の光源に還元性金属錯体を曝露させることによって分解させる。一実施形態では、還元性金属錯体を、約100nm〜約300nmの波長の光源に還元性金属錯体を曝露させることによって分解させる。いくつかの実施形態では、還元性金属錯体を、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nmまたは約1000nmの波長の光源に還元性金属錯体を曝露させることによって分解させる。
【0151】
一態様では、その金属錯体がゼロの酸化状態を有する金属を含むので、インク組成物を形成させるために、還元剤は必要とされない。一実施形態では、導電性構造物を作製するためのインク組成物は、その金属がゼロの酸化状態を有する4、5、6、7、8、9、10、11または12族の金属を含む金属(0)錯体を含む。金属(0)錯体を、基板上で分解して導電性構造物を形成させる。一実施形態では、金属(0)錯体を、約270℃またはそれ未満の温度で金属(0)錯体を加熱することによって分解させる。一実施形態では、金属(0)錯体を加熱源によって加熱する。加熱源の例には、IRランプ、オーブンまたは加熱基板が含まれる。一実施形態では、金属(0)錯体は、触媒を金属水素化物錯体と混合して触媒金属(0)錯体を形成させ、この触媒金属(0)錯体を約220℃またはそれ未満の温度に加熱することによって分解させる。一実施形態では、金属(0)錯体を、約100nm〜約1500nmの波長の光源に金属(0)錯体を曝露させることによって分解させる。一実施形態では、光源は、キセノンランプまたはIRランプである。
【0152】
一実施形態では、インクの表面が高温で酸化されるのを防止するために、化学添加剤を金属錯体に添加する。一実施形態では、化学添加剤は、インクの表面が約25℃の高温で酸化するのを防止する。一実施形態では、化学添加剤は、インクの表面が約30℃の高温で酸化するのを防止する。一実施形態では、化学添加剤は、インクの表面が約35℃の高温で酸化するのを防止する。一実施形態では、化学添加剤は、インクの表面が約40℃の高温で酸化するのを防止する。
【0153】
一実施形態では、化学添加剤は、金属の表面と錯体を形成する。一実施形態では、化学添加剤は、銅と錯体を形成する。一実施形態では、化学添加剤は、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム亜硝酸塩、ベンゾトリアゾール、四硝酸ペンタエリスリトールおよびジシクロヘキシルアンモニウム亜硝酸塩からなる群から選択される。一実施形態では、化学添加剤はベンゾトリアゾールである。
金属および/または金属錯体、溶解剤および還元剤のインク組成物組合せ
【0154】
一実施形態では、少なくとも1つの金属塩または金属錯体の金属は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ケイ素、バナジウム、亜鉛、スズ、銅、ニッケル、パラジウム、ジルコニウム、鉄、ニオブ、ゲルマニウム、マンガン、クロム、コバルト、タングステン、モリブデン、ビスマス、ルテニウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、還元剤は水素化アルミニウムリチウムである。一実施形態では、還元剤は水素化リチウムである。一実施形態では、溶解剤はジエチルエーテルである。一実施形態では、導電性構造物は、元素金属または金属合金である。
【0155】
還元剤ならびに金属塩および錯体を、異なるモル比で一緒に混合する。一実施形態では、少なくとも1つの金属塩または金属錯体と混合される還元剤のモル比は、その少なくとも1つの金属塩または金属錯体の金属の酸化状態に依存する。一実施形態では、還元剤と少なくとも1つの金属塩または金属錯体とのモル比は、少なくとも1つの金属塩または金属錯体の金属の酸化状態と等しい。例えば、その金属塩または金属錯体の金属が+2の酸化状態を有する場合、還元剤と少なくとも1つの金属塩または金属錯体とのモル比は2:1、すなわち2である。
【0156】
一実施形態では、その金属が+1の酸化状態を有する場合、還元剤を、還元剤対金属塩または金属錯体が1:1のモル比で、少なくとも1つの金属塩または金属錯体に加える。一実施形態では、その金属が+2の酸化状態を有する場合、還元剤を、還元剤対金属塩または金属錯体が2:1のモル比で、少なくとも1つの金属塩または金属錯体に加える。一実施形態では、その金属が+3の酸化状態を有する場合、還元剤を、還元剤対金属塩または金属錯体が3:1のモル比で、少なくとも1つの金属塩または金属錯体に加える。一実施形態では、その金属が+4の酸化状態を有する場合、還元剤を、還元剤対金属塩または金属錯体が4:1のモル比で、少なくとも1つの金属塩または金属錯体に加える。一実施形態では、その金属が+5の酸化状態を有する場合、還元剤を、還元剤対金属塩または金属錯体が5:1のモル比で、少なくとも1つの金属塩または金属錯体に加える。一実施形態では、その金属が+6の酸化状態を有する場合、還元剤を、還元剤対金属塩または金属錯体が6:1のモル比で、少なくとも1つの金属塩または金属錯体に加える。一実施形態では、その金属が+7の酸化状態を有する場合、還元剤を、還元剤対金属塩または金属錯体が7:1のモル比で、少なくとも1つの金属塩または金属錯体に加える。
【0157】
当業者に公知であるように、鏡面反射は表面からの光の鏡様反射であり、そこで、単一の入射方向(incoming direction)が、単一の反射方向(outgoing direction)へ反射される。導電性構造物の鏡面反射性は、導電性構造物の極端に低い二乗平均平方根(RMS)値の副産物である。いくつかの実施形態では、その導電性構造物は、約15ナノメートルもしくはそれ未満、約14ナノメートルもしくはそれ未満、約13ナノメートルもしくはそれ未満、約12ナノメートルもしくはそれ未満、約11ナノメートルもしくはそれ未満、約10ナノメートルもしくはそれ未満、約9ナノメートルもしくはそれ未満、約8ナノメートルもしくはそれ未満、約7ナノメートルもしくはそれ未満、約6ナノメートルもしくはそれ未満、または約5ナノメートルもしくはそれ未満のRMS値を有する。
【0158】
一実施形態では、導電性構造物の電気伝導度を測定する。一実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、約1×10
−6Ω・cmまたはそれ超である。一実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、約1×10
−6Ω・cm〜約8×10
−4Ω・cmである。一実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、約3×10
−6Ω・cm〜約6×10
−6Ω・cmである。いくつかの実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、少なくとも約1×10
−6Ω・cm、約2×10
−6Ω・cm、約3×10
−6Ω・cm、約4×10
−6Ω・cm、約5×10
−6Ω・cm、約6×10
−6Ω・cm、約7×10
−6Ω・cm、約8×10
−6Ω・cm、約9×10
−6Ω・cm、約1×10
−5Ω・cm、約2×10
−5Ω・cm、約3×10
−5Ω・cm、約4×10
−5Ω・cm、約5×10
−5Ω・cm、約6×10
−5Ω・cm、約7×10
−5Ω・cm、約8×10
−5Ω・cm、約9×10
−5Ω・cm、約1×10
−4Ω・cm、約2×10
−4Ω・cm、約3×10
−4Ω・cm、約4×10
−4Ω・cm、約5×10
−4Ω・cm、約6×10
−4Ω・cmまたは約7×10
−4Ω・cmである。一実施形態では、導電性構造物の電気伝導度は、最大約8×10
−4Ω・cm、7×10
−4Ω・cm、約6×10
−4Ω・cm、約5×10
−4Ω・cm、約4×10
−4Ω・cm、約3×10
−4Ω・cm、約2×10
−4Ω・cmまたは約1×10
−4Ω・cm、約9×10
−5Ω・cm、約8×10
−5Ω・cm、約7×10
−5Ω・cm、約6×10
−5Ω・cm、約5×10
−5Ω・cm、約4×10
−5Ω・cm、約3×10
−5Ω・cm、約2×10
−5Ω・cm、約1×10
−5Ω・cm、約9×10
−6Ω・cm、約8×10
−6Ω・cm、約7×10
−6Ω・cm、約6×10
−6Ω・cm、約5×10
−6Ω・cm、約4×10
−6Ω・cm、約3×10
−6Ω・cmまたは約2×10
−6Ω・cmである。
マグネシウム導電性構造物
【0159】
一実施形態では、導電性構造物は、マグネシウムである。一実施形態では、導電性構造物は、水素化リチウムとハロゲン化マグネシウムとを混合して水素化マグネシウム錯体を形成することによって形成される。
亜鉛導電性構造物
【0160】
一実施形態では、導電性構造物は、亜鉛である。一実施形態では、導電性構造物は、水素化アルミニウムリチウムをハロゲン化亜鉛と混合して水素化亜鉛錯体を形成することによって形成される。
アルミニウム導電性構造物
【0161】
一実施形態では、導電性構造物は、アルミニウムである。一実施形態では、導電性構造物は、アルゴンガス下で、ジエチルエーテル中に溶解された水素化アルミニウムリチウムを無水塩化アルミニウムと混合して水素化アルミニウム錯体を形成することによって形成される。一実施形態では、水素化アルミニウムリチウムを無水塩化アルミニウムと混合すると、塩化リチウムが沈殿してくる。
【0162】
一実施形態では、水素化アルミニウム錯体を、アルゴンガス下、250℃の温度で加熱して純粋なアルミニウムフィルムを作り出す。一実施形態では、水素化アルミニウム錯体を、水素化物引抜剤としてチタン(IV)化合物などのチタン錯体を使用して触媒的に分解させて、約180℃〜約200℃の分解温度でアルミニウムフィルムを作り出す。一実施形態では、水素化アルミニウム錯体の分解を促進するために、幅広い波長の光を使用する。一実施形態では、アルミニウムフィルムは、バルクアルミニウムの約30%の伝導度を有する。一実施形態では、アルミニウムフィルムは、高度に反射性でバルク金属のように見える。
ニッケル導電性構造物
【0163】
一実施形態では、導電性構造物は、ニッケルである。一実施形態では、導電性構造物は、ニッケルテトラカルボニルをカルボニルエクストラクターと混合してニッケル(0)錯体を形成することによって形成される。
【0164】
一実施形態では、導電性構造物は、ニッケル(0)アルケンを混合し、ニッケル(0)アルケン錯体を溶解してインクを形成することによって形成される。一実施形態では、インクは、80℃の温度で分解してニッケル導電性構造物を形成する。
銅導電性構造物
【0165】
一実施形態では、導電性構造物は、銅である。一実施形態では、導電性構造物は、ギ酸銅を2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール中に溶解して銅錯体を形成することによって形成される。
【0166】
一実施形態では、導電性構造物は、銅錯体をベンゾトリアゾールと混合してインクを形成することによって形成される。一実施形態では、インクは、120℃の温度で分解して銅導電性構造物を形成する。
【0167】
一実施形態では、導電性構造物は、銅錯体をベンゾトリアゾールおよび触媒と混合することによって形成される。次いで、インクを、80℃の温度で分解して銅導電性構造物を形成する。一実施形態では、触媒は銀錯体かまたはパラジウム錯体である。
チタン合金導電性構造物
【0168】
一実施形態では、導電性構造物は、チタン合金である。一実施形態では、チタン合金は、水素化アルミニウムリチウム、バナジウム錯体およびチタン塩を混合して水素化チタン錯体を形成することによって形成される。一実施形態では、バナジウム錯体は、バナジルアセチルアセトネートかまたはバナジウムヘキサカルボニルである。
アルミニウム合金導電性構造物
【0169】
一実施形態では、導電性構造物は、アルミニウム合金である。一実施形態では、アルミニウム合金は、ケイ素アルキル錯体、アルミニウム塩および水素化アルミニウムリチウムを混合して水素化アルミニウム錯体を形成することによって形成される。一実施形態では、ケイ素アルキル錯体はテトラエチルシランである。
【0170】
一実施形態では、インク組成物は、約0.2wt%〜約1.0wt%アルキルケイ素錯体のアルミニウム合金である。一実施形態では、インク組成物は、約0.4wt%〜約0.8wt%アルキルケイ素錯体のアルミニウム合金である。いくつかの実施形態では、インク組成物は、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%または約1.0wt%アルキルケイ素錯体のアルミニウム合金である。一実施形態では、導電性構造物は、6061アルミニウムである。
銅合金導電性構造物
【0171】
一実施形態では、導電性構造物は、銅合金である。一実施形態では、銅合金は、ケイ素アルキル錯体、銅塩およびβケトカルボン酸塩を混合してβケトカルボン酸銅錯体を形成することによって形成される。一実施形態では、ケイ素アルキル錯体はテトラエチルシランである。
【0172】
一実施形態では、インク組成物は、約0.1wt%〜約0.6wt%アルキルケイ素錯体の銅合金である。一実施形態では、インク組成物は、約0.15wt%〜約0.4wt%アルキルケイ素錯体の銅合金である。いくつかの実施形態では、インク組成物は、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%または約0.6wt%アルキルケイ素錯体の銅合金である。
マグネシウム合金導電性構造物
【0173】
一実施形態では、導電性構造物は、マグネシウム合金である。一実施形態では、マグネシウム合金は、ケイ素アルキル錯体、マグネシウム塩および水素化リチウムを混合して水素化マグネシウム錯体を形成することによって形成される。一実施形態では、ケイ素アルキル錯体は、テトラエチルシランである。
【0174】
一実施形態では、インク組成物は、約0.5wt%〜約1.5wt%アルキルケイ素錯体のマグネシウム合金である。一実施形態では、インク組成物は、約0.8wt%〜約1.2wt%アルキルケイ素錯体のマグネシウム合金である。いくつかの実施形態では、インク組成物は、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1.1wt%、約1.2wt%、約1.3wt%、約1.4wt%または約1.5wt%アルキルケイ素錯体のマグネシウム合金である。
ニッケル合金導電性構造物
【0175】
一実施形態では、導電性構造物は、ニッケル合金である。一実施形態では、ニッケル合金は、ニッケル塩と環状アルケンとを混合してニッケル(0)錯体を作り出すことによって形成される。
インク組成物を作製するための方法
【0176】
一態様では、導電性構造物を作製する方法を開示する。一実施形態では、本方法は、還元剤を少なくとも1つの金属塩または金属錯体の金属と混合して還元性金属錯体を形成させるステップを含む。一実施形態では、還元剤を、少なくとも1つの溶解剤に溶解させる。一実施形態では、還元剤は水素化物である。いくつかの実施形態では、還元剤は、ギ酸塩かまたはβケトカルボン酸塩である。一実施形態では、本方法は、還元性金属錯体を基板に塗布するステップも含む。一実施形態では、還元剤を少なくとも1つの金属塩または金属錯体と混合するステップは、還元性金属錯体を基板に塗布するステップの前に行う。一実施形態では、本方法は、基板上の還元性金属錯体を分解させて導電性構造物を形成させるステップも含む。一実施形態では、還元性金属錯体を、アルゴンガスまたは窒素ガスの存在下で形成させる。
【0177】
一実施形態では、還元性金属錯体を形成させる方法は、無水条件下で形成する。一実施形態では、無水条件の使用は、還元性金属錯体を形成させるために使用される金属塩または金属錯体に依存する。一実施形態では、約−0.15Vもしくはそれ未満、約−0.25Vもしくはそれ未満または約−0.35Vもしくはそれ未満の還元電位でインクを作製するために、無水条件を使用する。一実施形態では、還元性金属錯体の分解またはアニーリングの間に、不均化反応が起こるのを防止するために、無水条件を使用する。例えば、水素化銅錯体を作製する場合に、無水条件を使用する。
【0178】
一実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、還元性金属錯体を約270℃またはそれ未満の温度で加熱することを含む。いくつかの実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、還元性金属錯体を、約260℃もしくはそれ未満、約250℃もしくはそれ未満、約240℃もしくはそれ未満、約230℃もしくはそれ未満、約220℃もしくはそれ未満、約210℃もしくはそれ未満、約200℃もしくはそれ未満、約190℃もしくはそれ未満、約180℃もしくはそれ未満、約170℃もしくはそれ未満、約160℃もしくはそれ未満、約150℃もしくはそれ未満、約140℃もしくはそれ未満、約130℃もしくはそれ未満、約120℃もしくはそれ未満、約110℃もしくはそれ未満、約100℃もしくはそれ未満、約90℃もしくはそれ未満、約80℃もしくはそれ未満または約70℃もしくはそれ未満の温度で加熱することを含む。一実施形態では、還元性金属錯体を加熱源で加熱する。加熱源の例には、IRランプ、オーブンまたは加熱基板が含まれる。
【0179】
一実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、触媒を還元性金属錯体と混合して触媒還元性金属錯体を形成させることを含む。一実施形態では、還元性金属錯体を形成させる前に、触媒を還元剤および金属塩または金属錯体と混合する。一実施形態では、還元性金属錯体を基板に塗布する前に、触媒を還元性金属錯体と混合する。一実施形態では、還元性金属錯体を基板に塗布した後に、触媒を還元性金属錯体と混合する。
【0180】
一実施形態では、触媒還元性金属錯体を、約220℃もしくはそれ未満、約210℃もしくはそれ未満、約200℃もしくはそれ未満、約190℃もしくはそれ未満、約180℃もしくはそれ未満、約170℃もしくはそれ未満、約160℃もしくはそれ未満、約150℃もしくはそれ未満、約140℃もしくはそれ未満、約130℃もしくはそれ未満、約120℃もしくはそれ未満、約110℃もしくはそれ未満、約100℃もしくはそれ未満、約90℃もしくはそれ未満、約80℃もしくはそれ未満または約70℃もしくはそれ未満の温度に加熱する。
【0181】
一実施形態では、触媒は、水素化物引抜剤である。一実施形態では、触媒は、カルボニルエクストラクターである。一実施形態では、触媒は、チタン(IV)化合物、フェナジンメトスルフェート、フェナジンエトスルフェート、1−メトキシフェナジンメトスルフェート、メルドラブルーおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、触媒は、チタン(IV)化合物である。一実施形態では、触媒は、酸化チタン(IV)、硫化チタン(IV)、硝酸チタン(IV)、チタン(IV)アルコキシドおよびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、チタン(IV)アルコキシドは、チタン(IV)イソプロポキシドかまたはチタン(IV)2−エチルヘキシルオキシドである。一実施形態では、触媒はチタン(IV)エトキシドである。
【0182】
一実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、その還元性金属錯体を約100nm〜約1500nmの波長の光源に曝露させることを含む。一実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、その還元性金属錯体を、約100nm〜約1000nmの波長の光源、キセノンランプまたはIRランプに曝露させることを含む。一実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、その還元性金属錯体を、約100nm〜約700nmの波長の光源に曝露させることを含む。一実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、その還元性金属錯体を、約100nm〜約500nmの波長の光源に曝露させることを含む。一実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、その還元性金属錯体を、約100nm〜約300nmの波長の光源に曝露させることを含む。いくつかの実施形態では、基板上の還元性金属錯体を分解して導電性構造物を形成させるステップは、その還元性金属錯体を、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nmまたは約1000nmの波長の光源に曝露させることを含む。
【0183】
一実施形態では、還元剤を添加する前に、還元剤を、溶解剤中に溶解させる。一実施形態では、還元剤を溶解剤に溶解させる前に、還元剤を還元剤と混合する。一実施形態では、還元剤、溶解剤および少なくとも1つの金属塩または金属錯体を同時に加える。
【0184】
一実施形態では、還元性金属錯体は所望の粘度を有する。一実施形態では、その所望の粘度は、microVISC粘度計を使用して得る。一実施形態では、還元性金属錯体は、約50センチポアズ〜約1000センチポアズの粘度を有する。一実施形態では、還元性金属錯体は、約5センチポアズ〜約50センチポアズの粘度を有する。一実施形態では、還元性金属錯体は、約10センチポアズ〜約40センチポアズの粘度を有する。一実施形態では、還元性金属錯体は、約20センチポアズ〜約30センチポアズの粘度を有する。一実施形態では、還元性金属錯体は、約18センチポアズ〜約20センチポアズの粘度を有する。いくつかの実施形態では、還元性金属錯体は、約18、約19または約20センチポアズの粘度を有する。
【0185】
一実施形態では、錯体の粘度を、使用する溶解剤の量にもとづいて調節する。一実施形態では、錯体の粘度を、使用する溶解剤の種類にもとづいて調節する。一実施形態では、錯体の粘度を、使用するジエチルエーテルの量にもとづいて調節する。一実施形態では、ジエチルエーテルの量を増大させると、還元性金属錯体の粘度は増大する。
【0186】
さらに、錯体の粘度を、添加される還元剤の量にもとづいて調節する。より多くの還元剤を使用すると、還元性金属錯体の粘度は増大する。一実施形態では、還元剤の量を増大させることによって、還元性金属錯体の粘度を、1000センチポアズを十分に超えて増大させることができる。一実施形態では、還元剤の量を約0.2mLから約0.6mLへ増大させることによって、還元性金属錯体の粘度を、1000センチポアズを十分に超えて増大させることができる。一実施形態では、より少ない還元剤を使用した場合、還元性金属錯体の粘度は低下する。
インク組成物の用途
【0187】
このインク組成物は、スロットダイコーティング、スピンコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷を含むロールツーロール印刷、ロータリースクリーン印刷、スクリーン印刷、エアロゾルジェット印刷、インクジェット印刷、エアーブラッシング、マイヤーロッドコーティング、フラッドコーティング、3D印刷および電気流体力学的印刷(electrohydrodynamic painting)を含む種々の印刷用途で使用することができる。さらに、特定の領域から金属をエッチングするためのマスクを作り出すために、フォトリソグラフィーを使用してパターンを作り出し、それによって、高忠実度のフィーチャーを作り出すことができる。
【0188】
一実施形態では、この還元性金属錯体は、極性錯体がそれほど十分に湿潤していない多くの非極性ポリマー基板、ガラスおよびセラミック基板と適合する。一実施形態では、還元性金属錯体を、ポリマー基板に塗布する。一実施形態では、還元性金属錯体を、非極性ポリマー基板に塗布する。一実施形態では、還元性金属錯体を、ガラス基板に塗布する。一実施形態では、還元性金属錯体を、セラミック基板に塗布する。
【0189】
さらに、特異的に非平面状のトポグラフィーを有するエラストマーおよび3D基板を導電性構造物と一緒に使用することができる。一実施形態では、還元性金属錯体を、エラストマーに塗布する。一実施形態では、還元性金属錯体を、3D基板に塗布する。
【0190】
導電性構造物の鏡面反射性は、導電性構造物の極端に低いRMS値の副産物である。一実施形態では、導電性構造物のRMS値は、約10ナノメートルまたはそれ未満である。一実施形態では、導電性構造物は、平滑表面を有する基板上で使用される。一実施形態では、導電性構造物は、エレクトロマイグレーションを防止するために、微細なフィーチャーのための電極構造物用に使用される。別の実施形態は、合金から構造フィーチャーを作り出すために用いられる。
【実施例】
【0191】
この導電性構造物の他の使用、実施形態および利点を、以下の実施例でさらに例示するが、これらの実施例において挙げられている具体的な材料および量、ならびに他の条件および詳細が、この導電性構造物を過度に限定するものと解釈されるべきではない。
(実施例1)
【0192】
一実施形態では、約0.5グラムのネオデカン酸銀を、約0.5mLのキシレンと約0.5mLのテルピネオールの混合物中に溶解する。約0.2mLのtert−オクチルアミンを、キシレンおよびテルピネオールに溶解したネオデカン酸銀に添加する。銀錯体は、約18センチポアズ〜約20センチポアズの粘度を有する。より多くのテルピネオールを使用し、より少ないキシレンを使用した場合、錯体の粘度は増大する。より多くのアミンを使用した場合、錯体の粘度は増大する。この錯体の粘度は、過剰のキシレンを使用することによる約5センチポアズから、過剰のテルピネオールを使用することによる約50センチポアズまで調整することができる。tert−オクチルアミンの量を約0.2mLから約0.6mLへ増大させることによって、粘度を、1000センチポアズ超にさらに増大させることができる。
【0193】
銀錯体インクをパターニングして、インクを、約180℃〜約200℃の温度に加熱する。インクをパターニングして約5分後、キシレンおよびテルピネオールは大部分蒸発し、導電性構造物フィルムは黄色になり始める。パターニングして約10〜15分後、フィルムは赤褐色に変わり始める。インクをパターニングして約20〜30分後、フィルムは黒色に変わり始め、次いで、金属性の銀光沢(luster)に変質し、これは最終的にフィルム全体を覆い、それによって、錯体全体が金属導電性構造物へ分解していることが示される。
【0194】
導電性構造物は、約3×10
−6Ω・cm〜約6×10
−6Ω・cmの電気伝導度を有する。導電性構造物の鏡面反射性は、導電性構造物の極端に低いRMS値の副産物である。導電性構造物のRMS値は、約10ナノメートルまたはそれ未満である。
(実施例2)
【0195】
一実施形態では、約0.5グラムのネオデカン酸銀を、約1mLのキシレンに溶解する。0.2mLの2−エチルヘキシルアミンを、キシレン中に溶解したネオデカン酸銀に加える。銀錯体は、約18センチポアズ〜約20センチポアズの粘度を有する。より多くの2−エチルヘキシルアミンを使用した場合、錯体の粘度は増大する。2−エチルヘキシルアミンの量を約0.2mLから約0.6mLへ増大させることによって、粘度を、1000センチポアズ超に増大させることができる。
【0196】
銀錯体インクをパターニングして、インクを、約190℃の温度に加熱する。インクをパターニングして約5分後、キシレンは大部分蒸発し、導電性構造物フィルムは黄色になり始める。パターニングして約10〜15分後、フィルムは赤褐色に変わり始める。インクをパターニングして約20〜30分後、フィルムは黒色に変わり始め、次いで、金属性の銀光沢に変質し、これは最終的にフィルム全体を覆い、それによって、錯体全体が金属導電性構造物へ分解していることが示される。
【0197】
導電性構造物は、約2×10
−6Ω・cm〜約1×10
−5Ω・cmの電気伝導度を有する。導電性構造物の鏡面反射性は、導電性構造物の極端に低いRMS値の副産物である。導電性構造物のRMS値は、約10ナノメートルまたはそれ未満である。
(実施例3)
【0198】
一実施形態では、約0.4グラムのヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀を、約1mLのキシレンに溶解する。約0.2mLのtert−オクチルアミンを、キシレンに溶解したヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀に加える。この銀錯体は、約18センチポアズ〜約20センチポアズの粘度を有する。より多くのtert−オクチルアミンを使用した場合、錯体の粘度は増大する。tert−オクチルアミンの量を約0.2mLから約0.6mLへ増大させることによって、粘度を、1000センチポアズ超に増大させることができる。
【0199】
銀錯体インクをパターニングして、インクを、約160℃の温度に加熱する。インクをパターニングして約5分後、キシレンは大部分蒸発し、導電性構造物フィルムは黄色になり始める。パターニングして約10〜15分後、フィルムは赤褐色に変わり始める。インクをパターニングして約20〜30分後、フィルムは黒色に変わり始め、次いで、金属性の銀光沢に変質し、これは最終的にフィルム全体を覆い、それによって、錯体全体が金属導電性構造物へ分解していることが示される。
【0200】
導電性構造物は、約2×10
−6Ω・cm〜約1×10
−5Ω・cmの電気伝導度を有する。導電性構造物の鏡面反射性は、導電性構造物の極端に低いRMS値の副産物である。導電性構造物のRMS値は、約10ナノメートルまたはそれ未満である。
(実施例4)
【0201】
0.5グラム(0.179mmol)のネオデカン酸銀を、2mLのキシレンに溶解する。この溶液は、6cPsの粘度を有する。0.4mL(2.49mmol)のtert−オクチルアミンを添加すると、溶液の粘度は100cPsに増大した。tert−オクチルアミン(0.8mL超)をさらに添加すると、溶液の完全なゲル化がもたらされ、10000cPsの粘度が得られた。
(実施例5)
【0202】
水素化アルミニウムリチウムを、水素化アルミニウムリチウム対塩化アルミニウムが3:1のモル比で、塩化アルミニウムのエーテル溶液と混合する。水素化アルミニウムリチウムを塩化アルミニウムと混合すると、塩化リチウムが沈殿し、水素化アルミニウムのエーテル溶液が残る。少量のチタン(IV)エトキシドをエーテル溶液に加える。次いで、得られた溶液を140℃で加熱してアルミニウムフィルムを得る。
(実施例6)
【0203】
水素化アルミニウムリチウムを、水素化アルミニウムリチウム対塩化アルミニウムが3:1のモル比で、塩化アルミニウムのエーテル溶液と混合する。水素化アルミニウムリチウムを塩化アルミニウムと混合すると、塩化リチウムが沈殿し、水素化アルミニウムのエーテル溶液が残る。この溶液を180〜200℃に加熱してアルミニウムフィルムを得る。
(実施例7)
【0204】
水素化リチウムを、水素化リチウム対、テトラエチルシランおよび水素化マグネシウムの混合物が4:1のモル比で、テトラエチルシランおよび水素化マグネシウムのエーテル溶液と混合する。水素化リチウムを、テトラエチルシランと水素化マグネシウムの混合物と混合すると、ケイ酸リチウムが沈殿し、水素化マグネシウム錯体のエーテル溶液が残る。少量のチタン(IV)エトキシドをエーテル溶液に加える。次いで、得られた溶液を140℃で加熱してアルミニウム合金を得る。
(実施例8)
【0205】
水素化リチウムを、水素化リチウム対、テトラエチルシランおよび水素化マグネシウムの混合物が4:1のモル比で、テトラエチルシランおよび水素化マグネシウムのエーテル溶液と混合する。水素化リチウムを、テトラエチルシランと水素化マグネシウムの混合物と混合すると、ケイ酸リチウムが沈殿し、水素化マグネシウム錯体のエーテル溶液が残る。次いで、得られた溶液を、180〜200℃で加熱してアルミニウム合金を得る。
(実施例9)
【0206】
水素化アルミニウムリチウムを、水素化アルミニウムリチウム対塩化亜鉛が2:1のモル比で、塩化亜鉛のエーテル溶液と混合する。水素化アルミニウムリチウムを塩化亜鉛と混合すると、塩化リチウムが沈殿し、水素化亜鉛のエーテル溶液が残る。少量のチタン(IV)エトキシドをエーテル溶液に加える。次いで、得られた溶液を140℃で加熱して亜鉛フィルムを得る。
(実施例10)
【0207】
水素化アルミニウムリチウムを、水素化アルミニウムリチウム対塩化亜鉛が2:1のモル比で、塩化亜鉛のエーテル溶液と混合する。水素化アルミニウムリチウムを塩化亜鉛と混合すると、塩化リチウムが沈殿し、水素化亜鉛のエーテル溶液が残る。次いで、得られた溶液を140〜200℃で加熱して亜鉛フィルムを得る。
【0208】
本明細書において本発明を、説明した実施形態と関連させて説明してきたが、添付の特許請求の範囲において定義されるような本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、具体的には説明されていない付加、改変、置換および削除を行うことができることを当業者は理解されよう。したがって、上記詳細な説明は限定ではなく、むしろ、例示とみなされることを意図するものであり、本発明の趣旨および範囲を定義しようとするものは、すべての均等物を含む以下の特許請求の範囲であることを理解されたい。