特許第6599990号(P6599990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599990繊維の混合物を含む複合フィルタ基材を用いる、空気から微粒子を濾過する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599990
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】繊維の混合物を含む複合フィルタ基材を用いる、空気から微粒子を濾過する方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/08 20060101AFI20191021BHJP
   B01D 46/02 20060101ALI20191021BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20191021BHJP
   D04H 13/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   B01D39/08 Z
   B01D46/02 Z
   B01D39/16 A
   D04H13/00
【請求項の数】12
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2017-531357(P2017-531357)
(86)(22)【出願日】2015年12月16日
(65)【公表番号】特表2017-538574(P2017-538574A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】US2015066017
(87)【国際公開番号】WO2016100464
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】14/576,254
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パメラ マリー モリソン
(72)【発明者】
【氏名】ラジーブ チャブラ
(72)【発明者】
【氏名】ダナ ポール グルーエンバッハー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウェスレー モネブレイク
(72)【発明者】
【氏名】スーザン エル.ウィルキング
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−256026(JP,A)
【文献】 特表2007−518898(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0331859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00−39/20
B01D 46/00−46/54
D04H 1/00−18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気から微粒子を濾過する方法であって、
a.室内に空気濾過装置を提供する工程であって、前記装置が、
ファンと、
エアフィルタバッグであって、
第1の成分層であって、
少なくとも2つの異なるデニールを有する成形繊維を含む繊維の混合物であって、前記混合物中の各繊維が、0.7dpf〜7.0dpfのデニールを含む、混合物、
複数の中空突出部及び陥凹領域であって、前記中空突出部が、3mm〜16mmの突出長さと、2mm〜14mmの非突出長さと、0.5mm〜3mmの突出高さとを含み、前記中空突出部及び陥凹領域が、40:60〜60:40の平面領域比を含む、複数の中空突出部及び陥凹領域を含む、第1の成分層
0.9dpf〜2.0のデニールを有する繊維を少なくとも50%含む第2の成分層、
第3の成分層であって、前記第2の成分層が前記第1と第3の成分層の間に配置される第3の成分層、並びに
前記第1の成分層と前記第2の成分層とを連結する複数の連結部であって、前記複数の連結部が繊維の機械的相互貫入を含み、前記エアフィルタバッグが1mm〜3mmの厚みと30gsm〜100gsmの坪量を有する、複数の連結部を含む、
エアフィルタバッグと、を含む、工程と、
b.前記ファンを作動させて7〜150CFMの空気を前記エアフィルタバッグに移動させ、前記エアフィルタを通過した空気の圧力低下4Pa〜25Paである工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ファンが70〜100CFMの空気を前記エアフィルタバッグに移動させ、前記エアフィルタを通過した空気の圧力低下が4Pa〜20Paである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置を少なくとも20分間作動させ、これにより、1マイクロメートル〜10マイクロメートルの微粒子の40%超を前記室内の空気から除去する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記装置が、第1の開口端、第2の開口端、及びこれらの間の空気流路を含む実質的に空気不透過性の外スリーブを更に含み、前記外スリーブがその長手方向軸の周囲で前記エアフィルタバッグを覆う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記装置が作動しているとき、前記第2の開口端から出る一定体積の空気の流出速度が、0.6〜2.6m/sである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の成分層と前記第2の成分層が、水流交絡されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の成分層における前記繊維の混合物が、5.0dpf〜7.0dpfのデニールを有するマルチローバルな深溝付成形繊維を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の成分層における前記繊維の混合物が、1.0dpf〜2.0dpfのデニールを有する不規則な成形繊維を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の成分層が、更に、0.0001dpf〜0.006dpfのデニールを有する繊維を少なくとも5%含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エアフィルタバッグ、0.1m2〜12の空気流表面積を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エアフィルタバッグが、E1粒子では15%超、E2粒子の20%〜70%、及びE3粒子の50〜90%のシングルパス濾過効率を有し、圧力低下が20Pa未満である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の成分層中の前記繊維の混合物が、0.9dpf〜2.0dpfのデニールを有する第1のトリローバル繊維と、2.7dpf〜3.0dpfのデニールを有する第2のトリローバル繊維とを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維の混合物を含む複合フィルタ基材を提供することによって、空気から微粒子を濾過する方法を目的とする。
【背景技術】
【0002】
表面上及び空気中の汚染物質及び微粒子を清浄化及び濾過するための基材は、当技術分野において公知である。におい(例えば、たばこの煙)、揮発性有機化合物(「VOC」)、微生物(例えば、細菌、ウイルス、かび)、及び微粒子(例えば、粉塵)等の汚染物質は、人間が吸入するか又は別の方法で接触したときに有害な効果を有する。微粒子単独では、ヒトの免疫反応を誘発し得る垢、ペットのフケ、チリダニの糞、及びその他の微視的(5マイクロメートル未満のサイズ)微粒子を含む。
【0003】
微粒子の清浄化効率に加えて、消費者は、空気が基材を通過するときの圧力低下が少ないフィルタ基材を望む場合があるが、その理由は、ノイズレベルを低くすることができるためである。ノイズレベルが低いことは、長い空気濾過稼働時間(例えば、1日24時間稼働)を可能にするために消費者にとって魅力的であり得る。清浄化効率が改善されかつノイズが最小である、消費者が入手可能なフィルタ基材を提供するために、当技術分野において様々な努力がなされてきた。しかし、ノイズ及び清浄化効率の改善は、典型的には、製造業者が低コストでフィルタ基材を生産する能力を損なわせる、及び/又はフィルタ基材の消費者が望む別の側面に負の影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、小型/可搬性及び消費者の許容可能なノイズレベル等の消費者に優しい特徴を有すると同時に、空気から微粒子をコスト効率的にかつ改善された効率で除去する、空気濾過装置用の改善されたフィルタ基材が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、空気から微粒子を濾過する方法であって、(a)室内に空気濾過装置を提供する工程であって、前記装置が、ファンと、エアフィルタであって、第1の成分層であって、少なくとも2つの異なるデニールを有する成形繊維を含む繊維の混合物であって、前記混合物中の各繊維が、約0.7dpf〜約7.0dpfのデニールを含む、混合物、複数の中空突出部及び陥凹領域であって、前記中空突出部が、約3mm〜約16mmの突出長さと、約2mm〜約14mmの非突出長さと、約0.5mm〜約3mmの突出高さとを含み、前記中空突出部及び陥凹領域が、約40:60〜約60:40の平面領域比を含む、複数の中空突出部及び陥凹領域を含む、第1の成分層、並びに約0.9dpf〜約2.0のデニールを有する繊維を少なくとも約50%含む第2の成分層、前記第1の成分層と前記第2の成分層とを連結する複数の連結部を含む、エアフィルタと、を含む工程と、(b)前記ファンを作動させて約70〜約150CFMの空気を前記エアフィルタに移動させる工程と、を含む、方法に関する。
【0006】
また、空気から微粒子を濾過する方法であって、(a)室内に空気濾過装置を提供する工程であって、前記装置が、ファンと、エアフィルタバッグであって、第1の成分層であって、少なくとも2つの異なるデニールを有するトリローバル繊維の混合物であって、前記混合物中の各繊維が、約0.7dpf〜約7.0dpfのデニールを含む、混合物、複数の中空突出部を含む、第1の成分層、及び約0.9dpf〜約2.0のデニールを有する繊維を少なくとも約50%含む第2の成分層、及び前記第1の成分層と前記第2の成分層とを連結する複数の連結部を含む、エアフィルタバッグとを、含む、工程と、(b)前記ファンを作動させて、約70〜約150CFMの空気を前記エアフィルタバッグに移動させ、これにより、約1マイクロメートル〜約10マイクロメートルの微粒子の40%超を前記室内の空気から除去する工程と、を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本発明を詳細に指摘し明確に特許請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と併せてなされる以下の説明から、より一層よく理解されると考えられる。
図1】複数の中空突出部を含むフィルタ基材の1つの実施形態の概略斜視図である。
図2図1において点線円「2」によって表されている中空突出部の拡大概略図である。
図3】中空突出部の図2の線3−3に沿った領域の断面図である。
図4】複数の中空突出部及び陥凹領域を含む基材の1つの実施形態の3D画像(GFM MikroCAD光学プロファイラ機器から)である。
図5図4に示す中空突出部の線5−5に沿った断面図のマイクロコンピュータ断層画像である。
図6図6Aは、成形繊維を含む複合フィルタ基材の第1の層の1つの実施形態の拡大図である。図6Bは、6Aにおける点線囲みによって表されている領域の拡大図である。
図7A】ポリプロピレンのトリローバル繊維の1つの実施形態の拡大図である。
図7B】ポリエステルの4つの深溝付繊維の1つの実施形態の拡大図である。
図7C】ビスコースの不規則な成形繊維の1つの実施形態の拡大図である。
図8図4に示す基材の透過光学走査画像である。
図9】中空突出部の断面の透過光学走査画像である。
図10A】複数の中空突出部及び陥凹領域を含む基材の1つの実施形態の3D画像(GFM MikroCAD光学プロファイラ機器から)である。
図10B図10Aにおける線1、2、及び3に沿った中空突出部の突出高さを示すグラフである。
図11A】全て50:50の平面領域比を有する様々な中空突出部パターンを有する基材の様々な実施形態を示す3D画像の二値2D投影(GFM MikroCAD光学プロファイラ機器から)である。
図11B】全て50:50の平面領域比を有する様々な中空突出部パターンを有する基材の様々な実施形態を示す3D画像の二値2D投影(GFM MikroCAD光学プロファイラ機器から)である。
図11C】全て50:50の平面領域比を有する様々な中空突出部パターンを有する基材の様々な実施形態を示す3D画像の二値2D投影(GFM MikroCAD光学プロファイラ機器から)である。
図12A】全て40:60の平面領域比を有する様々な中空突出部パターンを有する基材の様々な実施形態を示す3D画像の二値2D投影(GFM MikroCAD光学プロファイラ機器から)である。
図12B】全て40:60の平面領域比を有する様々な中空突出部パターンを有する基材の様々な実施形態を示す3D画像の二値2D投影(GFM MikroCAD光学プロファイラ機器から)である。
図13図13Aは、円形スパンボンドポリプロピレン、円形ナノポリプロピレン、及び円形メルトブローンポリプロピレン繊維を含む複合フィルタ基材の第2の層の1つの実施形態の拡大図である。図13Bは、13Aにおける点線囲みによって表されている領域の拡大図である。
図14】中空突出部の突出高さを計算するためのフローチャートである。
図15】低及び高デニールのトリローバル繊維と円形ビスコース繊維とを含む成分層によって捕捉された汚れを示す拡大図である。
図16】高デニールのトリローバル繊維と4DG(商標)繊維とを含む成分層によって捕捉された汚れを示す拡大図である。
図17】円形ナノ繊維と円形ポリプロピレンスパンボンドと円形メルトブローン繊維とを含む成分層によって捕捉された汚れを示す拡大図である。
図18】本発明に係る空気濾過装置の1つの実施形態を示す。
図19図18の空気濾過装置の断面図を示す。
図20図18の空気濾過装置の分解図を示す。
図21】装置の基部のみ(すなわち、外スリーブ、エアフィルタ、及び関連部品が取り外された装置)を示す、図19の装置の断面図を示す。
図22図21の基部の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
「空気流表面積(air flow surface area)」とは、本明細書で使用するとき、空気が基材を通過する透過可能面積(permeable area)を意味する。この空気流表面積は、折り目もひだもない単一の平面上に基材を平らに置き(基材が袋又は三次元形体になっている場合、平らに置くために基材を切断しなくてはならない)、次いで、総表面積を測定することによって測定される。測定された空気流表面積は、エアフィルタの同部分を空気流が通過するのを物理的又は化学的バリア(例えば、フィルタの縁部における構造又はコーティング)が妨げる領域を全く含まなくてもよい。
【0009】
「坪量」とは、本明細書で使用するとき、一般的にグラム/平方メートル(「gsm」又は「g/m2」)で表される、基材の単位面積当たりの質量を指す。坪量は、典型的には、標準試験法であるISO 9073−1:1989「Test methods for nonwovens−−Part 1:Determination of mass per unit area」を用いることによって測定される。
【0010】
「デニール」とは、本明細書で使用するとき、フィラメント/繊維の繊度を示すために用いられる単位を指す。この単位は、長さ9000メートル当たりのグラムでフィラメント/繊維の質量を表す。本明細書で使用するとき、繊維質材料に関して、デニールは、繊維又はフィラメント当たりのデニール、又は単に「dpf」と表され、典型的には、多くのフィラメントの数値平均である。公知の繊維密度及び断面積では、デニールは、[繊維密度(キログラム/立方メートル)×断面積(平方メートル)×9000リニアメーターの長さ×1000(グラム/キログラム)]として計算することができる。
【0011】
「密度」とは、本明細書で使用するとき、繊維、ボイド、又はその中の任意の添加剤を含む繊維質基材のバルク密度を意味する。バルク密度(又は単に基材の密度)は、基材の質量(又は基材の断面)を基材の総体積(又は質量を考慮するそれぞれの断面)で除することから計算される。基材の総体積は、基材が占有する面積及びその厚みを含む。長さ、幅、及び厚みを有する基材の矩形断面については、総体積は、基材の長さ、幅、及び厚みを乗じることによって計算することができる。基材の密度は、キログラム/立方メートル(kg/m3)として表される。
【0012】
「高デニール繊維」は、本明細書で使用するとき、少なくとも約2.2dpfのデニールを有する繊維を意味する。
【0013】
「中空突出部」とは、本明細書で使用するとき、構造の外表面を画定し、繊維質材料の少なくとも2層の複合層間に体積を有する、これら2層によって形成される巨視的三次元構造を意味する。巨視的三次元構造は、観察者の眼と基材の平面との間の垂直距離が約30センチメートル(12インチ)であるとき、肉眼で容易に見ることができる。言い換えれば、本発明の三次元構造は、シートの一方又は両方の表面が複数の平面に存在し、前記構造を約30センチメートル(12インチ)から観察するとき、これら平面間の距離が肉眼で観察可能であるという点で、非平面である基材である。「中空突出部」に適した例えは、気泡シートにみられる巨視的三次元構造である。「中空突出部」の内部体積は、実質的に中空であってもよく(すなわち、その外側繊維層によってのみ画定される)、又は部分的に繊維が充填されていてもよい(すなわち、その外側層間の体積の一部が幾つかの繊維に占有されている)。
【0014】
「層」とは、本明細書で使用するとき、その一次寸法がX−Yである、すなわち、その長さ及び幅に沿っている、基材のメンバー又は構成要素を指す。層という用語が必ずしも材料の単一層又はシートには限定されないことを理解すべきである。したがって、層は、必要な種類の材料の幾つかのシート又はウェブの複合体又は組み合わせを含み得る。したがって、用語「層(layer)」は、「層(layers)」及び「層状(layered)」を含む。
【0015】
「低デニール成形繊維」は、本明細書で使用するとき、最高1.2dpfのデニールを有する成形繊維である。
【0016】
「不織布」は、本明細書で使用するとき、個々の繊維又は糸が入り組んでいるが、織布又は編布(後者の種類は、典型的には、ランダムに配向された又は実質的にランダムに配向された繊維を有しない)のような繰り返しパターンではない構造を有するウェブを指す。
【0017】
「ランダムに分布している」とは、本明細書で使用するとき、不織布の厚み(z方向)を横断し、貫く特定の方向を全く優先することなく繊維が配向されることを意味する。ランダムに分布している繊維は、何らかの配向を有していてよく、任意の2つ以上の隣接する繊維がランダムな配向を有していてもよい。指向性配向に加えて、ランダムに分布している繊維は、また、特定の間隔距離を全く優先することなく、互いにランダムな距離だけ離間している。
【0018】
「成形繊維」とは、本明細書で使用するとき、円形ではない断面を有する繊維を指す。成形繊維は、デルタ形状、マルチローバル形状、及びこれらの外面上に毛管チャネルを含むような形状を含む様々な非円形の断面形状であってよい。毛管チャネルは、「U字形」、「H字形」、「C字形」、及び「V字形」等の様々な断面形状であってよい。1つの毛管チャネル繊維は、Fiber Innovation Technologies(Johnson City,TN,U.S.A.)から入手可能な、4つの深溝付繊維と呼ばれるT−401(ポリエチレンテレフタレート繊維)である。成形繊維は、中実であっても中空であってもよい。
【0019】
「比表面積」は、本明細書で使用するとき、基材の繊維の単位質量当たりの表面積を意味する。それは、一般的に、繊維1g当たりの平方メートル(m2/g)で表される。
【0020】
「熱可塑性」とは、本明細書で使用するとき、熱に曝露したときに剪断下で実質的に流動し、室温又は実質的にその融点を下回るまで冷却したときにその元の状態又は固体状態に戻るポリマーを指す。熱可塑性材料の例としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリ乳酸等のポリエステル、ポリビニル、ポリアミド、スチレンポリマー及びコポリマー、並びにアクリル、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
複合繊維基材
本発明は、繊維の混合物を含む複合フィルタ基材を提供することによって、空気から微粒子を濾過する方法を目的とする。
【0022】
図1〜3を参照すると、本発明の複合フィルタ基材10は、複数の成分層から形成されている。フィルタ基材10は、第1の面20及び第2の面30を有し、シート、袋、又は微粒子を濾過するか若しくは表面を清浄化するのに好適な任意の形状になっていてよい。図1は、フィルタバッグに成形された複合フィルタ基材10の1つの実施形態を示す。
【0023】
図2及び3を参照すると、基材10は、少なくとも第1の成分層100及び第2の成分層200から形成される。異なる構造であるか、又は第1の成分層若しくは第2の成分層と同じ構造から形成される追加の成分層が含まれていてもよい。図3では、第3の成分層300が示されている。基材10は、基材の第1の面10又は第2の面20上に中空突出部110及び陥凹領域120を含んでいてよい。
【0024】
図4を参照すると、基材10は、x−y−z寸法を有し、x−yは、基材の第1の面20及び第2の面30の平面を含み、zは、x−y平面に対して垂直な方向又は基材の厚みを貫く方向である。基材の厚みは、中空突出部110の高さと同じ方向である。
【0025】
本発明の基材10及び成分層は、織布又は不織布材料の構造を含む。不織布材料は、型、特にベルト上に置かれた溶融材料又は固体材料を用いる成形作業を用いて、及び/又は繊維上で実施される機械的作用/加工を含む成形作業によって作製することができる。成分層は、任意の好適な種類の不織布材料を含んでいてよい。好適な種類の不織布材料としては、エアレイド;湿式;カード式水流交絡、カード式スルーエアボンド、及びカード式ニードルパンチを含むカード式;スパンレイドニードルパンチ;メルトブローン;スパンボンド;及びスパンレイド水流交絡不織布;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。織布は、織り又は編み等の標準的な布地作製プロセスを用いて作製することができる。成分層は、任意の好適な種類の織布材料を含んでいてよい。好適な種類の織布材料の非限定的な例としては、斜文織、破れ斜文織、平織、ドリル織、繻子織、平畳織、綾畳織、逆畳織、蜂巣織、斜子織、縦編み、横編み、及びこれらの組み合わせが挙げられる。織布材料は、フィルタ基材において汚れを捕捉するのに利用可能な比表面積を増加させるために、ニードルフェルト織り又は水流交絡されていてもよい。織布材料を作製するために用いられる糸は、単繊維であっても多繊維であってもよい。糸は、織布材料におけるフィラメントの耐久性及び表面積を増大させるために「S」又は「Z」撚りしてよい。
【0026】
基材10の坪量は、最低で約30gsm〜最大で約200gsm、又は約30gsm〜約100gsm、又は約45gsm〜75gsm、又は約50gsm〜約70gsm、又は約50gsm〜約60gsmであってよい。
【0027】
基材10を形成するために用いられる繊維は、天然繊維、例えば、木材パルプ、綿、羊毛等に加えて、生分解性繊維、例えば、ポリ乳酸繊維;並びに合成繊維、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(「PP」)及びPPコポリマー、ポリエチレン(「PE」)及びPEコポリマー)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、並びにこれらの混合物、ブレンド、及びコポリマーを含む熱可塑性繊維;合成ポリマー及び繊維の二成分又は多成分の組み合わせ;並びに合成セルロース誘導体(例えば、ビスコースレーヨン、リオセル)、酢酸セルロース、及びこれらの組み合わせを含む材料であってよい。繊維の疎水性又は親水性の程度は、濾過される微粒子の種類、添加剤が存在する場合に提供される添加剤の種類、生分解性、入手可能性、及びこのような検討事項の組み合わせのいずれかの観点で、シートの所望の目的に応じて最適化される。一般に、より生分解性の高い材料は親水性であるが、より有効な材料は疎水性であり得る。
【0028】
繊維は、フィラメントとも呼ばれる連続繊維であってもよく、又は約15mm〜約70mm、又は約25mm〜約60mm、又は約30mm〜約50mmの長さを有する短繊維であってもよい。
【0029】
基材10は、80kg/m3未満、又は約70kg/m3未満、又は10kg/m3〜約60kg/m3の密度を有していてよい。60gsmの水流交絡基材の実施形態では、約20〜約60kg/m3の密度を提供することができる。
【0030】
基材10の成分層における繊維は、異なる密度の2つ以上の領域、例えば、低密度領域及び高密度領域に配置してよい。低密度領域は、約40kg/m3未満、又は約10kg/m3〜約40kg/m3、又は約20kg/m3〜約35kg/m3の密度を有していてよい。高密度領域は、約30kg/m3超、又は約30kg/m3〜約80kg/m3、又は約35kg/m3〜約70kg/m3の密度を有していてよい。高密度領域と低密度領域との密度の比は、約2.5未満、又は約1.1〜約2.0、又は約1.25〜約2.0であってよい。低密度領域は、空気流表面積の約20%〜約80%、又は約30%〜約70%、又は約40%〜約60%、又は約45%〜約55%を占有し得る。高密度領域は、空気流表面積の約20%〜約80%、又は約30%〜約70%、又は約40%〜約60%、又は約45%〜約55%を占有し得る。空気流表面積の約50%を占有する低密度領域は、約37kg/m3の密度を有し得、空気流表面積の約50%を占有する高密度領域は、約45kg/m3の密度を有し得る。
【0031】
典型的には、低密度領域は、フィルタ基材10よりも高い坪量を有し、一方、高密度領域は、フィルタ基材よりも低い坪量を有する。低密度領域は、基材の平均坪量よりも約1%〜約20%、又は約1%〜約10%、又は約1%〜約5%高い坪量を有し得る。高密度領域は、基材の平均坪量よりも約1%〜約20%、又は約1%〜約10%、又は約1%〜約5%低い坪量を有し得る。高及び低密度領域の密度及び坪量は、本明細書に記載の方法を用いて測定することができる。60gsmの基材では、低密度領域は、約60.6gsm〜約66gmsの坪量を有し得、高密度領域は、約59.4gsm〜約54gsmの坪量を有し得る。
【0032】
低密度及び高密度領域は、互いに隣接して配置してよい。2つの密度領域における成分層のこの配置によって、空気濾過装置においてエアフィルタ効率が良好でありかつ圧力低下が低い不織布を得ることができる。これは、繊維が厚み全体に広がるためより多くの空気流経路が得られ、その結果、繊維間の接触が減少し、粒子を捕捉するために利用可能な繊維表面積が広くなるためである。このような高及び低密度領域は、複合層を水流交絡して、図4に示す通り、中空突出部110(例えば、低密度領域)及び陥凹領域120(例えば、高密度領域)を形成することによって形成することができる。図5に示す通り、中空突出部110は、同じ材料組成の中空突出部及び陥凹領域パターンを有しない基材と比べて、空気濾過装置で用いたとき、基材10の圧力低下を少なくすることができる開口領域130を含む。
【0033】
基材10における繊維は、約50m2/g超、又は約75m2/g〜約600m2/g、又は約100m2/g〜約400m2/g、又は約100m2/g〜約200m2/gの比表面積を有し得る。基材の比表面積は、本明細書に記載の方法を用いて測定することができる。60gsmの水流交絡材料では、成分層の繊維は、約120m2/g〜約150m2/gの比表面積を有し得る。より大きな比表面積によって、汚れ粒子を捕捉するために提供される表面がより大きくなり、それによって、粒子捕捉効率が増大する。
【0034】
成分層は、複合フィルタ基材10を形成するために層間を複数の連結部を用いて一体化させてよい。このような連結部は、第1の成分層100及び第2の成分層200(水流交絡、又はニードルパンチング、又は縫製、又は任意の他の機械的交絡プロセスを介して形成してよい)からの繊維の機械的相互貫入;熱接着、スルーエアボンド、圧着、超音波接着、高周波接着、レーザー接着を介した融着;接着剤又は結合剤を介した接着;並びにこれらの組み合わせを含み得る。
【0035】
本発明の成分層は、空気濾過装置で用いられるとき、圧力低下を低く維持しながら粒子捕捉効率を強化するパターンで中空突出部110を形成するために一体化させてよい。成分層を一体化させる1つの方法は、開口パターン化領域を有するか又は水流交絡中に成分層が積層されるパターンベルト又はパターンドラムを用いて水流交絡することである。水流交絡の際、開口領域130は、中空突出部110を形成する繊維を保持する。パターン化水流交絡の詳細な方法は、米国特許出願公開第2001/0029966号に開示されている。
【0036】
低密度中空突出部110及び高密度陥凹領域120を形成する他の好適な方法は、成分層の少なくとも1つにこのような領域を形成し、続いて、本発明の成分層を一体化させることを含み得る。低及び高密度領域を有する1つ以上の成分層は、開口パターン化領域を有するパターンベルト又はドラム上でカーディング又はスパンレイド又はエアレイド又は湿式プロセスによって;クレーピング;コルゲーション;伸縮積層;ケーブル編み又は任意の他の好適なパターン等の編み;能動機械的変形;及びこれらの組み合わせによって形成し得る。1つ以上の成分層の能動機械的変形の好適な方法は、米国特許第7,682,686号(Curroら)、米国特許出願公開第2012/0064280号(Hammonsら)、及び米国特許出願公開第2006/0234586号(Wongら)に開示されている。伸縮積層の好適な方法は、米国特許第5,143,679号(Weberら)及び同第5,628,741号(Buellら)に開示されている。クレーピング法の例は、国際公開第1997019808号(Diazら)及び米国特許第6,835,264号(Sayovitzら)に開示されている。コルゲーション法の例は、米国特許第5,753,343号(Braunら)に開示されている。
【0037】
基材10は、総体積の少なくとも約15%が約50μm未満の半径の孔であり、総体積の少なくとも約40%が約50μm〜約100μmの半径の孔であり、総体積の少なくとも約10%が約200μm超の半径の孔である、孔体積分布(「PVD」)を有し得る。あるいは、基材10のPVDは、総体積の少なくとも約15%又は約15%が約50μm未満の半径の孔であってもよく、総体積の少なくとも約40%が約50μm〜約100μmの半径の孔であり、総体積の少なくとも約25%が約100μm〜約200μmの半径の孔であり、総体積の約15%未満又は約10%〜約15%が約200μm超の半径の孔である。あるいは、基材10のPVDは、総体積の少なくとも約25%が約50μm未満の半径の孔であってもよく、総体積の少なくとも約45%又は約45%が約50μm〜約100μmの半径の孔であり、総体積の約15%未満又は約15%が約100μm〜約200μmの半径の孔であり、総体積の約10%未満が約200μm超の半径の孔である。
【0038】
基材10は、約0.1m2〜約1m2(約1.08ft2〜約10.76ft2)、又は約0.1m2〜約0.6m2(約1.08ft2〜約6.46ft2)、又は約0.15m2〜約0.5m2(約1.61ft2〜約5.38ft2)、又は約0.2m2〜約0.4m2(約2.15ft2〜約4.31ft2)の空気流表面積を有し得る。より空気流表面積の大きな基材を使用することによって、空気濾過装置で用いるとき、圧力低下をより少なくすることができる。これにより、所与の量の電力について、ファンからの空気流量(すなわち、立方フィート/分(「CFM」)の空気流)を増加させることが可能になる。また、空気流表面積が広いほどファンが必要とする電力が低下するため、装置の静音化も可能になる。
【0039】
基材10は、約0.5mm〜約10mm、又は約1mm〜約5mm、又は約1mm〜約3mmのz方向の厚みを有し得る。
【0040】
基材10は、任意選択的に、微粒子の除去を改善するための処理剤/添加剤、例えば、抗菌剤、抗ウイルス剤、又は抗アレルゲン剤;イオン性及び非イオン性の界面活性剤;湿潤剤;過酸化物;イオン性及び非イオン性のポリマー;金属塩;金属及び金属酸化物触媒(例えば、ZPT、Cu、Ag、Zn、ZnO);pH緩衝剤;酵素、天然成分、及びこれらの抽出物を含む生物剤;着色剤;並びに香料を含んでいてもよい。また、処理剤は、ビタミン、薬草系成分、又はその他の鼻、咽頭及び/又は肺用の治療用又は医療用活性剤を含み得ることも考えられる。また、基材10は、においの除去及び/又は低分子(VOC等)の捕捉を助けるための導電性材料及び/又は炭素粒子を含み得る。
【0041】
複合フィルタ基材10は、全ての粒径の浮遊微粒子について空気濾過効率を改善することができる。
【0042】
第1の成分層
第1の成分層100(又は「第1の層」)は、ランダムに分布し得る繊維の混合物を含む。繊維の混合物は、異なる形状(断面積);サイズ(すなわち、デニール);材料、及び/又は異なる化学的性質を有する繊維を含み得る。繊維の混合物は、少なくとも2つの異なるデニール及び同じ形状、又は少なくとも2つの異なるデニール及び少なくとも2つの異なる形状を有していてよい。
【0043】
第1の成分層100における繊維は、約0.7dpf〜約7.0dpf、又は約0.7dpf〜約6.0dpf、又は約0.7dpf〜約4.0dpfのデニールを含んでよい。繊維は、低デニール及び高デニール繊維を含み得る。低デニール繊維は、スプリット繊維の分解から得られ得る。例えば、スプリット繊維は、例えば、水流交絡又は繊維質構造の機械的変形の任意の他の形態の場合、個々の低デニール繊維に分割され得る。スプリット繊維は、ホモポリマーであろうと、コポリマーであろうと、これらの混合物であろうと、異なるポリマーの少なくとも2本の糸、例えば、2〜14本の糸で構成され得る。繊維の分割は、繊維のデニールを、例えば、元のデニールの10分の1、又は更には元の繊維のデニールの20分の1に低減してよい。
【0044】
図6A及び6Bは、第1の成分層において異なる形状及びサイズを有する繊維の拡大図を示す。低デニール成形繊維は、約0.6dpf〜約1.2dpf、又は約0.7dpf〜約1.1dpf、又は約0.8dpf〜約1.1dpf、又は約0.8dpf〜約1.0dpf、又は約0.9〜約1dpfの範囲のデニールを有し得る。繊維が複数の糸又はフィラメントに分割される場合、低デニール繊維は、約0.01dpf〜約0.5dpf、又は約0.05dpf〜0.25dpf、又は約0.05dpf〜約0.1dpfの範囲のデニールを有し得る。高デニール繊維は、約2.2dpf〜約6dpf、又は約2.5dpf〜約5dpf、又は約2.8dpf〜約4.5dpf、又は約2.8dpf〜約3.0dpfの範囲のデニールを有し得る。他の繊維デニールが含まれていてもよい。
【0045】
繊維は、中実であっても中空であってもよい。存在する場合、繊維における中空領域は、単数であっても複数であってもよい。中空又は中実繊維は、断面が円形であっても、成形されていてもよい。成形繊維は、捕捉の表面積を増加させるために機械的若しくは化学的手段を用いて又は自然に、その場で紡ぐか又は作製してよい。成形繊維は、様々なマルチローバル形状を含んでよく、例えば、最も一般的にみられるのはトリローバル成形繊維である。約3.0dpfのデニールを有する1つのトリローバル繊維を図7Aに示す。他のマルチローバル成形繊維としては、バイローバル、クアトロローバル成形繊維が挙げられる。また、成形繊維は、デルタ形状、凹状デルタ形状、三日月形状、楕円形状、星形状、台形状、四角形状、菱形状、U字状、H字状、C字状、V字状、マルチローバル深溝付(又は深いチャネル付)繊維、例えば、図7Bに示す6.0dpfの4DG(商標)繊維若しくは少なくとも32個の深いチャネルを有するWinged Fibers(商標)、例えば、図7Cに示す1.5dpfのビスコース不規則成形繊維等の不規則成形繊維、又はこれらの組み合わせも含み得る。4DG(商標)繊維等のマルチローバル深溝付繊維は、398 Innovation Drive,Johnson City,TN,U.S.A.に位置するFiber Innovation Technology,Inc.から得ることができる。同様に、Winged Fibers(商標)は、Allasso Industries(Morrisville,NC,U.S.A.)から得ることができる。成形繊維は、前述の成形繊維の任意の組み合わせを含み得る。
【0046】
また、繊維は、1成分超のポリマーを含む多成分繊維(中実又は中空)であってもよい。多成分繊維、一般に、二成分繊維は、サイドバイサイド型、シース/コア型、分割パイ型、リボン型、又は海島型の構成であってよい。シースは、コアの周囲で連続であっても不連続であってもよい。
【0047】
例えば、基材の弾力性及びロフト、粉塵負荷の増大、及び/又は圧力低下の減少(空気が容易に通過することを介して)のために、けん縮繊維を使用してもよい。けん縮繊維は、平面状、ジグザグ、又はらせん状、又は回旋けん縮であってよい。
【0048】
低デニール成形繊維及び高デニール成形繊維は、同じ形状を有していてよい。例えば、低デニール成形繊維及び高デニール繊維は、トリローバル成形繊維であってよい。あるいは、低デニール成形繊維は、トリローバル成形繊維であってよく、高デニール繊維は、円形繊維であってよい。1つ超のサイズの各繊維形状が第1の成分層に含まれていてもよい。
【0049】
好適な低デニール熱可塑性成形繊維の例としては、FiberVisions(7101 Alcovy Road Covington,GA,U.S.A.30014)によって供給される1% TiO2(w/w)を含むトリローバルPP短繊維(0.9dpf、長さ38mm)、又はFiberVisions(7101 Alcovy Road Covington,GA,U.S.A.30014)によって供給される0.5% TiO2(w/w)を含むトリローバルPP短繊維(1.17dpf、38mm)が挙げられる。
【0050】
好適な高デニール熱可塑性繊維の例としては、FiberVisions(7101 Alcovy Road Covington,GA,U.S.A.30014)から供給される1% TiO2を含むトリローバルPP短繊維(3.0dpf、長さ38mm)、又はMaerkische Faser GmbHから供給される0.22% TiO2を含む円形PE短繊維(3.0dpf、38mm)、又はMaerkische Faser GmbH(Grisuten str.13,14727 Premnitz,Germany)から供給される0.22% TiO2を含むトリローバルポリエステル短繊維(2.5デニール、38mm)、又はFiber Innovation Technology,Inc.(398 Innovation Drive,Johnson City,TN,U.S.A.37604)から供給される4DG(商標)PET短繊維(6.0dpf、38mm)が挙げられる。
【0051】
第1の成分層100における繊維は、約25%〜約100%、又は約50〜約100%、又は約65%〜約100%、又は約65%〜75%の、約0.7dpf〜約7.0dpf、又は約0.7dpf〜約4.0dpf、又は約0.9dpf〜約3.0dpfのデニールを有する熱可塑性成形繊維を含んでいてよい。
【0052】
第1の成分層100における繊維の混合物は、第1の成分層100上に中空突出部110及び陥凹領域120を形成するために、水流交絡を含む任意の公知のプロセスによって不織布を形成し得る。このような水流交絡基材は、図5に示す通り、開口領域130を有する中空突出部110と陥凹領域120とを提供する。第1の成分層の不織布又は織布材料を形成する他の好適な方法は、上記の通りである。
【0053】
次に、図8を参照すると、第1の成分層100の中空突出部110は、高坪量低密度領域を形成し得るが、陥凹領域120は、低坪量高密度領域を形成し得る。中空突出部110は、第1の成分層における領域110及び120の坪量を単独で測定したとき、陥凹領域120の坪量よりも約1.1倍〜約5倍、又は1.1倍〜約3倍、又は1.1倍〜約2倍高い坪量を有し得る。第1の成分層における領域110及び120の坪量を他の成分層と合わせて測定したとき、中空突出部110は、陥凹領域120の坪量よりも約1.01〜約1.6、又は1.05〜約1.5、又は約1.1〜約1.3倍高い坪量を有し得る。坪量の比は、本明細書に記載の方法を用いて測定することができる。
【0054】
次に、図9を参照すると、各中空突出部110は、突出長さ112及び非突出長さ114を含む。突出長さの非突出長さに対する比は、約98:2〜約50:50、あるいは約95:5〜約50:50、あるいは約80:20〜約60:40である。中空突出部は、約3mm〜約16mm、又は約4m〜約10mm、又は約5mm〜約8mmの突出長さ112を有する。非突出長さ114は、約2mm〜約14mm、約3mm〜約9mm、又は約4mm〜約7mmの長さを有し得る。図4、5、及び9の実施形態では、中空突出部110は、約5mm〜約7mmの突出長さ、及び約4.5〜約5.5mmの非突出長さを有する。
【0055】
次に、図10A及び10Bを参照すると、各中空突出部110は、約0.5mm〜約5mm、又は約0.5mm〜約3mm、又は約0.7mm〜約2mmの突出高さを有し得る。中空突出部110は、約0.8mm〜約1.3mm、又は約1.0mm〜約1.2mmの突出高さを有し得る。中空突出部の高さは、本明細書に記載の方法を用いて測定することができる。
【0056】
陥凹領域120は、図4に示す通り、基材10の一面上のX−Y寸法に連続パターンを形成し得る。連続パターンは、約0.25mm〜約10mm、又は約1mm〜約8mm、又は約2.5mm〜約2mmの範囲の幅を有する陥凹領域120の狭いチャネルを含み得る。
【0057】
中空突出部110は、陥凹領域120の連続パターン内部にパターンで形成され得る。本明細書に概説する平面領域比試験下で測定したときの第1の層100の突出面の中空突出部と陥凹領域との比である平面領域比は、約20:80〜約80:20、又は約30:70〜約70:30、又は約40:60〜約60:40、又は約40:60〜約50:50、又は約50:50である。例示的なパターン及び平面比を図11A〜C並びに12A及びBに示す。
【0058】
第1の成分層100の坪量は、最低で約15gsm〜最大で100gsm、又は約15gsm〜約75gsm、又は約20gsm〜60gsmであり得る。実施形態では、坪量は、約30gsm〜40gsmの範囲である。
【0059】
第2の成分層
第2の成分層200(又は「第2の層」;業界ではキャリアウェブとしても知られている)は、第1の成分層に含まれる任意の繊維及び/又は当該技術分野において公知の他の繊維の種類を含み得る。第2の成分層は、1つのサイズの繊維、又は少なくとも2つの異なるサイズの繊維の混合物を含み得る。
【0060】
第2の成分200層における繊維は、約0.0001dpf〜最大で約10dpf、又は約0.0001dpf〜約7.0dpf、又は約0.0015dpf〜約2.0dpfのデニールを有し得る。
【0061】
第2の成分層200は、約0.0001dpf〜約0.006dpf、又は約0.0015dpf〜約0.005dpf、又は約0.0015dpf〜約0.003dpf、又は約0.0015dpf〜約0.0018dpfのデニールを有するナノ繊維を含み得る。ナノ繊維は、約0.01dpf未満のデニールを有し得る。例えば、PPナノ繊維については、デニールは、一般的に、約0.0063dpf未満であり;又はポリエステルナノ繊維については、デニールは、一般的に、約0.0098約dpf未満であり;又はナイロン6,6ナノ繊維については、デニールは、一般的に、約0.0082dpf未満である。あるいは、丸形又は円形断面を有するナノ繊維は、1マイクロメートル以下の直径を有し得る。ナノ繊維を作製する好適な方法は、メルトブロー、溶融フィルムフィブリル化、電界紡糸、強制紡糸、エレクトロブロー、繊維スプリット加工、海島型、又はこれらの組み合わせである。溶融フィルムフィブリル化を用いてナノ繊維を作製する好適な方法は、米国特許第8,512,626号に記載されている。好適なナノ繊維は、Polymer Group,Inc.(Charlotte,NC)製のArium(登録商標)である。
【0062】
繊維は、円形又は成形繊維、例えば、トリローバル、六角形、リブ付き、リボン付き等、及びこれらの組み合わせであってよい。このような繊維は、本明細書における基材の粉塵捕捉能を強化することができる。図13A及び13Bは、第2の成分層で用いられる円形ナノ繊維を示す。
【0063】
第2の成分層は、約0.9dpf超、又は約0.9dpf〜約7.0dpf、又は約0.9dpf〜約3.0dpf、又は約0.9dpf〜約2.0dpfのデニールを有する繊維を少なくとも50%含み得る。第2の成分層は、上述のデニールのいずれかを有する繊維を少なくとも50%、及び約0.0063dpf未満、又は約0.0001dpf〜約0.006dpfのデニールを有するナノ繊維としての繊維を少なくとも5%含み得る。
【0064】
第2の成分層として使用するのに好適な多層不織布ウェブの例としては、スパンボンド(「S」)、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(「SMS」)、若しくはスパンボンド/メルトブロー/ナノ繊維/スパンボンド(「SMNS」)多層構造、又はこれらの組み合わせが挙げられる。第2の成分層として使用するのに好適な不織布ウェブの追加の非限定的な例は、カード式熱接着、カード式スルーエアボンド、カード式ニードルパンチ、カード式水流交絡、カード式樹脂接着等のカード式;湿式;エアレイド;又はこれらの組み合わせを含む。また、第2の成分層を形成するために織布材料を用いてもよい。第2の成分層に好適な織布材料は、複合フィルタ基材の項に上記した。
【0065】
第2の成分層200の坪量は、最低で約5gsm〜最大で50gsm、又は約5gsm〜約25gsm、又は約7.5gsm〜20gsmであってよい。実施形態では、坪量は、約10gsm〜約15gsmの範囲である。
【0066】
第2の成分層200は、第1の成分層と合わせてもよく、又は第1の成分層100及び任意選択的に第3の成分層300と合わせてもよい。実施形態では、第2の成分層200は、第1の成分層100及び第3の成分層300を含む2つのカード層間に挟まれてもよい。次いで、層を水流交絡して基材10を形成してよい。
【0067】
SMNS層として第2の成分層を作製する好適な方法は、米国特許第8,716,549号に記載されている。
【0068】
第2の成分層200は、約80kg/m3〜約150kg/m3、又は約100kg/m3〜約150kg/m3、又は約100kg/m3〜約130kg/m3の密度を有し得る。
【0069】
第1及び第2の成分層に加えて、基材は、第1及び/又は第2の層に連結されている追加の層を含み得る。基材は、第1及び第3の成分層が同じ繊維混合物から形成されている第1、第2、及び第3の成分層を含み得る。
【0070】
微粒子を濾過する方法
本明細書に記載するフィルタ基材10は、表面上又は空気中の粉塵、汚れ、微粒子、及び/又はアレルゲンの捕捉又は最小化において用いるために任意の構成にしてよい。フィルタ基材のこのような使用は、2014年5月7日出願の米国特許出願第14/273,594号に記載されている空気濾過装置において用いられるように構成されたエアフィルタバッグを含む。
【0071】
基材10を空気濾過装置で用いる場合、基材は、空気流が第2の成分層200を通過する前に第1の成分層100に接触し、最後に、基材を構成する追加の任意層に接触するように配向してよい。基材10は、中空突出部110及び陥凹領域120によって作製されるパターンが見えることが望ましい場合、逆に配向してもよい(すなわち、空気が第1の成分層と最後に接触する)。
【0072】
図18〜22を参照すると、基材10は、空気濾過装置410と共に使用するためのエアフィルタバッグ450に構成される。装置410は、電動式ファン440を安定させるために任意の公知の材料で構築された基部420を含んでいてよい。基部420は、ファン筐体430と、ファン筐体を支持し、かつ空気入口が基部の下側に配置される場合にファン筐体を支持面から引き上げて空気入口422への空気の流れを促進する脚部432とを含んでいてよい。基部420は、部品の重量を低減するために、脚部432と合わせて、高さ約5cm〜約10cm及び直径約20cm〜約30cmであってよい。基部420は、基部の第1の側423に空気入口422、及び基部の第2の側425に空気出口424を有する。幾つかの実施形態では、基部420は、空気入口422及び空気出口424に対応するグリルカバー426a、426bと、任意選択的に、大きな粒子(例えば、毛髪)を濾過してファンを清潔に保つためのファンプレフィルタ442及びファンカバー444とを含んでいてよい。
【0073】
基部420は、エアフィルタ450の取り付けを可能にする第1の段差436と、外スリーブ480を取り付けるための第2の段差438とを備えるテーパ状の覆い434を有していてもよい。第2の段差438は、第1の段差436を周方向に取り囲むように基部420の覆い434の下方に存在し得る。覆い434は、頂部の直径が約16cm〜約25cmであり得、下方に向かうにつれて約20cm〜約30cmへと広がる。
【0074】
ファン440は、一定体積の流入空気を基部の空気入口422へと引き込んで空気出口424から出し、その体積の空気を、外スリーブ480によって画定される空気流路490及び同じく空気流路490内に位置するエアフィルタバッグ450内へと押し込むのを補助するように、基部420に機能的に取り付けられる。ファン440は、基部420内の、基部420の第1の側423と第2の側425との間に取り付けられてもよい。幾つかの実施形態では、ファン440は、一定体積の空気が(エアフィルタ内に押し込まれるのに対して)エアフィルタ内に引き込まれ、ファン440を通過する前にこの空気をエアフィルタが清浄化するように、エアフィルタバッグ450の下流に配置してよい。「下流(downstream)」は、本明細書で使用するとき、空気濾過装置を通過する空気流を測定する場合、基準位置から時間的に遅い空気流路内の位置を意味する。
【0075】
ファン440は、ファンブレード及びモータを含んでいてよい。回転するファンブレードは、空気を空気流路490へと押しやるときの高い圧力低下を回避するため、また、望ましくない量の残屑(例えば、粉塵/毛髪)の引き込みを最小限にするためにも、装置410が載置される面から少なくとも約5cmの高さにあってよい。ファン440は、約25ワット未満、又は約15ワット未満、又は約8ワット未満、又は約6ワット未満の電力をファンに供給する電源によって作動させてもよく、電力が供給されてもよい。
【0076】
ファン440は、所望の空気流量を提供するために所定の速度に設定してもよく、又はユーザが選択した速度を有する制御部によって設定されてもよい。ファン440は、エアフィルタ450又は外スリーブ480なしで作動させた場合、約70〜約150CFM、又は約85〜約130CFM、又は約100〜約120CFMの空気を供給することができる。
【0077】
1つの実施形態では、基部420内に軸流ファンが取り付けられる。軸流ファンが使用される場合、所望の軸流ファンブレード(インペラとも呼ばれる)の直径は、ブレードの最外点の先端から先端までを測定すればよく、約10cm〜約25cm、又は約15cm〜約25cm、又は約17cm〜約20cmの直径を有していてよく、AC又はDCモータ、ファン筐体430と組み合わせられ、エアフィルタ450又は外スリーブ480なしで約70〜約150CFM、又は約85〜約130CFM、又は約100〜約120CFMの空気を送り出すファン速度を有する。好適な軸流ファンとしては、Conrad Electronicsから入手可能なSilverstone S1803212HN、Allied Electronicsから入手可能なOrion OD180APL−12LTB、及びRS Components Intlから入手可能なEBM Pabst 6212NMが挙げられる。軸流ファンは、空気濾過装置において典型的に用いられる遠心ファンよりも大幅に静音化することができる。
【0078】
再度図1〜3を参照すると、装置410は、基部420から長手方向に延在する外スリーブ480を含む。外スリーブ480は、空気が入る第1の開口端482と、空気が出る第2の開口端484と、これらの間の空気流路490とを含む。外スリーブ480は、第1の開口端482において基部420に着脱可能に取り付けられるので、空気出口424と空気流連通する。外スリーブ480は、その長手方向軸LAの周りにおいてエアフィルタ450を取り囲む。このようにして、空気流路490内における空気流の方向が、エアフィルタバッグ450及び外スリーブ480の長手方向軸LAとほぼ整列する。図18〜20に示す外スリーブ480は、装置及びエアフィルタの長手方向軸と整列しているが、外スリーブの第2の開口端484は、第2の開口部が長手方向軸から約15〜約30度の角度をなして、長手方向軸LAからわずかに曲線状に遠ざかってもよいと考えられる。
【0079】
外スリーブ480は、第1の開口端482及び第2の開口端484において約7cm〜25cm、又は約7cm〜約23cm、又は約7cm〜約17cm、又は約7cm〜約15cmの直径を有し得る。第2の開口端484は、外スリーブ480が第2の端部で先細になる場合、第1の開口端82よりも小さくてよい。外スリーブ480は、その深さ及び幅に比べて長手方向軸LAに沿う方が長い、長尺状であってもよい。エアフィルタを通過する空気流の捕捉を支援するために、外スリーブ480は、長手方向軸LAに沿ってエアフィルタバッグ450よりも長くてもよい。1つの実施形態では、外スリーブ480は、長手方向軸LAに沿って約50cmの長さを有していてよい。外スリーブ480は、エアフィルタバッグ450を出る空気流を捕捉し、この空気を、部屋全体での循環を促進する速度で下流に誘導するために、エアフィルタバッグ450よりも約1cm〜約8cm長くてよい。
【0080】
外スリーブ480は、空気に対して実質的に不透過性の任意の好適な材料で作製してよい。実質的に不透過性とは、本明細書で使用するとき、装置の使用時(すなわち、ファンが作動しているとき)、第2の開口端484において外スリーブを出る空気の体積が、第1の開口端482において外スリーブに入る空気の少なくとも約60%であることを意味する。幾つかの実施形態では、外スリーブ480は、外スリーブに入る空気の体積が外スリーブを出る空気の体積と等しくなるように空気不透過性である。更に、幾つかの実施形態では、外スリーブ480は、室内装飾品又は屋外用家具又は傘に使用される織布、不織布、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル等の、保管及び/又は輸送を容易にするためにほぼ平らな構成に又はその直立構成の約30%未満に折りたたむことが可能な可撓性材料で作製してよい。
【0081】
空気減衰を付与するために、外スリーブが幾分低水準の透過性を有することに幾らかの利点があることが分かっている。外スリーブ480は、ファン、フィルタ、装置システムからの音を減衰させるために外スリーブに空気の10〜40%を通過させる。
【0082】
加えて又はあるいは、外スリーブ480は、音の減衰を補助し、かつ幾分振動吸収性であるフェルト、屋外家具用布地、室内装飾品用布地、不織布、及び他の非剛性材料等の軟質かつ可撓性又は折りたたみ可能な布地様材料から作製してよい。これは、筐体及び空気を誘導する及び/又はフィルタ周囲を密封するための手段として剛性の射出成形プラスチックを用いるほとんどの空気清浄化システムとは大きく異なる。
【0083】
約50〜約150CFM又は約60〜約85CFMの空気を提供する空気濾過装置では、フィルタ基材10は、約20Pa(0.08インチの水)未満の圧力低下、あるいは約10Pa(0.04インチの水)未満の圧力低下、あるいは約7.5Pa(0.03インチの水)未満の圧力低下を提供し得る。あるいは、更には約5Pa(約0.02インチの水)未満の圧力低下を有することが望ましい場合がある。圧力低下の範囲は、約4Pa〜約25Pa又は約5Pa〜約10Pa(約0.05〜約0.10センチメートル(約0.02〜約0.04インチ)の水)の圧力であり得る。
【0084】
空気濾過装置において用いられるとき、複合フィルタ基材10は、全ての粒径の浮遊微粒子について空気濾過効率を改善することができる。基材は、本明細書に概説するシングルパスASHRAE Standard 52.2変法によって定義したとき、E1粒子の約15%超、又はE1粒子の約15%〜約45%;E2粒子の約20%〜約70%;及びE3粒子の約50%〜約90%のシングルパス濾過効率を有し得る。
【0085】
試験方法
A.厚みの測定
厚みは、EDANA 30.5−90(1996年2月)変法に従う以下の方法によって測定する。
1.機器設定は、以下を含むべきである。
a.脚部直径:56.4mm(2.221インチ)
b.脚部面積:24.98cm2(3.874in2
c.脚部重量:128グラム(0.28lbs)
d.脚部圧力:5.1グラム−力/cm2(0.073psi、0.5kPa)
e.滞留時間:10秒
2.少なくとも4つの位置、理想的には10の位置を測定する。全て単一層でありかつ折り目のないものとすべきである。折り目を除去するために材料を平らにしたりアイロンをかけたり引っ張ったりしない。試験片は、圧力脚部(pressure foot)の面積よりも大きくする必要がある。
3.折り目のないサンプルを滞留時間の間圧力脚部下に置き、厚み(mm)を測定する。
4.全ての試験片について数値平均を報告する。
【0086】
B.比表面積
比表面積は、基材の繊維の単位質量当たりの繊維の表面積である。それは、300℃の代わりに100℃の脱気温度を使用する、触媒及び触媒担体の表面積の標準試験法であるASTM D3663−03(2008)を用いて測定される。比表面積の測定に好適な機器は、Micromeritics Instrument Corporation(Norcross,GA U.S.A.)から入手可能な「ASAP 2020 − Physisorption Analyzer」である。比表面積の結果は、平方メートル/グラム(m2/g)として得られる。
【0087】
C.累積孔体積
1.試験前に最低12時間、温度23℃±2.0℃及び相対湿度45%±10%に調整されたサンプルに対して以下の試験法を実施する。全ての試験は、同一環境条件下及びこのように調整した室内で実施する。損傷した製品はいずれも廃棄する。しわ、破れ、穴等の欠陥を有するサンプルは試験しない。全ての機器は、製造業者の仕様書に従って較正する。本明細書に記載の通り調整したサンプルは、本発明の目的上、乾燥サンプル(例えば、「乾燥繊維状シート」)であるとみなされる。任意の所与の被試験材料に対して少なくとも4つのサンプルを測定し、これら4つの複製の結果を平均して最終的な報告値を得る。4つの複製サンプルはそれぞれ、55mm×55mmの寸法を有する。
2.孔体積測定は、TRI/Autoporosimeter(Textile Research Institute(「TRI」)/Princeton Inc.(Princeton,N.J.,U.S.A.))で行う。TRI/Autoporosimeterは、多孔質材料の孔体積分布(例えば、有効気孔半径1〜1000μmの範囲内の様々な大きさの孔の体積)を測定するための自動コンピュータ制御機器である。Automated Instrument Software Releases2000.1若しくは2003.1/2005.1、又はData Treatment Software Release 2000.1(TRI Princeton Inc.から入手可能)等のコンピュータプログラム及び表計算プログラムを用いて、測定されたデータの取り込み及び分析を行う。TRI/Autoporosimeterについての更なる情報、その作動及びデータ処理については、Journal of Colloid and Interface Science(1994),volume 162,pages 163−170の10雑誌に掲載された、B.Miller and I.Tyomkinによる論文「Liquid Porosimetry:New Methodology and Applications」に見出すことができる。
3.本明細書で使用するとき、多孔度測定は、周囲の空気圧が変化するときに多孔質材料に入るか又は出る液体の増分を記録することを含む。試験チャンバ中のサンプルを、精密に制御された空気圧の変化に曝露する。空気圧が増加又は減少するにつれて、異なるサイズの孔群が液体を排出又は吸収する。孔径分布又は孔体積分布は、更に、対応する圧力で機器により測定したとき、各孔径群の取り込みの体積の分布として決定することができる。各群の孔体積は、対応する空気圧で機器により測定したとき、この液体の量に等しい。総累積流体取り込み量は、吸収された流体の総累積体積として決定される。孔の有効半径は、以下の関係による圧力差に関係する。
4.圧力差=[(2)γcosΘ]/有効半径
(式中、γ=液体の表面張力、及びΘ=接触角である)。
5.この方法では、上記等式を用いて、定数及び機器制御圧に基づき有効孔半径を計算する。自動化機器は、液体を吸収するために圧力を減少させる(孔径を増加させる)か、又は液体を排出するために圧力を増加させる(孔径を減少させる)ことによって、試験チャンバの空気圧をユーザが指定する増分で変化させることにより作動する。各圧力増分において吸収又は排出される液体体積は、直前の圧力設定と最新の設定との間における全ての孔群の累積体積である。TRI/Autoporosimeterは、試料の総孔体積に対する孔体積の寄与を報告し、また、所与の圧力及び有効半径における体積及び重量も報告する。これらデータから圧力−体積曲線を直接作成することができ、また、この曲線は、多孔質媒体を説明する又は特徴付けるために一般的に使用される。
6.TRI/Autoporosimeterのこの用途では、この液体は、99.8重量%の蒸留水中のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Union Carbide Chemical and Plastics Co.(Danbury,CT.)製のTriton X−100)の0.2重量%溶液(溶液の比重は、約1.0である)である。機器の計算定数は、以下の通りである。ρ(密度)=1g/cm3;γ(表面張力)=31ダイン/cm;cosΘ=1。1.2μmのMillipore混合セルロースエステルメンブレン(Millipore Corporation(Bedford,MA);カタログ番号RAWP09025)を、試験チャンバの多孔質プレート上で使用する。Millipore Filter上でサンプルが確実に平らになるように、重量約32gのプレキシガラスプレート(機器と共に供給される)をサンプル上に置く。サンプルに追加の重量はかけない。
7.試験チャンバ内の任意の表面及び/又はエッジ効果について明らかにするために、ブランク条件(プレキシガラスとMillipore Filterとの間にサンプルが存在しない)で試験を行う。このブランク試験の実施で測定される任意の孔体積は、試験サンプルの該当孔群から差し引かれる。試験サンプルについては、測定中にMilliporeフィルタ上でサンプルが確実に平らになるように、重量約32gの4cm×4cmプレキシガラスプレート(機器と共に供給される)をサンプル上に置く。
8.サンプルに追加の重量はかけない。この用途の孔径(圧力)の順序は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800(有効孔径(μm))である。これら圧力値は、Advancing 1及びReceding 1曲線を作成するために用いられる。この順序は、乾燥した状態のサンプルから開始され、サンプルは圧力が減少するにつれて飽和し(すなわち、Advancing 1曲線)、次いで、その後、圧力が再び増加するにつれて流体を排出する(すなわち、Receding 1曲線)。
9.TRI/Autoporosimeterは、各圧力レベルにおける液体の累積重量(mg)を測定し、サンプルのそれぞれの累積孔体積を報告する。これらデータ及び元の乾燥サンプルの重量から、任意の測定された圧力レベルにおける累積孔体積/サンプル重量の比を計算し、mm3/mgで報告することができる。この試験法の場合、それぞれの累積孔体積はReceding 1曲線において決定され、mm3/mgで報告され、TRI機器から得られる。
【0088】
D.突出高さ及び平面領域比
1.3D画像の取得
突出高さ及び平面領域比は、Optical 3D Measuring System MikroCAD Compact instrument(「GFM MikroCAD光学プロファイラ機器」)及びODSCAD Version 6.3 Rev.2ソフトウェア(GFMesstechnik(「GFM」)GmbH(Warthestraβe E21,D14513 Teltow,Berlin,Germany)を用いて取得した基材高さ画像から測定される。GFM MikroCAD光学プロファイラ機器は、以下の構成部品からなる、デジタルマイクロミラープロジェクションに基づく小型の光学測定用センサを備える:
a.1024×768の直接デジタル制御型マイクロミラーを備えたTexas Instruments DMD(商標)プロジェクタ。
b.高解像度(1624×1236ピクセル)のBasler A641f CCDカメラ。
c.少なくとも50×38mmの測定面積に適合された投影光学系。
d.Schott KL1500 LCD冷光源。
e.小型の硬質ストーンプレートに基づく台及び三脚。
f.測定、制御、及び評価コンピュータ。
g.測定、制御、及び評価ソフトウェアODSCAD 6.3 Rev.2。
h.横方向(x−y)及び垂直(z)較正のための調整プローブ。
【0089】
GFM MikrocadCAD光学プロファイラシステムは、デジタルマイクロミラーパターン投影技術を用いてサンプルの高さを測定する。分析結果は、x−y変位に対する表面高さ(z)のマップである。システムは、x−y視野において21μm/ピクセルの解像度の50×38mmの視野を提供しなければならない。高さ解像度は、約0.5μm/カウントに設定する。高さ範囲は、解像度の65,400倍である。繊維質構造サンプルを測定するために、以下の工程を利用する。
i.冷光源の電源を入れる。冷光源設定を、ディスプレイ上に少なくとも2,800kの読み取り値を提供するように設定する。
j.コンピュータ、モニタ、及びプリンタの電源を入れ、ソフトウェアを開く。
k.ODSCADタスクバーから「Start Measuring Program」アイコンを選択し、次いで、「Live Image」ボタンをクリックする。
l.機器の視野よりも大きい繊維質構造サンプルを得る。サンプルの平面状表面がレンズの前面に対して平行になるようにカメラの下にサンプルを置くが、サンプルは、50×38mmの視野を完全に満たさなければならない。視野内にサンプルの伸縮も圧縮もないように、できる限り平坦にサンプルを置かなければならない。サンプルは、ガラスプレート下で圧縮されてはならない。サンプルは、視野の外側で重り又は接着剤(例えば、テープ)を用いて、伸縮のないように縁部に押さえつけてもよい。
m.以下のように、サンプルとプロジェクタヘッドとの間の距離を、最良の焦点が得られるよう調整する。「Show Cross」ボタンをオンにする。スクリーン上に青色の十字が現れるはずである。「Pattern」ボタンを繰り返しクリックして、最良の焦点を得るのを支援するために幾つかの焦点調節パターンのうちの1つを提示する。四角を有するもの等のパターンを十字線で選択する。十字線がスクリーン上の青色の「十字」と位置合わせされるまで、焦点制御を調整する。
n.プロジェクタヘッドの側面にある穴を通してレンズの口径を変更し、及び/又はカメラのスクリーン上のゲイン設定を変更することによって、画像の輝度を調整する。照度が最適である場合、「I.O.」と表示されたスクリーンの底部にある赤色の円が緑色に変わる。「Measurement」ボタンをクリックして、3D高さ画像を取得する。
o.突出高さ及び平面領域比の測定及び計算のために、Fileメニューから3D高さ及びカメラ画像を保存する(それぞれ、Fringe Files *.omc及び*.kamとして)。
【0090】
2.3D画像に基づく突出高さの測定及び計算
この方法は、第1項において上に概説した方法によって取得した3D画像を使用する。ODSCADソフトウェアによって3D画像処理を行い、続いて、ソースコードの形態でFree Software FoundationのGNU General Public Licenseの同意の下フリーソフトウェアとして入手可能な「R」統計ソフトウェアパッケージバージョン3.1.1(R:A Language and Environment for Statistical Computing(R Foundation for Statistical Computing(Vienna,Austria)))を用いて、計算及び統計解析を行う。ソフトウェアは、http://www.r−project.org.からダウンロードすることができる。
a.ODSCADソフトウェアのFileメニューから基材の3D高さ画像(ファイルタイプ.OMC)を開く。
b.Filterメニューから、「Remove Invalid」をクリックして、測定値から、焦点領域外のものを除去する。以下の設定を使用する:半径の限度(ピクセル)=99;以下の3つの選択肢のボックスをチェック又は選択する:「Remove invalid areas with contact to picture edge」;及び「Replace invalid areas through neighbors from X+Y direction」。
c.Filterメニューから、「Average Filter」をクリックして、高さ画像から突出している1本の繊維を平滑化する。X及びY方向の両方において25ピクセルのマスクを選択し、全画像領域についてX+Y方向ボックスを選択する。
d.Evaluateメニューから、「Surface Minimum,Maximum」をクリックして、更にフィルタリングする前に元の最小高さ(マイクロメートル(μm))を測定及び記録する。
e.Filterメニューから、「Polynomial Filter Material Part」をクリックして、基材全体における任意の大規模なバックグラウンドのうねり又は湾曲を除去する。これらバックグラウンドの湾曲又はうねりは、GFM MikroCAD光学プロファイラ機器で高さ画像を撮影している間、基材が正確に平坦に置かれていなかった場合に生じる。バックグラウンドのうねり又は湾曲は、典型的には、突出領域よりも面積がはるかに大きい。Rank5の多項式を選択し、2サイクルで0.1%の各頂点及び谷部を除外し、1.0倍の「Polynomial on entire profile」を選択する。「Calculate」ボタンをクリックして、多項式フィルタ係数を評価する。高さ画像におけるバックグラウンドのうねりを表す多項式フィルタは、左上に示され、フィルタリングされた画像は、左下に示されるであろう。「Difference」ボタンをクリックして、高さ画像からバックグラウンドのうねり及び湾曲をフィルタリングする。
f.Evaluateメニューから、「Surface Minimum,Maximum」をクリックして、多項式フィルタ補正の後に最小高さ(マイクロメートル(μm))を測定及び記録する。
g.上記工程eにおいて多項式フィルタを用いて基材におけるバックグラウンドのうねり及び湾曲を除去する前後に基材の最小高さが一定であると仮定することによって、画像の高さをスケーリングする。これは、Editメニューにおいて「New Scaling」を選択することによって行われる。工程dで得られた元の最小高さから工程fで得られた最小高さを減じる。結果を(mm)でボックスCに入力する。
h.Evaluateメニューから、「Surface Minimum,Maximum」をクリックして、最小及び最大の高さを評価する。ここで、この工程で評価される最小高さは、工程dで得られた元の最小高さと同じになるであろう。
i.Markメニューから、「Draw Line」ツールを選択し、図10Aに示す通り、それぞれランダムに選択された突出部の中心から始まってx方向に伸び、陥凹領域の中心及び別の隣接する突出部の中心を通る等の3本又は4本の異なる直線を引く。図10Aはx方向に引かれたこれら線を示すが、線は、y方向に引かれていてもよい。Viewメニューから、アイコン「Show Sectional Line Diagram」をクリックして、図10Bに示す通り、様々な線についての高さ対距離のチャートを見る。高さプロファイルデータをASCIIデータとして保存して、Fileメニューにおける「Export Data」をクリックすることによって断面線から突出高さを分析する。
j.図14のフローチャートに示すサブルーチンを用いて、各サンプルの突出高さの平均及び標準偏差を計算する。サブルーチンは、上述の通り、「R」統計ソフトウェアパッケージバージョン3.1.1で実行してよい。フローチャートにおいて言及されるライブラリパッケージを、CRAN(Comprehensive R Archive Network)リポジトリを利用するパッケージインストーラを用いて基本の「R」ソフトウェア内からプラグインとして追加してもよい。「stats」パッケージについては、用いるバージョンは3.1.1であり;「GeneCycle」パッケージについては、用いるバージョンは、Konstantinos Fokianosによって開発された1.1.2であり;「synchrony」パッケージについては、用いるバージョンは、Tarik C.Gouhierによって開発された0.2.3である。プラグイン及びライブラリパッケージ用のパッケージインストーラ及びCRANリポジトリは、R Foundation for Statistical Computing,Institute for Statistics and Mathematics(Wirtschaftsuniversitat Wien,Welthandelsplatz 1,1020 Vienna,Austria)から入手可能である。あるいは、Rソフトウェアは、http://www.r−project.org.からダウンロードすることができる。
k.中空突出部の高さを測定するために、フローチャートに示すボックスプロットルールを用いて外れ値を除去した後、最大値の平均(図14のフローチャートに示す通り、「find.minmax」関数から評価)をとる。同様に、陥凹領域の高さを測定するために、図14のフローチャートに示すボックルプロットルールを用いて外れ値を除去した後、最小値の平均をとる。
【0091】
3.3D画像に基づく平面領域比の測定及び計算
この方法は、第1項において上に概説した方法によって取得した3D画像を使用する。3D画像処理及び平面領域比の計算は、ODSCADソフトウェアで行われる。
a.ODSCADソフトウェアのFileメニューから基材の3D高さ画像(ファイルタイプ.OMC)を開く。
b.Settingsメニューから、「Set Colour Table」をクリックする。黒色によって表される最小高さ、白色によって表される最大高さ、及び連続的に灰色の色合いによって表される中間高さのグレースケールを選択する。
c.Filterメニューから、「Remove Invalid」をクリックして、測定値から、焦点領域外のものを除去する。以下の設定を使用する:半径の限度(ピクセル)=99;以下の2つの選択肢のボックスをチェック又は選択する:「Remove invalid areas with contact to picture edge」及び「Replace invalid areas through neighbors from X+Y direction」。
d.Filterメニューから「Fourier Filter」をクリックして、繊維等の微細スケールの形体を除去し、突出部及び陥凹領域によって表されるマクロテクスチャを維持する。(約0.75mmの実際の距離、又は最小テクスチャの形体サイズの約半分未満に対応する)約20ピクセルのカットオフ波長を選択する。カットオフ波長よりも小さな形体は、画像から除去されるであろう。「Wave Filter」選択項目を選択し、「Fine Structure as Result」の選択を取り消す。2「Filter Repetitions」を選択する。3D画像全体にフィルタを適用する。
e.Filterメニューから、「Polynomial Filter Material Part」をクリックして、基材全体における任意の大規模なバックグラウンドのうねり又は湾曲を除去する。これらバックグラウンドの湾曲又はうねりは、GFM MikroCAD光学プロファイラ機器で高さ画像を撮影している間、基材が正確に平坦に置かれていなかった場合に生じる。バックグラウンドのうねり又は湾曲は、典型的には、突出領域よりも面積がはるかに大きい。Rank5の多項式を選択し、2サイクルで0.1%の各頂点及び谷部を除外し、1.0倍の「Polynomial on entire profile」を選択する。「Calculate」ボタンをクリックして、多項式フィルタ係数を評価する。高さ画像におけるバックグラウンドのうねりを表す多項式フィルタは、左上に示され、フィルタリングされた画像は、左下に示されるであろう。「Difference」ボタンをクリックして、高さ画像からバックグラウンドのうねり及び湾曲をフィルタリングする。
f.Viewメニューから、「Colour Coding」をクリックする。「Max」、「Min」、及び「Cut2」をデフォルトとして維持しながら、「Cut1」を0.000に設定する。面積率を灰色(陥凹領域)及び白色(中空突出部)で書き留める。これら面積率は、平面領域比に対応する。灰色対白色の面積率の比は、陥凹対中空突出領域比に等しく、これが平面領域比である。
g.工程a〜fを少なくとも3枚のサンプル画像について繰り返し、次いで、平面領域比の平均を計算し、報告する。
【0092】
E.突出長さの測定
突出長さは、画像処理及び解析方法を用いることによって測定される。少なくとも1200ドット/インチ(「dpi」)の走査解像度が可能な光学透過スキャナを用いて、試料の画像を撮影する。1つのこのようなスキャナは、Canon U.S.A.,Inc.(Melville,NY,U.S.A.)から入手可能なCanon(登録商標)CanoScan(商標)8800Fである。画像は、Canon U.S.A.,Inc.から入手可能なCanon(登録商標)MP Navigator EX 4.0ソフトウェア等の画像取得ソフトウェアを有するコンピュータを用いてスキャナから取得することができる。画像処理及び解析は、National Institutes of Health(Bethesda,MD,U.S.A.)からパブリックドメインライセンス下で入手可能であり、http://rsb.info.nih.govから自由にダウンロードすることができるImageJのバージョン1.48以上を用いて行われる。
1.突出部を壊さないようにしながら、鋭いナイフ又はハサミを用いて基材の厚みを貫いて少なくとも1つの突出部を横断して(図4中の線5−5に示す通り)、幅約2mmのフィルタ基材の小さな切片をスライスする。
2.サンプルが損傷しないように注意しながら、ピンセットを用いて、スライスした基材サンプルの1つの縁部をそっとつかみ、その縁部を透過スキャナの平坦な床上に下向きに置いて、図3に示す概略図と同様に画像を得る。
3.MP Navigator EXソフトウェアの全ての自動画像調整設定をオフにすることによって、少なくとも1200dpiの解像度で透過モードにて画像を走査する。画像をTIF画像としてコンピュータに保存する。
4.FileメニューからImageJソフトウェアで試料の画像を開く。Analyzeメニューから、「Select Scale」ダイアログを開く。「Distance in pixels」を1200又は走査画像の解像度(dpi)に;「Known Distance」を25,400に;「Pixel Aspect Ratio」を1.0に;「Unit of Length」を「microns」に設定する。
5.Imageメニューから、「Duplicate...」をクリックして画像のコピーを作成する。画像のコピーを選択する。画像のコピーに工程6〜9を適用する。
6.Processメニューから、「Filters」をクリックし、次いで、「Gaussian Blur...」を選択する。半径50マイクロメートル(μm)を選択し、「Gaussian Blur」ダイアログボックスの「Scaled Units」のボックスにチェックを入れる。これによって画像が平滑化されて、任意の微細スケール(50μm未満)のノイズ及びディフェクトが除去されるであろう。
7.Processメニューから、「Enhance Contrast」をクリックして、任意の光ディフェクトを除去するためにヒストグラムを均一にする。「Enhance Contrast」ダイアログボックスにおいて、「Equalize Histogram」ボックスを選択し、「Saturated Pixels」テキストボックスに0.4%を入力する。
8.Processメニューから、「Binary」サブメニューをクリックし、次いで、「Make Binary」を選択する。これによって、画像が、繊維質領域は黒色、バックグラウンドは白色として、純粋な黒色及び白色に変換されるであろう。次いで、Processメニューから、「Binary」サブメニューをクリックし、次いで、「Erode」を選択する。1〜2回繰り返して繊維質領域に属しない任意のストレイブラックピクセルを確実に除去する。
9.Processメニューから、「Binary」サブメニューをクリックし、次いで、「Distance Map」を選択する。
10.Processメニューから、「Image Calculator...」機能をクリックする。オリジナルの画像を「Image 1」として、画像のコピーを「Image 2」として選択する。オリジナルの画像に工程「5」から得られた画像のコピーのDistance Mapを重ねるための操作として、「Difference」を選択する。Distance Mapは、オリジナルの突出部のスライス画像に重ねたとき、基材の厚み及び突出部の厚みの中央を通過する先導線を提供する。次いで、これら先導線を追跡して、突出部の基部に対する突出部の長さを測定する。
11.ツールバーからLine Toolを選択する。Line Toolを右クリックして「Segmented Line」を選択する。突出部の厚みを通過する先導線を追跡する。Imageメニューの「Overlay」サブメニューから「Add Selection」をクリックする。次いで、Analyzeメニューの「Measure」機能をクリックして、突出部の長さを得る。
12.突出部の基部について工程11を繰り返して、その長さを測定する。先導線を越えて線を追跡した際、画像は図9のものと同様に現れるはずである。突出長さ及びその基部の長さの比をとる。
13.更に5つの試料について工程1〜12を繰り返して、突出部対基部の長さの比を測定する。
【0093】
F.坪量比
坪量は、ランベルト−ベールの法則を用いて基材の透過走査画像から計算することができ、それに従って基材を透過した光が以下に与えられる:
透過光,I=I0-μρL (1)
(式中、I0は入射光であり、μは質量吸収係数であり、Lは基材の厚みであり、ρは基材の密度である)。ρLは、単位面積当たりの質量、すなわち、坪量(B)であり、式(1)は、以下の通り改変される:
I=I0-μB (2)
【0094】
再配置すると、式(2)は、以下のようになる。
【0095】
【数1】
【0096】
式3は、所与の入射光I0、透過光I、及び質量吸収係数μに基づいて、任意の位置における基材の坪量を提供する。透過光及び入射光は、それぞれ、基材有り及び無しで透過スキャナから測定される。しかし、質量吸収係数μは、容易に測定可能ではないか又は入手可能でない場合もある。したがって、一緒に撮影された同じ基材の異なる領域の(例えば、領域A及びBの)坪量が評価される:
【0097】
【数2】
【0098】
ここで、基材の任意の平面位置において、坪量は、第1の成分層、第2の成分層、及び任意の支持層の組み合わせである。したがって、第1の成分層の坪量(B1)は、合計坪量(Bt)から第2の成分層及び任意の支持層の坪量(B2+s)を減じることによって計算される。
1=Bt−B2+s (5)
【0099】
ここで、式(3)に基づいて式(5)を改変する。
【0100】
【数3】
(式中、I2+sは、第2の成分層及び任意の支持層を透過した光の強度であり、Itは、基材全体を透過した光の強度である)。
【0101】
再配置すると、式(6)は、以下のようになる。
【0102】
【数4】
【0103】
式(4)及び(7)を用いると、第1の成分層の高及び低坪量領域の坪量比は、以下の通り定義される。
【0104】
【数5】
(式中、下付き文字high及びlowは、それぞれ、第1の成分層の高及び低坪量領域に対応する)。
【0105】
したがって、高及び低坪量領域の坪量比を評価するために、光の3つの強度のみを測定すればよい:それぞれ、第1の成分層の高及び低坪量領域における基材全体を透過した光It,high及びIt,low、並びに第2の成分層及び任意の支持層を透過した光I2+s
【0106】
式(8)に基づいて、以下の試験方法は、第1の成分層の中空突出部及び陥凹領域の坪量の比を評価する。画像解析を使用して、上述の光強度:それぞれ、第1の成分層の高及び低坪量領域における基材全体を透過した光It,high及びIt,low、並びに第2の成分層及び任意の支持層を透過した光I2+sを評価する。試料の画像は、少なくとも300dpi(ドット/インチ)の走査解像度、並びに画像の走査及び保存のために16ビットのダイナミックレンジが可能な光学透過スキャナを用いて撮影する。1つのこのようなスキャナは、Canon U.S.A.,Inc.(Melville,NY,U.S.A.)から入手可能なCanon(登録商標)CanoScan(商標)8800Fである。画像は、Adobe Systems,Incから入手可能なAdobe Photoshop CS5バージョン12.0.4ソフトウェア及びAdobe Photoshop CS5に含まれているTWAINスキャナドライバ等の16ビット画像取得ソフトウェアを有するコンピュータを用いて、スキャナから取得することができる。画像処理及び解析は、National Institutes of Health(Bethesda,MD,U.S.A.)からパブリックドメインライセンス下で入手可能であり、http://rsb.info.nih.govから自由にダウンロードすることができるImageJのバージョン1.48以上を用いて行われる。
【0107】
サンプルの調製:
少なくとも10センチメートル×20センチメートル(4インチ×8インチ)の面積のサンプルをとる。第1の成分層の幾つかの領域から(鋭い刃又はハサミを用いて)中空突出部を慎重に切断し除去して、第1の成分層の下の第2の成分層の上部を露出させる。中空突出部が除去された領域から透過した光は、第2の成分層及び任意の支持層を透過した光I2+sを提供するであろう。
【0108】
画像の取得:
Adobe Photoshop CS5ソフトウェアにおいて、FileメニューのImportサブメニューを通してスキャンを開始する。ダイナミックレンジを16ビットに設定し、スキャナドライバにおける全ての自動画像調整設定をオフにした状態で、解像度300dpiで透過モードにて画像を走査する。画像をTIF画像としてコンピュータに保存する。
【0109】
画像処理:
a.FileメニューからImageJソフトウェアで試料の画像を開く。Analyzeメニューから、「Select Scale」ダイアログを開く。「Distance in pixels」を300又は走査された画像の解像度(dpi)に;「Known Distance」を25.4に;「Pixel Aspect Ratio」を1.0に;「Unit of Length」を「mm」に設定する。
b.ImageメニューのTypeサブメニューから画像を32ビットのグレースケールに変換する。
c.Processメニューから、「Filters」をクリックし、次いで、「Gaussian Blur...」を選択する。半径0.25mmを選択し、「Gaussian Blur」ダイアログボックスの「Scaled Units」のボックスにチェックを入れる。これによって画像が平滑化されて、任意の微細スケール(0.25mm未満)のノイズ及びディフェクトが除去されるであろう。
【0110】
画像解析
d.Analyzeメニューから、「Set Measurements...」機能をクリックして、測定の種類を選択する。「Mean Gray Value」測定を選択する。この測定は、透過光の強度を提供するであろう。
e.まず、第2の成分層+任意の支持層を透過した光の強度を測定する(I2+s)。この測定のために、ツールバーから「Oval」ツールを選択する。キーボードのシフトキーを押しながら、突出部が除去された領域に直径約2mmの円形選択線を引き、これら領域は、領域の残りよりも明るくなるはずである。Imageメニューの「Overlay」サブメニューから「Add Selection」をクリックする。次いで、Analyzeメニューの「Measure」機能をクリックして、選択した円形領域における第2の成分層及び任意の支持層を透過した光を表す平均濃淡値I2+sを得る。直径約2mmの円形選択線を引くことによってこの工程を繰り返して、突出部が除去された領域の残りから平均濃淡値を得る。円形選択線から全ての測定された平均濃淡値の平均値をとって、全体の平均I2+sを得る。この試料についてこの値を書き留める。
f.次に、それぞれ、第1の成分層の高及び低坪量領域における基材全体を透過した光It,high及びIt,lowを測定するために、これら領域を選択する。この目的のために、ツールバーから「Rectangular」選択ツールを選択する。最も暗い高坪量領域において約1mm×3mmの矩形選択線を引く。Imageメニューの「Overlay」サブメニューから「Add Selection」をクリックする。次に、既に選択した暗い高坪量領域に隣接する、より明るい低坪量領域に、約1mm×3mmの別の矩形選択線を引く。Imageメニューの「Overlay」サブメニューから「Add Selection」をクリックする。互いに隣接する少なくとも10対の高及び低坪量領域について、矩形選択プロセスを繰り返す。Imageメニューの「Overlay」サブメニューから「To ROI Manager」をクリックすることによって、Overlay選択をROI Manager(対象領域)に転送する。
g.式(8)で定義される坪量比を評価するために、Processメニューの「Math」サブメニューにおける「Macro...」機能を用いて画像強度(グレースケール値)を変更する。この計算のために、工程「e」から全体の平均I2+sを得る必要がある。「Macro...」機能の「Expression Evaluator」ダイアログボックスにおいて、「Code」を「v=log(I2+s/v)」に設定し、工程「e」から得られたI2+sの数値をこの式の変数に入力する。「Ok」をクリックして、式を画像に適用する。
h.Windowメニューから「ROI Manager」ウインドーを開く。工程「f」からROI Managerに転送されたオーバーレイを選択し、「Measure」ボタンをクリックする。それぞれ、高及び低坪量領域から式(8)の分子及び分母を表す平均強度値の結果がResultsウインドーに表示される。得られた結果から、第1の成分層の高及び低坪量領域の坪量比を計算する。
【0111】
G.密度
1.複合基材の密度
複合基材の密度は、複合材の坪量をz方向の厚みで除することによって計算される。複合基材の坪量は、不織布の単位面積当たりの質量のためのEDANA WSP 130.1.R4(12)標準試験法によって測定される。基材の厚みは、本明細書における試験法のセクション(A)に上記された厚み測定方法によって測定される。測定された坪量を厚みで除して、複合基材の平均密度を得る。
【0112】
2.複合基材の低及び高密度領域の密度
第1の低密度領域(中空突出部)及び第2の高密度領域(陥凹領域)のような、複合基材の局所領域の密度は、基材の局所領域の坪量をz方向における基材の局所領域の厚みで除することによって計算される。中空突出部及び陥凹領域等の基材の局所領域は非常に小さいので、坪量及び厚みを測定する標準試験法(上に概説した通り)は適用できない。坪量を測定するために基材から局所高及び低密度領域を切り取らなければならないが、局所領域の厚みは、試験法のセクション(D)における突出高さ測定方法において上に概説した通り、表面形状測定装置を用いて測定される。局所坪量及び高さの測定から、局所領域の密度を上記の通り測定する。
【0113】
まず、高密度陥凹領域及び低密度中空突出領域の厚み又は高さをサンプルから測定した後、坪量を測定するためにそれぞれの領域を切り取る。坪量を測定するために、切断切片を計量し、その面積を測定して坪量(単位面積当たりの質量)を計算する。局所領域の坪量を測定する詳細な方法を以下に概説する。
【0114】
サンプルの調製
鋭いハサミを用いて、複合基材から局所領域−高密度陥凹領域及び低密度中空突出領域−の切片を慎重に切り取る。これら切片は、例えば、図12Aに示す通り、非常に小さくてよい(突出部を横断して10〜20mm)。可能な限り大きなサイズで各領域の少なくとも10個の切片を切り取る。高及び低密度切断切片を別々に維持する。
【0115】
面積の測定
局所領域の小さな切断切片の面積を測定するために、画像解析方法が最も適している。少なくとも300dpi(1インチ当たりのドット又はピクセル)の解像度が可能な光学スキャナを用いる。1つのこのようなスキャナは、Canon U.S.A.,Inc.(Melville,NY,U.S.A.)から入手可能なCanon(登録商標)CanoScan(商標)8800Fである。反射モードでスキャナを使用する。各局所領域の切片を、X−Y面がスキャナ床に面するように平坦に置き、300dpiの解像度で黒色のバックグラウンドを用いてグレースケールで別々に走査する。走査するために、できる限り高いコントラスト設定を使用する。例えば、CanoScan(商標)8800Fスキャナに添付されているMP Navigator 1.0スキャニングソフトウェアでは、「High Contrast」色調曲線設定を使用する。各領域の全ての切片の走査画像をTIFFフォーマットで保存する。
【0116】
画像解析ソフトウェアで画像を開いて、各切断切片の面積を計算する。ImageJバージョン1.48以上等の画像解析ソフトウェアを使用してよい。ImageJソフトウェアは、National Institutes of Health(Bethesda,Maryland,USA)からパブリックドメインライセンス下で入手可能であり、http://rsb.info.nih.govから自由にダウンロードすることができる。ImageJソフトウェアでは、「Distance in pixels」を300又は走査画像の解像度(dpi)に設定し;「Known Distance」を25.4に設定し;「Pixel Aspect Ratio」を1.0に設定し;「Unit of Length」を「mm」に設定することによって、画像のスケールを「Analyze/Set Scale...」メニューから設定する。次いで、「Process/Filter...」メニューから選択される2ピクセル半径「Gaussian Blur」フィルタで画像をフィルタリングする。次いで、「Image/Adjust/Threshold...」メニューから「Otsu」閾値設定を用いることによって、画像を二値化する(純粋な黒色及び白色にする)。「Process/Binary/Convert to Mask」メニューを選択することによって二値画像をマスクに変換し、次いで、クリーンアップして、「Process/Binary」メニューから「Erode and Dilate」形態学的フィルタの組み合わせを使用して任意のストレイブラックピクセルを除去する。次いで、二値画像の、各切片の面積を測定する準備が整う。「Analyze/Set Measurements」メニューから、「Area」を選択する。「Display Results」及び「Summarize」ボックスにチェックを入れた状態で、「Analyze/Analyze Particles...」をクリックすることによって、全ての片の面積を測定する。コマンドを実行して粒子を分析する際、結果は、全ての切片の合計面積及び個々の片の面積を示す。全ての切片の合計面積を書き留める。画像解析プロセスを第2の切断切片について繰り返す。
【0117】
質量の測定
各局所領域の切断切片の質量を、0.1mg(1グラムの10,000分の1)まで測定することができる秤で測定する。1つの局所領域の全ての切断切片を秤にのせ、その合計質量を書き留める。このプロセスを第2の局所領域について繰り返す。
【0118】
坪量の計算
各局所領域の坪量は、各領域の切断切片の合計質量を画像解析から測定された合計面積で除することによって計算される。
【0119】
H.圧力低下試験法/汚れ捕捉
汚れ捕捉能、及び汚れを付加したことによる圧力低下の変化は、ASHRAE 52.1−1992変法を介して測定される。
1.この方法により定められている通り、少なくとも2つ、好ましくは6つ以上の濾材サンプルを測定する。
2.少なくとも36cm×36cm(14”×14”)のプリーツ、しわ、折り目等のない平らなフィルタシートで測定を実施する。次いで、フィルタシートの直径30cm(1ft)の円に粒子を噴射する。
3.材料が配向によって異なる特性を有する場合、装置内で第1の粒子が見える、第1の材料の同じ側に粒子が当たるように、試験装置内に材料を配向する。材料が領域全体で不均質な場合、代表的な材料をサンプリングする。
4.装置で用いられるエアフィルタの表面積及び装置の空気流量に基づいて、装置のエアフィルタ面速度に厳密に一致するように選択したエアフィルタ面速度を用い、汚れを6グラムまで装填し、ISO Fine A2汚れ(ISO 12103−1に定義されている)を使用し、0.5gの増分で装填して、試験を実施する。0.5gごとの追加後に抵抗を測定する。
【0120】
I.シングルパス効率試験法
フィルタ基材のシングルパス濾過特性は、ASHRAE Standard 52.2−2012(「Method of Testing General Ventilation Air−Cleaning Devices for Removal Efficiency by Particle Size」)に記載されているものと同様に試験することによって決定することができる。試験は、ウェブを平らなシート(例えば、プリーツ、折り目、又はたたみ目がない)として構成し、平らなシートを試験ダクトに取り付け、平らなシートを、乾燥させて電荷を中和した塩化カリウム粒子に曝露することを含む。試験面速度は、装置で用いられるフィルタの表面積及び装置の空気流量に基づいて、装置の面速度に厳密に一致するように選択すべきである。光学式パーティクルカウンタを用いて、一連の12の粒径範囲について試験フィルタの上流及び下流の粒子の濃度を測定することができる。等式:
【0121】
【数6】
を使用して、各粒径範囲についての捕捉効率を決定することができる。試験中の各粒径範囲における最低効率を決定し、複合最低効率曲線を決定する。複合最低効率曲線から、0.3μm〜1.0μmの4つの効率値を平均してE1最低複合効率(「MCE」)を得ることもでき、1.0μm〜3.0μmの4つの効率値を平均してE2 MCEを得ることもでき、3.0μm〜10.0μmの4つの効率値を平均してE3 MCEを得ることもできる。比較として、HEPAフィルタは、典型的には、E2粒子及びE3粒子の両方について99%を超えるシングルパス効率を有する。
【実施例】
【0122】
短繊維及び連続繊維の両方を含む基材を本発明に従って作製する。短繊維は、PP、PE、レーヨン、及びこれらの組み合わせから作製する。短繊維は、約0.7dpf〜約7.0dpfの範囲であり、円形〜実質的に円形から、トリローバル及び4DG(商標)等の表面積が増加した複雑な形状に及ぶ断面を有する。本発明では、短繊維の約30%〜約50%が、約0.7dpfの低デニールであり、短繊維の約25%〜約35%が、約3.0dpf〜約7.0dpfの高デニールであり、残りの短繊維がレーヨンである。連続繊維は、PPである。連続繊維は、スパンボンド、メルトブローン、ナノであってもよいが、これらに限定されない。
【0123】
本発明は、短繊維の2枚のマットの間に連続繊維層を配置することによって構築される。短繊維のマットは、異なる重量の同じ重量であってよい。この実施例では、ウェブの画像側、すなわち、パターン側は、短繊維の約70重量%〜約80重量%であり、一方、非画像側、すなわち、平坦側は、短繊維の20重量%〜約30重量%である。次いで、水流交絡を介して3層構造を一体化させる。最後の水流交絡工程では、パターン化ロールを介してウェブ上にパターンを組み付けしてもよく、又は材料を平坦なままにしておいてもよい。
【0124】
陥凹領域の中空突出部に対する比が50/50である3mmのスクリーンを有する例示的な基材を表1に提供する。
【0125】
【表1-1】
【0126】
【表1-2】
【0127】
【表1-3】
【0128】
【表2】
【0129】
表2は、サンプル1〜9及び対照1〜3(全て表1に示す)についての粒子捕捉効率(すなわち、何個の粒子がサンプル基材を通り抜けるかを測定)を示す。粒子捕捉効率は、本明細書で特定したシングルパス濾過方法を用いた1回目のパス後に決定する。表1中の値は、捕捉された粒子の百分率である(粒子のサイズによる)。
【0130】
サンプル1〜4における微粒子繊維によって捕捉された粒子を図15〜17に示す。図15は、低及び高デニールのトリローバル繊維及び円形ビスコース繊維を含む成分を含むサンプル2によって捕捉された汚れを示す。図16は、高デニールのトリローバル繊維及び4つの深溝付繊維を含むサンプル4における成分層によって捕捉された汚れを示す。 図17は、円形ナノ繊維及び円形PPスパンボンド繊維及び円形メルトブロー繊維を含むサンプル8における成分層によって捕捉された汚れを示す。
【0131】
表3は、それぞれ、表1の対照1、サンプル1、2、4、及び6、並びに図12A及び12Bに表されているサンプル12A及び12Bの基材の厚み、密度、第1の成分層における中空突出部の高さ、突出部及び陥凹領域の密度、並びに坪量の比較を示す。サンプル12A及び12Bは、全ての成分層について表1のサンプル2と同じ繊維組成及び構造を有する。しかし、サンプル12Aは、60.4gsmの坪量を有し、サンプル12Bは、61.2gsmの坪量を有する。サンプル12A及び12Bの両方が、40:60の中空突出部対陥凹領域の平面領域比を有し、表1のサンプル2と同じ方法によって作製される。更に、サンプル1及び2は、それぞれ、129m2/g及び141m2/gの比表面積を有する。
【0132】
【表3】
【0133】
表4は、上で試験した様々なサンプルのPVDを示す。
【0134】
【表4】
【0135】
特に指定しない限り、本明細書で使用される百分率、比、及び割合は全て重量に基づいたものである。
【0136】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に指定しない限り、そのような各々の寸法は、列挙される値とその値の周辺の機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「90°」として開示された寸法は、「約90°」を意味するものとする。
【0137】
本明細書を通して与えられるあらゆる最大の数値限定は、あらゆるより小さい数値限界を、あたかもかかるより小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように含むことを理解すべきである。本明細書を通して与えられるあらゆる最小の数値限定は、あらゆるより大きい数値限界を、あたかもかかるより大きい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように含む。本明細書全体を通して与えられる全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭い全ての数値範囲を、あたかもかかるより狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。
【0138】
「発明を実施するための形態」の中で引用された全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により援用されている。いかなる文書の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲においては、本明細書においてその用語に付与した意味又は定義を適用するものとする。
【0139】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような変更及び修正は全て、添付の特許請求の範囲に網羅されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22