特許第6599995号(P6599995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599995
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ナノ粒子を製造するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20191021BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20191021BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20191021BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20191021BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20191021BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20191021BHJP
   B82Y 5/00 20110101ALI20191021BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALN20191021BHJP
【FI】
   B01J19/00 NZNM
   B01J3/00 A
   A61K9/14
   A61P29/00 101
   A61P19/02
   B82Y40/00
   B82Y5/00
   !A61K31/5415
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-537021(P2017-537021)
(86)(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公表番号】特表2017-536983(P2017-536983A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】FI2015050664
(87)【国際公開番号】WO2016055696
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】20140266
(32)【優先日】2014年10月6日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】517119822
【氏名又は名称】ナノフォーム フィンランド オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】エドワルド ハエッグストレーム
(72)【発明者】
【氏名】ヨウコ ユリルーシ
(72)【発明者】
【氏名】カイ ファルク
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキ ライッコネン
(72)【発明者】
【氏名】イェンニ ペッシ
(72)【発明者】
【氏名】イルッカ ラッシラ
(72)【発明者】
【氏名】アンッティ メリライネン
【審査官】 菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/072072(WO,A1)
【文献】 特表2011−506059(JP,A)
【文献】 特開2013−107065(JP,A)
【文献】 特表2003−516845(JP,A)
【文献】 特開昭62−152505(JP,A)
【文献】 特開平03−271113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00
B01J 2/00
B01J 3/00
A61K 9/14
B82Y 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物質のナノ粒子を製造するための方法であって、
前記有機物質と超臨界流体とを混合して第1の圧力で混合物を形成すること、
前記第1の圧力を第2の圧力まで漸次的に減少させて前記混合物の流れを形成させて前記混合物中の前記有機物質の核生成を開始させること、及び
前記第2の圧力を第3の圧力まで減少させて、核生成した前記有機物質を含む前記混合物の流体の凝固を開始させること、
を含
前記第1の圧力の前記第2の圧力に対する比が<15、好ましくは<10であり、前記第2の圧力の前記第3の圧力に対する比が<15、好ましくは<10である、方法。
【請求項2】
前記凝固は断熱的である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流れが実質的に層状である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記流れが部分的に乱流である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の圧力が<100バール、好ましくは10〜50バールである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の圧力を前記第3の圧力まで減少させることが、前記混合物を第1のノズルに通して前記第2の圧力から前記第3の圧力まで膨張させることにより行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
さらに、第1のノズルをレーザー光又は超音波の作用により目詰まりを回避することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記超音波の周波数が少なくとも20kHz、好ましくは少なくとも1MHzである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
さらに、
1つ又は2つ以上の第2の流体を得ること、
前記1つ又は2つ以上の第2の流体を膨張させて前記1つ又は2つ以上の第2の流体の断熱的凝固を開始させること、及び
核生成した前記有機物質を含む前記混合物を、凝固している前記1つ又は2つ以上の第2の流体にさらすこと、
を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記超臨界流体が二酸化炭素を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又は2つ以上の第2の流体が二酸化炭素を含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記ナノ粒子を捕集することを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記ナノ粒子に不活性ガスをフラッシュすることを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物質のナノ粒子を製造するための方法及び装置、特に、加圧された溶液の制御された膨張によって有機物質のナノ粒子を製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子は、サイズに依存する物理的及び化学的性質、例えば、融点の低下や、反応性及び溶解性の増加を示す。ナノ粒子のこれらの特殊な性質は、多くの場合、それらの大きな表面積による。ナノサイズ材料の溶解性の増加は、曲面での化学ポテンシャルの増加に起因する熱力学的効果である。
【0003】
典型的なRESS(超臨界溶体の急速膨張(rapid expansion of supercritical solutions))プロセスにおいて、超臨界流体は、高温高圧下で固体物質を溶解して均一な超臨界相を形成するために使用される。その後、溶体をノズルを通じて膨張させ、小さな粒子が形成される。まさにノズル開口部における急速膨張点で、溶解材料を溶体から析出させる急激な圧力減少がある。瞬時に形成された結晶は少量の溶媒を内包し、当該溶媒は、膨張によって、超臨界流体からその通常の状態に変化して、結晶を内側からばらばらにする。このように形成された粒子は、数百ナノメートルの直径を有しうる。
【0004】
超臨界流体処理技術は、水不溶性材料の小さな粒子の製造に有望であることが示された。例えば、国際公開第97/14407号及び国際公開第99/65469号には、超臨界又は圧縮流体処理技術の使用により生物学的に有用な物質のサブミクロンサイズの粒子を生成する方法が記載されている。しかし、これらの方法は、かなりの割合が100nmよりも大きな薬剤粒子の粒子懸濁液を生成する。医療用途には実質的により小さな粒子が有利であろう。当該プロセスは、安定化剤の助けによりナノスケール薬剤粒子の均一水性懸濁液を調製するための方法を開示している国際公開第2006/015358号でさらに発展された。国際公開第2006/015358号に開示された方法によれば、全ての形成された粒子は100nmよりも小さく、粒子サイズの標準偏差は15nm未満であった。
【0005】
国際公開第97/31691号には、粒子の析出及びコーティングのための方法及び装置であって、析出可能な物質をエネルギー付与ガス流(energizing gas stream)とともに超臨界アンチソルベント(supercritical antisolvent)に接触させてアンチソルベント中に集束高周波音波を発生させ、粒子をより小さい粒子に分割する方法及び装置が記載されている。当該技術を使用して得られた粒子は0.1〜10μmであった。
【0006】
米国特許第7,815,426号には、ナノ粒子を製造するための装置及び方法であって、有機物質の懸濁液をマイクロ流路に通過させ、そして有機物質にレーザービームを照射する装置及び方法が開示されている。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0153921号には、超臨界流体中又は圧縮ガス中の溶液のエマルション(solution-in-supercritical fluid or compressed gas emulsions)から粒子を製造する方法が開示されている。この開示によれば、溶媒に溶解した溶質を含む溶液を超臨界流体又は圧縮ガスに接触させて超臨界流体中又は圧縮ガス中の溶液のエマルションを形成させる。当該エマルションは、オリフィスを通じて噴霧されて噴霧液滴を生じ、当該噴霧液滴から超臨界流体又は圧縮ガスが除去されて溶質を含む粒子の形成がもたらされる。最後に、溶媒が、例えば蒸発により除去される。
【0008】
典型的なRESSは2段階プロセスである。最初のステップは、超臨界流体が対象の基質で飽和される抽出又は溶媒和である。この抽出の後に、[PJJ1]ノズルを通じて急減圧が行われ、この急減圧によって、溶解力(solvent power)及び流体温度の大幅な減少が生じ、それにより溶質の析出をもたらす。RESSプロセスの重要なパラメータは、膨張前の圧力及び温度、膨張圧力、並びにノズル設計である。RESSプロセスにおける近似圧力プロファイルが図1に示されている。膨張前圧力(A)と膨張圧力(C)との比は典型的には非常に高いために、音速がノズルの出口で達成され、マッハディスクで終了する超音速ジェットが形成される。圧力減少の大部分は超音速自由噴流(C)で生じる。この領域における圧力は、膨張容器(D)のバルク圧力より低くてもよい。この圧力減少は、COの凝縮又は凍結をもたらしうる温度の急激な低下も引き起こす。超音速領域の端部でマッハショックが形成され、温度上昇を伴って圧力が周囲圧力まで上昇する。
【0009】
RESSプロセスでは、scCOがキャピラリーノズルを通じて膨張されるため、最初の可能な圧力減少(B)が、ノズルのキャピラリー内で起こる。小さな圧力減少に起因して、ノズルのキャピラリー内で核生成が開始することがある。COなどの流体が捕集チャンバに入る際に、より大きな圧力減少が起こるため、核生成のほとんどがそこで行われる。
【0010】
したがって、RESSプロセスでは、核生成が主に出口ノズルの後に起こる。膨張前圧力から膨張後圧力への急激な圧力減少のために、過飽和レベルが高く、形成された核の数が多く、これらの核のサイズは小さい。核は、主に、捕集チャンバ内での凝結(coagulation)により成長する。凝結は、捕集チャンバ内でのマッハディスクの形成によりもたらされる高い流速及び密度差によって引き起こされる。
【0011】
ナノ粒子は、多くの潜在的な用途が見出されているため、及び、それらを製造するための方法の数は限られているため、かかる粒子を製造する新規な方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、先行技術のRESSプロセスとは対照的に、超臨界溶体の制御された膨張のための条件を生じる勾配減圧プロセスを使用することによって、20nm未満のナノ粒子が得られたという知見に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様によれば、本発明は、有機物質のナノ粒子を製造するための新規な方法であって、
有機物質と超臨界流体とを混合して第1の圧力で混合物を形成すること、
第1の圧力を第2の圧力まで漸次的に減少させて混合物の流れを形成させて当該混合物中の有機物質の核生成を開始させること、及び
第2の圧力を第3の圧力まで減少させて、核生成した有機物質を含む混合物の流体の凝固(solidification)を開始させること、
を含む方法に関する。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、有機物質のナノ粒子を製造するための新規な装置であって、当該装置は、
有機物質と超臨界流体との混合物のための圧力チャンバ、
有機物質のナノ粒子のための捕集チャンバ、
圧力チャンバを捕集チャンバに接続するための排出管、
を含み、排出管が、
当該排出管内の混合物の圧力を制御するように構成された圧力制御手段、及び
混合物の捕集チャンバへの膨張を可能にするように構成された第1のノズル、
を備え、
当該装置は、さらに、1つ又は2つ以上の第2の流体のための1つ又は2つ以上の第2のノズルを含み、前記1つ又は2つ以上の第2のノズルは、前記1つ又は2つ以上の第2の流体の断熱的凝固を可能にするように、及び、前記第1のノズルから膨張する混合物を、凝固している1つ又は2つ以上の第2の流体にさらすことを可能にするように構成されている、装置に関する。
【0015】
別の態様によれば、本発明は、薬剤のナノ粒子を製造するための本発明の装置の使用に関する。
【0016】
本技術のさらなる態様は、添付の従属請求項に記載されている。
構成及び実施方法の両方に関し、本発明の例示的かつ非限定的な実施形態は、本発明のさらなる目的及び利点とともに、添付の図面と関連して読んだ場合に、具体的な例示的態様についての以下の説明から理解される。
【0017】
動詞「含む(to comprise)」及び「含む(to include)」は、記載されていない特徴の存在を除外することも必要ともしないというオープンな制限として本書類中で使用されている。添付の従属請求項に記載の特徴は、特に明記しない限り、互いに自由に組み合わせ可能である。さらに、本書類全体を通して、「a」又は「an」、すなわち単数形の使用は複数を排除するものでないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、RESS装置の典型的な圧力プロファイルを示す。
図2図2は、本発明の例示的な非限定的な実施形態に係るナノ粒子の製造のための装置の概略図を示す。
図3図3は、本発明に係る装置の例示的な圧力プロファイルを示す。
図4図4は、先行技術の方法により製造されたピロキシカム粒子を示す(左:粒径5μm;右:粒径12μm)。
図5図5は、本発明の方法により製造された例示的ピロキシカム粒子を示す(左上:粒径50nm;右上:粒径200nm;左下:粒径16nm;右下:左下に示した16nm粒子の粒径分布)。
図6図6は、本発明の方法により製造された例示的ピロキシカム粒子及びそれらの粒径分布を示す。
図7図7は、本発明の装置により製造された例示的ピロキシカムナノ粒子を示す。
図8図8は、バルクピロキシカム(上)及び本発明の方法により製造されたピロキシカムナノ粒子(下)のFTIRスペクトルを示す。
図9図9は、高速カメラにより記録された、本発明の方法における捕集チャンバへの混合物の典型的な流れ(第3の圧力への第2の圧力の減少)を示す。
図10図10は、本発明の方法により製造されたピロキシカム粒子と、従来技術の方法により製造されたピロキシカム粒子の例示的溶解プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好ましくは狭いサイズ分布を有する有機物質のナノ粒子を製造するための本発明は、超臨界溶体の制御された膨張(CESS)のための条件を生じる圧力減少プロセスに基づく。当該プロセスは、制御された流れ、制御された減圧、及び好ましくは粒子捕集も組み合わせる。圧力勾配プロセスは、オリフィス、及び/又は、複数のノズル、複数のオリフィスもしくは複数のバルブに向かって断面積が増大するテーパ状の管を使用することによって生じさせることもできる。本発明に係るナノ粒子の製造に好適な例示的な装置は図2に示されている。以下では、本発明の方法を説明するために図2に示される例示的な装置を用いる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、超臨界流体中の有機物質の混合物を圧力チャンバ(1)から、圧力制御手段(3)と第1のノズル(4)を備えた排出管(2)まで膨張させる。圧力チャンバ(1)を捕集チャンバ(5)に接続する排出管(2)内で第1の圧力減少が起こる。圧力制御手段、例えばニードルバルブが、物質溶体(substance solution)を、第1のノズル(4)を通じて捕集チャンバに放出する。排出管内の流量は、混合物の制御された、好ましくは層状又は実質的に層状の流れを確保するために低く保たれる。排出管内で圧力を漸次的に減少させることによって、流体中での物質の過飽和を引き起こし、これにより核生成プロセスを開始させる。圧力減少を制御された且つ漸次的なものとすることで、核が集結して排出管が閉塞するのを防止するために重要である核生成プロセスが遅く保たれる。この遅い核生成は、排出管内での制御された層状又は少なくとも実質的に層状の流れと相まって、形成された核の望ましくない成長を妨げる。しかし、この流れは少なくとも部分的に乱流であることができる。乱流は特にバルブ内で生じうる。
【0021】
本発明の方法の例示的な圧力プロファイルが、図3に示されており、これは、図2に示した装置を使用して得られる。上記物質を含む超臨界流体を、排出管(2)内で膨張させる。第1の圧力減少は、圧力制御手段(3)を使用することにより行われる。この方法によれば、圧力は、圧力チャンバと捕集チャンバとを接続する排出管内で、第1の圧力から第2の圧力に減少する。図3に示すように、バルブ(3)の前における排出管内の圧力は、圧力チャンバ(1)内の圧力と実質的に等しく、その後、ノズル(4)まで漸次的に減少する。バルブが捕集チャンバ(1)により近いほど、圧力減少が漸次的である排出管の部分はより長い。圧力を漸次的に減少させるため、流体中の物質の過飽和が起こり、これが核生成を開始する。
【0022】
図3に示すように、圧力制御手段において小さな圧力減少ステップ(b)がある。この第2の圧力減少(c)は、混合物が圧力制御手段から排出管に送られる際に起こる。後者の圧力減少は、音速及びマッハディスクの形成が妨げられるように制御される。圧力制御手段と第1のノズル(4)の間の排出管においても小さな漸次的な圧力減少(d)がある。次の圧力減少(e)はノズルキャピラリー内で起こる。第1の圧力から第2の圧力までの漸次的減少とは、排出管内での全体的な圧力減少として理解されるべきである。図3を参照すると、漸次的減少は、第1のノズルの出口より前の圧力減少(すなわち(a)〜(e))を含む。ノズルを出る前の漸次的な圧力減少は、装置の排出管内での粒子の形成及び成長を可能にするため、必須である。最後の圧力減少は、混合物が第1のノズルから捕集チャンバ(5)へと膨張するとき(すなわち(e)→(f)→(g))に起こる。速度は、圧力減少率によって、及び、制限された膨張空間によって制御される。
【0023】
別の実施形態によれば、当該方法は、所望の圧力プロファイルを達成するための2つ又は3つ以上の圧力制御手段を含む排出管を使用することによる第1の圧力から第2の圧力までの漸次的圧力減少を含む。最後の圧力減少、すなわち、第2の圧力から第3の圧力までの減少は、混合物が第1のノズルを通じて捕集チャンバに流れるときに起こる。排出管内でのこの圧力減少は、複数の圧力制御手段を使用することによっても行うことができる。
【0024】
第2の圧力を第3の圧力まで減少させることは、核生成した有機物質を含む混合物の流体の凝固が開始されるように行われる。好ましい実施形態によれば、凝固は断熱的である。
【0025】
本発明の方法における圧力範囲は、有機物質の溶解度及び使用される流体に依存する。超臨界二酸化炭素の場合の例示的圧力範囲は74〜600バールである。例示的な第1の圧力は200〜450バールであり、典型的な第3の圧力(すなわち捕集チャンバ内の背圧)は1〜4バールである。ピロキシカムナノ粒子の製造に好適な例示的な圧力範囲を表1にまとめた。
【0026】
【表1】
【0027】
例示的な温度は、圧力チャンバ内で40〜60℃であり、排出管内で30〜55℃である。
【0028】
例示的な実施形態によれば、当該系における温度範囲は上記物質の融点より31℃〜約10℃低い。特定の物質を使用する場合、融点よりも高い温度を使用することができる。温度は、圧力と同様、流体相の密度及び上記物質の溶解性を調節するために使用できる。
【0029】
超臨界流体に対して高い溶解性を有する有機物質に対して近超臨界条件を使用できる。
【0030】
超臨界相の特性を調節するために圧力及び温度を使用できる。超臨界相中の溶質の溶解度を制御するため、ひいては溶質の過飽和も制御するために、密度や溶解力などのこれらの特性を使用することができる。しかし、同じ密度で幾つかの温度及び圧力の値によって同じ溶解力が得られるために、ある条件に対しては、温度及び圧力は絶対的なパラメータであると見なされるべきでない。相の密度も流量に影響を及ぼす。
【0031】
一実施形態によると、高圧ポンプ(9)を使用して、容器(8)から圧力チャンバ(1)に液体COが送られる。例示的な実施形態によれば、COは、超臨界流体を形成するのに必要な圧力(>74バール)及び温度(>300K)に圧送される。例えば薬剤分子などの物質は、圧力チャンバに導入された後に超臨界CO(scCO)と混合されて超臨界流体を形成する。適切な混合、ひいては均一混合物の形成は、例えば磁気ミキサ(10)を使用することによって確保することができる。系の圧力は、圧力ポンプの内部圧力計によりモニターすることができ、温度は、熱電対及び/又は温度計によりモニターすることができる。圧力チャンバは、好ましくは、温度制御手段及び圧力制御手段を備え、絶縁材料で被覆されている。装置は、好ましくは、絶縁された捕集チャンバ(5)を備える。装置を動作させたときの捕集チャンバ内の圧力は、圧力チャンバ内の圧力未満である。
【0032】
ピロキシカムのナノ粒子の製造に使用される例示的な装置は、長さ及び内径がそれぞれ60cm及び2mmである排出管(2)を含んでいた。第1の圧力減少は、ニードルバルブ(3)の助けを借りて排出管内で起こる。典型的な流量は24mL/分であった。当業者には、流量と排出管内での核生成開始に必要な圧力の減少が、使用される有機物質及び超臨界流体の性質、温度、並びに装置の構成に依存することは明らかである。
【0033】
第2の圧力減少ステップは、第1のノズル(4)で起こる。例えばscCOなどの超臨界流体の体積が増加するにしたがって、圧力が減少し、気相が形成される。このステップは、装置内のノズルによって、及び、断熱的ドライアイス形成の両方によって、制御される。上記物質の核又は粒子の周囲のドライアイス形成は、粒子の成長を制御し、核又は粒子の凝集(aggregation)を妨げる。好適な実施形態によると、第1のノズルの超音波撹拌も行われる。これは、核又は粒子の凝集をさらに妨げ、粒子の成長をさらに制御する。
【0034】
本発明の方法により得られる有機物質の粒径は200nm以下、好ましくは100nm未満、より好ましくは50nm未満、最も好ましくは20nm未満である。
【0035】
本明細書において、「ナノ粒子」は、その平均直径が200nm以下である粒子である。
【0036】
本明細書において、「有機物質」は、炭素を含有する分子であって、炭素含有合金や、比較的小数の炭素を含有する化合物、例えば炭酸金属塩及び金属カルボニル、炭素の単純な酸化物及びシアン化物、並びに無機物と見なされる炭素の同素体や単純なハロゲン化炭素及び硫化炭素を除く、炭素を含有する分子である。本技術で使用される例示的な有機基質は、薬剤及びそれらの薬学的に許容される有機及び無機塩を包含する生物学的に活性な物質である。
【0037】
当該技術に対して対象となりうる生物学的に活性な物質の例示的な部類の非限定的なリストとして、鎮痛薬、拮抗薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗生物質(ペニシリンを包含する)、抗コレステロール薬、抗凝固薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ゴナドトロピン薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗ムスカリン作用薬、抗マイコバクテリア薬、抗腫瘍薬、抗精神病薬、免疫抑制剤、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗不安薬(催眠薬及び神経遮断薬)、収斂薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤及び代用血液、抗癌薬、心臓変力薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳薬(去痰薬及び粘液溶解薬)、利尿薬、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン病薬)、止血薬、免疫抑制及び免疫活性化剤、脂質調節薬、筋弛緩薬、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニン及びビホスホネート、プロスタグランジン、放射性医薬品、性ホルモン(ステロイドを包含する)、抗アレルギー薬、刺激薬及び食欲低下薬、交感神経興奮薬、甲状腺薬(thyroid agents)、血管拡張薬、ニューロン遮断薬、抗コリン薬及びコリン薬、抗ムスカリン薬及びムスカリン薬、ビタミン、並びにキサンチンが挙げられる。
【0038】
例えば薬剤などの生物学的に活性な物質などの有機物質は、結晶性、無定形又はそれらの混合物であってもよい。一実施形態によれば、ナノ粒子は、生物学的に活性な薬剤と1又は2種以上の賦形剤とを含む。
【0039】
本技術の方法に好適な例示的な薬剤は、エンタカポン、エソメプラゾール、アトルバスタチン、ラベプラゾール、ピロキシカム及びオランザピンである。例示的な薬剤は、ピロキシカム(4−ヒドロキシ−2−メチル−N−(2−ピリジニル)−2H−1,2−ベンゾチアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド)である。
【0040】
超臨界流体は、好ましくはCOであるが、他の超臨界流体又はそれらの混合物も使用できる。ナノサイズにされるべき有機物質は、適切な媒体中、好ましくは超臨界流体又は近臨界流体中に分散又は溶解される。開示される方法に使用される媒体は、一般的に、当該技術分野で知られている種々の液化圧縮ガス及びそれらの混合物のうちのいずれであってもよい。これらとしては、例えば亜酸化窒素などの気体状酸化物;例えばエタン、プロパン、ブタン及びペンタンなどのアルカン;例えばエチレン及びプロピレンなどのアルケン;例えばエタノール及びイソプロパノールなどのアルコール;例えばアセトンなどのケトン;例えばジメチル又はジエチルエーテルなどのエーテル;例えば酢酸エチルなどのエステル;六フッ化硫黄や、例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジフルオロクロロメタンなどのクロロフルオロカーボンや、例えばトリフルオロメタンなどのフルオロカーボンなどを包含するハロゲン化化合物;例えばキセノンなどの元素状液化ガスが挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、媒体は、1又は2種以上の適切な材料の混合物を含むことができる。超臨界媒体が一般的に膨張後に完全に分離され、ガスが系を出るか又はリサイクルのために回収されるため、一般的に、媒体の生体適合性は、開示される方法では問題でない。
【0041】
特定の実施形態によれば、超臨界流体は超臨界水である。水は最も一般的に使用される溶媒であり、COに比べて、より容易に入手可能である。溶媒として水を使用することで、当該プロセスをより適用可能になり、CESSプロセスで使用することができる溶質の量が潜在的に増加する。水は、COと比べてより一層環境に優しく、また、水のより低い価格のために、溶剤の再利用のために必要な捕集及び濾過ステップを当該プロセスから除外することができる。
【0042】
また、近超臨界型媒体(near-supercritical form media)も使用できることが理解されるべきである。媒体、有利には超臨界流体は、溶媒として、又はアンチソルベントとして作用することができる。
【0043】
図4は、従来の方法に従って調製された薬剤(ピロキシカム)の粒子を示し、図5〜7は、本発明に従って調製された同じ薬剤の例示的な粒子を示す。図に見られるように、粒径の有意な減少が、本発明の方法によって達成することができる。粒径分布が狭い粒子は、当該系におけるより制御された物質移動で製造することができる。
【0044】
本発明の方法を、薬剤の多形変化(polymorphic change)のために、使用できることが驚くべきことに見出された。特定の実施形態に従って、当該方法を、FTIRにより、及び文献データと比較することによって判断されるように、I型のバルクのピロキシカム粒子をIII型のナノ粒子に変換するために使用した(Vrecer et al. International Journal of Pharmaceutics 256 (2003) pp 3-15)。FTIRスペクトルは図8に示されている。
【0045】
ピロキシカムのナノ粒子を製造するための図2の装置を使用する例示的なプロセスにおいて、ピロキシカムの核を含むドライアイスの形成は、第1のノズルから約2〜3cmで始まった。この場合の平均粒径は200nmであった。好ましい一実施形態によれば、試料物質の粒子を含む凝固しているCOが、COの別の流れにさらされる。この追加の流れは、粒子の成長を停止させるか、あるいは少なくとも減少させる。また、試料物質の捕集が簡略化される。
【0046】
したがって、さらに第1のノズル(4)の近傍にある1つ又は2つ以上の第2の流体のさらなる流れによって、例えばドライアイス形成などの流体の凝固をさらに増進することが好ましいである。これは、流体入口を備えた1つ又は2つ以上のさらなるノズル、すなわち第2のノズル(6)によって達成することができる。第2のノズルの距離及び角度は、好ましくは、これらのノズルからドライアイスなどの凝固流体(solidifying fluid)の形成が、第1のノズルを通って膨張する例えばドライアイスなどの凝固流体の形成に先立って起こるように選択される。第2のノズルは、第1のノズルと同軸であってもよい。例えばドライアイスなどのさらなる凝固流体は、試料物質の粒子サイズの増大を妨げる。さらに、形成された固体分散体は、例えばドライアイスなどの固体流体をかなりの量含むため、試料物質の粒子の凝集は顕著でない。COが好ましい第2の流体であるが、他の流体及びそれらの混合物も使用できる。
【0047】
一実施形態によると、当該方法は、例えば捕集チャンバ内に位置するフィルタ(11)上でナノ粒子を捕集することを含む。
【0048】
別の実施形態によると、当該方法は、さらに、第3のノズル(7)を介して第2の容器(12)からの乾燥窒素で、試料物質のナノ粒子を含む捕集チャンバ(5)、好ましくはフィルタ(11)をフラッシュすることを含む。不活性窒素は、例えばドライアイスなどの凝固流体が昇華する際の粒子の凝集を妨げる。また、試料物質の粒子が湿るのを妨げることができる。例えばアルゴンなどの不活性ガスもこの目的のために使用することができる。粒子は別々のままに保たれ、そして、製剤に使用すること、又は、例えばドライアイス又は液体窒素中で固体分散体として保存することができる。
【0049】
別の実施形態によれば、当該方法は、物質の固体状態の形態を最適化するため、及び、有利には、多形形態、賦形剤と混合された結晶、共結晶、又は非晶質状態の当該物質を生成するために使用される。一実施形態によると、当該方法は、医薬賦形剤、活性薬剤物質、及び薬剤/薬剤混合物、薬剤/賦形剤混合物及び賦形剤/賦形剤混合物の製造を意図されている。一実施形態によると、賦形剤は、付着防止剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、充填剤、矯臭剤、着色剤、滑沢剤、流動化剤、吸着剤、保存剤、矯味剤、トレーサー、及び超音波又は光音響増強剤から選択される。
【0050】
一実施形態によれば、本技術は、異なる構成成分が各粒子内に含まれる及び/又はかなりの割合の粒子が等しい比率で様々な構成成分を含む多機能ナノサイズコロイド粒子(MFコロイド粒子)を製造するために使用される。MFコロイド粒子は、部分的又は完全に結晶質及び/又は非晶質であることができる。一実施形態によれば、MF粒子は、1又は2種以上の活性成分と、加工性、溶解性、濡れ、溶解速度、吸収、化学的及び/又は物理的安定性、並びに様々な特性、例えば流動性及び生物活性を改善するのに役立つ1又は2種以上の補助成分とを含む。
【0051】
別の実施形態によれば、当該方法は、活性物質と種々の賦形剤を含む多機能粒子を製造するために使用される。
【0052】
別の実施形態によれば、本発明は、物質のナノ粒子を製造するための装置であって、当該装置は、
有機物質と超臨界流体との混合物のための圧力チャンバ(1)、
上記物質のナノ粒子のための捕集チャンバ(5)、
圧力チャンバを捕集チャンバ(5)に接続するための排出管(2)、及び
1つ又は2つ以上の第2の流体のための1つ又は2つ以上の第2のノズル(6)、
を含み、排出管が、
当該排出管内の混合物の圧力を制御するように構成された圧力制御手段(3)、及び
混合物の捕集チャンバへの膨張を可能にするように構成された第1のノズル(4)、
を備え、
1つ又は2つ以上の第2のノズルは、1つ又は2つ以上の第2の流体の断熱的凝固を可能にするように、及び、第1のノズルから膨張する混合物を、凝固している1つ又は2つ以上の第2の流体にさらすことを可能にするように構成されている、装置に関する。
【0053】
当該装置の排出管は、1つ又は2つ以上の圧力制御手段を含むことができる。例えばニードルバルブなどの1つ又は2つ以上の圧力制御手段の特性は、好ましくは、所望の圧力減少と流速を達成するように、特定の直径を有する排出管への流れ及び物質移動を調整できるものであることが好ましい。排出管内の所望の圧力及び流量を維持するためにノズルが使用され、その直径は、排出管の直径及び圧力制御手段の特性に応じて選択することができる。上記のバルブ、排出管及びノズルの組み合わせは、正しい圧力プロファイルを生じさせることによって、CESSプロセスを可能にする。例示的な組み合わせは以下のとおりである:バルブ開口部1/16〜1/4以上、排出管長さ40〜60cm、排出管外径1/8インチ、壁0.028インチ、ノズル直径0.1〜0.3mm。
【0054】
本発明に係る装置の第1のノズルは、ノズル材料として一般的に使用されている材料から構成することができる。例示的な一般的な材料は、様々なグレードのステンレス鋼である。他の例示的な材料は、チタン、サファイア、溶融石英、グラフェン、カーボンナノチューブ、シリコン単結晶、ダイヤモンド及びそれらの組み合わせである。ノズルの直径、形状及びアスペクト比は、所望の流量に応じて選択することができる。一実施形態によれば、ノズルは、アスペクト比を変更するための及び/又は1つもしくは2つ以上のノズルチャネルの幾何学的形状を変更するための調整手段を含む。
【0055】
一実施形態によれば、装置は、集束もしくは非集束レーザー光又は高周波数の超音波によって第1のノズルを作動(actuate)させるように構成されたノズル作動手段(nozzle actuation means)を含む。この作動は、物質によるノズルの目詰まりを回避する。好ましい一実施形態によれば、第1のノズルは、少なくとも20kHz、好ましくは1MHz以上の周波数で第1のノズルの出口面(exit surface)又はその外側近接部を作動させるように構成された圧電アクチュエータに接続される。ノズル作動手段は、図2に示されていない。
【0056】
第1のノズル(4)は、当該技術分野で一般的に知られている任意の膨張ノズルであることができる。例えば、ノズルは、特別に設計及び構築されたオリフィスであることができる。一実施形態において、第1のノズルは、ステンレス鋼管内に保持された溶融シリカキャピラリーである。好ましい一実施形態によれば、第1のノズルは、1〜100μmの内径及び少なくとも5のアスペクト比(L/D)を有する。
【0057】
本発明に係る装置は、1つ又は2つ以上の第2の流体のための1つ又は2つ以上の第2のノズルを含む。1つ又は2つ以上の第2のノズル(7)は、ノズル材料として一般的に使用されている材料から構成される。例示的な第2のノズルは、300μmのオリフィスを含むルビーノズルである。好ましい実施形態によれば、1つ又は2つ以上の第2のノズルは3D印刷により製造される。3Dプリントの利点は、ノズルの構造を、装置の構成及び有機物質についての必要事項に応じて設計できることである。
【0058】
開示される方法は、一般的に、当該技術分野で知られている任意の液化圧縮ガスを利用することができる。これらとしては、例えば亜酸化窒素などの気体状酸化物;例えばエタン、プロパン、ブタン及びペンタンなどのアルカン;例えばエチレン及びプロピレンなどのアルケン;例えばエタノール及びイソプロパノールなどのアルコール;例えばアセトンなどのケトン;例えばジメチル又はジエチルエーテルなどのエーテル;例えば酢酸エチルなどのエステル;六フッ化硫黄や、例えばトリクロロフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボンや、例えばトリフルオロメタンなどのフルオロカーボンなどを包含するハロゲン化化合物;例えばキセノンなどの元素状液化ガスが挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、当該方法は、1又は2種以上の材料の混合物を含むことができる。超臨界媒体が一般的に完全に蒸発し、系を出るか又はリサイクルのために回収されるため、一般的に、媒体の生体適合性は、開示される方法では問題でない。
【0059】
好ましい実施形態によれば、本発明に係る装置は、さらに、捕集チャンバに不活性ガスを流動させるように構成された第3のノズル(8)を含む。第3のノズルの技術的効果は上記のとおりである。
【0060】
CESS技術とRESS技術の比較
表2は、RESSと本発明に係る方法(CESS)の相違点をまとめたものである。
【0061】
【表2】
【0062】
RESSプロセスでは、膨張前圧力から膨張後圧力までの1つのステップで圧力が減少するのに対し、本発明の方法(CESS)では、膨張前圧力(第1の圧力)から膨張後圧力(第3の圧力)の間で中間的な圧力減少、すなわち圧力の漸次的減少(すなわち第1の圧力から第2の圧力まで)がある。したがって、CESSプロセスでは、圧力は第1のノズルの前で意図的に減少される。この圧力減少は、好ましくは圧力計で記録及びモニターされる。
【0063】
圧力減少量の比は流速を決定し、流速が超音速である場合、マッハディスクが形成される。マッハディスクの形成の場合、圧力減少量の比は、通常、10を超える必要がある。RESSとは対照的に、本発明の方法では、マッハディスクの形成はない。図に示すように、高速カメラで記録され、本発明の方法における捕集チャンバ(第3の圧力への第2の圧力の低下)への第1のノズルから混合物の典型的な流れが図9に示されている。マッハディスクの形成は観察されないことがある。
【0064】
好ましい実施形態によれば、第1の圧力第2の圧力に対する比は10未満であり、第2の圧力第3の圧力に対する比は10未満である。系内の流速は、好ましくは亜音速である。
【0065】
過飽和度(S)は、以下の式で定義される。
【0066】
【数1】
【0067】
式中、TΕ 、pΕ は膨張前の温度および圧力であり、T、pは膨張後の温度及び圧力であり、y2,E は、膨張前の状態におけるモル分率であり、y*2 は膨張後の状態における溶質の平衡モル分率であり、ψ2 は溶質フガシティー係数である(フガシティー係数は、理想気体の圧力と実在気体の有効圧力とを関連付けて実際の機械的圧力に取って代わる)。したがって、膨張前状態及び膨張後状態との間の比がより大きいほど、過飽和度がより高い。過飽和度が高いほど、より小さな核がより多く形成される。RESSプロセスでは、圧力は、ノズルのキャピラリー内で圧力が減少するのは異例である。文献でRESSプロセスを記述及びモデル化する場合、ノズルにおける圧力減少は、通常、より低い過飽和レベルをもたらすこと、及び、より大きな粒子の形成をもたらすと考えられている。これらの研究及びモデルは、20mmより短いノズルキャピラリーに限られている。この非常に小さな圧力減少を可能にするこれらのノズルキャピラリーでさえも系を目詰まりさせる傾向があるので、より長いノズルについての結果は存在しない。このプロセスよりも前(例えばノズルより前)の有意な圧力減少は、RESSプロセスの原理と適合しない。この種の圧力プロファイルは、目詰まりをもたらすと考えられており、RESSプロセスでの実現性さえも考えられていない。RESSの主な原理は、できるだけ高い過飽和度を生じさせて、捕集チャンバ内で核生成及び粒子形成を起こさせることである。
【0068】
対照的に、本発明は、RESSプロセスでは不可能であると考えられていた圧力プロファイルでナノサイズ粒子を再現性よく製造することを目的とする。CESSプロセスでは、低い過飽和度が許容可能であり、粒子形成にはより多くの時間がかかり、層状又はほぼ層状の流れのために、形成された粒子は、CESSプロセスでは、先に記載したような膨張装置というよりもむしろ流量調整器として機能する出口ノズルまで円滑に輸送される。
【0069】
CESSプロセスでは、排出管内で過飽和が起こるため、ノズルにおける溶質の関連する相変化はない。CESSプロセスでは、ノズルにおいて別個の加熱ユニットは必要とされない。この時点での流束又は圧力降下は、ノズルの凍結を引き起こすために適切でない。
【0070】
凝縮(condensation)は、形成された核の表面上への自由分子の析出により引き起こされる粒子の成長である。RESSプロセスでは、凝縮による粒子成長のために利用可能な時間はマイクロ秒に制限されている。CESSプロセスでは、凝縮は、粒子成長が排出管内で起こる、すなわち第1の圧力が第2の圧力まで漸次的に減少したときに起こる主なメカニズムである。系内での凝縮ステップは、排出管の容積とノズルの直径によって最適化することができる。
【0071】
RESSプロセスでは、粒子成長のための主なメカニズムは、亜音速自由噴流中での凝結である。粒子は、主に捕集チャンバ内で形成され、粒子濃度はマッハディスクで最も高い。粒子成長は、制御不能な粒子成長を引き起こす膨張噴流中での衝撃を超えて加速される。CESSプロセスでは、排出管内での凝縮により粒径を成長させることを犠牲にして、凝結ステップが低減される。CESSプロセスでは、凝結は、ナノ粒子とドライアイスからなる固体分散体を生じるドライアイスの形成によって、さらに妨げられる。
【0072】
RESS装置/技術は、急速に圧力を減少させることを目的とし、そのため、当該装置は、圧力を出口ノズルまで圧力チャンバレベルに維持することを目的とする。圧力が膨張チャンバより前に減少する場合、圧力の減少は、出口ノズルのキャピラリー内(すなわち、μm−mm範囲のキャピラリー内)で起こり、マイクロ秒単位で起こる。この圧力減少は、本発明に係る装置の排出管におけるように安定した圧力領域/段階的な圧力減少をもたらさない。RESSに使用されるデバイスは、CESSに必要とされる圧力プロファイルの条件を生じるように構築されない。
【0073】
RESSプロセスによる粒子形成は主に捕集チャンバ内で起こる。圧力は周囲圧力に即座に低下する。RESSによれば、背圧は使用されず、流速は超音速であり、マッハディスクが形成され、過飽和度が高く、形成された核は小さく、成長は主に凝結により成長する。本発明の方法と厳密に対比すると、大きな核は、RESSプロセスでは不利であると考えられ、そのため低い不飽和度が回避される。
【0074】
実験
粒子製造のためにピロキシカム(Hawkings Inc.、米国)とCO(純度99.8%以上、AGA、フィンランド)を使用した。溶解試験に使用したリン酸塩緩衝液(100mM;pH7.2)は、欧州薬局方に従って調製した(Ph. Eur. 7th ed.)。すべての試薬は、取得したまま用い、分析グレードであった。
【0075】
比較例
参照基準としてピロキシカムを用いて、従来のRESS装置を試験した。実験室規模の装置とパイロット規模のRESS装置の両方を使用した。実験室規模の装置では、圧力チャンバ内における200バールの圧力及び60℃の温度と、直径100μmのオリフィスを使用した。捕集チャンバは使用しなかった。パイロット規模の装置では、55バール及び31℃の捕集チャンバを用い、200〜230バール及び60℃で粒子が生成した。
【0076】
実験室規模の装置及びパイロット規模の装置により製造された粒子の平均粒径は、それぞれ5μm及び12μmであった。粒子の例が図4に示されている。
【0077】
実施例1
この系の主なコンポーネントは、高圧ポンプ(SFT-10, Supercritical Fluid Technologies, Inc.、米国)、カスタム高圧チャンバ、ヒーター/ミキサー(MR 2002, Heidolph、ドイツ国)、ルビーノズル(150μmオリフィス)及び捕集チャンバであった。圧力チャンバに、試料物質(ピロキシカム;300mg、飽和)を装填し、続いて液体COを装填した。圧力及び温度をそれぞれ200〜310バール及び60℃に上昇させた。磁気ミキサー(1500rpm)によって、試料物質の適切な溶解と均一混合物の形成を確保した。過飽和状態が30分以内に得られた。
【0078】
第1の圧力減少ステップを、圧力チャンバを捕集チャンバに接続する排出管のニードルバルブ内で生じさせた。試料物質を、ノズルを通じて捕集チャンバ中に放出させた。排出管(長さ60cm、直径2mm)内の流量をニードルバルブ(SS-3HNTF2、Swagelok)の助けを借りて24mL/分に維持して層流を確保した。これによって、圧力を非超臨界状態まで漸次的に減少させて排出管内での試料物質の核生成を開始した。
【0079】
第2の圧力減少ステップを出口ノズル(すなわち、第1のノズル)で生じさせ、CO体積が増加するに従って、ガス状CO相が形成された。このステップは、断熱的ドライアイス形成により制御した。核の周りのドライアイス形成によって、粒子成長を制御し、核の凝集を防いだ。
【0080】
乾燥窒素を使用して捕集チャンバをフラッシュした。不活性Nは、ドライアイスが昇華する際の粒子の凝集を妨げた。粒子は別々に分かれたままであった。粒子を、固体分散体とドライアイスとして蓄えた。最後に、それらを、COの昇華後、純粋なナノ粒子の乾燥粉末として捕集した。ナノ粒子の化学的完全性(chemical integrity)及び多形性(polymorphism)を、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて評価した。4000〜650cm-1の水平減衰全反射(ATR)アクセサリ(MIRacle, PIKE Technologies、米国)を備えたVertex 70(Bruker、米国)を使用してFTIRスペクトルを室温で記録した。これによって、OPUS 5.5ソフトウェアを使用した場合に、4cm-1の分解能がもたらされた。
【0081】
扁平管ノズルを使用して、圧力チャンバ内で150〜250バール及び70℃の製造プロセスで50nmの粒子を捕集した。粒子の例が図5(左上)に示されている。
【0082】
圧力チャンバ内を150〜330バール及び60〜90℃とし、φ=150μmのルビーノズルを特徴とする安定したプロセスで、再現性よく200nmの粒子が製造された。両方のプロセスで、圧力チャンバからノズルへの排出管内の流れを制御し、ほぼ層状を保った。ニードルバルブを使用してこの流れを制御し、その後、ノズルにおける断熱的ドライアイス形成をもたらした。粒子の例が図5(右上)に示されている。
【0083】
排出管からのCOの流れを非常に遅く維持し、圧力チャンバを200バール及び60℃で使用するという条件で、16nmの粒子が形成された。ニードルバルブを使用してこの流れを制御し、粒子をガラススライド上に集めた。粒子の例が図5(下)に示されている。
【0084】
実施例2.第2の流体の効果
a)scCO中のピロキシカムを、第1のノズルを通じて330バール及び72℃で捕集チャンバに膨張させた。粒径は500nmであった。
b)scCO中のピロキシカムを、ピロキシカムの成形粒子を行った第2のノズルを通じて、330バール及び72℃の捕集チャンバに膨張させ、次いで、追加のCOを、第2のノズルを通じてピロキシカムの形成中の粒子に当てた。得られた粒径は200nmであった。粒子の例が図7に示されている。
【0085】
粒子サイズの決定
粒子サイズ及び粒子の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)で調べた。ピロキシカムナノ粒子とバルク(参照)ピロキシカムを、Quanta(商標)250 FEG(FEI Inc.、米国)で画像化した。試料を、炭素でコーティングされた両面テープ上に存在する金属ネットで捕集した。試料に、白金の5nmの薄層をスパッタコーティングした(Q150T Quomm、ターボポンプ式スパッタコーター、中国)。コーティングされた試料は、圧力9.85×10−4Paで撮像された「30μmアパーチャ、10kV、≦200nA及び2.5nmのスポットサイズで、ペンシルベニア圧力各画像は、約5分で得た。粒子サイズは、直径の測定によって決定し、ImageJフリーウェア(国立衛生研究所、米国)で分析した。
【0086】
実施例1に開示のように調製したナノ粒子の平均直径は、210nm±59nm(n=300)であった。当該ナノ粒子のサイズ分布は狭く(図6)、形成された粒子は、わずかに細長い形状で丸みを帯び、目に見える破壊面又は凝集体はなかった(図7)。この方法により得られた最小粒子は16nmであった。
【0087】
薬剤放出試験
溶解速度に対する粒子サイズの影響を調べるためにピロキシカムナノ粒子及びバルク(参照)ピロキシカムの薬剤放出試験を実施した。この試験は、加熱(37.0±0.5℃)及び撹拌(400rpm)(H+P Labortechnik AG, Multitherm、ドイツ国)下でガラスバイアル中で実施した。試料をゼラチンカプセル中に入れ、カプセルが浮上しないように、鉄ワイヤーで固定した。
【0088】
次に、リン酸緩衝液(50mL;pH7.2)を含むガラスバイアルにカプセルを入れた。アリコート(1mL)を1分間から48時間までにわたる複数の時点で採取した。薬剤放出試験は3回実施した。ガードカラムを備えたDiscovery(商標)C18(Supelco Analytical、米国)カラム及び1mL/分の流量を用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLCサーモシステム製品、Agilent 1200 Infinityシリーズ、Agilent Technologies、ドイツ国)により試料を分析した。移動相は、60:40(v/v)のアセトニトリルと0.05%トリフルオロ酢酸であった。ピロキシカムのUV検出は、30℃で2.9分の保持時間及び4分間の総実行時間で333ナノメートルに設定した。BSA定量のための標準曲線を、0.1〜25μg/mLのピロキシカム濃度から作成した(R2=0.999)。
【0089】
図10は、ナノ粒子及びバルクピロキシカムの溶解プロファイルを示す。バルクピロキシカムの溶解速度は、文献[Lai et al. 2011 doi: 10.1016/J.EJPB.2011.07.005]に報告されたものと一致ないし超過していた。ナノ粒子の溶解速度はバルクピロキシカムの溶解速度の倍であった。ゼラチンカプセルは、溶解速度プロファイルで1〜2分間の遅延時間をもたらした。すべての試料が24時間以内に完全に溶解した。ナノ粒子は、試験開始から1時間以内にゼラチンカプセルから完全に溶解した。
【0090】
上記の説明で提示した非限定的な具体例は、添付の特許請求の範囲の範囲及び/又は適用性を制限するものとして解釈されるべきではない。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
有機物質のナノ粒子を製造するための方法であって、
前記有機物質と超臨界流体とを混合して第1の圧力で混合物を形成すること、
前記第1の圧力を第2の圧力まで漸次的に減少させて前記混合物の流れを形成させて前記混合物中の前記有機物質の核生成を開始させること、及び
前記第2の圧力を第3の圧力まで減少させて、核生成した前記有機物質を含む前記混合物の流体の凝固を開始させること、
を含む方法。
[態様2]
前記凝固は断熱的である、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記流れが実質的に層状である、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
前記流れが部分的に乱流である、態様3に記載の方法。
[態様5]
前記第1の圧力から前記第2の圧力までの圧力減少量と前記第2の圧力から前記第3の圧力までの圧力減少量との比が<15、好ましくは<10である、態様1〜4のいずれか一つに記載の方法。
[態様6]
前記第2の圧力が<100バール、好ましくは10〜50バールである、態様1〜5のいずれか一つに記載の方法。
[態様7]
前記第2の圧力を前記第3の圧力まで減少させることが、前記混合物を第1のノズルに通して前記第2の圧力から前記第3の圧力まで膨張させることにより行われる、態様1〜6のいずれか一つに記載の方法。
[態様8]
さらに、第1のノズルを作動させること、好ましくは第1のノズルをレーザー光又は超音波により作動させることを含む、態様7に記載の方法。
[態様9]
前記超音波の周波数が少なくとも20kHz、好ましくは少なくとも1MHzである、態様7に記載の方法。
[態様10]
さらに、
1つ又は2つ以上の第2の流体を得ること、
前記1つ又は2つ以上の第2の流体を膨張させて前記1つ又は2つ以上の第2の流体の断熱的凝固を開始させること、及び
核生成した前記有機物質を含む前記混合物を、凝固している前記1つ又は2つ以上の第2の流体にさらすこと、
を含む、態様1〜9のいずれか一つに記載の方法。
[態様11]
前記超臨界流体が二酸化炭素を含む、態様1〜10のいずれか一つに記載の方法。
[態様12]
前記1つ又は2つ以上の第2の流体が二酸化炭素を含む、態様10に記載の方法。
[態様13]
さらに、前記ナノ粒子を捕集することを含む、態様1〜12のいずれか一つに記載の方法。
[態様14]
さらに、前記ナノ粒子に不活性ガスをフラッシュすることを含む、態様1〜13のいずれか一つに記載の方法。
[態様15]
有機物質のナノ粒子を製造するための装置であって、前記装置は、
前記有機物質と超臨界流体との混合物のための圧力チャンバ(1)、
前記ナノ粒子のための捕集チャンバ(5)、
前記圧力チャンバを前記捕集チャンバ(5)に接続するための排出管(2)、
を含み、前記排出管が、
前記排出管内の前記混合物の圧力を制御するように構成された圧力制御手段(3)、及び
前記混合物の前記捕集チャンバへの膨張を可能にするように構成された第1のノズル(4)、
を備え、
前記装置は、さらに、1つ又は2つ以上の第2の流体のための1つ又は2つ以上の第2のノズル(6)を含み、前記1つ又は2つ以上の第2のノズルは、前記1つ又は2つ以上の第2の流体の断熱的凝固を可能にするように、及び、前記第1のノズルから膨張する前記混合物を、凝固している1つ又は2つ以上の第2の流体にさらすことを可能にするように構成されていることを特徴とする、装置。
[態様16]
さらに、レーザー光、又は少なくとも20kHz、好ましくは少なくとも1MHzの超音波によって、前記第1のノズル及び/又は前記第1のノズルの出口面に近い外部容積を作動させるように構成された作動手段を備える、態様15に記載の装置。
[態様17]
さらに、第3の流体のための第3のノズル(7)を前記捕集チャンバ内に含み、前記第3のノズルは、前記捕集チャンバ内でナノ粒子に前記第3の流体を当てるように構成されており、前記第3の流体は不活性ガスである、態様15又は16に記載の装置。
[態様18]
薬剤のナノ粒子を製造するための態様15〜17のいずれか一つに記載の装置の使用。
図1
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図3
図4
図5
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図8
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図10