特許第6600258号(P6600258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600258
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ボール洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20191021BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20191021BHJP
   B08B 7/04 20060101ALI20191021BHJP
   A63B 47/04 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   B08B1/04
   B08B3/04 B
   B08B7/04 A
   A63B47/04
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-15239(P2016-15239)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-131855(P2017-131855A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】隈下 勝弘
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−289666(JP,A)
【文献】 特開昭63−143087(JP,A)
【文献】 特開2001−070905(JP,A)
【文献】 実公昭43−027025(JP,Y1)
【文献】 特開2006−159088(JP,A)
【文献】 特開2006−187272(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0060147(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3128865(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00−3/14、7/00−7/04
A63B 47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールを洗浄するための洗浄槽の上側に、洗浄対象とするボールを多数収容し得るボール収容部を有するボール洗浄装置であって、
前記ボール収容部の下部である収容部下部は溝形状をなし、
前記収容部下部と、前記ボール収容部の下側に位置する前記洗浄槽が、前記ボール収容部に収容したボールを前記洗浄槽に移送するための移送用連通部を介して連通しており、
前記ボール収容部には、そのボール収容部に収容したボールのうち少なくとも下方部に位置するものを、攪拌しつつ前記溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向において前記移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動する、攪拌駆動体を有し、
前記洗浄槽は、移送用連通部を通じて前記ボール収容部からその洗浄槽内に移送されたボールを洗浄して排出するためのものであり、
前記洗浄槽は、洗浄液を貯留し得、洗浄槽内で洗浄されたボールを排出するための排出口部を、前記洗浄液を貯留した状態において洗浄液の液面よりも上方となり得る位置に有し、
前記洗浄槽の下部である洗浄槽下部は溝形状をなし、
前記洗浄槽には、前記のようにその洗浄槽内に移送されたボールを、洗浄しつつ前記溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向において前記排出口部側へ駆動する洗浄駆動体を有することを特徴とするボール洗浄装置。
【請求項2】
上記攪拌駆動体と洗浄駆動体が所定の状態で連動することにより、
前記攪拌駆動体が、上記のようにボール収容部に収容したボールを攪拌しつつ前記移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動することによる、前記移送用連通部を通じての前記ボール収容部から前記洗浄槽内へのボールの移送と、
前記洗浄駆動体が、前記移送用連通部を通じて前記ボール収容部から前記洗浄槽内に移送されたボールを上記のように洗浄しつつ前記排出口部側へ駆動することによる、洗浄されたボールの前記排出口部を通じての排出が連繋して、連続的なボール洗浄が行われる請求項1記載のボール洗浄装置。
【請求項3】
収容部下部の底部が、溝形状に沿う方向において、一方に向かって下降傾斜するものであり、移送用連通部のボール収容部側開口部が、溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向における下方の端部に位置する請求項1又は2記載のボール洗浄装置。
【請求項4】
収容部下部の底部に移送用連通部のボール収容部側開口部が位置する請求項1、2又は3記載のボール洗浄装置。
【請求項5】
攪拌駆動体が、溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向における移送用連通部のボール収容部側開口部にわたるものである請求項1乃至4の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【請求項6】
攪拌駆動体が、収容部下部の溝形状に沿う方向の軸線のまわりに回転する攪拌回転軸を有し、その攪拌回転軸に対し同軸状をなす所定の螺旋に沿って連続的に又は間隔おきに、突設物が多数突設されたものである請求項1乃至5の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【請求項7】
洗浄槽下部の底部が、溝形状に沿う方向において、一方に向かって上昇傾斜するものであり、移送用連通部の洗浄槽側開口部が、洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における下方側の端部に位置するものである請求項1乃至6の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【請求項8】
排出口部が、洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における上方側の端部に位置する請求項7記載のボール洗浄装置。
【請求項9】
移送用連通部の洗浄槽側開口部が、洗浄槽に洗浄液を貯留した状態において洗浄液の液面よりも上方となり得る位置に位置するものである請求項1乃至8の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【請求項10】
洗浄駆動体が、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における少なくとも移送用連通部の洗浄槽側開口部から排出口部にわたる請求項1乃至9の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【請求項11】
洗浄駆動体が、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向の軸線のまわりに回転する洗浄回転軸を有し、その洗浄回転軸に対し同軸状をなす所定の螺旋に沿って連続的に又は間隔おきに、径方向外方に洗浄用突設物が多数突設されたものである請求項1乃至10の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のボールを自動的に洗浄するためのボール洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−70905号公報には、容器1の中央位置に、回転駆動される横置き状のシャフト6が差し渡し状に設けられ、そのシャフト6には、放射状 かつ所定ピッチの螺旋状に多数のブラシ毛7…が植込まれており、そのブラシ毛 7の一端側の容器1の上半部2の上面には、洗浄対象となるボール8を投入するための投入口9が設けられ、ブラシ毛7の他端側の容器1の上半部2の手前側側面には、洗浄されたボール8を容器1の外に排出するための排出口10が設けられているボール洗浄機が開示されている。
【0003】
このボール洗浄機の投入口9から容器1に投入されたボール8が、回転するブラシ毛7…と、シート状体11に植設された短毛12…との間に挟まれて、擦られつつ螺旋状のブラシ毛7…によって、螺旋運動(公転)と自転をしつつ、排出口10の方に搬送される過程で、洗浄液14によって洗浄される。
【0004】
多数のボールを一度に洗浄する場合、多数のボールを収容して投入口にボールを供給することができるホッパーのようなものを設けることが考えられるが、ボールがブリッジを形成して投入口に対し円滑に供給されないという状態が発生し、円滑な自動洗浄の実現には至らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−70905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、洗浄対象とする多数のボールを収容して円滑に自動洗浄を行なうことができるボール洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のボール洗浄装置は、次のように表すことができる。
【0008】
(1) ボールを洗浄するための洗浄槽の上側に、洗浄対象とするボールを多数収容し得るボール収容部を有するボール洗浄装置であって、
前記ボール収容部の下部である収容部下部は溝形状をなし、
前記収容部下部と、前記ボール収容部の下側に位置する前記洗浄槽が、前記ボール収容部に収容したボールを前記洗浄槽に移送するための移送用連通部を介して連通しており、
前記ボール収容部には、そのボール収容部に収容したボールのうち少なくとも下方部に位置するものを、攪拌しつつ前記溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向において前記移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動する、攪拌駆動体を有し、
前記洗浄槽は、移送用連通部を通じて前記ボール収容部からその洗浄槽内に移送されたボールを洗浄して排出するためのものであり、
前記洗浄槽は、洗浄液を貯留し得、洗浄槽内で洗浄されたボールを排出するための排出口部を、前記洗浄液を貯留した状態において洗浄液の液面よりも上方となり得る位置に有し、
前記洗浄槽の下部である洗浄槽下部は溝形状をなし、
前記洗浄槽には、前記のようにその洗浄槽内に移送されたボールを、洗浄しつつ前記溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向において前記排出口部側へ駆動する洗浄駆動体を有することを特徴とするボール洗浄装置。
【0009】
ボールを多数収容し得るボール収容部に収容されたボールは、順次、移送用連通部を通じてボール収容部の下側の洗浄槽内に移送され、洗浄槽内で洗浄された後、排出口部を通じて洗浄槽から排出される。
【0010】
攪拌駆動体を作動させることにより、ボール収容部に収容したボールのうち少なくとも下方部に位置するものを、攪拌しつつ溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向において移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動することができる。攪拌により、複数のボールがブリッジ等を形成して移送用連通部のボール収容部側開口部付近又はその他の部分においてボールが移動し難くなることなどにより、移送用連通部を通じてボールが洗浄槽内へ移送されることが妨げられることを防ぎつつ、ボールを駆動して移送用連通部のボール収容部側開口部へ移動させ、ボールを移送用連通部を通じてボール収容部の下側の洗浄槽内に円滑に移送することができる。
【0011】
また、排出口部が洗浄液の液面よりも上方となるように洗浄槽内に洗浄液を貯留して洗浄駆動体を作動させることにより、洗浄槽内に移送されたボールを前記洗浄液を用いて洗浄しつつ溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向において排出口部側へ駆動することができ、洗浄されたボールが排出口部を通じて排出される。
【0012】
(2) 上記攪拌駆動体と洗浄駆動体が所定の状態で連動することにより、
前記攪拌駆動体が、上記のようにボール収容部に収容したボールを攪拌しつつ前記移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動することによる、前記移送用連通部を通じての前記ボール収容部から前記洗浄槽内へのボールの移送と、
前記洗浄駆動体が、前記移送用連通部を通じて前記ボール収容部から前記洗浄槽内に移送されたボールを上記のように洗浄しつつ前記排出口部側へ駆動することによる、洗浄されたボールの前記排出口部を通じての排出が連繋して、連続的なボール洗浄が行われる上記(1)記載のボール洗浄装置。
【0013】
攪拌駆動体と洗浄駆動体が所定の状態で連動することにより、攪拌駆動体が、前記のようにボール収容部に収容したボールを攪拌しつつ移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動することによる、移送用連通部を通じてのボール収容部から洗浄槽内へのボールの移送と、洗浄駆動体が、移送用連通部を通じてボール収容部から洗浄槽内に移送されたボールを前記のように洗浄しつつ排出口部側へ駆動することによる、洗浄されたボールの前記排出口部を通じての排出が連繋して、連続的な自動ボール洗浄が円滑に行われる。
【0014】
(3) 収容部下部の底部が、溝形状に沿う方向において、一方に向かって下降傾斜するものであり、移送用連通部のボール収容部側開口部が、溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向における下方の端部に位置する上記(1)又は(2)記載のボール洗浄装置。
【0015】
(4) 収容部下部の底部に移送用連通部のボール収容部側開口部が位置する上記(1)、(2)又は(3)記載のボール洗浄装置。
【0016】
(5) 攪拌駆動体が、溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向における移送用連通部のボール収容部側開口部にわたるものである上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【0017】
(6) 攪拌駆動体が、収容部下部の溝形状に沿う方向の軸線のまわりに回転する攪拌回転軸を有し、その攪拌回転軸に対し同軸状をなす所定の螺旋に沿って連続的に又は間隔おきに、突設物が多数突設されたものである上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【0018】
(7) 洗浄槽下部の底部が、溝形状に沿う方向において、一方に向かって上昇傾斜するものであり、移送用連通部の洗浄槽側開口部が、洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における下方側の端部に位置するものである上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【0019】
(8) 排出口部が、洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における上方側の端部に位置する上記(7)記載のボール洗浄装置。
【0020】
(9) 移送用連通部の洗浄槽側開口部が、洗浄槽に洗浄液を貯留した状態において洗浄液の液面よりも上方となり得る位置に位置するものである上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【0021】
(10) 洗浄駆動体が、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における少なくとも移送用連通部の洗浄槽側開口部から排出口部にわたる上記(1)乃至(9)の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【0022】
(11) 洗浄駆動体が、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向の軸線のまわりに回転する洗浄回転軸を有し、その洗浄回転軸に対し同軸状をなす所定の螺旋に沿って連続的に又は間隔おきに、径方向外方に洗浄用突設物が多数突設されたものである上記(1)乃至(10)の何れか1項に記載のボール洗浄装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明のボール洗浄装置によれば、ボールを多数収容し得るボール収容部に収容されたボールは、順次、移送用連通部を通じてボール収容部の下側の洗浄槽内に円滑に移送され、洗浄槽内で自動的に洗浄された後、排出口部を通じて洗浄槽から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】模式的な斜視図である。
図2】模式的な一部破砕斜視図である。
図3】模式的な要部拡大破砕斜視図である。
図4】模式的な垂直方向縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図面は何れも本発明のボール洗浄装置の実施の形態の一例についてのものである。
【0026】
このボール洗浄装置は、洗浄槽Cの上側にボール収容部Aを有する。
【0027】
(1) ボール収容部Aは、上方にボールBを受け入れる開口部A1を開口し、洗浄対象とするボールBを多数収容し得るホッパー状をなす。
【0028】
ボール収容部Aの外周部A2は金網からなり、上方に向かって漸次拡開する。ボール収容部Aの下部である収容部下部A3は、平坦な面により構成されたほぼ方形状の一定横断面の溝形状をなす。
【0029】
収容部下部A3の横断面の底部は、平面状をなし、横断面に対し直交する方向(図4における左右方向)である溝形状に沿う方向において、図4における左方に向かって下降傾斜するものである。
【0030】
(2) 収容部下部A3と洗浄槽Cは、横板部Sにより上下に仕切られている。横板部Sの図4における左端部奥側に、ボール収容部Aに収容したボールBを洗浄槽Cに移送するための移送用連通部Fが開設され、移送用連通部Fを介して収容部下部A3と洗浄槽Cが連通している。
【0031】
移送用連通部Fのボール収容部側開口部F1は、溝形状の収容部下部A3の溝形状に沿って下降傾斜する方向における下方側の端部(図4における左端部)の底部に位置する。
【0032】
(3) ボール収容部Aにおける収容部下部A3には、そのボール収容部Aに収容したボールBのうち少なくとも下方部に位置するものを、攪拌しつつ溝形状の収容部下部A3の溝形状に沿う方向において移送用連通部Fのボール収容部側開口部F1の側へ(すなわち収容部下部A3の底部が下降傾斜する向きである図4における左向きに)駆動する、攪拌駆動体Dを有する。
【0033】
攪拌駆動体Dは、溝形状の収容部下部A3の溝形状に沿う方向における両端部にわたる、すなわち、一方の端部と他方の端部である移送用連通部Fのボール収容部側開口部F1が位置する端部にわたるものである。
【0034】
攪拌駆動体Dは、溝形状の収容部下部A3の溝形状に沿う方向の軸線のまわりに回転する攪拌回転軸D1を有し、その攪拌回転軸D1に対し同軸状をなす一定ピッチの螺旋に沿って一定間隔おきに、径方向外方に攪拌用ブラシ(突設物)が多数突設されたものである(但し、図においては、螺旋に沿って多数突設された攪拌用ブラシを模式的に表すものとして、連続した螺旋状板が記載されている。)。このような構成の攪拌駆動体Dが攪拌回転軸D1のまわりに一定の向きに回転することにより、ボール収容部Aに収容したボールBを攪拌しつつ溝形状の収容部下部A3の溝形状に沿う方向において移送用連通部Fのボール収容部側開口部F1の側へ駆動することができる。
【0035】
(4) 洗浄槽Cは、移送用連通部Fを通じてボール収容部Aからその洗浄槽C内に移送されたボールBを洗浄して排出するものであり、ボールBを洗浄するための洗浄液Qが貯留されている。
【0036】
洗浄槽Cの下部である洗浄槽下部C1は溝形状をなす。溝形状の洗浄槽下部C1の横断面は、ほぼ方形状の一定横断面の溝形状をなす。洗浄槽Cの内面部は、洗浄駆動体Rと協働してボールBを洗浄するための固定ブラシ状部(図示せず)が設けられている。
【0037】
溝形状の洗浄槽下部C1の底部は、その横断面に対し直交する方向である溝形状に沿う方向において、図4における右方に向かって上昇傾斜するものである。
【0038】
洗浄槽Cの洗浄槽下部C1と、ボール収容部Aの収容部下部A3は、それぞれの溝形状に沿う方向において上下に平行に並列している。
【0039】
(5) 移送用連通部Fの洗浄槽側開口部F2は、溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿って底部が上昇傾斜する方向における下方側の端部(図4における左端部)において、洗浄槽Cに貯留した洗浄液Qの液面よりも上方に位置する。
【0040】
洗浄槽Cは、その洗浄槽C内で洗浄されたボールBを排出するためのほぼ水平方向の排出口部C2を、溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿って底部が上昇傾斜する方向における上方側の端部(図4における右端部)において、洗浄槽Cに貯留した洗浄液Qの液面よりも上方に有する。
【0041】
(6) 洗浄槽Cには、移送用連通部Fを通じてボール収容部Aからその洗浄槽C内に移送されたボールBを、洗浄しつつ溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿う方向において排出口部C2側へ(図4におけるs右向きに)駆動する洗浄駆動体Rを有する。
【0042】
移送用連通部Fを通じてボール収容部Aから移送されるボールBは、洗浄槽側開口部F2を介して順次洗浄槽C内に送り込まれ、洗浄駆動体R等により洗浄されつつ溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿う方向である図4の左右方向において排出口部C2側へ駆動され、排出口部C2から順次排出される。
【0043】
洗浄駆動体Rは、溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿う方向における洗浄槽側開口部F2から排出口部C2にわたる、すなわち、溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿う方向における一端部から他端部にわたる。
【0044】
洗浄駆動体Rは、溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿う方向の軸線のまわりに回転する洗浄回転軸R1を有し、その洗浄回転軸R1に対し同軸状をなす一定ピッチの螺旋(螺旋の巻き方は攪拌駆動体Dとは逆)に沿って一定間隔おきに密に、径方向外方に洗浄用ブラシ(洗浄用突設物)が多数突設されたものである(但し、図においては、螺旋に沿って多数突設された洗浄用ブラシを模式的に表すものとして、連続した螺旋状板が記載されている。)。このような構成の洗浄駆動体Rが洗浄回転軸R1のまわりに一定の向きに回転することにより、洗浄槽C内に移送されたボールBを洗浄しつつ溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿う方向において排出口部C2側へ駆動することができる。
【0045】
(7) 駆動源Mとしての電動機により、伝動ベルトLを介して攪拌駆動体Dの攪拌回転軸D1と洗浄駆動体Rの洗浄回転軸R1を所定比の所定回転数で所定の同じ向きに回転駆動することにより、ボール収容部Aにおいて攪拌駆動体DがボールBを図4における左向きに駆動し、洗浄槽Cにおいて洗浄駆動体RがボールBを図4における右向きに駆動して、洗浄槽CにおけるボールBの排出速度とボール収容部Aから移送用連通部Fを通じての洗浄槽C内へのボールB供給速度が均衡するように連動させることができる。
【0046】
このように、攪拌駆動体Dが、ボール収容部Aに収容したボールBのうち少なくとも下方部に位置するものを、攪拌しつつ溝形状の収容部下部A3の溝形状に沿う方向において移送用連通部Fのボール収容部側開口部F1の側へ(図4における左向きに)駆動することによる、移送用連通部Fを通じてのボール収容部Aから洗浄槽C内へのボールBの移送と、洗浄駆動体Rが、移送用連通部Fを通じてボール収容部Aから洗浄槽C内に移送されたボールBを洗浄しつつ溝形状の洗浄槽下部C1の溝形状に沿う方向において排出口部C2側へ(図4における右向きに)駆動することによる、洗浄されたボールBの排出口部C2を通じての排出が連繋して、連続的なボールB洗浄が行われる。
【0047】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0048】
本発明のボール洗浄装置は、洗浄槽の上側にボール収容部を有するものである。
【0049】
(1) ボール収容部
【0050】
(1-1) ボール収容部は、洗浄対象とするボールを多数収容し得るものであり、例えば、上方にボールを受け入れる開口部を開口する(好ましくは、ボールを受け入れ易くするために上方に向かって外周壁部が外方に拡開して開口する)ホッパー状又は箱状をなすものとすることができるが、これに限るものではない。ボールを受け入れる開口部は、例えば、側方に有するものでもよく、開閉可能なものでもよい。また、他の案内部等を介してボールをボール収容部に受け入れるものとすることもできる。
【0051】
ボール収容部の外周壁部は、例えば、金網その他の網状材料又は板状材料からなるものとすることができる。
【0052】
ボール収容部の下部である収容部下部は溝形状をなす。溝形状の収容部下部の横断面は、一定であることが好ましいがこれに限るものではない。また収容部下部の横断面の底部は、例えば、水平状又は下に凸の曲面状とすることができるが、これに限るものではない。
【0053】
溝形状の収容部下部の底部は、その横断面に対し直交する方向である溝形状に沿う方向において、一方に向かって下降傾斜するものであることが好ましいが、必ずしもこれに限るものではない。
【0054】
収容部下部は、攪拌駆動体によりボールを攪拌しつつ溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向に駆動する上で、孔や小凹凸等のない面により構成することが好ましいが、これに限るものではない。
【0055】
(1-2) 洗浄対象となり得るボールに特に制限はないが、一般的には、合成ゴム、天然ゴム、皮革などにより外周面部を形成した、球状又は非球状の中空又は中実体である。洗浄対象のボールは、洗浄槽に貯留して洗浄に用いる洗浄液(用いる洗浄液は一般には水系液体である)に対し浮くものの他、浮かないものも対象とすることができる。球状のボールの場合、直径は例えば2乃至30cm程度、好ましくは4乃至15cmである。洗浄対象とするボールは、移送用連通部や排出口部等が閉塞することを避ける上で、一定直径の球状であることが好ましい。
【0056】
(1-3) 収容部下部と洗浄槽は、ボール収容部に収容したボールを通過させて洗浄槽に移送するための移送用連通部を介して連通している。移送用連通部は、収容部下部の底部に設けた孔又は通路とすることができる。
【0057】
移送用連通部のボール収容部側開口部は、例えば、溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向における一方の側(好ましくは一方の側の端部)に位置するものとすることができる。例えば、溝形状の収容部下部の底部が、溝形状に沿う方向における一方に向かって下降傾斜するものである場合は、下方側(好ましくは下方側の端部)に(好ましくは収容部下部の底部に)移送用連通部のボール収容部側開口部が位置するものとすることができる。
【0058】
(1-4) ボール収容部には、そのボール収容部に収容したボールのうち少なくとも下方部に位置するものを、攪拌しつつ溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向において移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動する、攪拌駆動体を有する。
【0059】
攪拌駆動体は、溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向における移送用連通部のボール収容部側開口部にわたるものであることが好ましい。より好ましくは、溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向における移送用連通部のボール収容部側開口部から、そのボール収容部側開口部から遠い方の端部にわたるものである。
【0060】
攪拌駆動体の例としては、溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向の軸線のまわりに回転する攪拌回転軸を有し、その攪拌回転軸に対し同軸状をなす所定の螺旋(例えば一定ピッチの螺旋)に沿って連続的に又は間隔(例えば一定間隔)おきに、径方向外方に攪拌用突起又は攪拌用ブラシ等の攪拌用突設物が多数突設されたものを挙げることができる。この場合、攪拌駆動体が攪拌回転軸のまわりに一定の向きに回転することにより、ボール収容部に収容したボールを攪拌しつつ溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向において移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動することができる。尤も、攪拌駆動体はこの例のものに限るものではない。
【0061】
(2) 洗浄槽
【0062】
(2-1) 洗浄槽は、移送用連通部を通じてボール収容部からその洗浄槽内に移送されたボールを洗浄して排出するものであり、ボールを洗浄するための洗浄液を貯留し得る。
【0063】
洗浄槽の下部である洗浄槽下部は溝形状をなす。溝形状の洗浄槽下部の横断面は、一定であることが好ましいがこれに限るものではない。また洗浄槽下部の横断面の底部は、例えば、水平状又は下に凸の曲面状とすることができるが、これに限るものではない。
【0064】
溝形状の洗浄槽下部の底部は、その横断面に対し直交する方向である溝形状に沿う方向において、一方に向かって上昇傾斜するものであることが好ましいが、必ずしもこれに限るものではない。
【0065】
移送用連通部の洗浄槽側開口部は、例えば、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における一方の側(好ましくは一方の側の端部)に位置するものとすることができる。例えば、溝形状の洗浄槽下部の底部が、溝形状に沿う方向における一方に向かって上昇傾斜するものである場合は、下方側(好ましくは下方側の端部)に移送用連通部の洗浄槽側開口部が、例えばほぼ下向きに、位置するものとすることができる。
【0066】
移送用連通部の洗浄槽側開口部は、洗浄槽に洗浄液を貯留した状態において洗浄液の液面よりも上方となり得る位置に有するものであることが好ましい。
【0067】
洗浄槽は、洗浄槽内で洗浄されたボールを排出するための排出口部を、洗浄槽に洗浄液を貯留した状態において洗浄液の液面よりも上方となり得る位置に有する。排出口部は、例えば、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における洗浄槽側開口部から遠い側(好ましくは遠い側の端部)に位置するものとすることができる。例えば、溝形状の洗浄槽下部の底部が、溝形状に沿う方向における一方に向かって上昇傾斜するものである場合は、上方側の端部に排出口部が位置するものとすることができる。その場合、下方側の端部に移送用連通部の洗浄槽側開口部が位置するものとすることができる。
【0068】
(2-2) 洗浄槽には、移送用連通部を通じてボール収容部からその洗浄槽内に移送されたボールを、洗浄しつつ溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向において排出口部側へ駆動する洗浄駆動体を有する。
【0069】
移送用連通部を通じてボール収容部から移送されるボールは、洗浄槽側開口部を介して順次洗浄槽内に送り込まれ、洗浄駆動体により洗浄されつつ溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向において排出口部側へ駆動され、排出口部から順次排出される。
【0070】
洗浄駆動体は、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における少なくとも洗浄槽側開口部から排出口部にわたるものとすることができ、例えば、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向における一端部から他端部にわたるものとすることができる。
【0071】
洗浄駆動体の例としては、溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向の軸線のまわりに回転する洗浄回転軸を有し、その洗浄回転軸に対し同軸状をなす所定の螺旋(例えば一定ピッチの螺旋)に沿って連続的に又は間隔(例えば一定間隔)おきに、径方向外方に洗浄用ブラシ等の洗浄用突設物が多数突設されたものを挙げることができる(螺旋の巻き方は攪拌駆動体と逆又は同じ向きとすることができる)。この場合、洗浄駆動体が洗浄回転軸のまわりに一定の向きに回転することにより、洗浄槽内に移送されたボールを洗浄しつつ溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向において排出口部側へ駆動することができる。尤も、洗浄駆動体はこの例のものに限るものではない。
【0072】
洗浄槽の内面部(底面部、側面部、上面部の何れか1又は2以上)には、洗浄駆動体と協働してボールを洗浄するための固定ブラシ状部等の洗浄用材を設けることが好ましい。
【0073】
(3) 洗浄槽の洗浄槽下部と、ボール収容部の収容部下部は、好ましくは、それぞれの溝形状に沿う方向において上下に平行に並列するものとすることができる。また、移送用連通部のボール収容部側開口部と洗浄槽側開口部は水平方向位置が一致するものとすることができる。
【0074】
(4) 攪拌駆動体と洗浄駆動体は、所定の状態で連動するものとすることができる。例えば、一つの駆動源(例えば電動機)に基づく駆動力により、動力伝達機構(例えばチェーン、伝動ベルト、歯車等)を介して、或いは、別々の駆動源による駆動力により、攪拌駆動体と洗浄駆動体を所定比の回転数で駆動することにより、攪拌駆動体と洗浄駆動体を、所定の状態で(例えば洗浄槽におけるボールの排出速度とボール収容部から移送用連通部を通じての洗浄槽内へのボール供給速度が均衡するように)連動させることができる。なお、攪拌駆動体と洗浄駆動体は、必ずしも常時同時に作動することを要するものではなく、例えば一方に対し他方が間欠的に作動するものとすることもできる。
【0075】
攪拌駆動体が、前記のように、すなわち、ボール収容部に収容したボールのうち少なくとも下方部に位置するものを、攪拌しつつ溝形状の収容部下部の溝形状に沿う方向において移送用連通部のボール収容部側開口部の側へ駆動することによる、移送用連通部を通じてのボール収容部から洗浄槽内へのボールの移送と、洗浄駆動体が、移送用連通部を通じてボール収容部から洗浄槽内に移送されたボールを前記のように、すなわち、洗浄しつつ溝形状の洗浄槽下部の溝形状に沿う方向において排出口部側へ駆動することによる、洗浄されたボールの排出口部を通じての排出が連繋して、連続的な自動ボール洗浄が円滑に行われる。
【符号の説明】
【0076】
A ボール収容部
A1 開口部
A2 外周部
A3 収容部下部
B ボール
C 洗浄槽
C1 洗浄槽下部
C2 排出口部
D 攪拌駆動体
D1 攪拌回転軸
F 移送用連通部
F1 ボール収容部側開口部
F2 洗浄槽側開口部
L 伝動ベルト
M 駆動源
Q 洗浄液
R 洗浄駆動体
R1 洗浄回転軸
S 横板部
図1
図2
図3
図4