(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、クラッチ操作レバーの取付角度を後方に傾倒させて設置すると、クラッチ機構を動力伝達状態(クラッチオン状態)から動力遮断状態(クラッチオフ状態)に手指で下方向(重力方向)に押圧操作した際に、レバーの上面から手指が滑って落ち易くなる。このため、クラッチ操作レバーの取付角度を後方に傾倒させて設置した場合には、確実なクラッチオフ操作が行えない等の課題が生じる。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、確実なクラッチオフ操作を行うことができ、クラッチ操作レバーの操作性を向上させることができる魚釣用リールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明の魚釣用リールは、リール本体の左右の側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、
一方の前記側板に
設けられたレバー支持部と、前記レバー支持部に取り付けられ、前記スプールを動力伝達状態と動力遮断状態とに切り換え操作するためのクラッチ操作レバーと、を備え、前記
レバー支持部の後部には、手指を載置可能な指載せ部が設けられており、
前記クラッチ操作レバーは、動力遮断状態の切り換え位置において、前記レバー支持部から前記レバー支持部の後方斜め下方に延在するように配置され、前記指載せ部は
、前記クラッチ操作レバーの動力遮断状態
の切り換え位置において、前記クラッチ操作レバー
の側方に配置され
、前記クラッチ操作レバーの姿勢に沿うように平らに形成されていることを特徴とする。
【0010】
この魚釣用リールでは、クラッチ操作レバーを動力遮断状態に切り換え操作した際に、クラッチ操作レバーを操作した手指を指載せ部に同時に載置することができる。
【0011】
前記した魚釣用リールにおいて、前記クラッチ操作レバーが、前記一方の側板に支持される回動部と、前記回動部に連続して形成され使用者の手指で操作される操作部と、を備えている場合には、動力遮断状態の切り換え位置において、前記指載せ部の上面と前記操作部の上面とが前記リール本体を側方から見たときに略平行であるのがよい。このように構成することで、クラッチ操作レバーを動力遮断状態に切り換え操作した際に、クラッチ操作レバーを操作した手指を操作部と指載せ部とに亘って安定して同時に載置することができる。
【0012】
前記した魚釣用リールにおいて、前記操作部の後端部は、後方斜め上方に突出しているのがよい。このように構成することで、クラッチ操作レバーを動力遮断状態に切り換え操作した際に、クラッチ操作レバーを操作した手指を後端部に引っ掛けることができて滑り落ちるのを確実に防止できる。
【0013】
前記した魚釣用リールにおいて、前記操作部の上面は、前記側板から離れる側に向けて下る傾斜面を有しているのがよい。このように構成することで、クラッチ操作レバーを操作する際に、自然な動きで手指を操作部の上面に載せることができる。
【0014】
前記した魚釣用リールにおいて、前記クラッチ操作レバーの後端部は、動力遮断状態の切り換え位置において、前記リール本体を側方から見たときに前記一方の側板の外縁部の内側に位置しているのがよい。このように構成することで、リールの小型化を図りつつ、一方の側板の側方へのクラッチ操作レバーの余分な突出を排除して特に釣糸放出時の糸絡み等のリスクを低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の魚釣用リールによれば、クラッチ操作レバーを動力遮断状態に切り換え操作した際に、クラッチ操作レバーを操作した手指を指載せ部に同時に載置して保持することができるので、クラッチ操作レバーを操作している手指がレバーから滑ったり、レバーから弾かれて脱落してしまうのを好適に防止することができる。これにより、確実なクラッチオフ操作を行うことができ、クラッチ操作レバーの操作性を向上させることができる。
【0016】
また、クラッチ操作レバーの姿勢が動力遮断状態において、例えば、鉛直の重力方向の下向き姿勢に近づく状態となる場合でも、操作している手指の滑りを確実に抑えることが可能となるので、クラッチ操作レバーの起立位置を通常より後方に傾倒させてクラッチ操作レバーを、例えば、モータ出力操作レバー等の他の機能部材から遠ざけて配置することが可能となる。これにより、実釣時に、他の機能部材を操作する手指がクラッチ操作レバーに触れてしまうことを回避でき、魚釣操作性が向上する。
【0017】
また、動力遮断状態の切り換え位置において、指載せ部の上面と操作部の上面とがリール本体を側方から見たときに略平行である場合には、クラッチ操作レバーを操作した手指の腹部を操作部と指載せ部とに亘って安定して載置することができるので、クラッチ操作レバーを操作している手指がレバーから滑ったり、レバーから弾かれるように離れてしまうのをより好適に防止することができる。これにより、クラッチ操作レバーの操作性をより一層向上させることができる。
【0018】
また、操作部の後端部が後方斜め上方に突出していることで、クラッチ操作レバーを操作した手指を後端部に引っ掛けることができるので、クラッチ操作レバーを操作している手指がレバーから滑ったり、レバーから弾かれるように離れてしまうのをより好適に防止することができる。これにより、クラッチ操作レバーの操作性をより一層向上させることができる。
【0019】
また、操作部の上面が側板から離れる側に向けて下る傾斜面を有していることで、自然な動きで手指を操作部の上面に載せることができるので、クラッチ操作レバーの操作性をより一層向上させることができる。
【0020】
また、クラッチ操作レバーの後端部が動力遮断状態の切り換え位置において、リール本体を側方から見たときに一方の側板の外縁部の内側に位置している構成では、リールの小型化を図りつつ、一方の側板の側方へのクラッチ操作レバーの余分な突出を排除して特に釣糸放出時の糸絡み等のリスクを低減することができる。したがって、リール本体のコンパクト化および魚釣操作性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る一実施形態の魚釣用電動リールについて図面を参照して説明する。以下の説明において、「前後」「左右」を言うときは、
図1,
図2示した方向を基準とし、「上下」を言うときは、
図2に示した方向を基準とする。
【0023】
図1に示すように、魚釣用電動リールは、フレーム2と、このフレーム2を覆うように配設されるカバー部材としての側板3と、を備えたリール本体1を有している。
フレーム2は、リール本体1の骨格をなす部分であり、左フレーム2a、右フレーム2b、およびスプール5の前方に配設される前フレーム2c(
図4,
図9参照)を備えてなる。これらの左フレーム2a、右フレーム2b、前フレーム2cは、全体として一体に形成されている。なお、各左フレーム2a、右フレーム2b、前フレーム2cを別体に形成して、固定手段等により一体化してもよいし、部分的に一体に形成してもよい。
【0024】
左右フレーム2a,2bは、複数の図示しない支柱を介して一体化されている。下方の図示しない支柱には、釣竿のリールシートに装着される図示しないリール脚が設けられている。
このような左右フレーム2a,2b、前フレーム2cからなるフレーム2は、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属材で形成することができる。
左右フレーム2a,2bの上縁には、カウンターケース14が載置されている。
【0025】
前フレーム2cは、左右フレーム2a,2bに開口部(不図示)を有する略円筒状を呈しており、その内部には、電動モータM(
図9参照)が収容される。前フレーム2cは、電動モータMを収容するモータケースMC(
図9参照)の一部として機能している。
【0026】
側板3は、左フレーム2aを覆う左側板30Aと、右フレーム2bを覆う右側板30Bと、前フレーム2cを覆う前側板30Cと、を備え、釣人の手によって握持されたり、保持されたりする部分(釣人の手が接触する部分)となる。
左側板30A、右側板30Bおよび前側板30Cは、個々に合成樹脂製の一体成形品であり、左フレーム2a、右フレーム2bおよび前フレーム2cにそれぞれ装着される。
なお、公知のように左フレーム2aと左側板30Aを一体成形してリール本体1の一方を構成する左側板としてもよい。
【0027】
右フレーム2bには、支持部31が着脱可能に固定されている。すなわち、右フレーム2bは、相互に別体とされた2つの部材(右側板30Bおよび支持部31)で覆われている。支持部31は、巻き取り操作されるハンドル70のハンドル軸7およびピニオンギャ軸9j(
図9参照)を支持している。
【0028】
図1に示すように、左右フレーム2a,2b間には、釣糸が巻回されるスプール5が回転自在に支持されている。
また、スプール5の前方には、電動モータMが配置されており、スプール5は、ハンドル70の巻き取り操作、および電動モータMの回転駆動によって、駆動力伝達機構をなす公知の減速機構G1等を介して釣糸巻き取り方向に回転駆動される。
電動モータMは、カウンターケース14の後方側におけるフレーム2の上部に設けた出力操作レバー6の前後方向の回動操作で、モータ出力が増減調節される。
【0029】
スプール5は、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部5aを備えており、その両端には、巻回される釣糸を規制するフランジ5b,5cが形成されている。スプール5は、スプール軸5dに図示しない軸受を介して左右フレーム2a,2bに支持されている。
【0030】
スプール5には、減速機構G1および右フレーム2bに設けられた公知の減速機構G2を介して駆動力が伝達されるようになっている。
減速機構G1は、電動モータMの側方に設けられており、電動モータMの出力を減速する。減速機構G1により減速された回転駆動力は、公知の動力伝達部G3を介してスプール軸5dに伝達される。
また、減速機構G2は、右フレーム2b側に設けられており、スプール軸5dの回転駆動力を減速してスプール5に伝達するようになっている。
スプール5には、
図9に示すように、ブラケット55を介してピニオンギャ軸9jが連結されている。
【0031】
出力操作レバー6は、
図2に示すように、左右フレーム2a,2b間に支持された状態で、サミング操作から動力伝達状態となるクラッチオン操作を介したモータ出力調節操作へのスムーズな移行を可能にするためにスプール5の上方に配置されている。出力操作レバー6は、略円筒状の回動操作部61と、回動操作部61の右側に連続して一体回転可能に設けられた平板状のレバー操作部62と、を備えている。回動操作部61は、例えば、親指の腹部を当て付けて前後方向に転がすようにして回動操作が可能な操作部である。レバー操作部62は、径方向に突出する突出部62aを備えている。突出部62aは、先細り形状とされている。レバー操作部62は、この突出部62aを手指で摘んだり手指の腹部を側方等から当て付けるようにして前後方向に傾動操作される。レバー操作部62は、突出部62aを備えているので、その突出部62aの傾動位置を目印として、離れた場所からでもモータ出力状態を容易に視認することが可能である。
なお、レバー操作部62は、右側板30Bに設けられるクラッチ操作レバー80の斜め前方上方に位置しており、クラッチオン操作を介したモータ出力調節操作へのスムーズな移行が可能となっている。クラッチ操作レバー80の詳細は後記する。
【0032】
右フレーム2bを覆う支持部31は、金属製、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等からなる一体成形品である。支持部31は、ハンドル軸7の周りに配置される部材であり、右フレーム2bに対して直接固定されている。右側板30Bは、支持部31を囲うように配置される部材であり、右フレーム2bに対して直接固定されている。支持部31はアルマイト加工処理等によりカラーリング可能である。
【0033】
支持部31は、
図3(a)(b)に示すように、ハンドル軸支持部31aと、ピニオンギャ軸支持部31bと、を備えている。
ハンドル軸支持部31aの内側には、
図9に示すように、複数の制動板32aを備えるドラグ機構32、およびドライブギャ8が収容されている。ハンドル軸支持部31aは、ベアリング部材31dおよびホルダー32bを介してハンドル軸7の一端を支持している。ハンドル軸7にはドラグ機構32を介してドライブギャ8が摩擦結合している。なお、ハンドル軸7の基端7aは右フレーム2bに公知のように回転自在に抜け止め支持されている。なお、ハンドル軸7は、公知のように逆転防止機構により、釣糸巻き取り方向の正回転を許容し、釣糸繰り出し方向の逆回転が阻止されるように構成されている。
【0034】
ピニオンギャ軸支持部31bの内側には、
図9に示すように、ピニオンギャ9が収容されている。ピニオンギャ軸支持部31bの底部31eには、軸受けとなるベアリング部材31fを介してピニオンギャ軸9jの先端部が支持されている。ピニオンギャ軸9jは、スプール5に連結されている。ピニオンギャ9には、ドライブギャ8が噛合している。
また、ピニオンギャ軸支持部31bの内側には、
図9に示すように、公知のクラッチ機構を構成するスライドプレート9aの一部が収容されている。
支持部31は、
図3(a)(b)に示すように、複数本の固定用ねじ31m,31nで右フレーム2bに直接固定されている。つまり、支持部31は、右側板30Bとは独立して右フレーム2bに固定されている。
【0035】
図4に示すように、右側板30Bは、支持部31と別体に形成されており、右フレーム2bに対して独立して固定される部材である。右側板30Bには、開口部33が形成されており、この開口部33を通じて、支持部31のハンドル軸支持部31aおよびピニオンギャ軸支持部31bが右側板30Bの右側方に露出する状態で突出している(
図2,
図9参照)。
【0036】
開口部33の後方上縁部には、右側方に向けて延在するレバー支持部35が形成されている。レバー支持部35は、
図4、
図7(a)(b)に示すように、側面視で略四角形状を呈している。レバー支持部35には、
図4に示すように、支持孔35aが形成されており、この支持孔35aに公知のクラッチ機構を操作するためのクラッチ操作レバー80が回動可能に支持されている。クラッチ操作レバー80を回動操作することによって、スライドプレート9a(
図3(a),
図9参照)がスライドされ、クラッチ機構の係脱(オンオフ)、つまり、スプール5を動力伝達状態にするクラッチオン状態と動力遮断状態にするクラッチオフ状態との切り換えがなされる。
【0037】
レバー支持部35は、
図2に示すように、略平らに形成された後部35bを備えている。後部35bは、リール本体1の後部の上部からリール本体1の後部の下部後方に向けて下る傾斜面とされている。後部35bは、クラッチ操作レバー80をクラッチオフ状態となる操作位置に操作した際に、操作した手指を同時に載置可能な指載せ部として機能している。そのために後部35bは、クラッチ機構によりスプール5が動力遮断状態にされたクラッチ操作レバー80の切り換え位置の側方に近接した状態で配置されている。これにより、クラッチ操作レバー80をクラッチオフ状態に操作した際に、クラッチ操作レバー80を操作している手指の腹部を指載せ部となる後部35bに同時に載置することができる。
【0038】
右側板30Bは、後部35bの側方に連続して形成される縦壁部30B2を備えている。縦壁部30B2は、後部35bに対して略直角に立ち上がっており、後部35bに載せた手指を当てつけて保持したり、クラッチ操作レバー80を操作する手指を後部35bに向けて案内したりする側壁として機能する。
【0039】
クラッチ操作レバー80は、
図5各図に示すように、基部となる回動部81と、回動部81に連続して形成され使用者の手指(
図10(a)(b)参照)が触れる操作部82と、を備えている。
回動部81の左側面81aには、
図5(a)に示すように、支軸88が突設されている。支軸88は、右側板30Bのレバー支持部35に設けられた支持孔35aに挿通される。クラッチ操作レバー80は、レバー支持部35の内側から支軸88のねじ穴88aに図示しない取付ねじを螺合することによってレバー支持部35に回動可能に保持されており、公知の図示しないデッドポイントバネ部材を介して動力伝達状態(クラッチオン状態)と動力遮断状態(クラッチオフ状態)とに振り分け付勢されている。
【0040】
操作部82は、
図5(a)に示すように、平面視で、回動部81から後方に向けて漸次幅広となるスカート状を呈している。操作部82の上面は、略平らに形成された上面部83と、上面部83に連続して形成され側方の斜め下方へ向けて傾斜する傾斜面としての下り傾斜部84と、備えている(
図6(c)参照)。下り傾斜部84の右縁部には、鉛直に形成された外側部89が連続して形成されている。外側部89の後部89aは、平面視で斜め前方へ向けて傾斜している。前記した上面部83と下り傾斜部84との稜線部83aは、前後方向に延在しており断面山形状(
図6(c)参照)を呈している。
【0041】
一方、操作部82の下面は、略平らに形成された下面部86と、下面部86に連続して形成され側方の斜め上方へ向けて傾斜する上り傾斜部87と、備えている。上り傾斜部87の右縁部は外側部89に連続している。下面部86と上り傾斜部87との稜線部86aは、前後方向に延在しており断面逆山形状(
図6(c)参照)を呈している。
操作部82は、前記した下り傾斜部84と上り傾斜部87とによって、
図6(c)に示すように、外側部89に向けて上下方向に窄まる形状とされている。これによって、操作部82は手指で摘み易くなっている。
【0042】
操作部82の上面の後端部85aは、
図5(c)に示すように、後方斜め上方に突出している。これにより、操作部82の上面部83と後端部85aとの境界部分には、断面湾曲凹状の隅部85が形成されている。これにより、隅部85から後端部85aにかけて、手指を引っ掛けるようにして載置することができる。
【0043】
操作部82には、
図5(b)(c)に示すように、肉抜き孔80aが形成されている。肉抜き孔80aは、断面略三角形状を呈している。
【0044】
以上のようなクラッチ操作レバー80は、
図7(a)に示すように、クラッチ操作レバー80がレバー支持部35の後方斜め上方に延在するように位置する状態が動力伝達状態となるクラッチオン状態である。また、
図7(b)に示すように、クラッチ操作レバー80がレバー支持部35の後方斜め下方に延在するように位置する状態が動力遮断状態となるクラッチオフ状態である。
【0045】
クラッチオン状態では、
図7(a)に示すように、クラッチ操作レバー80が前記のようにレバー支持部35の後方斜め上方に延在しており、レバー操作部62とクラッチ操作レバー80との間には、レバー操作部62を操作する際の手指がクラッチ操作レバー80に触れてしまったり、両レバーの回転操作性が低下したりするのを防止することが可能な所定の離間スペースが形成されている。
【0046】
また、クラッチオフ状態では、
図8(a)(b)に示すように、クラッチ操作レバー80の操作部82の上面部83の左側方に、レバー支持部35の後部35bが位置している。レバー支持部35の後部35bと操作部82(上面部83)の上面とは、リール本体1を側方から見たときに略平行である。これにより、クラッチ操作レバー80を操作する手指を、操作部82上から後部35b上に亘って親指の腹部で同時に載置することが可能である。
【0047】
また、クラッチ操作レバー80は、リール本体1を側方から見たときに、
図7(b)のクラッチオフ状態において、その後端部85aが右側板30Bの外縁部30B4の内側に位置するように長さや位置関係が設定されている。クラッチ操作レバー80を操作する際の作用は後記する。
【0048】
右側板30Bの前部には、
図4に示すように、側面視略円形状のモータカバー部34が形成されている。モータカバー部34には、電動モータM(
図5参照)の放熱用の開口部34aが複数形成されている。モータカバー部34の内側には、円板状の側部放熱部材37が配置されている。開口部34aの大きさは、実釣時に使用者の手指等が入らない程度の大きさに形成されている。
【0049】
側部放熱部材37は、例えば、放熱性のよい、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金等の金属材で形成されている。側部放熱部材37の右側面には、周溝37aが形成されている。この周溝37aにより、側部放熱部材37の右側面の放熱面積が増大している。側部放熱部材37は、前記開口部34aを通じてモータカバー部34の側方から臨まれる(開口部34a内に露出している(
図7(a)参照)。側部放熱部材37は、
図9に示すようにOリング34pを介して、モータカバー部34の内面に密着している。側部放熱部材37はアルマイト加工処理等によりカラーリング可能である。
【0050】
電動モータMから発生した熱は、モータケースMCの一部である蓋体M1(
図9参照)を介して側部放熱部材37に伝わり、側部放熱部材37から右側板30Bの開口部34aを通じてリール本体1の右側方の外気に放熱される。
【0051】
右側板30Bの上端部には、
図2に示すように、円弧状の凹部36eが形成されている。凹部36eには、出力操作レバー6の端部が配置される。
【0052】
このような開口部34aを有する右側板30Bは、
図4に示すように、その周縁部に間隔を空けて設けられたねじ孔36aに固定ねじ36bをそれぞれ挿通し、これらを右フレーム2bに螺合することで右フレーム2bに固定される(
図7(a)参照)。
【0053】
次に、クラッチ操作レバー80をクラッチオン状態からクラッチオフ状態に操作する場合の作用について説明する。
はじめに、クラッチ操作レバー80の操作部82の上面に、手指の親指等を載せるようにして掛ける。そして、操作部82を後方下方に向けて押し、クラッチ操作レバー80をクラッチオン状態からクラッチオフ状態に向けて回動させる。この場合、操作部82の上面は、上面部83と傾斜部84とを有しているので、傾斜部84の斜面に沿うようにして斜め後方から操作部82に親指Pを載せることができる。また、操作部82を後方下方に向けて押す際には、断面山形形状の稜線部83aに親指Pの腹を掛けることができるので、親指Pが濡れていても滑り難い。したがって、回動操作が行い易い。
【0054】
その後、
図10(a)(b)に示すように、クラッチオフ状態となる位置までクラッチ操作レバー80を回動させると、図示しない規制機構によってクラッチ操作レバー80の回動が停止される。また、この停止されるタイミングで、操作している親指Pの指先が側方のレバー支持部35の後部35bに当たる。これにより、親指Pは、操作部82と後部35bとに亘って同時に載置され、操作部82と後部35bとの上面に保持される。これにより、操作している親指Pが操作部82から下に滑って落ち切らずに止まり、感覚的にもクラッチオフ状態になったことが分かる。つまり、クラッチ操作レバー80の姿勢がクラッチオフ状態において鉛直の姿勢に近づいた状態になっても、操作している親指Pが弾かれて脱落してしまうことがなく、クラッチオフ状態の操作感が直に伝わってくる構造となっている。
【0055】
加えて、クラッチオフ状態において、操作部82の上面後部の隅部85および後端部85aに対して親指Pが引っ掛かり、操作部82から下に親指Pが落ち切らずに好適に保持されることとなる。
【0056】
次に、
図11(a)(b)を参照して、右側板30Bの縦壁部30B2を利用したクラッチ操作レバー80の操作について説明する。
縦壁部30B2は、レバー支持部35の後部35bの側方に連続して形成されているので、クラッチ操作レバー80をクラッチオン状態からクラッチオフ状態に向けて回動させる際に、これに親指Pの指先等を沿わせてガイド壁として利用することができる。つまり、操作部82の上面に親指Pの腹を載せつつ、親指Pの指先を縦壁部30B2に側方から当てるようにして、クラッチ操作レバー80を回動操作することができる。
【0057】
この場合、
図11(a)(b)に示すように、クラッチオフ状態となる位置までクラッチ操作レバー80を回動させると、後部35bに親指Pが当たるとともに、後部35bと縦壁部30B2との隅部30B3に親指Pの指先が保持される。これにより、親指Pは、操作部82と後部35bとに亘って保持されるとともに、隅部30B3に保持される。これにより、操作している親指Pが操作部82から下に落ち切らずにより一層好適に止まる。したがって、クラッチ操作レバー80の姿勢がクラッチオフ状態において鉛直の姿勢に近づいた状態になっても、操作している親指Pが弾かれて脱落してしまうことが阻止され、クラッチ操作性がより向上する。
【0058】
以上説明した本実施形態の魚釣用電動リールによれば、クラッチ操作レバー80をクラッチオフ状態に切り換え操作した際に、クラッチ操作レバー80を操作した手指を指載せ部となる後部35bに同時に載置して保持することができる。したがって、クラッチ操作レバー80を操作している手指がレバーから滑ったり、レバーから弾かれるように脱落してしまうのを好適に防止することができる。これにより、クラッチ操作レバー80の操作性を向上させることができる。
【0059】
また、クラッチ操作レバー80の姿勢がクラッチオフ状態において、例えば、鉛直の重力方向の下向き姿勢に近づく状態となる場合でも、操作している手指の滑りを確実に抑えることが可能となるので、クラッチ操作レバー80の起立位置を通常より後方に傾倒させてクラッチ操作レバー80をレバー操作部62から遠ざけて配置することが可能となる。これにより、実釣時に、レバー操作部62を操作する手指がクラッチ操作レバー80に触れてしまうことを回避でき、魚釣操作性が向上する。
【0060】
また、後部35bの上面と操作部82の上面とがリール本体1を側方から見たときに、略平行で、連続して同一平面を形成するので、クラッチ操作レバー80を操作した手指を操作部82と後部35bとに亘って安定して載置することができる。したがって、クラッチ操作レバー80を操作している手指が操作部82から滑ったり、操作部82から弾かれるようにして脱落してしまうのをより好適に防止することができる。これにより、クラッチ操作レバー80の操作性をより一層向上させることができる。
【0061】
また、操作部82の後端部85aが後方斜め上方に突出していることで、クラッチ操作レバー80を操作した手指を後端部85aに引っ掛けることができる。したがって、クラッチ操作レバー80を操作している手指が操作部82から滑ったり、操作部82から弾かれるようにして脱落してしまうのをより好適に防止することができる。これにより、クラッチ操作レバー80の操作性をより一層向上させることができる。
【0062】
また、操作部82の上面が傾斜部84を有していることで、自然な動きで手指を操作部82の上面に載せることができるので、クラッチ操作レバー80の操作性をより一層向上させることができる。
【0063】
また、クラッチ操作レバー80の後端部85aがリール本体1を側方から見たときに、クラッチオフ状態において、右側板30Bの外縁部30B4の内側に位置しているので、リールの小型化を図りつつ、右側板30Bの側方へのクラッチ操作レバー80の余分な突出を排除して特に釣糸放出時の糸絡み等のリスクを低減することができる。したがって、リール本体1のコンパクト化および魚釣操作性の向上を図ることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した魚釣用電動リールの実施形態に限定されることはなく、電動モータを備えない手動専用の魚釣用リールでもよく、種々変形することが可能である。
また、後部35bは、クラッチ操作レバー80をクラッチオフ状態に操作した手指が当たるものであればよく、略平らに形成されたものに限られることはなく、湾曲突状、湾曲凹状、凹凸状等、種々の形状のものを採用することができる。
【0065】
また、後部35bは、クラッチ操作レバー80の操作部82の上面と略平行に形成されたものを示したが、これに限られることはなく、クラッチ操作レバー80をクラッチオフ状態に操作した手指が当たるものであれば、角度を有して形成されていてもよい。
【0066】
また、クラッチ操作レバー80は、略平らな上面部83を有するものを示したが、これに限られることはなく、手指を載せて操作することができるものであれば、種々の形状のものを採用することができる。
【0067】
また、後部35bは、右フレーム2bに取着される右側板30Bの側部に一体形成したレバー支持部35に設けられたものを示したが、これに限られることはなく、右側板30Bとは別体であるが、右フレーム2bに取着されるリール本体1の側板の一部を構成する支持部31のピニオンギャ軸支持部31bを延設して、これにクラッチ操作レバー80を支持するように構成してもよい。この場合、延設したピニオンギャ軸支持部31bに指載せ部としての後部35bを設ける。このようにすることでクラッチ操作レバー80の支持強度および後部35bの支持強度が高まり、操作性が向上する。
【0068】
また、クラッチ操作レバー80は、クラッチオン状態においても、外縁部30B4の内側に位置するように構成してもよい。